(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】演算増幅器における誤差を低減するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
【FI】
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(31)【優先権主張番号】202241017794
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】クナル カランジカール
(72)【発明者】
【氏名】ラマナン アール ヴェンカタ
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサ ビーエス チャクラヴァーシー
(72)【発明者】
【氏名】ペル トーステイン ロイン
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA47
5J500AC03
5J500AC12
5J500AC13
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH25
5J500AK01
5J500AK02
5J500AK09
5J500AK11
5J500AK19
5J500AK34
5J500AM17
5J500AS15
5J500AT01
5J500DN01
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
(57)【要約】
例示のデバイス(105)が、制御信号(118)に基づく第1の状態(202)において、第1のスイッチ入力を第1のスイッチ出力に接続し、第2のスイッチ入力を第2のスイッチ出力に接続し、制御信号に基づく第2の状態(204)において、第1のスイッチ入力を第2のスイッチ出力に接続し、第2のスイッチ入力を第1のスイッチ出力に接続するように構成されるスイッチ回路要素(106A)と、制御信号に応答して、利得及び第1の状態における接続に基づいて第1の電圧(V1、112)を生成し、制御信号に応答して、利得及び第2の状態における接続に基づいて第2の電圧(V2、112)を生成するように構成される演算増幅器(110)と、入力電圧と利得との乗算に基づいて、第1の電圧(V1、112)及び第2の電圧(V2、112)をデジタル値(504)に変換するように構成される、アナログデジタルコンバータ(ADC)(116)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項】
デバイスであって、
スイッチ回路要素と、
アナログデジタルコンバータ(ADC)と、
を含み、
前記スイッチ回路要素が、
入力電圧に結合される第1のスイッチ入力と、
演算増幅器の正の入力端子に結合される第1のスイッチ出力と、
前記演算増幅器の出力に結合される第2のスイッチ入力と、
前記演算増幅器の負の入力端子に結合される第2のスイッチ出力と、
を有し、
前記スイッチ回路要素が、
制御信号に基づく第1の状態において、前記第1のスイッチ入力を前記第1のスイッチ出力に接続し、前記第2のスイッチ入力を前記第2のスイッチ出力に接続し、
前記制御信号に基づく第2の状態において、前記第1のスイッチ入力を前記第2のスイッチ出力に接続し、前記第2のスイッチ入力を前記第1のスイッチ出力に接続する、
ように構成され、
前記演算増幅器が、
前記制御信号に応答して、利得及び前記第1の状態における前記スイッチ回路要素に基づいて第1の電圧を生成し、
前記制御信号に応答して、前記利得及び前記第2の状態における前記スイッチ回路要素に基づいて第2の電圧を生成する、
ように構成され、
前記ADCが、前記入力電圧と前記利得の乗算に基づいて、前記第1の電圧及び第2の電圧をデジタル値に変換するように構成される、
デバイス。
【請求項】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記制御信号が、所与の時間において前記第1の状態又は前記第2の状態の一方に対応し、
前記スイッチ回路要素がさらに、前記制御信号に基づいて、前記第1の状態又は前記第2の状態において入力を出力に接続するかどうかを判定するように構成される、
デバイス。
【請求項】
請求項2に記載のデバイスであって、前記演算増幅器がさらに、
前記制御信号が前記第1の状態に対応するという判定に応答して、前記第1の電圧を生成し、
前記制御信号が前記第2の状態に対応するという判定に応答して、前記第2の電圧生成する、
ように構成される、
デバイス。
【請求項】
請求項2に記載のデバイスであって、前記制御信号が、前記ADCによって決定される周波数で、前記第1の状態に対する第1の対応と前記第2の状態に対する第2の対応との間で交番する、デバイス。
【請求項】
請求項4に記載のデバイスであって、
前記第1の電圧が第1の演算増幅器電圧であり、
前記第2の電圧が第2の演算増幅器電圧であり、
前記ADCがさらに、
或る時間量にわたって前記第1の状態に対応して前記制御信号を提供することと、
前記時間量の間、前記演算増幅器の前記出力の第1の記録される電圧を生成することであって、前記第1の記録される電圧と前記第1の演算増幅器電圧との間の差が閾値を満足する、前記生成することと、
前記時間量の後、前記第2の状態に対応してチョップ制御信号を提供することと、
前記演算増幅器の前記出力と前記第2の演算増幅器電圧との間の差が前記閾値を満足するまで待機することと、
待機した後、前記演算増幅器の前記出力の第2の記録される電圧を生成することと、
を行うように構成される、
デバイス。
【請求項】
請求項1に記載のデバイスであって、前記スイッチ回路要素、前記演算増幅器、及び前記ADCが、集積回路上に共に実装される、デバイス。
【請求項】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記スイッチ回路要素が第1のスイッチ回路要素であり、
前記演算増幅器がさらに第2のスイッチ回路要素を含み、
前記第2のスイッチ回路要素が、前記制御信号に基づいて前記第1の状態において第1の接続をなし、
前記第2のスイッチ回路要素が、前記制御信号に基づいて前記第2の状態において第2の接続をなす、デバイス。
【請求項】
デバイスであって、
スイッチ回路要素と、
アナログデジタルコンバータ(ADC)と、
プロセッサ回路要素と、
を含み、
前記スイッチ回路要素が、
入力電圧に結合される第1のスイッチ入力と、
演算増幅器の正の入力端子に結合される第1のスイッチ出力と、
前記演算増幅器の出力に結合される第2のスイッチ入力と、
前記演算増幅器の負の入力端子に結合される第2のスイッチ出力と、
を有し、
前記スイッチ回路要素が、
制御信号に基づく第1の状態において、前記第1のスイッチ入力を前記第1のスイッチ出力に接続し、前記第2のスイッチ入力を前記第2のスイッチ出力に接続し、
前記制御信号に基づく第2の状態において、前記第1のスイッチ入力を前記第2のスイッチ出力に接続し、前記第2のスイッチ入力を前記第1のスイッチ出力に接続する、
ように構成され、
前記演算増幅器が、
前記制御信号に応答して、利得及び前記第1の状態における前記スイッチ回路要素に基づいて第1の電圧を生成し、
前記制御信号に応答して、前記利得及び前記第2の状態における前記スイッチ回路要素に基づいて第2の電圧を生成する、
ように構成され、
前記ADCが、前記演算増幅器に結合される入力と、メモリに結合される出力とを有し、
前記ADCが、
