特許7692892IP Force 特許公報全文掲載

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ヒト心筋トロポニンT(配列番号1)に特異的に結合する抗体であって、CDRが、以下のアミノ酸配列または最大で1つのアミノ酸置換において異なるそのバリアントを含むことを特徴とする抗体:(i)軽鎖可変ドメイン中の、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、(ii)重鎖可変ドメイン中の、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR3、を含むことを特徴とする、新規モノクローナル抗体

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

図1:1つまたは複数の重鎖CDR内のアミノ酸置換をコードするDNAライブラリの構築
【図1A】 変異体ライブラリの構築に必要な重鎖フラグメントの産生(ステップ1)。1回目(PCR1)では、フラグメント1、3および4にそれぞれ対応する3つの異なる重鎖フラグメントを、対応するプライマーセットを用いて生成した。薄灰色の伸長部はCDRを示す。主鎖配列を黒色で示す。水平の矢印は、使用されるプライマーを示す。垂直の矢印はPCRの結果を指し示している。図中で取り消されている短い42bpのオリゴヌクレオチド(フラグメント2)は、PCRによって得られず、別個に化学合成された。
【図1B】 CDR単一アミノ酸ランダム化によるHCライブラリ合成。第2のステップPCR2では、図1Aに記載されているように得られた4つのフラグメントが鋳型として機能した(黒線)。十字形を有する水平の矢印は、各CDRコドン位置について縮重NNKコドンをそれぞれ含むポリヌクレオチドライブラリを示す。これらのポリヌクレオチドライブラリはさらに、必要に応じておよび示されるように、ステップ1のフラグメントの1つまたは2つにハイブリダイズすることができる配列伸長部を含む。フォワードおよびリバースプライマー(小さい矢印)をそれぞれ使用して、それぞれのPCRを行った。
【図1C】 ライブラリ合成の最終ステップ:ステップ1のフラグメントの1つまたは2つにハイブリダイズすることができるさらなる配列伸長部は、HCライブラリの産生における最終ステップ、すなわちPCR2の4つの産物すべてを使用した重複PCRを実施するために必要である。この重複PCRでは、末端プライマー(F1A;R1A)が使用され、フラグメント自体がメガプライマーとして作用する。
【図2】 ペリプラズムFab発現のためのベクターマップ:示される図の説明はそれ自体を説明していると考えられ、全ての要素は当業者には公知である。
【図3】 cTnT結合FabフラグメントのスクリーニングのためのELISA設定:ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレート(SAプレート)を使用して、ビオチン化心筋トロポニンT(bi-cTnT)を固相に結合させる。組換え抗cTnT重鎖(<cTnT>-Fab)を含むFabフラグメントは、TnTに結合し、ペルオキシダーゼ(POD)標識抗マウスFab抗体(抗muFab-POD)を介して検出される。
【図4】 Biacoreセンサーグラム:FabフラグメントmAb<TnT>rM-11-7のA102位における単一アミノ酸変異の影響を37℃で動態分析した。相対応答単位(RU、関連単位)は、秒(s)単位でモニターされるリアルタイムSPR測定のシグナルレベルを示す。mAb<TnT>rM-11-7 Fab A102(野生型)、A102W、A102F、A102Y、A102H、A102E、A102R、A102L、A102N、A102D、A102R、およびA102KのBiocore測定値を示す。
【図5】 正規化Biacoreセンサーグラム:Fab/トロポニンT複合体動態の重ね合わせ。変異A102Wは、A102Fに次いで、複合体を最も良好に安定化させる。A102Yは、野生型様(A102)解離特性を示す。他の全ての変異は、親A102 Fabフラグメントと比較した場合、むしろより速い複合体解離を示す。
【図6】 Elecsys(登録商標)サンドイッチアッセイ:アッセイ設定を示すスキームを示す。(変異)ビオチン化(bi)捕捉抗体をストレプトアビジン(SA)コーティングビーズに結合させる。抗cTnT検出抗体をルテニウム化(Ru)し、改善された親和性の効果をECL分析によって調査した。
