連続フロー条件下でのメタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法及び使用される触媒に関するが、この方法は、コーク沈着のない原子効率的な変換を提示している。
発明の背景
天然ガスは、主成分がメタン(CH
4)である、優れたクリーンなエネルギー資源である。特に、北米大陸のシェールガス及び海底の堆積物中のメタンハイドレートの相当な埋蔵物の最近の発見により、世界は、メタンの豊富な埋蔵量を有すると考えられるが、この量は、他の全ての既知の化石燃料の炭素量の少なくとも2倍と推定されている。
過去数十年にわたり、世界の天然ガスの生産及び消費量の両方が継続的に増加している。世界の一次エネルギー生産における天然ガスの割合は、1950年には9.8%から現在24%に上昇し、2020年には29%に達すると推定された。その頃までには、天然ガスは21世紀の重要なエネルギー資源となる。しかし、天然ガスの消費はなお成熟しておらず、化学工業で使用される天然ガスの部分は低い。メタン活性化の難しさ及び原油の変動市場に起因する化学原料(オレフィン、芳香族化合物など)のコスト高のために、価値ある製品への効率的なメタン変換の研究は、科学的挑戦というだけでなく、エネルギー危機を緩和するため及び持続可能な開発を確保するための急務である。
メタンから価値ある化学物質を生産するには、二つの基本的なルートである間接及び直接変換がある。現在、最も広く用いられている方法は、間接変換、即ち、メタンが最初に改質又は部分酸化のいずれかによって種々のC/H比を持つ合成ガスに変換され、次に化学原料及び精製石油製品が、Fischer-Tropsch合成、合成ガスからオレフィン、合成ガスからガソリン、アンモニア合成又は多くの他のプロセスを介して、合成ガスから変換される。しかし、メタンの間接変換は、常に複雑な設備、製造コスト高、及び特に大量のCO
2排出を伴う。したがって、価値ある化学物質への直接メタン変換の研究は、最近特に注目を受けている。
メタンの直接変換は、現在、3つのルートに分類することができる:エチレンへのメタンの酸化カップリング(OCM)、メタノール及びホルムアルデヒドへのメタンの選択的部分酸化(SOM)、並びに芳香族化合物へのメタン脱水素芳香族化(MDA)。UCCのKeller及びBhasinは、1982年にメタンの直接変換の最初のケースであって、1023Kでエチレンへと酸化的結合したメタンが、14%のメタン変換率及び5%のエチレン選択性をもたらしたケースを報告した。このプロセスは、20〜40%までのメタン変換率、50〜80%までのエチレン選択性、及び14〜25%のエチレン収率と最適化してきたが、スケールアップ応用はなお、高温酸化条件、メタンからCO
2への過度の酸化、生成物の分離などのような多くの不都合に悩まされている。SOMプロセスは、同様の困難に遭遇している:メタノール及びホルムアルデヒドは、更に酸化する傾向があり、低い選択性につながる。
1993年に、Dalian Institute of Chemical Physics(DICP)の研究者が、芳香族化合物(主にC
6H
6)とH
2の形成のための、フロー反応器内で非酸化条件下で973Kで、モリブデン修飾ゼオライト触媒(HZSM−5)を用いた、6%のメタン変換率及び90%以上の芳香族化合物選択性(炭素堆積物を除く)を結果とする、メタン脱水素芳香族化(MDA)を報告した。この画期的な発見以来、多くの研究者がこのプロセスに取り組み、そして触媒調製、反応機構、失活機構などにおいて、豊富な量の有望な進展があった。それにもかかわらず工業的応用は、触媒の急速な炭素析出によって制限されている。
発明の詳細な説明
本発明は、連続フロー条件下でのメタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法とその触媒に関する。このいわゆる無酸素変換は、分子酸素(O
2)、元素硫黄(S)、又は酸化硫黄化合物(SO
2など)の非存在下でメタンを直接変換できることである。
該触媒は、金属元素が、C、N及びO元素の1個又は2個と結合したSiでできているアモルファス溶融状態の材料の格子内にドープされたものである。該ドーピングは、格子ドーピングである。このいわゆる格子ドーピングは、ドーパント金属元素が、ドープ材料の格子元素と交換することであり、そしてこのドーパント金属元素が、交換元素を除く他の元素と特異的化学結合(イオン結合など)を形成し又は形成しえず、そしてこれが、ドープ材料の格子内に閉じ込められて、特異的触媒パフォーマンスになる、金属ドーパント元素に導くであろう。
