特開2018-203153IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

車両用プロペラシャフトに関し、特に、車両の安全性の向上と十分な回転トルク容量の確保とを両立させる技術に関するものである。

要約特許出願時に添付された[要約書]

【課題】車両の走行方向への衝突時に生じる衝撃を緩和するために、プロペラシャフトの塑性変形が開始される圧縮荷重を低減するとともに、駆動力を伝達するための回転トルク容量を維持することができる車両用プロペラシャフトを提供する。
【解決手段】大径管部70と小径管部66と、それらの間にプロペラシャフト22の中心線C1に対して所定のテーパ角度aで形成された第1テーパ状管部68を持つプロペラシャフト22において、圧縮荷重Fcによって塑性変形が開始される部位と回転トルクTrによって塑性変形が開始される部位を異なった場所とする。これによって衝突時における軸方向荷重を低減することができ、また、許容される回転トルクTrが大きいプロペラシャフトが可能となる。
【選択図】図5

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

車両用プロペラシャフトの予定破断箇所に切欠きを形成することで、車両の前進方向および後進方向の衝突時における予定破断箇所の座屈が開始する軸方向荷重を減少し、これによって車両の衝突時における軸方向荷重が低減される。しかしながら、切欠を形成することによって車両の衝突時における軸方向荷重をより低減しようとした場合、駆動力源から車両用プロペラシャフトを介して後部車輪に伝達される回転トルクの許容値、すなわち回転トルク容量についても切欠きにおいて低下する虞があり、車両の衝突時における予定破断箇所の座屈が開始する軸方向荷重を減少することによる安全性の向上と車両の駆動時における充分な回転トルク容量の確保とを両立することが難しかった。 本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両の衝突時における予定破断箇所の破断の開始すなわち座屈が開始する軸方向荷重を減少することによる安全性の向上と車両の駆動時における充分な回転トルク容量の確保とを両立することが可能となる車両用プロペラシャフトを提供することにある。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

