特開2021-169864IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

この発明は、転がり軸受及びシール部材を備えるシール付軸受

要約特許出願時に添付された[要約書]

【課題】軸受の高速運転に対応可能としながら、所定粒径の異物侵入を防ぎつつ、シール付軸受の低トルク化や高速化を図る。
【解決手段】シール部材150のシールリップ151に多数の突起152を形成する。これら突起152に対して周方向に摺動するシール摺動面112と、シールリップ151との間に、軸受内部空間160及び外部間に亘って連通し、かつ所定粒径の異物にとって通過不可な油通路170が生じる。突起152は周方向に0.3〜2.6mmの間隔で並ぶ。突起152とシール摺動面112間にくさび効果が生じる。軸受回転に伴い、油通路170内の潤滑油がシールリップ151及びシール摺動面112間での油膜形成が促進されて、シールリップ151とシール摺動面112との間が流体潤滑状態となる。
【選択図】図1

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、特許文献1のようなショットピーニングによる低トルク化は、シールリップとシール摺動面間のすべり面積を低減させることでもたらされているが、その低減に限界があるので、達成し得る低トルク化が限られていた。 また、軸受運転の初期は、潤滑油の温度が比較的低いため、潤滑油の粘度が比較的高く、油膜を形成し易い潤滑条件にあるが、運転継続で油温が上昇して粘度が低下すると、油膜が切れ易い潤滑条件となる。軸受を高速運転する程、シールリップに対するシール摺動面の相対的な周速が大となり、シールリップ及びシール摺動面間の摩擦に伴う発熱が大となるので、油温上昇やシールリップの摩耗が進み易くなる。このため、シール付軸受の高速運転や許容回転速度には、潤滑条件から限界がある。電気自動車(EV)では、駆動系の回転部を支持するシール付軸受の高速運転の要求が強いが、ショットピーニングによる低トルク化では要求に応えきれない。 非接触シール部材とすれば、シールトルクを無くすことは可能だが、シール部材及び軸受部品間の隙間の大きさについて所定粒径の異物侵入を防止できるような各種誤差の管理が難しくなる。 上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、所定粒径の異物侵入を防ぎつつ、軸受の高速運転に対応可能としながら、シール付軸受の低トルク化を図ることである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

の課題を達成するため、この発明は、軸受内部空間及び外部間を区切るシール部材と、前記シール部材に設けられたシールリップと、前記シールリップに対して周方向に摺動するシール摺動面と、前記シールリップに形成され、前記軸受内部空間及び外部間に亘って連通する油通路を前記シール摺動面及び当該シールリップ間に生じさせる複数の突起と、を備え、前記突起と前記シール摺動面間の隙間は、油通路側で大、突起側で小の・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
構成によれば、シール摺動面及びシールリップ間において突起による油通路が生じ、油通路内の潤滑油が軸受回転に伴ってシール摺動面及びシールリップ間にくさび効果で引きずり込まれ、この間での油膜形成を促進する。このため、シールリップとシール摺動面間の摩擦係数が低下し、シールトルクが低減する。さらに、軸受内部空間及び外部間の通油性が油通路によって向上するため、転がり軸受の温度上昇が抑制され、ひいては、吸着作用も防止される。
周方向に隣り合う突起間の間隔が小さい程、つまり突起の数が多い程、シールリップに対してシール摺動面が相対的に周方向に回転したとき、1回転当りの突起の通過回数が多くなる。突起が周方向に2.6mm以下の間隔で並んでいると、シール摺動面の周方向全周に亘って油膜が連続する状態に保たれ、各突起との間のくさび効果が途絶えることなく生じ、シールリップとシール摺動面とが油膜によって完全に分離されて直接接触しない状態(すなわち流体潤滑状態)で軸受運転を行うことが可能となる。流体潤滑状態では、シールトルクを実質的に零に近づけ、シールリップが実質的に摩耗せず、シールリップ及びシール摺動面間の摺動による発熱を抑えることができる。したがって、シールリップに対するシール摺動面の相対的な周速として許容し得る速度も高くなり、従来では達成できなかったシール付軸受の高速運転の要求にも応えることが可能となる。
突起の間隔は、0.3mm未満に設定すると、シールリップを成形する金型の製造が困難になるので、0.3mm以上にするとよい。
また、油通路を通過可能な異物の粒径は、突起の突出高さに基づいて定めることができる。従い、侵入を防止すべき粒径を任意に定め、その所定粒径の異物が油通路から侵入しないようにすることが可能である。
このように、この発明は、構成の採用により、所定粒径の異物侵入を防ぎつつ、軸受の高速運転に対応可能としながら、シール付軸受の低トルク化を図ることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】この発明の第1の実施例に係るシール付軸受を示す断面図

【図2】図1の図中右側のシール部材のシールリップ付近の拡大図

【図3】図2のIII−III線の拡大断面図

【図4】第1の実施例に係るシールリップを軸方向から示す部分正面図

【図5】車両のトランスミッション(AT/MT)内の潤滑油に含まれた異物の粒径分布と数を示す図

【図6】図5の粒径分布の割合を示す円グラフ

【図7】車両のトランスミッション(CVT)内の潤滑油に含まれた異物の粒径分布と数を示す図

【図8】図7の粒径分布の割合を示す円グラフ

【図9】突起のR寸法ごとに軸受のトルクを測定した試験結果を示すグラフ

【図10】第1の実施例での流体潤滑モードを示す潤滑領域図

【図11】第1の実施例での突起間の間隔と理論油膜厚さと軸受回転トルクの関係を示す図

【図12】第1の実施例での突起のR寸法と理論油膜厚さとの関係を示す図

【図13】この発明の第2の実施例に係るシールリップを示す部分斜視図

【図14】(a)は図13のシールリップの加硫成形の様子を示す模式図、(b)は前記(a)で成形されたシールリップの模式図

【図15】(a)は仮想モデルのシールリップの加硫成形の様子を示す模式図、(b)は前記(a)で成形されたシールリップの模式図

【図16】この発明の第3の実施例に係るシール付軸受を示す断面図

【図17】図15の図中右側のシール部材のシールリップ付近の拡大図

【図18】この発明の第4の実施例に係るシール付軸受を示す断面図

【図19】この発明の第5の実施例に係るシール付軸受を示す断面図

【図20】第5の実施例での突起間の間隔と理論油膜厚さとの関係を示す図

【図21】この発明に係るシール付軸受を備えるトランスミッションの一例を示す断面図

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

100、300、400、500、B シール付軸受   110、310、410、510 内輪   111、121、314、411、421 軌道溝   112、312、313、414、415、514、515 シール摺動面   120、320、420、520 外輪   122、311、321、322 シール溝   140 転動体   150、330、340、440、450、540、550 シール部材   151、202、331、341、441、451、541、551 シールリップ   152、201、334、344、442、452、542、552 突起   153、203 先端   154、204 表面   155、206、333、343 芯金   156 加硫ゴム材   160 軸受内部空間   170 油通路   205 面   315、316、412、413 肩部   332、342 外側リップ   350 ラビリンスすきま   430 玉   511、521 軌道面   512 大つば   513 小つば   530 円すいころ   S1 入力軸(回転部)   S2 出力軸(回転部)

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