特許6027365IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

物標の位置情報の導出処理

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、前方車両111が図1に示した車線RAのような略直線の車線ではなく、道路形状がカーブ車線RBを走行する場合、車両100の走行する車線内を走行する前方車両111が存在しているにも関わらず、車両制御装置は前方車両111に対応する代表物標をACCにおける追従対象に設定しない場合があった。前方車両111がカーブ車線を走行する場合に車両制御装置が前方車両111に対応する代表物標をACCにおける追従対象に設定しない具体例を図2〜図4を用いて説明する。 図2、および、図3は、車両100および前方車両111が、カーブ車線RBを走行する場合の物標の位置情報の変化を説明する図である。なお、図2および図3の各構成は図1で説明した構成と同じ構成であり、符号にbを付している構成が符号にaを付している構成よりも時間的に後の状態を示している。換言すると、符号にbを付している構成が現在の構成とすると、符号にaを付している構成は過去の構成となる。 図2に示すように車両100が車両100aに示す位置に存在する場合、レーダ装置1aにおける送信波の射出範囲は走査範囲SCaとなる。そして、走査範囲SCa内に存在する前方車両111aでは2つ反射点からの反射波がレーダ装置1aの受信アンテナに受信され、信号処理部はこれらの反射波に対応する2つの物標(物標T1a、および、物標T2a)を導出する。そして、信号処理部は、物標T1a、および、物標T2aの2つの物標のうち車両100aとの縦距離の値が最も小さい物標T1aを基準物標とする。 次に、信号処理部は物標T1aの位置から縦方向(車両100aの進行方向)の長さを5.0mとし、物標T1aの位置から横方向(基準軸L1aに対して略直交する方向(左方向、および、右方向のそれぞれの方向))の幅を2.0mとする所定範囲の結合範囲C1aを設定する。 そして、信号処理部は、結合範囲C1a内の物標(物標T1aおよび物標T2a)に基づいて物標の代表位置を導出する。詳細には、信号処理部は、車両100aに対する縦距離の値が最も小さい基準物標の縦距離を代表の縦距離とし、結合範囲C1a内の物標のうち横距離が最小の値の物標、および、横距離が最大の値の物標の2つの物標の横距離の平均を代表の横距離とする代表位置を導出する。つまり、信号処理部は、基準物標である物標T1aの縦距離を代表の縦距離とし、物標T1a(結合範囲C1a内で最大の横距離-0.5m)、および、物標T2a(結合範囲C1a内で最小の横距離-1.5m)の横距離の平均を代表の横距離(横距離-1.0m)とする。そして、信号処理部はこの代表位置の物標を代表物標T0aとする。 車両制御装置はレーダ装置1の信号処理部から代表物標の物標情報を受信し、物標情報に基づいて車両100の制御を行う。ここで、代表物標T0aの横距離の絶対値は1.0mであるため、車両制御装置は物標情報に基づき代表物標T0aをACCにおける追従対象に設定し、車両100aが代表物標T0aに対応する前方車両111aに追従走行するように車両100aのブレーキ50、および、スロットル51を制御する。 次に、車両100が車両100aの位置に存在するときから時間が経過して車両100bの位置に存在するとき、車両100bのレーダ装置1bにおける送信波の射出範囲は走査範囲SCbである。そして、走査範囲SCb内に存在する前方車両111bでは2つ反射点からの反射波がレーダ装置1bの受信アンテナに受信され、これらの反射波に対応する2つの物標(物標T1b、および、物標T2b)が導出される。そして、信号処理部は、物標T1b、および、物標T2bの2つの物標のうち車両100bとの縦距離の値が最も小さい物標T1bを基準物標とする。 次に、信号処理部は物標T1bの位置から縦方向(車両100bの進行方向)の長さを5.0mとし、物標T1bの位置から横方向(基準軸L1bに対して略直交する方向(左方向、および、右方向のそれぞれの方向))の幅を2.0mとする所定範囲の結合範囲C1bを設定する。 ここで、一般的に前方車両111が走行するカーブ車線RBのカーブ半径の値が小さくなることに伴い、前方車両111の後方を走行する車両100に対する前方車両111の傾きは大きくなる。また、カーブ車線RBのカーブ半径の値が大きくなることに伴い、車両100に対する前方車両111の傾きは小さくなる。