技術分野
油圧式ショベル等の建設機械の油圧駆動装置に係わり、特に、2つの吐出ポートを有しかつ単一のレギュレータ(ポンプ制御装置)によって吐出流量が制御されるスプリットフロー型で可変容量型の油圧ポンプを備えるとともに、油圧ポンプの吐出圧が複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう油圧ポンプの吐出流量を制御するロードセンシングシステムを備えた建設機械の油圧駆動装置
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
油圧ショベル等の上部旋回体を有する建設機械においては、複数のアクチュエータを同時に操作する複合操作に、上部旋回体を旋回させながらブームを上昇させるいわゆる旋回ブーム上げがある。旋回ブーム上げは、ダンプトラック等への積み込み作業時等に繰り返し行われる複合操作であり、油圧ショベルで頻繁に行われる。昨今の油圧ショベルには、この旋回ブーム上げにおけるオペレータの操作性を向上させるために、上部旋回体を旋回する旋回モータと、ブームを回動させるブームシリンダとをそれぞれ別のポンプで駆動しているものがある。
特許文献1記載の油圧駆動装置はその一例であり、ブームシリンダは第1アクチュエータ群に含まれ、旋回モータは第2アクチュエータ群に含まれ、ブームシリンダを第1油圧ポンプで駆動し、旋回モータを第2油圧ポンプで駆動している。
特許文献2記載の油圧駆動装置においては、走行単独或いは走行とドーザ装置の複合操作では2つの吐出ポートの吐出流量を独立してアクチュエータに供給しているが、それ以外の複合操作では、分・合流切換弁を合流位置に切り換えてスプリットフロー型の油圧ポンプの2つの吐出ポートを1ポンプとして機能させ、2つの吐出ポートの吐出油を合流してアクチュエータに供給している。このような油圧駆動装置で旋回ブーム上げを行った場合は、ブームシリンダと旋回モータに2つの吐出ポートからの吐出油が合流して供給されるため、旋回モータが高負荷・小流量のアクチュエータ、ブームシリンダが低負荷・大流量のアクチュエータとなる旋回ブーム上げの初期段階においてブーム上げ速度の低下が防止され、旋回ブーム上げにおける操作性を向上させることができる。
しかし、特許文献2記載の油圧駆動装置は、旋回ブーム上げを行うとき、2つの吐出ポートの吐出油をそれぞれの圧力補償弁及び流量制御弁の上流側で合流させる構成であるため、合流した圧油がそれぞれの圧力補償弁と流量制御弁で分流してブームシリンダと旋回モータに供給されるとき、低負荷のアクチュエータであるブームシリンダ側の圧力補償弁が強く絞られ、ブームシリンダ側の圧力補償弁メータイン圧損が大きくなり、この圧力補償弁の圧損のために無駄なエネルギー消費が発生してしまう。
このような問題を解決する方策として、特許文献2記載の油圧駆動装置において、旋回ブーム上げの複合操作時にスプリットフロー型の油圧ポンプの2つの吐出ポート間の連通を遮断し、2つの吐出ポートの吐出油を合流させずに、特許文献1のように、ブームシリンダと旋回モータに2つの吐出ポートの吐出油をそれぞれ独立して供給し、ブームシリンダと旋回モータを独立して駆動することが考えられる。しかし、その場合には次のような問題がある。
旋回ブーム上げの複合操作では、旋回モータが駆動する上部旋回体は極めて重い慣性体であるため、油圧ポンプが圧油を吐出し、旋回モータに圧油が流入しても旋回モータの回転速度はすぐには上昇しない。このため旋回ブーム上げの初期段階では、旋回モータの負荷圧は旋回モータに設けられている旋回リリーフ弁のセット圧まで急激に上昇し、その後、上部旋回体が回転し始め、回転速度が上昇してくると、旋回モータの負荷圧は徐々に低下する。一方、フロント作業機を持ち上げるブームシリンダの負荷圧は旋回モータの負荷圧ほど大きく変化せず、かつ旋回ブーム上げの初期段階では旋回モータの負荷圧ほど高くならない。その結果、旋回ブーム上げの初期段階では、ブームシリンダの負荷圧の方が旋回モータの負荷圧よりも低く、旋回モータの負荷圧が減少する旋回ブーム上げの後期の段階でブームシリンダの負荷圧の方が旋回モータの負荷圧よりも高くなる。
ここで、油圧ショベル等の建設機械の油圧駆動装置においては、一般的に、油圧ポンプのレギュレータにトルク制御用のアクチュエータを設け、油圧ポンプの吐出圧が高くなるにしたがって油圧ポンプの容量を減少させ、油圧ポンプの吸収トルクが制限トルクを超えないようにするトルク制御を行っている。このようなトルク制御をスプリットフロー型の油圧ポンプで行う場合は、スプリットフロー型の油圧ポンプの2つの吐出ポートの吐出圧をトルク制御用のアクチュエータに導き、両者の平均圧力(又は合計圧力)でトルク制御を行うことになる。
また、スプリットフロー型の油圧ポンプは、2つの吐出ポートを有しているが、容量可変部材は1つであるため、2つの吐出ポートの吐出流量は常に同じとなる。