前記入力電圧と前記利得の乗算に基づいて、前記第1の電圧及び第2の電圧をデジタル値に変換し、
前記デジタル値を前記メモリに格納する、
ように構成され、
前記プロセッサ回路要素が、前記メモリに結合される入力を有し、前記プロセッサ回路要素が、前記デジタル値に基づいて或る行為を行うように構成される、
デバイス。
【請求項】
請求項8に記載のデバイスであって、前記制御信号が、前記ADCによって決定される周波数で、前記第1の状態に対する第1の対応と前記第2の状態に対する第2の対応との間で交番する、デバイス。
【請求項】
請求項9に記載のデバイスであって、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧のデジタル値への前記変換が、第1の変換であり、
前記ADCがさらに、前記第1の電圧及び前記第2の電圧の複数のデジタル値への複数の変換を実施するように構成され、
前記ADCが前記第1の対応と前記第2の対応の間で交番する速度が、前記演算増幅器の前記出力の変換の速度に基づく、デバイス。
【請求項】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記第1の電圧が第1の演算増幅器電圧であり、
前記第2の電圧が第2の演算増幅器電圧であり、
前記ADCがさらに、
或る時間量にわたって前記第1の状態に対応して前記制御信号を提供することと、
前記時間量の間、前記演算増幅器の前記出力の第1の記録される電圧を生成することであって、前記第1の記録される電圧と前記第1の演算増幅器電圧との間の差が閾値を満足する、前記生成することと、
前記時間量の後、前記第2の状態に対応して前記制御信号を提供することと、
前記演算増幅器の前記出力と前記第2の演算増幅器電圧との間の差が前記閾値を満足するまで待機することと、
待機した後、前記演算増幅器の前記出力の第2の記録される電圧を生成することと、
を行うように構成される、
デバイス。
【請求項】
請求項8に記載のデバイスであって、前記スイッチ回路要素、前記演算増幅器、前記ADC、前記メモリ、及び前記プロセッサ回路要素が、マイクロプロセッサにおいて共に実装される、デバイス。
【請求項】
請求項8に記載のデバイスであって、前記第1の電圧及び前記第2の電圧をデジタル値に変換するために、前記ADCがさらに、
前記演算増幅器が前記第1の電圧を生成する第1の期間にわたって前記演算増幅器の前記出力をサンプリングし、
前記演算増幅器が前記第2の電圧を生成する第2の期間にわたって前記演算増幅器の前記出力をサンプリングし、
前記第1の期間からのサンプルと前記第2の期間からのサンプルとの平均に基づいて、前記デジタル値を計算する、
ように構成される、
デバイス。
【請求項】
方法であって、
第1のスイッチ入力を入力電圧に結合することと、
第1のスイッチ出力を演算増幅器の正の入力端子に結合することと、
第2のスイッチ入力を前記演算増幅器の出力に結合することと、
第2のスイッチ出力を前記演算増幅器の負の入力端子にすることと、
制御信号に基づく第1の状態におけるスイッチ回路要素を用いて、前記第1のスイッチ入力を前記第1のスイッチ出力に接続し、前記第2のスイッチ入力を前記第2のスイッチ出力に接続することと、
前記制御信号に基づく第2の状態における前記スイッチ回路要素を用いて、前記第1のスイッチ入力を前記第2のスイッチ出力に接続し、前記第2のスイッチ入力を前記第1のスイッチ出力に接続することと、
前記演算増幅器を用いて及びチョップ制御信号に応答して、利得及び前記第1の状態における前記接続に基づいて第1の電圧を生成することと、
前記演算増幅器を用いて及び前記チョップ制御信号に応答して、前記利得及び前記第2の状態における前記接続に基づいて第2の電圧を生成することと、
アナログデジタルコンバータ(ADC)を用いて、前記入力電圧と前記利得の乗算に基づいて、前記第1の電圧及び前記第2の電圧をデジタル値に変換することと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項14に記載の方法であって、前記ADCを用いて、前記第1の状態に対する第1の対応と前記第2の状態に対する第2の対応との間で交番するように前記制御信号を生成することをさらに含む、方法。
【請求項】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧をデジタル値に変換することが、第1の変換であり、
前記方法がさらに、前記ADCを用いて、前記第1の電圧及び前記第2の電圧の複数のデジタル値への複数の変換を実施することを含み、
前記ADCが前記第1の対応と前記第2の対応の間で交番する速度が、前記演算増幅器の前記出力の変換の速度に基づく、方法。
【請求項】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1の電圧が第1の演算増幅器電圧であり、
前記第2の電圧が第2の演算増幅器電圧であり、
前記方法がさらに、
前記ADCを用いて、或る時間量にわたって前記第1の状態に対応して前記チョップ制御信号を提供することと、
前記ADCを用いて、前記時間量の間、前記演算増幅器の前記出力の第1の記録される電圧を生成することであって、前記第1の記録される電圧と前記第1の演算増幅器電圧との間の差が閾値を満足する、前記生成することと、
前記ADCを用いて、前記時間量の後、対応して前記チョップ制御信号を提供することと、
前記演算増幅器の前記出力と前記第2の演算増幅器電圧との間の差が前記閾値を満足するまで待機することと、
待機した後、前記ADCを用いて、前記演算増幅器の前記出力の第2の記録される電圧を生成することと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項14に記載の方法であって、前記スイッチ回路要素、前記演算増幅器、及び前記ADCを、集積回路上に共に実装することをさらに含む、方法。
【請求項】
請求項14に記載の方法であって、前記第1の電圧及び前記第2の電圧をデジタル値に変換することがさらに、
前記ADCを用いて、前記演算増幅器が前記第1の電圧を生成する第1の期間にわたって前記演算増幅器の(前記?)出力をサンプリングすることと、
前記演算増幅器が前記第2の電圧を生成する第2の期間にわたって前記演算増幅器の前記出力をサンプリングすることと、
前記第1の期間からのサンプルと前記第2の期間からのサンプルとの平均に基づいて、前記デジタル値を記計算することと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項14に記載の方法であって、
前記スイッチ回路要素が第1のスイッチ回路要素であり、
前記方法がさらに、
前記演算増幅器内において第2のスイッチ回路要素を実装することと、
前記制御信号に基づいて、前記第1の状態において、第2のスイッチ回路要素入力を第2のスイッチ回路要素出力に接続することと、
前記制御信号に基づいて、前記第2の状態において、第2のスイッチ回路要素入力を第2のスイッチ回路要素出力に接続することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本記載は、概して、演算増幅器(オペアンプ)に関し、より詳細には、演算増幅器における誤差を低減するための方法及び装置
【背景技術】
【】
演算増幅器は、入力電圧に対して増幅される出力電圧を生成するためにアナログ回路要素においてしばしば用いられる。幾つかの例において、演算増幅器の入力電圧に対する演算増幅器の出力電圧の比を、演算増幅器の利得と称する。負帰還ループなどの幾つかの構成において、演算増幅器の利得は、外部構成要素によって構成され得る。
