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公報発行日 2022年12月22
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【課題】水素ガスを需要者に供給する水素ステーション等において、液体水素を効率良く気化させ、燃料電池自動車等の動力手段に用いる超高圧の水素ガスを、低コストで生成することができる超高圧水素ガス製造システム、及び超高圧水素ガス製造方法を提供する。
【解決手段】貯槽4から供給される液体水素LHを気化させた水素ガスGSを、設定圧力下で蓄圧器10に貯蔵する超高圧水素ガス製造システムにおいて、貯槽4と蓄圧器10を繋ぐ液体水素供給管路21と、既に容器に貯蔵されている送出用水素ガスGHxを、設定圧力下で供給可能な送出用水素ガス供給部2を、液体水素供給管路21と連通した水素ガス送出管路22に備え、制御部3は、送出用水素ガス供給部2から液体水素供給管路21に送出用水素ガスGHxを送出し、貯槽4から供給された液体水素供給管路21内の液体水素LHを、送出用水素ガスGHxの流通に基づいて、蓄圧器10の内部空間12Sに収容する。
【選択図】 図1
構成を有する本発明に係る超高圧水素ガス製造システム、及び超高圧水素ガス製造方法の作用・効果について説明する。
(1)水素ガスを供給先の水素ガスタンクに充填する施設で、該水素ガスとして、液体水素を貯留した貯槽から供給される該液体水素を気化させ、生成した施設内製造水素ガスを、基準値を満たす設定圧力下で、蓄圧器に貯蔵する超高圧水素ガス製造システムにおいて、蓄圧器は、本体に内部空間を有し、貯槽と蓄圧器の内部空間とを繋ぐ第1管路と、容器内に、圧縮した状態で貯蔵された水素ガスである送出用の水素ガスを、第1管路内に供給可能な送出用水素ガス供給手段と、制御手段と、を備え、送出用水素ガス供給手段は、第1管路と連通した第2管路と共に配設され、制御手段は、送出用水素ガス供給手段から第1管路に送出用の水素ガスを送出することにより、貯槽から第1管路内に供給された液体水素を、送出用の水素ガスの流通に基づいて、蓄圧器の内部空間に収容すること、を特徴とする。
この特徴により、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムでは、水素ガスを生成する上で、液体水素を気化させるのに、気化器が不要になるほか、生成された水素ガスを昇圧させる特殊な大型圧縮機が不要となる。あるいは、液体水素を気化させる気化器に圧送させるのに、液体水素を設定圧力まで昇圧する特殊な大型液水ポンプが不要となる。そのため、このような大型圧縮機や大型液水ポンプに対し、高額なイニシャルコストが不要になるばかりか、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムは、運転時の電気代やメンテナンスコスト等、運用上のランニングコストを抑制することができる。
ここで、設定圧力の概念について、説明する。本発明に係る超高圧水素ガス製造システムや、後述する、本発明に係る超高圧水素ガス製造方法では、設定圧力とは、蓄圧器において、その設計上、許容可能な設計耐久圧力の上限を超えない圧力以下の範囲にあることを前提とした上で、当該超高圧水素ガス製造システムの運転条件や、当該超高圧水素ガス製造方法の実行時に応じて、圧力の大きさを任意に選択し、設定することできる意味を含めて、定義されたものである。
他方、貯槽から第1管路内に供給された液体水素は、送出用の水素ガスの流通に基づいて、蓄圧器の内部空間に収容され、液体水素と送出用の水素ガスとが、設定圧力下で、蓄圧器の内部空間に充填される。この液体水素は、送出用の水素ガスとの熱交換により、気化し、高圧化した状態の水素ガスとなる。
このとき、設定圧力が、設計耐久圧力を大幅に下回る低い圧力であると、蓄圧器の内部空間で液体水素が気化するにあたり、気化に伴って上昇した蓄圧器の内部空間の圧力が、設定圧力に達した段階になっても、液体水素の気化が完全に完了していない状態になってしまうこともあり得る。このような事象を招くと、液体水素の気化の効率は、低下してしまう。
そこで、液体水素の気化を、より効率良く遂行する観点で、設定圧力は、蓄圧器で適用される常用圧力範囲の最大値に対し、25%以上とすることが好ましく、より好ましくは、50%以上にすると良い。なお、常用圧力は、蓄圧器において、特に急峻な圧力変動や温度変化のない条件下で、水素ガスや液体水素を内部空間に収容し、貯蔵している通常の使用状態にあるとき、この通常の使用状態で蓄圧器に作用する圧力に、許容範囲を設けた圧力範囲を意味するものである。
