ポリエン及びエポキシ樹脂を、チオールとアミン硬化剤との混合物で硬化させることにより、ポリマーを作製するための方法に関する。
エラストマー性(ゴム状)ポリマーは、多種の用途において幅広く使用されている。エラストマー性ポリマーは、タイヤ、多くの種類の封止体、ガスケット、管類、可撓性管及びホース、機械的装置用スリーブ及びカバー、空気管理通風路、レンズの絞り、多くの基材のための保護コーティング、靴底、車輪、衝撃吸収材、コーキング材及び封水剤、可撓性スペーサ、ならびに広範の緩衝製品を製造するのに使用されている。
多くの現場における用途は、使用場所で、エラストマー性ポリマーが形成され成型される必要がある。封水剤が、これの例であり、多くの防水剤は、液体または半液体物質として適用され、次いでこれは、定位置で硬化しなければならない。そのような場合には、多くの場合、必要な融解処理装置が現地で利用できないか、あるいは、技術的または経済的のいずれかで特定の用途に適合できないために、熱可塑性材料を使用することは実用的ではない。必要な処理装置の費用のため、融解処理が必要なポリマーは通常、その部品が大量に事前に形成され得る用途に限定される。
幾つかの種類のこれらの硬化性ポリマーが商業的に使用されているが、ポリウレタンが、これらの用途において最も大量に使用されている種類のポリマーである。ポリウレタンは、低分子量前駆体の反応をとおして、実質上あらゆる規模で容易かつ安価に生成することができる。開始材料及び触媒の慎重な選択をとおして、これらの前駆体が、低温から中温で、時には周囲条件においてさえ反応を引き起こして、高分子量の頑丈なエラストマー材料を形成することができる。
ポリウレタンに関連する問題は、イソシアネート化学が、その利点の中核であるが、ポリイソシアネート化合物が適切に扱われない場合、潜在的な労働者の暴露の懸念が存在することである。
イソシアネート化合物への人体暴露を制限する1つの方法は、遊離イソシアネート化合物を含有しない代替的硬化性ポリマー系を提供することであろう。しかしながら、現在は、液体の低粘度の前駆体から周囲温度か、または高くても中程度の高温で迅速に硬化し、(大きな工業規模の部品製造にも完全に好適であると同時に)小規模で現場での適用に適し、伸長及び引張強度の良好な組み合わせを有するエラストマー材料を形成する長所を提供する利用可能な他のポリマー系は存在しない。
チオール−エン化学が、低粘度前駆体からポリマーを作製する手段として提案されている。チオール−エン反応は、いくつの条件下で極めて迅速に進行し得、付加反応として、除去される必要のある反応副生成物を生成しない。しかしながら、硬化して、ポリウレタンエラストマー性のものと類似する特性を有するエラストマー材料を形成するチオール−エン系は、開発されていない。チオール−エン材料は、大半が非常に低い伸長を有する、硬質なガラス質のポリマーである。
チオール−エン/エポキシ混成を形成することにより、チオール−エンポリマーの特性を伸ばすための幾つかの試みが行われている。例えば、Sangermano et al.,“Preparation and characterization of hybrid thiol−ene/epoxy UV−thermal dual−cured systems”,Polym.Int.2010:50:1046−1051に、そのような混成を作製する試みを記載している。この生成物は、エラストマー性ではない。これらは動機械的熱分析による16〜25℃の範囲の単一のガラス転位温度を有する。Carioscia et al.,“Evaluation and control of thiol−ene/thiol−epoxy hybrid networks”,Polymer 48(2007)1526−1532は、歯科用途のためのチオール−エン/チオール−エポキシ相互貫入網目構造システムを記載している。これらもまた、エラストマー性ではない。これらは、約71〜75℃の単一のガラス転位温度を有する。
Shinらは、“Segmented Polythiourethane Elastomers through Sequential Thiol−Ene and Thiol−Isocyanate Reactions”,Macromolecules 2009,42,3294−3301に、エラストマー性ポリチオウレタンを記載している。これらは、1,6−ヘキサンジチオールと1,4−ブタンジオールジアクリレートとの間のホスフィン触媒のチオール−エン反応によりチオール末端プレポリマーを生成し、次いでプレポリマーをポリイソシアネート化合物で鎖延長することによって、合成された。この合成は、溶液中で実施し、析出を介して生成物を単離する。そのため、これは工業的に実行可能な方法ではない。
本発明は、一態様において、ポリマーを形成するための方法であって、a)1)チオール基と反応し得る脂肪族炭素−炭素二重結合を含有する、平均少なくとも2つの基を有する少なくとも1つのポリエン化合物であって、そのような脂肪族炭素−炭素二重結合のうちの少なくとも1つが、少なくとも1000原子質量単位の質量を有する脂肪族スペーサ基によってそれぞれ他の前記脂肪族炭素−炭素二重結合から分離される、少なくとも1つのポリエン化合物、2)構成成分1)の100重量部当たり20〜150重量部の、1個の分子当たり平均少なくとも1.5個のエポキシド基及び最大1000の数平均エポキシ当量を有する少なくとも1つのエポキシ樹脂、ならびに3)少なくとも2つのチオール基を有する少なくとも1つのチオール硬化剤及び少なくとも2つのアミン水素を有する少なくとも1つのアミン硬化剤であって、1:99〜99:1のモル比で存在する、チオール硬化剤及びアミン硬化剤を含有する、反応混合物を形成することと、b)反応混合物を硬化させて、ポリマーを形成することと、を含む、方法である。
本発明は、非常に有用な特性を有するポリマーを作製するための、汎用の非イソシアネート手段を提供する。本発明は、反応混合物が、特定の開始材料及び触媒の選択をとおして、広範な条件下で硬化するように適合され得るため、処理の観点から汎用である。多くの場合、反応物質は、室温でも自発的に重合し、熱を加えなくても硬化して、有用な特性を有するポリマーを形成し得る。この属性は、特定の用途、特に、特定の現場の防水剤及び接着用途において非常に有益である。あるいは、反応混合物は、高温、場合によってはフリーラジカル源等の特定の条件に曝露されるまで緩徐に硬化するように、製剤化され得る。
同様に、得られるポリマーの特性は、特定の用途に適合された特性を有する生成物を生成するように、容易に変化する。これらの特性を変化させる1つの方法は、チオール及びアミン硬化剤の割合における調節をとおしてである。したがって、単純なツールが提供され、これによって、特定の用途の必要性に適合するように、ポリマー特性を特定の範囲内で調整することができる。
