技術分野
本明細書において報告するのは、抗炎症性抗体で処置された患者からの血清サンプル中の抗薬物抗体を検出するための干渉抑制イムノアッセイ及びその使用である。
発明の背景
新規治療用抗体の臨床開発では、適当なアッセイによる、それらの潜在的な免疫原性の評価が要求される(Kaliyaperumal, A. and Jing, S., Curr. Pharm. Biotechnol. 10 (2009) 352-358)。抗薬物抗体(ADA)テストは、通常、2段階のアプローチを含む:(1)ADA検出のためのアッセイ及び(2)ADA特徴付けのためのアッセイ。ADA検出アッセイは、スクリーニング及び特異性の確認(確証的)アッセイを含む。マイクロタイタープレートベースの酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、それらのハイスループット効率、相対的な単純さ、及び高い感度のため、依然として、ADAについてスクリーニングするために最も広く使用されているフォーマットである(Geng, D., et al., J. Pharm. Biomed. Anal. 39 (2005) 364-375)。ADA ELISAは、最もしばしば、高い選択性、全てのアイソタイプの検出、及び汎種ADA検出能力を提供する架橋フォーマットにおいて設計されている(Mire-Sluis, A.R., et al., J. Immunol. Methods 289 (2004) 1-16)。
架橋ELISAが開発され、抗IL6R抗体トシリズマブについてのスクリーニング及び確認ADAアッセイとして使用されてきた(Stubenrauch, K., et al., Clin. Ther. 32 (2010) 1597-1609)。
Stubenrauch, K.らは、ヒト抗体に曝露されたマウスからの血清サンプル中での薬物耐性を用いたジェネリック抗薬物抗体アッセイを報告している(Anal. Biochem. 430 (2012) 193-199)。Bourdage, J. S.らは、抗原コーティング濃度依存性に対する二重抗原架橋イムノアッセイフォーマットの効果及びモノクローナル抗体のための免疫原性アッセイを設計するための意義を報告している(J. Pharm. Biochem. Anal. 39 (2005) 685-690)。Mikulskis, A.らは、薬物開発のサポートにおける頑強な、薬物耐性の免疫原性アッセイの開発のための選択肢のプラットフォームとして溶液ELISAを報告している(J. Immunol. Meth. 365 (2010) 38-49)。Pan, J.らは、2つのバイオ治療薬の免疫原性テストにおいて、NIDSA(登録商標)迅速アッセイとELISA方法との比較を報告している(J. Pharm. Tox. Meth. 63 (2010) 150-159)。
WO 2009/077127において、識別アッセイが報告されている。
Qiu, Z. J.らは、自己免疫血清中のヒト抗治療用抗体の検出のための新規の均一ビオチン−ジゴキシゲニンベースのアッセイを報告している(J. Immunol. Meth. 362 (2010) 101-111)。
発明の概要
本明細書において報告するのは、治療用抗体を用いて処置された患者のサンプルを含む血清中での抗薬物抗体(ADA)の検出のためのスクリーニング、確認、及び追跡調査アッセイとして使用することができる架橋酵素結合免疫吸着アッセイ(架橋ELISA)である。本明細書において報告するアッセイは、サンプルを含む血清が、自己免疫疾患(例えば関節リウマチ(RA)など)を伴う患者からである場合に特に有用である。
本明細書において報告するアッセイは、分析されるサンプル中の治療用抗体の量に関して、改善された耐性(ADA ELISAでの増加した薬物耐性)を示し、及び、同時に、偽陽性のアッセイ結果の数が低下する。
本明細書において報告するアッセイを用いて、遊離薬物による、及びリウマチ因子(RF)による干渉を最小限にすることができることが見出されている。
このアッセイは、サンプルが、抗薬物抗体の検出のためのイムノアッセイにおいて干渉することができ、このように、偽陽性のイムノアッセイ結果を説明しうる、問題の抗薬物抗体以外の抗体を含む場合に特に有用である。
一実施形態において、本明細書において報告する方法は、抗炎症治療のために使用される薬物抗体の抗薬物抗体の決定のために使用される。
増加した薬物耐性は、以下の相乗的な相互作用により達成された:1)ビオチン化及びジゴキシゲニン化捕捉及びトレーサー試薬の濃度を増加させること;2)血清サンプルと捕捉試薬及びトレーサー試薬との同時(連続の代わりの)インキュベーション;3)長期インキュベーション時間;4)均一にモノ共役された捕捉試薬及びトレーサー試薬の使用;並びに5)増加した血清マトリックス含量の使用。
