特許6780314IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

酸変性塩素化ポリオレフィンと塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体とを含有する樹脂組成物に関する。より詳しくは、該樹脂組成物を含有する塗料用樹脂組成物および自動車鋼板用塗料

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、従来、公知の塩素化ポリオレフィンを含有する組成物は、いずれも低温下(−30℃)では脆い物性を示し、特に低温下での耐チッピング性が不十分であった。ここで耐チッピング性とは、耐衝撃性の一種であり、塗膜に小石が衝突しても塗膜に傷が付かないような耐性を指す。 本発明は、酸変性塩素化ポリオレフィンと塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体とを混合使用することで低温下での耐チッピング性を改良することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者は目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の酸変性塩素化ポリオレフィンと塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体を混合して使用することにより、従来のポリオレフィン基材や鋼板への密着性を損なうことなく、低温下での耐チッピング性を改良することを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は下記の樹脂組成物
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、特定の酸変性塩素化ポリオレフィンと特定の塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体を特定量含有するため、酸変性塩素化ポリオレフィンが有するポリオレフィン基材や鋼板への密着性を損なうことなく、低温下(−30℃)での優れた耐チッピング性を発現することができる。 以下、本発明の樹脂組成物および該樹脂組成物を含有する塗料用樹脂組成物について詳細に説明する。 本発明の樹脂組成物は、酸変性塩素化ポリオレフィン(A)と塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含有する樹脂組成物であることを特徴とする。
特徴を有する本発明の樹脂組成物は、低温下での耐チッピング性に優れている。そのためこの樹脂組成物を用いた塗料は、例えば耐チッピング性に優れた塗膜を形成することが可能である。 <酸変性塩素化ポリオレフィン(A)>
本発明で用いる酸変性塩素化ポリオレフィン(A)は限定的ではなく、ポリプロピレン及びプロピレン−α−オレフィン共重合体の少なくとも1種(以下、単に「ポリオレフィン」ともいう。)に、α,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種(以下、単に「不飽和カルボン酸」ともいう。)をグラフト共重合(酸変性ポリオレフィン)した後に塩素化することにより得られるものでも良いし、ポリオレフィンを塩素化(塩素化ポリオレフィン)した後に不飽和カルボン酸をグラフト共重合することにより得られるものでも良い。ポリオレフィンを不飽和カルボン酸でグラフト共重合した後に塩素化することにより得られるものが好ましい。 プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンを主体としてこれにα−オレフィンを共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを1種又は数種用いることができる。これらのα−オレフィンの中では、エチレン、1−ブテンが好ましい。プロピレン−α−オレフィン共重合体のプロピレン成分とα−オレフィン成分との比率は限定されないが、プロピレン成分が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。 α,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。グラフト共重合(酸変性)する量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましい。グラフト共重合量の制御は、不飽和カルボン酸の仕込み量で行うことができる。 ポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体にα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト共重合する方法としては、溶液法や溶融法などの公知の方法が挙げられる。 溶液法としては、例えば次のように行う。即ち、ポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体を、トルエン等の芳香族有機溶媒に100〜180℃で溶解させた後、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物を添加し、更にラジカル発生剤として水素引き抜き効果が高い有機過酸化物を一括又は分割で添加して反応させる。この反応液をアセトン等のケトン系有機溶媒に投入して樹脂を取り出し、乾燥することにより酸変性ポリオレフィンを得る。 溶融法としては、例えば次のように行う。即ち、ポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体を、融点以上に加温溶融した後、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物と、ラジカル発生剤として有機過酸化物を添加して反応させる。反応後、溶融状態で減圧して未反応のα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物を除去し、酸変性ポリオレフィンを得る。溶融法では、ニーダー、押し出し機などを使用する。 ラジカル発生剤として使用される有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられ、反応温度と分解温度によって選定することができる。 塩素化は、例えば、塩素系溶媒中にポリオレフィンまたは酸変性ポリオレフィンを溶解し、ラジカル触媒の存在下又は不存在下で、塩素含有量が5〜42質量%になるまで塩素ガスを吹き込んで行うことができる。塩素系溶媒としては、例えば、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム等が挙げられる。