触媒の総重量を100%とすると、ドーパント金属の量は、0.001重量%を越えるが10重量%未満である。
このいわゆるアモルファス溶融状態材料は、触媒調製中、金属及びケイ素系材料が、全て溶融状態にあるか、表面が溶融状態にあるものであり、そして次に長距離無秩序及び短距離秩序を持つアモルファス材料が、冷却後に形成される。
好ましくは、該触媒のドーパント金属元素は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の1種以上である。
好ましくは、該金属元素は、Li、Na、K、Mg、Al、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ti、Zr、Ce、Cr、Mo、W、Re、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Pb、Bi、Mnの1種以上であり;そして好ましくはLi、K、Mg、Al、Ca、Sr、Ba、Ti、Ce、Mn、Zn、Co、Ni、Feの1種以上である。
好ましくは、金属化合物のタイプは、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、及び金属ケイ酸塩の1種以上である。
該触媒は、O、C、及びNの1個以上を含むケイ素系材料であって、その格子内に金属ドーパントをドープし、溶融状態を形成し、そしてこの溶融材料を固化することにより得られる材料である。
好ましくは、ドーパント金属元素の前駆体は、元素金属、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、金属カルボニル、1〜5個のC原子を持つ有機金属アルコキシド、及び1〜5個のC原子を持つ有機酸塩の1種以上を包含する。
ドーピング用ケイ素系材料を調製するためのケイ素源は、液体ケイ素源又は固体ケイ素源を包含する。
該液体ケイ素源は、特に限定されないが、好ましくはケイ酸テトラエチル、四塩化ケイ素及び有機シラン化合物の1種以上を包含する。この有機シラン化合物の化学式は、以下のとおりである:
【化1】
[式中、n=0、1、2であり;R’は下記式:
【化2】
で示され;Rは、ヒドロキシル基又はメチル基の一方を表し;
P=−Cl、−NH
2、−HNCH
2CH
2NH
2、−NHR(Rは、1〜5個の炭素原子を持つ、アルキル、アルケン又はアリールを意味する)、又は下記式:
【化3】
で示される基であり;
Xは、Cl、−OMe、−OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
3、又は−OAcのように、加水分解又は縮合できる、炭素含有官能基を意味する]。
該固体ケイ素源は、特に限定されないが、好ましくはシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、元素ケイ素の1種以上を包含するが、ここで、この固体ケイ素源の粒径は、好ましくは10nm〜200μmであり、非表面積は、好ましくは10〜500m
2/gである。
該触媒の調製方法は、以下の固相ドーピング法、又は2種以上のこのような手法の組合せのうちの1つである。
以下の触媒調製の目的は、ケイ素系材料中の金属元素の分散性を向上させ、そして金属元素を、C、N、及びO元素の1個以上と結合したSiからできているアモルファス溶融状態材料の格子内に効果的にドープすることである。
該固相ドーピング法は、以下を包含する:
金属格子ドープケイ素系触媒の調製方法は、以下の固相ドーピング法:化学気相成長法(CVD)、気相軸付け法(VAD)、レーザー誘起化学気相成長法(LCVD)、ドープゾル−ゲル法、多孔質Si化合物含浸法を包含する。
化学気相成長法(CVD):特定温度(1100〜2000℃)及び真空(10
−4Pa〜10
4Pa)下で、金属ドーパントを持つケイ素系触媒は以下の手順により得られる: 1)キャリアガス(即ち、N
2、He、H
2、Ar及びKeの1種以上)に搬送されるケイ素蒸気又はSiCl
4と金属蒸気又は揮発性金属塩(即ち、金属カルボニル、1〜5個のC原子数の金属アルコキシド、及び1〜5個のC原子数の有機酸塩の1種以上)との混合物を水蒸気と反応させる;2)次に手順1)からの生成物を空気、不活性ガス、又は真空で溶融する;3)最後に手順2)からの生成物を固化することにより、目的触媒を得る。