【発明の概要】
【】
演算増幅器における誤差を低減するための方法及び装置について、例示のデバイスが、制御信号に基づく第1の状態において、第1のスイッチ入力を第1のスイッチ出力に接続し、第2のスイッチ入力を第2のスイッチ出力に接続し、制御信号に基づく第2の状態において、第1のスイッチ入力を第2のスイッチ出力に接続し、第2のスイッチ入力を第1のスイッチ出力に接続するように構成されるスイッチ回路要素と、制御信号に応答して、利得及び第1の状態における接続に基づいて第1の電圧を生成し、制御信号に応答して、利得及び第2の状態における接続に基づいて第2の電圧を生成するように構成される演算増幅器と、入力電圧と利得の乗算に基づいて、第3の電圧及び第4の電圧をデジタル値に変換するように構成されるアナログデジタルコンバータ(ADC)とを含む。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】コンピュータシステムの例示のブロック図である。
【】
【図】図1の例示のオフセットコントローラ回路要素の例示のブロック図を示す。
【】
【図】図1のスイッチ回路要素及び演算増幅器の例示の回路図である。
【】
【図】図1のアナログデジタル変換器(ADC)回路要素の例示のブロック図である。
【】
【図】図1の動作出力信号、チョップ制御信号、及びADC出力信号、並びに、図4のADC変換開始(SOC:start of conversion)信号及びサンプル出力信号を図示するタイミングチャートを示す。
【】
【図】図1のオフセットコントローラ回路要素の誤差を記述するヒストグラムである。
【】
図面において、(機能上及び/又は構造上)同じ又は類似の特徴を示すために同じ参照番号又は他の参照指示子が用いられている。
【発明を実施するための形態】
【】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。概して、図面及び本願における同じ参照番号は同じ又は同様の部品を指す。図面は領域を明瞭な線及び境界で示すが、これらの線及び/又は境界の一部又は全部は理想化されていることがある。実際には、境界及び/又は線は観察不可能であったり、混ざっていたり、及び/又は不規則である場合がある。
【】
演算増幅器は、信号処理、センシング、制御システムなどを含めて広範な応用例において用いられる。多くの応用例において、演算増幅器は、演算増幅器の出力を用いて付加的な計算を実施するシステムにおける初期計算として用いられる。このような応用例において、演算増幅器の性能は、システムの性能に全体として大きな影響を及ぼし得る。そのため、電子機器製造業者は、演算増幅器の性能及び精度を継続的に向上させようと努めることがある。
【】
演算増幅器の性能を特徴付ける方式の一つはオフセット電圧である。オフセット電圧とは、演算増幅器によって生成される電圧が、予期される電圧から異なる誤差を指す。例えば、利得が10である演算増幅器は、1mVの信号に応答して10.2ミリボルト(mV)を出力し得るが、ここで、0.2mVはオフセット電圧に起因する。オフセット電圧は、演算増幅器内のトランジスタの入力段において受け取られる電圧間の差に起因して生じ得る。また、オフセット電圧の大きさは、演算増幅器の温度の影響を受ける。温度ドリフトは、温度変化に応答してオフセット電圧がどの程度変化するかを定量化する指標であり、演算増幅器の性能を特徴付けるためにも用いられ得る。
【】
幾つかの例において、電子機器製造業者は、チョッピング技術を用いてオフセット電圧を軽減し得る。チョッピング技術を用いると、演算増幅器の出力は、最大値G×(入力電圧+オフセット電圧)と、最小値G×(入力電圧-オフセット電圧)との間で交番する方形波として特徴付けることができ、ここで、Gは演算増幅器の利得を指す。チョッピング技術を利用する以前の解決策は、最大電圧と最小電圧を平均化するための周波数フィルタを実装することによってオフセット電圧を軽減し得、それによってオフセット電圧の振れが除去される。しかし、チョッピングを利用する以前の解決策は、演算増幅器及び周波数フィルタの両方を実装するために集積回路に付加的なスペースが必要になり得、製造コストの増加につながる。
【】
本明細書において説明する例示の方法、システム、及び装置では、例示のアナログ-デジタルコンバータ(ADC)を含む集積回路(マイクロプロセッサなど)に実装される例示の演算増幅器を説明する。有利にも、チョッピング技術を用いることにより生じるオフセットの振れは、例示のADCが演算増幅器の出力をサンプリングするときに除去される。そのため、本明細書の例では、周波数フィルタなどのマイクロプロセッサの外にある回路要素を用いることなくオフセット電圧を除去する技術を説明する。また、例示の演算増幅器は、例示のADCによって決定される速度で、G×(入力電圧+オフセット電圧)と、G×(入力電圧-オフセット電圧)との間で交番する。その結果、例示の演算増幅器は、以前の解決策よりも小さいオフセット電圧及び低い温度ドリフトを示し得る。
【】
図1は、例示のコンピュータシステム100の例示のブロック図である。例示のコンピュータシステム100は、例示の電圧源102、例示の入力電圧104、例示のオフセットコントローラ回路要素105、例示のADC出力信号120、例示のメモリ122、及び例示のプロセッサ回路要素124を含む。例示のオフセットコントローラ回路要素105は、例示のスイッチ回路要素106A、例示のオフセット電圧108、例示の演算増幅器110、例示のオペアンプ出力信号(OPAOUT)112、例示の分圧器114、例示のADC116、及び例示のチョップ制御信号118を含む。
【】
例示の電圧源102は入力電圧104を生成する。例示の電圧源102は、任意のタイプのデバイスとして実装され得、任意の目的のための入力電圧104を生成し得る。例えば、電圧源102は、測定を実施するために入力電圧104を生成するセンサ回路要素であり得る。別の例において、電圧源102は、伝送媒体(例えば、セルネットワーク、ケーブルなど)を介してデータを受け取ることに応答して入力電圧104を生成する送受信機回路要素であり得る。幾つかの例において、入力電圧104は時間の経過とともに変化し得る。
【】
例示のオフセットコントローラ回路要素105は、電圧源102から入力電圧104を受け取り、入力電圧を表すデジタル値(すなわち、「0」ビット及び「1」ビット)を生成する。デジタル値は、例示のADC出力信号120と称することがある。例示のオフセットコントローラ回路要素105内の構成要素は、集積回路上に共に実装され得る。幾つかの例において、例示の電圧源102、例示のモリ122、及び例示のプロセッサ回路要素124の一つ又は複数が、例示のオフセットコントローラ回路要素105と同じ集積回路上に実装され得る。他の例において、例示の電圧源102、例示のモリ122、及び例示のプロセッサ回路要素124の一つ又は複数が、例示のオフセットコントローラ回路要素105とは別に実装されてもよい。
【】
例示のオフセットコントローラ回路要素105内において、例示のスイッチ回路要素106Aは複数のスイッチを含む。例示のスイッチ回路要素106Aは、二つの入力及び二つの出力を有する。例示のスイッチ回路要素106Aは、チョップ制御信号118に基づいて、第1の状態と第2の状態との間で遷移する。第1の状態において、例示のスイッチ回路要素106Aの各々において、第1の入力が第1の出力に接続され、第2の入力が第2の出力に接続される。第2の状態において、例示のスイッチ回路要素106Aにおいて、第1の入力が第2の出力に接続され、第2の入力が第1の出力に接続される。例示のスイッチ回路要素106Aは、図2に関連してさらに説明する。
