(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】有線ネットワークレシーバにおける協働タイミングリカバリ及び判定帰還型等化器適応
(51)【国際特許分類】
【FI】
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】サラヴァナックマール ラドハクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ラグー ガネサン
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
5K029AA01
5K047AA01
5K047GG11
5K047GG45
5K047MM38
(57)【要約】
シンボルタイミングリカバリ及び等化適応における、ネットワーク通信レシーバ及びそれを動作させる方法。データコンバータ(308)は、受信したアナログ信号(AIN)を、受信した信号のシンボル周波数よりも高い初期化周波数(finit)においてサンプリングし、そのサンプルをデジタルサンプルストリームに変換する。1つ又は複数のタップ重みを有するデジタルフィルタ(325)を含む判定帰還型等化器(320)が適応され、判定帰還型等化器の出力から誤差測定(MSE)が得られる。誤差測定が誤差閾値(ALSEnir seq)を交差したことに応答して、データコンバータに適用されたサンプリングクロック(SCLK)の位相を調節するために、タイミング誤差検出(350)を含むタイミングループが開始される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項】
方法であって、
初期的に前記シンボル周波数よりも大きい周波数でサンプリングクロックに応答して、シンボル周波数を有する入力アナログ信号をサンプリングすることと、
前記サンプリングされた入力アナログ信号をデジタルサンプルストリームに変換することと、
出力デジタルストリームを生成するために、前記デジタルサンプルストリームを判定帰還型等化器を用いて等化することと、
前記判定帰還型等化器の少なくとも1つのタップ重みを適応させることと、
前記出力サンプルストリームから誤差測定値を計算することと、
前記誤差測定値が誤差閾値と交差したことに応答して、前記サンプリングクロックの位相を調節することと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項1に記載の方法であって、前記誤差測定値を計算することが、複数のサンプルの各々について平均二乗誤差を計算することを含む、方法。
【請求項】
請求項2に記載の方法であって、前記等化することが、
前記出力デジタルストリームにおけるサンプルにデジタルフィルタを適用することであって、前記デジタルフィルタが、フィードバック信号を生成するために少なくとも1つのタップ重みを含む、適用することと、
ポストカーソルでフィルタリングされたサンプルのストリームを生成するために、前記フィードバック信号を前記デジタルサンプルストリームのサンプルから減算することと、
前記出力デジタルストリームを生成するために、前記ポストカーソルでフィルタリングされたサンプルをスライスすることと、
を含み、
前記平均二乗誤差を計算することが、複数のサンプルの各々について、前記ポストカーソルでフィルタリングされたサンプルと前記出力デジタルストリームとの間の差分から前記平均二乗誤差を生成することを含む、方法。
【請求項】
請求項1に記載の方法であって、前記調節することが、前記出力デジタルストリームのタイミング誤差機能を最小化するために前記サンプリングクロックの前記位相を調節することを含む、方法。
【請求項】
請求項4に記載の方法であって、前記誤差測定値を計算することが、
複数のサンプルの各々について平均二乗誤差を計算することと、
前記複数のサンプルにわたる前記平均二乗誤差の周期性を観察することと、
前記平均二乗誤差測定の前記識別された最小値に対する前記誤差閾値を計算することと、
を含み、
前記調節することが、前記誤差測定値が前記誤差閾値を下回っていることに応答して、前記サンプリングクロックの位相を調節する、方法。
【請求項】
請求項1に記載の方法であって、前記誤差測定値を計算することが、
複数のサンプルの各々について平均二乗誤差を計算することと、
前記複数のサンプルにわたる前記平均二乗誤差の周期性を観察することと、
を含み、
前記調節することが、
最小値の前記観察された周期性に対応する周波数オフセットを計算することと、
前記周波数オフセットに従って前記サンプリングクロックの前記位相を調節することと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項6に記載の方法であって、前記調節されたサンプリング周波数を計算することが、
前記平均二乗誤差の最小値と最大値とを識別することと、
前記最小値及び最大値に基づいて、前記平均二乗誤差の閾値を識別することと、
前記平均二乗誤差によって前記閾値の交差間の時間間隔を測定することと、
前記測定された時間間隔を前記周波数オフセットにマッピングすることと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項7に記載の方法であって、さらに、
通信チャネルから前記入力アナログ信号を受信することを含み、
前記調節することが、さらに、
前記調節されたサンプリング周波数に従って前記サンプリングクロックの前記位相を調節した後に、さらに、前記出力デジタルストリームのタイミング誤差機能を第1の調節ステップサイズで最小化するために、前記サンプリングクロックの前記位相を調節することと、
その後、前記出力デジタルストリームのタイミング誤差機能を、前記第1の調節ステップサイズよりも小さい第2の調節ステップサイズで最小化するために、前記サンプリングクロックの前記位相をさらに調節することと、
を含む、方法。
【請求項】
請求項8に記載の方法であって、
前記通信チャネルが、長さ閾値を下回る長さを有するかどうかを判定することを含み、
前記調節することが、前記通信チャネルが前記長さ閾値を下回る長さを有することに応答して、
前記調節されたサンプリング周波数に従って前記サンプリングクロックの前記位相を調節した後に、前記出力デジタルストリームのタイミング誤差機能を最小化するために、前記サンプリングクロックの前記位相を前記第2の調節ステップサイズのみでさらに調節することを含む、方法。
【請求項】
ネットワーク通信レシーバであって、
入力においてアナログ信号を受信し、出力においてデジタルサンプルストリームを出力するように適応されたデータコンバータであって、前記アナログ信号がシンボル周波数を有し、前記データコンバータが、サンプリングクロック信号に応答して前記アナログ信号をサンプリングし、前記サンプリングされた信号を前記デジタルサンプルストリームに変換する、前記データコンバータと、
クロック制御信号に応答した位相及び周波数で前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されたクロック生成回路要素であって、前記データコンバータに結合されている、前記クロック生成回路要素と、
前記デジタルサンプルストリームを受け取るために前記データコンバータの前記出力に結合されている入力を有する、デジタルレシーバ回路要素と、
を含み、
前記デジタルレシーバ回路要素が、
1つ又は複数のタップ重みを有するデジタルフィルタを含み、前記デジタルサンプルストリームから出力デジタルストリームを生成するように構成された、判定帰還型等化器(DFE)と、
前記DFEに結合され、前記出力デジタルストリームのサンプルにおいて誤差を測定するように構成された、誤差測定回路要素と、
前記DFEに結合され、前記クロック制御信号を生成するように構成された、クロック制御回路要素と、
前記DFEと、前記誤差測定回路要素と、前記クロック制御回路要素とに結合されたシーケンサ論理と、
を含み、
前記シーケンサ論理が、前記判定帰還型等化器、前記誤差測定回路要素、及び前記クロック制御回路要素の動作を、複数の動作に従って制御するように構成され、
前記複数の動作が、
前記受信したアナログ信号の前記シンボル周波数を上回る周波数に対応する初期化周波数信号に応答して、クロック制御信号を生成することと、
前記適応等化器の前記タップ重みの少なくとも1つを適応させることと、
前記出力サンプルストリームからの誤差測定値を計算することと、
前記誤差測定値が誤差閾値を交差したことに応答して、前記クロック制御信号を調節することと、
を含む、
ネットワーク通信レシーバ。
【請求項】
請求項10に記載のレシーバであって、前記デジタルレシーバ回路要素が、さらに、
前記出力デジタルストリームからタイミング誤差信号を計算するように構成されたタイミング誤差検出回路要素を含み、
前記シーケンサ論理が、前記誤差測定値が前記誤差閾値を交差したことに応答して、前記クロック制御信号に対してクロック制御調節を生成するために前記タイミング誤差検出回路を制御するように構成される、
レシーバ。
【請求項】
請求項11に記載のレシーバであって、前記誤差測定回路要素が、
前記出力サンプルストリームのサンプルにおける平均二乗誤差を計算し、
前記出力サンプルストリームの複数のサンプルにわたる平均二乗誤差の最小値を識別するように構成され、
前記シーケンサ論理がさらに、前記誤差測定が、前記平均二乗誤差の最小値から判定された誤差閾値を下回っていることに応答して、前記タイミング誤差検出回路要素に対する開始信号を生成するように構成される、レシーバ。
【請求項】
請求項10に記載のレシーバであって、前記誤差測定回路要素が、
前記出力サンプルストリームのサンプルにおける平均二乗誤差を計算し、
前記出力サンプルストリームの複数のサンプルにわたる前記平均二乗誤差の周期性を識別し、
前記平均二乗誤差の前記識別された周期性に対応する周波数オフセットを計算する、
ように構成され、
前記クロック制御回路要素が、前記周波数オフセットに応答して前記クロック制御信号を調節するように構成される、
レシーバ。
【請求項】
請求項13に記載のレシーバであって、前記誤差測定回路要素が、
前記平均二乗誤差の最小値と最大値とを識別することと、
前記最小値及び最大値に基づいて、前記平均二乗誤差の閾値を識別することと、
前記平均二乗誤差によって、前記閾値の交差間の時間間隔を測定することと、
