特表2025-541531IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】電気通信チャネルのモデルをパラメータ化する方法
(51)【国際特許分類】
   
   
   
【FI】
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(31)【優先権主張番号】23305402.2
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 34,1119 NS Schiphol Rijk,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】コルレ、ヴァンサン
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC21
5J500AK41
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT07
5J500NG03
(57)【要約】
本発明は、電気通信チャネルのモデルをパラメータ化する方法であって、通信チャネルは、送信機と、受信機と、送信機によって受信機に送信される信号を増幅する少なくとも1つの増幅器とを備え、モデルは、一続きの少なくとも1つの線形フィルタ及び非線形関数を備え、本方法は、送信機が、第1のパイロットシーケンスx1を受信機に送信することであって、第1のパイロットシーケンスは広帯域シーケンスであることと、送信機が、第2のパイロットシーケンスx2を受信機に送信することであって、第2のパイロットシーケンスは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであり、その帯域のパラメータは、送信機によって送信された第1のパイロットシーケンスx1に対応する第1の受信シーケンスw1から求められ、第2のパイロットシーケンスは、第1のパイロットシーケンスの振幅よりも高い振幅を有することとを含む、方法
【特許請求の範囲】
【請求項】
電気通信チャネルのモデルをパラメータ化する方法であって、
前記電気通信チャネルは、送信機と、受信機と、前記送信機によって前記受信機に送信される信号を増幅する少なくとも1つの増幅器とを備え、
前記モデルは、一続きの少なくとも1つの線形フィルタ及び非線形関数を備え、
前記方法は、以下のステップ、
a)前記送信機が、第1のパイロットシーケンスx1を前記受信機に送信することであって、前記第1のパイロットシーケンスは広帯域シーケンスであることと、
b)前記送信機が、第2のパイロットシーケンスx2を前記受信機に送信することであって、前記第2のパイロットシーケンスは、前記少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであり、前記帯域のパラメータは、前記送信機によって送信された前記第1のパイロットシーケンスx1に対応する第1の受信シーケンスw1から求められ、前記第2のパイロットシーケンスは、前記第1のパイロットシーケンスの振幅よりも高い振幅を有することと、
を含む、方法。
【請求項】
前記第2のパイロットシーケンスx2は、前記受信機から受信されたデータを使用して前記送信機によって求められ、
前記データは、
前記第2のパイロットシーケンスと、
コードブックにおける前記第2のパイロットシーケンスのインデックスと、
前記第1の受信シーケンスw1と、
前記第1の受信シーケンスw1のパラメータと、
前記少なくとも1つの線形フィルタの前記帯域のパラメータと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項】
d)前記送信機によって送信された前記第2のパイロットシーケンスx2に対応する第2の受信シーケンスw2から、前記非線形関数のパラメータ、又は、前記非線形関数と、前記モデルにおける前記非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードのパラメータを求めること、
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項】
前記モデルは、前記非線形関数の前にある第1の線形フィルタと、前記非線形関数の後にある第2の線形フィルタとを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項】
前記非線形関数は、奇数次数項のみを有する多項式として定義され、
前記第2のパイロットシーケンスを前記多項式の前記奇数次数項のそれぞれでべき乗したものが、単一のシーケンスに連結され、
前記第1の線形フィルタのパラメータ及び前記第2の線形フィルタのパラメータが、少なくとも以下のステップ、すなわち、
前記非線形関数及び前記第2の線形フィルタのカスケードを単一のフィルタとしてモデル化するステップと、
前記第2の受信シーケンスと、前記単一のシーケンスによって前記第2のパイロットシーケンスをフィルタリングすることによる前記第2の受信シーケンスの推定値との間の差を最小にする前記単一のフィルタのパラメータを推定するステップと、
