特許5836636IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

熱転写方式の印刷装置及びその制御方法に関し、特にサーマルヘッドを駆動するためのサーマルヘッドの駆動制御に関する技術である。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

熱転写方式の印刷装置では、サーマルヘッド主走査方向の1ライン中に含まれる画素の階調値によって、サーマルヘッドへの供給電流値が大きく変動する。1ライン中の全画素が最大階調値256の場合に電流値は最大となり、全画素が最小階調値0の場合に電流値は最小となる(図17の場合)。サーマルヘッドへの供給電流値が大きいほど供給電圧の低下と印刷装置の定電圧源からサーマルヘッドへの配線抵抗による電圧降下を引き起こし、所望のエネルギーが発熱抵抗体に加わらずに発熱不足となり、濃度ムラの発生原因となっていた。 以下に、定電圧源からサーマルヘッドへの供給電圧が低下する原因を説明する。一般的に印刷装置の定電圧源にはDC/DCコンバータが使用される。DC/DCコンバータは、スイッチング動作によるONデューティの比率を制御することにより、入力DC電圧を所望の出力DC電圧に変換する。DC/DCコンバータは、一定の負荷電流が流れている時はスイッチング動作が定期動作を行っているが、軽負荷(無負荷を含む)時には電流の連続性が維持できず、スイッチング動作が定期動作せずに間欠動作となる。軽負荷時における電流値が一定値(臨界電流値)以下である際の間欠動作中は、急激な負荷変動に対する応答性が著しく悪化し、電圧の低下(ドロップ)が発生する。 次に、熱転写方式の印刷装置における1画素中のドットパターン配列とサーマルヘッドへの供給電流値の関係性を説明する。ドットパターン配列が図17(a)の前詰方式の場合は、1画素中の前方からドットを配置するため、先頭のドットを印画する際にサーマルヘッド主走査方向の1ライン中に含まれる各画素の階調値に関わらず通電タイミングが同時となる。そのため、サーマルヘッドへ供給される電流値変動が他の方式に比べて大きくなる。他方、図17(b)の後詰方式及び図17(c)の中詰方式は、サーマルヘッド主走査方向の1ライン中に含まれる各画素の階調値が異なる場合、各画素の先頭ドットを配置するタイミングが異なる。そのため、電流値変動は図17(a)の前詰方式に比べて小さくなる。しかし、サーマルヘッド主走査方向の1ライン中の全画素が同階調値、又は複数画素が同階調値であった場合には、複数画素で各画素の先頭ドットを配置するタイミングが同時となり、電流値変動が発生するために印画物の濃度ムラの原因となっていた。例えば特許文献1では、階調値によってドットパターンの方式を変更する技術が開示されているが、1ライン中の複数画素が同階調であった場合には、通電タイミングが同時となってしまうという問題点があった。 図18に、濃度ムラが発生しやすい画像データ(印刷物の用紙サイズ:サーマルヘッド主走査方向長100mm×副走査方向長150mm)の一例を示す。以下の説明においても、1画素中の最大階調値は256である。図18の印刷物の画像データにおいて、1801及び1802は階調値128の中間階調値を有する画素領域である。1803は階調値256の最大階調値を有する画素領域(主走査方向長40mm×副走査方向長50mm)である。以下、画素領域1801を画素領域1、画素領域1802及び1803を含む領域を画素領域2と呼称する。 図19(a)及び(b)に、図17(b)の後詰方式のドットパターン配置を採る印刷装置において、画素領域1及び画素領域2を印刷した際のサーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値Iとの関係の概略図を示す。印刷装置が具備する定電圧源のDC/DCコンバータの臨界電流値は最大電流値の10%である。 矢印1900に示す期間が、画像データ1ライン(1画素)分の印刷時間に相当する。図19(a)の矢印1902に示す期間が、画素領域1801の1画素分のドットパターンを形成する際に電流が流れる期間で、1ライン中の全画素が全て同階調値(階調値128)であるため電流値は最大値となる。この際に電流値変動は0→最大値(100%)となるため、上述した理由によりサーマルヘッドへの供給電圧のドロップが発生する(図19の1901)。 一方、図19(b)の矢印1904に示す期間が、画素領域1802(階調値128)の1画素分のドットパターンを形成する際に電流が流れる期間である。そして、矢印1905に示す期間が、画素領域1803(階調値256)の1画素分のドットパターンを形成する際に電流が流れる期間である。まず矢印1905に示す期間の前半は、画素領域1803の主走査方向長が40mmであるため最大電流値の40%に当たる電流値が流れる。この際の電流値変動は0→最大値の40%となり、サーマルヘッドへの供給電圧のドロップが発生する(図19の1903)。ただし、図19(a)の場合での0→最大値の電流値変動時よりは供給電圧のドロップ量は少なくなる。続く矢印1905に示す期間の後半(矢印1904に示す期間)では最大電流値が流れるが、既に最大電流値の40%に当たる電流値が流れており、DC/DCコンバータのスイッチング動作は定期動作を行っているので、供給電圧のドロップが発生することはない。 画像データでは画素領域1801と画素領域1802の階調値は128で同じであるが、印刷装置から出力される印刷物では画素領域1801のドットパターンを形成する期間1902には供給電圧のドロップ1901が発生している。そのため、サーマルヘッドの発熱抵抗体に対して所望のエネルギー量を供給できておらず、想定の濃度値より低くなってしまう。一方、画素領域1802のドットパターンを形成する矢印1904に示す期間には供給電圧のドロップが発生しないため、想定の濃度値が実現される。従って、画素領域1801と画素領域1802の濃度値に差分が生じ、特に境界部分の濃度差が顕著に認識されてしまう問題点があった。以上説明した問題点は、濃度ムラの原因となり印刷物の品位低下に繋がる。 本発明はのような点に鑑みてなされたものであり、サーマルヘッドへ供給される電流値変動に起因する電圧の低下による濃度値低下を抑制できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の印刷装置は、画像データに基づいて印刷する際に、前記画像データの各画素の画素データの階調値をドットデータとしてサーマルヘッドに転送し、前記ドットデータに基づいて前記サーマルヘッドに配置された発熱抵抗体を選択的に通電駆動することにより、インクリボンの染料を用紙に熱転写する熱転写方式の印刷装置であって、前記画像データの各ラインの印刷では、所定期間と当該所定期間に続く通電期間を有し、前記通電・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明によれば、インクリボンの染料面の印刷時に、階調値のドットデータ直前に擬似ドットパターンデータを挿入するようにしたので、サーマルヘッドへ供給される電流値変動に起因する電圧の低下による濃度値低下を抑制することができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】第1の印刷装置及び印刷装置に装着されるカートリッジの外観構成を示す斜視図である。

