公報発行日 2026年8月12
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本発明の第1の実施形態によれば、電子表示装置において、表示部である電子表示デバイスは、基板を挟むように折り曲げられ、前記基板の第一の面と第二の面の両方に接着された高分子フィルム上に形成されており、該高分子フィルムは基板に接着されており、電子表示デバイスの表示部分の外形は基板外形と概略等しい。高分子フィルム上には電子表示デバイスの駆動信号を伝達する配線が形成されており、配線は高分子フィルムごと基板の側面に沿う形で折り曲げられ、基板の裏側(第二の面)に接着され、駆動するための駆動回路素子(以下、ドライバーICともいう。)は基板の裏側にて配線と接合される。
このような表示装置の構造は、表示装置の額縁幅を狭くする目的で古くから知られているが、従来の表示装置では基板の表面(第一の面)から裏側(第二の面)に折り曲げられるフィルムは TABないしCOFの基材フィルムであって、電子表示デバイスそのものの基板とは別であった。
本発明では、電子表示デバイスの表示部分と、電子表示デバイス周辺に配置される引き出し配線が共通の高分子フィルム基板上に形成されることになる。そのため、TABまたはCOFのように接続に要する端子部分が存在しない。したがって、引き出し配線が表示部分から引き出される根本近傍で引き出し配線を折り曲げることができるため、電子表示装置の額縁を狭くすることが可能となる。
さらに本発明では、好ましくは所定の物性の高分子フィルムを用いることにより、鋭角に近い角度で、配線と電子表示デバイス部にダメージを与えることなく、フィルムの折り曲げが可能となる。その結果、基板の端部から高分子フィルムが外側にはみ出すオーバーハング部分の長さLov(1/2×「電子表示外形寸法Lo」-「基板外形寸法Ld」を小さくできるため、さらなる狭額縁化が可能となる。
本発明の第2の実施形態によれば、本発明の電子表示装置の構造は、TABないしCOFと電子表示デバイス部を接続するための電極領域が不要であるため、電子表示デバイスの表示部の極近傍から配線を取り出すことが可能となる。かつ、配線を支える高分子フィルムが加熱により軟化するために、取り出された配線を表示部の極近傍ないしは表示部化のほぼ側面から直接配線を折り曲げた場合でも変形によって生じる歪が高分子フィルムの軟化によって吸収されるため、配線にダメージを与えることが少なく、配線の厚さを非常に薄くすることが可能となり、好ましくは3μm以下の厚さの配線とすることができる。また、配線に与えるストレスを低減できるため、配線として比較的変形しにくい金属皮膜を用いることができる。例えばナノサイズの金属粒子を用いたインクジェット印刷、反転印刷、マイクロコンタクト印刷などのプリンテッドエレクトロニクス技術による配線を適用することが可能となる。これらプリンテッドエレクトロニクス技術では、配線が金属微粒子の低温焼結体として得られるため、バルク金属層で構成される配線よりも脆くなりがちであり、折り曲げなどを伴う用途には不向きであるが、本発明と組み合わせることによりこれらの新しい配線形成技術と組み合わせることが可能となる。
また本発明では、金属粒子と熱可塑性樹脂バインダーを含む導電ペーストの印刷により得られる配線を用いることができる。このような組成の導電ペーストを用いた配線は、バインダー樹脂が熱可塑性を有するために、本発明の軟化温度を有する高分子フィルムとともに熱変形させることが可能であり、使用時には軟化温度以下の環境であるために配線がしっかりと固定化されるため、振動などにより配線が破損することが防止される。
結果として、実質的に電子表示装置の額縁幅を配線と高分子フィルムの厚さ程度にまで狭くすることができ、さらにドライバーICを基板の裏側に実装することが可能となるため、さらに省スペース化を進めることができる。
本発明では好ましくは高分子フィルムの一部または全部がシランカップリング剤の縮合物を介して基板に接着されている。シランカップリング剤縮合物層の存在はシランカップリング剤処理の結果である。かかるシランカップリング剤縮合物層の厚さは極めて薄く、基板、高分子フィルムの厚さに比較した場合には事実上無視できるレベルである。そのため、高分子フィルム層の平面性は、ほぼ基板に支配されるため極めて平滑な表面を得ることができる。これは大面積で高精細加工が必要な電子表示デバイスの形成においては必要不可欠な特性である。高分子フィルムを支持体(基板)なしで用いたり、あるいは数μm~数十μmの厚さを持つ一般的な接着剤、または粘着剤により高分子フィルムを基板に接着した場合には、高分子フィルムを折り曲げた際、高分子フィルム表面にウネリが生じ、きわめて精細な露光操作が必要な微細加工においては、このうねりの存在が致命傷となる場合がある。
シランカップリング剤縮合物層の耐熱性は、一般的な有機物からなる接着剤に比較して高く、電子表示デバイスを形成するための諸工程、より具体的にはアモルファスシリコン薄膜、ポリシリコン薄膜、酸化物半導体薄膜、化合物半導体膜などの形成工程での高温環境に十分耐えることができる。さらに、露光、現像、エッチング、レジスト剥離などの加工プロセスに用いられる薬液、溶剤、あるいはプラズマ加工などに十分耐えることができる。そのため、本発明の電子表示装置は、基板にシランカップリング剤縮合物層を介して高分子フィルムを積層して得られた積層体の高分子フィルム上にて直接的に電子表示デバイスに必要な加工を実施することが可能である。この加工方法によれば、フレキシブルなフィルムを、あたかも一枚の基板と見なして、従来型電子表示デバイスの製造装置を用いて実施することが可能である。
なお、本発明は、基板上に高分子の前駆体(代表的な例としてはポリイミドの前駆体であるポリアミド酸)溶液を塗布し、乾燥硬化して基板上で高分子フィルムを形成するプロセスについても、精緻な厚さ制御を行えば適用が可能となる。
さらに、本発明では、電子表示デバイスの基板である高分子フィルムを好ましくはガラスなどの無機基板で支持しているため、電子表示デバイスの平面性が保たれる。さらに電子表示デバイス周辺から折り曲げて基板の裏に回した引き出し配線部分を、基材である高分子フィルムごと、基板の裏面に接着することができる。高分子フィルムは硬い基板に支持されているため、ドライバーICを接着後の高分子フィルム上の端子に直接的にボンディング可能となる。高分子フィルムに支持体(基板)が無い場合、あるいは支持体の剛性が低い場合にはボンディング精度が低下することが多い。一方、本発明の電子表示装置では、高いボンディング精度を得ることが可能となる。もちろん、この効果はガラスに匹敵する平面性と高い圧縮弾性率を有する基板を用いれば、無機基板に限定されるわけでは無い。
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