蓄圧器を構成する上で重要となるファクターは、実際の現場で使用する常用圧力の概念であり、その重要性について、一例の事象を挙げて説明する。一例の事象として、第1管路から蓄圧器に供給された液体水素が、送出用の水素ガスと内部空間で熱交換を十分な状態で行われず、供給された量のうち、一部で気化できなかった液体水素は、蓄圧器の内部空間に残留し続けてしまうことも生じ得る。水素は、融点-259.2℃、沸点-252.8℃等の物性を有する。
このような残留の液体水素が、-259.2℃近傍の超低温状態のまま、蓄圧器の本体に局所的に接触し続けると、本体を構成する部材が、残留する液体水素の超低温に起因した材料の疲労破壊等、破損・損傷を受ける虞がある。しかも、液体水素が残留し続けた状態にある蓄圧器の内部空間に、当該超高圧水素ガス製造システム等の稼働により、液体水素より高温状態にある後続の送出用の水素ガスが収容されて、残留していた液体水素に気化が生じた場合、蓄圧器の本体では、温度と圧力が急激に上昇する。特に、このような急峻な圧力上昇により、万が一、蓄圧器の本体が、常用圧力を超えてしまうと、本体を構成する部材等、本体への機械的負荷(ダメージ)が、急激に増大して作用することから、本体の損傷や破損等、大きなダメージを蓄圧器に及ぼしてしまう虞がある。
従って、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムの稼働では、前述したように、液体水素を効率良く気化させるため、設定圧力は、蓄圧器の常用圧力範囲の最大値に対し、25%以上、より好ましくは、50%以上に相当した圧力の条件を満たすようにしながらも、例示したような事象等の招来をより確実に回避するためには、蓄圧器の常用圧力を超えないよう、管理して当該超高圧水素ガス製造システムを運用することが、非常に重要である。
従って、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムによれば、水素ガスを需要者に供給する施設において、液体水素を効率良く気化させ、燃料電池自動車等の動力手段に用いる超高圧の水素ガスを、低コストで生成することができる、という優れた効果を奏する。
なお、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムや、後述する、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムでは、第1管路や第2管路に対し、管路内の水素ガスを、第1管路、第2管路の外に放出可能な脱ガス経路を、第1管路や第2管路から分岐させて設けても良い。その理由として、万が一、何らかの理由により、第1管路内において、滞留していた液体水素が自然に気化する場合があり、この場合に、ガス化した水素を、第1管路外に放出するためである。また、蓄圧器に流入した液体水素の気化が、蓄圧器の内部空間で十分に行われず、液体水素の状態のまま、第2管路に流れ込んで滞留し、第2管路内で滞留した液体水素が気化してしまう場合もある。この場合でも、ガス化した水素を、第2管路外に放出するためである。
このように、液体水素が、第1管路、第2管路に拘わらず、管路内で局所的に滞留し続けると、滞留した液体水素は、例えば、液体水素より高温状態にある後続の送出用の水素ガスと接触すること等に起因して気化する。この液体水素の気化に伴い、管路内では、内部圧力が急激に上昇してしまうため、管への機械的負荷(ダメージ)が増大して、管路に対し、損傷や破損等、悪影響を及ぼす虞がある。それ故に、脱ガス経路を、第1管路、第2管路に分岐して設けることで、このような悪影響を回避することができるからである。
加えて、このような脱ガス経路は、第1管路、第2管路から放出した水素ガスや、気化せずに残留する液体水素を供給可能な態様で、例えば、貯槽、またはBOG(Boil Off Gas)蓄圧器のほか、燃料として使用することができる設備等と、接続されていると良い。液体水素の気化後を含む水素ガスは、第2管路から放出されても、有効利用できるからである。なお、BOG蓄圧器は、低温で、輸送・貯蔵している液体水素から自然発生したBOGを、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムや、本発明に係る超高圧水素ガス製造方法で用いる蓄圧器とは異なり、別の蓄圧器に貯蔵するものであり、気化した水素を、できるだけ無駄にせずに貯留しておくために設けられる。
