特許6624790IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

試料の少なくとも一部をイオン化し、生成したイオンの飛行時間を測定することにより質量分析を行う飛行時間型質量分析装置

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

投影イメージング質量分析装置において、高倍率および低倍率の測定を行うためには、投影型の荷電粒子光学系の倍率を変更することが考えられる。投影型の荷電粒子光学系は引出し電極や静電レンズで構成され、各々の間に形成される電場が全体として凸レンズとして機能する。当該凸レンズではイオンの軌道は1または2以上の電場により屈折するが、当該凸レンズの屈折作用を、まとめて一度の屈折と見なしたときの仮想的な屈折面を本明細書では主平面と呼ぶ。また、引出し電極や静電レンズに印加される電圧は、荷電粒子光学系全体として、適切に結像するよう設計される。 引出し電極や静電レンズに印加された電圧を変更すると、各々の間に形成される電場も変化するため、荷電粒子光学系の主平面の位置を荷電粒子光学系の軸に沿って変化させることができる。例えば、主平面の位置を測定対象物(試料)に近づけると倍率は増大し、逆に主平面の位置を検出器に近づけると倍率は低下する。かかる調整は、投影型の荷電粒子光学系の焦点距離を変化させることでもある。したがって、それらの電圧を適切に調整することにより、イオン像を検出器上で結像させ、かつ主平面の位置の変化に応じて倍率を調整することもできる。 一方、飛行時間型質量分析装置では、引出し電極等によって適当な電場で加速されたイオンが、適当な電位に設定されたフライトチューブ電極に入射し、適当な距離を等速運動してから、検収器で検出される。イオンが加速によって獲得する運動エネルギーは、当該電場が一定であれば、イオンの質量電荷比に依らず一定である。フライトチューブ電極の内部では、その少なくともその一部では、空間内の電位が一定になった空間(等電位空間)になっている。等電位空間ではイオンは、その飛行方向に対しても、また飛行方向に垂直方向にも、等速運動を行う。 フライトチューブ電極内部に等電位空間を形成させる理由は、以下の通りである。飛行時間型質量分析装置は、同一の運動エネルギーを有するイオンの飛行速度が質量電荷比ごとに異なること利用するため、フライトチューブ電極内部を飛行するイオンの運動エネルギーが変化しないことが望ましい。しかし、フライトチューブ電極内部の電位が変化すると、イオンの運動エネルギーも変化するため、イオンの質量電荷比と飛行時間の関係も変化してしまう。その結果、精度良く質量電荷比を求めることが難しくなるため、実質的にフライトチューブ電極内部の電位が一定となった実質的な等電位空間として扱えることが望ましい。尚、フライトチューブ電極内部の電位を一定にするためには、フライトチューブ電極自体の電位を一定にしても良いが、フライトチューブ電極の外部の電位による影響も考慮する必要がある。 ここで、従来の飛行時間型の投影イメージング質量分析装置において(図2(a))、投影光学系の倍率を変更するために主平面PPの位置を調整することを考える。高倍率の条件(図2(b)および(d))では、引出し電極41と第1の投影電極42との間に強い電場が生じており、第1の投影電極42のフライトチューブ電極45側の近傍に主平面PPHが形成される。一方、低倍率の条件では、第1の投影電極42とフライトチューブ電極45間の電場が、引出し電極41と第1の投影電極42間の電場よりも大きくなるよう各電極の電圧を調整することで、主平面を検出器の方向へ移動させる((図2(c))。その際、図2(e)に示すように、フライトチューブ電極45内の等電位線の間隔が図2(d)の場合に比べて狭くなっている。つまり、フライトチューブ電極45内に漏れ出す電場が大きくなるため、フライトチューブ電極45内の電位が変化し、イオンの飛行速度が変化してしまう。その結果、の理由から倍率を変更すると質量電荷比の測定精度が低下するという問題が生じた。 かかるように、従来の飛行時間型の投影イメージング質量分析装置では、質量電荷比の測定精度が低下することを抑制しつつ投影型の荷電粒子光学系の投影倍率を変更するという課題があった。 本発明は課題に鑑み、投影倍率を変更しても、質量電荷比を精度良く測定できる投影イメージング質量分析装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

の課題を解決するために、本発明に係る投影型の荷電粒子光学系は、試料に対向するように配置され、荷電粒子を通過させるための開口部を有する第1の電極と、前記第1の電極に対して前記試料の反対側に順に配置され、荷電粒子を通過させるための開口部を有する第2の電極、および、1つまたは複数の第3の電極と、前記試料から放出されたのち、前記第1の電極、前記第2の電極、および、前記1つまたは複数の第3電極を通・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明にかかる投影型の荷電粒子光学系よれば、投影倍率を変更しても、質量電荷比を精度良く測定することが可能になる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】(a)本発明による投影イメージング質量分析装置。(b)第1の実施形態における投影型の荷電粒子光学系。(c)高倍率モードにおける各電極の電位。(d)低倍率モードにおける各電極の電位。(e)アパーチャー付きフライトチューブ電極を備える投影型の荷電粒子光学系。

【図2】(a)従来の投影イメージング質量分析装置。(b)高倍率条件におけるイオン光学シミュレーション結果。(c)低倍率条件におけるイオン光学シミュレーション結果。(d)高倍率条件における電位分布。(e)低倍率条件における電位分布。

【図3】(a)第1の実施形態における高倍率モードのイオン光学シミュレーション結果。(b)高倍率モードにおける試料近傍のイオン光学シミュレーション結果。(c)高倍率モードにおける主平面PPHの位置。(d)高倍率モードにおける電位分布。

【図4】(a)第1の実施形態における低倍率モードのイオン光学シミュレーション結果。(b)低倍率モードにおける試料近傍のイオン光学シミュレーション結果。(c)低倍率モードにおける電位分布。

【図5】(a)第2の実施形態における高倍率モードのイオン光学シミュレーション結果。(b)低倍率モードにおけるイオン光学シミュレーション結果。(c)中倍率モードにおけるイオン光学シミュレーション結果。(d)高倍率モードにおける電位分布。(e)低倍率モードにおける電位分布。(f)中倍率モードにおける電位分布。

【図6】(a)円錐電極の模式図。(b)アパーチャー電極の模式図。(c)円筒型のフライトチューブ電極。(d)複数の円筒からなるフライトチューブ電極。(e)アパーチャー電極からなるフライトチューブ電極。(f)第3の実施形態における投影イメージング質量分析装置。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1 イオン銃   11 ノズル   12 イオン化部   13 質量選別器   14 チョッパー14   15 1次イオン用レンズ   16 レーザー光源   17 窓材   2 試料   3 試料ステージ   4 投影型の荷電粒子光学系   41 引出し電極   42 第1の投影電極   43 第2の投影電極   44 第3の投影電極   45 フライトチューブ電極   46 第4の投影電極   400 従来の投影型の荷電粒子光学系   411 円錐電極   412 アパーチャー電極   451 円筒型フライトチューブ電極   452 複数円筒型フライトチューブ電極   453 アパーチャー型フライトチューブ電極   5 イオン検出器   6 真空容器   A クラスターイオンビーム   B 2次イオンの軌道   C 等電位線   D レーザー光

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