リウマチ因子からの干渉は、添加剤としてのオリゴマーヒト免疫グロブリンG(IgG)の添加により抑制することができる。
本明細書において報告する干渉抑制ADAアッセイの薬物耐性は、当技術分野において公知のアッセイよりも少なくとも10倍高い。
本明細書において報告する一態様は、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むサンプル中の薬物抗体に対する抗薬物抗体の検出のための酵素結合免疫吸着アッセイであり、ここで、
a)捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、0.5μg/mlを上回る濃度で用いられ、
b)サンプルは、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体と4〜24時間にわたり同時にインキュベートされ、
c)捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、単一のリジン残基を介して誘導体化され、
d)サンプルは、7.5%血清又はそれ以上を含み、並びに
e)オリゴマーヒトIgGを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体とのインキュベーションの前にサンプルに加える。
本明細書において報告する一態様は、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含む、関節リウマチ患者のサンプル中の薬物抗体に対する抗薬物抗体の検出のための酵素結合免疫吸着アッセイであって、ここで、
a)捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、酵素結合免疫吸着アッセイにおいて0.5μg/ml又はそれ以上の濃度を有し、
b)サンプルを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体と0.5〜24時間にわたり同時にインキュベートし、
c)捕捉薬物抗体は、捕捉薬物抗体及び特異的結合対の第1成分の1:1コンジュゲートであり、トレーサー薬物抗体は、トレーサー薬物抗体及び検出可能な標識の1:1コンジュゲートであり、
d)サンプルは1%血清又はそれ以上を含み、並びに
e)オリゴマーヒトIgGを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体とのインキュベーションの前にサンプルに加える。
一実施形態において、サンプルは、5%血清又はそれ以上を含む。一実施形態において、サンプルは、7.5%血清又はそれ以上を含む。
一実施形態において、サンプルは、抗薬物抗体及びリウマチ因子を含む。
一実施形態において、薬物抗体は、炎症性疾患の処置のための抗体である。一実施形態において、炎症性疾患の処置のための抗体は、自己免疫疾患の処置のための抗体である。一実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ又は若年性関節炎又は変形性関節症又はキャッスルマン病である。
一実施形態において、薬物抗体は、癌の処置のための抗体である。一実施形態において、抗体は、骨髄腫又は形質細胞腫の処置のためである。
一実施形態において、薬物抗体は、IL−6受容体に対する(抗IL6R抗体)、又はIGF−1受容体(抗IGF1R抗体)、又はIL−13受容体1α(抗IL13R1α抗体)に対する、又はOX40L(抗OX40L抗体)に対する、又は腫瘍壊死因子α(抗TNFα抗体)に対する抗体である。一実施形態において、薬物抗体は、抗IL6R抗体である。一実施形態において、抗IL6R抗体は、トシリズマブである。
一実施形態において、捕捉薬物抗体は、固相にコンジュゲートされている。一実施形態において、固相への捕捉薬物抗体のコンジュゲーションは、特異的結合対を介して実施される。一実施形態において、特異的結合対(第1成分/第2成分)は、ストレプトアビジン若しくはアビジン/ビオチン、又は抗体/抗原(例えば、Hermanson, G.T., et al., Bioconjugate Techniques, Academic Press, 1996を参照のこと)、又はレクチン/多糖類、又はステロイド/ステロイド結合タンパク質、又はホルモン/ホルモン受容体、又は酵素/基質、又はIgG/プロテインA及び/若しくはGより選択される。
一実施形態において、捕捉薬物抗体は、(特異的結合対の第1成分として)ビオチンにコンジュゲートされる。この場合において、固相へのコンジュゲーションは、固定化されたアビジン又はストレプトアビジンを介して実施される。