に基づいて求められる、請求項4に記載の方法。
【請求項】
前記多項式は、1次項及び3次項を含み、
前記非線形関数及び前記第2の線形フィルタのカスケードのパラメータは、前記第2の受信シーケンスw2から、
前記第1の線形フィルタ及び前記第2の線形フィルタの畳み込みとして取得されたバンドパスフィルタによって前記第2の受信シーケンスをフィルタリングして、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスを取得することと、
前記単一のフィルタの3次係数の推定及び前記バンドパスフィルタによって前記第2のパイロットシーケンスをフィルタリングして、前記バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する前記1次項の寄与度を推定することと、
前記単一のフィルタの3次係数の推定及び前記バンドパスフィルタによって前記第2のパイロットシーケンスの3乗をフィルタリングして、前記バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する前記3次項の寄与度を推定することと、
バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンス、前記バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する前記1次項の前記寄与度及び前記バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する前記3次項の前記寄与度に基づいて、前記非線形関数の1次係数と3次係数との間の比を推定することと、
前記単一のフィルタの前記1次係数の推定を、前記単一のフィルタの前記1次係数の前記推定に前記比を乗算したものに置き換えることと、
によって更に求められる、請求項5に記載の方法。
【請求項】
前記非線形関数及び前記第2の線形フィルタのカスケードを求めることを、異なる数の奇数次数項を有する複数の多項式にそれぞれ対応する複数の候補非線形関数について繰り返すことと、
前記複数の非線形関数の中から、誤差関数を最小にする非線形関数を選択することと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項】
e)前記送信機が、第3のパイロットシーケンスx3を前記受信機に送信することを更に含み、
前記第3のパイロットシーケンスは、前記少なくとも1つの線形フィルタの前記帯域内の帯域制限シーケンスであり、前記第2のパイロットシーケンスの平均振幅よりも低い平均振幅を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項】
前記非線形関数及び前記第2の線形フィルタのカスケードのパラメータは、前記第2の受信シーケンスw2から求められ、
前記第1の線形フィルタのパラメータ及び前記第2の線形フィルタのパラメータは、前記送信機によって送信された前記第3のパイロットシーケンスx3に対応する第3の受信シーケンスw3と、前記少なくとも1つの線形フィルタの前記帯域のパラメータとから求められる、請求項8に記載の方法。
【請求項】
前記第1の線形フィルタのパラメータ及び前記第2の線形フィルタのパラメータは、少なくとも以下のステップ、すなわち、
前記非線形関数の1次項に対応する係数の逆数に等しいスケーリング係数αを求めるステップと、
前記スケーリング係数αと、前記非線形関数及び前記第2の線形フィルタのカスケードのパラメータとから、前記第2の線形フィルタのパラメータを求めるステップと、
前記少なくとも1つの線形フィルタの前記帯域のパラメータと、前記第2の線形フィルタのパラメータとから、前記第1の線形フィルタのパラメータを求めるステップと、
に基づいて求められる、請求項4に記載の方法。
【請求項】
前記第1の受信シーケンスが前記非線形関数による影響を受けるか否かを確認することと、
前記第1の受信シーケンスが前記非線形関数による影響を受ける場合には、
前記第1のパイロットシーケンスを、その振幅を低減するように変更することと、
前記ステップa)に戻ることと、
前記第1の受信シーケンスが前記非線形関数による影響を受けない場合には、前記ステップb)に進むことと、
を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項】
前記第1の受信シーケンスが前記非線形関数による影響を受けるか否かを確認することは、
前記第1の受信シーケンスと、少なくとも1つのフィルタの推定値を前記第1のパイロットシーケンスに適用したものとの間の差のノルムを計算することと、
前記ノルムが、前記電気通信チャネルの予想雑音よりも高い場合には、前記第1の受信シーケンスが前記非線形関数による影響を受けることを出力することと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項】
前記モデルに基づいてプリディストーション関数を適合させることと、
前記送信機が、前記プリディストーション関数を信号に適用して、プリディストーションされた信号を取得することと、