気相軸付け法(VAD):特定温度(1100〜2000℃)及び真空(10
−4Pa〜10
4Pa)下で、金属ドーパントを持つケイ素系触媒は以下の手順により得られる: 1)H
2に搬送されるケイ素蒸気又はSiCl
4と金属蒸気又は揮発性金属塩(即ち、金属カルボニル、1〜5個のC原子数の金属アルコキシド、及び1〜5個のC原子数の有機酸塩の1種以上)との混合物を水蒸気と反応させる;2)次に手順1)からの生成物を高温デバイス(即ち、コランダム、炭化ケイ素、窒化ケイ素の1種以上)の表面に蒸着させる。このデバイスの温度は、500と1300℃の間のある温度に制御する;3)更に、脱水及び乾燥のためにSOCl
2ガスを通す;4)次に手順3)からの生成物を空気、不活性ガス、又は真空で溶融する;5)手順4)からの生成物を固化することにより、目的触媒を得る。
レーザー誘起化学気相成長法(LCVD):熱源としてレーザーを用いて、レーザー活性化により技術強化CVDを達成する。特定温度(1100〜2000℃)及び真空(10
−4Pa〜10
4Pa)下で、金属ドーパントを持つケイ素系触媒は以下の手順により得られる: 1)キャリアガス(即ち、N
2、He、H
2、Ar、及びKeの1種以上)に搬送されるケイ素蒸気又はSiCl
4と金属蒸気又は揮発性金属塩(即ち、金属カルボニル、1〜5個のC原子数の金属アルコキシド、及び1〜5個のC原子数の有機酸塩の1種以上)との混合物を水蒸気と反応させる;2)次に手順1)からの生成物を空気、不活性ガス、又は真空で溶融する;3)最後に手順2)からの生成物を固化することにより、目的触媒を得る。
ドープゾル−ゲル法:液体ケイ素源及び有機又は無機金属塩(硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、1〜10個のC原子数の有機酸塩、及び1〜10個のC原子数の金属アルコキシドの1種以上など)を前駆体として使用し、これらを水とエタノールの混合物(混合物中の重量含水率は10〜100%である)に溶解する。前駆体の加水分解及び縮合後、安定な透明ゾルシステムが溶液から形成される。ゾルの熟成後、ゾル粒子間の重合により、ゲルの三次元ネットワーク構造がゆっくり形成される。乾燥、空気中、不活性ガス中又は真空下での溶融及び次に固化後、目的触媒を得る。
多孔質Si系材料含浸法:多孔質固体ケイ素系材料(シリカ、炭化ケイ素、及び窒化ケイ素の1種以上など)を触媒支持体として用いて、金属添加のためにこの支持体を金属塩の溶液に含浸する。含浸後、このスラリーを乾燥させる。生じる粉末を空気中、不活性ガス中又は真空下で溶融し、次に固化して、目的触媒を得る。
該触媒の調製方法は、重要な溶融プロセスを包含するが、このプロセスは、高温空気溶融プロセス、高温不活性ガス溶融プロセス、又は高温真空溶融プロセスのような、溶融工程を包含する。溶融プロセスの適温は、1300〜2200℃である。
好ましくは、高温不活性ガス溶融プロセスにおける不活性ガスは、N
2、He、Ar、及びKeの1種以上を包含する。
溶融時間は、好ましくは2〜10時間である。
高温真空溶融プロセスにおける真空は、好ましくは0.01〜100Paである。
溶融プロセスの目的は、ケイ素系材料に金属元素をドープすること、及び調製プロセスで導入した−OH基を効果的に脱離することである。
好ましくは、該固化は、触媒調製が、溶融プロセス後に重要な冷却プロセスを伴うことであり;そして該冷却プロセスは、急速冷却又は自然冷却を包含する。
該急速冷却プロセスは、ガス冷却、水冷、油冷及び液体窒素冷却の1種以上のプロセスを包含する。急速冷却プロセスの速度は、好ましくは50〜800℃/秒である。
好ましくは、該油冷プロセスにおける油のタイプは、鉱油(飽和炭化水素含量50〜95%、S含量≦0.03%、粘度指数(VI)80〜170)、ナタネ油、シリコーン油、PAO(ポリ−α−オレフィン)の1種以上を包含する。該ガス冷却プロセスにおけるガスのタイプは、不活性ガス(He、Ne、Ar、Ke)、N
2及び空気の1種以上を包含する。
溶融及び固化後、アモルファス溶融状態触媒は、研削又は成形プロセスの重要な工程に関わる。
研削後の粒径は、好ましくは10nm〜10cmである。
該成形プロセスは、溶融されたアモルファス溶融状態触媒が、種々の反応プロセスを満足させるよう特定の形状(ハニカム形モノリス触媒など)を獲得するために製造されるか、又は管型反応装置中に直接製造される(触媒の添加なしに)ことである。