【】
例示のオフセットコントローラ回路要素105内において、例示のオフセット電圧108は、演算増幅器110における内部誤差を表す。図1に示す例において、例示のオフセット電圧108は、誤差を視覚的に示すとともに、演算増幅器110を理想的なオペアンプとして機能的に記述し得るように、演算増幅器110の外に表されている。理想的なオペアンプは、無限大の入力インピーダンスを有し、出力インピーダンスを有さず、誤差を生成しない演算増幅器の仮想モデルである。例示のオフセット電圧108は任意の値とし得る。幾つかの例において、例示のオフセット電圧108は、周囲温度の変化に起因して時間の経過とともに変化し得る。
【】
例示のオフセットコントローラ回路要素105内において、例示の演算増幅器110は、スイッチ回路要素106Aから差動入力を二つの入力電圧の形で受け取る。例示の演算増幅器110は、差動入力対間の入力電圧に対して増幅されるオペアンプ出力信号112である出力電圧を生成する。演算増幅器110の利得は任意の値とし得る。本明細書において用いられる例において、演算増幅器110の利得は変数Gとして一般化され得る。例示の演算増幅器110は、図1において理想的なオペアンプとして表されている。例示の演算増幅器110の実際の実装を図3に関連してさらに説明する。
【】
例示のオフセットコントローラ回路要素105内において、例示の分圧器114は、第1のノードにおいてオペアンプ出力信号112に結合され、第2ノードにおいて接地に結合される、二つ又はそれ以上の直列の抵抗器によって実装される。例示の分圧器114は、直列に接続される抵抗器間に一つ又は複数の中間ノードも含む。各中間ノードは、オペアンプ出力信号112より小さいが、接地(例えば、0ボルト(V))より大きい中間電圧を示す。分圧器114における任意の中間ノードの電圧は、
として記述され得、ここで、OPAOUT
112はオペアンプ出力信号112からの電圧であり、R
1は中間ノードと第1のノードとの間の総抵抗であり、R
2は中間ノードと接地との間の総抵抗である。図1において、製造業者は、中間ノードの一つが電圧(OPAOUT
112/G)を有するように、例示の分圧器114内の抵抗器の値を事前決定し得る。このノードは、スイッチ回路要素106Aの第2の入力に接続される。分圧器114において用いられる抵抗器の値は、製造業者によって事前決定され得、利得Gに基づき得る。
【】
例示のオフセットコントローラ回路要素105内において、例示のADC116は、アナログ電圧であるオペアンプ出力信号112をデジタルビットに変換する。例示のADC116は、論理[1]ビットに対する高い供給電圧と論理[0]ビットに対する低い供給電圧とを含む、ADC出力信号120を生成する。例示のADC116は、チョップ制御信号118も生成する。例示のチョップ制御信号118は、図2及び図4に関連してさらに説明する。
【】
例示のメモリ122は、ADC出力信号120において符号化されたデジタルビットを格納する。例示のメモリ122は、任意のタイプのメモリとして実装され得る。例えば、例示のメモリ122は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリとし得る。揮発性メモリは、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUS(登録商標)ダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM(登録商標))、及び/又は、任意の他のタイプのRAMデバイスによって実装され得る。不揮発性メモリは、フラッシュメモリ及び/又は任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実装され得る。
【】
例示のプロセッサ回路要素124は、メモリ122からデジタルビットを取得し得、デジタルビットに基づいて動作を実施し得る。例えば、デジタルビットは、センサ読み取り値を表し得、プロセッサ回路要素124は、読み取り値をディスプレイ上でユーザに提示することによって動作を実施し得る。別の例において、デジタルビットは、外部デバイスからのメッセージを表し、プロセッサ回路要素124は、外部デバイスに応答メッセージを送ることによって動作を実施し得る。例示のプロセッサ回路要素124は、任意のタイプのプロセッサデバイスによって実装され得る。プロセッサデバイスの例には、プログラムマブルマイクロプロセッサ、命令をインスタンス化し得るフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はマイクロコントローラや特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路が含まれる。
【】
有利にも、例示のオフセットコントローラ回路要素105の構成要素は、マイクロプロセッサなどの単一集積回路上に共に実装され得る。ADCは、様々な応用例において用いられる共通の構成要素であるため、製造業者は、デフォルトでADCを含むようにマイクロプロセッサを設計し得る。そのため、オペアンプ出力信号112において生成されるオフセット電圧を補正するために例示のADC116を用いると、以前の解決策の周波数フィルタのように集積回路上に付加的なダイスペースは必要とされない。
【】
例示のスイッチ回路要素106Aは、チョップ制御信号118に基づいて、第1の状態と第2の状態との間で変化する。そうすることによって、例示のコンピュータシステム100は、オペアンプ出力信号112がG×(VIN104+VOFF108)とG×(VIN104-VOFF108)の間で交番するチョッピング技術を実装する。及び本明細書において用いられるように、VIN104は例示の入力電圧104を指し、VIN108は例示のオフセット電圧108を指す。有利にも、オフセット電圧を補正するため、並びに、チョップ制御信号118を介してオペアンプ出力信号112の値がいつ変化するかを判定するために、例示のADC116を用いることで、以前の解決策よりもオフセット電圧及び温度ドリフトの大きさが小さくなる。
【】
図2は、図1の例示のオフセットコントローラ回路要素105の例示のブロック図を示す。図2は例示の構成202、204を含む。例示の構成202、204は、二つの異なる状態にある例示のスイッチ回路要素106Aを示す。図2において、オフセット電圧108は、例示の演算増幅器110の外にあるように図示されており、例示の演算増幅器110は、理想的なオペアンプとして表されている。
【】
スイッチ回路要素106Aは二つの入力を含む。例示のスイッチ回路要素106Aにおいて、第1の入力が入力電圧104に接続され、第2の入力が、分圧器114の中間ノードに接続される。スイッチ回路要素106Aは、二つの出力も含む。例示の構成202、204において、スイッチ回路要素106Aは、四つの単極単投(SPST)スイッチによって実装され得、これらのスイッチは、トランジスタ又は他の適切なスイッチング回路要素を用いて実装され得る。このような例において、スイッチ回路要素106A内で、第1のSPSTスイッチが、第1の入力を第1の出力に接続し、第2のSPSTスイッチが、第1の入力を第2の出力に接続し、第3のSPSTスイッチが、第2の入力を第1の出力に接続し、第4のSPSTスイッチが、第2の入力を第2の出力に接続する。他の例において、スイッチ回路要素106Aを実装するために、異なる数の異なるスイッチが用いられてもよい。例えば、二つの単極双投(SPDT)スイッチが実装され得、この場合、所与のSPDTスイッチが、入力の一つを第1及び第2の出力の両方に接続する。