ポリエン化合物は、チオール−エン付加反応に携わり得る、少なくとも2個の脂肪族炭素−炭素二重結合(「エン基」)を有する。これらのエン基のうちの少なくとも1つは、少なくとも1000原子質量単位の質量を有する軟質脂肪族スペーサ基によって他のエン基のそれぞれから離間される。これらのエン基のそれぞれが、そのような軟質脂肪族スペーサ基によって他のそれぞれから離間されることが好ましい。エン基は、好ましくは末端、すなわち、分子鎖の端にある。
ポリエンは、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下、さらにより好ましくは4個以下のエン基を有する。
エン基は、脂肪族、またはより好ましくなく、水素原子が炭素原子のうちの少なくとも1つと結合している、脂環式炭素−炭素二重結合である。炭素−炭素二重結合は、以下の形態を取り得、
−RC=CR’R’’
式中、R、R’、及びR’’は、独立して水素または有機置換基であり、この有機置換基は、置換され得るが、但し、R、R’、及びR’’のうちの少なくとも1つが水素原子であることを条件とする。例えば、R、R’、及びR’’のいずれかは、最大12個、好ましくは最大4個、より好ましくは最大3個の炭素原子を有するアルキルまたは置換アルキル基であり得る。Rは、好ましくは水素またはメチルである。R’及びR’’が、それぞれ水素、より好ましくはR、R’、及びR’’が全て、水素であることが好ましい。
幾つかの実施形態において、エン基は、例えば、アクリレート(−O−C(O)−CH=CH
2)基またはメタクリレート(−O−C(O)−C(CH
3)=CH
2)基等の、末端α,β−不飽和カルボン酸基の形態で提供される。幾つかの実施形態において、エン基は、末端ビニル(−CH=CH
2)基である。ビニル基は、ビニル基が、フェニル環等の芳香族環の環炭素と直接結合している、ビニルアリール基であり得る。幾つかの実施形態において、エン基は、末端アリル(−CH
2−CH=CH
2)基である。ポリエン化合物は、異なる種類のエン基を有し得るか、またはエン基の全てが同じであり得る。
スペーサ基はそれぞれ、少なくとも1000原子質量単位、好ましくは少なくとも1500原子質量単位、より好ましくは少なくとも2000原子質量単位、さらにより好ましくは少なくとも3000原子質量単位、幾つかの実施形態においては、少なくとも4000原子質量単位の質量を有する。軟質スペーサ基の重量は、20,000もの量であり得、好ましくは最大12,000、より好ましくは最大8000である。スペーサ基はそれぞれ、好ましくは、硬化すると、得られたポリマー中に−20℃以下、好ましくは−35℃以下、より好ましくは−40℃以下のガラス転位温度を有するエラストマー相を生成する少なくとも1000原子質量単位の質量を有する少なくとも1個の鎖を含む。
スペーサ基は、脂肪族である。好適な脂肪族スペーサ基は、これらの主鎖内に、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭素−炭素単結合及び/もしくは非共役二重結合、脂肪族エーテル結合、脂肪族アミン結合、ならびに/または他の類似の結合の配列を含有する基を含む。そのような配列は、例えば、少なくとも5個の原子、または少なくとも10個の原子の長さであり得、最大数百個の原子の長さであり得る。これらの配列は、アミド、ウレタン、尿素、エステル、及びイミドカーボネート等の様々な連結基で、散在され得る。これらの配列は、芳香族基で散在され得るが、但しそのような芳香族基が、好ましくは脂肪族スペーサ基の重量の25%以下、好ましくは5%以下を構成すること条件とする。
好適な実施形態において、スペーサ基のそれぞれは、脂肪族ポリエーテル鎖を含有し、これは、それぞれのそのようなスペーサ基の全てまたは一部を形成し得る。脂肪族ポリエーテル鎖は、好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000、さらにより好ましくは少なくとも3000、幾つかの実施形態においては、少なくとも4000〜20,000もの量、好ましくは最大12,000、より好ましくは最大8,000の重量を有する。例えば、ポリエーテル鎖は、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、及びテトラメチレンオキシド等のうちの1つ以上のポリマーであり得る。例えば、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、及び2,3−ブチレンオキシド等のうちの1つ以上のポリマー等の側基を有するポリエーテル鎖が、良好な特性を有する相分離ポリマーの形成において、特に良好な結果を提供することが見出されている。特に好適なスペーサ基は、最大40重量%、好ましくは最大25重量%、より好ましくは最大約15重量%の共重合エチレンオキシドを含有する、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)鎖またはランダムプロピレンオキシド−エチレンオキシド共重鎖を含有する。そのような特に好適なスペーサ基は、末端ポリ(エチレンオキシド)セグメントを有し得るが、但し、そのようなセグメントは、総計でポリエーテルの総重量の40%超、好ましくは25%以下、より好ましくは15%以下を構成すべきではないことを条件とする。
ポリエン化合物の好適な部類は、エン末端ポリエーテル、特に、少なくとも2000(好ましくは少なくとも4000)、最大12,000(好ましくは最大8,000)の分子量、及び1個の分子当たり2〜8個、好ましくは2〜6個、または2〜4個のエン基を有するエン末端ポリエーテルである。
幾つかの実施形態における好適なエン末端ポリエーテルを作製するのに使用されるポリエーテルポリオールは、50μeq/g以下の末端不飽和を有する。ポリエーテルポリオール中の末端不飽和は、生成物中の単官能ポリエーテル種の存在を示す。したがって、より少ない量の末端不飽和は、生成物が、より低量の単官能ポリエーテル種を有することを示す。単官能ポリエーテル種は、アルキレンオキシド(特にプロピレンオキシド)が異性化し、アルコキシル化して単官能分子を形成するモノアルコールであるアリルアルコール及び/またはプロペニルアルコールを形成するときに、形成することがわかっている。末端不飽和度は、例えば、20μeq/g未満、10μeq/g未満、7μeq/g未満、または5μeq/g未満であり得る。
エン末端ポリエーテルを作製するための幾つかの方法が存在する。1つの方法は、ポリエーテルポリオールのヒドロキシル基を、ヒドロキシル基と反応してポリエーテル鎖の端に結合を形成する官能基も有するエン化合物でキャッピングすることを伴う。そのようなキャッピング化合物の例には、例えば、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)またはイソシアネートエチルメタクリレート(IEM)等の、エン含有イソシアネート化合物が挙げられる。エン末端ポリエーテルは、ポリエーテルポリオールを、ビニルベンジルクロリド等のエチレン性不飽和ハライド、ビニルトリメトキシルシラン等のエチレン性不飽和シロキサン、またはエチレン性不飽和エポキシド化合物でキャッピングすることによっても、調製することができる。
