特表2025-533825IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】非侵襲型集束超音波を用いた加速型皮膚治癒
(51)【国際特許分類】
   
【FI】
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(31)【優先権主張番号】63/413,365
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】モートン,クリスティン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】プレオ,クリストファー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ,ジェフリー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】コテロ,ヴィクトリア・ユージニア
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160MM22
(57)【要約】
本願のアプローチは一般的には、治癒時間の遅延に典型的には関連し又は難治性である慢性創傷を含めた創傷の治癒を促進することに関わる。一実施形態では、創傷治癒を促進する方法が、創傷を有する被検体において刺激部位に超音波トランスデューサを配置するステップを含んでいる。常在免疫細胞又は循環免疫細胞を含む標的解剖学的部位の変調(モジュレーション)を生じさせるように、トランスデューサを用いてパルス型集束超音波(pFUS)が非侵襲的に印加される。被検体の標的解剖学的部位の変調は、単球、マクロファージ、又は好中球のうち1又は複数の創傷の創面への遊走を生じさせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項】
創傷を有する被検体において刺激部位に超音波トランスデューサを配置するステップと、
常在免疫細胞又は循環免疫細胞を含む標的解剖学的部位の変調(モジュレーション)を生じさせるように、前記トランスデューサを用いてパルス型集束超音波(pFUS)を非侵襲的に印加するステップと
を備えた創傷治癒を促進する方法であって、
前記被検体の前記標的解剖学的部位の変調は、単球、マクロファージ、又は好中球のうち1又は複数の前記創傷の創面への遊走を生じさせる、方法。
【請求項】
前記刺激部位は前記創傷から遠位にある、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記標的解剖学的部位は前記被検体の脾臓であり、前記非侵襲的に印加されるパルス型集束超音波は前記脾臓内の神経路を刺激する、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記標的解剖学的部位の変調は、体循環する炎症誘発性分子の濃度を変化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記炎症誘発性分子はTNFα及びIL-6を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項】
前記被検体の前記標的解剖学的部位にパルス型集束超音波を印加するステップは、治療期間にわたり一日に少なくとも一回、前記被検体の前記脾臓にパルス型集束超音波を印加するステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記標的解剖学的部位に印加される前記パルス型集束超音波(pFUS)は、パルス中心周波数が1.1MHz、パルス繰り返し周期が0.5ミリ秒、150サイクルのバースト、バースト周期が200ミリ秒、及び合計持続時間が3分間以上というパラメータを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記被検体の前記脾臓にパルス型集束超音波(pFUS)を印加するステップは、創傷閉鎖を無治療に対して3日から5日加速する、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記標的解剖学的部位は前記脾臓であり、前記脾臓に前記パルス型集束超音波(pFUS)を印加することに応答して、IL-6レベルが前記脾臓において減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記標的解剖学的部位に前記パルス型集束超音波(pFUS)を印加することに応答して、L-セレクチンのレベルが前記創傷の前記創面においてより高まる、請求項1に記載の方法。
【請求項】
創傷治癒に関連する抗炎症性サイトカイン又は蛋白質の一方又は両方が、前記脾臓又は前記創面の一方又は両方において増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記被検体の前記標的解剖学的部位の変調は、1又は複数の型の循環免疫細胞の侵入性を変調させる、請求項1に記載の方法。
【請求項】
1回目のパルス型集束超音波(pFUS)が、前記創傷形成の24時間以内に前記被検体の前記標的解剖学的部位に印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項】
パルス型シヌソイド波形を発生するように構成された波形発生器と、
前記パルス型シヌソイド波形を増幅するように構成されたRF出力増幅器と、
前記増幅後のパルス型シヌソイド波形を受け取るように構成された整合回路と、
該整合回路に接続されて、前記増幅後のパルス型シヌソイド波形に基づいて集束超音波パルスを発生するように構成されたトランスデューサと
を備えた創傷治癒を促進するシステムであって、
当該システムは、被検体の外部刺激部位での前記トランスデューサの配置後に、常在免疫細胞又は循環免疫細胞を含む標的解剖学的部位へ向けて集束超音波パルスを指向させるように構成されており、
前記被検体の前記標的解剖学的部位の変調は、単球、マクロファージ、又は好中球のうち1又は複数の前記創傷の創面への遊走を生じさせる、システム。
【請求項】
前記集束超音波パルスは、パルス中心周波数が1.1MHz、パルス繰り返し周期が0.5ミリ秒、150サイクルのバースト、バースト周期が200ミリ秒、及び合計持続時間が3分間以上を有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項】
前記標的解剖学的部位は前記被検体の脾臓であり、前記非侵襲的に印加されるパルス型集束超音波は前記脾臓内の神経路を刺激する、請求項14に記載のシステム。
【請求項】
前記標的解剖学的部位の変調は、体循環する炎症誘発性分子の濃度を変化させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項】
創傷治癒に関連する抗炎症性サイトカイン又は蛋白質の一方又は両方が、前記脾臓又は前記創面の一方又は両方において増加する、請求項14に記載のシステム。
【請求項】
前記被検体の前記標的解剖学的部位の変調は、1又は複数の型の循環免疫細胞の侵入性を変調させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項】
創傷を有する被検体において刺激部位に超音波トランスデューサを配置するステップと、
常在免疫細胞又は循環免疫細胞を含む標的解剖学的部位の変調(モジュレーション)を生じさせるように、前記トランスデューサを用いてパルス型集束超音波(pFUS)を非侵襲的に印加するステップと
を備えた創傷治癒を促進する方法であって、