【】
例示の構成202は、第1の状態にある例示のスイッチ回路要素106Aを示す。第1の状態において、スイッチ回路要素106Aは、入力電圧104を第1の出力に接続し、オペアンプ出力信号112を第2の出力に接続する。次いで、スイッチ回路要素106Aの第1の出力は、外に表されるオフセット電圧108に直列に接続される。したがって、例示の構成202における例示の演算増幅器110の正の入力端子が受ける電圧は、(VIN104+VOFF108)である。また、理想的なオペアンプの特性は、入力端子間の電圧差が0Vになるまで、出力電圧が増加し、そのためフィードバック入力が増加するというものである。そのため、定常状態の例示の構成202における例示の演算増幅器110の負の入力端子が受ける電圧も(VIN104+VOFF108)である。これらの電圧は、例示の演算増幅器110内でGによって増幅される。したがって、スイッチ回路要素106Aが第1の状態にあるとき、オペアンプ出力信号112は、G×(VIN104+VOFF108)になる。
【】
例示の構成204は、第2の状態における例示のスイッチ回路要素106Aを示す。第2の状態において、スイッチ回路要素106Aは、入力電圧104を第2の出力を介して演算増幅器110の負端子に直接接続する。また、例示の演算増幅器110は理想的なオペアンプとして表されているので、例示の演算増幅器110の両端子は入力電圧104を受ける。しかし、演算増幅器110の正の入力端子は、オフセット電圧108に直列に接続されたままである。そのため、正の入力端子が受ける電圧は、オフセット電圧108と、スイッチ回路要素106Aの第1の出力における電圧との合計になる。したがって、演算増幅器110の正端子が入力電圧104を受けるためには、スイッチ回路要素106Aの第1の出力における電圧がVIN104-VOFF108でなければならない。例示の構成204において、スイッチ回路要素106Aの第1の出力は、スイッチ回路要素106Aの第2の入力に直列に接続され、スイッチ回路要素106Aの第2の入力は、例示の分圧器114の出力に直列に接続される。例示の分圧器114は、例示のオペアンプ出力信号112よりも小さい振幅を有する電圧を出力するように設計される。具体的には、例示の分圧器114の出力は、例示のオペアンプ出力信号112のGの振幅を有する。したがって、スイッチ回路要素106Aの第1の出力における電圧がVIN104-VOFF108になるように、スイッチ回路要素106Aが第2の状態にあるときのオペアンプ出力信号112の例は、G×(VIN104-VOFF108)になる。
【】
図2は、例示のオフセットコントローラ回路要素105内においてオペアンプ出力信号112の値を交番させるために、例示のスイッチ回路要素106Aをどのように用いるかを図示する。例えば、チョップ制御信号118が、スイッチ回路要素106Aが第1の状態にあることを示す場合、例示のオフセットコントローラ回路要素105は、オペアンプ出力信号112=G×(VIN104+VOFF108)になるように例示の構成202において動作する。また、チョップ制御信号118が、スイッチ回路要素106Aが第2の状態にあることを示す場合、例示のオフセットコントローラ回路要素105は、オペアンプ出力信号112=G×(VIN104-VOFF108)になるように例示の構成204において動作する。有利にも、例示のチョップ制御信号118は、例示のADC116によって生成される。その結果、チョップ制御信号118がオペアンプ出力信号112の二つの値間で遷移する周波数は、例示のADC116がオペアンプ出力信号112をサンプリングしてアナログ電圧をデジタル値に変換する速度と同期する。例示のADC116を介して例示のチョップ制御信号118を同期実装すると、以前の解決策と比較して、例示の演算増幅器110のオフセット電圧及び温度ドリフトの大きさが低減され得る。
【】
図3は、図1のスイッチ回路106A及び例示の演算増幅器110の回路図である。図3は、スイッチ回路要素106A、例示の演算増幅器110、及び例示の分圧器114を含む。例示の演算増幅器110は、例示の正の金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ302、304、306、308、310、312、314と、例示の負の金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ316、318、320、322と、例示のスイッチ回路要素106B、106Cとを含む。
【】
例示のPMOSトランジスタ302、304、306は、演算増幅器の入力段を形成するように構成される。入力段において、PMOSトランジスタ302、304のドレインゲートを介して流れる電流は、入力電圧104と分圧器114とによって提供される電圧に比例する。スイッチ回路要素106Aによって提供される二つの電圧は、理想的には大きさが等しいが、実際には異なり得る。302及び304において測定される電圧の大きさの差がオフセット電圧108である。
【】
例示のPMOSトランジスタ308、310、312、314及び例示のNMOSトランジスタ316、318、320、322は集合的に、折り畳みカスコード増幅器を形成する。演算増幅器110の利得は、NMOSトランジスタ318と322間の電圧の増幅の測定値であり、折り畳みカスコード増幅器内のトランジスタの相互コンダクタンスに基づいている。
【】
実際には、例示の演算増幅器110は、図3において説明するように、三つの例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cの実装を含み得る。例示のスイッチ要素106B、106Cは、前述した例示のスイッチ要素106Aと同様に実装され得る。したがって、例示のスイッチ回路要素106B、106Cは、各々、二つの入力及び二つの出力を有する。例示のスイッチ回路要素106B、106Cは、各々、チョップ制御信号118に基づいて第1の状態と第2の状態の間で遷移する。また、例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cは、任意の時点において、三つのスイッチ回路要素106A、106B、106Cが、すべて第1の状態にあるか又はすべて第2の状態にあるように構成され得る。例示のスイッチ回路要素106B、106Cは、各々、四つのSPSTスイッチによって実装され、これらのスイッチは、トランジスタ又は他の適切なスイッチング回路要素を用いて実装され得る。図1及び図2において、例示の演算増幅器110を理想的なオペアンプとして説明するために例示のスイッチ回路要素106B、106Cは必要とされなかったが、実際には、例示の演算増幅器110は、例示のチョップ制御信号118に基づいて、第1の状態においてG×(VIN104+VOFF108)を、第2の状態においてG×(VIN104-VOFF108)を出力するために、例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cの各々を含み得る。
【】