(2)に記載する超高圧水素ガス製造システムにおいて、第1管路には、複数の蓄圧器が並列接続で配設され、送出用の水素ガスは、第1の容器として、複数の蓄圧器のうち、既に内部空間で生成した施設内製造水素ガスが充填された状態にあるガス充填済み蓄圧器に貯蔵されているものであること、を特徴とする。この特徴により、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムの構成が、気化器、特殊な大型圧縮機や特殊な大型液水ポンプを必要としていた従来の超高圧水素ガス製造システムに比べて、簡素化できると共に、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムの維持・管理を行う上で、作業者の負担も低減できる。
(3)に記載する超高圧水素ガス製造システムにおいて、送出用の水素ガスは、第2の容器として、搬送に用いる水素カードルに、水素ガスが充填された状態にあるガス充填済み水素カードルに貯蔵されているものであること、を特徴とする。この特徴により、送出用の水素ガスが、ガス充填済み蓄圧器から全く供給できない状態にある場合や、十分な送出量で第1管路に供給できない状態にある場合に、ガス充填済み水素カードルは、ガス充填済み蓄圧器のバックアップとして、使用することができる。
(4)に記載する超高圧水素ガス製造システムにおいて、制御手段は、当該超高圧水素ガス製造システムの運転状況に応じて、ガス充填済み蓄圧器とガス充填済み水素カードルとを選択的に使用すること、を特徴とする。この特徴により、当該超高圧水素ガス製造システムの運転状況に拘わらず、液体水素から水素ガスを生成する上で、必要となる送出用の水素ガスを、安定した供給下で、確保することができる。
(5)に記載する超高圧水素ガス製造システムにおいて、蓄圧器の下流側で、内部空間から流出した施設内製造水素ガスが流通する第3管路には、施設内製造水素ガスの圧力を計測する圧力計測手段と、圧力計測手段による計測で、施設内製造水素ガスが設定圧力を上回った場合に、施設内製造水素ガスを設定圧力に調整する圧力調整手段と、を備えていること、を特徴とする。この特徴により、水素ガスを供給先の水素ガスタンクに充填する施設では、設定圧力に調整された水素ガスは、そのままの状態で、供給先の水素ガスタンクに提供することが可能になる。
(6)に記載する超高圧水素ガス製造システムにおいて、蓄圧器の内部空間で、液体水素との接触部位は、金属からなること、を特徴とする。この特徴により、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムに気化器を備えていなくても、液体水素は、内部空間のこの接触部位との間や、内部空間に存在する送出用水素ガスとの間で、熱交換される。そのため、蓄圧器に収容された液体水素は、内部空間で気化して、一例として、100MPa超える程まで超高圧化する。
なお、本発明に係る超高圧水素ガス製造システムにおいて、「蓄圧器の内部空間で、液体水素との接触部位は、金属からなる」の概念は、内部空間を形成する蓄圧器の壁に対し、流入した液体水素や水素ガスと直接触れる接触部位を含む壁の内面側部分を、少なくとも金属(例えば、鋼製等)で形成されているものであれば良い。換言すれば、蓄圧器の壁全体が金属製である場合(本実施形態の図2に例示するようなタイプ1に係る蓄圧器)と、蓄圧器の壁が内面側部分を金属製とし、この内面側部分を外側から覆う外面側部分を、金属以外の材質で形成した場合(本実施形態の図3、4に例示するようなタイプ2、3に係る蓄圧器)を考慮した上で、前述の概念は、蓄圧器の本体において、少なくとも壁の内面側部分を金属とする意味で、定義されたものである。
ここで、蓄圧器の本体において、壁に用いる材質の違いにより、一例として、3種(タイプ1、タイプ2、タイプ3)のバリエーションを挙げる。タイプ1に係る蓄圧器は、内部空間を形成する壁全体を、全て金属製とした場合(図2参照)である。タイプ2に係る蓄圧器は、内部空間を形成する筒状の壁に対し、その軸方向にある第1壁部を金属製とする共に、径方向にある第2壁部に対し、流入した液体水素や水素ガスと直接触れる接触部位を含む内面側部分を、この内面側部分と同軸状に形成して積層させた外面側部分で包囲した構造となっている場合(図3参照)である。この場合、内面側部分は金属製で、外面側部分は金属以外の材質(例えば、炭素繊維強化プラスチック等)である。タイプ3に係る蓄圧器は、タイプ2に係る蓄圧器の壁に対し、第1壁部と第2壁部の双方で、金属製の内面側部分と、金属以外の材質からなる外面側部分とを積層させた構造となっている場合(図4参照)である。