前記部位内でのニューロンの変調は、前記創傷の遠位創面の治癒を変化させる白血球、単球、マクロファージ、又は好中球のうち1又は複数の表現型変化を生じさせる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2022年10月5日に出願され「脾臓の非侵襲型集束超音波を用いた2型糖尿病の齧歯類モデルにおける皮膚の加速治癒」と題する米国特許仮出願第63/413,365号の優先権を主張し、この出願を参照により全体として本出願に援用する。
【】
皮膚治癒のような創傷治癒を促進するパルス型集束超音波(pFUS)のような印加エネルギの利用に関する。さらに具体的には、治癒に抵抗する又は治癒の遅い慢性創傷のような創傷の治癒を促進して加速するために、脾臓等の標的組織にパルス型集束超音波を印加するアプローチを開示する。
【背景技術】
【】
本節で議論される主題は、単に本節での言及の結果として従来技術と見做されるべきでない。同様に、本節で言及される問題又は背景として掲げられた主題に関連する問題は、従来技術において以前から認められていたと見做されるべきでない。本節の主題は様々なアプローチを表わすに過ぎず、これらのアプローチはそれら自体で、請求される技術の具現化形態に対応する場合もある。
【】
非治癒創傷の治療費は数十億(ドル)にも上ると算定されており、米国での罹患者数は650万を上回り、人口の高齢化に伴い増大している。また、非治癒創傷の関連死も相当数あり、5年死亡率は前立腺ガン及び乳ガンのような多くの一般的なガンよりも高い。組織死に続く壊死のため切断が必要となるときには、5年死亡率は50%に近付く。これは創傷感染率が約50%となるためである。一旦、最初の切断が必要となると多数の切断が必要となる場合が多く、5年死亡率は70%を上回るまでに上昇する。3ヶ月間以内に治癒しない創傷と定義される慢性創傷は、治癒する創傷とは異なる微生物叢を有する傾向にあり、感染が治癒障害の必要条件となる訳ではないが、これらの慢性創傷は感染をより起こし易い。慢性創傷は一般的には、糖尿病性足潰瘍(DFU)、褥瘡(床ずれ)、及び末梢動脈疾患(PAD)又は血栓後症候群(PTS)によって生ずる下肢潰瘍という三つの範疇に分かれる。2型糖尿病(T2DM)によく見られる併存症である慢性炎症は、炎症性サイトカインの全身量を増大させることにより、治癒に悪影響を与え得る。糖尿病性足潰瘍は、疾病管理が不十分な(例えば加速したメタボリック・シンドローム、慢性炎症)患者の最も一般的な合併症に相当し、2型糖尿病患者の25%を上回る患者が罹患している。糖尿病性足潰瘍患者は、足のセルフ・ケア・プロトコルにうまく従えない理由として、可動性及び/又は柔軟性が欠けていることをしばしば挙げる。多くの糖尿病患者は、DFUを含む治癒の遅い創傷又は慢性創傷の発生を報告しており、医療制度への200億ドルを上回る年間負担となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【】
【特許文献】米国特許第9585977号公報
【発明の概要】
【】
本書に開示される幾つかの実施形態の概要について以下に述べる。これらの各観点は、これら幾つかの実施形態の簡単な概要を読者に提供するためのみに提示されており、これらの観点が本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。実際に、以下では述べていない場合もある多様な観点を包含し得る。
【】
本アプローチは一般的には、治癒時間の遅延に典型的に関連し又は難治性である慢性創傷を含めた創傷の治癒を促進することに関わる。例として、治癒は2型糖尿病において遅延し、新たな治療アプローチがあると有用である。本書で議論されるように、創傷治癒中のパルス型集束超音波(pFUS)による毎日の脾臓照射が、全身のサイトカイン力価を変化させることを介して閉鎖速度を加速し得る。例として、超音波エネルギのような一般的なエネルギを1又は複数の体内の器官、構造、又はコリン作用性抗炎症経路を変調(モジュレーション)させ若しくはかかる経路に影響を与える特徴に印加することができる。具体的には、脾臓のパルス型集束超音波が、コリン作用性抗炎症経路(CAP)の変調を介して、急性の内毒素血症及び肺炎のモデルにおいて炎症性サイトカインを変化させる。全厚皮膚切除創傷を施した2型糖尿病(T2DM)齧歯類モデル(ズッカー[Zucker]糖尿病性スプレーグ・ドーリー[Sprague Dawley](ZDSD)ラット)の脾臓に向けて、異常なサイトカイン発現の調節を介して創傷治癒を加速させる試みにおいて、非侵襲型超音波を印加することができる。本書で議論されるアプローチでは、毎日(1x/日、月曜日から金曜日まで)のパルス型集束超音波パルスが、15日間(例えば治療期間)の18のコースにわたり3分間(例えば治療持続時間)で体外から脾臓部位に印加された。創傷径が毎日測定され、サイトカインの相対レベルが脾臓及び創面のライゼート(溶解物)において評価された。非侵襲型の脾臓のパルス型集束超音波は、創傷閉鎖をシャム対照に対して最大4.5日加速した。全ての治療群における治癒時間は、今まで発表された研究による健康なラットに匹敵しており(下記参照)、パルス型集束超音波治療によってZDSDラットに正常な創傷治癒表現型が復元したことを示唆していた。IL-6(高レベルで炎症誘発性であるが、低レベルでは抗炎症性となり得る)は、刺激を受けた脾臓では相対的に低かった(-2.24±0.81Log2FC p=0.02)が、L-セレクチン(細胞遊走及び上皮形成に重要な接着分子)は、刺激を受けた齧歯類の創面において相対的に高かった(2.53±0.72Log2FC p=0.003)。つまり、脾臓のパルス型集束超音波は齧歯類モデルにおいて治癒を加速し、創傷治療のための新規の全身的非侵襲型アプローチを提供する可能性を秘めている。
【】
一実施形態では、創傷治癒を促進する方法が提供される。この実施形態によれば、超音波トランスデューサが、創傷を有する被検体において刺激部位に配置される。パルス型集束超音波(pFUS)が、被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調を生じさせるように、トランスデューサを用いて被検体の標的器官に非侵襲的に印加される。被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調は、単球、マクロファージ、又は好中球のうち1又は複数の創傷の創面への遊走を生じさせる。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、刺激部位は、創傷から遠位にある。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、標的器官は被検体の脾臓であり、非侵襲的に印加されるパルス型集束超音波は脾臓内の神経路を刺激する。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、創傷は急性又は慢性の皮膚創傷である。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調は、体循環する炎症誘発性分子の濃度を変化させる。かかる実施形態のさらに他の観点によれば、炎症誘発性分子はTNFα及びIL-6を含んでいる。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、コリン作用性抗炎症経路の変調は、被検体における異常なサイトカイン発現を調整する。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、被検体の標的器官にパルス型集束超音波を印加するステップは、治療期間にわたり一日に少なくとも一回、被検体の脾臓にパルス型集束超音波を印加するステップを含んでいる。