前記プリディストーションされた信号を送信することと、
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項】
請求項1又は2に記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つの処理ユニットを備える、送信機。
【請求項】
コンピュータソフトウェアであって、前記コンピュータソフトウェアがプロセッサによって実行されると、請求項1又は2に記載の方法の少なくとも一部を実施する命令を含む、コンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
電気通信の分野に関する。より具体的には、電気通信チャネルのモデルのパラメータ
【背景技術】
【】
多くの通信システムは、効率を最適化するために飽和状態に近い動作を行う増幅器を備えている。その上、これらの増幅器は、メモリ効果を示す場合もある。そのような場合、遭遇したチャネルは、メモリ効果を有する非線形である。このことは、受信信号が送信信号と比較して非線形歪みによる影響を受けることを意味する。そのようなシステムの例には、最大電力付近で使用される非常に強力な増幅器を有するシステム、例えば、衛星通信システムや、その逆に、非常に単純な増幅器を備えるシステム、例えば、IoTシステムが含まれる。
【】
このチャネルの非線形性を緩和するためには、多くの場合、プリディストーション技法が送信機で使用される。これらの技法は、送信前に信号をプリディストーションするもので、送信しようとする信号と可能な限り類似した信号を、受信機が受信するようにするものである。そのような技法は、例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4に記載されている。
【】
これらの技法は、送信機がチャネルを特定し、正確にモデル化できることを意味する。もう1つの選択肢は、受信機側で歪みを補正することであるが、この解決策は、受信機がチャネルを特定し、正確にモデル化できる必要がある。或る時点において、チャネルによって引き起こされる歪みの正確な補正を行うために、チャネルをモデル化することが必要となる。
【】
そのような歪みの補正を行うことを可能にするモデルの一例は、非特許文献5に記載されているウィナー-ハンマーシュタイン(Wiener-Hammerstein)モデルである。「ウィナー-ハンマーシュタイン」という名称は、線形フィルタの後に非線形性が続くものをウィナーモデル、非線形性の後に線形フィルタが続くものをハンマーシュタインモデルと呼ぶことから来ている。
【】
ウィナー-ハンマーシュタインモデル等のモデルの特定は、チャネルの送信機が「パイロットシーケンス」と呼ばれる既定のシーケンスを送信することと、受信シーケンスをパイロットシーケンスと比較してモデルのパラメータを推測することとによって行うことができる。受信シーケンスからそのようなモデルのパラメータを特定する技法の一例は、「ボルテラ級数(Volterra series)」と呼ばれ、非特許文献6に紹介されている。ボルテラ級数には、以下に列挙するいくつかの利点がある。
・非特許文献6に示されているように、システムの性能を分析し、エラー確率を解析的に評価することが可能になる;
・非特許文献5の第IV章に示されているように、最小二乗アルゴリズムを用いてチャネルを特定することが可能になる;
・非特許文献7に示されているように、p次逆行列(p-th order inverse)等のいくつかの特定のプリディストーション技法を使用することが可能になる。
【】
しかしながら、ボルテラモデルは、特に、チャネルを正確にモデル化するために多くの係数を必要とすることに由来する欠点を有する。これは、以下のことを意味する。
・十分に高い精度でチャネルを特定するには、大きなパイロットシーケンスが必要とされる;
・送信機がこのチャネルモデルをプリディストーションステップに使用するとき、推論ステージでの計算複雑度が高くなる;
・特定ステップでは、メモリ使用量が大きくなる/計算複雑度が高くなる:これは、パイロットシーケンスのサイズに依存するサイズの逆行列の計算が必要となるためである。したがって、大きなパイロットシーケンスは、高い複雑度を意味する。
【】
したがって、モデルの大きな近似に依存することなく電気通信チャネルを正確にモデル化する方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【】
【非特許文献】R. Piazza, B. Shankar, and B. Ottersten, "Generalized direct predistortion with adaptive crest factor reduction control", 2015 IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP), Apr 2015.
【非特許文献】B. Widrow and S. D. Stearns, "Adaptive signal processing", 1985, vol. 1.