(7)水素ガスを供給先の水素ガスタンクに充填する施設で、該水素ガスとして、液体水素を貯留した貯槽から供給される該液体水素を気化させ、生成した施設内製造水素ガスを、基準値を満たす設定圧力下で、蓄圧器に貯蔵する超高圧水素ガス製造方法において、容器内に、圧縮した状態で貯蔵された水素ガスである送出用の水素ガスを、供給可能な送出用水素ガス供給部を有し、送出用水素ガス供給部は、貯槽から蓄圧器に液体水素を流通させる第1管路と連通した第2管路上に配設されていること、蓄圧器は、本体に内部空間を有し、送出用水素ガス供給部から第1管路に送出用の水素ガスを送出して、貯槽から供給された液体水素の滞留下にある第1管路内に、送出用の水素ガスを流通させることにより、送出用の水素ガスと液体水素とによる気液混合水素を、蓄圧器の内部空間に収容する第1過程と、第1過程により、内部空間に収容された気液混合水素に含まれる液体水素に対し、蓄圧器の本体及び送出用の水素ガスとの間で、熱交換を行う第2過程と、を有すること、を特徴とする。
この特徴により、水素ガスを生成する上で、液体水素を気化させるのに、気化器が不要になるほか、生成された水素ガスを昇圧させる特殊な大型圧縮機が不要となる。あるいは、液体水素を気化させる気化器に圧送させるのに、液体水素を設定圧力まで昇圧する特殊な大型液水ポンプが不要となる。そのため、このような大型圧縮機や大型液水ポンプに対し、高額なイニシャルコストが不要になるばかりか、運転時の電気代やメンテナンスコスト等、運用上のランニングコストを抑制することができるようになる。
従って、本発明に係る超高圧水素ガス製造方法によれば、水素ガスを需要者に供給する施設において、液体水素を効率良く気化させ、燃料電池自動車等の動力手段に用いる超高圧の水素ガスを、低コストで生成することができる、という優れた効果を奏する。
(8)に記載する超高圧水素ガス製造方法において、第1管路には、複数の蓄圧器が並列接続で配設され、送出用の水素ガスは、第1の容器として、複数の蓄圧器のうち、既に内部空間で生成した施設内製造水素ガスが充填された状態にあるガス充填済み蓄圧器に貯蔵されているものであること、を特徴とする。この特徴により、本発明に係る超高圧水素ガス製造方法の実施にあたり、その運用設備の構成が、気化器、特殊な大型圧縮機や特殊な大型液水ポンプを必要としていた従来の超高圧水素ガス製造システムに比べて、簡素化できているため、運用設備の維持・管理を行う上で、作業者の負担が低減できる。
(9)に記載する超高圧水素ガス製造方法において、送出用の水素ガスは、第2の容器として、搬送に用いる水素カードルに、水素ガスが充填された状態にあるガス充填済み水素カードルに貯蔵されているものであり、送出用の水素ガスに対し、ガス充填済み蓄圧器からの供給が不可の状態にある場合に、ガス充填済み水素カードルから供給される送出用の水素ガスが、使用されること、を特徴とする。この特徴により、本発明に係る超高圧水素ガス製造方法の実施にあたり、その運用設備の運転状況に拘わらず、液体水素から水素ガスを生成する上で、必要となる送出用の水素ガスを、安定した供給下で、確保することができる。
(10)に記載する超高圧水素ガス製造方法において、第1過程で、1つの蓄圧器に付き、内部空間への供給を必要とする気液混合水素の全容量分に対し、気液混合水素は、1回当たりの内部空間への供給量を、全容量分より少なくして、複数回に亘って、断続的に内部空間に供給され、先に内部空間に供給された分の気液混合水素で、第2過程を終えた後、次に供給する分の気液混合水素が内部空間に収容されること、を特徴とする。
この特徴により、蓄圧器の内部空間に対し、気液混合水素の供給流量を同じとした条件の下、気液混合水素の全容量分を、一度に内部空間に供給する場合に比べ、設定温度と設定圧力を満たす水素ガスを、蓄圧器の内部空間に、より効率良く満充填することができる。
(11)に記載する超高圧水素ガス製造方法において、蓄圧器の下流側で、内部空間から流出した施設内製造水素ガスが流通する第3管路に対し、流通する施設内製造水素ガスが設定圧力を上回ったときに、施設内製造水素ガスを減圧して設定圧力に調整する第3過程を有すること、を特徴とする。
この特徴により、水素ガスを供給先の水素ガスタンクに充填する施設では、設定圧力に調整された水素ガスは、そのままの状態で、供給先の水素ガスタンクに提供することが可能になる。
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