前記測定された時間間隔を前記周波数オフセットにマッピングすることと、
によって、前記調節されたサンプリング周波数を計算するように構成される、
レシーバ。
【請求項】
請求項10に記載のレシーバであって、前記デジタルレシーバ回路要素が、さらに、前記判定帰還型等化器の前に前記デジタルサンプルストリームを等化するように構成された、フィードフォワード等化器を含む、レシーバ。
【請求項】
請求項10に記載のレシーバであって、前記クロック生成回路要素が、
参照クロックに基づいた周波数でクロック信号を生成するように構成された位相ロックループと、
前記クロック制御信号を受信する入力と、前記位相ロックループから前記クロック信号を受信する入力とを有する、位相補間器と、
を含み、
前記位相補間器が、前記クロック信号及び前記クロック制御信号に応答した位相において前記サンプリングクロック信号を生成するように構成される、レシーバ。
【請求項】
物理層トランシーバであって、
媒体独立インターフェースと、
媒体依存インターフェースと、
前記媒体独立インターフェースに結合された送信処理ブロックと、
前記送信処理ブロックと前記媒体依存インターフェースとの間に結合されたトランスミッタサブシステムであって、前記送信処理ブロックからのデータに対応するアナログ信号を、前記媒体依存インターフェースを介して通信するように構成されている、前記トランスミッタサブシステムと、
前記媒体依存インターフェースに結合され、前記媒体依存インターフェースからシンボル周波数を有するアナログ信号を受信するように適応されたデータコンバータであって、サンプリングクロック信号に応答して前記アナログ信号をサンプリングし、前記サンプリングされた信号を前記デジタルサンプルストリームに変換するように構成された、前記データコンバータと、
前記データコンバータに結合され、クロック制御信号に応答した位相及び周波数で前記サンプリングクロック信号を生成するように構成された、クロック生成回路要素と、
前記媒体独立インターフェースに結合された受信処理ブロックと、
を含み、
前記受信処理ブロックが、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素を含み、
前記シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素が、
1つ又は複数のタップ重みを有するデジタルフィルタを含む判定帰還型等化器であって、前記デジタルサンプルストリームから出力デジタルストリームを生成するように構成された、前記判定帰還型等化器と、
前記判定帰還型等化器に結合され、前記出力デジタルストリームのサンプルにおける誤差を測定するように構成された、誤差測定回路要素と、
前記誤差測定回路要素に結合され、前記クロック制御信号を生成するように構成された、クロック制御回路要素と、
前記判定帰還型等化器、前記誤差測定回路要素、及び前記クロック制御回路要素に結合されたシーケンサ論理と、
を含み、
前記シーケンサ論理が、前記判定帰還型等化器、前記誤差測定回路要素、及び前記クロック制御回路要素の動作を、複数の動作に従って制御するように構成され、前記複数の動作が、
前記受信したアナログ信号の前記シンボル周波数を上回る周波数に対応する初期化周波数信号に応答して、クロック制御信号を生成することと、
前記適応等化器の前記タップ重みの少なくとも1つを適応させることと、
前記出力サンプルストリームからの誤差測定値を計算することと、
前記誤差測定値が誤差閾値を交差したことに応答して、前記クロック制御信号を調節することと、
を含む、物理層トランシーバ。
【請求項】
請求項17に記載のトランシーバであって、前記誤差測定回路要素が、
前記出力サンプルストリームのサンプルにおける平均二乗誤差を計算し、
前記出力サンプルストリームの複数のサンプルにわたる平均二乗誤差の最小値を識別するように構成され、
前記シーケンサ論理がさらに、前記誤差測定値が、前記平均二乗誤差の前記最小値から決定された誤差閾値を下回っていることに応答して、前記タイミング誤差検出回路要素に対する開始信号を生成するように構成される、トランシーバ。
【請求項】
請求項17に記載のトランシーバであって、前記誤差測定回路要素が、
前記出力サンプルストリームのサンプルにおける平均二乗誤差を計算し、
前記出力サンプルストリームの複数のサンプルにわたる前記平均二乗誤差の周期性を識別し、
前記平均二乗誤差の前記識別された周期性に対応する周波数オフセットを計算する、
ように構成され、
前記クロック制御回路要素が、前記周波数オフセットに応答して前記クロック制御信号を調節するように構成される、トランシーバ。
【請求項】
請求項19に記載のトランシーバであって、前記誤差測定回路要素が、
前記調節されたサンプリング周波数を、
前記平均二乗誤差の最小値と最大値とを識別することと、
前記最小値及び最大値に基づいて前記平均二乗誤差の閾値を識別することと、
前記平均二乗誤差によって前記閾値の交差間の時間間隔を測定することと、
測定された前記時間間隔を前記周波数オフセットにマッピングすることと、
によって計算するように構成される、トランシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本明細書は、ネットワーク通信チャネルの確立に関し、より具体的には、有線ネットワークレシーバにおけるタイミングリカバリ及び適応等化器適応
【背景技術】
【】
ネットワーク通信の分野において、通信プロトコルのアーキテクチャを説明するために用いられる一般的な参照モデルが、開放型システム間相互接続(Open Systems Interconnection、OSI)階層参照モデルである。この参照モデルは、抽象化層のスタックを含み、「最下層」は、一般的には物理層又は「PHY」と呼ばれている。OSI物理層は、ワイヤード(例えば、イーサネット)又はワイヤレス(例えば、セルラー電話方式、ワイヤレスローカルエリアネットワーク、又はWiFi)にかかわらず通信リンクを介してデータビットが通信される、電気的インターフェース、タイミングインターフェース、及び他のインターフェースを定義する。電気信号、シグナリング速度、媒体及びコネクタタイプ、ならびにネットワークトポロジなどの通信要素が、PHY抽象化層内に含まれている。
【】
ハードウェアの観点から、「PHY」という用語は電子回路を指し、通常は1つ又は複数の集積回路として実装され、ネットワークインターフェースコントローラ又は他のネットワークノードにおいてOSIモデルの物理層機能を実装する。例えば、「PHY」はしばしば、別のネットワークノードと信号を送受信する、ネットワークノード内のトランシーバ回路要素を指すために用いられる。ネットワークノード内で、PHYはリンク層デバイス(媒体アクセス制御の略語として「MAC」とよく呼ばれる)を、光ファイバー又は銅線ケーブルなどの物理媒体に接続する。PHYデバイスは、物理符号化副層(PCS)と物理媒体依存(PMD)層との両方の機能性を含み得る。
【】
イーサネットの文脈において、PHYは、特定のネットワークに適用可能な、例えば1000BASE-T(1000Mbps)、100BASE-TX(銅を介して100Mbps)、及び10BASE-T(10Mbps)規格といった、IEEEイーサネット有線パケット送信規格のイーサネット物理層部分に従ってイーサネットフレームを送受信するための物理層トランシーバデバイスを指すことができる。これらの実装において、イーサネットPHYは、リンクにアナログ信号の物理アクセスを提供する。PHYが一般的にMACアドレス指定を扱わないので、マイクロコントローラ又はより高層の機能を実行する別のシステムにおいて、媒体独立インターフェース(Media-independent interface、MII)を用いてMACチップとインターフェース接続する。
【】
多くのネットワークインターフェースカード(NIC)実装において、イーサネットPHYは、イーサネットフレームのハードウェア送受信機能、及びイーサネットアナログドメインとリンク層パケットシグナリングのデジタルドメインとの間のインターフェース接続を実装する集積回路として実現される。NICは、PHY、MAC、及び他の機能を単一の集積回路に一体化してもよく、あるいは別個の集積回路としてもよい。現代のイーサネットトランシーバの例としては、テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドより入手可能な、DP838xx、DP83TGxxx、及びDP83TMxxxデバイスファミリーが挙げられる。
【】
イーサネット及びいくらかの他の有線PHYの1つの機能が、クロック及びデータリカバリと呼ばれている。クロックリカバリは、PHYレシーバが信号ストリーム自体から、受信した信号ストリームのシンボルタイミングを取得することに関与する。これを行なうには、或るPHYレシーバはタイミングループ機能を含み、タイミングループ機能は、受信した信号のサンプリングにおけるタイミング誤差を検出し、サンプリングポイントを最適化するためにサンプリングクロックの位相を調節する。クロック及びデータリカバリはまた、PHYレシーバにおける1つ又は複数の等化器の適応を一般的に含み、受信した信号におけるチャネル歪曲の効果に対する補償を最適化するために、適応判定帰還型等化器(DFE)を概して含む。イーサネット文脈におけるこのようなチャネル歪曲は、符号間干渉(ISI)として大部分は見受けられ、経時的により高い周波数が拡散される傾向がある。
【】
イーサネットPHYにおけるタイミング誤差検出は、一般的に、本明細書に参照によって援用される、ミュラーらの「デジタル同期データレシーバにおけるタイミングリカバリ」Trans. on Comms., Vol. COM-24,No.5(IEEE,1976),pp.516-31に記載の方法に従って行なわれる。一般的に、この手法はサンプリング位相を調節して、シンボルのプリカーソル(pre-cursor)ISI(P
-1)とポストカーソル(post-cursor)ISI(P
1)とのバランスをとる。イーサネットPHYにおけるDFEの適応は、プリカーソルISI及びポストカーソルISIの両方の振幅を最小化するために実施される。
【非特許文献】Mueller et al., “Timing Recovery in Digital Synchronous Data Receivers,” Trans. on Comms., Vol. COM-24, No.5( IEEE, 1976), pp. 516-31
