技術分野
純金属、合金、複合材等からなる金属材料の表面を改質する金属の表面処理法
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
従来のチタン材料の表面処理法について、溶射法では、素材表面の平滑性が得られないため表面処理した後に機械的に研磨加工する必要があり、工程が煩雑で実用性に劣っていた。また、PVD法やCVD法では、特殊な装置が必要で高コストであるうえ、効率も悪く、表面改質層の剥離が生じる場合があった。特許文献1の方法では、チタン材料の形状が曲面だったり凹凸があって複雑な場合には、炭素材料等を予めチタン材料の曲面形状や凹凸形状に合わせた形状に加工しておく必要があるので、工程が煩雑化したり処理が困難となる場合があった。特許文献2の方法では、チタン材料の浸炭処理後、さらにその表面にクロム等の炭化処理を行う必要があり、工程数が多く煩雑な方法でコストも高くつく問題があった。特許文献3の方法では、基材を被覆した粉末の周りにさらに微細粉末を配置させる必要があることから、2つの異なる粒径の粉末を扱う必要があり手間がかかるとともに、外側に被覆した径の小さな粉末を焼結させるので、処理後に製品を取り出す際に焼結された外殻を壊す必要があり、全体的に煩雑な処理であった。また、非特許文献1のように従来のチタン表面を窒化する方法では、加熱する過程でチタン材料の表面に酸化チタン層が形成されやすく、その影響により窒化が促進されにくいため、長時間処理しても表面改質層が薄かったり、表面硬度の改善効果が低く、効率性、実用性に劣る問題があった。また、特許文献4や非特許文献2の方法では、黒鉛は比較的安定性が高いことからチタン表面を処理するためには比較的高い温度で加熱処理する必要があった。そのため、チタンの結晶粒が大きくなって機械的性質が低下するおそれが高いとともに、チタンの表面改質層に多数の穴(ポーラス)が形成されて硬度が低下するおそれがあることから、製品価値が劣る問題があった。また、高温で加熱するための加熱設備に高い費用を要するので、中小企業等の場合には負担が大きく設備導入が困難な場合があった。
本発明は従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、極めて簡単な設備だけで、簡便にかつ低コストで、処理対象の金属の表面硬度や耐摩耗性等の表面性質を改善できると同時に該金属の劣化を防止して高付加価値化できる金属の表面処理法を提供することにある。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
課題を解決するために本発明は、表面処理を行う処理対象の金属10を、炭素粉末と、鉄又は鉄を主成分とし炭素を含有した鉄合金の粉末と、を含む炭素源粉末12中に埋没させた状態で、窒素ガス雰囲気(S)中で加熱処理することにより、該処理対象の金属の表面10を少なくとも窒化又は窒素吸収させて改質することを特徴とする金属の表面処理法から構成される。鉄合金には、例えば、ニッケル、クロム、モリブデン等の鉄・・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明の金属の表面処理法によれば、表面処理を行う処理対象の金属を、炭素粉末と、鉄又は鉄を主成分とし炭素を含有した鉄合金の粉末と、を含む炭素源粉末中に埋没させた状態で、窒素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、該処理対象の金属の表面を少なくとも窒化又は窒素吸収させて改質する構成であるから、極めて簡単な設備だけで、しかも簡単な操作で、低コストで金属表面に表面硬度、耐摩耗性の高い硬質な改質層を形成でき、表面性質を改善することができる。さらに、処理対象の金属の形状に依存されることなく手軽に表面処理できるうえ、炭素源粉末が焼結されにくく、処理後の金属の取り出しも簡単に行なえ、処理効率が良い。その結果、中小企業等でも安価に導入できると同時に、金属の種々の分野への実用性の拡大を図ることができる。特に、炭素源粉末を炭素粉末と鉄又は鉄合金の粉末とを混合して構成するから、炭素粉末単独で表面処理する場合よりも窒化や炭窒化の反応性及び処理効率を向上でき、高い硬度の良質な表面改質を行える。さらには、比較的低い加熱温度での表面改質処理を実現でき、該金属の機械的性質の低下を防止できるとともに、表面改質層にポーラスが形成されるのを良好に防止することができる。その結果、実用性が高く、高品質の製品を提供できる。