C、N及びO元素の1個以上と結合したSiでできている1種以上のアモルファス溶融状態材料中に金属ドーパントを有する該触媒は、A@SiO
2、A@SiC、A@Si
3N
4、A@SiC
xO
y(4x+2y=4)、A@SiO
yN
z(2y+3z=4)、A@SiC
xN
z(4x+3z=4)、A@SiC
xO
yN
z(4x+2y+3z=4;x、y及びzは同時にゼロではなく、そしてx、y及びzの範囲は、それぞれ0〜1、0〜2、及び0〜4/3である)と表現することができる。「A」は、金属ドーパントを意味する。
A@SiO
2では、Si原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、シリカ(Si)の格子に挿入され、隣接O原子と結合する(A−O)。A@SiC触媒では、Si原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、炭化ケイ素(SiC)の格子に挿入され、隣接C又はSi原子と結合する(A−C又はSi−A)。A@Si
3N
4では、Si原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、窒化ケイ素(Si
3N
4)の格子に挿入され、隣接N原子と結合する(A−N)。A@SiC
xO
yでは、Si又はC原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、SiC
xO
yの格子に挿入され、隣接C、O又はSi原子と結合する(A−C、A−O又はA−Si)。A@SiO
yN
zでは、Si又はN原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、SiO
yN
zの格子に挿入され、隣接N、O又はSi原子と結合する(A−N、A−O又はA−Si)。A@SiC
xN
zでは、Si又はC原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、SiC
xN
zの格子に挿入され、隣接C、N又はSi原子と結合する(A−C、A−N又はA−Si)。A@SiC
xO
yN
zでは、Si、N又はC原子を部分的に置換することにより、金属元素Aは、SiC
xO
yN
zの格子に挿入され、隣接C、N、O又はSi原子と結合する(A−C、A−O、A−N又はA−Si)。
本発明は、メタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法であって、3つの反応方式、即ち、流動床方式、移動床方式、及び固定床方式を包含する方法を含む。
本発明は、メタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法であって、供給ガスが、メタンに加えて不活性及び非不活性ガスの1種以上を包含する方法を含む。0〜95%の体積含量で、不活性ガスは、窒素(N
2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、及びクリプトン(Ke)の1種又は2種を包含する。非不活性ガスは、一酸化炭素(CO)、水素(H
2)、二酸化炭素(CO
2)、水(H
2O)、一価アルコール(炭素原子の数が1〜5である)、二価アルコール(炭素原子の数が2〜5である)、アルカン類(炭素原子の数が2〜8である)の1種又は2種を包含する;メタンに対する非不活性ガスの体積比は0〜15%であり、そして供給ガス中のメタンの体積含量は5〜100%である。
本発明は、メタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法であって、反応前に触媒への前処理が必要である方法を含む。前処理プロセスの雰囲気は、供給ガス又は炭化水素及びその誘導体であって、これらは、2〜10個の炭素原子数のアルカン類、2〜10個の炭素原子数のアルケン類、2〜10個の炭素原子数のアルキン、1〜10個の炭素原子数の一価アルコール、2〜10個の炭素原子数の二価アルコール、1〜10個の炭素原子数のアルデヒド、1〜10個の炭素原子数のカルボン酸、6〜10個の炭素原子数の芳香族化合物の1種又は混合物を含有する。前処理温度は800〜1000℃であり;前処理圧力は0.1〜1MPa、好ましくは大気圧下である。供給ガスの重量時間当たりの空間速度は、500〜3000ml/g/時、好ましくは800〜2400ml/g/時である。