一実施形態において、トレーサー薬物抗体は、検出可能な標識にコンジュゲートされる。一実施形態において、トレーサー薬物抗体は、特異的結合対を介して検出可能な標識にコンジュゲートされる。一実施形態において、特異的結合対(第1成分/第2成分)は、ストレプトアビジン若しくはアビジン/ビオチン、又は抗体/抗原(例えば、Hermanson, G.T., et al., Bioconjugate Techniques, Academic Press, 1996を参照のこと)、又はレクチン/多糖類、又はステロイド/ステロイド結合タンパク質、又はホルモン/ホルモン受容体、又は酵素/基質、又はIgG/プロテインA及び/若しくはGより選択される。
一実施形態において、トレーサー薬物抗体は、(検出可能な標識として)ジゴキシゲニンにコンジュゲートされる。この場合において、検出可能な標識への連結は、ジゴキシゲニンに対する抗体を介して実施される。
一実施形態において、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において約0.5μg/mlから約10μg/mlの濃度を有する。一実施形態において、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、0.5μg/ml超から10μg/ml未満の濃度を有する。一実施形態において、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、約1μg/mlから約5μg/mlの濃度を有する。一実施形態において、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、約1.4μg/mlから約1.8μg/mlの濃度を有する。一実施形態において、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、約1.45μg/mlから約1.6μg/mlの濃度を有する。好ましい一実施形態において、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、約1.5μg/mlの濃度を有する。
一実施形態において、インキュベーション時間は、少なくとも6時間である。一実施形態において、インキュベーション時間は、少なくとも12時間である。一実施形態において、インキュベーション時間は、少なくとも16時間である。
一実施形態において、インキュベーション時間は、最大24時間である。
一実施形態において、インキュベーション時間は、4時間と24時間の間である。一実施形態において、インキュベーション時間は、6時間と24時間の間である。一実施形態において、インキュベーション時間は、12時間と24時間の間である。好ましい一実施形態において、インキュベーション時間は、12時間と20時間の間である。一実施形態において、インキュベーション時間は、14時間と18時間の間である。一実施形態において、インキュベーション時間は、約16時間である。
一実施形態において、サンプルは、1%〜20%血清を含む。一実施形態において、サンプルは、約10%血清を含む。
一実施形態において、オリゴマーヒトIgGを、10μg/mlから1000μg/mlの最終濃度まで加える。一実施形態において、オリゴマーヒトIgGを、15μg/mlから500μg/mlの最終濃度まで加える。一実施形態において、オリゴマーヒトIgGを、20μg/mlから250μg/mlの最終濃度まで加える。一実施形態において、オリゴマーヒトIgGを、25μg/mlから100μg/mlの最終濃度まで加える。好ましい一実施形態において、オリゴマーヒトIgGを、約50μg/mlの最終濃度まで加える。
本明細書において報告する一態様は、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含む、関節リウマチ患者のサンプル中の薬物抗体に対する抗薬物抗体の検出のための酵素結合免疫吸着アッセイであって、ここで、
a)捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、酵素結合免疫吸着アッセイにおいて約1.5μg/mlの濃度を有し、
b)サンプルを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体と14〜16時間にわたり同時にインキュベートし、
c)捕捉薬物抗体は、捕捉薬物抗体のリジン残基を介した捕捉薬物抗体及びビオチンの1:1コンジュゲートであり、トレーサー薬物抗体は、トレーサー薬物抗体のリジン残基を介したトレーサー薬物抗体及びジゴキシゲニンの1:1コンジュゲートであり、