【図7】 cTnTの測定のための親抗体および変異抗体の使用: 未成熟市販標準免疫試薬(左、親)およびビオチン化標準抗体コンジュゲートを成熟ビオチン化mAb<TnT>rM-11-7(A102W)-Fab(右、A102W)で置換した試薬を用いたcTNT決定のための任意の光単位(カウント)を示す。白色カラム:希釈ユニバーサルブランク値。薄灰色カラム:18pg/mlの組換えTnT(recTnT、Roche)を含有するキャリブレータCal1。暗灰色カラム:4200pg/mlのrecTnTを含有するキャリブレータCal2。
以下の実施例は、本発明を説明する。 実施例1:材料&一般的な方法 組換えDNA技術 標準的な方法を使用し、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載されるように、DNAを操作した。分子生物学的試薬は、製造者の指示にしたがって使用した。 DNA配列決定 DNA配列を、Microsynth AG(スイス、バルガッハ)で実施された二本鎖配列決定によって決定した。 DNAおよびタンパク質配列分析および配列データ管理 Vector NT1 Advance suiteバージョン11.5.0を、配列の作成、マッピング、分析、注釈および例示のために使用した。 タンパク質化学および標識技術 標準的なタンパク質化学および標識技術は、例えば、Hermanson,G.「Bioconjugate Techniques」3rd Edition(2013)Academic Pressにおいて提供されている。 バイオインフォマティクス バイオインフォマティクス法は、例えば、Keith J.M.(編)’’Bioinformatics’’Vol.I and Vol.II,Methods in Molecular Biology Vol.1525 and Vol.1526(2017)Springer,and in Martin,A.C.R.&Allen,J.’’Bioinformatics Tools for Analysis of Antibodies’’in:Dubel S.&Reichert J.M.(編)「Handbook of Therapeutic Antibodies」Wiley-VCH(2014)に示されている。 電気化学発光イムノアッセイ イムノアッセイおよび関連する方法は、例えば、Wild D.(編)「The Immunoassay Handbook」4th Edition(2013)Elsevierにおいて提供されている。電気化学発光標識としてのルテニウム錯体は、例えば、Staffilani M.らInorg.Chem.42(2003)7789-7798において提供されている。通常、電気化学発光(ECL)系免疫検定法の性能について、Elecsys(登録商標)2010分析装置または後継システムを使用し、例えば、E170、コーバスe601モジュール、コーバスe602モジュール、コーバスe801モジュールおよびコーバスe411などのRoche分析装置(Roche Diagnostics GmbH,Mannheim Germany)、ならびにこれらの分析装置に指定されるRoche Elecsys(登録商標)アッセイとし、特に明記されていない場合、標準条件下で各々使用した。 実施例2:ライブラリ構築 親抗体の可変重鎖はマウス起源である(配列番号30)。変異HCCDRを含むライブラリを、それぞれHCCDR1、HCCDR2および/またはHCCDR3における単一アミノ酸ランダム化を目的として構築した。第1のステップでは、4つの異なる親抗体フレームワーク領域の1つをそれぞれコードする4つのDNA断片を生成した。フレームワーク領域1、3および4を社内のポリメラーゼ連鎖反応によって得て、フレームワーク領域2を表す短いフラグメント2(42 bp=配列番号50)をMetabion international AG(図1Aを参照されたい。)に注文した。フラグメントをゲル精製し、定量した。これらのDNAフラグメントの1つの100ngを、4つのアドオンPCR反応混合物のそれぞれにおけるポリヌクレオチド鋳型として使用した。親CDRと同じ数のコドンを含むポリヌクレオチドライブラリを使用することによってCDR領域を追加し、前記ライブラリのメンバーは、それぞれのHCCDRの各コドン位置のそれぞれについて1つのNNKコドンを有するライブラリメンバーを含むように設計された。CDRライブラリ中のポリヌクレオチドは、さらに、それぞれのCDRに隣接するフレームワーク領域にハイブリダイズすることができる配列を含んでいた。末端プライマーをネステッドPCR増幅に使用した。これにより(図1Bを参照されたい)、部分的に重複する配列を有する4つのDNAフラグメントを生成した。FW1配列の3’末端およびFW4配列の5’末端にハイブリダイズする末端プライマーを用いた重複PCRを実施し、4つのフラグメントを線状DNAライブラリコンストラクトに連結した(図1Cを参照されたい)。