特許文献2記載の油圧駆動装置において、スプリットフロー型の油圧ポンプのレギュレータにのようにトルク制御用のアクチュエータを設けた場合、旋回ブーム上げの初期段階では、旋回モータの負荷圧が旋回リリーフ弁のセット圧まで上昇すると平均圧力(又は合計圧力)も高くなるため、トルク制御用のアクチュエータによって油圧ポンプの容量が減少し、旋回モータ側の吐出ポートの吐出流量だけでなく、ブームシリンダ側の吐出ポートの吐出流量も減少してしまう。この吐出流量の減少はブーム上げの速度低下を招き、ブームがオペレータの意図通りに上がらず、操作性を損なってしまう。
また、ブーム用の流量制御弁の要求流量が旋回用の流量制御弁の要求流量よりも大きい場合には旋回モータ側の吐出ポート側に余剰流量が発生し、この余剰流量は利用されることなくアンロード弁からタンクに排出される。このとき、アンロード弁によって動力が消費され、油圧ポンプを駆動する原動機が持つトルクを有効に利用することができない。
特許文献3に記載のように旋回駆動用の圧力補償弁として負荷依存特性を有する圧力補償弁を用いた場合は、旋回ブーム上げの初期段階で旋回モータの負荷圧が旋回リリーフ弁のセット圧まで上昇したときは、旋回駆動用の流量制御弁から旋回モータに供給される流量は更に減少し、余剰流量が増加するため、余剰流量が利用されることなくアンロード弁から無駄にタンクに排出される問題は、より顕著となる。
本発明の目的は、2つの吐出ポートを有するスプリットフロー型の油圧ポンプを備え、かつ油圧ポンプをロードセンシング制御とトルク制御を行う構成とした建設機械の油圧駆動装置において、上部旋回体を旋回させながらブームを上昇させる旋回ブーム上げを行う場合に、旋回モータ側の吐出ポートの吐出油をブームシリンダの駆動に有効に利用し、ブーム上げの速度低下による操作性の悪化を防止するとともに、圧力補償弁での圧損やアンロード弁からの無駄な圧油の排出を減らし、旋回ブーム上げを効率良く行うことができる建設機械の油圧駆動装置を提供することである。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
(1)目的を達成するため、本発明は、下部走行体と、この下部走行体に対して旋回可能に装架された上部旋回体と、この上部旋回体に対して上下方向に回動可能に取り付けられたブームを含むフロント作業機とを備えた建設機械の油圧駆動装置であって、原動機により駆動される少なくとも1つの可変容量型の第1メインポンプと、前記第1メインポンプにより吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、前記第1メ・・・ 続きを
知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
(1),(4)、(5)の 本発明によれば、2つの吐出ポートを有するスプリットフロー型の油圧ポンプを備え、かつ油圧ポンプをロードセンシング制御とトルク制御を行う構成とした建設機械の油圧駆動装置において、上部旋回体を旋回させながらブームを上昇させる旋回ブーム上げを行う場合に、旋回モータ側の吐出ポートの吐出油をブームシリンダの駆動に有効に利用し、ブーム上げの速度低下による操作性の悪化を防止するとともに、圧力補償弁での圧損やアンロード弁からの無駄な圧油の排出を減らし、旋回ブーム上げを効率良く行うことができる。
また、(1)の本発明によれば、左右の走行モータの少なくとも1つと走行モータ以外のアクチュエータとを同時に駆動する複合操作(走行複合操作)以外の複合操作では、合流遮断弁は遮断位置にあるため第1吐出ポートの吐出油と第2吐出ポートの吐出油はブーム駆動用の流量制御弁と旋回駆動用の流量制御弁に別々に供給されるため、旋回ブーム上げを行うときにブーム駆動用の圧力補償弁の圧損による無駄なエネルギー消費を押さえることができる。一方、走行複合操作では合流遮断弁は合流位置に切り換わり、スプリットフロー型の油圧ポンプの2つの吐出ポートは1ポンプとして機能する。このため2つの吐出ポートの圧油が合流して左右の走行モータと走行モータ以外のアクチュエータに供給され、左右の走行モータの操作レバーを同じ入力量で操作した場合は、直進走行性を維持しつつ、所望の速度で走行モータ以外のアクチュエータを駆動することが可能となり、良好な走行複合操作性を得ることができる。 また、(4)の本発明によれば、ブーム操作レバーをフル操作したときは、ブーム駆動用のメインの流量制御弁、サブの流量制御弁ともに最大開口面積となり、かつ合流弁も最大開口面積となるため、ブームシリンダにはそれらの合計の開口面積に見合った流量の圧油が供給され、良好なブーム上げ速度を確保することができる。 また、(5)の本発明によれば、合流弁を流量制御弁と圧力補償弁で構成した場合に比べてより構成が簡単となり、合流弁を設ける場合のコストアップを低減することができる。 