【】
本明細書に記載の例に関連して、タイミング誤差検出ループ(「タイミングループ」)調節及びDFE適応が、その両方がポストカーソルISI(P1)の監視及び最適化に関与する点で、互いに相互接続されていることが観察されている。結果として、タイミングループによってサンプリング位相を調節することで、DFEにその係数、又はタップ重みを適応させ、続いてタイミングループにサンプリング位相を再度調節させることができる、などとなる。いくつかの状況において、タイミングループとDFEとのこの依存性は、収束前の長期のリンクアップ時間、そうでなければ、タイミングループが収束に失敗する、間違っているが安定している係数値にDFEが収束する「デッドロック」条件に結果的になる可能性がある。これらの問題は、短いチャネルにおいて特に生じるように観察されており、短いチャネルではISIが比較的低く、それゆえにタイミング誤差検出利得が低く、また比較的少ないシンボル遷移を有し、それゆえに低いISIを示す或るタイプの改変(例えば、MLT-3)に対して観察される。
【】
本明細書に記載の例が生じることは本文脈内である。
【発明の概要】
【】
一態様に従って、物理層トランシーバによって受信される、シンボル周波数を有する信号のシンボルタイミングリカバリ及び等化の方法が、シンボル周波数よりも大きい周波数において初期的にサンプリングクロックを用いてサンプリングすることと、サンプリングされた信号をデジタルサンプルストリームに変換することと、出力デジタルストリームを生成するために、デジタルサンプルストリームを、判定帰還型等化器を用いて等化することと、を含む。この方法はさらに、判定帰還型等化器の少なくとも1つのタップ重みを適応させることと、出力サンプルストリームから誤差測定値を計算することと、を含む。誤差測定が誤差閾値を交差したことに応答して、サンプリングクロックの位相が調節される。
【】
別の態様に従って、ネットワーク通信レシーバが、シンボル周波数を有するアナログ信号を受信する入力と、サンプリングクロック信号に応答してアナログ信号をサンプリングし、サンプリングされた信号をデジタルサンプルストリームに変換するデータコンバータとを有する。クロック生成回路要素が、レシーバのデジタルレシーバ回路要素におけるクロック制御回路要素によって生成されたクロック制御信号に応答した位相においてサンプリングクロック信号を生成するように構成される。デジタルレシーバ回路要素は、データコンバータからデジタルサンプルストリームを受け取るように結合された入力を有し、さらに、デジタルサンプルストリームから出力デジタルストリームを生成する1つ又は複数のタップ重みを有するデジタルフィルタを含む判定帰還型等化器を含む。デジタルレシーバ回路要素はまた、出力サンプルストリームのサンプルにおける誤差を測定する誤差測定回路要素と、クロック制御信号をクロック生成回路要素に生成するように構成されたクロック制御回路要素と、を含む。シーケンサ論理が、回路要素の動作を制御して、クロック生成回路要素がシンボル周波数を上回る初期化周波数においてサンプリングクロック信号を生成するように制御し、判定帰還型等化器の少なくとも1つのタップ重みを適応し、出力サンプルストリームから誤差測定値を計算する。誤差測定が誤差閾値を交差したことに応答して、クロック制御信号は、サンプリングクロックの位相を調節する。
【】
これらの態様の1つ又は複数によって可能にされた技術的な利点としては、等化及びタイミングループが相互依存している実装においても、ネットワークレシーバにおける迅速かつ精確な等化及びサンプルタイミングの協働収束(joint convergence)が得られることが挙げられる。
【】
本記載の態様によって可能とされた他の技術的利点は、当業者であれば、下記の記載を図面と共に参照することによって明らかに分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】いくつかの例に従って構築されたネットワークノードのブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】いくつかの例に従って構築された物理層トランシーバ(PHY)のブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】いくつかの例に従った、図2のPHYの受信経路における回路要素のブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】図3Aの例に従った、判定帰還型等化器のブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】図3Aの例に従った、誤差計算回路要素のブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】図3Aの例に従った、受信経路の動作を図示するフローチャートである。
【】
【図】図4の例に従った動作の一例における適応の間の判定帰還型等化器係数値のプロットである。
【】
【図】図4の例に従った動作における適応中の平均二乗誤差のプロットである。
【】
【図】別の例に従った、図2のPHYの受信経路における回路要素の、ブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】図6Aの例に従った、受信経路回路要素における誤差計算回路要素の、ブロック形態での電気回路図である。
【】
【図】図6Aの例に従った、受信経路回路要素の動作を図示するフローチャートである。
【】
同一の参照数字又は他の参照指示子が、(機能及び/又は構造において)同一又は類似の特徴を図示するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【】
本明細書に記載される1つ又は複数の例は、高速イーサネット型ネットワークにおける物理層トランシーバデバイスに実装されるものとして記載されているが、それはこのような実装がそのような用途において特に有利であると企図されるからである。しかし、これらの例の態様は、例えば、他の有線ネットワーク技術に関連して、他の応用例においても有益に適用され得るように企図される。従って、下記の記載は例示のためのみに提供されており、請求される本発明の真の範囲を限定することはない。
【】
図1は、いくつかの例が実装され得るネットワークノード100の一例を図示する。ネットワークノード100は、ネットワークサーバ又はクライアントのいずれか又は両方の役割におけるコンピューティングデバイス、入出力機能などの周辺デバイス、センサ又はコントローラ、ルータ、スイッチ、又は別のネットワーク機能など、複数のネットワーク機能のうちの任意のものとして実現されてもよい。ネットワークノード100はネットワーク通信媒体102に結合され、それを介してデータ及び制御情報を受け取ったり送信したりする。イーサネットネットワークを介してネットワーク通信が行なわれるこの特定の例において、ネットワーク通信媒体102は、CAT6銅配線などとして実装される。他の実装において、ネットワーク通信媒体102は、光ファイバーなどとして実現されてもよい。
【】
図1の例において、ネットワークノード100は、或る例に従って構築されたイーサネット物理層トランシーバ(PHY)106を含む。ネットワーク通信媒体102が銅線の有線イーサネット接続である例については、PHY106は媒体102に磁気結合インターフェース104によって結合される。磁気結合インターフェース104は、信号経路を提供する一方で、媒体102をPHY106からガルバニック絶縁するために設けられる。例えば、磁気結合インターフェース104は、ネットワーク通信媒体102と物理的に結合するために、PHY106との信号経路においてコネクタジャックを用いて設けられた別個のイーサネット磁気モジュールとして実現され得る。あるいは、磁気結合インターフェース104は、イーサネットコネクタジャックと同じハウジング又はパッケージと統合されてもよい。いずれの場合も、この実装におけるPHY106と磁気結合インターフェース104との間のインターフェース122は、イーサネットの文脈において、その仕様がネットワーク通信媒体102に対して用いられる特定の媒体に依存するという点で、媒体依存インターフェース(MDI)と呼ばれる。
【】
この例におけるイーサネットPHY106は、データ及び制御情報を上流の機能とネットワーク通信媒体102との間で送受信するための適切な回路要素を含む。イーサネットの文脈において、PHY106はデジタルデータをイーサネットフレームの形態において媒体アクセスコントローラ(MAC)108から受け取り、これらのフレームに対応するアナログ信号を、媒体102を介して送信するために生成する。PHY106は、その受信機能において、媒体102を介して受信したアナログ信号を処理し、ネットワークノード100へのデータを表すこれらの信号について、MAC108及びさらに上流にある機能による消費及び処理のために、デジタルデータをイーサネットフレームにデジタル化及びフォーマットする。このように、PHY106は、媒体102におけるイーサネットアナログドメインと、MAC108によって実施される、ネットワークノード100のためのリンク層パケットシグナリングのデジタルドメインとの間のインターフェースとして作用する。いくつかの例に従ったPHY106の構築及び動作を、さらに下記に詳細に記載する。
【】
この例に従って、PHY106はMAC108にインターフェース124によってMAC108に結合され、この実装では、イーサネットの文脈において、インターフェースの仕様がネットワーク通信媒体102の物理的実装とは独立しているという点で、媒体独立インターフェース(Media Independent Interface(MII))又は低減ギガビット独立インターフェース(Reduced Gigabit Media Independent Interface(RGMII))と呼ばれている。ネットワークノード100における媒体アクセスコントローラ(MAC)108は、PHY106を介してネットワークから受け取られ、送信のためにPHY106に通信されるデータを処理するための適切な回路要素を含む。この処理は、例えば、送信及び受信の両方向においてフレームバッファリングを管理すること、パケットフォーマット及び認識、タイマー機能、及び、OSIモデルのデータリンク層若しくはMAC層の部分に関与する他の動作を含み得る。MAC108は、プロセッサ、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、デジタル回路要素、メモリ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせと統合されてもよい。MAC108は、PHY106及びMIIインターフェース124と同じ集積回路内に、あるいはPHY106とは別個の1つ又は複数の集積回路として、実現され得る。