第1発明の要旨とするところは、段付管状部材を含み、駆動力源から出力された回転力を駆動輪へ伝達する車両用プロペラシャフトであって、前記車両用プロペラシャフトの軸方向の圧縮荷重に対する圧縮荷重最弱部位と、前記車両用プロペラシャフトの軸まわりのねじり荷重に対するねじり荷重最弱部位とが、前記段付管状部材の径方向に分離されていることを特徴とする。
【発明の効果】
第1発明によれば、段付管状部材を含み、駆動力源から出力された回転力を駆動輪へ伝達する車両用プロペラシャフトであって、前記車両用プロペラシャフトの軸方向の圧縮荷重に対する圧縮荷重最弱部位と、前記車両用プロペラシャフトの軸まわりのねじり荷重に対するねじり荷重最弱部位とが、前記段付管状部材の径方向に分離されている。これによって、車両の衝突時における予め定められた箇所の塑性変形および座屈が開始する軸方向荷重の低減、すなわち安全性の向上と車両の駆動時における回転トルク容量の確保との両立が可能となる。 第2発明によれば、前記段付管状部材は、所定の外径を有する小径管部と前記小径管部の外径よりも大きい外径を有する大径管部と前記小径管部および前記大径管部を接続する第1テーパ状管部とを有するものであり、前記圧縮荷重最弱部位は、前記第1テーパ状管部の前記大径管部側に設けられ、前記ねじり荷重最弱部位は、前記第1テーパ状管部の前記小径管部側に設けられている。これによって、車両の衝突時における予め定められた箇所の塑性変形および座屈が開始する軸方向荷重を減少することによる安全性の向上が可能となるとともに、車両の駆動時に必要とされる回転トルク容量の充分な確保が可能となる。 第3発明によれば、前記圧縮荷重最弱部位は、前記第1テーパ状管部の前記大径管部側の外周面に設けられた溝状の周方向切欠きにより構成されている。これによって、車両の衝突時における予め定められた箇所の塑性変形および座屈が開始する軸方向荷重の低減が容易に達成され、安全性をさらに高めることができる。 第4発明によれば、前記プロペラシャフトの中心線を含む平面において、前記第1テーパ状管部の直線をなす部分もしくは前記第1テーパ状管部の曲線部における変曲点の接線と前記プロペラシャフトの中心線とのなす角である第1テーパ角をaとし、前記小径管部の外径をφS、前記大径管部の外径をφLとしたときに次式で定まる縮管率をbとし、b=1−(φS/φL)、前記第1テーパ状管部の前記接線と前記小径管部の外周面を示す直線の延長線との交点を基点とし、前記第1テーパ状管部の前記接線と前記大径管部の外周面を示す直線の延長線との交点を第1交点とし、前記基点と前記第1交点との間の中点を第1中点とし、前記基点から前記第1中点までの長さだけ前記基点から前記小管部外周面に向かって離間した点を第1接点とし、前記第1中点と前記第1接点とに外接する円弧の曲率半径を外接半径Rcとし、前記大径管部の外周面を示す直線と前記第1テーパ状管部の外周面を示す曲線とに外接する境界部円弧の曲率半径を境界部半径Rとしたときに次式で定まる縮管部R率をcとし、c=R/Rc、前記第1テーパ状管部の前記大径管部側に形成された前記周方向切欠きにおける板厚をxとし、前記周方向切欠き以外の前記段付管状部材の板厚をtとしたときに次式で定まる切欠率をdとした場合、d=x/t、次式(1)および(2)を満足する。これによって、車両の衝突時における予め定められた箇所の塑性変形および座屈が開始する軸方向荷重の低減、すなわち安全性の向上と車両の駆動時における回転トルク容量の確保との両立が可能となる。 第5発明によれば、前記段付管状部材は、前記大径管部側に、前記小径管部の外径より大きく前記大径管部の外径より小さい外径を有する中径管部と、前記大径管部と前記中径管部とを接続する第2テーパ状管部と、をさらに有し、前記第1テーパ状管部の直線をなす部分もしくは前記第1テーパ状管部の曲線部における変曲点の接線と前記プロペラシャフトの中心線とのなす角を第1テーパ角とし、前記第2テーパ状管部の直線をなす部分もしくは前記第1テーパ状管部の曲線部における変曲点の接線と前記プロペラシャフトの中心線とのなす角を第1テーパ角とし、前記第2テーパ状管部の直線をなす部分もしくは前記第2テーパ状管部の曲線部における変曲点の接線と前記車両用プロペラシャフトの中心線とのなす角を第2テーパ角としたとき、前記第2テーパ角が前記第1テーパ角より小さく設定されている。これによって、前記大径管部をプロペラシャフト後部に直接接続する場合と比較して、前記大径管部の外径をプロペラシャフトの他の部分の外径より大きくすることが容易となり、前記大径管部の外径を大きくすることによって、予め定められた箇所の塑性変形および座屈が開始する軸方向荷重を減少することが可能となり、安全性をさらに高めることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であると共に、車両におけるプロペラシャフトの概略位置を説明する図である。

【図2】図1の車両に設けられたプロペラシャフトの一例を説明する図である。

【図3】図2のプロペラシャフトに用いられる管状部材の周方向の切欠きを含む外形の一部を一例として示した図である。

【図4】図3のプロペラシャフトの第1テーパ状管部の曲率半径を最大とした場合の断面を拡大して一例として示した図である。

【図5】図3のプロペラシャフトの周方向の切欠きを含む第1テーパ状管部の断面を拡大して一例として示した図である。

【図6】図5の大径管部、第1テーパ状管部、および小径管部の寸法が変化した場合の、応力分布の変化を示した表である。

【図7】図2のプロペラシャフトに用いられる管状部材の他の一例を示した図である。

選択図 図5出願人が指定した本件の代表的な図

12:エンジン(駆動力源)   22:プロペラシャフト   28:駆動輪   34:プロペラシャフト中間部(段付管状部材)   66:小径管部   68:第1テーパ状管部   70:大径管部   72:中径管部   74:切欠部(周方向切欠き)   76:第2テーパ状管部   C1:中心線   R:境界部半径   Rc:外接半径   Fc:圧縮荷重   Tr:回転トルク(ねじり荷重)   Wc:圧縮荷重最弱部位   Wr:ねじり荷重最弱部位   a:第1テーパ角   as:第2テーパ角   b:縮管率   c:縮管部R率   d:切欠率   a1:基点   α:第1中点、変曲点   β:第1接点   ta:接線   x:切欠部板厚   t:段付管状部材板厚

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