特開2016-192374IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

絶縁電線

要約特許出願時に添付された[要約書]

【課題】高温のATフルードまたはCVTフルードからなる油による銅系素線の腐食によって耐衝撃性が低下するのを抑制することができ、絶縁体の耐摩耗性が良好であり、折り曲げられた状態で高温の油に曝された後に一旦折り曲げが解かれ、さらに折り曲げられた場合でも、絶縁体が割れ難い絶縁電線を提供する。
【解決手段】絶縁電線1は、撚り線導体2と、撚り線導体2の外周に被覆された絶縁体3とを有する。絶縁電線1は、ATフルードまたはCVTフルードからなる油に接した状態で使用される。撚り線導体2は、少なくとも複数本の銅系素線21が撚り合わされてなるとともに、円形圧縮された後、熱処理が施されている。銅系素線21は、表面にNi系めっき層を有しており、Ni系めっき層は、円形圧縮によって圧縮されている。絶縁体3は、エチレン−四フッ化エチレン系共重合体の架橋体より構成されている。
【選択図】図1

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、従来技術は、以下の点で問題がある。すなわち、上述した従来の絶縁電線は、高温のATフルードやCVTフルードに接した状態で使用された場合に、油に含まれる硫黄やリン等の成分により、撚り線導体を構成する裸銅素線が腐食する。 腐食を防止するため、裸銅素線の表面に、Snめっき層を形成することが考えられる。しかし、Snめっきは、比較的融点が低い。そのため、銅の軟化のために施される熱処理時の熱によって、Snめっき層が溶融し、剥がれやすくなる。また、撚り線導体の外周に絶縁体を被覆する際の熱によっても、同様の現象が生じる。それ故、従来の絶縁電線は、高温の油による銅素線の腐食によって撚り線導体の導体断面積が減少し、耐衝撃性が低下するという問題がある。 また、近年、自動車用電線等の絶縁電線では、狭いスペースに効率よく絶縁電線を配策できるように、電線径の細径化が求められている。電線径を細径化するためには、撚り線導体を円形圧縮するばかりでなく、絶縁体を薄肉化することも有効である。しかし、パーフルオロ系のフッ素樹脂は、架橋が困難であるため強度が低い。それ故、従来の絶縁電線は、絶縁体を薄肉化すると、絶縁体の耐摩耗性が低下しやすいという問題がある。 また、自動車用電線等の絶縁電線は、配策時の折り曲げに耐えうることも必要となる。しかし、従来の絶縁電線は、折り曲げられた状態で高温の油に曝された後、一旦折り曲げが解かれて、さらに折り曲げられた場合に、絶縁体が割れやすいという問題がある。なお、の場合としては、例えば、一度組み付けられたワイヤーハーネスが組み替えられる場合等が典型例として挙げられる。 本発明は、背景に鑑みてなされたものであり、高温のATフルードまたはCVTフルードからなる油による銅系素線の腐食によって耐衝撃性が低下するのを抑制することができ、絶縁体の耐摩耗性が良好であり、折り曲げられた状態で高温の油に曝された後に一旦折り曲げが解かれ、さらに折り曲げられた場合でも、絶縁体が割れ難い絶縁電線を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の一態様は、撚り線導体と、該撚り線導体の外周に被覆された絶縁体とを有する絶縁電線であって、 該絶縁電線は、ATフルードまたはCVTフルードからなる油に接した状態で使用され、 撚り線導体は、少なくとも複数本の銅系素線が撚り合わされてなるとともに、円形圧縮された後、熱処理が施されており、 銅系素線は、表面にNi系めっき層を有しており、 該Ni系めっき層は、円形圧・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
絶縁電線は、少なくとも複数本の銅系素線が撚り合わされてなるとともに、円形圧縮された後、熱処理が施されてなる撚り線導体を有している。そして、撚り線導体において、銅系素線は、表面にNi系めっき層を有しており、Ni系めっき層は、円形圧縮によって圧縮されている。Ni系めっきは、Snめっきに比べ、融点が高い。また、Ni系めっきの融点は、銅系素線を構成する銅材の軟化温度や、撚り線導体の外周に絶縁体を被覆する際の被覆温度よりも高い。そのため、絶縁電線は、銅材の軟化のために施される熱処理時の熱や、撚り線導体の外周に絶縁体を被覆する際の熱によって、Ni系めっき層が溶融し難く、Ni系めっき層の剥離も生じ難い。それ故、絶縁電線は、高温のATフルードまたはCVTフルードからなる油による銅系素線の腐食によって撚り線導体の導体断面積が減少し難く、耐衝撃性の低下を抑制することができる。 また、絶縁電線は、エチレン−四フッ化エチレン系共重合体の架橋体より構成される絶縁体を有している。エチレン−四フッ化エチレン系共重合体の架橋体は、強度が高いため、耐摩耗性が良好である。そのため、絶縁電線は、絶縁体の耐摩耗性が良好である。 また、エチレン−四フッ化エチレン系共重合体の架橋体は、高温の油に曝された場合でも劣化し難い。そのため、絶縁電線は、折り曲げられた状態で高温の油に曝された後に一旦折り曲げが解かれ、さらに折り曲げられた場合でも、絶縁体が割れ難い。 よって、本発明によれば、高温のATフルードまたはCVTフルードからなる油による銅系素線の腐食によって耐衝撃性が低下するのを抑制することができ、絶縁体の耐摩耗性が良好であり、折り曲げられた状態で高温の油に曝された後に一旦折り曲げが解かれ、さらに折り曲げられた場合でも、絶縁体が割れ難い絶縁電線を提供することができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】実施例1の絶縁電線の断面図である。

【図2】実験例でなされた、絶縁電線の耐衝撃性評価の方法を模式的に示した説明図である。

【図3】実験例でなされた、絶縁体の耐割れ性評価の方法を模式的に示した説明図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1 絶縁電線   2 撚り線導体   21 銅系素線   3 絶縁体

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