溶解、反応温度としては、塩素系溶媒中でポリオレフィンまたは酸変性ポリオレフィンが溶解する温度以上が望ましい。 本発明に用いる酸変性塩素化ポリオレフィン(A)の塩素含有量は5質量%以上であることが必要である。好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。また42質量%以下であることが必要であり、40質量%以下であることが好ましい。5質量%未満では溶剤への溶解性に劣ることがあるため好ましくない。42質量%を超える場合ではポリプロピレン基材に対する密着性が悪化することがあるため好ましくない。 本発明に用いる酸変性塩素化ポリオレフィン(A)の重量平均分子量は3万以上、15万以下であることが必要である。好ましくは3.3万以上、14.8万以下であり、より好ましくは3.5万以上、14.5万以下である。3万未満では塗料として用いた場合の密着性に劣ることがあるので好ましくない。15万を超える場合では塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体との相溶性に劣ることがあるため好ましくない。 <塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)>
本発明で用いる塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)は、エチレン酢酸ビニル共重合体を先述の酸変性塩素化ポリオレフィン(A)と同様の方法で塩素化することで得られるものが好ましい。 本発明で用いる塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含量は3質量%以上である必要がある。好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上である。また50質量%以下であることが必要であり、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。3質量%未満であると酸変性塩素化ポリオレフィン(A)との相溶性に劣ることがあるので好ましくない。50質量%を超える場合では樹脂組成物が柔軟になりすぎ、塗料として用いた場合の密着性に劣ることがあるので好ましくない。 本発明で用いる塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)の塩素含有量は4質量%以上であることが必要である。好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上である。また43質量%以下である必要があり、40質量%以下であることが好ましく、38質量%以下であることがより好ましい。4質量%未満であると酸変性塩素化ポリオレフィン(A)との相溶性に劣ることがあるので好ましくない。43質量%を超える場合では樹脂組成物が脆くなり、低温下で耐チッピング性に劣ることがあるため好ましくない。 本発明に用いる塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)の重量平均分子量は3万以上、27万以下であることが必要である。好ましくは5万以上、25万以下であり、より好ましくは10万以上、20万以下である。3万未満では低温下での耐チッピング性に劣ることがあるので好ましくない。27万を超える場合では酸変性塩素化ポリオレフィン(A)との相溶性に劣ることがあるため好ましくない。 <樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、酸変性塩素化ポリオレフィン(A)100質量部に対して、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)を10質量部以上90質量部以下含有する組成物である。好ましくは15質量部以上であり、より好ましくは20質量部以上である。また80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。10質量部未満であると低温下での耐チッピング性に劣ることがあるため好ましくない。90質量部を超えるとポリプロピレン基材に対する接着性に劣ることがあるため好ましくない。 本発明の樹脂組成物全体に占める酸変性塩素化ポリオレフィン(A)の含有量は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが好ましい。50質量%未満であるとポリプロピレン基材に対する接着性に劣ることがあるため好ましくない。90質量部を超えると低温下での耐チッピング性に劣ることがあるため好ましくない。 本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン基材や鋼板基材への密着性が良好であるため、塗料用樹脂組成物に好適に使用することができる。さらに、低温下での耐チッピング性が良好であるため、特に自動車鋼板用塗料に好適に使用することができる。 本発明の樹脂組成物は、有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、酸変性塩素化ポリオレフィン(A)および塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)を溶解させるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロへキサン等の脂環族炭化水素、トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t e r t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテ等のグリコールエーテル系溶剤等を使用することができ、これら1種または2種以上を併用することができる。 有機溶剤は、酸変性塩素化ポリオレフィン(A)および塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)の合計100質量部に対して、100〜2000質量部が好ましく、200〜1500質量部がより好ましく、300〜1000質量部がさらに好ましい。 本発明の樹脂組成物は、本発明の性能を損なわない範囲で酸変性塩素化ポリオレフィン(A)および塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B)の他に各種の添加剤を配合して使用することができる。添加剤としては、特に限定されず、難燃剤、顔料、ブロッキング防止剤、フィラー等を挙げることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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