具体的には、図2に示すように、前方車両111が前方車両111aの位置に存在しているときのカーブ半径の値よりも、前方車両111が前方車両111bの位置に存在しているときのカーブ半径の値が小さいため、車両100bに対する前方車両111bの傾きは、車両100aに対する前方車両111aの傾きよりも大きくなっている。 このような前方車両111の傾きの変化に伴い、前方車両111に対応する基準物標、および、前方車両111に対応する他の物標の位置情報が変化する。具体的には、図2に示すように車両100に対する前方車両111の傾きが大きくなることに伴い、結合範囲C1a内の基準物標T1aの位置はカーブ車線RBの内側(基準軸L1aに対して右方向)の物標T1bの位置に移動し、物標T2aの位置もカーブ車線RBの内側の物標T2bの位置に移動する。 そして、前方車両111が前方車両111aの位置に存在する場合、物標T2aは結合範囲C1a内に存在しているが、前方車両111が前方車両111bの位置に移動した場合、物標T2bは結合範囲C1b外に存在している。つまり、車両100に対する前方車両111の傾きが大きくなることに伴い、前方車両111に対応する基準物標(例えば、物標T1a)に対する他の物標(例えば、物標T2a)の縦方向(車両100aの進行方向)の距離の値が大きくなる傾向にある。 そして、信号処理部は結合範囲C1b内に含まれる物標T1bに基づいて代表位置を導出する。詳細には信号処理部は、図3に示すように基準物標である物標T1bの縦距離を代表の縦距離とし、物標T1bの横距離を代表の横距離とする代表位置を導出する。そして、信号処理部はこの代表位置の物標を代表物標T0bとする。 この代表物標T0bの横距離は、例えば図3に示すように基準軸L1bに略直交する右方向に+3.0mとなる。車両制御装置は、この横距離の情報を含む代表物標T0bの物標情報をレーダ装置1bの信号処理部から受信する。そして、車両制御装置は、代表物標の横距離の絶対値が1.8mよりも大きい値の3.0mであるため、代表物標T0bをACCにおける追従対象ではないと判定し、代表物標Tobに対応する前方車両111bに対するACCの制御を解除する。しかし、このようにカーブ車線RBを走行する場合であっても、本来は、車両制御装置が前方車両111bの代表物標をACCにおける追従対象と判定し、車両100bが前方車両111bに対して追従走行することが望ましい。 これに対して、結合処理を行う場合の結合範囲を広い範囲にすることで前方車両111に対応する物標をできるだけ多く結合範囲内に含むようにすることも考えられる。図4は、所定範囲の結合範囲C1よりも範囲の広い結合範囲C2を設定して結合処理を行うことを説明する図である。図4に示す構成は図1に示した構成と略同一であり、図1に示した構成と比べて、車両100が略直線の車線RAを走行している場合に、信号処理部が結合範囲C1よりも範囲の広い結合範囲C2を結合範囲として設定して、結合処理を行うものである。 つまり、結合範囲C1と比べて結合範囲C2は縦方向の長さが5.0mから10.0mとなり、横方向の長さが左方向および右方向のそれぞれで2.0mから4.0mとなっている。その結果、結合範囲C2は、結合範囲C1の2倍の大きさの範囲となっている。このように範囲を広げることで、結合範囲C1よりも前方車両111に対応する多くの物標を結合範囲C2の範囲内に含めることができる。具体的には、図4に示すように物標T1および物標T2に加えて、物標T3も結合範囲C2の範囲内に含めることができる。 しかしながら、物標T3を結合範囲C2に含めることで、信号処理部の結合処理により導出された代表位置に基づく代表物標の横距離の絶対値が、車両制御装置のACCの追従対象の条件を満たさない場合がある。つまり、図4に示すように、信号処理部は、基準物標である物標T1の縦距離を代表の縦距離とし、結合範囲C2内で横距離が最大(横距離0m)の物標である物標T1、および、横距離が最小(横距離-3.8m)の物標であるT3の平均を代表の横距離(横距離-1.9m)とする代表位置を導出する。そして、信号処理部はこの代表位置の物標を代表物標T0gとする。 ここで、代表物標T0gの横距離は-1.9mであり、横距離の絶対値が1.9mであるため、車両制御装置は、代表物標T0gをACCにおける追従対象ではないと判定する。このように、結合処理において常に範囲の広い結合範囲を設定するのみでは、車両制御装置がACCにおいて本来は追従対象とすべき物標に対応する前方車両を誤って追従対象ではないと判定し、ACCの継続的な追従走行が行えない場合がある。 本発明は、追従走行を行う場合の車両制御を精度よく行うことを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