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、標的器官に印加されるパルス型集束超音波(pFUS)は、パルス中心周波数が1.1MHz、パルス繰り返し周期が0.5ミリ秒、パルス振幅が300mVpp、150サイクルのバースト、及びバースト周期が200ミリ秒というパラメータを有する。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、被検体の脾臓にパルス型集束超音波(pFUS)を印加するステップは、創傷閉鎖を無治療に対して3日から5日加速する。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、標的器官は脾臓であり、IL-6のレベルが、脾臓にパルス型集束超音波(pFUS)を印加することに応答して、脾臓において減少する。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、L-セレクチンのレベルが、標的器官にパルス型集束超音波(pFUS)を印加することに応答して、創傷の創面においてより高まる。
【】
かかる実施形態の各観点によれば、1回目のパルス型集束超音波(pFUS)が、創傷形成の24時間以内に被検体の標的器官に印加される。
【】
もう一つの実施形態では、創傷治癒を促進するシステムが提供される。この実施形態によれば、システムは、パルス型シヌソイド波形を発生するように構成された波形発生器(function generator)と、パルス型シヌソイド波形を増幅するように構成されたRF出力増幅器と、増幅後のパルス型シヌソイド波形を受け取るように構成された整合回路(matching network)と、整合回路に接続されて、増幅後のパルス型シヌソイド波形に基づいて集束超音波パルスを発生するように構成されたトランスデューサとを含んでいる。この実施形態によれば、システムは、被検体の外部刺激部位でのトランスデューサの配置後に、被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調を生じさせるように、集束超音波パルスを標的器官に向けて指向させるように構成されている。被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調は、単球、マクロファージ、又は好中球のうち1又は複数の創傷の創面への遊走を生じさせる。
【】
かかるもう一つの実施形態の各観点によれば、トランスデューサは強力集束超音波(HIFU)トランスデューサを含んでいる。
【】
かかるもう一つの実施形態の各観点によれば、集束超音波パルスは、パルス中心周波数が1.1MHz、パルス繰り返し周期が0.5ミリ秒、及びパルス振幅が300mVppを有する。
【】
かかるもう一つの実施形態の各観点によれば、標的器官は被検体の脾臓であり、非侵襲的に印加されるパルス型集束超音波は脾臓内の神経路を刺激する。
【】
かかるもう一つの実施形態の各観点によれば、被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調は、体循環する炎症誘発性分子の濃度を変化させる。
【】
かかるもう一つの実施形態の各観点によれば、コリン作用性抗炎症経路の変調は、被検体における異常なサイトカイン発現を調整する。
【】
さらにもう一つの実施形態では、創傷治癒を促進する方法が提供される。この実施形態によれば、強力集束超音波(HIFU)トランスデューサが、刺激部位から遠位にある慢性皮膚創傷を有する被検体において刺激部位に配置される。パルス型集束超音波(pFUS)が、脾臓内の神経路を刺激して、被検体のコリン作用性抗炎症経路の変調を生じさせるように、治療期間にわたり一日に少なくとも一回、トランスデューサを用いて被検体の脾臓に非侵襲的に印加される。脾臓に印加されるパルス型集束超音波は、パルス中心周波数が1.1MHz、パルス繰り返し周期が0.5ミリ秒、及びパルス振幅が300mVppを有する。コリン作用性抗炎症経路の変調は、被検体における異常なサイトカイン発現を調整して、体循環する炎症誘発性分子の濃度を変化させる。
【図面の簡単な説明】
【】
本発明のこれら及び他の特徴、観点、及び利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めばさらに十分に理解されよう。全図面を通して、類似の文字は類似の部分を表わす。
【図】本開示の各観点による創傷治癒過程を促進するように標的器官に集束超音波パルスを非侵襲的に印加するのに適した集束超音波システムを示す図である。
【図】本開示の各観点による集束超音波パルスの刺激部位、並びに本書では脾臓として図示された標的器官と皮膚との間の関係を血液循環及びリンパ循環の両方を通じて示す図である。
【図】本開示の各観点による対数目盛りでの試験スケジュール(上図)と、パルス型集束超音波介入後の創傷治癒の期待される各段階(下図)及び関連する免疫応答時間を試験スケジュールに一致させたものとを併せて視覚的に示す図である。
【図】本開示の各観点による試験群の間での体重の変化又は無変化を示すグラフ図である。
【図】本開示の各観点による試験群の間での血糖値を示すグラフ図である。
【図】本開示の各観点による日毎及び試験群毎の切除創を示す図である。
【図】本開示の各観点による創傷寸法(初期創傷径の%(mm))の変化を経時的に試験群毎に示すグラフ図である。
【図】本開示の各観点による経時的な創傷閉鎖に関連する各々の試験群毎の線形回帰を示す図である。
【図】本開示の各観点による蛋白質の相対的変化を各々の試験群毎に脾臓及び創面において示すヒートマップ図である。
【図】本開示の各観点によるより高いアグリン蛋白質発現とより小さい創傷との間の負の相関を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【】
以下、1又は複数の特定の実施形態について記載する。これらの実施形態の簡潔な記載を掲げる試みにおいて、実際の具現化形態の全ての特徴が本明細書に記載されている訳ではない。このようなあらゆる実際の具現化形態の開発時には、どの工学的プロジェクト又は設計プロジェクトとも同じく、具現化形態毎に異なり得るシステム関連の制約事項及び業務関連の制約事項の遵守等のような開発者特有の目標を達成するために、具現化形態特有の多くの決定を下さねばならないことを認められたい。また、かかる開発努力は複雑で時間も掛かろうが、それでも本開示の利益を得る当業者にとっては設計、製作、及び製造の定型業務であることを認められたい。
【】
本開示の主題の様々な実施形態の要素について述べるに当たり、単数不定冠詞、定冠詞、「該」及び「前記」等の用語は、当該要素の1又は複数が存在することを意味するものとする。また「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」及び「有している(having)」の各用語は包括的であるものとし、所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味する。加えて、本開示の「一つの実施形態」又は「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除すると解釈されるものではないことを理解されたい。
【】