【】
図1の例において、ネットワークノードプロセッサ110が、インターフェース126を介してMAC108に結合される。ネットワークノードプロセッサ110は、ネットワーク内のネットワークノード100の機能を行なうのに適切なデータ処理及び制御能力を提供する。ネットワークノードプロセッサ110は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGAもしくは別のスイッチファブリック、及び/又はその機能に適切な他の回路要素として実現され得る。ネットワークノードプロセッサ110は、MAC108と同じ集積回路内に、あるいは1つ又は複数の別個の集積回路として実現されてもよい。
【】
図2は、一例に従ったPHY106のアーキテクチャを図示する。上述するように、PHY106は、ネットワーク通信媒体102におけるイーサネットアナログドメインと、MAC108によって実施される、ネットワークノード100のためのリンク層パケットシグナリングのデジタルドメインとの間の通信をインターフェース接続する全般的な機能を有する。このようにして、本例におけるPHY106は、場合に応じて適切なRGMII又はMIIプロトコルに従って、インターフェース124を介して、PHY106によって処理された又は処理されるデジタル信号がMAC108にそれぞれ通信されるか受信される、MIIインターフェース回路要素200を含む。後者の場合、MAC108、PHY106、磁気結合インターフェース104は、ネットワークプロセッサ110がインターフェース126を介して結合されるネットワークインターフェースカード(NIC)において実現され得る。
【】
MAC108に通信される、及びMAC108から受け取られるデジタルデータの処理のために、PHY106は1つ又は複数の通信処理ブロックを含む。この例において、PHY106は、ネットワークノード100における上流機能から受け取られたデータを、PHY106からネットワークに送信するために処理するための送信処理ブロック202TXと、ネットワークから受け取られたデータを、ネットワークノード100における上流機能に転送するために処理する受信処理ブロック202RXとを含む。PHY106が、3つのイーサネット工業プロトコルのいずれかに従って通信を処理するように動作可能である本例において、処理ブロック202TX、202RX(集合的に、又は個別に「処理ブロック202」と呼ばれる)は各々、100BASE-TX処理ブロック、10BASE-Te処理ブロック、及び1000BASE-T処理ブロックを含み得る。あるいは、ネットワークノード100が車載ネットワークの文脈で実装される場合には、PHY106の処理ブロック202は適用可能な車載イーサネットプロトコルに従って、通信を処理するように構成され得る。処理ブロック202TX、202RXは各々、MIIインターフェース回路要素200に一方の側で結合されており、磁気結合インターフェース104を介したネットワーク通信媒体102との通信のために、別の側でハイブリッドブロック210に結合される。処理ブロック202TX、202RXは各々、関与する特定のプロトコルに対して適切にデジタルデータを処理するように構成及び動作可能なデジタル論理回路要素(又は他の回路要素、メモリ、及び/又はソフトウェア)を含む。例えば、処理ブロック202TX、202RXに含まれるデジタル論理回路要素は、デジタル信号プロセッサにおいて少なくとも部分的に、スタンドアロンプロセッサとして、又はより大規模な集積回路に埋め込まれて、及び/又は1つ又は複数の状態機械の形態におけるシーケンサ論理として、実装されてもよい。PHY制御ブロック208は、処理ブロック202TX、202RX、及びPHY106の他の機能を、複数の動作モードのうちの選択された1つで動作するように制御するための適切な論理及び構成レジスタを含む。
【】
この例のイーサネットの文脈において、処理ブロック202TX、202RXにおけるデジタル論理回路要素は、動作モード(例えば、100BASE-TX、10BASE-Te、及び1000BASE-T)に依って、適用可能なイーサネットプロトコルにおける1つ又は複数の副層、例えば、物理符号化副層(PCS)、物理媒体接続(PMA)副層、及び物理媒体依存(PMD)副層(MII側からイーサネット媒体側の順に)のうちの1つ又は複数を実装するように構成される。
【】
この実装において、ハイブリッドブロック210は、処理ブロック202TX、202RXのデジタルドメインとアナログドメインとの間で信号を変換するように構成及び動作可能である(ネットワーク通信媒体102を介して通信されるように)。このようにして、コンバータブロック210はデジタル-アナログ(DAC)変換及びアナログ-デジタル(ADC)変換の機能性に加え、磁気結合インターフェース104に結合されたドライバ及びレシーバ回路要素も含む。デジタルデータのネットワーク通信媒体102への送信に関与する、例えば、送信処理ブロック202TXからアナログドメインへと、適切なフィルタ及び増幅器を用いてデジタルデータを変換するためのDACを含むハイブリッドブロック210の回路及び機能は、送信サブシステムブロック214によって、図2に示されている。ネットワーク通信媒体102からの信号の受信に対して、ハイブリッドブロック210は、レシーバアナログフロントエンド(AFE)216を含む。AFE216は、媒体102からアナログ信号を受信し、それらの受信された信号を動作プロトコル下で処理ブロック202RXを受け取るための通信のためのデジタルデータ及び制御シンボルに変換することに関与する、適切な回路要素を含む。この観点において、下記にさらに詳しく記載するように、AFE216は、アナログフィルタ、レベルシフタ、1つ又は複数のプログラム可能な利得増幅器、ADC機能性、及びこれらの動作を行なうための他の回路要素を含み得る。
【】
PHY106はまた、クロック生成回路要素220を含み、クロック生成回路要素220は、この例では、適切なクロック信号をハイブリッドブロック210に提供するように構築され動作可能であり、本明細書に記載の例の目的のために、具体的にはレシーバAFE216に適切なクロック信号を提供するように構築され動作可能である。クロック生成回路要素220は、これらのクロックを、(例えば、PHY106の外部にあり、端子REFCLKにおいて結合される水晶発振器又はバルク弾性波デバイスからの)受信したマスタークロック信号に基づいて、又は、PHY106の外部もしくはPHY106内で生成されたマスタークロック信号に基づいて、生成し得る。クロック生成回路要素220はまた、図2に示すように、受信処理ブロック202RX及び/又はPHY制御ブロック208から制御信号を受信してもよい。
【】
或る付加的な機能もまた、この例に従ってPHY106に提供される。のように、図2に示すように、PHY106はPHY制御ブロック208を含み、PHY制御ブロック208は、PHY106を集積回路デバイスとして制御するための適切な動作を実行するために構築され動作可能である、管理及び制御回路要素を含み、このような動作には、リセット、割り込み生成及び操作、状態及び制御情報を外部回路要素から受け取ったり通信したりするための回路要素等が含まれる。例えば、MIIインターフェース200に関連する構成及び状態情報ならびに上流機能との通信を格納するために、MIIレジスタ222が設けられてもよい。図2に示されていない他の機能もまたPHY106に提供されてもよく、そのような機能には、電力管理、「ウェイクオン(Wake on)LAN)」回路機能、オートネゴシエーション回路機能等が含まれる。
【】
図3Aは、いくつかの例に従ったPHY106の受信経路における或る回路要素の例を図示し、このような回路要素には、AFE216、クロック生成回路要素220、及び受信処理ブロック202RXの一部が含まれる。AFE216は、入力信号をネットワーク通信施設102から磁気結合インターフェース104を介して受信するため、入力がインターフェース122に結合されたアナログハイパスフィルタ302を含む。ハイパスフィルタ302の出力は、プログラム可能な利得増幅器304及びアナログローパスフィルタ306に結合され、アナログローパスフィルタ306の出力はADC308の入力に結合される。この例において、ハイパスフィルタ302及びローパスフィルタ306は、インターフェース122から受信した信号に信号調整(signal conditioning)を提供し、プログラム可能な利得増幅器(PGA)304は、調整された入力信号に自動利得制御(AGC)を適用する。
【】
ADC308は、調整されて増幅されたアナログ信号を、クロック生成回路要素220からのサンプリングクロックSCLKの位相及び周波数においてサンプリングし、その信号の各サンプルをデジタルシンボルに変換する。イーサネットPHY106におけるこの実装において、ADC308のサンプリングレートはシンボル毎に1サンプル(1Sps)であり、このようにして、サンプリングクロックSCLKの周波数は、受信したアナログ信号のシンボル率にある。このシンボル周波数は、適用可能な規格(例えば、「ギガビットイーサネット」のためのIEEE規格802.3ab)によって設定されてもよく、ネットワークノード100と接続されているネットワークとの間でネゴシエートされてもよく、あるいはその他の方式でPHY106に通信されてクロック生成回路要素220に適用されてもよい。各シンボル期間内でのサンプリングクロックSCLKの位相は、例えば下記のように観察された信号品質に応答して、クロック生成回路要素220によって制御及び調節される。AFE216におけるADC308によって生成されたシンボルストリームは、受信処理ブロック202RXに転送される。
【】