エン末端ポリエーテルを作製するための別の方法は、上述のとおり、ポリエーテルポリオールをポリイソシアネート化合物で、好ましくはジイソシアネートでキャッピングすることである。ポリイソシアネートは、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはトルエンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート、及び水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートでもよい。これは、ウレタン基及び末端イソシアネート基を含有するプレポリマーを生成する。次いで、イソシアネート基は、上述のとおり、ヒドロキシル基及びエン基を有するイソシアネート反応性キャッピング化合物との反応によって、キャッピングされる。そのようなイソシアネート反応性キャッピング化合物の例には、例えば、アリルアルコール、ビニルアルコール、ならびにヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレートならびに/またはヒドロキシアルキルメタクリレート化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂は、1個の分子当たり、数平均少なくとも1.5個、好ましくは少なくとも1.8個のエポキシド基、及び最大1000のエポキシ当量を有する、1つ以上の物質である。数平均エポキシ当量は、好ましくは最大500、より好ましくは最大250、さらにより好ましくは最大225である。エポキシ樹脂は、好ましくは最大8個のエポキシド基を有し、より好ましくは1個の分子当たり、1.8〜4個、特に1.8〜3個のエポキシド基を有する。
エポキシ樹脂は、好ましくは、他の構成成分との容易な混合を促進するため、室温で液体である。しかしながら、特に、エポキシ樹脂がポリエン化合物に可溶性である場合、及び/またはエポキシ樹脂が好適な溶媒中の溶液の形態で提供される場合、(25℃で)固形のエポキシ樹脂を使用することが可能である。
例えば、とりわけ有用なエポキシ樹脂には、ポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。1つの種類のポリフェノール化合物は、例えば、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラメチルビフェノール等のジフェノール(すなわち、正確に2個の芳香族ヒドロキシル基を有する)、またはこれらの2つ以上の混合物である。そのようなジフェノールのポリグリシジルエーテルは、改良されていてもよいが、但し、エポキシ当量は、約1000以下、好ましくは約250以下、より好ましくは約225以下であることを条件とする。
ポリフェノールの好適なポリグリシジルエーテルには、以下の構造(I)
【化1】
によって表されるものが挙げられ、式中、各Yは、独立して、ハロゲン原子であり、各Dは、好適に、1〜約10個、好ましくは1〜約5個、より好ましくは1〜約3個の炭素原子、−S−、−S−S−、−SO−、−SO
2、−CO
3−、−CO−、または−O−を有する二価炭化水素基であり、各mは、0、1、2、3、または4であり得、pは、化合物が、最大1000、好ましくは170〜500、より好ましくは170〜225のエポキシ当量を有するような数である。pは、一般的に0〜1、特に0〜0.5である。
The Dow Chemical Company製のD.E.R.3680などのポリフェノールの脂肪酸修飾ポリグリシジルエーテルは、有用なエポキシ樹脂である。
他の有用なポリフェノールのポリグリシジルエーテルには、エポキシノボラック樹脂が挙げられる。エポキシノボラック樹脂は概して、フェノール基の一部または全てがエピクロロヒドリンでキャッピングされて、対応するグリシジルエーテルを生成する、メチレン架橋ポリフェノール化合物として説明することができる。フェノール環は、非置換であってもよく、または1つ以上の置換基を含有してもよく、該置換基は、存在する場合、好ましくは最大6個の炭素原子を有するアルキルであり、より好ましくはメチルである。幾つかの実施形態におけるエポキシノボラック樹脂は、約156〜300、好ましくは約170〜225、特に170〜190のエポキシ当量を有する。エポキシノボラック樹脂は、例えば、1個の分子当たり、2〜10個、好ましくは3〜6個、より好ましくは3〜5個のエポキシド基を含有し得る。とりわけ好適なエポキシノボラック樹脂は、一般構造:
【化2】
![]()
を有するものであり、式中、lは、0〜8、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3であり、各R’は、独立してアルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、各xは、独立して0〜4、好ましくは0〜2、またより好ましくは0〜1である。R’は、存在する場合、好ましくはメチルである。
他の有用なポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルには、例えば、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、及びテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
また他の有用なエポキシ樹脂には、エポキシ当量が最大1000、好ましくは最大500、より好ましくは最大250、特に最大200である、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。これらは、1個の分子当たり、2〜6個のエポキシ基を含有し得る。ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコール等のアルキレングリコールならびにポリアルキレングリコールと、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ならびにソルビトール等のより高い官能機能性ポリオールであり得る。これらは、好ましくはビフェノールのジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、またはエポキシノボラック樹脂と一緒に使用される。
また他の有用なエポキシ樹脂には、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン;米国特許第5,112,932号に記載されるようなオキサゾリドン含有化合物;脂環式エポキシド;ならびに改良エポキシ−イソシアネートコポリマー、例えば、D.E.R.(商標)592及びD.E.R.(商標)6508(The Dow Chemical Company)として市販されているものなど、ならびに例えば、国際公開第2008/140906号に記載されるエポキシ樹脂が挙げられる。