典型的なPCR反応物をPCRグレードの水で満たし、MgSO4、200μMのdNTP混合物、0.5μMのフォワードプライマーおよびリバースプライマー、250ngのDNA鋳型、5単位のPwoDNAポリメラーゼと共に10μlの10×PCR緩衝液を含む100μlの反応混合物にした。典型的なPCRは、94℃で5分間の初期鋳型変性から開始し、30サイクル(94℃2分、60℃45秒、72℃1分)を使用し、72℃で5分間の最終伸長ステップを含んでいた。プライマー、鋳型およびフラグメント配列を表1に列挙する。ライブラリフラグメントは、無細胞系における転写および翻訳の成功に必要な全ての調節配列を含んでいた。当業者は、最新技術の方法に従ってそのようなライブラリを作製することができ、例えば、Hanes,J.&Pluckthun,A.(1997)、「In vitro selection and evolution of functional proteins by using ribosome display」、Proc Natl Acad Sci U.S.A.94,4937-42を参照されたい。 抗cTnT Fabフラグメントライブラリの生成に使用される配列 JPEG 0007692892000001.jpg 131 156 JPEG 0007692892000002.jpg 230 148 JPEG 0007692892000003.jpg 234 142 JPEG 0007692892000004.jpg 83 131 実施例3:インビトロディスプレイ Fabディスプレイ用の緩衝液を調製し、4℃で一晩、転倒回転させてインキュベートした。洗浄緩衝液、WB(AcOHでpH7.5に調整した60mMトリス、180mM NaCl、60mM酢酸マグネシウム、5% Blocker BSA、33mM KCl、200μg t-RNA、0.05% Tween 20)、ビーズ洗浄緩衝液BWB(100mM PBS、0、1% Tween20)、停止バッファSB(AcOHでpH7.5に調整した50mMトリス、150mM NaCl、50mM酢酸マグネシウム、5% Blocker BSA(Pierce)、33mM KCl、0.5% Tween 20、8.2mM oxグルタチオン)、溶出緩衝液(AcOHでpH7.5に調整した55mMトリス、165mM NaCl、22mM EDTA、1mg BSA、5000U rRNA(5000U)、50μg tRNA)。 必要体積の磁気ビーズ(ストレプトアビジンコーティングビーズ)を、10μLの初期懸濁液あたり100μLの洗浄緩衝液(WB)で4℃で一晩転倒回転させながらブロッキングした。標的/バックグラウンド試料あたり25μLのビーズをプレパンニングステップに使用し、20μLをパンニングに使用した。ビーズ保存緩衝液のアジ化ナトリウムを除去するため、ビーズ洗浄緩衝液(BWB)で4回、WBで3回洗浄した。これらのステップは、ビーズを回収するための磁場を2分間印加し、続いて上清を廃棄することによって行った。最終洗浄ステップの後、ビーズをその初期体積になるようにWBに再懸濁した。 無細胞インビトロ転写および翻訳系を、製造者の指示(PUREfrex(商標)DS2.0)にしたがって組み立てた。標的(T)用および1つはバックグラウンド(BG)用の1.5mL反応管を準備した。 発現鋳型(LC)およびディスプレイ鋳型(HC)のDNAインプットを2:1の分子比で適用した。ディスプレイをコードするDNAおよび発現鋳型の量を、全てのFabディスプレイサイクルにおいて一定に保った。インビトロ転写/翻訳反応混合物を37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後、500μLの停止緩衝液を添加することによって反応を停止させ、続いて1℃で15分間、14000rpmで遠心分離ステップを行った。特段の記載がない限り、後続のステップは4℃で実施した。停止した翻訳混合物の上清(300μL)を調製したビーズ懸濁液に添加し、揺動プラットフォーム上で30分間インキュベートした。その後、懸濁液を13000rpmおよび1℃で10分間遠心分離して、非特異的結合分子を有するビーズを、残りの三元複合体を有する上清から分離した。プレパンニングした上清(300μL)を新しい2mL反応管に移し、予めWBでブロッキングし、さらに使用するまで氷上に保った。標的(組換えビオチン化cTnT)を、2nM~50nMの範囲の最終濃度で300μLのプレパンニングした上清に添加した。選択圧を上げるために、ビオチン化cTnT濃度をサイクルごとに低下させた。懸濁液を揺動プラットフォーム上で30分間インキュベートした。溶液パンニングステップによって、ビオチン化cTnTと三元複合体との間の特異的結合が可能になった。標的cTnTに結合した三次複合体を、20分間のインキュベートステップにおいてストレプトアビジンビーズによって捕捉した。