特許6786328IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

偏光子と透明保護フィルムとを接着剤層を介して積層している偏光フィルムにおいて、前記接着剤層を形成する偏光フィルム用硬化型接着剤組成物に関する。また本発明は、前記接着剤層を用いた偏光フィルムに関する。当該偏光フィルムはこれ単独で、またはこれを積層した光学フィルムとして液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、CRT、PDPなどの画像表示装置を形成しうる。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者らは、接着剤層の接着性および耐水性を向上できる接着剤組成物の開発に関し、鋭意検討した結果、接着剤層の接着性および耐水性向上と、その原料となる組成物の液安定性との間には相反する関係があり、この両方を解決するためには、さらなる工夫と要するとの結論に至った。そして、この課題解決のために、特定の有機金属化合物と重合性化合物との組み合わせが極めて有用であることを突き止めた。 本発明は実情に鑑みて開発されたものであり、偏光子と透明保護フィルムとの接着性が良好であり、結露環境下などの過酷な条件であっても耐水性に優れた接着剤層を形成することが可能であり、かつ液安定性に優れ、ポットライフが長く生産性にも優れた偏光フィルム用硬化型接着剤組成物を提供することを目的とする。 また本発明は、偏光フィルム用硬化型接着剤組成物を用いて形成された接着剤層により、偏光子に透明保護フィルムが設けられている偏光フィルムを提供すること、さらには、前記偏光フィルムを用いた光学フィルムを提供すること、さらには前記偏光フィルムまたは光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者らは、課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の偏光フィルム用硬化型接着剤組成物により、目的を達成できることを見出し、本発明を解決するに至った。
【発明の効果】
接着剤層を介して偏光子に透明保護フィルムが積層された偏光フィルムが結露環境下に曝された場合に、特に接着剤層と偏光子との間の接着剥離が発生するメカニズムは以下のように推定可能である。まず、保護フィルムを透過した水分が接着剤層中に拡散し、偏光子界面側に該水分が拡散する。ここで、従来の偏光フィルムでは、接着剤層と偏光子との間の接着力に対し、水素結合および/またはイオン結合の寄与度が大きいが、偏光子界面側に拡散した水分により、界面での水素結合およびイオン結合が解離し、その結果、接着剤層と偏光子との接着力が低下する。これにより、結露環境下では接着剤層と偏光子との間の接着剥離が発生する場合があった。 一方、本発明に係る偏光フィルム用硬化型接着剤組成物は、金属アルコキシドおよび金属キレートからなる群より選択される少なくとも1種の有機金属化合物(A)を含有する。かかる有機金属化合物(A)は、水分の介在により活性な金属種となり、その結果、有機金属化合物(A)が偏光子、および接着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性成分(X)の両方と強固に相互作用する。これにより、偏光子と接着剤層との界面に水分が存在しても、これらが有機金属化合物(A)を介して強固に相互作用しているため、偏光子と接着剤層との間の接着耐水性が飛躍的に向上する。 前記のとおり、有機金属化合物(A)は本願発明の課題の一つである接着剤層の接着性・耐水性向上に大きく寄与するものの、これを含む組成物は、液安定性が不安定になることに起因して、ポットライフが短くなり、生産性が悪化する傾向がある。これは、有機金属化合物(A)の反応性が高く、組成物中に微量に含まれる水分と接触し、加水分解反応と自己縮合反応とを起こす結果、自己凝集して組成物液が白濁化(凝集物の発生、相分離、沈殿)してしまうことが原因の一つと推測される。しかしながら本発明においては、組成物中に、有機金属化合物(A)とともに重合性官能基およびカルボキシル基を有する重合性化合物(B)を含有するため、有機金属化合物(A)の加水分解反応と自己縮合反応とを抑制し、組成物中での有機金属化合物(A)の液安定性を飛躍的に向上することができる。かかる効果が得られる理由は明らかではないが、以下の理由(1)〜(2)が推定可能である。 (1)重合性化合物(B)が有するカルボキシル基が、有機金属化合物(A)が有する金属と強固に結合および/または配位し、金属の電子密度が上昇し、水分子などの他の配位子を引き寄せる力を低減することができる。
(2)カルボキシル基を有する重合性化合物(B)が重合性官能基をさらに有し、嵩高いことから、重合性化合物(B)がカルボキシル基を介して有機金属化合物(A)と結合/および配位後、他の配位子が金属に近寄り難くなる。 なお、本発明に係る組成物は液安定性が向上するだけでなく、硬化して接着剤層を形成する過程では、重合性化合物(B)存在下であっても、偏光子と、接着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性成分(X)との両方と強固に相互作用するという、有機金属化合物(A)の機能が損なわれない。その結果、本発明においては、組成物の液安定性向上と、その硬化物の接着性・耐水性向上とを両立することができる。 本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤組成物としては、当該硬化型接着剤組成物を硬化させて得られる硬化物のバルク吸水率が10重量%以下であることが好ましい。当該バルク吸水率は、本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤組成物から得られる硬化物層により接着剤層を形成した際の吸水性が非常に低いこと示している。従って、偏光子に、前記硬化物層からなる接着剤層を介して透明保護フィルムが設けられた偏光フィルムは、偏光子と透明保護フィルム層との接着性が良好であり、かつ高温高湿下の過酷な環境下における光学耐久性をさらに高いレベルで満足することができる。 例えば、本発明の偏光フィルム用硬化型接着剤組成物を用いて形成された硬化物層(接着剤層)を有する偏光フィルムは、過酷な加湿環境下(例えば85℃×85%RH)においても光学耐久性(加湿耐久性試験)が良好である。そのため、本発明の偏光フィルムは、前記過酷な加湿環境下におかれた場合においても、偏光フィルムの透過率、偏光度の低下(変化)を小さく抑えることができる。また、本発明の偏光フィルムは、水に浸漬させるような過酷な環境下においても接着力の低下を抑制することができ、水との接触環境が厳しい条件下においても、偏光子と透明保護フィルム間(偏光子と接着剤層間)の接着力の低下を小さく抑えることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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