100重量部のエン化合物(複数可)(構成成分1))当たり20〜150重量部のエポキシ樹脂(複数可)が、反応混合物に提供され得る。エポキシ樹脂対エン化合物のこの比率が、高伸長と良好な引張強度との組み合わせを有するポリマーを提供することが見出されている。この広い範囲内で、エポキシ樹脂の量の増加に伴い、伸長は概して低下する一方で、引張強度及び弾性率が上昇する傾向がある。エポキシ樹脂の量が、前述の範囲内のとき、エポキシ樹脂は、硬化して、主に硬化エン化合物(構成成分1))によって構成される連続相中に分散する不連続樹脂相を形成する傾向がある。
より多くの量のエポキシ樹脂が提供される場合、多くの場合、硬化エポキシ樹脂が主に最終ポリマーの連続層を構成し、従来の硬質のエポキシ樹脂と類似する特性を有する低伸長生成物をもたらす相反転が見られる。そのような低伸長物質を形成するのを避けるために、100重量部のエン化合物(複数可)(構成成分1))当たり、125重量部以下のエポキシ樹脂(複数可)を提供することが好ましい。より好適な量は、100重量部のエン化合物(構成成分1))当たり、最大110重量部のエポキシ樹脂(複数可)であり、さらにより好適な量は、最大105部である。好適なより少ない量は、100重量部のエン化合物(複数可)(構成成分1))当たり、少なくとも25または少なくとも40重量部のエポキシ樹脂である。
反応混合物は、エン化合物(構成成分1))のエン基及びエポキシ樹脂(複数可)のエポキシ基の両方と反応して、高分子量ポリマーを形成することができる、少なくとも1つのポリチオール硬化剤をさらに含有する。
ポリチオール硬化剤は、少なくとも2個のチオール基を含有する。ポリチオールは、1個のチオール基当たり、好ましくは最大500、より好ましくは最大200、さらにより好ましくは最大150の当量を有する。このポリチオール化合物は、1個の分子当たり最大8個、好ましくは最大4個のチオール基を含有することができる。
とりわけ好適なポリチオール化合物は、ヒドロキシル基の全部がメルカプトアセテート及び/またはメルカプトプロピオネートでエステル化された、2〜8個、好ましくは2〜4個のヒドロキシル基及び最大約75の当量を有する低分子量ポリオールのメルカプトアセテート及びメルカプトプロピオネートエステルである。そのような低分子量ポリオールの例には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びスクロース等が挙げられる。
他の好適なポリチオール化合物には、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、及び1,6−ヘキサンジチオール等のアルキレンジチオールならびに1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,2,3−トリ(メルカプトメチル)プロパン、1,2,3−トリ(メルカプトエチル)エタン、及び(2,3−ビス(2−メルカプトエチル)チオ)1−プロパンチオール等のトリチオールが挙げられる。さらに別の有用なポリチオール化合物は、脂肪酸鎖上に少なくとも2個のメルカプト置換基を有するメルカプト置換脂肪酸、例えば、以下の構造を有するものである。
【化3】
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反応混合物は、チオール硬化剤に加え、少なくとも2個のアミン水素を有する少なくとも1つのアミン化合物をさらに含有する。このアミン硬化剤は、好ましくは1個のアミン水素当たり最大150の当量を有する。1個のアミン水素当たりの好適な当量は、最大100である。そのような硬化剤は、少なくとも1個の一級アミノ基、及び/または少なくとも2個の二級アミノ基を含有する。アミン化合物は、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、またはアミノアルコールであり得る。
脂肪族アミンの場合、アミン水素はそれぞれ、(a)非環式脂肪族炭素原子と直接結合する窒素原子、(b)(環が複素環であり得る)脂環式環の一部を形成する炭素原子と直接結合する窒素原子、及び/または(c)窒素原子自体が脂肪族環状構造の一部を形成する窒素原子と結合し得る。とりわけ好適な硬化剤には、例えば、アミノシクロヘキサンアルキルアミン、すなわち、シクロヘキサン環上にアミノ置換基及びアミノアルキル置換基を有するシクロヘキサンが挙げられる。そのようなアミノシクロヘキサンアルキルアミンの例には、シクロヘキサンメタンアミン、1,8−ジアミノ−p−メタン、及び5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)が挙げられる。他の有用なアミン硬化剤には、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、高級ポリエチレンポリアミン、N’,N’−ビス(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミン、及び2−メチルペンタン−1,5−ジアミン等の直鎖または分岐鎖ポリアルキレンポリアミンが挙げられる。さらに他のアミン硬化剤には、ジェミナル−ジ−(シクロヘキサニルアミノ)−置換アルカン、ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルピペラジン、及びビス((2−ピペラジン−1−イル)エチル)アミンが挙げられる。
好適な芳香族アミンには、例えば、アニリン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、及びジエチルトルエンジアミン等が挙げられる。
好適なアミノアルコールには、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、及びジイソプロパノールアミン等が挙げられる。
反応混合物は、1:99〜99:1のモル比で、ポリチオール硬化剤及びアミン硬化剤を含有してもよい。アミン硬化剤の割合を増加させることは、アミン硬化剤の割合が50〜60重量%に達するまで、伸長における対応する減少と共に、引張強度及び弾性率における上昇をもたらす傾向があり、この後は、アミン硬化剤の割合におけるさらなる増加が、これらの特性にほとんどさらなる影響を与えない傾向がある。したがって、本発明のある特定の実施形態において、ポリチオール硬化剤対アミン硬化剤のモル比は、25:75〜99:1、または40:60〜99:1、または50:50〜99:1である。アミン硬化剤の割合が増加するにつれ、ガラス転位温度もまた増加する傾向がある。
使用される硬化剤混合物の量は、硬化生成物に望まれる特性によって、場合によっては、所望される硬化反応の種類によって、大幅に異なり得る。硬化剤混合物の最大量は、典型的に、1当量のエン及びエポキシ基当たり、合わせて最大1.25当量、好ましくは最大1.15当量、及び場合によっては最大1.05当量のチオール及びアミン水素を提供する。より多量の過剰の硬化剤は、ポリマー特性を低下させる傾向がある。
