技術分野
建造物の壁面の外側に組み立てられる型枠を利用し、壁面と型枠との間の空間にコンクリートを打設して新たな補強壁を構築する補強壁施工方法
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
セパレータを設置する手順の一例は、以下のとおりである。建造物の壁に複数個のアンカーホールを穿孔するとともに、アンカーホールの位置に対応する型枠のベニヤ板に複数の貫通孔を穿孔する。次に、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置するとともに、樹脂アンカーや機械式アンカーにセパレータの一方の締め付け金物を接続し、ベニヤ板の貫通孔から露出するセパレータの他方の締め付け金物に円筒管を噛ませた状態でクランプを螺着する。型枠を組み立てる場合、配筋する鉄筋に衝突しないように鉄筋の位置を考慮しつつ、壁の単位面積当たりに相当数のセパレータを設置しなければならないのみならず、建造物の壁にアンカーホールを穿孔する場合、壁に埋設された鉄筋を避けなければならず、さらに、アンカーホールを穿孔する穿孔位置を決めた後、その穿孔位置に対応するベニヤ板の任意の位置にアンカーホールに対応する複数の貫通孔を穿孔しなければならない。壁に対するアンカーホールの穿孔位置やベニヤ板に対する貫通孔の穿孔位置を正確に位置決め(墨出し)して、壁とベニヤ板との並行状態を確実に保持するには型枠大工の長年の経験に頼らざるを得ないのが現状である。なお、型枠大工が型枠工事をして型枠を組み立て、組み立てた型枠と壁面との間の空間にコンクリートを打設して耐震補強壁を作る場合、設計どおりの型枠を組み立てるまでに相当の時間と手間とを要するから、耐震補強壁を短い工期で効率よく構築することは困難である。
本発明の目的は、型枠大工の経験に頼ることなく、手間を要さずに短い工期で効率よく補強壁を作ることができる補強壁施工方法を提供することにある。本発明の他の目的は、打設されるコンクリートの側圧に十分に耐えることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる補強壁施工方法を提供することにある。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
前記課題を解決するための本発明の前提は、建造物の壁面の外側に組み立てられる型枠を利用し、壁面と型枠との間の空間にコンクリートを打設して新たな補強壁を作る補強壁施工方法である。
【発明の効果】
本発明にかかる補強壁施工方法によれば、複数の第1および第2縦架設材と複数の横架設材とを利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が型枠に作用したとしても、それらパネルの変形や崩落が防止され、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるとともに、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。補強壁施工方法は、型枠を組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく補強壁を作ることができるとともに、補強壁を手間を要さず廉価に作ることができる。
補強壁施工方法は、パネル設置工程において、それら型枠パネルの取っ手とそれら第1縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第1縦架設材を連結しつつ、それらパネルを上下方向と横方向とへ順に並べるから、それらパネルが第1縦架設材に支持され、パネルの倒れ込みを防ぐことができ、複数のパネルを上下方向と横方向とへ整然と並べることができる。補強壁施工方法は、縦架設材第2設置工程において、第2縦架設材を第1および第2取付箇所の間に設置した後、それら型枠パネルの取っ手とそれら第2縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第2縦架設材を連結するから、それらパネルが第1および第2縦架設材に支持され、空間へのコンクリートの打設中におけるそれらパネルの壁面の側への倒れ込みが防止され、空間へコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
位置決め工程の後に、スラブ底面または梁底面の第1取付箇所に第1
アングルを設置するとともに、床面の第2取付箇所に第2
アングルを設置する横架材設置工程を含み、縦架設材第1設置工程および縦架設材第2設置工程において、第1および第2縦架設材の上端部を第1
アングルに固定するとともに、第1および第2縦架設材の下端部を第2
アングルに固定する補強壁施工方法は、第1および第2縦架設材が第1および第2
アングルを介してスラブ底面または梁底面や床面に強固に固定されるから、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が型枠に作用したとしても、それら第1および第2縦架設材によってパネルの変形や崩落が防止され、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるとともに、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
壁面とそれら型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるそれらパネルの変形がそれら第1および第2縦架設材によって防止され、コンクリートの側圧によるそれら第1および第2縦架設材の変形や撓みがそれら横架設材によって防止される補強壁施工方法は、型枠パネルの前方に固定された複数の第1および第2縦架設材が壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆を押さえられるから、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形や崩落を防ぐことができる。また、第1および第2縦架設材の前方に固定されて横方向へ延びる複数の横架設材がそれら縦架設材の前後方向前方への膨隆を押さえるから、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧による縦架設材の前後方向前方への変形や横方向への撓みを防ぐことができる。補強壁施工方法は、第1および第2縦架設材や横架設材を利用することで、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
