特許6590089IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

3相ブラシレスモータの駆動をdq軸回転座標系でベクトル制御すると共に、複数のデッドタイム補償値を所定条件で機能に応じて切り換え(ソフトウェアの瞬間的な条件分岐と徐々に切り換える徐変切換で補正し、操舵性能を向上して、滑らかで操舵音のないアシスト制御を可能とした電動パワーステアリング装置に関する。また、温度補償を考慮した高性能な電動パワーステアリング装置

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

特許文献1の装置は、q軸電流指令値の大きさによるデッドタイム補償量の計算と3相電流リファレンスモデルとを使用して、補償符号を推定する方式である。補償回路の出力値が、所定の固定値以下ではモデル電流に比例する変化値であり、所定の固定値以上では、固定値とモデル電流に比例する変化値の加算値であり、電流指令から電圧指令へと出力されるが、所定の固定値を出力するヒステリシス特性を決めるためのチューニング作業が必要である。 また、特許文献2の装置は、デッドタイム補償値を決定する際、q軸電流指令値とそれをLPF処理した補償値とでデッドタイム補償を行っているが、LPF処理により遅れが生じ、モータへの最終的な電圧指令に対して、デッドタイム補償値を操作するものではないという問題がある。 更に、操舵性能向上のため特定の領域で複数のデッドタイム補償機能を切り換える場合がある。例えば低負荷・低速操舵状態において、スイッチで切り換えた場合、それぞれの機能の補償値の差からステップ状若しくは不連続的に補償値が変化するためトルクリップルが発生し、また、高速操舵時において徐変で切り換えた場合、徐変切換の期間中に補償値の位相がずれる場合がある。このように単一機能のデッドタイム補償で全領域を補償しようとした場合、特定の領域で補償精度が悪くなり、トルクリップルや音、振動が発生する場合がある。 本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、ベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、インバータのデッドタイムを補償する複数のデッドタイム補償機能を有し、操舵状態や機能に応じてデッドタイム補償機能を切り換えて補償し、操舵性能を向上すると共に、電流波形の歪み改善と電流制御の応答性の向上を図り、モータの音や振動、トルクリップルを抑制した電動パワーステアリング装置を提供することにある。また、コントロールユニット(ECU、インバータ等)の温度に応じた補正を行い、デッドタイム補償を正確に行い得る高性能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいてdq軸操舵補助指令値を演算し、前記操舵補助指令値からdq軸電流指令値を演算し、前記dq軸電流指令値から演算されたdq軸電圧指令値を3相のDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置に関し、本発明の目的は、各相モータ端子電圧及・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、複数のデッドタイム補償機能(例えば各相モータ端子電圧に基づくインバータのデッドタイム補償機能(A)と、モータ回転角(電気角)の関数に基づくインバータのデッドタイム補償機能(B)と、電流指令値モデルに基づくデッドタイム補償機能(C))を所定条件で切り換えると共に、制御の機能(精度重視、速さ重視)によって徐変切換とソフトウェアの条件分岐とを使い分け、最適な状態でデッドタイムの補償を行うようにしているので、操舵性能を一層向上することができる。各相モータ端子電圧に基づくインバータのデッドタイム補償機能(A)は、補償符号及び補償量が自動計算されるため、オンセンター付近の低負荷・低速操舵状態においてもチャタリングがなく補償可能である。自動計算されるため、3相の補償波形が矩形波でない場合においても補償可能である。また、モータ回転角(電気角)の関数に基づくインバータのデッドタイム補償機能(B)は、角度と相電流の位相が合う低速操舵領域及び中速操舵領域において補償精度が高く、3相の補償波形が矩形波でない場合においても補償可能であるといった特長がある。また、電流指令値モデルに基づくデッドタイム補償機能(C)は、高速操舵時においても位相ずれが小さく、単純にデッドタイム補償を実施することができる特長がある。 本発明によれば、操舵条件に従って補償機能(A)、(B)及び(C)を切り換えると共に、機能によって徐変切換とソフトウェアの条件分岐を使い分けているので、両者の特長を生かした最適な操舵を実現することができる。これにより、チューニング作業もなく、インバータのデッドタイムを補償し、電流波形の歪み改善と電流制御の応答性の向上を図ることができる。 また、ECU温度(インバータ若しくはインバータ近辺の温度)に応じてデッドタイム補償機能(B)及びデッドタイム補償機能(C)を補正し、徐変切換にモータ回転数(回転速度)を考慮しているので、より微細で正確なデッドタイム補償を実現できる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】一般的な電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。