【非特許文献】D. Zhou and V. E. DeBrunner, "Novel adaptive nonlinear predistorters based on the direct learning algorithm", IEEE Trans. Signal Process., vol. 55, no. 1, pp. 120-133, 2007.
【非特許文献】N. Alibert, "Iterative predistortion algorithms adapted to the increasing throughput of satellite communications", 2018.
【非特許文献】D. R. Morgan, Z. Ma, J. Kim, M. G. Zierdt, and J. Pastalan, "A Generalized Memory Polynomial Model for Digital Predistortion of RF Power Amplifiers", vol. 54, no. 10, 2006.
【非特許文献】S. Benedetto, E. Biglieri, and R. Daffara, "Modeling and Performance Evaluation of Nonlinear Satellite Links-A Volterra Series Approach", IEEE Trans. Aerospace and electronic systems, vol. 15, no. 4, pp. 494-507, Jul. 1979.
【非特許文献】A. Sarti and S. Pupolin, "Recursive techniques for the synthesis of a pth-order inverse of a Volterra system", Eur. Trans. Telecommun., vol. 3, no. 4, pp. 315-322, 1992.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【】
本開示はこの状況を改善する。
【課題を解決するための手段】
【】
電気通信チャネルのモデルをパラメータ化する方法を提案する。通信チャネルは、送信機と、受信機と、送信機から受信機に送信される信号を増幅する少なくとも1つの増幅器とを備える。モデルは、一続きの少なくとも1つの線形フィルタ及び非線形関数を備える。本方法は、a)送信機が、第1のパイロットシーケンスx1を受信機に送信することであって、第1のパイロットシーケンスは広帯域シーケンスであることと、b)送信機が、第2のパイロットシーケンスx2を受信機に送信することであって、第2のパイロットシーケンスは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであり、その帯域のパラメータは、送信機から送信された第1のパイロットシーケンスx1に対応する第1の受信シーケンスw1から求められ、第2のパイロットシーケンスは、第1のパイロットシーケンスの振幅よりも高い振幅を有することとを含む。
【】
「パイロットシーケンス」は、受信信号を取得し、受信信号の特性を分析して電気通信システムの特性を求めるために、送信機から受信機に送信される信号を示す。パイロットシーケンスは、事前に定義することもできるし、方法の実行中にリアルタイムで定義することもできる。
【】
「広帯域シーケンス」は、電気通信システムが使用することができる周波数スペクトルの全体にわたって、又は、周波数スペクトルの少なくとも大部分にわたってエネルギーが分散されたパイロットシーケンスを示す。
【】
「少なくとも1つのフィルタの帯域内の帯域制限シーケンス」は、そのエネルギーが少なくとも1つのフィルタの帯域に完全に又は基本的に含まれる信号を示す。この帯域シーケンスは、実質的に少なくとも1つのフィルタの帯域内に周波数を有する信号とすることができる。
【】
「少なくとも1つの線形フィルタの帯域」は、少なくとも1つの線形フィルタが情報を送信する周波数間隔を示す。情報の送信は、様々な方法で定義することができる。例えば、情報の送信は、閾値を上回るエネルギー減衰によって定義することができ、例えば、-3dB、-6dB等を上回るエネルギー減衰によって定義することができる。少なくとも1つの線形フィルタの帯域は、様々な帯域を定義することができる。例えば、少なくとも1つの線形フィルタの帯域は、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを定義することができる。
【】
「振幅」は、信号又はパイロットシーケンスの大きさに関する値を示す。本発明の様々な実施の形態によれば、振幅は、例えば、以下のものの1つ以上とすることができる。
・最大振幅;
・ピーク振幅;