図3Aは、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300のアーキテクチャを示し、これは受信処理ブロック202RXの回路要素の一部を構成する。特に、図3Aに示すシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300は、AFE216によって生成されたシンボルストリームからのシンボルタイミングリカバリ動作を等化のための適応と併せて、AFE216からのシンボルストリームに実施されたクロック及びデータリカバリ動作の一部として動作する。図3Aのシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素は、PHY106の他の回路要素と共に単一の集積回路内への埋め込みプロセッサとして、又はスタンドアロンプロセッサとして組み込まれたデジタル信号プロセッサ(DSP)として実装されてもよく、あるいは、プログラム可能なもしくはハードウェアに組み込まれた、カスタム、セミカスタム、特定用途向け、又は他の論理回路要素等として実装されてもよい。
【】
図3Aに示すように、AFE216から受け取ったシンボルストリームはデジタル自動利得制御(AGC)機能310に適用され、AGC機能310は、受け取ったシンボルストリームに適用された利得を一般的な方式で動的に調節する。この例において、フィードフォワード等化器(FFE)312が、AGC機能310の出力を受け取り、プリセット(例えば、非適応)等化器フィルタとして動作する。FFE312の係数又はタップ重みはチャネルAGC機能314によって設定され、これは、AFE216から受け取ったシンボルストリームから粗いチャネル予測を取得する。
【】
AGC310による増幅及びFFE312による等化の後、受け取ったシンボルストリームは、この例に従って、判定帰還型等化器(DFE)320に適用される。この実装において、DFE320は適応等化器であり、その係数又はタップ重み(このような用語は本記載において交換可能に用いられる)は、シンボルストリームから残差ポストカーソルISIを低減するために動的に適応される。
【】
図3Aに示すように、DFE320は加算器機能322として考慮されることができ、加算器機能322は、FFE312の出力からシンボルストリームを受け取る1つの入力と、フィードバック信号を受信する第2の入力とを有し、加算器322はフィードバック信号をシンボルストリームから減算し、残りを残差サンプルx(n)として判定スライサ324に出力する。スライサ324は加算器322からの残差サンプルを量子化して、ネットワークノード100における上流機能に転送する前に受信処理ブロック302RXにおいて他の回路要素による処理のための出力シンボル
を生成する。デジタルフィルタ325は、スライサ324からの出力シンボル
にデジタルフィルタ機能を適用してフィードバックを生成し、フィードバックは入力シンボルストリームから加算器322によって減算される。この例示の実装に対する一般的な意味において、デジタルフィルタ325は、加算器322に適用されたフィードバック信号が1つ又は複数の残差ポストカーソルを除去して、チャネル歪曲から得られたISIを補償するように適応される。
【】
図3Bは、デジタルフィルタ325がより詳細に図示されているDFE320の構成を図示する。この例において、デジタルフィルタ325は、直列に接続される1つ又は複数の遅延段326を含み、各遅延段326の出力が乗算器327のうちの対応する1つにおいてタップ重みw
kで乗算され、結果として得られた積が加算器328で合計されて、加算器322への減数として適用されるフィードバック信号を生成する。適応論理329がDFE320(又はDSP300の任意の他の個所において)に提供されて、適応式に従って、乗算器327によって適用されるタップ重みw
kを適応する。例えば、適応論理329は、図3Bの例におけるm個のタップ重みw
kの各々を、下記の再帰的最小二乗法に従って適応し得る。
式中、n及びn-1は、DFE320によって処理されるデジタルシンボルストリームにおける、それぞれ、第n及び第(n-1)のサンプルの指数であり、μは、0と1との間の学習定数であり、
は、第(n-1)番目のサンプルについてのスライサ324の出力を指し、errは、スライサ324の入力におけるサンプルx(n)と、その第n番目のサンプルについてのスライサ出力
との間の違いを表す。
デジタルフィルタ325におけるタップ重みの数m、ひいてはデジタルフィルタ325の順は、特定の実装に従って変動し得る。適応論理329は、各サンプルの後にタップ重みw
kを適応するように動作し得る
【】
DFE320は代替的に、判定帰還型等化器に対する任意の手法に従って実装されてもよい。
【】
図3Aの例示のアーキテクチャに従ったシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300はまた、スライサ324の出力からシンボルストリーム
を受け取る入力と、スライサ324の入力において加算器322から残差サンプルx(n)を受け取る入力とを有するMSE計算回路要素340を含み、これらのサンプルに基づいて、誤差測定値を計算する。この誤差測定はノイズの測定であり、スライサ324におけるISIを含む。例えば、MSE計算回路要素340は、下記の式に従って平均二乗誤差測定MSEを計算し得る。
但し、式(3)の合計は、事前に選択された数のサンプルにわたって、例えばシンボルストリームにおけるスライドウィンドウのサンプルにわたって、取得された二乗差の加重合計に対応する。
【】
図3Aに示すように、タイミング誤差検出(TED)回路要素350もまた、この例においてシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300に含まれる。TED回路要素300は、それぞれスライサ324の入力及び出力から残差サンプルx(n)及びシンボルストリーム
を受け取る入力を有し、また、シンボル期間における最適な時点に対してADC308に適用されたサンプリングクロックSCLKの位相の予測誤差を示すタイミング誤差信号tedを生成するように構成される論理及びメモリ回路要素を含む。TED回路要素350は、例えば、で組み込まれたミュラーらの文献に記載の手法に従って、タイミング誤差信号tedを生成してもよい。この手法に従って、タイミング誤差信号tedは、下記に従ってTED回路要素によって計算される。
この式(4)の右手側にある第1の項は、第1のISIポストカーソルP
1に対応し、第2の項は、第1のISIプリカーソルP
-1に対応する。
【】
本例に従ったシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300は、クロック生成回路要素220と共に、TED回路要素350によって検出されたタイミング誤差に応答してサンプリングクロックSCLKの位相を調節するように構成されたタイミングループを実装する。この例において、このタイミングループは、サンプリング位相を調整して、TED回路要素350によって生成されるタイミング誤差信号tedを最小化するために動作する。図3Aに示すように、タイミング誤差信号tedはループフィルタ352に適用され、ループフィルタ352は、サンプリング位相の調節のための適切な応答及び安定性を有する転送機能を適用するデジタルフィルタであり、フィルタリングされた誤差信号は、加算器354の1つの入力に適用される。加算器354の出力は、フィルタリングされたタイミング誤差信号tedと初期化周波数finitとの合計を反映して、数値制御発振器(NCO)356に適用され、NCO356は、加算器354の出力に応答して、クロック生成回路要素220に適用するために制御信号UP/DNを生成する。
【】
クロック生成回路要素220は、種々の構成において構築され得る。例えば、図3Aに示すように、クロック生成回路要素220は位相同期ループ(LLP)360を含む。PLL360は、クロック生成回路要素220の外部で生成された参照クロック信号であり得る参照クロックREFCLKに基づいてクロック信号を生成し、あるいは、クロック生成回路要素220は、水晶発振子などの外部クロック参照に基づいて、参照クロックREFCLKを生成する発振器を含んでもよい。PLL360はその出力クロックを位相補間器(PI)362に適用し、PI362は、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300におけるNC356から制御信号UP/DNを受信し、それに応答してサンプリングクロックSCLKを生成する。
【】
この例において、PI362は、制御信号UP/DNの「アップ」パルスに応答してサンプリングクロックSCLKの位相を進め、制御信号UP/DNの「ダウン」パルスに応答してサンプリングクロックSCLKの位相を遅らせるように構成される。今度は、TED回路要素350は、ループフィルタ352、加算器354、及びNCO356と共に、現在のサンプリング位相が最適時点から遅れていることをタイミング誤差信号tedが示している(例えば、ポストカーソルP1がプリカーソルP-1より大きいことに起因して、tedが正である)ことに応答して、NCO356が制御信号UP/DNの「アップ」パルスを発行するように構成される。逆に、NCOは、現在のサンプリング位相が最適時点より進んでいることをタイミング誤差信号tedが示している(例えば、ポストカーソルP1がプリカーソルP-1より小さいことに起因して、tedが負である)ことに応答して、制御信号UP/DNの「ダウン」パルスを発行する。従って、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300のタイミングループは、タイミング誤差信号tedの振幅を最小化するように動作する。
【】
複数のサンプリング期間にわたって同じ方向においてサンプリングクロックSCLKの位相を継続的に調節する(進める又は遅らせる)ことは、サンプリングクロックSCLKの周波数を調節する効果を有することができる。このように、本明細書に記載の位相調節又は調整はまた、サンプリングクロックSCLKの周波数調節又は調整として考慮され得る。
【】