エポキシ樹脂(複数可)は、これら自体で重合することができ、多くの場合、エン化合物もまた自己重合し得るため、反応混合物中に、大量の過剰のエポキシ及び/またはエン基を提供する可能性がある。したがって、例えば、硬化剤中に、1当量のエポキシ及びエン基当たり、合わせてわずか0.1、わずか0.25、またはわずか0.5の当量のチオール基及びアミン水素が提供され得る。
幾つかの実施形態において、硬化剤の量は、化学量論に近い、すなわち、チオール当量とアミン水素当量とを合わせた数は、反応混合物に提供されるエポキシ及びエン基の当量の合わせた数と若干近い。したがって、例えば、反応混合物中に存在する1当量のエポキシド及びエン基当たり、0.75〜1.25当量、0.85〜1.15当量、または0.85〜1.05当量のチオール及びアミン水素が、硬化剤によって提供され得る。
幾つかの実施形態における反応混合物は、少なくとも1つの塩基性触媒を含有する。本発明の目的上、塩基性触媒は、水素をチオール基から直接または間接的に抽出し、チオラートアニオンを形成し得る化合物である。幾つかの実施形態において、塩基性触媒は、チオール基及び/またはアミン水素を含有しない。触媒は、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも10のpKaを有する材料である。
とりわけ有用な種類の触媒には、強塩基及び弱酸(その内、炭酸カリウム及びカリウムカルボン酸が例である)の塩、様々なアミン化合物、ならびに様々なホスフィン等の無機化合物が挙げられる。
好適なアミン触媒には、様々な三級アミン化合物、環状または二環式アミジン化合物、例えば、1,8−ジアザビシクロ−5.4.0−ウンデセン−7、三級アミノフェノール化合物、ベンジル三級アミン化合物、イミダゾール化合物、またはそれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
三級アミノフェノール化合物は、1つ以上のフェノール性基及び1つ以上の三級アミノ基を含有する。三級アミノフェノール化合物の例には、モノ−、ビス−、及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ならびにこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。ベンジル三級アミン化合物は、三級窒素原子上の置換基のうちの少なくとも1つがベンジルまたは置換ベンジル基である三級窒素原子を有する化合物である。有用なベンジル三級アミン化合物の例は、N,N−ジメチルベンジルアミンである。
イミダゾール化合物は、1つ以上のイミダゾール基を含有する。イミダゾール化合物の例としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1)’]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1)’]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1)’]エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシルメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及び前述のイミダゾール化合物のいずれかを脱水するか、またはホルムアルデヒドを用いてそれらを濃縮することによって得られる2つ以上のイミダゾール環を含有する化合物が挙げられる。
他の有用な触媒には、ホスフィン化合物、すなわち、一般式R
33Pを有し、式中、各R
3は、ヒドロカルビルまたは不活性に置換されたヒドロカルビルである化合物が挙げられる。ジメチルフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどが、そのようなホスフィン触媒の例である。
塩基性触媒は、触媒的に有効な量で存在する。好適な量は、典型的に、硬化剤中の1当量のチオール及びアミン水素の当たり、約0.01〜約10モルの触媒である。好適な量は、硬化剤中の1当量のチオール及びアミン水素の当たり、0.1〜1モルの触媒である。
前述の成分に加えて、反応混合物は、様々な他の材料を含有してもよい。
1つのそのような材料は、フリーラジカル開始剤、具体的には、50〜160℃、特に65〜120℃、より好ましくは70〜100℃の範囲の温度に加熱されたとき、フリーラジカルを生成する熱分解性フリーラジカル開始剤である。そのような熱分解性フリーラジカル開始剤化合物は、50〜120℃の10分半減期温度を有し得る。フリーラジカル開始剤の存在は、ポリエン化合物のエン基が、多くの場合、エン基がビニル、ビニルアリール、またはアリルである場合であるような、カチオン性機構またはアニオン性機構を介して容易に硬化することができないときに、好ましい。
フリーラジカル開始剤の存在は、チオールとのエン反応がフリーラジカル機構を介して起き、エポキシ硬化がアニオン性(塩基触媒)機構を介して起こる二重構造硬化が起こることを可能にし得る。そのような方法は、所望により、まず反応混合物を、フリーラジカル開始剤によるフリーラジカルの形成を助長する条件、次いで、エポキシ樹脂構成成分を硬化させるのに十分な条件に供することにより、エン及びエポキシ反応が逐次行われることを可能にする。あるいは、両方の硬化機構は、例えば、加熱活性化のフリーラジカル開始剤を選択し、フリーラジカル開始剤を活性化しエポキシ硬化反応を助長するのに十分な高温に反応混合物をさらすことにより、同時に起こり得る。
特定のエン化合物、具体的には、末端アクリレート及び/またはメタクリレートエン基を有するものは、フリーラジカルの存在下で、同種重合し得る。したがって、幾つかの実施形態において、(硬化剤中のチオール及び/またはアミン基の量を超える)アクリレート及び/またはメタクリレートエン基を有する過剰なエン化合物は、フリーラジカル開始剤と併せて提供され、エン/チオール及び/またはエン/アミン硬化反応に加え、エン化合物の特定の量の同種重合を助長し得る。他の実施形態において、エン化合物は、例えば、フリーラジカル条件下でかなりの程度まで同種重合しない、ビニル及び/またはアリルエン基を含有する。そのような場合において、フリーラジカル開始剤の存在は、エン基がフリーラジカル機構を介してチオールと反応し、エポキシが塩基触媒機構を介して硬化する二重硬化機構を可能にするため、依然として有益であり得る。
好適なフリーラジカル発生剤の例には、例えば、ペルオキシ化合物(例えば、過酸化物、過硫酸、過ホウ酸、及び過炭酸等)、ならびにアゾ化合物等が挙げられる。特定の例には、過酸化水素、ジ(デカノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルネオデカノエート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチルペルオキシド−2−エチルヘキサノエート、ジ(t−ブチル)ペルオキシド、t−ブチルペルオキシジエチルアセテート、t−ブチルペルオクトエート、t−ブチルペルオキシイソブチルレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシピブレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウロイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビス(イソブチロニトリル)、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等が挙げられる。
