公報発行日 2026年7月27
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通常IGBT等のスイッチング素子は、放熱効率を上げるためにコレクタ電極(IGBTの場合)にヒートスプレッダを持つ。高電圧大電流のスイッチング素子においては略全てがこの構造に該当する。そして、ヒートスプレッダは絶縁若しくは絶縁用のシートを介してヒートシンク(例えば、電動圧縮機の筐体)に接続される。例えば三相のインバータの場合、6個のスイッチング素子が放熱のために同一のヒートシンクに接続される。
このシートは一定の誘電率を持つため、コレクタ電極がヒートスプレッダに接続されている場合、このコレクタ電極とヒートシンクの間は平行平板コンデンサと同一の構造になり、EMIノイズに悪影響を及ぼすアーム中点、即ち、下アームスイッチング素子のコレクタ電極とヒートシンク間に数10pF~数100pFの大きな寄生容量(中間容量)を持つことになる。
そこで、本発明によれば、直流電源の正側電源ラインと負側電源ラインに接続された複数相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の接続点における電圧を負荷に印加する電力変換装置において、複数相の各相の上アームスイッチング素子とヒートシンク間及び下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設された絶縁及び/又は放熱用のシートを備え、下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法を、上アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法よりも大きくすることにより、下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量が、上アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量よりも小さくされていると共に、シートの厚さは、各相の上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子と平滑コンデンサとの間の配線長と、下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量との比率を利用することにより設定され、直流電源から各相の上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子に至る経路のインダクタンスのインピーダンスと、上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量のインピーダンスがバランスされているので、アーム中点から流出するコモンモード電流によるEMIノイズを著しく低減させることができるようになる。
特に、下アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法を、上アームスイッチング素子とヒートシンク間に介設されたシートの厚さ寸法よりも大きくしたので、容易且つ安価にEMIノイズの低減を実現することができるようになる。
更に、シートの厚さを、各相の上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子と平滑コンデンサとの間の配線長と、下アームスイッチング素子とヒートシンク間の寄生容量との比率を利用することにより設定しているので、インピーダンスのバランスをとりやすくなり、EMIノイズを効果的に低減することができるようになる。
ここで、シートの厚さ寸法を大きくすると、下アームスイッチング素子の放熱性能が悪化する。そこで、第2の発明の如く制御装置により、上アームスイッチング素子の導通時間を、下アームスイッチング素子の導通時間よりも長くすることで、上アームスイッチング素子に発熱を集中させて、下アームスイッチング素子の発熱を抑制し、シートの厚さ寸法拡大による放熱性能の悪化を補うことができるようになる。
この場合、第3の発明の如く制御装置が、各相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子をスイッチングする指令電圧に対して等しい電圧を加算することで、上アームスイッチング素子の導通時間を長くすることができる。
尚、のように上アームスイッチング素子の導通時間を長くすると、上アームスイッチング素子をスイッチングするためのブートストラップコンデンサの充電時間が短くなってしまうが、第4の発明の如く制御装置が、加算する電圧を制御することでブートストラップコンデンサの充電時間を確保するようにすれば、上アームスイッチング素子のスイッチングも支障無く行うことができるようになる。
また、第5の発明の如く下アームスイッチング素子を、上アームスイッチング素子よりも、冷却装置による冷却作用を強く受けるように配置することで、下アームスイッチング素子の放熱性能の悪化に伴う問題を解消することが可能となる。
例えば電力変換装置が電動圧縮機の圧縮機構を駆動するモータに相電圧を印加する場合は、第6の発明の如く各相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子を電動圧縮機に吸入される冷媒と熱交換関係に配置し、下アームスイッチング素子を、上アームスイッチング素子よりも、吸入される冷媒の上流側に配置することで、下アームスイッチング素子の放熱性能の悪化に伴う問題を解消することができる。
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