図3Aのこの例におけるシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300の動作は、シーケンサ論理330によって制御される。シーケンサ論理330は、プログラム可能な又はハードウェアに組み込まれたシーケンサ論理として構築され得、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300の機能が、DFE320、MSE計算回路要素340、及びTED回路要素340を含む種々の機能の所望の動作を行なうことを可能にするように構成される。特に、この例に従って、MSE計算回路要素340からの平均二乗誤差信号MSEがシーケンサ論理330に適用され、それに応答して、シーケンサ論理330は制御信号TLOOP_STRTをTED回路要素350に発行して、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300のタイミングループの動作を開始させる。
【】
図3Cは、MSE計算回路要素340及び関連する機能の構築を、例えばシーケンサ論理330に含まれ得るように、或る例に従って図示する。MSE計算回路要素340は、スライサ324の入力における1つの残差サンプルx(n)を受け取る1つの入力と、スライサ324の出力からのシンボルストリーム
を受け取る別の入力とを有する加算器370を含む。加算器370は、各サンプルについてスライサ出力シンボル
を残差x(n)から減算し、結果として得られた差分を二乗機能372に提供し、二乗機能372が各サンプルについて二乗誤差
を生成する。二乗機能372からの二乗誤差は、無限インパルス応答(IIR)フィルタ374の入力に転送され、IIRフィルタ374は、二乗誤差計算の加重合計から1つ又は複数のサンプルのスライディングウィンドウを介して誤差測定MSEを生成する。
【】
MSE計算回路要素340による出力としての誤差測定MSEは、MSE計算回路要素340によって生成された誤差測定MSEの最小値MSEminと最大値MSEmaxとを識別するように構成された論理回路要素又は機能性として構築される、最小/最大推定論理380に転送される。最小誤差値MSEmin及び最大誤差値MSEmaxは、図3Cの配置において、MSE監視論理382に転送される。MSE監視論理382はまた、MSE計算回路要素340から誤差測定MSEを受け取る。MSE監視論理382は、誤差測定MSEを、最小誤差値MSEminに基づいて、又は、いくつかの実装において、最小誤差値MSEminと併せて最大誤差値MSEmaxに基づいて、MSE監視論理382によって判定された閾値に対するサンプルストリームを介して監視するように構成される。誤差測定MSEの監視に基づいて、MSE監視論理382はさらに、開始信号TLOOP_STRTをTED回路要素350に生成することによってタイミングループの動作を開始させるように構成される。
【】
図3Aの例示のアーキテクチャにおいて、最小/最大推定論理380及びMSE監視論理382は、シーケンサ論理330内に含まれているように示されている。あるいは、これらの論理機能及び回路要素は、MSE計算回路要素340自体の中、又はシンボルタイミングリカバリ及び等化器回路要素300内の他の箇所に、特定の実装に適切になように組み込まれてもよい。
【】
次に図4を参照して、図3Aのアーキテクチャに従った、AFE216と、クロック生成回路要素220と、シンボルタイミングリカバリ及び等化器回路要素300とを含むPHY106の受信経路の動作を、一例に関連して説明する。この手法に従って、サンプリングクロックSCLKの位相を調節するためのタイミングループの開始が、DFE320が低誤差条件に収束して、サンプリングタイミングと受信経路の等化とを協働して収束することを容易にするときに生じるように制御される。
【】
動作は、図4の状態400によって示されるように、受信経路がアイドル状態にあるところから開始する。ネットワークからの入力通信の受領のためにPHY106の起動の際、プロセス402がまず実施されて、AFE216におけるプログラム可能な利得増幅器304の利得を設定し、続いてプロセス404においてCAGC314によるチャネル条件の測定に基づいてデジタルAGC310を設定する。シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300におけるFFE312内のタップ重みもまた、事前に選択されるか又はその他の方式で確立されていない場合には、プロセス404において設定され得る。
【】
プロセス406において、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300におけるシーケンサ論理330が、サンプリングクロックSCLKの周波数を初期化周波数finitに初期化する。初期化周波数finitは、ネットワークからAFE216において受信した信号のシンボル周波数、例えば或るネットワーク規格に従って設定された周波数、よりもわずかに高い周波数であるように選択される。物理層に対してはIEEE規格802.3abに従って動作する、銅線のワイヤラインを介した「ギガビットイーサネット」の例の場合、シンボル周波数は125MHzの公称周波数にあり、±200ppmの許容偏差を有する。その例においては、初期化周波数finitは許容偏差帯よりわずかに高くに外れた周波数、例えば、公称周波数125MHzから+400ppmに設定されてもよく、初期化周波数finitが入力信号のシンボル周波数よりも高いことを確実にする。図3Aのアーキテクチャにおいて、プロセス406は、シーケンサ論理330が加算器354に適切な初期化周波数信号finitを発行することによって行なわれる。それを受けて加算器354はNCO356を制御して、制御信号UP/DNの適切な「アップ」パルスを、クロック生成回路要素220における位相補間器362に発行する。初期化周波数finitにおいて、位相補間器362は各サンプル期間におけるサンプリングクロックSCLKの位相を進めて、受信した信号のシンボル周波数よりもわずかに高いサンプリング周波数を結果として得る。TED回路要素350を含むタイミングループは、この時点では無効であるか何らかの他の方式で動作可能ではなく、クロック生成回路要素220に、各シンボル期間においてサンプリングクロックSCLKの位相を初期化周波数finitに従って進めることを可能にする。結果として、サンプリングポイントは各シンボル期間とともに進み、最終的に及び周期的にシンボル間隔にわたって一巡する。
【】
プロセス406において初期化周波数finitが設定された後、プロセス408において、DFE320の係数が初期化周波数finitで受信した信号から得られた複数のサンプルにわたって適応される。例えば、動作及び適応のプロセス408は、より高い初期化周波数finitが少なくとも一度、好ましくは一度より多く、シンボル間隔を一巡するのに充分な複数のサンプル期間にわたって継続する。図5Aは、デジタルフィルタ325が二次のものであり、2つのタップ重みw1及びw2を適応する例示の実装に対する適応プロセス408の挙動を図示する。この例について図5Aに示すように、プロセス408を約4600サンプルに対して実施した後に、タップ重みw1及びw2の値は、初期化周波数finitにおけるサンプリングクロックSCLKの位相がシンボル間隔を一巡しながら発振し始める。これは、初期化周波数finitが、受信された信号のシンボル周波数よりも少なくとも約200ppm高いためである。
【】
プロセス410において、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300におけるMSE計算回路要素340が、DFE320の出力から誤差計測MSEを計算し、監視する。MSE監視プロセス410は、プロセス408において得られた第1のサンプルで始めてもよく、あるいは、プロセス408ではDFE320が一般的に早くからよく適応しないことを考慮して、プロセス408において後に始まってもよい。図5Aの例に示すように、タップ重みw1及びw2の値が発振すると、初期化周波数finitにおけるサンプリングクロックSCLKの位相がシンボル間隔を一巡する際に誤差測定MSEが発振する。図5Bは、動作及び適応プロセス410の間の、プロセス410における誤差測定MSEの計算の一例を図示する。この例において、誤差測定MSEは約4600サンプルにおいて極小値を有し、約5600サンプル、6400サンプル、7200サンプルなどにおいて、より深い極小値が生じる。
【】
図4の方法におけるプロセス410は、さらに、閾値誤差測定MSE
thrの判定を含む。図3A~図3Cの例において、プロセス410における誤差測定閾値MSE
thrの判定は、プロセス408におけるDFE320の適応中に処理されたサンプルを介して、最小/最大推定論理380によって観察された少なくとも最小誤差測定MSE
minに基づいて、シーケンサ論理330のMSE監視論理382によって実施される。例えば、誤差測定閾値MSE
thrは、複数のサンプルを介して観察された最小誤差測定MSE
minに、その最小値からの差分Δを足して計算されてもよい(例えば、MSE
thr=MSE
min+Δ)。差分Δは固定値であってもよく、又は下記のように、DFE320の適応の間に観察された最小誤差測定MSE
minと最大誤差測定MSE
maxとの差分に基づいていてもよい。
式中、δは選択された分数である。
【】
プロセス410における誤差測定閾値MSEthrの判定に続き、MSE監視論理382は、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300が付加的な入力シンボルを受信する度に、誤差測定MSEを監視し続ける。この監視中の判定411において、MSE監視論理382は、直近の誤差測定値MSE(n)がプロセス410において判定された誤差測定閾値MSEthrを下回るかどうかを判定する。そうでない(判定411が「いいえ」である)場合、DFE320は再度そのシンボルに基づいて適応され、監視が継続される。
【】
誤差測定値MSE(n)が誤差測定閾値MSE
thrを下回る(判定411が「はい」である)ことに応答して、シーケンサ論理330は、タイミングループの動作を、例えばMSE監視論理382が図3Aの例示のアーキテクチャにおけるTED回路要素350に制御信号TLOOP_STARTを発行することで開始する。制御信号TLOOP_STARTに応答して、TED回路要素350は動作して、タイミング誤差信号tedを生成する。図3A~図3Cの例示の実装において、タイミング誤差信号tedは、例えばの式(4)に従って、DFE320のスライサ324の、それぞれ、入力及び出力からの残差サンプルx(n)とシンボルストリーム