サイクルIIでは、非特異的結合を防ぐために、ストレプトアビジンビーズの代わりにアビジンビーズを使用した。 洗浄ステップは、結合した標的三元複合体を有するビーズを磁場中で捕捉し、続いて上清を除去することを含む。ビーズを500μLの氷冷WBで洗浄した。洗浄ステップの時間を5分から1時間に延長することによって、その後のディススプレイサイクルにおける選択圧を上昇させた。最終洗浄ステップを使用して、ビーズを新しいブロックされた2mL反応管に移した。続いて、ビーズを磁場で捕捉し、上清を除去した。EDTAを含有する1×EB100μLを添加し、振盪しながら10分間インキュベートすることによって、以下の溶出ステップを実施した。mRNAは三元複合体から放出された。その後、溶出混合物を1℃で10分間、14000rpmで遠心分離した。RNeasyMinEluteクリーンアップキット(Qiagen)を製造者の指示にしたがって使用して、濃縮RNAを単離および精製した。RNAを、16μLのRNaseを含まない水を用いて溶出させた。選択ステップからの残存DNAを消化するために、Ambion DNA-free(商標)キットを製造者の指示にしたがって使用した。残存しているDNAは、その後のPCR反応で増幅することができない。DNase不活性化後、懸濁液を13000rpmおよび室温で2分間遠心分離した。上清(50μL)を氷上の新しい1.5mL反応管に移した。精製RNAを直ちに逆転写(RT)に使用した。残存している上清を-80℃で保存した。 溶出したmRNAをcDNAに逆転写した。パンニングステップにおいて標的を含む2つの反応を試料Tに対して設定した。試料BGおよび水を含む陰性対照についてさらに2つの反応を調製した。試料の数に応じてマスター混合物を調製し、プレミックスを氷上の0.2mL反応管に分配した。各反応液に12μLの溶出RNAおよび0.5μLの逆転写酵素を接種した。陰性対照は、RNAの代わりに12μLのRNase非含有水を用いて実施した。PCRサーモサイクラーにおいてて65℃で45分間逆転写を行った。次いで、cDNA試料を氷上で5分間インキュベートし、以下のステップで増幅した。コントロール試料は-20℃で保存した。2つのPCR反応を実施した:プライマーFrtおよびRrtを用いて第1のPCR「RTでのPCR」を行い、選択プールのcDNAを増幅した。インビトロ転写/翻訳のための調節エレメントを再付着させるために、プライマーF1AおよびR1Aを使用した第2のPCR「RT-PCRでのPCR」を適用した。両方の反応をPwo DNAポリメラーゼを用いて行った。 十分な選択プールのDNA濃度を提供するために、試料TおよびBGのそれぞれについて4つの反応を設定した。 さらに、4つの対照試料を設定した。最初の2つの試料は、試料TおよびBGのmRNA単離後のDNA消化物に由来し、潜在的に残存しているDNAを増幅するためにPCRによって検証した。第3および第4は、RTの陰性対照およびPCRグレードの水を使用した「RTでのPCR」の陰性対照であった。 TのPCR産物を、QIAquickゲル抽出キットを用いて分取1%アガロースゲルから精製し、続いて定量し、「RT-PCRでのPCR」の鋳型として使用した。選択プールの3つの反応物およびDNA鋳型の代わりにPCRグレードの水を用いた1つの陰性対照を調製した。各反応について、250ngの予め精製した「RTでのPCR」を使用した。PCR産物を、QIAquickゲル抽出キットを用いて1%分取アガロースゲルから精製し、その後のディスプレイサイクルに使用するか、または適切な発現系へのサブクローニングのためにさらに改変した。 実施例4:濃縮結合剤のペリプラズム発現 濃縮されたFab結合剤を単離するために、変異マウス可変HCを、FabのマウスCH1ドメイン、マウスVLドメインおよびマウスCLドメインを含むp60rc_TnT M-11-7発現ベクター(図2参照)にクローニングした。鋳型DNAは、フォワードプライマー5’-GCTACAAACGCGTACGCTATGCAGATTCAGCTGGTGCAGAGCG-3’(配列(SED ID)番号94)とリバースプライマーRrt 5’-GGAAAGCCTCTGAGGACCAGCACGGATGCCCTGTGC-3’(配列番号87)を用いてPCRにより増幅した。選択プールをBsiWIおよびKpnI制限部位を介して発現ベクターにクローニングした。ペリプラズム発現を96ウェルディープウェルブロック(DWB)で行った。Integra VIAFlo96を使用して、前培養(「マスター」)DWBに1ウェルあたり1mL LB(100μg/mLアンピシリン)を充填し、先に実施したサブクローニングおよび形質転換の単離クローンを接種した。選択プールあたり約200コロニー(サイクルIII、IV、V)を選んだ。1ウェルを陰性対照として接種せずに残し、他のウェルに、陽性対照としてTnT M-11-7(野生型)Fab発現ベクターを形質転換したXL1 blueを接種した。