縦架設材第1設置工程において、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に1つの第1縦架設材を設置し、縦架設材第2設置工程において、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に少なくとも2つの第2縦架設材を設置する補強壁施工方法は、少なくとも3個の縦架設材が上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に設置されるから、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧がそれらパネルに作用したとしても、コンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆がそれら縦架設材によって十分に押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形や崩落を確実に防ぐことができる。補強壁施工方法は、それら縦架設材を利用することで、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
横架設材設置工程において、上下方向へ並ぶそれら型枠パネル各々の前方に少なくとも1つの横架設材が位置するように、それら横架設材をそれら第1および第2縦架設材に固定する補強壁施工方法は、空間に打設したコンクリートの側圧がそれらパネルや縦架設材に作用し、それによって縦架設材が前後方向前方へ変形または横方向へ撓もうとしても、1つのパネルに対して少なくとも1本の横架設材を配置するから、コンクリートの側圧によるそれら縦架設材の前後方向前方への膨隆がそれら縦架設材によって押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのそれら縦架設材の前後方向前方への変形や横方向への撓みを確実に防ぐことができる。補強壁施工方法は、それら横設材を利用することで、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
第1および第2縦架設材がトラス構造物であり、トラス構造物が上下方向へ直状に延びる第1および第2垂直材とそれら垂直材の間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材とから作られ、
連結紐または連結ゴムバンドが第2垂直材に結び付けられ、それら横架設材が第2垂直材に固定される補強壁施工方法は、壁面と型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆をパネルに当接するトラス構造物が押さえるから、コンクリートの側圧によるパネルの変形や崩落を確実に防ぐことができる。また、それら横架設材がトラス構造物の第2垂直材に固定され、それら横架設材がトラス構造物の前後方向前方への膨隆を押さえるから、コンクリートの側圧によるトラス構造物の前後方向前方への変形や横方向への撓みを防ぐことができる。補強壁施工方法は、複数のトラス構造物と複数の横架設材とを利用することで、型枠が壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができるから、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
補強壁施工方法は、それら型枠パネルの取っ手とそれら第1トラス構造物の第2垂直材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第1トラス構造物連結しつつ、それらパネルを上下方向と横方向とへ順に並べるから、それらパネルが第1トラス構造物に支持され、パネルの倒れ込みを防ぐことができ、複数のパネルを上下方向と横方向とへ整然と並べることができる。補強壁施工方法は、第2トラス構造物を第1および第2取付箇所の間に設置した後、それら型枠パネルの取っ手とそれら第2トラス構造物の第2垂直材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第2トラス構造物を連結するから、それらパネルが第1および第2トラス構造物に支持され、空間へのコンクリートの打設中におけるそれらパネルの壁面の側への倒れ込みが防止され、空間へコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
トラス構造物がその高さ寸法を調節可能な寸法調節材を含み、寸法調節材が建造物の側に位置して建造物に固定される固定端部と第1垂直材の側に位置して第1垂直材に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部とを有し、第1垂直材が開口部を介して寸法調節材に着脱可能に連結される補強壁施工方法は、寸法調節材によってトラス構造物の上下方向の寸法を調節することができるから、トラス構造物の上下方向の寸法を建造物の壁面の高さ寸法に一致させることができ、トラス構造物を建造物に確実に固定することができるとともに、寸法調節材によって高さ寸法が調節されたそれらトラス構造物を利用することで、コンクリートの側圧によるパネルの変形や崩落を防ぐことができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
それら型枠パネルが対向面および当接面と上下面および両側面とを有する6面体であり、パネルのコンクリートに対する摩擦抵抗を低下させるとともにパネル全体の強度を増加させる合成樹脂がそれらパネルの6面に塗布されている補強壁施工方法は、合成樹脂を塗布することによって型枠パネルの6面を平滑にすることができ、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠を取り外すときに、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの6面の平滑度が合成樹脂によって維持されるから、使用済みのパネルを繰り返して使用することができ、補強壁の施工にかかるコストを押さえることができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの強度が合成樹脂によって増加し、使用中におけるパネルの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネルを利用することで壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを十分に滞留させることができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
