特許5683559IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

建造物の壁面の外側にコンクリートを増し打ちして新たな壁を作るために使用される型枠

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

セパレータを設置する手順の一例は、以下のとおりである。建造物の壁に複数個のアンカーホールを穿孔するとともに、アンカーホールの位置に対応する型枠のベニヤ板に複数の貫通孔を穿孔する。次に、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置するとともに、樹脂アンカーや機械式アンカーにセパレータの一方の締め付け金物を接続し、ベニヤ板の貫通孔から露出するセパレータの他方の締め付け金物に円筒管を噛ませた状態でクランプを螺着する。型枠を組み立てる場合、配筋する鉄筋に衝突しないように鉄筋の位置を考慮しつつ、壁の単位面積当たりに相当数のセパレータを設置しなければならないのみならず、建造物の壁にアンカーホールを穿孔する場合、壁に埋設された鉄筋を避けなければならず、さらに、アンカーホールを穿孔する穿孔位置を決めた後、その穿孔位置に対応するベニヤ板の任意の位置にアンカーホールに対応する複数の貫通孔を穿孔しなければならない。壁に対するアンカーホールの穿孔位置やベニヤ板に対する貫通孔の穿孔位置を正確に位置決め(墨出し)して、壁とベニヤ板との並行状態を確実に保持するには型枠大工の長年の経験に頼らざるを得ないのが現状である。なお、型枠大工が型枠工事をする場合においても、設計どおりの型枠を組み立てるまでに相当の熟練と時間とを要するとともに、多くの手間を必要としている。 本発明の目的は、型枠大工の経験に頼ることなく、短時間に効率よく組み立てることができ、手間を要さずに廉価に組み立てることができるとともに、打設されるコンクリートの側圧に十分に耐えることができる型枠を提供することにある。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