DWBを空気透過性膜で密封し、オービタルシェーカーインキュベーター(750rpm)中、30℃で一晩インキュベートした。続いて、マスターDWBの各ウェルからの50μLを、1150mLのC.R.A.P培地(100μg/mLアンピシリン)/ウェルで調製された、Simmons,L.C.,Reilly,D.,Klimowski,L.,Raju,T.S.,Meng,G.,Sims,P.,Hong,K.,Shields,R.L.,Damico,L.A.,Rancatore,P.&Yansura,D.G.(2002)「Expression of full-length immunoglobulins in Escherichia coli:rapid and efficient production of aglycosylated antibodies」、J Immunol Methods 263,133-47によって記載された新しい「発現」DWBに移した。DWBを空気透過性膜で密封し、オービタルシェーカーインキュベーター中、30℃で一晩インキュベートした。Fab発現の誘導は、リン酸制限C.R.A.P培地を用いたphoAプロモーターに基づく。24時間後、発現したFabを有する細胞を4000rpm、10分間の遠心分離によって回収し、さらなる使用まで-20℃で保存した。 40%グリセロール950μLを添加し、-80℃で保存することにより、「グリセロールストック」に前培養マスターDWBを使用した。密封したDWBを5分間激しくボルテックスし、室温でさらに10分間振盪することによって、細胞ペレットを50μLのB-PERII Bacterial Protein Extraction Reagent(Thermo Fisher Scientific)に再懸濁した。細胞溶解物を950μLのトリス緩衝液(20mMトリスpH7.5、150mM NaCl)で希釈し、10分間インキュベートした後、遠心分離した(10分、4000rpm)。粗製細胞抽出物を含有する発現ブロックを、ELISAまたはSPR動態研究でさらに使用するまで4℃に保った。 実施例5:ELISAスクリーニング 詳細なBiacore分析のための最良の変異体Fab結合剤を明らかにするために、以前の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を実施した。ELISA設定を図3に示す。ビオチン化組換え心筋トロポニンT(100nM)を、オービタルシェーカーで振盪することによって室温で1時間、ストレプトアビジン96ウェルプレート中で捕捉した。抗原トロポニンTを100μLのIP緩衝液(PBS pH7.3、1% BSA)に希釈した。続いて、マイクロプレートウォッシャーBioTek ELx 405 Selectを使用して、ウェルを300μLの1×洗浄緩衝液(150mM NaCl、0.05% Tween20、0.2% Bronidox)で3回洗浄した。洗浄後、変異抗cTnT Fab結合剤を含む粗製大腸菌細胞抽出物をIP緩衝液で1:4に希釈し、トロポニンT捕捉ウェルに移した。再び、ウェルを300μLの1×洗浄緩衝液で3回洗浄した。ヤギで産生された抗マウスIgG(Fab特異的)ペルオキシダーゼ標識抗体(検出抗体)を1:40 000希釈(IP緩衝液中)で使用して、トロポニンTに結合した変異Fabフラグメントを検出した。ウェルを300μLの1×洗浄緩衝液で再び3回洗浄して、非結合検出抗体を除去した。マイクロプレートをウェルあたり100μLのABTSと共に室温で30分間インキュベートした。マイクロプレートリーダーBioTek Power wave XSを405nmに設定して光学密度を測定した。親抗cTnT抗体の野生型Fabを陽性対照として使用した。最初のヒットを同定し、その粗製細胞抽出物を動態分析に供した。 実施例6:SPRに基づく機能分析 GE Healthcare 8k機器で37℃において詳細な動態調査を行った。Biacore CM-5シリーズSセンサーを機器に取り付け、製造者の指示にしたがってプレコンディショニングした。系緩衝液は、HBS-ET(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)Tween(登録商標)20)であった。試料緩衝液は、1mg/mlのCMD(カルボキシメチルデキストラン、Fluka)を追加した系緩衝液であった。一実施形態において、CM5バイオセンサー上に抗マウスFabフラグメント捕捉系を確立した。ウサギポリクローナルpAb抗M-IgG、F(ab’)2フラグメント(カタログ番号315-005-047、Jackson Immuno Research)を、NHS/EDC化学を使用して製造者の指示にしたがって固定化した。