合成樹脂がイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂であり、硬化したポリウレア樹脂による所定厚みの平滑な被膜層がそれらパネルの6面に形成されている補強壁施工方法は、硬化したポリウレア樹脂によってパネルの6面に所定厚みの平滑な被膜層が形成され、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠を取り外すときに、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの6面の平滑度がポリウレア樹脂の被膜層によって維持されるから、使用済みのパネルを繰り返して使用することができ、補強壁の施工にかかるコストを押さえることができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの強度がポリウレア樹脂の被膜層によって増加し、使用中におけるパネルの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネルを利用することで壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを十分に滞留させることができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
最上部に位置する型枠パネルの上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第1アングルの厚みが上端部に吸収され、最下部に位置する型枠パネルの下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第2アングルの厚みが下端部に吸収される補強壁施工方法は、第1アングルの厚みが上端部に吸収されるから、第1アングルが邪魔することはなく、縦架設材を型枠パネルの当接面に確実に当接(密着)させることができ、第2アングルの厚みが下端部に吸収されるから、第2アングルが邪魔することはなく、縦架設材を型枠パネルの当接面に確実に当接(密着)させることができる。
壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設する供給口がそれら型枠パネルの少なくとも1つに作られ、空間にコンクリートを打設するときに、空間へのコンクリートの打設状態を確認可能な確認窓がそれら型枠パネルの少なくとも1つに作られている補強壁施工方法は、パネルに作られた供給口を利用することで、コンクリートを空間に容易に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを容易に増し打ちすることができる。補強壁施工方法は、空間へのコンクリートの打設状態をパネルの確認窓から確認することができるから、空間全域にコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
建造物が既設のそれであり、型枠が既設の建造物の壁面に作られる鉄筋コンクリート製の耐震補強壁の構築に利用される補強壁施工方法は、型枠を使用して既設の建造物の壁に構造計算された設計どおりの新たな鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を新設することができる。補強壁施工方法は、鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を短時間に効率よく作ることができ、耐震補強壁を手間を要さずに廉価に作ることができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】壁面に作られた耐震補強壁の一例を示す斜視図。
【図2】組み立てられた型枠の一例を示す正面図。
【図3】組み立てられた図2の型枠の側面図。
【図4】一例として示す型枠パネル16a〜16cの斜視図。
【図5】図4の5−5線端面図。
【図6】耐震補強壁の施工手順の一例を示す図。
【図7】図6の側面図。
【図8】図6から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。
【図9】図8の側面図。
【図10】図8から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。
【図11】図10の側面図。
【図12】図10から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。
【図13】図12から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。
【図14】図13の側面図。
【図15】コンクリートの打設状態を示す図14と同様の側面図。
【図16】組み立てられた型枠の他の一例を示す正面図。
【図17】組み立てられた図16の型枠の側面図。
【図18】耐震補強壁の施工手順の他の一例を示す図。
【図19】図18から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。
【図20】コンクリートの打設状態を示す側面図。
10A 型枠
10B 型枠
11 建物(建造物)
12 壁面
13 コンクリート
14 空間
15 柱
16a〜16c 型枠パネル
17 トラス構造物(縦架設材)
18a〜18c 横架設材
19 対向面
20 当接面
21 上面
22 下面
23 側面
24 側面
25 ポリウレア樹脂
26 スラブ底面または梁底面
27 床面
28 取っ手
29 打設口
30 確認窓
31 第1垂直材
32 第2垂直材
33 トラス材
34 寸法調節材
35 固定端部
36 開口部
37 上端部
38 下端部
39a 第1アングル
39b 第2アングル
40a,40b アンカーボルト
41a,41b アジャスターボルト
42 連結紐(連結部材)
43 固定金具
44 上端部
45 下端部
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