正常な創傷治癒は四つの段階(止血、炎症、増殖、及び修復)から成り、急性創傷でも慢性創傷でもタイミングは異なるが同様である。これらの段階の何れか一つでも不十分であると、非治癒創傷を招き得る。止血は血小板、好中球の急速な遊走及び線維素の沈着から成り、凝固により創傷部位の閉鎖を生じさせる。炎症期(早期及び後期)は好中球による創傷部位の浸潤から開始し(24時間から36時間以内)、好中球の主な作用は、細菌/病原体、異物粒子、損傷細胞、及び組織を貪食することにより感染を防ぐことである。後期炎症期(創傷から48時間から72時間後)の部分として、凝固因子、サイトカイン、及びケモカインを介した単球の化学誘引の後に、マクロファージのポピュレーションが優位になる。マクロファージはまた、創傷修復に関わる細胞(ケラチノサイト、線維芽細胞、及び血管内皮細胞を含む)の賦活に必要とされるトランスフォーミング成長因子(TGF)-β、TGF-α、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、及びコラゲナーゼのような組織成長因子を提供する。後期炎症期(創傷から72時間後)には、リンパ球(T細胞)が、インターロイキン-1(IL-1)、C3及びC5のような補体系成分、並びに免疫グロブリンG(IgG)分解産生物によって媒介されて創傷部位に入る。古典的マクロファージ(M1)はリンパ球を創面まで動員する(リクルートする)のを助ける炎症性サイトカインを分泌する。非古典的マクロファージ(M2)は、増殖期表現型への移行のきっかけを与える抗炎症性サイトカインを分泌し、この移行が、本書で議論されるようなパルス型超音波治療によって加速されることが観察された。増殖期は、創傷の3日後に開始し、約2週間続く。この時期は、線維芽細胞、ケラチノサイト、上皮細胞及び血管細胞の遊走、コラーゲン合成、接着、牽引、及び上皮形成によって特徴付けられる。最後に、修復/成熟期は新たな上皮の成長及び瘢痕組織形成を担っており、1年から2年続く。この時期はまた、筋肉細胞の収縮とよく似たようにして創傷を引き締めて、修復されたECMを形成する。コラーゲンが修復されて、創傷は完全に閉鎖する。皮膚は一般的には、この時期が終わるまでに約80%健全になり、この間は著しく弱く再損傷を受け易い。一旦、瘢痕が形成されたら、皮膚は損傷前の皮膚の完全な健全性を取り戻すことはなく、柔軟性に欠け、動きに支障を来す。これらの時期の何れもが不十分になり得るが、治癒は炎症期に留まって上皮形成及び再建に進まない傾向がある。本書で議論されるように、創傷形成後24時間にパルス型集束超音波(pFUS)治療を開始することに係る手法が探究されて、CAP変調を通じて早期炎症を減弱させ、これにより治癒スケジュールを変化させる。
【】
数十年にわたり慢性創傷治療(糖尿病性足潰瘍を含む)の発展が停滞している。新たな技術の開発及び慢性糖尿病性足潰瘍創傷のような創傷の治療の発展が広く求められている。従来の手法には陰圧創傷治療(NPWT)が含まれ、現状での従来治療は、湿潤創傷治癒、壊死組織除去、成長因子浸漬によるドレッシング、及び損傷部位から免荷するウォーカー・キャスト(膝下歩行装具)を用いる等の手法を用いた創傷管理から成る。これらの緩和措置は何れも創傷を看護するためのものであるが、慢性炎症等の根本原因を治療する訳ではない。NPWTは急性創傷に対する効能が相対的に大きいが、慢性創傷に用いた場合には依然として成果は限定的である。標的薬物治療は大抵存在しないが、抗生剤投与は局所用及び全身用の両方で最も広く用いられている。
【】
生体電子工学による医療は急速に発展している分野である。実用的には、電気的刺激を神経線維に印加して応答を引き出すことができ、多くの場合に、電極は外科的に埋設されてエネルギを迷走神経に送達し、次いで下流効果を得る。迷走神経刺激は、コリン作用性抗炎症経路(CAP)シグナル伝達を介して炎症を変調させることができる。CAPは、賦活されると脾臓、肝臓、及び心臓でのTNFα産生(及び他の炎症性サイトカイン)を阻害する神経路である。この経路は、迷走神経及び7α受容体の両方を要求し、何れかが妨害されると抗炎症応答は反転する。本書では、侵襲性のより低い介入を提供すると共に、臨床現場環境で適用され得る(すなわち非外科的な)手法について記載する。具体的には、本書で議論されるように、標的器官(例えば脾臓)に直接印加される集束超音波を非侵襲的に用いてCAPを賦活する方法について記載する。本書で議論される例は一般的には、脾臓への超音波パルス印加に関するが、標的器官はパルス型超音波エネルギの非侵襲的印加に応答したコリン作用性抗炎症経路(CAP)シグナル伝達を介して炎症を変調させることが可能な任意の器官であってよいことを理解されたい。ここに記載される例では、1回の超音波治療だけで1時間以内に内毒素血症の生体内(in vivo)LPS誘発モデルにおいて全身的腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)を減少させることが判明した。加えて、パルス型集束超音波刺激後に収集され生体外で(ex vivo)LPSに曝露された末梢血液でも同様の成果を上げた。刺激を受けた部位から遠位の部位においても、連鎖球菌肺炎の攻撃によって生ずる炎症の減弱のような全身的効果が観察された。
【】
本書で議論されるように、図1に示すようなパルス型集束超音波システムを用いて脾臓内の神経路を刺激することにより、皮膚創傷治癒が加速された。図2では、刺激部位、並びに血液循環及びリンパ循環を通じた脾臓と皮膚との間の関係を示している。本書に開示される結果に基づいて、脾臓のパルス型集束超音波が、創面に遊走した単球/マクロファージ/好中球を変化させ、次に全身的免疫応答の媒介を通じて治癒にさらに協調するように創傷を変調させ、また体循環する炎症誘発性分子(TNFα、IL-6等)の濃度を変化させることが観察された。
【】
治癒の遅いモデルとしてZDSDラットを試験した。全厚切除皮膚創傷のあるZDSDラットの脾臓に対して、15日間にわたり一日に一回までで刺激を与えた。試験群には、糖尿病前症から併存症のある進行した糖尿病まで2型糖尿病の様々な疾患進行に対応する三つの週齢分類からの動物が含まれていた。2型糖尿病の併存症である慢性炎症をさらにモデル化するために、最高齢群は創傷生成の14日前から開始して週3回、超低量のLPS(5ng/kg)を受けた。全ての週齢群についてシャム対照に比較して創傷閉鎖のパルス型集束超音波誘発加速が観察された。本書で議論されるように、この態様で超音波を用いて、脾臓CAPを刺激して、治癒を加速させるように創傷部位から遠位の免疫系を変調させた。
【】
以上を念頭に置いて述べると、図1は、本書で議論される手法を行なうのに用いられる集束超音波システム100の各観点を示す。一実施形態では、システム100は、1.1MHzの強力集束超音波(HIFU)トランスデューサ104及び整合回路108と、RF出力増幅器112と、波形発生器116とを含んでいる。この例では、波形発生器116はパルス型シヌソイド波形を発生する。このパルス型シヌソイド波形はRF出力増幅器112によって増幅されて、トランスデューサ104に接続されているインピーダンス整合回路108へ送られる。幾つかの実施形態では、パルス中心周波数は1.1MHz、パルス繰り返し周期は0.5ミリ秒(2000Hzのパルス繰り返し周波数に対応する)、パルス振幅は300mVppであった。一実施形態では、実行可能コードを処理するように構成された1若しくは複数のプロセッサ、又は1若しくは複数の特定応用向け集積回路(ASIC)のような制御回路が、波形発生器116、RF出力増幅器112、整合回路108、及び/又はHIFUトランスデューサ104の1又は複数の部分として(又はこれらと連絡して)設けられていてよく、創傷治癒を鼓舞するために本書に記載される期間、エネルギ、及び/又は持続時間等で、本書に記載されるような標的器官への指向エネルギ印加を可能にしている。