5μl/分で、10mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)中30μg/mlのRAMF(ab’)2を各フローセル上に10.000RUで固定化した。その後、センサーを1MのエタノールアミンpH8.5で飽和させた。マウス抗TnT抗体Fab’フラグメントを、記載されるように大腸菌細胞でペリプラズム的に発現させ、公知の方法によって溶解した(技術的詳細については、Andersen,D.C.&Reilly,D.E.(2004);Production technologies for monoclonal antibodies and their fragments(Curr Opin Biotechnol15、456~62参照)。溶解物を試料緩衝液で1:20に希釈した。Fab’フラグメントをバイオセンサー測定セル上の発現溶解物から5μl/分の流速で2分間捕捉し、続いて20μl/分の10倍濃縮HBS-EP緩衝液で15秒間の洗浄ステップを行った。応答単位(RU)におけるFabフラグメント捕捉レベル(CL)をモニターした。組換えヒトTnT(Roche、37kDa)を試料緩衝液で30nMに希釈し、0nM、30nM、10nM、3.3nM、1.1nM、0.37nMのTnT濃度で濃度系列を作成した。分析物濃度系列を80μl/分で3分間の会合相に注入し、解離相を5分間モニターした。分析物会合相の終わりに、応答単位(RU)中の「結合遅延」(BL)という報告点をモニターした。動態速度決定の各サイクルの後、10倍濃縮HBS-EP緩衝液の15秒間の注入、続いて20μl/分での100mM HClの2回の1分間の注入によって、捕捉系を再生した。cTnT分析物の動態パラメータka[1/Ms]、kd[1/s]、t1/2 diss[分]、KD[M]および結合化学量論(モル比)(詳細については、Schraeml,M.&Biehl,M.(2012)Kinetic screening in the antibody development process.Methods Mol Biol 901,171-81を参照されたい)を、製造者の指示にしたがって、Biaevaluation Software(GE healthcare)を用いて各Fabフラグメント変異体について決定した。動態パラメータは、HC CDR3変異と相関していた。 JPEG 0007692892000005.jpg 104 168 表2中の略語:ka:会合速度定数[M-1 s-1]、kd:解離速度定数[s-1]、KD:解離平衡定数KD[M]、t/2-diss:複合体半減期、ln(2)/kd*60[分]、WT=親(野生型)、Fab=所与のアミノ酸置換を伴わない(WT)または伴うHC CDR3を含むFabフラグメント Fabフラグメント誘導体内で、mAb<TnT>rM-11-7 Fab A102Wは、最も高い分析物複合体安定性および野生型アナログ会合速度を示す(表2参照)。の表2からも分かるように、驚くべきことに、A102W(アラニン(A)のトリプトファン(W)への置換を有するアミノ酸位置102)の置換のみが、親和性の強い増加をもたらす。この変異体Fabフラグメントの野生型または他の変異体と比較して改善された特性は、それぞれ図4および図5からも容易に明らかになる。 実施例7:HEK細胞における抗体Fabフラグメントの発現 SPRスクリーニング後、マウスFabフラグメントリード候補抗体を標準的な細胞培養手順にしたがって産生させた。対応するベクターおよびクローニングプロセスは、Norderhaugら、J Immunol Methods.1997 May12;204(1):77-87に記載されている。 重鎖および軽鎖をコードするcDNAを、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期エンハンサー/プロモーター領域の下流で、BGHポリアデニル化シグナルを続けて、別々のベクターにクローニングした。 懸濁液適合ヒト胎児由来腎臓FreeStyle 293-F細胞株(Thermo Fisher Scientific)を抗体の一過性遺伝子発現(TGE)に使用した:製造者のガイドラインにしたがって、PEIpro(Polyplus-トランスフェクションSA、Strasbourg)トランスフェクション試薬によって複合体化された等量の両発現プラスミド(合計0.7mg/L細胞培養物)を用いて、細胞を約2×10E6生存細胞/mlでトランスフェクションした。トランスフェクションの3時間後、発現を増強するために、HDAC阻害剤であるバルプロ酸を添加した(最終濃度:4mM)。毎日、培養物に6%(v/v)のダイズペプトン加水分解物ベースの飼料を添加した。トランスフェクションの7日後、培養上清を遠心分離によって回収し、抗体を標準的な手順にしたがってそこから精製した。