【図2】第1の印刷装置の表示部及び操作部を示す図である。

【図3】熱転写方式の印刷装置で一般的に使用されるインクリボンを示す図である。

【図4】第1の印刷装置の機能構成を示すブロック図である。

【図5】第1の印刷装置の側面から見た断面図である。

【図6】第1の印刷装置の印刷処理手順を示すフローチャートである。

【図7】サーマルヘッドドライバコントローラが具備するサーマルヘッドの主走査方向に1画素以上の任意のパターンを構成する擬似ドットパターン配列を設定するためのレジスタ構成及び各レジスタ番号の設定値を示す図である。

【図8A】サーマルヘッドドライバコントローラの周辺回路構成を示す図である。

【図8B】サーマルヘッドドライバコントローラの内部回路構成を示す図である。

【図9】サーマルヘッドドライバICの1ch分の内部回路構成を示す図である。

【図10】擬似ドットパターンデータを含むヘッドドライバ制御信号波形を示す図であり、(a)は擬似ドットパターン配列設定レジスタのレジスタ番号0に設定された擬似ドットパターンデータ出力中のDCLK信号、HDATA0信号、LATCH信号の波形を示す図、(b)は擬似ドットパターン配列設定レジスタのレジスタ番号1に設定された擬似ドットパターンデータ出力中のDCLK信号、HDATA0信号、LATCH信号の波形を示す図、(c)は擬似ドットパターン配列設定レジスタのレジスタ番号14に設定された擬似ドットパターンデータ出力中のDCLK信号、HDATA0信号、LATCH信号の波形を示す図、(d)は擬似ドットパターン配列設定レジスタのレジスタ番号15に設定された擬似ドットパターンデータ出力中のDCLK信号、HDATA0信号、LATCH信号の波形を示す図である。

【図11】(a)は用紙上に形成されるドットパターンの概念図を示す図、(b)は(a)のドットパターンを印刷中のサーマルヘッドへの供給電流値を表わす概念図である。

【図12】ドットデータ出力中のヘッドドライバ制御信号波形を示す図であり、(a)は1階調目のドットデータ出力中のヘッドドライバ制御信号波形を示す図、(b)は2階調目のドットデータ出力中のヘッドドライバ制御信号波形を示す図である。

【図13】サーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値との関係を示す概略図であり、(a)は画素領域1を印刷中のサーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値との関係を示す概略図、(b)は画素領域2を印刷中のサーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値との関係を示す概略図である。

【図14】階調値ドットデータを2分散した際に用紙上に形成される擬似ドットパターンデータ及び階調値ドットデータのドットパターンを示す概念図である。

【図15】第2の印刷装置の印刷処理手順を示すフローチャートである。

【図16】サーマルヘッドドライバコントローラが具備するサーマルヘッドの主走査方向に1画素以上の任意のパターンを構成する擬似ドットパターン配列を設定するためのレジスタ構成及び各レジスタ番号の設定値を示す図である。

【図17】サーマルヘッド駆動方式を示す概略図であり、(a)はドットパターンを1画素の前方部から配置させる前詰方式を示す図、(b)はドットパターンを1画素の後方部から配置させる後詰方式を示す図、(c)はドットパターンを1画素の中央部から配置させる中詰方式を示す図である。

【図18】サーマルヘッドへの供給電流値変動による供給電圧降下が原因で濃度ムラが発生やすい画像データの例を示す図である。

【図19】サーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値との関係を示す概略図であり、(a)は画素領域1を印刷中のサーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値との関係を示す概略図、(b)は画素領域2を印刷中のサーマルヘッドへの供給電圧値と供給電流値との関係を示す概略図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

100:印刷装置、110:カートリッジ、401:メインコントローラ、402:ROM、403:RAM、418:サーマルヘッドドライバコントローラ、419:サーマルヘッド、803:サーマルヘッド制御信号生成回路、822:γ変換回路、823:補正処理回路、824:ドットパターン生成回路、826:LUT設定レジスタ、827:補正処理パラメータ設定レジスタ、828:擬似ドットパターン配列設定レジスタ

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