例示のスイッチ回路要素106Bは、二つの入力及び二つの出力を有する。例示のスイッチ回路要素106Bの二つの入力は、例示のPMOSトランジスタ308、310のドレインゲートに結合される。例示のスイッチ回路要素106Bの二つの出力は、例示のPMOSトランジスタ312、314のソースゲートに結合される。例示のスイッチ回路要素106Bが第1の状態にあるとき、例示のPMOSトランジスタ308のドレインゲートは、例示のPMOSトランジスタ312のソースゲートに結合され、例示のPMOSトランジスタ310のドレインゲートは、例示のPMOSトランジスタ314のソースゲートに結合される。例示のスイッチ回路要素106Bが第2の状態にあるとき、例示のPMOSトランジスタ308のドレインゲートは、例示のPMOSトランジスタ314のソースゲートに結合され、例示のPMOSトランジスタ310のドレインゲートは、例示のPMOSトランジスタ312のソースゲートに結合される。
【】
例示のスイッチ回路要素106Cは、二つの入力及び二つの出力を有する。例示のスイッチ回路要素106Cの二つの入力は、例示のNMOSトランジスタ316、318のソースゲートに結合される。例示のスイッチ回路要素106Cの二つの出力は、例示のNMOSトランジスタ320、322のドレインゲートに結合される。例示のスイッチ回路要素106Cが第1の状態にあるとき、例示のNMOSトランジスタ316のソースゲートは、例示のNMOSトランジスタ320のドレインゲートに結合され、例示のNMOSトランジスタ318のソースゲートは、例示のNMOSトランジスタ322のソースゲートに結合される。例示のスイッチ回路要素106Cが第2の状態にあるとき、例示のNMOSトランジスタ316のソースゲートは、例示のNMOSトランジスタ322のドレインゲートに結合され、例示のNMOSトランジスタ318のソースゲートは、例示のNMOSトランジスタ320のソースゲートに結合される。
【】
図3は、入力電圧104を増幅しチョッピング技術を実装するために、演算増幅器110がどのようにトランジスタレベルで設計され得るかを図示する。有利にも、演算増幅器110は、チョップ制御信号118を介して例示のADC116によって制御されるスイッチ回路要素106B、106Cを含む。その結果、例示のADC116は、オフセット電圧108を表さないデジタルビットを生成することができ、周波数フィルタなどの回路要素を用いてオフセット電圧を除去するための付加的なダイスペースが不要になる。また、オフセット電圧108を除去するために例示のADC116を用いると、チョップ制御信号118により演算増幅器の出力がサンプリングされ平均化され得るので、オフセット電圧の大きさが低減され、それによりオフセットが除去される。また、例示のADC116は、複数の温度においてチョッピング技術を実施し得るので、例示の演算増幅器110の温度ドリフトが以前の解決策よりも低くなり得る。
【】
図4は、図1のアナログデジタル変換器(ADC)回路要素の例示のブロック図である。例示のADC116は、例示のチョップコントローラ回路要素402と、例示のサンプルアンドホールド回路要素404と、例示の平均器回路要素406と、例示のコンバータ回路要素408とを含む。図4はまた、例示のオペアンプ出力信号112と、例示のチョップ制御信号118と、例示のADC出力信号120と、例示のADC SOC信号410と、例示のサンプル出力信号412と含む。
【】
例示のチョップコントローラ回路要素402は、本願の教示に従ってチョッピング技術を実装する。例えば、例示のチョップコントローラ回路要素402は、例示のサンプルアンドホールド回路要素404から例示のADC SOC信号410を受信し、それに同期して例示のチョップ制御信号118を生成する。また、例示のチョップコントローラ回路要素402は、図2において前述したように、スイッチがいつ第1の状態になるか及びスイッチがいつ第2の状態になるかを示すために、チョップ制御信号118を例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cに送る。例示のチョップ制御信号118及び例示のADC SOC信号410は、図5に関連してさらに説明する。例示のチョップコントローラ回路要素402はまた、平均電圧をいつ計算するかを示すために例示の平均器回路要素406に命令を提供する。
【】
例示のサンプルアンドホールド回路要素404は、例示の演算増幅器110によって生成されるオペアンプ出力信号112を受信する。例示のサンプルアンドホールド回路要素404は、クロック回路を用いて、オペアンプ出力信号112からの電圧を記録し、記録された電圧を或る時間量にわたって出力する。幾つかの例において、記録された電圧をサンプル又は変換と称することがある。例示のサンプルアンドホールド回路要素404は、新たな変換が開始されたことを示すためにADC SOC信号410を送る。同様に、例示のサンプルアンドホールド回路要素404が所与の記録された電圧を出力する時間量をホールド時間と称することがある。例示のサンプルアンドホールド回路要素404は、記録された電圧であるサンプル出力信号412を例示の平均器回路要素406に提供する。例示のオペアンプ出力信号112は、図5に関連してさらに説明する。
【】
例示の平均器回路要素406は、時間の経過とともに例示のサンプル出力信号412内の複数の電圧を受け取る。例えば、例示の平均器回路要素406は、第1のホールド時間にわたって第1の記録された電圧を受け取り得、それに続いて、第2のホールド時間にわたって第2の記録された電圧を受け取り得る、などである。例示のチョップコントローラ回路要素402から命令を受け取ると、例示の平均器回路要素406は、例示のサンプル出力信号412内の前の二つの記録された電圧の平均を計算する。例示の平均器回路要素406は、計算された平均電圧をコンバータ回路要素408に提供する。
【】
例示のコンバータ回路要素408は、計算された平均電圧をデジタル値に変換する。デジタル値は任意の数のビットを含み得る。例示のコンバータ回路要素408は、任意のアナログデジタル変換技術を用いてデジタル値を生成し得る。例えば、例示のコンバータ回路要素408は、或る値の範囲内の任意の計算された平均電圧に対して、どんな対応するデジタルビットが生成されるべきかを記載するルックアップテーブルを実装し得る。そのような例において、ルックアップテーブルは、コンバータ回路要素408に事前にプログラムされていてもよいし、又はプロセッサ回路要素124によって例示のコンバータ回路要素408に提供されてもよい。例示のコンバータ回路要素408によって生成されるデジタル値を例示のADC出力信号120と称する。
【】
有利にも、例示のADC116は、チョップ制御信号118と、ADC SOC信号410と、平均器回路要素406が平均を計算するときとを同期するための例示のチョップコントローラ回路要素402を含む。例示のチョップコントローラ回路要素402は、平均器回路要素406への入力として用いられる電圧の一つがG×(VIN104+VOFF108)に等しくなることと、平均化回路要素406への入力として用いられる他の電圧がG×(VIN104-VOFF108)に等しくなることとを確実にすることによって、ADC116がオフセットを除去できるようにする。その結果、コンバータ要素408によって生成されるデジタルビットは、計算された平均電圧G×VIN104に基づくことになる。また、オフセットを除去するために例示のADC回路要素116を用いると、同じことを実現するために外部フィルタを必要とする以前の解決策と比較して実装面積が削減される。
【】
図5は、例示のオペアンプ出力信号112と、例示のチョップ制御信号118と、例示のADC SOC信号410と、例示のサンプル出力信号412と、例示のADC出力信号120とを図示するタイミングチャート502を示す。