に基づく。TED回路要素350、ループフィルタ352、加算器354、NCO356、及びPI362のタイミングループの動作は、より迅速に収束を達成するために、タイミング誤差信号tedに応答して、まずは粗く、次に微細に、サンプリングクロックSCLKの位相を調節し得る。図4に示すように、サンプリング位相の粗い調節がプロセス414においてまず実施され、プロセス416においてサンプリング位相の微調整が続く。DFE320の継続的な適応は、誤差測定MSEが本プロセスにおいてこの時点で最小値に近いことを考慮すると、必要に応じてプロセス414、416におけるタイミングループの調節と協働的に実施され得る。
【】
プロセス416におけるタイミングループの微調整に続いて、AFE216とシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300とを含むPHY106の受信経路の定常動作が、状態420において行なわれる。
【】
この例に従って、等化及びタイミングループが相互依存している実装においても、ネットワークレシーバにおける等化及びサンプルタイミングの協働収束が迅速かつ精確に達成される。この収束は、より高い初期化周波数finitを等化器適応中に適用して、比較的低誤差をもたらす等化器タップ重みを識別し、タイミングループをその低誤差条件において等化器で開始させることによって達成される。言い換えると、サンプリング位相調節は、正しい係数値において等化器が収束に近い時点で始まり、このことはタイミングループの収束に必要な時間、ならびにその収束における精確さを低減させる。
【】
代替の例に従って、サンプリングクロックの位相が入力アナログ信号のシンボル間隔を一巡する際の発振誤差測定の周期性が、タイミングループ調節の開始において初期位相調節を提供することにおいて用いられる。図5Bに示すように、受信した信号をADC308が初期化周波数finitにおいてサンプリングする間に得られた発振誤差測定MSEは、期間TMSEを示す。これらの例に関連して、初期化周波数finitとネットワークから受信される入力信号のシンボル周波数との間の周波数オフセットfdeltaが、サンプリングクロックのための初期位相補正を導出するために用いられるこのTMSEにおける周期性から決定することができることが観察されている。
【】
図6Aは、この代替の例に従ったPHY106の受信経路における或る回路要素のアーキテクチャを示す。図6Aにおいて、図3Aの構成に示される同じ又は類似する特徴又は機能を図示するために同じ参照符号が用いられており、それら同じ特徴及び機能の前述の説明は図6Aの実装にも関連する。この代替の実装において、図6Aのシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600は、AFE216によって生成されたシンボルストリームからのシンボルタイミングリカバリ動作を、AFE216からのシンボルストリームに実施されたクロック及びデータリカバリ動作の一部として、等化のための適応と共に実施する。図3Aのアーキテクチャにあるように、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600は、PHY106の受信処理ブロック202RXの回路要素の一部を構成し、同様に埋め込みもしくはスタンドアロンプロセッサとして、あるいは、プログラム可能なもしくはハードウェアに組み込まれた、カスタム、セミカスタム、特定用途向け、又は他の論理回路要素として実装され得る。
【】
AFE216によって生成され、及びデジタルAGC機能310及びFFE312に適用されたデジタル化シンボルストリームは、続いてDFE620に適用される。この代替の実装におけるDFE620は、のDFE320と同様に構成されるが、この例では、その一次タップ重みw1(タップ625a)に対して、より高いタップ重みw2~wm(タップ625b)の選択的な適応を可能とするように構成されている。
【】
この代替の実装に従ったタイミングループシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600における、TED回路要素350、ループフィルタ352、及びNCO356の各々は、図3Aに対してしたものと同様に構築及び構成される。シーケンサ論理630は、のシーケンサ論理330と同様に構成され、このようにして、MSE計算回路要素640によって生成されるように誤差測定MSEを監視するためのMSE監視論理を含む。しかし、図6Aの代替の実施に従って、MSE計算回路要素640は、のMSE計算回路要素340とは異なって構成される。
【】
図6Bは、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600の例示の実装におけるMSE計算回路要素640の構成を図示する。MSE計算回路要素640は加算器670を含み、加算器670の入力はDFE620に結合されて、DFE620におけるスライサ624の入力及び出力における残差サンプルx(n)とシンボルストリーム
とを受け取る。加算器670は、各シンボル
を対応する残差x(n)から減算し、二乗機能672に差分を提供するように構成される。二乗機能672は、加算器670からの差分の二乗を、IIR674への適用のために出力し、IIR674はサンプル期間のスライディングウィンドウにわたる二乗された差分の加重合計として誤差測定MSEを生成する。各サンプルについての誤差測定MSEは、と同様に、シーケンサ論理630におけるMSE監視論理に転送される。
【】
図6Bに示すこの例において、MSE計算回路要素640はまた、最小/最大推定論理680と、カウンタ682と、ルックアップテーブル(LUT)684とを含む。あるいは、最小/最大推定論理680、カウンタ682、及びLUT684のいくつか又はすべてが、シーケンサ論理630に実装されてもよく、又はシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600に含まれる別個の論理もしくは他の回路要素に実装されてもよい。
【】
この例における最小/最大推定論理680は、誤差測定MSEの値から誤差の或る測定値を識別するために構成された論理回路要素又は機能性として構築される。この例において、最小/最大推定論理680は、誤差測定閾値MSEThr_seqを算出するように構成され、誤差測定閾値Thr_seqに基づいてタイミングループが開始され、また、最小誤差測定MSEmin及び最大誤差測定MSEmaxの算術平均に対応する誤差中点値MSEmidを生成するように構成される。誤差測定閾値MSEThr_seqは、この実装(図6A)においてシーケンサ論理630に転送され、誤差中点値MSEmidは、MSE計算回路要素640におけるカウンタ682に転送される。カウンタ682はまた、入力において誤差測定MSEを受け取る。
【】
この例におけるカウンタ682は、例えば中点交差間のクロック信号のサイクルをカウントし、そのカウント又は時間測定値をLUT684に転送することで、誤差中点値MSEmidの交差間の時間を測定するように動作可能である。この実装において、LUT684は、周波数オフセットfdeltaの値に対する、誤差測定の期間に対応するカウント値のマッピングを格納するメモリリソースである。このマッピングは、下記の関係に基づく。
θ=2π(fdelta・TSYM) (6)
式中、θは周波数オフセットfdeltaから得られるサンプル期間TSYM内の位相オフセットである。従って、周波数オフセットfdeltaにおける位相オフセットの補正は、シンボル期間に一致する正しい周波数にサンプリングクロックを配置することができる。この例において、カウンタ682によるカウント出力は、LUT684へのアドレスとして適用され、それに応答してLUT684はそのアドレスに格納されているマッピングを周波数オフセットfdeltaとして読み取って出力する。図6Aに示すように、LUT684による周波数オフセットfdeltaは、ループフィルタ352の出力とシーケンサ論理630からの初期化周波数finitと共に加算器654の入力に適用される。
【】
この代替の例に従って、MSE計算回路要素640によって決定された周波数オフセットfdeltaは、サンプリングクロックSCLKの位相が初期化周波数finitに従って各シンボル期間において進む際の誤差測定MSEの最小値の周期性に対応し、周期的にシンボル期間を一巡する。MSE計算回路要素640によって決定されたこの周波数オフセットfdeltaは、サンプリングクロックSCLKのための周波数補正を導出するために用いられる。
【】
図7は、この代替の例に従って、この観察に基づくタイミングリカバリ及び等化適応の方法を図示する。この方法において、プロセス402~408は、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600の動作中における初期化周波数finitでのDFE620の適応を含め、図4に関連して説明された方式でアイドル状態400から実施される。
【】
この例示の実装に従って、DFE適応プロセス408は、ネットワークチャネルが短い、例えば、10メートル以下である場合、一次タップ重みw1ではなく、より高次のタップ重みw2~wmのみを適応し得る。短いチャネルのためのDFE適応は、ISIポストカーソルP1が、短いチャネルにおいて一般的に非常に小さく、AFE216におけるHPF302の効果に起因して負であり得ることに基づく。この実装に関連して、タイミングループ調節中における一次タップ重みw1の適応が、このような状況において有利であり得ることが観察されている。
【】
プロセス710において、MSE計算回路要素640は、図4に関連してするように、各サンプルに対して誤差測定MSEを生成する。この実装において、最小/最大推定論理680は、MSE計算回路要素640によって生成された誤差測定MSE値の観察された最小値MSEmin及び最大値MSEmaxのいずれか又は両方から、誤差測定閾値MSEthr_seqを計算するように構成される。例えば、最小/最大推定論理680は、複数のサンプルにわたって観察された最小誤差測定MSEminに差分Δを加算することで、誤差測定閾値MSEthr_seqを決定し得る。この差分Δは固定値であってもよく、あるいはDFE620の適応中に観察された最小誤差測定MSEminと最大誤差測定MSEmaxとの差分に基づいてもよい。一度計算されると、誤差測定閾値MSEthr_seqはシーケンサ論理630に転送される。