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一具現化形態では、トランスデューサ104は、曲率半径が65mmの球面を有する70mm径のHIFUトランスデューサである。かかる一実施形態では、トランスデューサ焦点深さは50mmと80mmとの間であり、65mm等である。一実施形態では、数値シミュレーションによる圧力プロファイルは、振幅半値幅がラテラル方向に1.8mmで深さ方向に12mmである。HIFUトランスデューサ104は、脱気水を満たした6cm高さのプラスチック・コーンのような離隔体(standoff)、及び音響結合ゲルを通して被検体に音響結合され得る。
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図2へ移ると、脾臓140の位置を示す腹部、及びトランスデューサ104を介したパルス型集束超音波の送達位置が示されている。非侵襲型超音波エネルギが脾臓102に印加されると、本書で議論されるように、サイトカイン産生が変調される。脾臓リンパ節144と、脾動脈148及び脾静脈152とを拡大図に示す。脾臓リンパ節144はリンパ管に繋がっており、リンパ管は皮膚のリンパ管を含むリンパ系全体に繋がっている。皮膚に常在するマクロファージが、溢出を通して全身免疫細胞を動員するための化学誘引物質を放出する。皮膚が傷付いたときに(刺激部位に対して遠位の損傷皮膚156として図示)、1時間以内に創部周囲の血管が血小板を送達して止血を達成した後に、好中球を送達して炎症を開始し、治癒過程を開始する。単球が次に到着して、M1マクロファージに分化する。輸出リンパ管は、間質から蛋白質に富んだ炎症性体液の領域を排出するのを助け、輸入血管は、治癒を助けるようにこの領域にサイトカイン及びリンパ白血球を供給するのを助ける。
【】
本書で議論される動物試験に関しては、16週齢から25週齢の30体のZDSDラットを以下の群に無作為分類した。第1群(N=10):16週齢、第2群(N=10):22週齢、及び第3群(N=10):25週齢であり、誘発慢性炎症(5ng/kgLPS、3×週)を起こしていた。各々の群をさらに、パルス型集束超音波刺激(各々2ヶ所創傷の5体の齧歯類)を受けたものかシャム対照(各々2ヶ所創傷の5体の齧歯類)かで分けた。高血圧症の合併症のため試験中に第2群のシャム・コホートから1体の動物を取り除いた。動物はCharles River Laboratoriesから入手され、12:12の明暗周期で飼育された。動物は餌及び水の両方を自由に摂取することができ、餌はLabDiet 5008を与えた。
【】
3%イソフルランでの麻酔下で各々のラットの頭部に2ヶ所の全厚皮膚切除創を形成した。頭部を除毛してベタジン及び70%エタノールで患部を清浄化した後に、8mm生検針穿刺器を用いて創傷を形成し、皮膚を慎重に取り除いた。免疫応答に対して各々の薬物クラスが有する影響のため鎮痛剤は控えた。試験過程を通じて苦痛又は不快の物理的兆候は見られなかった。創傷は術後無被覆のままにし、ケージ・メイトの活動からの合併症を回避するために、各動物は単独で飼育された。第3群の動物は、5ng/kgのLPSを週3回腹腔内から受け、創傷形成の14日前から開始して試験全体を通じて継続し、慢性炎症を惹起した。術後1日目から開始して、拘束のためにイソフルランを用いつつ、カップリング・ゲルを用いて除毛皮膚にHIFUトランスデューサ104を結合した後に、脾臓に対してパルス型集束超音波エネルギを印加した。創傷を写真撮影し、ディジタル・カリパスを用いて前方から後方へ測定して径を記録した。超音波刺激を受けた群に対して、1分間ずつ3回にわたりエネルギを印加し、各回の間に30秒間の休止を設けた。以下の超音波パラメータを用いた。1.1MHz、300mVpp、150サイクルのバースト、バースト周期200ミリ秒。シャム対照の場合には、トランスデューサを脾臓の上に置いたが、エネルギは印加されなかった。刺激は術後1日目から4日目、7日目から11日目、14日目から15日目にかけて行なった。動物は創傷進行を問わず16日目に安楽死させた。
【】
週1回採血し、全血球計算及び血液化学の両方について分析した。血糖値を含めた血液化学測定は午前9時に行なった。残余の血漿は凍結させて生化学分析を行なった。各々の試験の完了時に、動物はCO2窒息によって安楽死させた。終末採血は、心臓穿刺を介して完了し、脾臓及び創面を部分切除して、瞬間凍結し、サイトカインが抽出され分析されるまで-80℃で貯蔵された。
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以上を念頭に置いて述べると、図3は、創傷治癒スケジュール(timeline)に関してこの試験スケジュールの各観点を視覚的に示す。同図では、図3は第3群についてのLPS注射及び全ての群についてのパルス型集束超音波刺激を含む試験スケジュール(上図)を対数目盛りで視覚的に表わしている。加えて、図3は、パルス型集束超音波介入の後に、上で示した試験スケジュールに一致させて関連する免疫応答時間について期待される創傷治癒段階(下図)を視覚的に表わしている。創傷治癒プロファイルにおいて明らかなように、創傷プロファイルにおけるM1マクロファージの出現からM2マクロファージの出現までの加速された移行のように、パルス型超音波治療に応答して表現型変化が現われている。
【】
生化学分析のための蛋白質抽出に関して述べると、凍結組織をすり潰してプロテアーゼ阻害剤を補充した氷冷PBSに加えた。組織が分散するまで24,000RPMに設定したIKA T18 Ultra-Turraxを用いて標本を均一化した。全ての標本が処理されるまで標本は氷上に保たれ、次いで、組織のホモジェネートを4℃で遠心分離によって澄明にした。NanoDrop機器を用いて、各々の検定に先立って、検定プロトコルに概略指示されるようにして各々の標本のOD280を評価した。
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サイトカイン・スクリーニングに関して述べると、サンドイッチ式抗体アレイ(C2抗体アレイ)を用いて、34個のサイトカイン、ケモカイン、及び成長因子のパネル(遺伝子記号:AGER、AGRN、CCL2、CCL20、CD86、CNTF、CSF2、CX3CL1、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、FASLG、ICAM1、IFNG、IL10、IL13、IL1A、IL1B、IL1RL2、IL2、IL4、IL6、INHBA、LEP、MMP8、NGF、PDGFA、PPBP、PRLR、SELL、TIMP1、TNF、VEGFA)を評価した。脾臓又は創面蛋白質ライゼートの100個のODユニットを膜アレイと共にインキュベートし、製造者の指示に従って処理したが、例外として、蛍光スキャンを用いるためにストレプトアビジン-HRPの代わりにストレプトアビジン-cy5二次抗体を用いた。Typhoonスキャナを用いて膜を撮像し、ImageJソフトウェアを用い、マイクロアレイ・プロファイルを用いて蛍光強度中央値を抽出した。陽性対照スポットを用いて全ての標本ブロックを参照ブロックに対して正規化し、空白スポットを用いて背景を減算した。
【】
統計学的な分析については、本書に記載されているような結果は、平均±SEMとして表現される。多重無対応スチューデントt検定(治癒率及びサイトカイン・データ)又は反復測定二元配置分散分析(Two-way ANOVA)の後にテューキーの多重比較検定(経時的な体重、血糖値、及び創傷寸法)を用いて、群同士の間の差を評価した。データはP≦0.05において有意と見做した。正規化した創傷径(初期径の%mm)の線形回帰分析を用いて、創傷が完全に閉鎖したと考えられる時刻を補外で求めた。y=0(創傷寸法)のときのx切片(日数)を予測閉鎖時間として定義した。サイトカイン・アレイが、標本の各々の対(pFUS対シャム)毎に蛍光強度の中央値のlog2倍数変化(Log2FC[fold change])を算出することにより比較された。ヒートマップが生成されて、各群における差を実証するために階層的クラスタ分析を行なった。ピアソン相関を用いて、創傷寸法と相対的サイトカイン発現との間の有意な相関を決定した。
