技術分野
製鉄機械の連続焼鈍炉におけるラジアントチューブバーナ制御装置
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
メインバーナ11の着火時は、着火に伴うRT内圧の圧力変動を抑えるため、既に述べたようにTDRを20%〜40%程度に絞って着火するが、燃料ガスの流量が少なく、RT13内で燃料ガスと燃焼用エアとの混合具合に、ばらつきが生じやすくなり、RTバーナ15の燃焼が不安定となりやすい。よって、着火時の燃焼を安定化させるため、m値を2〜3程度とし、燃焼用エアを多めにしたエアリッチな燃焼条件としている。
しかし、メインバーナ11の着火時の炉温は低く、RTバーナ15の燃焼容量、及び、燃料ガス配管26、燃焼用エア配管27、燃焼排ガス配管の配管レイアウトとの関係によっては、複数の要素が共鳴し、メインバーナ11の着火時に発生するRT内圧の圧力変動が局所的に大きくなり、メインバーナ11及び安全装置であるパイロットバーナ12の火炎を吹き消す現象(以下、失火と記載)につながることがある。
上述の複数の要素とは、メインバーナ燃焼筒11aを燃焼用エア又は燃料ガスが通過する際の渦周波数、配管系(燃料ガス配管26、燃焼用エア配管27及び燃焼排ガス配管28)の気柱共鳴周波数、RT13とRT13内レキュペレータ14との狭流路で構成される空間でのヘルムホルツ共鳴周波数、及び、RT13内気柱共鳴周波数のことである。
渦周波数は着火モード条件(TDRとm値の組み合わせ)とメインバーナ燃焼筒ノズル径とによって決定され、配管系の気柱共鳴周波数は配管条件(燃焼用エア配管、燃料ガス配管及び燃料排ガス配管それぞれの配管径と配管長)によって決定され、ヘルムホルツ共鳴周波数はRT径とRT長とによって決定され、RT内気柱共鳴周波数はRT長と燃料ガス温度と燃焼用エア温度とによって決定される。
図14は、メインバーナが失火する場合のRT内圧変動トレンドを表すグラフであり、縦軸がRT内圧、横軸が時間を表している。時刻t
1 は燃料ガス配管内をパージするためにN
2 ガスの供給を開始する時刻、時刻t
2 は燃料ガス遮断弁を開状態とする時刻、時刻t
3 は図13と同様メインバーナ着火時刻、時刻t
4 において、RT内圧が燃料ガス供給圧、及び燃焼用エア供給圧を上回り、メインバーナ及びパイロットバーナが失火する時刻をそれぞれ表している。
図14のグラフに示すように、RT内圧は時刻t
1 〜t
2 においては安定しているが、時刻t
2 において燃料ガス遮断弁を開状態とすることでメインバーナ11が点火を開始し、時刻t
3 においてメインバーナ11がほぼ着火を完了した時点で、共鳴によりRT内圧の圧力変動が大きくなり、燃料ガス及び燃焼用エアの供給圧を超え、時刻t
4 においてメインバーナ11及びパイロットバーナ12が失火することがある。なお、図14のグラフは、時刻t
2 〜t
3 は25sec程度、時刻t
3 〜t
4 は55sec程度の場合を想定している。
1つの燃焼制御ゾーン内で何本かのパイロットバーナ12の失火検出機能(図示略)が失火と判断すると、安全のため、同ゾーン内メインバーナ11への燃料ガス供給を一括遮断する。さらに、そのゾーン数が複数に至ると、安全のため、一旦、焼鈍炉全体のRTバーナ15を全て消火し、失火原因究明のため、再立ち上げを行うこととなり、生産性の悪化をきたすこととなる。
図15は、従来の燃料ガス流量調節弁操作による燃料ガスの流量調節例を表すグラフである。縦軸はm値、横軸は時間を表しており、時刻t
2 は図14同様燃料ガス遮断弁を開状態とする時刻、時刻t
5 は図13同様燃料ガス流量調節弁の弁開度自動制御開始時刻を表しており、当該グラフ中の斜線で示した共鳴領域Bは、TDRとm値との関係でRTバーナ15が失火する可能性がある共鳴領域を表している。また、当該グラフにおいて、一点鎖線の曲線で示したパターン1と破線で示したパターン2との2パターンは、失火に至った調節例を示している。
なお、共鳴領域Bとは、メインバーナ燃焼筒11aを燃焼用エア又は燃料ガスが通過する際の渦周波数が配管系(燃料ガス配管26、燃焼用エア配管27及び燃焼排ガス配管28)の気柱共鳴周波数、RT13とレキュペレータ14との狭流路で構成される空間でのヘルムホルツ共鳴周波数、又はRT13内気柱共鳴周波数のいずれかと一致するm値を含む領域のことである。
上述でも説明したが、燃料ガス流量調節弁の弁開度自動制御で、m値が2〜3となるように制御を行う。しかしながら、当該制御の間に、例えば図15のグラフに示すように、パターン1では、時刻t
5 〜t
7 においてm値が共鳴領域Bに入り、RTバーナ15が失火する可能性がある。また、パターン2では、時刻t
7 〜t
8 においてm値が共鳴領域Bに入り、RTバーナ15が失火する可能性がある。
なお、共鳴領域Bは、TDRとm値と組み合せによって変化する。図16は、共鳴領域Bとm値とTDRとの関係を示すグラフであり、当該図の縦軸はm値、横軸はTDRを示している。また、当該グラフ中の破線領域は、通常のRTバーナ15着火時の推奨運転範囲を示しており、このRTバーナ15着火時の推奨運転領域内に、狭い範囲ではあるが、共鳴領域Bが存在することを示している。
特許文献1には、バーナ及び燃焼容器の製造段階で、各周波数の共鳴発生条件を回避した設計とすることで、共鳴領域を回避する技術が開示されている。しかしながら、当該技術では、既存のバーナ及び燃焼容器に適用することができない。