また、加熱温度は、600℃から1200℃の間に設定された構成とすることにより、処理対象の金属を効率的に表面改質処理できると同時に、該金属の機械的性質の低下を防止できる。
また、加熱温度は、700℃から1000℃の間に設定された構成とすることにより、処理対象の金属を効率的に表面改質処理して自動車部品等の産業部品や生体材料等に実用できる。同時に、例えば、チタンやステンレス鋼のような金属の場合には、より確実に機械的性質の低下及び表面改質層へのポーラスの形成を防止でき、所望の金属性質を確実に保持又はコントロールすることができる。また、加熱設備にかかるコストを低減でき、中小企業等でも比較的手軽に導入することができる。
また、炭素粉末は、グラファイト又は活性炭又は木炭のような炭素を主成分とする材料を粉末状にしたものである構成とすることにより、良好に金属の表面処理を行えると同時に、比較的安価に入手しやすく低コストでの表面処理を実現できる。
また、鉄合金は、炭素鋼又は鋳鉄からなる構成とすることにより、表面処理効果が高い鉄合金粉末を具現できると同時に、比較的安価に入手しやすく低コストでの表面処理を維持できる。
また、炭素源粉末は、炭素粉末と、炭素鋼粉末又は鋳鉄粉末と、を体積比で3:7〜7:3の範囲で混合して構成されたことにより、処理対象の金属の表面をより高い硬度に処理して良質な表面改質層を形成でき、より高価値の金属製品を得ることができる。
また、処理対象の金属は、チタン又はチタン合金であることから、比強度が高く耐食性及び機械的性質に優れるチタンの表面を効果的に改質して、実用性を向上したチタン製品を提供できる。
また、処理対象の金属は、ステンレス鋼であることから、比較的安価で耐食性に優れるステンレス鋼の表面を効果的に改質して、実用性を向上したステンレス鋼製品を提供できる。さらに、例えば、ステンレス鋼に高価なニッケルを添加しなくても窒素を効果的に吸収させて表面をオーステナイト化したステンレス鋼を得ることができる。従って、表面硬度が高いステンレス鋼を低コストで製造可能であるとともに、ニッケルによるアレルギーを防止できステンレス鋼を生体材料として利用できる。
また、処理対象の金属は、元素周期表の4A族、5A族、6A族の金属又はこれらの合金であることから、チタン同様に機械的性質に優れた金属の表面を効果的に改質して、実用性を向上した金属製品を提供できる。
また、処理対象の金属は、元素周期表の4A族、5A族、6A族の金属又はこれらの合金とステンレス鋼との複合材料であることから、チタンをはじめとする金属又は合金とステンレス鋼の特性を合わせもった複合材料の表面を効果的に改質して、実用性を向上した複合材料を提供できる。
さらに、表面改質された金属製品は、の金属の表面処理法により得られ、少なくとも窒化又は窒素吸収された表面改質層が形成されたことから、処理対象の金属自身の特性と、硬度及び耐磨耗性が高い表面改質層と、を同時に有し、様々な分野に広く利用できる価値の高い金属製品を安価に提供できる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の金属の表面処理法の概略図である。
【図2】 実施例1で得られたチタン製品の表面側の断面の電子顕微鏡画像である。
【図3】 実施例1〜5及び比較例1、2のチタン製品の表面硬さ、表面色の観察結果の比較表である。
【図4】 実施例1〜5及び比較例1のチタン製品の表面のX線回折図形である。
【図5】 比較例2のチタン製品の表面のX線回折図形である。
【図6】 実施例6〜11で得られたチタン製品の表面硬さの測定結果を示すグラフである。
【図7】 実施例12のチタン合金での表面からの深さと硬さとの関係を示すグラフである。
【図8】 比較例3及び実施例13で得られたステンレス鋼の丸棒断面の光学顕微鏡写真である。
【図9】 実施例13、14及び比較例3のステンレス鋼の表面硬さの比較表である。
【図10】 比較例3及び実施例13のステンレス鋼の表面のX線回折図形である。
10 処理対象の金属
12 炭素源粉末
16 加熱炉
17 処理室
18 ガスボンベ
S 閉鎖空間(窒素ガス雰囲気)
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