【】
以上の方法論及び分析の議論を念頭に、結果は下記の通りに得られた。試験の全体を通じた動物の全体的な健康状態を追跡するために、生理学的特性が評価された。動物は、各々の週日の毎日(すなわち月曜日から金曜日まで)、体重を測定した。-(マイナス)14日目(第3群、LPS投与開始時)、0日目(全ての群)、及び16日目(全ての群)に血糖値を測定した。生理学的特性の結果については、体重はパルス型集束超音波を受けた各群内又はシャム対照の各群内の動物間では異ならなかったが、図4にグラフで示すように、週齢群の間では異なっていた。具体的には、図4に示すように、第1群(16週ZDSD糖尿病前症ラット)は15週目には体重の有意な変化を呈しなかった。同様に、第2群(22週ZDSD糖尿病ラット)も有意な体重変化を有しなかった。第3群(25週+10ng/kg LPS)は4.6%の体重減少があり、0日目(*p<0.05)から有意でありLPSに対する応答に起因するものと考えられた。具体的には、第3群について、パルス型集束超音波及びシャム対照の両方とも、試験中に有意な体重減少すなわち5.7%(P<0.05)を呈した。このことは、LPS注射が惹起した軽度の慢性炎症によるものと予測された。
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0日目(術前)及び16日目に無作為の血糖値を評価した。血糖値は、図5にグラフで示すように、週齢に応じて各々の群で異なっていたが、0日目と16日目との間では不変のままであった。具体的には、試験過程にわたり、第1群、第2群、又は第3群における血糖値には有意の変化は見られなかった。
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各々の群についての全血球計算(CBC)は正常範囲内であったが、第1群及び第2群においては経時的に、またパルス型集束超音波での治療を受けた動物とシャム治療動物との間で、白血球(WBC)に有意差が観察された。7日目には第1群において単球及びリンパ球の両方ともがより低く、16日目までに第2群において好中球及び単球が減少した。好中球、リンパ球、又は単球のポピュレーションに有意差は観察されなかった。各々の群についての血液化学は、試験全体を通じて全ての測定パラメータにおいて正常範囲内であったが、上で触れたように血糖値は例外であった。
【】
前述のスケジュールを念頭に置いて述べると、切除創傷が0日目に形成され、図6の左列に写真で示されており、ZDSDラットでの創傷治癒の進行(スケール・バー=10mm(右下のパネル))の代表的な縦方向画像を示している。前述のように、超音波刺激又はシャム刺激は、創傷形成処置の後、約24時間で開始した。8mm生検針穿刺を用いて所定の創傷を形成したが、それでも創傷径には皮膚の弛みのため変化が存在した(≦1.5mm≒14%)。第1群は、初期創傷径の百分率として、7日目までにpFUS対シャムで4.68±4.9%(ns)の減少(図6の中央列)、及び15日目には差が12.16±4.7%(p<0.05)まで増大した(図6の右列)。第2群は、7日目に15.9±4.1%(p<0.05)(pFUS対シャム)の減少、15日目に10.97±4.2%(p<0.05)の減少を見た。第3群は、7日目に14.83±6%(p<0.05)(pFUS対シャム)の減少、15日目に15.12±2.2%(p<0.001)の減少を呈した。シャム対照(15日目に元の創傷寸法の33%から41%)は、過去に発表されている報告からのZDSD(元の創傷寸法の約33%)と同様であった。これらの結果を図7にグラフで示す。図7に関して、創傷径は、それぞれの0日目径に正規化された(E/B)。創傷は、第2群及び第3群の両方のpFUS治療ラットではシャム対照に対して7日目までに有意に縮小した(Δ15.94±4.12%(p=0.003)及びΔ14.83±6.02(=0.024))。15日目に、全てのpFUS治療群がシャムよりも有意に縮小し(20±4対33±3;p<0.05)、また治療週齢第3群もシャム対照よりも有意に縮小した(24±2対38±2;p<0.001)。N=10創傷/コホートである。
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経時的に全ての群において創傷が閉鎖したが、閉鎖率(径変化%mm/日)は、1回目の刺激の後の最初の24時間に三つ全てのパルス型集束超音波コホートにおいて有意に加速された(表1)。具体的には、径減少率%/日を算出した。データから、パルス型集束超音波が最初の24時間の治癒に、残りの時間的経過よりも大きい範囲まで影響を与えていることが示唆される。このことは、早期創面炎症が、治癒を促進するような方法で変化したことを示し得る。閉鎖率は、15日目までを通して加速され続けたが、有意とは言えなかった。多くの創傷は閉鎖を完了するまで続行はされなかったので、治癒までの予測時間(X切片)が、図8にグラフで示すように、毎日の創傷径測定の線形回帰によって決定された。具体的には、線形回帰分析を用いて、各々の群においてパルス型集束超音波刺激によって減少した治癒までの日数を予測した。傾斜の傾きと切片は、各々の群内(第1群、p=0.0032;第2群、p=0.0005;第3群、p=0.0012)でも群間(p<0.001)でも有意に異なっていた。15日目には、回帰分析によれば、Y=0(創傷寸法)のときのX切片(日数)の95%CIによって決定されるように、全てのパルス型集束超音波刺激コホートについて17日目と23日目との間に創傷が完全に閉鎖する(健康なSDラットと同様)ことが示唆された。表2は、図8に示す回帰分析を実際に示す。線形回帰直線のX切片を治癒までの日数として示し、パルス型集束超音波による短縮日数は、シャムとパルス型集束超音波との間のX切片における差である。図示のように、FUS刺激は治癒時間を2.6日から4.5日早めていた。
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【表】
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【表】
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脾臓及び創面ライゼートでの蛋白質発現についても試験した。具体的には、脾臓及び創面ライゼートの両方をケモカイン、サイトカイン、及び成長因子のパネルに対して検定することにより、脾臓刺激と遠位創傷部位との間の関連について検討した。創傷形成後16日目に、蛋白質の相対的変化を決定し(log2FC)、図9に示すように階層的クラスタ分析によってヒートマップとしてプロットした。具体的には、創傷形成後16日目の脾臓及び創面ライゼートをサイトカイン、ケモカイン及び成長因子のパネルに対して検定した。パルス型集束超音波対シャム対照を比較した相対的変化(蛍光強度中央値のlog2倍数変化)を示すヒートマップ(図9)を生成した。行を中心として階層的クラスタ分析を行ない、行に単位分散スケーリングを施した。行は相関距離及び平均連結を用いてクラスタ化されている。列を先ず位置毎に、続いて群毎にグループ分けした。星印は相対的発現における有意差を表わす(p<0.05)。