【図2】電動パワーステアリング装置の制御系の構成例を示すブロック図である。

【図3】ベクトル制御方式の構成例を示すブロック図である。

【図4】一般的なインバータの構成例を示す結線図である。

【図5】本発明の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。

【図6】デッドタイム補償部(A)の構成例を示すブロック図である。

【図7】中点電圧推定部の構成例を示すブロック図である。

【図8】補正タイミング判定部及び補正値保持部の詳細例を示すブロック図である。

【図9】補償量制限部の構成例を示すブロック図である。

【図10】補償量上限値の一例を示す特性図である。

【図11】デッドタイム補償部(B)の構成例(実施例1)を示すブロック図である。

【図12】電流指令値感応ゲイン部の構成例を示すブロック図である。

【図13】電流指令値感応ゲイン部内のゲイン部の特性図である。

【図14】電流指令値感応ゲイン部の特性例を示す特性図である。

【図15】補償符号推定部の動作例を示す波形図である。

【図16】インバータ印加電圧感応ゲイン演算部の構成例を示すブロック図である。

【図17】インバータ印加電圧感応ゲイン演算部の特性例を示す特性図である。

【図18】位相調整部の特性例を示す特性図である。

【図19】各相角度−デッドタイム補償値関数部の動作例を示す線図である。

【図20】デッドタイム補償部(C)の構成例(実施例1)を示すブロック図である。

【図21】インバータ印加電圧感応補償量演算部の構成例を示すブロック図である。

【図22】インバータ印加電圧感応補償量演算部の特性例を示す特性図である。

【図23】3相電流指令値モデルの出力波形の一例を示す波形図である。

【図24】相電流補償符号推定部の動作例を示す波形図である。

【図25】スイッチ切換判定部の構成例を示すブロック図である。

【図26】徐変切換判定部(実施例1)の構成例を詳細に示すブロック図である。

【図27】徐変比率演算部(実施例1)の構成例を詳細に示すブロック図である。

【図28】徐変比率の特性例を示す特性図である。

【図29】デッドタイム補償の動作例を示すフローチャートである。

【図30】デッドタイム補償の他の動作例を示すフローチャートである。

【図31】徐変比率演算部(実施例2)の構成例を詳細に示すブロック図である。

【図32】徐変比率演算部(実施例3)の構成例を詳細に示すブロック図である。

【図33】徐変比率演算部(実施例4)の構成例を詳細に示すブロック図である。

【図34】空間ベクトル変調部の構成例を示すブロック図である。

【図35】空間ベクトル変調部の動作例を示す線図である。

【図36】空間ベクトル変調部の動作例を示す線図である。

【図37】空間ベクトル変調部の動作例を示すタイミングチャートである。

【図38】空間ベクトル変調の効果を示す波形図である。

【図39】本発明のデッドタイム補償値の切換動作の一例を示す波形図である。

【図40】本発明(第1実施形態)の効果を示す波形図である。

【図41】本発明(第1実施形態)の効果を示す波形図である。

【図42】本発明(第1実施形態)の効果を示す波形図である。

【図43】本発明の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。

【図44】デッドタイム補償部(B)の構成例(実施例2)を示すブロック図である。

【図45】温度感応ゲイン演算部の特性例を示す特性図である。

【図46】温度感応ゲイン演算部の特性例を示す特性図である。

【図47】デッドタイム補償部(C)の構成例(実施例2)を示すブロック図である。

【図48】温度感応ゲイン演算部の特性例を示す特性図である。

【図49】温度感応ゲイン演算部の特性例を示す特性図である。

【図50】徐変切換判定部の構成例(実施例2)を示すブロック図である。

【図51】徐変比率演算部(実施例2)の構成例を示すブロック図である。

【図52】温度補正なしの場合の電流波形例を示す波形図である。

【図53】温度補正なしの場合の電流波形例を示す波形図である。

【図54】温度補正なしの場合の電流波形例を示す波形図である。

【図55】本発明(第2実施形態)の効果を示す波形図である。

【図56】本発明(第2実施形態)の効果を示す波形図である。

【図57】本発明(第2実施形態)の効果を示す波形図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1 ハンドル   2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)   10 トルクセンサ   12 車速センサ   20、100 モータ   30 コントロールユニット(ECU)   31 操舵補助指令値演算部   35 PI制御部   36、160 PWM制御部   37,161 インバータ   110 角度検出部   130、260、440、640 3相交流/dq軸変換部   140 d−q非干渉制御部   200 デッドタイム補償部(A)   210 中点電圧推定部   220 各相印加電圧演算部   230 電圧検出遅れモデル   250 補償量制限部   300 空間ベクトル変調部   301 2相/3相変換部   302 3次高調波重畳部   400、400S デッドタイム補償部(B)   401 電流制御遅れモデル   410、630 位相調整部   460、650 温度感応ゲイン演算部   500 補償値切換部   510 スイッチ切換判定部   520、520S 徐変切換判定部   530、530S 徐変比率演算部   540 条件分岐部   550 徐変切換部   600、600S デッドタイム補償部(C)   620 3相電流指令値モデル   621 相電流補償符号推定部   700 温度検出部

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