【】
例示のタイミングチャート502は、オペアンプ出力信号112が時間の経過とともにどのように変化するかを示す。理想的には、オペアンプ出力信号112は、G×VIN104を中心に振動する方形波として表され得る。例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cが第1の状態にあるとき、例示のオペアンプ出力信号112は、図5においてV1と記載される電圧、すなわち、G×VIN104よりも大きいG×VOFF108ボルトである。同様に、例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cが第2の状態にあるとき、例示のオペアンプ出力信号112は、図5においてV2と記載される電圧、すなわち、G×VIN104よりも小さいG×VOFF108ボルトである。
【】
理想的な方形波は、電圧間の瞬時遷移を含む。実際には、例示の演算増幅器110は、図5に示すように、V1とV2の間の遷移のために或る時間量を必要とし得る。幾つかの例において、例示の演算増幅器110は、さらに又は代替として、目標電圧(V1又はV2のいずれか)をオーバーシュート又はアンダーシュートし得、目標電圧に戻るまでに或る時間量を要し得る。幾つかの例において、遷移が生じた後に例示の演算増幅器110が目標電圧に戻るまでに必要とされる時間量をセトル時間と称する。
【】
例示のタイミングチャート502は、チョッピング周波数の2.5周期にわたる前述の信号を示す。チョッピング周波数の1周期の間、オペアンプ出力信号112は、G×(VIN104+VOFF108)とG×(VIN104-VOFF108)との間で一回遷移する。また、チョッピング周波数の1周期の間、例示のADC116は一つのデジタル値を生成する。
【】
例示のチョップ制御信号118は、高い供給電圧と低い供給電圧とを含む。例示のチョップ制御信号118が低い供給電圧を示すとき、例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cは、前述したように第1の状態にある。同様に、例示のチョップ制御信号が高い供給電圧を示すとき、例示のスイッチ回路要素106A、106B、106Cは、前述したように第2の状態にある。
【】
例示のADC SOC信号410は、例示のサンプルアンドホールド回路404がオペアンプ出力信号112をサンプリングするときを記述する。例示のサンプルアンドホールド回路404は、ADC SOC信号410が低い供給電圧から高い供給電圧に遷移するときに、例示のオペアンプ出力信号112のサンプリングを開始する。同様に、例示のサンプルアンドホールド回路404は、ADC SOC信号410が高い供給電圧から低い供給電圧に遷移するときに、サンプリングを終了する。例示のADC SOC信号410は、例示のチョップコントローラ回路要素402によって生成される。
【】
例示のサンプル出力信号412は、ADCが各サンプルの間に記録する電圧を表す。例示の入力電圧104は時間の経過とともに変化し得る一方、例示のチョップ制御信号118は、任意のADCサンプル期間の間に記録される電圧が二つの値の一方によって表され得るように、例示のチョップ制御信号118と例示のADC SOC信号410とを同期させる。具体的には、V
1と標示されるサンプルは、電圧G×(V
IN104+V
OFF108)を指し、V
2と標示されるサンプルは、電圧G×(V
IN104-V
OFF108)を指す。チョッピング周波数の1周期の間、例示のサンプル出力信号412は、V
1と標示される一つのサンプルと、V
2と標示される一つのサンプルとを含む。オフセット電圧をフィルタリングするために、例示のコンバータ回路要素408は、チョッピング周波数の1周期の間に記録された電圧(すなわち、連続する二つのサンプルからの電圧)の平均に基づいてデジタルビットを生成する。具体的には、
ここで、V
Convertは、平均器回路要素406によって生成され、コンバータ回路要素408に提供されるアナログ電圧である。
【】
例示のADC出力信号出力120は、チョッピング周波数の各周期に対して一つの新たなデジタル値を含む。図5の例示のタイミングチャートにおいて、例示のADC出力信号120は、コンバータ回路408がVConvertの第1の値に基づいて生成した例示のデジタル値504を含む。例示のオペアンプ出力信号112の二つの付加的なサンプルの後、例示のコンバータ回路408は、VConvertの第2の値に基づいて例示のデジタル値506を生成する。例示のデジタル値504、506は、任意の量のデータを含み得る。例えば、例示のデジタル値504、506は、一つ又は複数のビット、バイト、ワードなどのデータを含み得る。
【】
有利にも、チョップ制御信号118(これはオペアンプ出力信号112の値を決める)は、サンプルアンドホールド回路要素404から、例示のチョップコントローラ回路要素402に送られるADC SOC信号410に基づいている。したがって、例示のADC116は、チョップ制御信号118における遷移が生じた後、オペアンプ出力信号112がセトルするのに十分な時間が経過するまで、オペアンプ出力信号112の後続のサンプリングが開始されないという意味で、チョップ制御信号118及びADC SOC信号410を同期して生成する。具体的には、オペアンプ出力信号112の瞬時電圧と所望とされる目標電圧(V1又はV2のいずれか)との間の差が、誤差閾値未満であるか又は誤差閾値に等しいとき、オペアンプ出力信号112はセトルしたとみなされ得る。そうすることで、例示のサンプル出力信号412のコード1及びコード2が、オペアンプ出力信号112の所望とされる目標電圧に基づいており、例示の演算増幅器110がセトル時間の間に生成するオーバーシュート電圧又はアンダーシュート電圧には基づいていないことになる。
【】
図6は、図1の演算増幅器の誤差を記述するヒストグラムを含む。図6は、例示のヒストグラム602、604を含む。
【】
例示のヒストグラム602は、動作している例示のコンピュータシステム100の複数のシミュレーションにわたる例示の演算増幅器110のオフセットを示す。幾つかの例において、例示の演算増幅器110のオフセットは、オペアンプ出力信号112の測定電圧と演算増幅器110の予期される出力電圧との間の差として計算され得る。他の例において、例示の演算増幅器110のオフセットは、ADC出力信号120の測定電圧とADC116の予期される出力電圧との間の差として計算され得る。
【】
例示のヒストグラム602のx軸はオフセットをボルト単位で示し、例示のヒストグラム602のy軸は、二つの特定の電圧間でオフセットが計算されたシミュレーションの数(すなわち、ヒストグラムの特定の区間(bin)に属するシミュレーションの数)を示す。例示のヒストグラム602は、すべての例示のシミュレーションにわたって、例示の演算増幅器110が、202マイクロボルト(μV)未満の又はそれに等しい大きさのオフセットを示したことを示す。
【】
例示のヒストグラム602は、動作している例示のコンピュータシステム100の複数のシミュレーションにわたる例示の演算増幅器110の温度ドリフトを示す。単一の温度ドリフト値を計算するために、例示のコンピュータシステム100は、複数の周囲温度で動作するように複数回シミュレーションされ、各固有の温度シミュレーションに対してオフセットが計算される。次いで、温度ドリフトは、T
drift=
と記述され得、ここで、T
driftは温度ドリフトであり、Offset