d)サンプルは1%〜20%血清を含み、並びに
e)オリゴマーヒトIgGを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体とのインキュベーションの前に、25μg/ml〜100μg/mlの最終濃度までサンプルに加える。
本明細書において報告する一態様は、抗薬物抗体ELISAにおけるリウマチ因子の捕捉のためのオリゴマーヒトIgGの使用である。
本明細書において報告する一態様は、治療的抗体(薬物)の有効量を個体に投与し、本明細書において報告するアッセイを用いて抗薬物抗体の存在を決定することを含む、疾患を有する個体を処置する方法である。
本明細書において報告する一態様は、抗IL6R抗体(薬物)の有効量を個体に投与し、本明細書において報告するアッセイを用いて抗抗IL6R抗体抗体(抗薬物抗体)の存在を決定することを含む、炎症性疾患を有する個体を処置する方法である。
一実施形態において、炎症性疾患は、自己免疫疾患である。一実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節炎、変形性関節症、又はキャッスルマン病より選択される。
一実施形態において、炎症性疾患は、メサンギウム増殖性糸球体腎炎である。
本明細書において報告する一態様は、抗IL6R抗体(薬物)の有効量を個体に投与し、本明細書において報告するアッセイを用いて抗抗IL6R抗体抗体(抗薬物抗体)の存在を決定することを含む、形質細胞腫を有する個体を処置する方法である。
本明細書において報告する一態様は、抗IL6R抗体(薬物)の有効量を個体に投与し、本明細書において報告するアッセイを用いて抗抗IL6R抗体抗体(抗薬物抗体)の存在を決定することを含む、骨髄腫を有する個体を処置する方法である。
本明細書において報告する一態様は、IL6R活性を阻害するための抗IL6R抗体の有効量を個体に投与し、本明細書において報告するアッセイを用いて抗抗IL6R抗体抗体(抗薬物抗体)の存在を決定することを含む、個体においてIL6R活性を阻害する方法である。
要約特許出願時に添付された[要約書]
【課題】捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むサンプル中の薬物抗体に対する抗薬物抗体の検出方法を提供する。
【解決手段】酵素結合免疫吸着アッセイであって、ここでは、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体は、0.5μg/ml又はそれ以上の濃度で用いられ、サンプルを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体と1〜24時間にわたり同時にインキュベートし、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を、単一のリジン残基を介して誘導体化し、サンプルは10%血清を含み、オリゴマーヒトIgGを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体とのインキュベーションの前にサンプルに加える工程を含む。
【選択図】なし
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】抗IL6R抗体トシリズマブについて例示した薬物耐性の抗薬物抗体アッセイのアッセイ原理。
【図2】抗IL6R抗体トシリズマブについての干渉抑制された抗薬物抗体アッセイのアッセイ原理。
【図3】抗IL6R抗体トシリズマブについての干渉抑制された抗薬物抗体アッセイについて得られた検量曲線。
【図4】抗IL6R抗体トシリズマブについて本明細書において報告する2ステップ抗薬物抗体ELISAにおける、及び干渉抑制された抗薬物抗体ELISAにおける薬物耐性の比較;増加量の薬物の存在における300ng/mL抗薬物抗体のシグナル;点線:CPの従来のアッセイ;実線:本明細書において報告するCP干渉抑制アッセイ;円を伴う点線:従来のアッセイ;四角を伴う実線:本明細書において報告する干渉抑制アッセイ。
【図5】干渉抑制された抗薬物抗体ELISAを用いたカットポイント決定。
【図6】TCZ−Bi(モノ)及びTCZ−Dig(モノ)を伴う干渉抑制された抗薬物抗体ELISAを用いたカットポイント決定。
【図7】TCZ処置されたRA患者からの77の異なる血清サンプルにおける、従来のELISAを使用したシグナル変動。
【図8】TCZ処置されたRA患者からの77の異なる血清サンプルにおける、本明細書において報告する干渉抑制ELISAを使用したシグナル変動。
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