【】
プロセス712において、MSE計算回路要素640は、初期化周波数finitで得られたサンプルに対する誤差測定MSEの周期性に基づいて、周波数オフセットfdeltaを生成する。この例において、この周期性は、誤差計測MSEによる誤差中点値MSEmidの交差間のクロックサイクルをカウンタ682がカウントすることによって測定され、そのカウントをLUT684に適用してオフセット周波数fdeltaが得られる。
【】
プロセス714において、プロセス712において決定されたオフセット周波数fdeltaが、シーケンサ論理630からの初期化周波数finitと共に、加算器654に適用される。加算器654による合計出力がNCO356に適用され、NCO356はそれに従ってPI362に制御信号UP/DNを適用し、サンプリングクロックSCLKの周波数を調節して、受信した信号のサンプルがADC308で得られる。
【】
シーケンサ論理630におけるMSE監視論理は、シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600が付加的な入力シンボルを受け取る間に誤差測定MSEを監視し続け、誤差測定MSEの新たな値を誤差測定閾値MSEthr_seqと比較する。判定715において、シーケンサ論理630は、直近の誤差測定値MSE(n)が、プロセス710において決定された誤差測定閾値MSEthr_seqを下回るかどうかを決定する。そうでない(判定715が「いいえ」である)場合、プロセス716においてDFE620はそのシンボルに基づいて再度適応され、監視を継続する。
【】
誤差測定値MSEの値が誤差測定閾値MSE
thr_seqを下回る(判定715が「はい」である)ことに応答して、シーケンサ論理630は、例えばのように図6Aの例示のアーキテクチャにおけるTED回路要素350に制御信号TLOOP_STARTを発行することによって、タイミングループの動作を開始する。制御信号TLOOP_STARTに応答して、TED回路要素350は動作して、加算器654への適用のために、ループフィルタ352を介してタイミング誤差信号tedを生成する。この実装におけるTED回路要素350は、DFE620のスライサ624の、それぞれ、入力及び出力における残差サンプルx(n)とシンボルストリーム
との間の差分に基づいて、図3A~図3Cに関して上述したものと同様に動作する。
【】
シンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素300のタイミングループの動作は、より迅速に収束を達成するために段階的に実施され得、プロセス720における粗いタイミング調節で始まる。図7に示すように、その後、サンプリング位相の微調整又は調節がプロセス722において実施され、このような調節は粗いタイミング調節プロセス720の後に検出されたタイミング誤差に基づく。ネットワークチャネルが、PGA304において必要な利得などの測定から決定され得るようなチャネルである場合、DFE620の一次タップ重みw1(タップ625a)は、上述のようにプロセス408において以前に適応されていない程度まで、微調整プロセス720中にのみ適応され得る。
【】
いずれの場合においても、プロセス722における微調整に続いて、AFE216とシンボルタイミングリカバリ及び等化回路要素600とを含む、PHY106の受信経路の定常動作を状態730において実施することができる。
【】
この代替の例に従って、等化及びタイミングループが相互依存している実装においても、ネットワークレシーバにおける等化及びサンプルタイミングの協働収束が、迅速かつ精確に達成され得る。周波数オフセットfdeltaを、複数のサイクルにわたる誤差測定MSEの周期性から決定し、その周波数オフセットをサンプリングクロックSCLKの位相調節に組み込むことによって、収束が容易にされる。次いで、判定帰還型等化器の係数が比較的低い誤差を示す値に適応され、それゆえ正しい値での収束に近い時点でタイミングループ補正を開始して、タイミングループの収束に必要な時間を低減することができる。
【】
本明細書において用いられるように、「端子」、「ノード」、「相互接続」、及び「ピン」という用語は、交換可能に用いられる。具体的に逆の記載がない限り、これらの用語は概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又は、他の電子機器若しくは半導体構成要素の間の相互接続又は終端を意味するように用いられている。
【】
別途記載されない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載されている値の±10パーセントを意味する。特許請求の範囲内で、記載された例における改変が可能であり、その他の例が可能である。
【】
或るタスク又は機能を行う「ように構成されている」デバイスが、その機能を実施するために製造業者によって製造時に構成され(例えば、プログラミングされ、及び/又はハードウェアに組み込まれ)てもよく、並びに/又は、その機能及び/又は他の付加的な又は代替の機能を実施するように製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介するもの、ハードウェア構成要素及びデバイスの相互接続の構築、及び/又はレイアウトを介するもの、又はそれらの組み合わせであり得る。
【】
或る構成要素を含むように記載される回路又はデバイスが、代わりに、記載の回路要素又はデバイスを形成するために、これらの構成要素に結合されるように適応されてもよい。例えば、1つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、1つ又は複数の受動要素(抵抗器、コンデンサ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は、1つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流源等)を含むように記載されている構造が、代わりに、単一の物理デバイス内に半導体要素(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)のみを含んでいてもよく、また、受動要素及び/又は供給源の少なくともいくつかに結合されるように適応されて、製造時又は製造後に、例えば、エンドユーザ及び/又は第三者によって、記載された構造を形成してもよい。いくつかの例において、或る要素が集積回路に含まれており、他の要素は集積回路外にあるが、他の例において、付加的な特徴又はより少ない特徴が集積回路に組み込まれてもよい。また、集積回路の外部にあるように図示される特徴のいくつか又はすべての特徴が集積回路内に含まれていてもよく、及び/又は、集積回路の内部にあるように図示されるいくつかの特徴が集積回路の外側に組み込まれてもよい。本明細書において用いられるように、「集積回路」という用語は、(1)半導体基板内に/の上に組み込まれている、(2)単一半導体パッケージに組み込まれている、(3)同じモジュール内に組み込まれている、及び/又は、(4)同じプリント回路基板内/上に組み込まれている、1つ又は複数の回路を意味する。
【】
本明細書において記載される回路は、構成要素の置換前に利用可能であった機能と少なくとも部分的に類似する機能を提供するように置換された構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として示される構成要素は概して、別途記載されない限り、示された抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するように直列及び/又は並列に結合される、任意の1つ又は複数の要素を表す。例えば、単一の構成要素として本明細書に示され記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、同じノード間に並列に結合されるそれぞれ複数の抵抗器又はコンデンサであってもよい。例えば、単一の構成要素として本明細書に示され記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、それぞれ、単一の抵抗器又はコンデンサとして同じ2つのノード間に直列結合される、複数の抵抗器又はコンデンサであってもよい。
【】
或る要素が集積回路に含まれているようにされており、他の要素は集積回路外にあるが、他の例において、付加的な特徴又はより少ない特徴が集積回路に組み込まれてもよい。また、集積回路の外部にあるように図示される特徴のいくつか又はすべての特徴が集積回路内に含まれていてもよく、及び/又は、集積回路の内部にあるように図示されるいくつかの特徴が集積回路の外側に組み込まれてもよい。本明細書において用いられるように、「集積回路」という用語は、(1)半導体基板内に/の上に組み込まれている、(2)単一半導体パッケージに組み込まれている、(3)同じモジュール内に組み込まれている、及び/又は、(4)同じプリント回路基板内/上に組み込まれている、1つ又は複数の回路を意味する。
【】
前述の記載における「接地」という語句の使用は、シャーシ接地、アース接地、フローティング接地、仮想接地、デジタル接地、共用接地、及び/又は、本記載の教示に適用可能であるか又は好適な任意のその他の形態の接地接続を含む。別途記載されない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載されている値の±10パーセントを意味し、値がゼロである場合は、ゼロ辺りの合理的な範囲を意味する。
【】
本明細書に1つ又は複数の例を記載しているが、これらの例の技術的効果の1つ又は複数を得ることができる、これらの例の改変及び代替が、本明細書及びその図面を参照した当業者には明らかであろうことが、もちろん企図されている。このような改変及び代替は、本明細書に提示される請求項の範囲内にあることが企図されている。
【図】
【図】
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【国際調査報告】