更に、走行とブーム上げの複合操作でブーム操作レバーをフル操作した場合は、合流遮断弁は合流位置に切り換わり、スプリットフロー型の第1メインポンプの第1及び第2吐出ポートは1ポンプとして機能するため、第1メインポンプの第1及び第2吐出ポートからブームシリンダにサブの流量制御弁と圧力補償弁を介して流量制御された圧油が供給される。一方、合流弁としての切換弁は切り換わらないため、第1メインポンプの第2吐出ポートからブームシリンダに切換弁を介して圧油が供給されることはなく、ブームシリンダと走行モータの負荷圧の差の大きさが変化しても、第1メインポンプの第1及び第2吐出ポートからブームシリンダに供給される圧油の流量は変化しない。これにより合流弁として構成が簡単で安価な切換弁を用いた場合でも、オペレータの意図通りのブーム上げ速度を得ることができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
知財ポータルサイト IP Force にログインして確認する (無料)
この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係わる油圧ショベル(建設機械)の油圧駆動装置を示す図である。
【図2A】 ブームシリンダ及びアームシリンダ以外のアクチュエータ(旋回モータを含む)の流量制御弁のそれぞれのメータイン通路の開口面積特性を示す図である。
【図2B】 アームシリンダのメイン及びアシスト流量制御弁のそれぞれのメータイン通路の開口面積特性(上側)と、アームシリンダのメイン及びアシスト流量制御弁のメータイン通路の合成開口面積特性(下側)を示す図である。
【図2C】 ブームシリンダのメイン流量制御弁と第1及び第2アシスト流量制御弁のそれぞれのメータイン通路の開口面積特性(上側)と、ブームシリンダのメイン流量制御弁と第1及び第2アシスト流量制御弁のメータイン通路の合成開口面積特性(下側)を示す図である。
【図3】 旋回用の圧力補償弁7cの負荷依存特性を説明するための圧力補償弁7cの模式図である。
【図4】 旋回用の圧力補償弁7cの負荷依存特性を示す図である。
【図5】 第1トルク制御部により得られるトルク制御特性を示す図である。
【図6】 第2トルク制御部により得られるトルク制御特性を示す図である。
【図7】 油圧駆動装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
【図8】 比較例を示す、図1と同様な図である。
【図9】 図8に示す比較例において、旋回ブーム上げを行ったときの負荷圧と2つのメインポンプの吐出圧の時系列変化である圧力波形の一例を示す図である。
【図10】 比較例と本実施の形態における時刻t1でのスプリットフロー型のメインポンプの挙動をPQ特性で見た図であり、上側がメインポンプの第1吐出ポート側のPQ特性を示し、下側がメインポンプの第2吐出ポート側のPQ特性を示している。
【図11】 本発明の第2の実施の形態に係わる油圧ショベル(建設機械)の油圧駆動装置を示す図である。
【図12】 切換弁の開口面積特性を示す図である。
【図13】 第2の実施の形態で旋回ブーム上げを行ったときの負荷圧と2つのメインポンプの吐出圧の時系列変化である圧力波形の一例と、切換弁を通過する流量の時系列変化の一例を示す図である。
1 原動機
102 可変容量型メインポンプ(第1メインポンプ)
102a,102b 第1及び第2吐出ポート
112 レギュレータ(ポンプ制御装置)
112a 低圧選択弁
112b LS制御弁
112c LS制御ピストン
112d,112e トルク制御ピストン
112f 減トルクピストン
112g 減圧弁
202 可変容量型メインポンプ(第2メインポンプ)
202a 第3吐出ポート
212 レギュレータ(ポンプ制御装置)
212b LS制御弁
212c LS制御ピストン
212d トルク制御ピストン
115,215,315 アンロード弁
111,211,311 差圧減圧弁
146,246 第2及び第3切換弁
3a〜3h 複数のアクチュエータ
3a ブームシリンダ
3c 旋回モータ
4 コントロールバルブユニット
6a〜6k 流量制御弁
7a〜7k 圧力補償弁
8a〜8j 操作検出弁
9b〜9k シャトル弁
6k,7k 合流弁
13 原動機回転数検出弁
24 ゲートロックレバー
30 パイロットポンプ
31a,31b,31c パイロット圧油供給路
32 パイロットリリーフ弁
40 第1切換弁(合流遮断弁)
53 走行複合操作検出油路
43 絞り
71,72 チェック弁
73a,73b 旋回リリーフ弁
90 切換弁(合流弁)
100 ゲートロック弁
122,123,124a,124b 操作装置
131,132,133 第1,第2,第3負荷圧検出回路
全ての図面はログインすると無料で閲覧できます。ログイン・ユーザー登録