・平均振幅;
・p(X>閾値)=τであるような閾値。この式において、Xは、信号の振幅を表す確率変数を示し、τは、パーセンテージ値、例えばτ=5%であり、p(X>閾値)は、Xが閾値よりも大きい確率である;
・その他。
【】
第1のパイロットシーケンスによって、電気通信チャネルが使用できるスペクトル全体における、少なくとも1つの線形フィルタの帯域を求めることが可能になる。
【】
一方、第2のパイロットシーケンスは第1のパイロットシーケンスよりも高い振幅を有するため、第2の受信シーケンスは非線形関数の非線形性による影響を受けるが、第1の受信シーケンスは非線形関数の非線形性による影響を受けない。
【】
第2のパイロットシーケンスは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の周波数のみを含むので、このシーケンスは、非線形関数の前の線形フィルタによる影響を受けない。
【】
したがって、これにより、モデルのパラメータ、特に非線形関数のパラメータを求めることができる。
【】
したがって、本方法により、例えば、ウィナー-ハンマーシュタインモデル等の一続きの少なくとも1つの線形関数及び非線形関数として定義される電気通信チャネルのモデルのパラメータを求めることが可能になる。
【】
モデルを近似する必要がないので、モデルのパラメータの値を正確に特定することができる。
【】
電気通信チャネルのモデルを推定することによって、通信を改善することが可能になり、例えば、電気通信チャネルを使用するときの信号の歪みを削減することが可能になる。
【】
これによって、例えば、受信信号の非線形歪みを回避するとともに、増幅器を最大電力で使用することが可能になる。受信信号の歪みを回避することによって、例えば、他の周波数キャリアとの干渉を回避することが可能になる。
【】
有利には、第2のパイロットシーケンスx2は、受信機から受信されたデータを使用して送信機によって求められ、そのデータは、第2のパイロットシーケンスと、コードブックにおける第2のパイロットシーケンスのインデックスと、第1の受信シーケンスw1と、第1の受信シーケンスw1のパラメータと、少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータとのうちの少なくとも1つを含む。
【】
これによって、受信機が受信した第1の受信シーケンスに応じて、送信機が第2のシーケンスを取得することを可能にする情報を受信するための実際的な選択肢が提供される。
【】
有利には、本方法は、d)送信機によって送信された第2のパイロットシーケンスx2に対応する第2の受信シーケンスw2から、非線形関数のパラメータ、又は、モデルにおける非線形関数と、この非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードのパラメータを求めること(S44)を更に含む。
【】
これによって、送信機側又は受信機側において、非線形関数のパラメータ、又は、モデルにおける非線形関数と、この非線形関数の後にある線形フィルタとのカスケードのパラメータを求めることが可能になる。
【】
有利には、モデルは、非線形関数の前にある第1の線形フィルタと、その非線形関数の後にある第2の線形フィルタとを備える。
【】
これによって、ウィナー-ハンマーシュタインモデルを使用して電気通信チャネルを表すことが可能になる。
【】
有利には、非線形関数は、奇数次数項のみを有する多項式として定義され、第2のパイロットシーケンスを多項式の奇数次数項のそれぞれでべき乗したものが、単一のシーケンスに連結され、第1の線形フィルタのパラメータ及び第2の線形フィルタのパラメータは、少なくとも以下のステップ、すなわち、非線形関数及び第2の線形フィルタのカスケードを単一のフィルタとしてモデル化するステップと、第2の受信シーケンスと、単一のシーケンスによって第2のパイロットシーケンスをフィルタリングすることによる第2の受信シーケンスの推定値との間の差を最小にする単一のフィルタのパラメータを推定するステップとに基づいて求められる。
【】
奇数次数項のみを有する多項式として非線形関数をモデル化することによって、電気通信チャネルにおける増幅器の良好な近似が得られる。実際、偶数次数の多項式項は、帯域外信号を生成し、増幅器は、低振幅において線形出力を生成する。
【】
したがって、これにより、非線形関数及び第2の線形フィルタによって形成されるハンマーシュタインモデルのパラメータを効率的に求めることが可能になる。
【】
有利には、の多項式は、1次項及び3次項を含み、非線形関数及び第2の線形フィルタのカスケードのパラメータは、第2の受信シーケンスw2から、以下の手順によって求められる。すなわち、