本発明は、メタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法であって、反応プロセスが、連続フロー反応方式又はバッチ反応方式を包含する方法を含む。連続フロー反応方式下で、反応温度は750〜1200℃、好ましくは800〜1150℃であり;反応圧力は0.1〜1MPa、好ましくは大気圧下であり;供給ガスの重量時間当たりの空間速度は1000〜30000ml/g/時、そして好ましくは4000〜20000ml/g/時である。バッチ反応方式下で、反応圧力は好ましくは1〜20MPaであり;反応時間は好ましくは≧5分である。
本発明は、メタンの無酸素直接変換によるオレフィン合成方法であって、オレフィン生成物が、エチレン、プロピレン、又はブチレンの1種又は2種を包含し、そしてこの反応における同時産物(joint products)が、芳香族化合物及び水素を包含する方法を含む。芳香族生成物は、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼン、及びナフタレンの1種以上を包含する。
メタン脱水素芳香族化プロセスの研究に基づいて、本発明は、無酸素及び連続フロー反応方式下のメタンの直接変換による、オレフィン、芳香族化合物及び水素生産用の金属ドープケイ素系触媒を開示する。先の無酸素メタン変換プロセスと比較して、本方法は、以下の特徴を有する:
1.反応プロセス
1) 高オレフィン選択性(30〜90%);
2) 10〜70%までの芳香族副産物(co-products)の選択性が達成される;
3) 初期のわずかなコーク沈着以外に、後続の反応プロセスはコーク沈着ゼロを示す;
4) 生成物は容易に分離できる。
2.触媒
1) 簡単な調製法及び低コスト;
2) 高い機械的強度及び良好な熱伝導度;
3) 微多孔質又はメソ多孔質材料を必要としない;
4) 反応条件及び反応プロセスに応じた、加工で任意に異なる形状及び仕様;
5) 800〜1150℃のレドックス及び熱水条件の雰囲気下の高安定性;
6) コーク沈着ゼロ及び触媒の独自構造に起因する触媒長寿命(>100時間)。
要約すると、該反応プロセスは、触媒の長寿命、高安定性、目的生成物の高選択性、コーク沈着ゼロ、生成物の容易な分離、良好な再現性、安全かつ確実な稼働等のような、多くの利点を有しており、これらは産業上の利用には非常に重要である。
本発明とメタン脱水素芳香族化との間には生成物分布に幾つかの類似点があると考えられるが、触媒及び反応機構などにおいて、根本的な違いがある。第1に、メタン脱水素芳香族化プロセスには、微多孔質ゼオライト支持体が必要である。第2に、メタン脱水素芳香族化の現在認められている反応機構はスキーム1に示される。メタンは、生じる活性部位(MoC
x、WC、Reなど)の表面に解離することにより、CH
x種が生成する;次いで、CH
x種はゼオライト支持触媒の表面に結合することにより、C
2H
y種が形成される;次にC
2H
y種はゼオライトのブレンステッド酸性部位に結合して環化し、ここでゼオライトチャネルの形状選択性により芳香族化合物が形成される(J. Energy Chem. 2013, 22, 1-20)。
【化4】
しかし、本特許の触媒は、金属元素が、C、N及びO元素の1個以上と結合したSiでできているアモルファス溶融状態の材料の格子内にドープされたものである。この反応機構により、メタンは活性種(格子内のドーパント金属)により誘導されて、・CH
3ラジカルが生成し、これが更に結合及び脱水素することにより、オレフィン、芳香族化合物及び水素が得られる(スキーム2)。
【化5】
本発明とメタン脱水素芳香族化との違いは、以下のとおりである: 1)メタン脱水素芳香族化には、特定のサイズと構造のゼオライトのチャネル、更には一定量及びタイプのゼオライトの酸性部位を持つことが必要である。これに対して本特許における触媒は、チャネル及び酸のないアモルファス溶融状態材料である;2)メタン脱水素芳香族化の機構は、活性Mo種とゼオライトの酸性部位の間の相乗的相互作用であり、一方、本特許は、ラジカル誘導機構である。
本特許において、メタン変換率は8〜50%であり;オレフィン選択性は30〜90%であり;芳香族化合物選択性は10〜70%である。特許請求される触媒を用いる該反応プロセスは、触媒の長寿命(>100時間)、高温におけるレドックス及び熱水条件の高安定性、目的生成物の高選択性、コーク沈着ゼロ、生成物の容易な分離、良好な再現性、安全かつ確実な稼働等のような、多くの利点を有しており、これらは産業上の利用には非常に望ましい。