mAb<TnT>rM-11-7(A102W)-Fab(IgG1)-Qtag-Biフラグメントを公知の方法によって細胞培養上清から精製し、記載されているようにKutzneria albidaトランスグルタミナーゼを使用してビオチンに部位特異的にコンジュゲートした(Steffenら、JBC,Sept.22,292,15622-15635,2017)。 実施例8:ECL測定 抗体FabフラグメントmAb<TnT>rM-11-7(A102W)-Fab(IgG1)-Qtagをビオチン化Fabフラグメント、すなわち実施例7によるmAb<TnT>rM-11-7(A102W)-Fab(IgG1)-Qtag-Biとして産生し、サンドイッチイムノアッセイで試験した(図6参照)。FabフラグメントmAb<TnT>rM-11-7(A102W)-Fab(IgG1)-Qtag-Biを、市販のRoche Elecsys(登録商標)アッセイ、カタログ番号05092744190(Roche Diagnostics GmbH、マンハイム、ドイツ)に含まれるようなMAB11-7のビオチン化野生型Fabフラグメント(すなわち、配列番号16のCDR3を含む)と比較した。これらのビオチン化試薬を、対応するアッセイプロトコルの試薬1(R1)として使用した。ルテニウム化検出抗体は、Roche Elecsys(登録商標)アッセイ、カタログ番号05092744190(Roche Diagnostics GmbH、マンハイム、ドイツ)に含まれるものであった。ルテニウム化検出抗体は、Elecsys(登録商標)R2試薬に対応する。 トロポニンT hsアッセイプロトコルを使用した、ブランク対照(Diluent Universal,Id.11732277122,Diluent Multi Assay,Id.03609987170,Roche Diagnostics GmbH、マンハイム、ドイツ)、トロポニンT hs CalSet(Id.05092752190,Roche Diagnostics GmbH、マンハイム、ドイツ)からのCal1およびCal2と共に、トロポニンT hsアッセイプロトコルを使用して、コーバスE170モジュールで測定を実施した。 アッセイは、コーバスe分析装置のアッセイプロトコル2に従い、試料、R1およびR2を第1のステップで9分間のインキュベートのために混合した後、ストレプトアビジンコーティングされた磁気ビーズを第2のステップでさらに9分間のインキュベートのために添加する。これに続いて、予備洗浄ステップが行われ、ここで、結合した免疫複合体を有するビーズは、反応キュベットの底部に磁気によって集束され、上清がPreclean Solution(Rocheカタログ番号03004899190)によって2回置換された後、混合物全体が測定セルに運ばれて、ビーズ上に構築された免疫複合体のECLシグナルが測定される。実行に使用したR1試薬(Biコンジュゲート)は、それぞれ、元の市販のTNT-HSアッセイのもの、または2.5μg/mlでTNT R1緩衝液中のmAb<TnT>rM-11-7(A102W)-Fab(IgG1)-Qtag-Biを含むR1試薬のいずれかであった。 ルテニウム化(検出)抗体は、Roche Elecsys(登録商標)アッセイ、カタログ番号05092744190(Roche Diagnostics GmbH、マンハイム、ドイツ)に含まれるものであった。ルテニウム化検出抗体は、Elecsys(登録商標)R2試薬に対応する。 Elecsys(登録商標)ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズを常にR1およびR2試薬ボトルの1つと組み合わせて使用した。測定された試料には、試料希釈剤(Diluent Universal=緩衝液ブランク)およびTnT Elecsys(登録商標)アッセイの市販のキャリブレータ(Cal1(約18pg/ml recTnT)およびCal2(約4200pg/ml recTnT))が含まれていた。 例示的な結果を図7に示す。図7から分かるように、変異抗体mAb<TnT>rM-11-7(A102W)を使用すると、ブランク値は954カウント(親)から777カウント(A102W)に減少した。Cal-1シグナルレベルは、1432カウント(親)から2460カウント(A102W)に1.7倍増加した。Cal-2カウントレベルは、546602(親)から980432(A102W)カウントに1.8倍増加する。シグナル対ノイズ比はアッセイ動態および感度の増加を判断するための最も重要なパラメータであるため、驚くべきことに、新規(変異体)抗体全体が約2倍の感度の増加をもたらすことが示され得る。

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