特許7895186IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

上下アームスイッチング素子の接続点における電圧を負荷に印加する電力変換装置に関するものである。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

ここで、この種電力変換装置、特に三相インバータ回路においては、スイッチング素子のアーム中点と筐体間の寄生容量を介して流出するノイズが多い。そのため、制御回路の入力部に大型のEMIフィルタを搭載し、コモンモードコイルやYコンデンサを用いてノイズ源(スイッチング素子)から寄生容量を介して筐体(例えば、電動圧縮機の筐体)に流出するノイズ(コモンモード電流)をノイズ源に還流させるノイズ低減対策を行っていた。しかしながら、この方法ではノイズ源であるスイッチング素子から筐体に流出したノイズ(コモンモード電流)に対し、EMIフィルタまでの配線長が長く、Yコンデンサのフィルタ効果を十分得られにくいため、十分なインピーダンスを持つ大型のコモンモードコイルを挿入する必要があった。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の電力変換装置は、直流電源の正側電源ラインと負側電源ラインに接続された複数相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の接続点における電圧を負荷に印加するものであって、複数相の各相の上アームスイッチング素子とヒートシンク間及び下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設された絶縁及び/又は放熱用のシートを備え、下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

通常IGBT等のスイッチング素子は、放熱効率を上げるためにコレクタ電極(IGBTの場合)にヒートスプレッダを持つ。高電圧大電流のスイッチング素子においては略全てがこの構造に該当する。そして、ヒートスプレッダは絶縁若しくは絶縁用のシートを介してヒートシンク(例えば、電動圧縮機の筐体)に接続される。例えば三相のインバータの場合、6個のスイッチング素子が放熱のために同一のヒートシンクに接続される。

このシートは一定の誘電率を持つため、コレクタ電極がヒートスプレッダに接続されている場合、このコレクタ電極とヒートシンクの間は平行平板コンデンサと同一の構造になり、EMIノイズに悪影響を及ぼすアーム中点、即ち、下アームスイッチング素子のコレクタ電極とヒートシンク間に数10pF~数100pFの大きな寄生容量(中間容量)を持つことになる。

そこで、本発明によれば、直流電源の正側電源ラインと負側電源ラインに接続された複数相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の接続点における電圧を負荷に印加する電力変換装置において、複数相の各相の上アームスイッチング素子とヒートシンク間及び下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設された絶縁及び/又は放熱用のシートを備え、下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法を、上アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法よりも大きくすることにより、下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量が、上アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量よりも小さくされていると共に、シートの厚さは、各相の上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子と平滑コンデンサとの間の配線長と、下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量との比率を利用することにより設定され、直流電源から各相の上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子に至る経路のインダクタンスのインピーダンスと、上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量のインピーダンスがバランスされているので、アーム中点から流出するコモンモード電流によるEMIノイズを著しく低減させることができるようになる。

特に、下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法を、上アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法よりも大きくしたので、容易且つ安価にEMIノイズの低減を実現することができるようになる。

更に、シートの厚さを、各相の上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子と平滑コンデンサとの間の配線長と、下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量との比率を利用することにより設定しているので、インピーダンスのバランスをとりやすくなり、EMIノイズを効果的に低減することができるようになる。

ここで、シートの厚さ寸法を大きくすると、下アームスイッチング素子の放熱性能が悪化する。そこで、第2の発明の如く制御装置により、上アームスイッチング素子の導通時間を、下アームスイッチング素子の導通時間よりも長くすることで、上アームスイッチング素子に発熱を集中させて、下アームスイッチング素子の発熱を抑制し、シートの厚さ寸法拡大による放熱性能の悪化を補うことができるようになる。

この場合、第3の発明の如く制御装置が、各相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子をスイッチングする指令電圧に対して等しい電圧を加算することで、上アームスイッチング素子の導通時間を長くすることができる。

尚、のように上アームスイッチング素子の導通時間を長くすると、上アームスイッチング素子をスイッチングするためのブートストラップコンデンサの充電時間が短くなってしまうが、第4の発明の如く制御装置が、加算する電圧を制御することでブートストラップコンデンサの充電時間を確保するようにすれば、上アームスイッチング素子のスイッチングも支障無く行うことができるようになる。

また、第5の発明の如く下アームスイッチング素子を、上アームスイッチング素子よりも、冷却装置による冷却作用を強く受けるように配置することで、下アームスイッチング素子の放熱性能の悪化に伴う問題を解消することが可能となる。

例えば電力変換装置が電動圧縮機の圧縮機構を駆動するモータに相電圧を印加する場合は、第6の発明の如く各相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子を電動圧縮機に吸入される冷媒と熱交換関係に配置し、下アームスイッチング素子を、上アームスイッチング素子よりも、吸入される冷媒の上流側に配置することで、下アームスイッチング素子の放熱性能の悪化に伴う問題を解消することができる。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】 本発明の一実施例の電力変換装置の電気回路図である。
【図2】 図1の電力変換装置を備えた一実施例の電動圧縮機の縦断側面図である。
【図3】 図2の電動圧縮機をインバータ収容部側から見たカバーと基板を除く側面図である。
【図4】 上下アームスイッチング素子の取付構造を説明する図2の電動圧縮機の要部拡大断面図である。
【図5】 上アームスイッチング素子の内部構造とその取付構造を説明する図である。
【図6】 下アームスイッチング素子の内部構造とその取付構造を説明する図である。
【図7】 上下アームスイッチング素子と筐体間の寄生容量を示す図である。
【図8】 モータの三相変調制御を行う場合の三相変調パルス幅指令値を示す図である。
【図9】 電圧と電流位相が等しい場合の図8のU相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子に流れる電流の大きさを示す図である。
【図10】 各相の二相変調パルス幅指令値を示す図である。
【図11】 電圧と電流位相が等しい場合の図10のU相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子に流れる電流の大きさを示す図である。
【図12】 PWM信号生成部によるPWM信号の生成動作を説明する図である。
【図13】 EMIノイズの測定結果を説明する図である。
【図14】 図13に示した二つの測定結果の差異を説明する図である。
【図15】 図1のゲートドライバの内部構成を示す図である。
【図16】 零相電圧加算制御を行った場合の各相の二相変調パルス幅指令値を示す図である。
【図17】 図16の場合にU相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子に流れる電流の大きさを示す図である。

代表図 図1本件の代表的な図

1 電力変換装置 2 筐体(ヒートシンク) 3 仕切壁 8 モータ 16 電動圧縮機 18A~18F スイッチング素子 19U U相インバータ 19V V相インバータ 19W W相インバータ 21 制御部 26 シート 28 三相インバータ回路 33 相電圧指令演算部 34 線間変調演算部 36 PWM信号生成部 37 ゲートドライバ 42 コレクタ電極 43 エミッタ電極 44 ゲート電極 47 ヒートスプレッダ 63 ブートストラップコンデンサ

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