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試験された34種の蛋白質のうち、第1群の脾臓ライゼートは、発現レベルが有意に異なる4種の蛋白質を有していた(アグリン、0.87±0.24(p=0.004);毛様体神経栄養因子(CNTF)、-0.58±0.25(p=0.04);及びIL-1 R6、-1.20±0.38(p=0.01))。第2群は、シャム対照からの有意差のある11種の蛋白質を有し(アグリン、3.10±0.78(p=0.003);サイトカイン誘発好中球化学誘引物質(CINC)-2α、1.59±0.67(p=0.046);CINC-3、1.64±0.68(p=0.04);Fasリガンド、-0.85±0.28(p=0.01);IL-1 R6、2.32±1.03(p=.047);IL-13、-0.71±0.28(p=0.03);IL-6、-2.24±0.81(p=0.02);レプチン、-1.22±0.42(p=0.02);プロラクチンR、-2.93±1.24(p=0.046);RAGE(終末糖化産物受容体)、-2.70±0.95(p=0.02);TNFα、-0.85±0.31(p=0.02);血管内皮細胞成長因子(VEGF)、-0.60±0.24(p=0.03))、第3群は8種の有意に変化した蛋白質レベルを有していた(CINC-1、-1.98±0.70(p=0.02);CINC-2α、-1.61±0.71(p=0.049);IL-13、-1.29±0.50(p=0.03);IL-2、-1.45±0.47(p=0.01);IL-4、-1.53±0.62(p=0.03);プロラクチンR、0.14±0.06(p=0.04);RAGE、-2.95±0.31(p=0.00001))。第1群からの創傷ライゼートは、発現レベルが異なる5種の蛋白質を有していた(アグリン、0.68±0.28(p=0.03);IL-1 R6、1.64±0.42(p=0.001);IL-10、-0.57±0.24(p=0.03);L-セレクチン、2.53±0.72(p=0.003);メタロプロテアーゼの組織阻害物質(TIMP)-1、-0.43±0.18(p=0.03))。第2群の創面ライゼートは何ら有意差を有しないことが分かり、第3群は、3種の異なる蛋白質レベルを有していた(CNTF、2.02±0.79(p=0.03);マクロファージ炎症蛋白質(MIP)-3α、-1.93±0.67(p=0.02);RAGE、-2.14±0.90(p=0.04))。第1群は、脾臓及び創面の両方で発現が有意に変化した2種の蛋白質を有しており(アグリンは両方で増加し、IL-1 R6は脾臓で低下し創傷で上昇していた)、第3群は1種であった(RAGEが脾臓及び創面の両方で減少)。3つ全ての試験群、並びに脾臓及び創面ライゼートの両方のデータを含む樹状図から、各々において以下の蛋白質から成る密接に関連した蛋白質の3つの別個のクラスタが明らかになった。クラスタ1:細胞間接着分子(ICAM)-1、IL-6、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)、TIMP-1、IL-10、フラクタルカイン、Fasリガンド、IL-13、CNTF、レプチン、リポ多糖誘発CXCケモカイン(LIX)、TNFα、及びVEGF。このクラスタ内で、最近接連結を有する2種の蛋白質はFasリガンドとフラクタルカインであった。クラスタ2:MIP-3α、単球化学走性蛋白質(MCP)-1、CINC-1、CINC-2α、CINC-3、IL-1β、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)-8、アグリン、胸腺ケモカイン-1、β-NGF、L-セレクチン、及びIL-1 R6。このクラスタから、CINC蛋白質の間の最近接連結が明らかになった。クラスタ3:プロラクチンR、IFN-γ、アクチビンA、RAGE、IL-1α、B7-2/CD86、PDFG-AA、IL-2、及びIL-4。クラスタ3では、2種の最近接蛋白質はB7-2/CD86とPDGF-AAであった。
【】
表3に、創傷治癒に関わる蛋白質及び創傷治癒での役割の両方を、当該蛋白質が分類された主なクラスタと共にまとめた。具体的には、試験パネルにおいて試験された検体を創傷治癒での役割と共に列挙した。創傷形成後16日目にパルス型集束超音波治療対シャム対照において有意に異なっていた蛋白質を太字斜体で示す。各々の治癒段階からの検体は、試験組織において有意に変化しており(脾臓(S);創面(W);両方(B);何れもなし(N))、各段階内での多くの過程が同様に影響を受けていた。上付き文字は、階層的クラスタ分析において蛋白質が関連していたクラスタを示す。
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この試験で測定された蛋白質は、創傷治癒カスケードの一つ一つの段階及び過程に関連付けられ、これらの多くが有意の変化を有した。表3に示す顕著な特徴の中で、結果は、M2マクロファージ細胞に影響されることが知られている修復期及び増殖期の蛋白質の上方調節(アップレギュレーション)を表わしており、本書に記載されているようなパルス型超音波治療に応答した創傷治癒プロファイルに関する表現型の変化に対応している。
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【表】
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一つの観察は、血管形成、ECM形成、及びECM修復に関連し、線維芽細胞、単球、及びT細胞においてより高度に発現するアグリンが創傷径と中程度に相関していたことである。具体的には、アグリンは、創傷寸法と有意の(P<0.05)相関を有すると同定された。図10は、アグリン蛋白質発現が高まるほど創傷が小さくなる両者間の負の相関(ピアソン係数-0.5266)をグラフで示している。具体的には、この散布図は、創傷形成後15日目における創面でのアグリン蛋白質発現と創傷存在百分率との間での有意の相関を示している。より小さい(より閉鎖した)創傷においてより高いアグリン発現を呈しており、ECM形成及び修復におけるアグリンの役割と関連する。より小さい創傷の殆どもまた、パルス型集束超音波刺激を受けた群に存在しており、創傷治癒カスケードにおける増殖及び修復へ向けて進行していたと考えられる。
【】
以上を念頭に置くと、これらの結果はいくつかの論点を支持する。ZDSDラット・モデルは、ズッカー糖尿病性肥満(ZDFfa/fa)ラットとSDとの交配である。このモデルは、糖尿病前症から明らかな糖尿病を経て糖尿病性合併症に至る2型糖尿病の各段階を再現しており、これらのラットは、腎症、神経障害、脂肪肝、高血圧症、メタボリック・シンドローム、心機能障害、及び慢性炎症を含めたヒト2型糖尿病と同様の併存症を有する。非空腹時血糖値は一般的には、非疾患の場合には<140mg/dLと定義され、>200mg/dLで糖尿病、中間地点は糖尿病前症と分類される。21週目から開始して、非空腹時血糖値はこの動物モデルにおいて200mg/dLを上回るまで自然に上昇する。三つ全ての群で正常血糖値を上回る上昇がある状態で、創傷治癒の特徴的な遅延が観察されており、これはZDSDモデルの過去の研究と同様である。
