発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
のフォトニック結晶面発光レーザを、より低い閾値電流や、より小面積の共振器でレーザ発振させようとする場合など、より一層の特性向上を目指す場合には、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数を大きくすることが有効である。しかしながら、従来の構造では、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数をある程度以上大きくすることについては、以下に説明するような課題を有している。なお、本明細書中では、レーザ素子の基板側を下側、基板と反対側を上側と定義する。
はじめに、光閉じ込め係数について説明する。
ある系に存在する全光エネルギーのうち、ある領域に閉じ込められている光エネルギーの割合を、その領域への光閉じ込め係数と言う。
フォトニック結晶面発光レーザでは、フォトニック結晶層に存在する光エネルギーの割合すなわちフォトニック結晶層への光閉じ込め係数が、レーザ特性を決める重要な要素となっている。
フォトニック結晶面発光レーザ中の積層方向の光分布は、導波モードとして計算することができる。
図4を用いて、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数について具体的に説明する。
図4(a)に、フォトニック結晶面発光レーザ構造の断面模式図の一例を示す。また、図4(b)に、そのレーザ構造について計算した、レーザ発振波長λにおける導波モードの光強度分布を示す。
この導波モードにおける光の導波方向は、活性層の面や基板主面方向に平行な方向である。
光強度は、活性層400付近にピークを持った単峰の分布を有している。光強度分布中に斜線で塗りつぶした部分がフォトニック結晶層410に存在する光に相当する。
光強度分布の曲線を全範囲にわたって積分することで求まる全体の面積のうち、斜線部分の面積の割合がいくらであるかを求めれば、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数が求められる。
この図に示した構造では、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数は約3%である。
つぎに、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数を向上させる利点について説明する。
フォトニック結晶層における光回折の起こりやすさは、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数に比例する。つまり、光閉じ込め係数を向上できれば、より効率的に回折を起こすことができる。
フォトニック結晶面発光レーザにおけるレーザ発振は回折によって引き起こされているので、回折効率を向上させることはレーザ発振閾値を低減したり、共振器を小面積化したりすることに対して有利に働く。
したがって、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数を向上させることはレーザ特性を向上させることにつながる。
つぎに、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数を向上させるための従来の手段について説明する。
単純に考えると、フォトニック結晶層の厚さを増せばフォトニック結晶層への光閉じ込め係数を大きくすることが可能なように思える。しかしながら、実際には必ずしもそうではないということを以下に示す。
図5に、図4に示したフォトニック結晶面発光レーザ構造のフォトニック結晶層への光閉じ込め係数の、フォトニック結晶層の厚さ依存(計算結果)を示す。
図5に示した計算結果からわかるように、ある厚さまではフォトニック結晶層の厚さが増すにつれて光閉じ込め係数が向上するが、その厚さを超えるとフォトニック結晶層の厚さを増しても光閉じ込め係数を向上させることはできない。
したがって、フォトニック結晶層の厚さを増すことによる光閉じ込め係数の向上には限界がある。
また、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数を向上する手段として、光強度分布のピーク付近にフォトニック結晶層を配置することが有効であることが知られている。
ここで、一般的に光強度分布のピークは活性層付近に位置するため、光強度分布のピーク付近にフォトニック結晶層を配置することは、活性層とフォトニック結晶層を近接して配置することと同義である。
しかしながら、製造上の制限から、活性層とフォトニック結晶層は、ある程度以上の距離を保って配置される必要がある。以下、この制限について説明する。フォトニック結晶面発光レーザを形成するためには、半導体材料中に空気孔などの周期配列で構成されるフォトニック結晶層を埋め込む必要がある。
例えば、非特許文献1(Science Vol.319,p.445 (2008))に開示されているAROGを用いてフォトニック結晶層を埋め込む場合を考える。AROGは、横方向成長をうまく利用して半導体中に空気孔を形成する手法である。
活性層とフォトニック結晶層の位置関係は、どちらが上側に位置する場合も採り得るが、それぞれに対して次に説明するような製造上の問題が存在する。
活性層の上側にフォトニック結晶層を設ける場合は、活性層とその上に位置する半導体層を結晶成長させた後に、ドライエッチング等で活性層付近まで半導体層に空気孔を掘る。そして、その後AROGで空気孔上部を覆うように再成長を行うことで半導体内部に空気孔を埋め込むことになる。
その際、孔の底と活性層との距離が近すぎると、ドライエッチング加工時のダメージが活性層にまで及び、発光効率を下げてしまうことがある。
そのため、活性層とフォトニック結晶層の距離をある程度離して配置しておく必要がある。
また、活性層の下側にフォトニック結晶層を設ける場合は、AROGで空気孔を埋め込んだ後に活性層を結晶成長させることになる。
その際、空気孔を埋め込んだ後に表面を平坦化するためには、ある程度の厚さの半導体層を成長させる必要がある。
フォトニック結晶層と活性層の距離が近すぎると、十分に平坦化できていない状態で活性層を成長させることになり、高品質の活性層を得ることが難しくなり、発光効率を下げてしまうことになる。
したがって、既存の製造技術を用いた場合には、活性層とフォトニック結晶層との距離を近づけすぎることは活性層の発光効率低下につながってしまうので、ある程度以上の距離を保つ必要がある。
以上述べた理由から、従来の構造では、フォトニック結晶層への光閉じ込め係数を大きくすることは難しかった。
本発明は、課題に鑑み、製造上の制限に縛られることなくフォトニック結晶層への光閉じ込め係数を向上させることが可能となるフォトニック結晶面発光レーザの提供を目的とする。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
本発明は、活性層と、前記活性層に対応して配置されたフォトニック結晶層と、を有し、波長λで発振する面発光レーザであって、前記活性層と前記フォトニック結晶層の間に、隣接する層より屈折率の低い低屈折率層を有し、前記活性層の面に平行な方向に導波する前記波長λの光に対して高次の横モードを示す高次導波モードを少なくとも1つ有し、前記波長λで発振する共振モードに係る導波モードとして前記高次導波モードを用い・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明によれば、製造上の制限に縛られることなくフォトニック結晶層への光閉じ込め係数を向上させることが可能となるフォトニック結晶面発光レーザを実現することができる。
100:活性層
110:フォトニック結晶層
111:フォトニック結晶層
120:低屈折率層
121:低屈折率層
200:活性層
210:フォトニック結晶層
220:低屈折率層
240、250:低屈折率層に隣接するスペーサ層
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