前記課題を解決するための本発明の前提は、建造物の壁面に組み立てられ、壁面の外側にコンクリートを増し打ちして新たな壁を作るために使用される型枠である。
【発明の効果】
本発明にかかる型枠によれば、型枠パネルの前後方向前方に固定されて上下方向へ延びるとともに横方向へ所定寸法離間して並ぶ複数個のトラス構造物を有し、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆をそれらトラス構造物が押さえるから、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形を防ぐことができる。さらに、トラス構造物の前後方向前方に位置しつつそれらトラス構造物に固定されて横方向へ延びるとともに上下方向へ所定寸法離間して並ぶ複数本の横架設材を有し、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるそれらトラス構造物の前後方向前方への膨隆をそれら横架設材が押さえるから、空間にコンクリートを打設したときのそれらトラス構造物の変形や撓みを防ぐことができる。型枠は、それらトラス構造物とそれら横架設材とを利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。型枠は、それを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に組み立てることができる。型枠は、前後方向前方へ突出する少なくとも1つの取っ手がそれら型枠パネルの当接面に取り付けられ、それら型枠パネルの取っ手とトラス構造物とに連結紐または連結ゴムバンドが結び付けられてそれら型枠パネルの取っ手とトラス構造物とが連結紐または連結ゴムバンドによって連結され、連結紐または連結ゴムバンドによって空間へのコンクリートの打設中におけるそれらパネルの壁面の側への倒れ込みが防止されるから、空間へコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。型枠は、打設されたコンクリートを養生した後、型枠パネルを取り外すときに、取っ手を把持して型枠パネルをコンクリートから離間する方向へ引っ張ることができるから、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。 最上部に位置する型枠パネルの上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第1アングルの厚みが上端部に吸収され、最下部に位置する型枠パネルの下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第2アングルの厚みが下端部に吸収される型枠は、第1アングルの厚みが上端部に吸収されるから、第1アングルが邪魔することはなく、トラス構造物を型枠パネルの当接面に確実に当接(密着)させることができ、第2アングルの厚みが下端部に吸収されるから、第2アングルが邪魔することはなく、トラス構造物を型枠パネルの当接面に確実に当接(密着)させることができる。 少なくとも3個のトラス構造物が型枠パネルの上下方向へ延びる両側縁部の間に配置される型枠は、1枚のパネルに対して少なくとも3個のトラス構造物が設置・固定されることで、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧がパネルに作用したとしても、コンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆がそれらトラス構造物によって十分に押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形を確実に防ぐことができる。型枠は、1枚のパネルに対して少なくとも3個のトラス構造物を設置・固定することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 2個のトラス構造物が型枠パネルの上下方向へ延びる両側縁部に配置され、1個のトラス構造物が型枠パネルの横方向中央部に配置される型枠は、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧がパネル全体に満遍なく作用するが、1枚のパネルの一方の側縁部に1本のトラス構造物が配置され、1枚のパネルの他方の側縁部に1本のトラス構造物が配置されるとともに、1枚のパネルの横方向中央部に1本のトラス構造物が配置されるから、コンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆がそれらトラス構造物によって十分に押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形を確実に防ぐことができる。型枠は、1枚のパネルの両側縁部と中央部とにトラス構造物を設置・固定することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 トラス構造物が上下方向へ直状に延びる第1および第2垂直材とそれら垂直材の間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材とから形成され、連結紐または連結ゴムバンドがトラス構造物の第2垂直材および取っ手に結び付けられている型枠は、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆をパネルに対向するトラス構造物のトラス材が押さえるから、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形を確実に防ぐことができる。型枠は、トラス構造物を利用することで、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができるから、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。型枠は、それら型枠パネルの取っ手とトラス構造物の第2垂直材とに連結紐または連結ゴムバンドが結び付けられてそれら型枠パネルの取っ手とトラス構造物とが連結紐または連結ゴムバンドによって連結され、連結紐または連結ゴムバンドによって空間へのコンクリートの打設中におけるそれらパネルの壁面の側への倒れ込みが防止されるから、空間へコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。 トラス構造物がその高さ寸法を調節可能な寸法調節材を含み、寸法調節材が建造物の側に位置して建造物に固定される固定端部と第1垂直材の側に位置して第1垂直材に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部とを有し、第1垂直材が開口部を介して寸法調節材に着脱可能に連結される型枠は、寸法調節材によってトラス構造物の上下方向の寸法を調節することができるから、トラス構造物の上下方向の寸法を建造物の壁面の高さ寸法に一致させることができ、トラス構造物を建造物に確実に固定することができる。型枠は、寸法調節材によって高さ寸法が調節されたそれらトラス構造物を利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆をそれらトラス構造物が押さえるから、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形を防ぐことができる。 壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設する供給口がそれらパネルの少なくとも1つに作られ、空間にコンクリートを打設するときに、空間へのコンクリートの打設状態を確認可能な確認窓がそれらパネルの少なくとも1つに作られた型枠は、建造物の壁面の高さ寸法が大きい場合であっても、複数枚に分割された型枠パネルを上下方向へ並べることで、パネルを壁面の高さ寸法全体に設置することができる。型枠は、構築する新たな壁の横寸法が大きい場合であっても、複数枚に分割された型枠パネルを横方向へ並べることで、新たな壁の横寸法に対応することができる。型枠は、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるとともに、パネルによって壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを滞留させることができるから、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。型枠は、パネルに作られた供給口を利用することで、コンクリートを空間に容易に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを容易に増し打ちすることができる。型枠は、空間へのコンクリートの打設状態を確認窓から確認することができるから、空間全域にコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。 それら型枠パネルが壁面に対向する所定面積の対向面およびトラス構造物に当接する所定面積の当接面と上下面および両側面とを有する6面体であり、パネルのコンクリートに対する摩擦抵抗を低下させるとともにパネル全体の強度を増加させる合成樹脂がパネルの6面に塗布された型枠は、合成樹脂を塗布することによってパネルの6面を平滑にすることができ、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠を取り外すときに、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。型枠は、型枠パネルの6面の平滑度が合成樹脂によって維持されるから、使用済みのパネルを繰り返して使用することができ、型枠にかかるコストを押さえることができる。型枠は、型枠パネルの強度が合成樹脂によって増加し、使用中におけるパネルの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネルによって壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを十分に滞留させることができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。 合成樹脂がイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂であり、硬化したポリウレア樹脂による所定厚みの平滑な被膜層がそれらパネルの6面に形成されている型枠は、硬化したポリウレア樹脂によってパネルの6面に所定厚みの平滑な被膜層が形成され、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠を取り外すときに、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。型枠は、型枠パネルの6面の平滑度がポリウレア樹脂の被膜層によって維持されるから、使用済みのパネルを繰り返して使用することができ、型枠にかかるコストを押さえることができる。型枠は、型枠パネルの強度がポリウレア樹脂の被膜層によって増加し、使用中におけるパネルの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネルによって壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを十分に滞留させることができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。 上下方向へ並ぶそれら型枠パネル各々の前方に少なくとも1本の横架設材が位置するように、それら横架設材がそれらトラス構造物に固定されている型枠は、空間に打設したコンクリートの側圧がそれらパネルに作用してパネルが前後方向前方へ膨隆し、それによってトラス構造物が前後方向前方へ変形または横方向へ撓もうとしても、1枚のパネルに少なくとも1本の横架設材が配置されるから、コンクリートの側圧によるそれらトラス構造物の前後方向前方への膨隆がそれら横架設材によって押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのそれらトラス構造物の変形や撓みを確実に防ぐことができる。 建造物が既設のそれであり、既設の建造物の壁面に作られる鉄筋コンクリート製の耐震補強壁の構築に利用される型枠は、型枠を使用して既設の建造物の壁に構造計算された設計どおりの新たな鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を新設することができる。型枠は、鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を短時間に効率よく作ることができ、耐震補強壁を手間を要さずに廉価に作ることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】組み立てられた型枠の一例を示す正面図。

【図2】組み立てられた図1の型枠の側面図。

【図3】一例として示す型枠パネル16a〜16cの斜視図。

【図4】図3の4−4線端面図。

【図5】耐震補強壁の施工手順の一例を示す図。

【図6】図5の側面図。

【図7】図5から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図8】図7の側面図。

【図9】図7から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図10】図9の側面図。

【図11】図9から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図12】図11から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図13】図12の側面図。

【図14】コンクリートの打設状態を示す図13と同様の側面図。

【図15】組み立てられた型枠の他の一例を示す正面図。

【図16】組み立てられた図15の型枠の側面図。

【図17】耐震補強壁の施工手順の他の一例を示す図。

【図18】図17から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図19】コンクリートの打設状態を示す側面図。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

10A 型枠   10B 型枠   11 建物(建造物)   12 壁面   13 コンクリート   14 空間   15 柱   16a〜16c 型枠パネル   17 トラス構造物(縦架設材)   18a〜18c 横架設材   19 第1対向面   20 第2対向面   21 上面   22 下面   23 側面   24 側面   25 ポリウレア樹脂   26 スラブ底面または梁底面   27 床面   28 取っ手   29 打設口   30 確認窓   31 第1垂直材   32 第2垂直材   33 トラス材   34 寸法調節材   35 固定端部   36 開口部   37 上端部   38 下端部   39a 第1アングル   39b 第2アングル   40a,40b アンカーボルト   41a,41b アジャスターボルト   42 連結紐(連結部材)   43 固定金具   44 上端部   45 下端部

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