maxは最大の記録されたオフセット電圧であり、Offset
minは最小の記録されたオフセット電圧であり、T
maxは最高動作温度であり、T
minは最低動作温度である。
【】
例示のヒストグラム604のx軸は、温度ドリフトを摂氏温度当たりのマイクロボルト単位(μV/℃)で示し、例示のヒストグラム604のy軸は、二つの特定の値間で温度ドリフトが計算されたシミュレーションの数(すなわち、ヒストグラムの特定の区間に属するシミュレーションの数)を示す。例示のヒストグラム604は、すべての例示のシミュレーションにわたって、例示の演算増幅器110が、1.18μV/℃未満の又はそれに等しい大きさの温度ドリフトを示したことを示す。
【】
本記載において、「及び/又は」という用語(A、B、及び/又はCなどの形式で用いられる場合)は、(a)Aのみ、(b)Bのみ、(c)Cのみ、(d)A及びB、(e)A及びC、(f)B及びC、(g)A及びB及びCなど、A、B、Cの任意の組み合わせ又はサブセットを指す。また、本明細書において用いられるように、「A又はBの少なくとも一つ」(或いは「A及びBの少なくとも一つ」)という語句は、(a)少なくとも一つのA、(b)少なくとも一つのB、及び(c)少なくとも一つのA及び少なくとも一つのBの任意のものを含む実装を指す。
【】
本明細書に記載される例示の方法、装置、及び製造物は、演算増幅器の性量を向上させ、演算増幅器から誤差を除去するために必要とされるダイスペースの量を削減する。例示の演算増幅器110の出力は、オフセットを除去するために例示のADC116に直接提供される。例示の演算増幅器110及び例示のADC116はいずれも同じ集積回路上に実装され、オフセットを除去するために別の回路上の付加的なダイスペースを用いる必要性をなくす。また、例示のADC116は、演算増幅器の出力が変化するとき、並びに、演算増幅器の出力がサンプリングされてデジタル値を形成するとき、の両方を制御する。その結果、例示の演算増幅器110のオフセット及び温度ドリフトの大きさは、以前の解決策よりも小さくなり得る。
【】
「結合する」という用語は、本明細書全体にわたって用いられている。この用語は、本記載と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが、或る行為を実施するためにデバイスBを制御するための信号を提供する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、或いは第2の例において、介在する構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変更させない場合に、デバイスAによって提供される制御信号を介してデバイスBがデバイスAによって制御されるように、デバイスAは、介在する構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【】
或るタスク又は機能を実施する「ように構成される」デバイスは、製造時に製造業者によってその機能を実施するように構成(例えば、プログラム及び/又は配線)され得、及び/又は、製造後にユーザによってその機能及び/又は他の付加的な又は代替の機能を実施するように構成可能(又は再構成可能)とされ得る。このように構成することは、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介して、ハードウェア構成要素の構築及び/又はレイアウト、並びにデバイスの相互接続を介して、或いはこれらの組み合わせを介して、なされ得る。
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本明細書において用いられるように、「端末」、「ノード」、「相互接続」、「ピン」、及び「リード」という用語は、交換可能に用いられる。特に断りのない限り、これらの用語は概して、デバイス素子、回路素子、集積回路、デバイス又は他の電子機器、或いは、半導体構成要素間の、相互接続を意味するように用いられている。
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或る構成要素を含むように本明細書に記載される回路又はデバイスが、代わりに、これらの構成要素に結合されて、記載された回路要素又はデバイスを形成するように適合されてもよい。例えば、一つ又は複数の半導体要素(トランジスタなど)、一つ又は複数の受動要素(抵抗器、コンデンサ、及び/又はインダクタなど)、及び/又は一つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流源など)を含むと記載される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内の半導体要素のみを含んでいてもよく、また、製造時又は製造後のいずれかにおいて、例えば、エンドユーザー及び/又は第三者によって、受動要素及び/又は供給源の少なくとも幾つかに結合されて記載された構造を形成するように適合されてもよい。
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本明細書において特定のトランジスタを用いることについて記載しているが、他のトランジスタ(又は同等のデバイス)を代わりに用いてもよい。例えば、p型金属酸化物シリコンFET(MOSFET)を、回路をほとんど又は全く変更せずにn型MOSFETの代わりに用いることができる。また、他のタイプのトランジスタ(バイポーラ接合トランジスタ(BJT)など)も用いられ得る。
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本明細書に記載の回路は、構成要素の交換前に利用可能であった機能性と少なくとも部分的に同様の機能性を提供するように、交換された構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として図示される構成要素は、別途記載のない限り、概して、直列及び/又は並列に結合されて、図示の抵抗器によって表されるインピーダンス量を提供する、任意の一つ又は複数の要素を表す。例えば、本明細書において単一の構成要素として図示及び説明した抵抗器又はコンデンサを代わりに、それぞれ、同じノード間に並列に結合される、複数の抵抗器又はコンデンサとしてもよい。例えば、本明細書において単一の構成要素として図示及び説明した抵抗器又はコンデンサを代わりに、それぞれ、単一の抵抗器又はコンデンサとして同じ二つのノード間に直列に結合される、複数の抵抗器又はコンデンサとしてもよい。
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上述の記載における「接地」という語句の使用は、シャーシ接地、アース接地、浮遊接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は本願の教示に適用可能又は適切な、任意の他の形態の接地接続を含む。別途記載のない限り、或る値の前の「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載されている値の±10パーセントを意味する。
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特許請求の範囲内で、説明した実施例における改変が可能であり、他の実施例が可能である。
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【国際調査報告】