フリーラジカル開始剤の有用な量は、100重量部のエン化合物(複数可)当たり、0.2〜10重量部である。
別の任意選択の構成成分は、1つ以上の低当量エン化合物である。そのような化合物(複数可)は、上述のとおり、1つ以上のエン基を有し、例えば、1個のエン基当たり最大約450、好ましくは最大約250の当量を有し得る。そのような低当量エン化合物は、例えば、低(最大125、好ましくは最大75)当量のポリオールのヒドロキシル基を、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)またはイソシアネートエチルメタクリレート(IEM)等の不飽和イソシアネート化合物、ビニルベンジルクロリド等のエチレン性不飽和ハライド、ビニルトリメトキシルシラン等のエチレン性不飽和シロキサン、またはエチレン性不飽和エポキシド化合物でキャッピングすることにより、生成することができる。低当量エン化合物は、上述のとおり、ヒドロキシル基及びエン基を有するイソシアネート反応性キャッピング化合物で、ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートをキャッピングすることによっても生成することができる。他の有用な低当量エン化合物には、ジビニルベンゼン等のジビニルアレーン化合物が挙げられる。
高当量及び低当量エン化合物の混合物は、(1)過剰のポリイソシアネートを、任意選択的に、鎖延長剤の存在下で、ポリエーテルポリオールと反応させて、イソシアネート末端ポリエーテル化合物及び未反応の(単量体)ポリイソシアネートを含有する擬似プレポリマーを形成し、次いで(2)上述のとおり、イソシアネート基をヒドロキシル基及びエン基を有するイソシアネート反応性キャッピング化合物でキャッピングすることによって、生成することができる。これは、プレポリマー分子及び残りの単量体イソシアネート化合物をキャッピングして、高当量及び低当量エン化合物の混合物を生成する。
反応混合物は、上述の材料に加えて他の材料を含有してもよい。そのような追加の材料としては、例えば、1つ以上の着色剤、1つ以上の溶媒もしくは反応性希釈剤、1つ以上の酸化防止剤、1つ以上の防腐剤、1つ以上の繊維、1つ以上の非繊維性粒状充填剤(ミクロンまたはナノ粒子を含む)、湿潤剤などを挙げることができる。
反応混合物は、好ましくはイソシアネート化合物を実質的に含まない。そのような化合物は、存在する場合全て、好ましくは反応混合物の重量の最大1%、より好ましくは最大0.5%を構成する。最も好ましくは、反応混合物は、測定可能な量のイソシアネート化合物を含有しない。
硬化ステップは、複数の方法で実施することができる。
最も単純な方法では、開始材料を、周囲温度で単純に合わせて、反応させる。概して、エン化合物(複数可)をエポキシ樹脂(複数可)と合わせた後に、硬化剤(複数可)を添加することが有益である。エン化合物をエポキシ樹脂と完全に混合した後に、硬化剤を添加することが好ましい。この混合は、例えば、高速実験室用ミキサまたは他の好適な装置を使用して行うことができる。エン化合物及び/またはエポキシ樹脂(複数可)のいずれかが、周囲温度で固形の場合、材料を加熱し、固形物を融解または軟化させて、混合を促進してもよい。
開始材料を2構成成分システムに配合することが、しばしば好都合である。第1の構成成分は、エン化合物(複数可)及びエポキシ樹脂(複数可)を含有し、第2の構成成分は、硬化剤を含む。概して、塩基性触媒を硬化剤のうちの1つまたは両方に配合して、エン及び/またはエポキシ化合物の未熟な反応を防ぐことが、好ましい。他の原料は、そのような化合物がそれらと不要に反応しないならば、構成成分のいずれかまたは両方の中に配合することができる。
次いで、反応混合物は、基材に適用され、及び/または型もしくは他の容器内に導入され、そこで硬化が起こる。
例えば、0〜180℃の温度等の、広範な硬化温度を使用することができる。多くの場合、硬化反応は、おおよそ室温(10〜35℃)で進行し、そのような場合、より高い加熱をせずに、硬化を達成することができる。そのような場合、硬化剤を、単純に周囲温度でエン化合物(複数可)及びエポキシ樹脂(複数可)と混合することができ、得られた混合物を、硬化させる。硬化反応は、概して発熱性であり、対応する温度上昇が生じることがある。
多くの場合、より早い、及び/またはさらに完全な硬化は、より高温で見られ、この理由から、幾つかの実施形態においては、反応混合物を加熱することが望ましくあり得る。これは、例えば、(a)開始材料のうちの1つ以上を、他と混合して反応混合物を形成する前に加熱すること、及び/または(b)反応混合物を、それが生の材料と組み合わせることによって形成された後で、加熱することによって、行うことができる。高温硬化が実施される場合、好適な硬化温度は、35〜180℃である。より好適な硬化温度は、50〜120℃で、さらにより好適な硬化温度は、50〜90℃である。
幾つかの実施形態において、硬化は、反応混合物をフリーラジカル及び/またはフリーラジカルを発生する条件に曝露することによって、実施することができる。これは、所望により、高温硬化の実施に加えて行うことができる。フリーラジカルは、様々な方法で提供することができる。幾つかの実施形態では、反応混合物は、光源、好ましくは水銀放電ランプまたはUV生成LEDなどの紫外線光源に曝露される。紫外線光源は、例えば、10mW/cm
2〜10W/cm
2の強度でUV放射を提供することができる。他の実施形態では、反応混合物は、プラズマに曝露される。また他の実施形態では、フリーラジカルは、前述のフリーラジカル開始剤化合物の分解によって発生される。最後の場合では、フリーラジカルは、反応混合物を高温に曝露し、それによってフリーラジカル硬化機構を助長し、またエポキシ樹脂(複数可)と硬化剤との反応を加速することによって、熱的に発生させることができる。
フリーラジカル条件は、エン−チオール硬化反応を助長するが、エポキシ硬化反応は助長しない傾向がある。したがって、通常は、フリーラジカル硬化が実施される場合でも、エポキシ硬化反応のための触媒が提供される必要がある。
場合によっては、特にエン化合物がアクリレート及び/またはメタクリレートエン基を含有するとき、フリーラジカル条件は、エン化合物(複数可)の同種重合も助長し得る。そのような同種重合を助長することが所望されるとき、反応混合物は、好ましくはアクリレート及び/またはメタクリレートエン基を有する少なくとも1つのエン化合物を含み、また、好ましくは硬化剤中の1当量のチオール及びアミン水素当たり、少なくとも1.25、最大10もの当量のエン及びエポキシ基等の、硬化剤の量に対して過剰のエン及びエポキシ基を含む。エンの同種重合が所望されない場合、エン化合物が、フリーラジカル条件下で同種重合するアクリレート及びメタクリレート基等のエン基を有さないことが好ましい。
