技術分野
ステータコアに通電することによりロータを駆動する回転電機および回転電機のステータ
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
上述した特許文献1に開示された回転電機においては、複数のコアが保持リングの内周面に圧入固定されている。したがって、保持リング上にコアを移動不能に保持するため、複数のコアが円環状に並んだコア列の外径と、保持リングの内径との間には、所定の締め代(コア列の外径−保持リングの内径)を必要としていた。
しかしながら、回転電機の各々の部材には寸法上のばらつきがあり、このばらつきによって上述した締め代も変動する。寸法上のばらつきを考慮して、最悪の場合でも上述した所定の締め代が維持されるように各部材の寸法を設定すると、締め代が多めになった場合、保持リングの内周面からコア列の外周面に加えられる面圧が増大する。各々のコアは、構成要素として多数の薄い電磁鋼板が積層されて形成されており、外周面に加えられた面圧によって座屈しやすい。
また、コア列を保持リングに固定する方法として、上述した常温による圧入以外に焼き嵌めがある。これは、保持リングを加熱して、その内径を拡張させた状態でコア列を嵌め込み、その後、保持リングを冷却して内径を収縮させることにより、保持リングにコア列を固定する方法である。
しかしながら、この方法によっても、冷却後の保持リングとコア列との間の締め代が大きい場合には、外周面に加えられた面圧によって電磁鋼板が座屈しやすい点については、圧入による場合と同様であった。
こういった、コアの構成要素の座屈を低減するための従来技術として、保持リングの円筒部に複数の貫通孔を形成するものがあった(例えば、上述した特許文献2参照)。これは、保持リングに形成された貫通孔により、保持リングが半径方向に拡張可能となり、保持リングからコアに加えられる面圧を低減することができるものである。
しかしながら、その反面、貫通孔が形成されることにより保持リングは、その強度が低下する。すなわち、保持リングの強度は、形成される貫通孔の数に応じて低下し、コアが保持リングから受ける面圧を低減することと、保持リングの強度を維持することとは相反する課題であった。
また、保持リングから受ける面圧によって発生するダメージは、コア上の各部位において一様ではなかった。すなわち、本願発明者の調査研究により、コアの回転軸方向の端面においては、印加された面圧を少数の電磁鋼板で受け止めるため、コアの軸方向の中央部位に比較して、電磁鋼板の座屈が発生しやすくなることが分かった。
さらに、保持リングの軸方向端部において、コア列の保持リング内への挿入を容易にするためのフランジ部が全周に形成されている場合、当該フランジ部がリインフォースメントの働きをして、保持リングの軸方向端部の剛性が過大となる。このため、コアの端面に位置する電磁鋼板の座屈は、いっそう著しくなる。
このように、コアの損傷を防ぐことを目的として、保持リングからの面圧を低減するためには、保持リング上の各部位の特性も考慮する必要があった。
本発明は事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持リングからの面圧によるコアの損傷を低減する回転電機および回転電機のステータを提供することにある。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
上述した課題を解決するために、請求項1に係る回転電機の発明の構成上の特徴は、ハウジングに取り付けられたステータと、ステータと半径方向に対向して設けられ、ステータに対し回転可能なロータとを備え、ステータは、円筒部を有する保持リングと、各々コイルが巻回されるとともに、円環状に並んだ状態で円筒部の内周面に面圧がかかった状態で取り付けられた複数のコアとにより形成された回転電機において、円筒部の軸方向・・・ 続きを
知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
請求項1に係る回転電機によれば、端部領域のうちの少なくとも一方には、保持リングの内外を連通する複数のスリットが形成されるとともに、中央領域には保持リングを貫く貫通孔が形成されておらず、端部領域はスリットが設けられたことにより円周方向に伸長し、半径方向に拡張可能に形成されている。
これにより、保持リングとコアとの間の締め代が大きい場合でも、円筒部の軸方向端部からコアに加わる面圧を低減でき、コア端面の座屈を防止することができる。
また、端部領域に形成されたスリットは、貫通孔ほどは保持リングの強度を低下させることはなく、円筒部の軸方向端部の強度の維持とコアに対する面圧の低減を両立させることができる。
また、中央領域に貫通孔が形成されていないため、いっそう円筒部の強度を維持することができる。
また、各々のスリットは、円周上に均等間隔に設けられるとともに、円筒部上を軸心に対する斜め方向に直線状に延びた
ニードルスリットであり、 隣接したスリットのいずれの端部同士も、同じ所定間隔を有して軸方向に重なりあっている。
これにより、端部領域の円周上において、均等間隔を有する位置に形成されたスリットの形状、数、大きさ等が同一となるため、保持リングの円周上における面圧を均等にして、コアをバランスよく安定して保持することができる。
請求項2に係る回転電機によれば、スリットはフランジ部が接続された側の端部領域に設けられたことにより、保持リングの軸方向端部のうち、フランジ部の形成により剛性が増大された側の面圧を低減することができる。
請求項3 に係る回転電機のステータによれば、端部領域のうちの少なくとも一方には、保持リングの内外を連通する複数のスリットが形成されるとともに、中央領域には保持リングを貫く貫通孔が形成されておらず、端部領域はスリットが設けられたことにより円周方向に伸長し、半径方向に拡張可能に形成されている。
これにより、保持リングとコアとの間の締め代が大きい場合でも、円筒部の軸方向端部からコアに加わる面圧を低減でき、コア端面の座屈を防止することができる。
また、端部領域に形成されたスリットは、貫通孔ほどは保持リングの強度を低下させることはなく、円筒部の軸方向端部の強度の維持とコアに対する面圧の低減を両立させることができる。
また、中央領域に貫通孔が形成されていないため、いっそう円筒部の強度を維持することができる。
また、各々のスリットは、円周上に均等間隔に設けられるとともに、円筒部上を軸心に対する斜め方向に直線状に延びた
ニードルスリットであり、 隣接したスリットのいずれの端部同士も、同じ所定間隔を有して軸方向に重なりあっている。
これにより、端部領域の円周上において、均等間隔を有する位置に形成されたスリットの形状、数、大きさ等が同一となるため、保持リングの円周上における面圧を均等にして、コアをバランスよく安定して保持することができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
知財ポータルサイト IP Force にログインして確認する (無料)
この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の関連発明 による電動モータの車両に搭載された状態を示した断面図
【図2】 図1に示した電動モータのステータリングの斜視図
【図3】 図2に示したステータリングにコアが保持された状態を示した部分斜視図
【図4】 図3の平面図
【図5】 図2に示したステータリングに対し、コアを円環状に並べて保持させる状態を示した斜視図
【図6】 ステータリングにコアが保持された状態を誇張して示した断面図
【図7】 コア体の端面がストッパ片に係合した状態を誇張して示した断面図
【図8】 本発明の実施形態 によるステータリングの斜視図
【図9】 図8に示したステータリングにおいて、ニードルスリットが形成された部位を示した拡大正面図
図面中、1は電動モータ(回転電機)、11はモータハウジング(ハウジング)、13はロータ、14はステータ、15,15Aはステータリング(保持リング)、16はコア体(コア)、151は円筒部、152は外周フランジ(フランジ部)、155は矩形スリット(スリット)、155aは縦スリット部、155bは横スリット部、156は舌片(係止片)、156aは自由端、157はニードルスリット(スリット)、161cはコア体の外周フランジ側の端面、164はコイル、Cは回転軸、CTは中央領域、ETは端部領域を示している。
全ての図面はログインすると無料で閲覧できます。ログイン・ユーザー登録