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創傷閉鎖速度は、1回目のパルス型集束超音波治療(試験の2日目)の後、24時間の間では、パルス型集束超音波治療を受けた動物において有意に速いことが観察された。このことは、古典的マクロファージ(M1)ポピュレーションがピークにあり好中球はピーク後にあるときの健全な治癒カスケードにおける時間に対応する。パルス型集束超音波は、全身的サイトカイン・レベルの変化を介して治癒の炎症期を通じて進行を促進し得る。TNFαの脾臓レベル及び全血液レベル、並びにIL-1αの脾臓レベルの測定から、脾臓のパルス型集束超音波は、内毒素血症のラットモデルにおけるCAP及びNF-κBの全身的シグナル伝達を変調させることが実証された。加えて、この変調は、長距離の神経路を介して、局所刺激を受けたリンパ節と脾臓との間で結び付けられることができ、CAPのパルス型集束超音波変調は、肺炎のマウスモデルにおいて免疫応答を減弱させる。炎症誘発性表現型から抗炎症表現型への進行の欠如は、創傷治癒が遅延する主な駆動因の一つである。ここに記載されている手法及び関連するデータは、脾臓を標的としたパルス型集束超音波刺激がZDSDラットにおいて創傷閉鎖を加速し、創傷治癒応答を健康なラットと同様のものにすることを示唆している。また、治癒速度の変化を介して全身的免疫応答が刺激によって変化し、シャム対照で観察されるものよりも速やかに炎症誘発性から抗炎症性へ(M1表現型からM2表現型へ)の応答を駆動することも示唆される。このことは、賦活された循環単球からの創傷マクロファージの継続的な補給によって説明され得る。さらに、500gラット(本試験において平均的な開始体重)の全血液容積は約31mLであり、脾臓の血液容積は全容積の約5%すなわち1.5mLであり、脾臓への血流量は0.63mL/分である。3分間の超音波刺激中に、常在容積に加えて1.9mLの血液容積が脾臓を循環し、約11%の血液容積が、超音波エネルギの結果として脾臓において放出された神経伝達物質及びシグナル伝達分子に曝露されたことになり、このことが免疫細胞賦活及びサイトカイン発現における差を説明するものと考えられる。
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損傷による脾臓拘縮は、本書に記載される1回目の超音波投与のタイミングと同時に生じ、備蓄されている免疫細胞の循環への放出を結果として生ずる。これらの備蓄細胞は損傷部位に移動することが追跡研究を通じて判明した。また、単球においてアセチルコリン受容体7a(CAP賦活時に放出されるアセチルコリンの結合部位)を遮断すると、CAP賦活が減弱し、TNFα発現はLPSチャレンジ後にも高いままであることが実証された。これらの所見を本書に記載されている試験で観察されたサイトカイン発現差と併せると、超音波による脾臓刺激が如何にしてCAPの賦活を介して末梢器官(皮膚)への全身的効果を有し得るかについての指標が与えられる。備蓄単球は、脾臓のパルス型集束超音波後に7α受容体へのアセチルコリン結合を介して賦活され得る(TNFα及び他の炎症性サイトカインを低下させる)。創傷が治癒し、また脾臓を毎日刺激するのに伴って、創面への単球の正味浸潤は無刺激シャム対照に対して増大し得る。パルス型集束超音波治療はまた、これらの細胞が、循環に放出された後の脾臓備蓄単球からさらに実効的に動員されることを可能にし得る。
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サイトカイン、ケモカイン、及び成長因子は、創傷治癒応答を協調させるのに中心的な因子であって、本書で議論されるように、幾つかは脾臓のパルス型集束超音波治療によって変調される。明確に述べると、RAGEの高発現は炎症、高血糖、アルツハイマー病、ガン、及び老化に繋がる。遮断される又は下方調節されるときには、炎症細胞の流入、NF-κBシグナル伝達、及びサイトカイン産生が抑制される。RAGEは第2群及び第3群の脾臓、並びに第3群の創面において有意に低く、治癒の炎症期に関わり、Tリンパ球及びBリンパ球、並びにマクロファージにおいて高発現する。L-セレクチンは、白血球において発現しリンパ球及び好中球を炎症部位へ輸送制御するために血管内皮への捕獲及び束縛を媒介することを担うものであり、第1群の創面での方が有意に高かった。毛様体神経栄養因子(CNTF)は、LPS誘発内毒素血症から保護して、TNFα産生を減少させることが判明し、またM2マクロファージ分化を増加させることもできる。超音波刺激の2週間後に脾臓において変化したサイトカインは、IL-6、IL-13、CNTF、TNFα、CINC-1、CINC-2α、CINC-3、IL-1 R6、及びRAGEを含んでおり、全て脾臓において発現すると共に白血球を介して血中に分泌される。これらの蛋白質が分泌されるので、創傷に対する全身的応答を齎す可能性が高い。IL-1 R6は主に皮膚において発現するが、CD4+T細胞及び単球においても発現し、且つ好中球では発現しない。IL-1 R6賦活はNF-κB及びMAPKシグナル伝達を惹起し、両方とも治癒進行に必須である。驚くべきことに、IL-10すなわち効力のある抗炎症性サイトカインは、幾つかの群では脾臓においても創面ライゼートにおいてもより低かった。可能な理由は、16日目までに創傷は、IL-10が最も優勢な炎症期を過ぎて進行してしまっているからである。ECM修復に関わるアグリン及びIL-1 R6の両方が、パルス型集束超音波対シャム対照について増加している一方で、瘢痕化/線維形成に結び付くTIMP-1は減少していた。任意の特定のサイトカインの群同士の間での発現差は、各々の群によってモデル化されている2型糖尿病の重症度に関係しているので、異なる創傷治癒進行によるものと考えられる。これらを総合すると、サイトカイン、ケモカイン、及び成長因子は、創傷治癒カスケードにおける多くの過程を担い、異常な発現は治癒カスケードを通じて進行を妨げる。脾臓CAPのパルス型集束超音波刺激は、創傷治癒の各々の段階、及び各段階内での多くの過程に関わる蛋白質を変化させる。これらの変化には、幾つかの炎症誘発性蛋白質発現の低下、及び幾つかの抗炎症性蛋白質の発現の増加が含まれる。
【】
以上の議論及び説明を念頭に置いて述べると、ここに開示される手法の技術的利点としては、限定しないが、一般的には超音波、具体的にはパルス型集束超音波(pFUS)のような印加エネルギの利用による慢性創傷の治癒を含めた創傷治癒の促進が挙げられることが認められよう。かかる幾つかの実施形態において、創傷治癒時間が短縮し、又は治癒しない創傷(例えば難治性創傷)がかかる印加エネルギの印加に応答して治癒し得る。かかる集束超音波治療を適用するために、他の構成要素の中でも、パルス型シヌソイド波形を発生するように構成された波形発生器と、出力増幅器(例えばRF出力増幅器)と、整合回路と、トランスデューサ(例えば強力集束超音波(HIFU)トランスデューサ)とを備えた装置又はシステムを用いることができる。エネルギ(例えば集束超音波パルス)は、脾臓、又はコリン作用性抗炎症経路(CAP)シグナル伝達を介して炎症を調節することが可能な他の体内器官、特徴、若しくは構造に印加され得る。
【】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の逐語的文言に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の逐語的文言と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
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100 集束超音波システム
102 脾臓
104 HIFUトランスデューサ
108 整合回路
112 RF出力増幅器
116 波形発生器
144 脾臓リンパ節
148 脾動脈
152 脾静脈
156 損傷皮膚
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【国際調査報告】

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