幾つかの実施形態における硬化ポリマーは、ASTM D1708に従って決定して、少なくとも50%の破断伸長を有する。破断伸長は、1000%もの量以上であり得る。典型的な伸長は、50〜200%、特に50〜110%である。引張強度は、多くの場合、少なくとも2MPa(約300psi)、幾つかの実施形態において、少なくとも10MPa(約1450psi)、特に好適な実施形態において、少なくとも15MPa(約2175psi)である。引張強度は、30MPa(約4350psi)以上でもよいが、より典型的には最大21MPa(約3000psi)である。多くの実施形態において、ポリマーは、60〜95、より典型的には70〜95、さらにより典型的には70〜90のショアA硬度を有するが、より硬質なポリマーを生成することができる。本発明の利点は、開始材料の選択、開始材料の比率、及びある程度までは、硬化の様式をとおして、特性を適合させることができることである。
本発明のポリマーは、20℃〜120℃以上のガラス転位温度を有し得る。一般に、ガラス転位温度は、アミン硬化剤の割合の上昇に伴い、上昇する傾向がある。幾つかの実施形態において、ガラス転位温度は、少なくとも50℃、または少なくとも70℃である。
本発明の方法及びポリマーは、幅広いコーティング、接着剤、防水剤、ならびに封止体及びガスケット等のエラストマー材料を作製するのに、非常に適している。これらの生成物の例には、タイヤ、封止体、ガスケット、管類、可撓性管及びホース、機械的装置のためのスリーブ及びカバー、空気管理通風路、レンズの絞り、多くの基材のための保護用コーティング、靴底、車輪、衝撃吸収材、コーキング材及び封水剤、可撓性スペーサ、及び広範の緩衝製品が挙げられる。本発明は、コーティング、接着剤、封止剤、または弾性材料が使用場所で形成される、現場での用途に非常に好適である。
以下の実施例は、本発明を例証するために提供されるが、その範囲を限定するものではない。別段の表示がない限り、全ての部及びパーセントは重量による。
実施例1〜9及び比較試料A
A.アクリレート末端ポリエーテルの合成
74.5g(428mmol)のトルエンジイソシアネート(TDI、2,4−異性体と2,6−異性体との80/20の混合物)を、オーバーヘッド撹拌、温度制御探針、添加漏斗、及び窒素注入口を備えた、乾燥した2Lの四つ口丸底フラスコに入れる。フラスコ及びその内容物を80℃に加熱し、827g(207mmol)の4000の分子量の名目上二官能基の低級末端不飽和ポリ(プロピレンオキシド)ジオール(the Dow Chemical Company製Voranol(商標)4000LM)を添加する。ジオールを添加した後、溶液を30分間撹拌する。1滴のジブチルスズジラウレートを添加し、反応をさらに2時間撹拌する。生成物は、滴定で決定して、2.04重量%のイソシアネート含有量を有する、イソシアネート末端プレポリマーである。
881.2グラムのプレポリマーを、45℃の温度にする。54.3g(467.6mmol)のヒドロキシエチルアクリレート(95%)及び1滴のジブチルスズジラウレートを添加する。反応混合物を、FT−IRで観察して、測定可能なイソシアネート基が残留しなくなるまで、45℃で撹拌する。得られた生成物は、1個の分子当たり2個の末端アクリレート(−O−C(O)−CH=CH
2)基でキャッピングされたポリエーテルである。
B.ポリマーの生成
実施例1:Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量ジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(0.114モル)(Sigma Aldrich技術等級)とイソホロンジアミン(0.038モル)との75:25のモル比のブレンドを、76mg(チオール基に基づいて0.66モル%)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich技術等級)と混合する。次いで、チオール/アミン/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成する。開始材料のこれらの割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて1当量のチオール及びアミン水素を提供する。混合物の一部を、50℃に温めた型内へと注ぎ入れる。次いで、充填した型を、50℃のオーブンに一晩配置する。タックのないプラークを得る。
実施例2:今回は、硬化剤が50:50のモル比のトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)及びイソホロンジアミンを含有することを除き、実施例1を反復する。開始材料の割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例3:今回は、硬化剤が25:75のモル比のトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)及びイソホロンジアミンを含有することを除き、実施例1を反復する。開始材料の割合は、再度、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例4:Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(0.114モル)(Sigma Aldrich技術等級)を、アミノエチルピペラジン(0.038モル)及び76mg(チオール基に基づいて0.66モル%)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich技術等級)と混合する。次いで、チオール/アミン/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成し、これを実施例1に関して記載するとおり硬化する。開始材料のこれらの割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例5:今回は、硬化剤が50:50のモル比のトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)及びアミノエチルピペラジンを含有することを除き、実施例1を反復する。開始材料の割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例6:今回は、硬化剤が25:75のモル比のトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)及びアミノエチルピペラジンを含有することを除き、実施例1を反復する。