課題を解決するために、本発明は、周波数変調された送信信号に係る送信波を射出し、前記送信波が物標において反射することによって到来する反射波を受信信号として受信し、前記受信信号から少なくとも前記物標の位置情報を導出するレーダ装置であって、1回の走査で導出される前記物標のうち、自装置を搭載する車両から最も近い位置に導出された基準物標の位置に基づき、前記車両の進行方向および前記車両の車幅方向に所・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
請求項1〜5の発明によれば、導出手段が前記第2範囲内の物標の位置情報に基づき、前記第2範囲内の物標の代表位置を導出することで、第1範囲に含まれていなかった物標を第2範囲の範囲内に含むことにより、道路形状に関わらず物標の代表位置をレーダ装置を搭載した車両の走行する車線内に導出できる。 また、特に請求項2の発明によれば、第2範囲は、第1範囲の縦方向の長さを延伸した範囲であることで、レーダ装置を搭載した車両の走行する車線に隣接する隣接車線上に存在する物標を代表位置の導出処理に含むことなく、道路形状に関わらず物標の代表位置をレーダ装置を搭載した車両の走行する車線内に導出できる。 また、特に請求項3の発明によれば、導出手段は、所定範囲内の物標のうち、基準物標よりも車両に対する横距離の絶対値が大きい物標は、代表位置を導出する処理の対象から除外することで、物標の代表位置をレーダ装置の基準軸により近い位置に導出でき、道路形状に関わらず物標の代表位置をレーダ装置を搭載した車両の走行する車線内に導出できる。 さらに、特に請求項4の発明によれば、車両制御装置が代表物標の位置情報に基づいて車両を制御することで、物標の代表位置がレーダ装置を搭載した車両の走行する車線内に存在することとなるため、車両と同じ車線を走行する前方車両に対する追従走行が道路形状に関わらず継続的に行える。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】図1は、レーダ装置の信号処理部が行う結合処理を説明する図である。

【図2】図2は、車両および前方車両が、カーブ車線を走行する場合の物標の位置の変化を説明する図である。

【図3】図3は、車両および前方車両が、カーブ車線を走行する場合の物標の位置情報の変化を説明する図である。

【図4】図4は、所定範囲の結合範囲よりも広い結合範囲を設定して結合処理を行うことを説明する図である。

【図5】図5は、車両の全体図である。

【図6】図6は、車両制御システムのブロック図である。

【図7】図7は、レーダ装置の送信信号および受信信号を主に示す図である。

【図8】図8は、物標情報を導出する処理フローチャートである。

【図9】図9は、物標情報を導出する処理フローチャートである。

【図10】図10は、結合処理の処理フローチャートである。

【図11】図11は、前方車両がカーブ車線を走行する場合の結合範囲の設定について説明する図である。

【図12】図12は、前方車両がカーブ車線を走行する場合の結合範囲の設定について説明する図である。

【図13】図13は、前方車両がカーブ車線を走行する場合の結合範囲内の代表位置の導出処理を説明する図である。

【図14】図14は、基準物標よりも横距離の絶対値が大きい物標を代表位置の導出の対象から除外する処理を説明する図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1・・・・・レーダ装置   10・・・・車両制御システム   11・・・・変調部   12・・・・発振器   13・・・・送信アンテナ   14・・・・受信アンテナ   15・・・・ミキサ   16・・・・AD変換部   17・・・・信号処理部

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