そこで本発明では、連続焼鈍炉のRTバーナにおいて、バーナの設計によらず、バーナ着火時の推奨運転範囲内で共鳴領域に入ることなく、安定したメインバーナ着火を行うことができるRTバーナ制御装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
課題を解決する第1の発明に係るRTバーナ制御装置は、
RTバーナの燃料ガス及び燃焼用エアの供給を制御するRTバーナ制御装置であって、
前記燃焼用エアの流量を、前記燃料ガスを完全燃焼させるための理論空気量で除した値であるm値と、前記燃料ガスの流量の最大量に対する比率である燃焼負荷比TDRとの組み合わせを、着火モード条件とするとき、
RT内気柱共鳴周波数、RTと当該RT内レキュペ・・・ 続きを
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【発明の効果】
第1,2の発明に係るRTバーナ制御装置によれば、着火モード条件が共鳴領域を失火発生時間未満で通過する条件でない場合に、当該着火モード条件の変更を行うので、連続焼鈍炉のRTバーナにおいて、安定したメインバーナ着火を行うことができる。
第3の発明に係るRTバーナ制御装置によれば、さらに、RTバーナ内圧が、RTバーナ内のパイロットバーナの燃料ガス供給圧、パイロットバーナの燃焼用エア供給圧、及びメインバーナの燃料ガス供給圧の中で最も低い供給圧よりも低くはない場合に、着火モード条件を変更するので、より安定したメインバーナ着火を行うことができる。
第4の発明に係るRTバーナ制御装置によれば、さらに、着火モード条件を変更する際、燃焼排ガス温度と燃焼用エア温度とm値と燃焼負荷比TDRとの相関関係と、実際に計測した燃焼排ガス温度と燃焼用エア温度とに基づいて、共鳴領域でない着火モード条件に変更するので、より安定したメインバーナ着火を行うことができる。
第5の発明に係るRTバーナ制御装置によれば、さらに、失火発生時間とは、各配管の気柱共鳴周波数、RT内気柱共鳴周波数及びヘルムホルツ共鳴周波数の中で、渦周波数と一致する周波数の1/2周期の時間であり、変更完了後の着火モード条件は、実際のm値が共鳴領域を通過する時間が、渦周波数と一致する周波数の1/2周期の時間未満となるようにするので、より安定したメインバーナ着火を行うことができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の実施例1に係るRTバーナ制御装置による燃料ガスの流量調節を表すグラフである。パターン1,2は、燃焼が不安定となるパターンである。
【図2】 本発明の実施例1に係るRTバーナ制御装置を説明する概略図である。
【図3】 本発明の実施例1に係るRTバーナ制御装置を、RTバーナに燃料ガス及び燃焼用エアを供給する装置に設置した状態を説明する概略図である。
【図4】 本発明の実施例1に係るRTバーナ制御装置の作動を説明するフローチャートである。
【図5】 本発明の実施例2に係るRTバーナ制御装置を説明する概略図である。
【図6】 本発明の実施例2に係るRTバーナ制御装置を、RTバーナに燃料ガス及び燃焼用エアを供給する装置に設置した状態を説明する概略図である。
【図7】 本発明の実施例2に係るRTバーナ制御装置の作動を説明するフローチャートである。
【図8】 本発明の実施例3に係るRTバーナ制御装置を説明する概略図である。
【図9】 本発明の実施例3に係るRTバーナ制御装置を、RTバーナに燃料ガス及び燃焼用エアを供給する装置に設置した状態を説明する概略図である。
【図10】 本発明の実施例3に係るRTバーナ制御装置の作動を説明するフローチャートである。
【図11】 従来のRTバーナの概略図である。
【図12】 RTバーナに燃料ガス及び燃焼用エアの供給系と、燃焼排ガスの排気系を示す従来の装置の概略図である。
【図13】 各ゾーンにおけるメインバーナ着火時の燃料ガス流量トレンドを表すグラフである。
【図14】 メインバーナが失火する場合のRT内圧変動トレンドを表すグラフである。
【図15】 従来の燃料ガス流量調節弁操作による燃料ガスの流量調節例を表すグラフである。
【図16】 メインバーナ着火時のm値とTDRの推奨運転範囲と共鳴領域Bとの関係を示すグラフである。
11 メインバーナ
11a メインバーナ燃焼筒
11b 火炎
12 パイロットバーナ
13 RT
14 レキュペレータ
15 RTバーナ
21 燃料ガス遮断弁
22 N2ガス遮断弁
23 燃料ガス流量調節弁
24 燃空ファン
25 燃焼用エア流量調節弁
26 燃料ガス配管
26a N2ガス配管
27 燃焼用エア配管
28 燃焼排ガス配管
29 燃焼排ガス用流量調節弁
30 排気ファン
31 (実施例1における)着火モード条件設定部
31a (実施例2における)着火モード条件設定部
31b (実施例3における)着火モード条件設定部
32 RTバーナ形状条件入力部
33 配管条件入力部
34 記憶部
35 操業条件設定部
36 固有周波数演算部
37 (実施例1における)判断部
37a (実施例2における)判断部
37b (実施例3における)判断部
38 操作部
39 燃料ガス流量調節弁開度アクチュエータ
40 燃焼用エア流量調節弁開度アクチュエータ
41 (実施例1に係る)RTバーナ制御装置
42 圧力計
43 温度計
44 固有周波数テーブル
51 (実施例2に係る)RTバーナ制御装置
61 (実施例3に係る)RTバーナ制御装置
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