開始材料の割合は、再度、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例7:Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(0.114モル)(Sigma Aldrich技術等級)を、ビス((2−ピペラジン−1−イル)エチル)アミン(0.038モル)及び76mg(チオール基に基づいて0.66モル%)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich技術等級)と混合する。次いで、チオール/アミン/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成し、これを実施例1に関して記載するとおり硬化する。開始材料のこれらの割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例8:今回は、硬化剤が50:50のモル比のトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)及びビス((2−ピペラジン−1−イル)エチル)アミンを含有することを除き、実施例1を反復する。開始材料の割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
実施例9:今回は、硬化剤が25:75のモル比のトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)及びビス((2−ピペラジン−1−イル)エチル)アミンを含有することを除き、実施例1を反復する。開始材料の割合は、再度、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1当量のチオール及びアミン水素を提供する。
比較試料A:Aで生成した35gのアクリレート末端ポリエーテル及び35gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、28.22gのトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(Sigma Aldrich技術等級)を、194mg(チオール基に基づいて0.6モル%)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich技術等級)と混合する。次いで、チオール/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成する。開始材料のこれらの割合は、合わせて1当量のアクリレート及びエポキシド基当たり、合わせて約1.1当量のチオール水素を提供する。混合物の一部を、50℃に温めた型内へと注ぎ入れる。次いで、充填した型を、50℃のオーブンに一晩配置する。タックのないプラークを得る。
特性試験:実施例1〜9のそれぞれ及び比較試料で形成したプラークを、ASTM D1708により引張強度、伸長、及び弾性率に関して評価する。ガラス転位温度を、試料を−90℃で平衡化し、10℃/分の速度で200℃まで加熱する示差走査熱量計によって、10mgの各プラークの試料で測定する。
特性試験の結果は、以下の表1に示すとおりである。
【表1】
表のデータによって示されるとおり、チオール硬化剤の一部を脂肪族アミン硬化剤と置換することは、最大約50重量%の置き替えで、伸長のいくらかの犠牲を払い、引張強度の上昇をもたらす傾向がある。これらの特性は、アミン硬化剤のより高い官能機能性に起因する架橋性の上昇と一貫する。引張及び伸長は、より多くのチオールがアミン硬化剤と置き替えられるにつれ、横ばい状態になる傾向がある。しかしながら、ガラス転位温度は、硬化剤中のアミンの割合が上昇するにつれて上昇し、これは、より高い温度の用途に有益である。
実施例10〜12及び比較試料B
比較試料B:実施例1Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、2,3−ビス((2−メルカプトエチル)チオ)−1−プロパンチオール(DMPT、13.18g、0.15当量のSH)及びDBU(0.0381g、2.50×10
−4モル)をブレンドする。次いで、チオール/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成する。反応樹脂を開放型に注ぎ入れ、室温で1〜2時間硬化させた後に、50℃のオーブンで一晩硬化させる。
実施例10:実施例1Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、DMPT(6.588g、0.076モル)、イソホロンジアミン(IPDA、3.230g、0.076モル)、及びDBU(0.0381g、2.50×10
−4モル)をブレンドする。次いで、チオール/アミン/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成する。反応樹脂を開放型に注ぎ入れ、室温で1〜2時間硬化させた後に、50℃のオーブンで一晩硬化させる。
実施例11:実施例1Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、DMPT(6.588g、0.076モル)、1−アミノ−2−プロパノール(IPA、2.849g、0.076モル)、及びDBU(0.0381g、2.50×10
−4モル)をブレンドする。次いで、チオール/アミン/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成する。反応樹脂を開放型に注ぎ入れ、室温で1〜2時間硬化させた後に、50℃のオーブンで一晩硬化させる。
実施例12:実施例1Aで生成した25gのアクリレート末端ポリエーテル及び25gのビスフェノールA(The Dow Chemical Company製D.E.R.383)の180エポキシ当量のジグリシジルエーテルを、高速実験室用混合で均質になるまで混合する。別に、2,3−ビス((2−メルカプトエチル)チオ)−1−プロパンチオール(6.588g、0.076モル)、IPDA(1.615g、0.038モル)、IPA(1.424g、0.038モルのNH)、及びDBU(0.0381g、2.50×10
−4モル)をブレンドする。次いで、チオール/アミン/触媒の混合物を、高速ミキサで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂の混合物と混合して、明澄な混合物を生成する。反応樹脂を開放型に注ぎ入れ、室温で1〜2時間硬化させた後に、50℃のオーブンで一晩硬化させる。
引張強度、破断伸長、及びガラス転位温度を、実施例10〜12のそれぞれ及び比較試料Bについて測定する。結果は、表2に示すとおりである。
【表2】
チオール硬化剤の一部をアミン硬化剤で置換することは、引張強度及び伸長、ならびにガラス転位温度の上昇をもたらす。
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