第1の線形フィルタ及び第2の線形フィルタの畳み込みとして取得されたバンドパスフィルタによって第2の受信シーケンスをフィルタリングして、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスを取得することと、単一のフィルタの3次係数の推定値及びバンドパスフィルタによって第2のパイロットシーケンスをフィルタリングして、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する1次項の寄与度を推定することと、単一のフィルタの3次係数の推定値及びバンドパスフィルタによって第2のパイロットシーケンスの3乗をフィルタリングして、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する3次項の寄与度を推定することと、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンス、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する1次項の寄与度及びバンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する3次項の寄与度に基づいて、非線形関数の1次係数と1次関数の3次係数との間の比を推定することと、単一のフィルタの1次係数の推定値を、単一のフィルタの1次係数の推定値にの比を乗算したものに置き換えることとによって更に求められる。
【】
これによって、非線形関数の1次項に関する単一のフィルタのパラメータの推定値は、3次項に関する単一のフィルタのパラメータに基づく推定値に置き換えられる。
【】
この推定値は、より正確になる。その理由は、3次項に関する単一のフィルタのパラメータが、バンドパスフィルタの帯域外にエネルギーを有する信号を生成し、その結果、第2の線形フィルタによって定義されるハイパスフィルタに対する感度がより高くなるからである。
【】
バンドパスフィルタの帯域内の信号に対してこれを行うことによって、信号のエネルギーのほとんどが集中している箇所に操作を行うことが可能になる。
【】
有利には、本方法は、異なる数の奇数次数項を有する複数の多項式にそれぞれ対応する複数の候補非線形関数について、非線形関数及び第2の線形フィルタのカスケードを求めることを繰り返すことと、その複数の非線形関数の中から、誤差関数を最小にする非線形関数を選択することとを含む。
【】
これによって、最適な多項式次数を選択することが可能になる。実際、異なる多項式次数の結果は、それぞれの場合に応じて異なる。例えば、5次多項式は、一般に、3次多項式よりも正確であると考えられるが、適切にトレーニングするには、はるかに多くのデータを必要とする。したがって、多くの場合において、3次多項式は、5次多項式よりも良好な結果を提供する。この所見は、より高次の多項式に一般化することができる。したがって、これによって、事前の仮定がなくても最適な多項式次数を選択することが可能になる。
【】
有利には、第2のパイロットシーケンスの最大振幅は、送信機による送信対象の信号の予想最大振幅に等しい。
【】
これによって、送信機による送信対象の全ての予見可能な信号の最大強度を含む振幅範囲において非線形関数の多項式のフィッティングを最適化することが可能になる。
【】
有利には、本方法は、e)送信機が、第3のパイロットシーケンスx3を受信機に送信することを更に含み、第3のパイロットシーケンスは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであり、第2のパイロットシーケンスの平均振幅よりも低い平均振幅を有する。
【】
第3のパイロットシーケンスのエネルギーは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域に集中しており、その振幅は、送信中に非線形関数による影響を受けることがないほど十分低い。その結果、既知のパラメータから線形フィルタのパラメータの値を取得することが可能になる。
【】
有利には、非線形関数及び第2の線形フィルタのカスケードのパラメータは、第2の受信シーケンスw2から求められ、第1の線形フィルタのパラメータ及び第2の線形フィルタのパラメータは、送信機によって送信された第3のパイロットシーケンスx3に対応する第3の受信シーケンスw3と、少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータとから求められる。
【】
したがって、ウィナー-ハンマーシュタインモデル等の2つの線形フィルタ及び非線形関数を備えるモデルの全てのパラメータを求めることができる。
【】
有利には、第1の線形フィルタのパラメータ及び第2の線形フィルタのパラメータは、少なくとも以下のステップ、すなわち、非線形関数の1次項に対応する係数の逆数に等しい倍率αを求めるステップと、その倍率αと、非線形関数及び第2の線形フィルタのカスケードのパラメータとから、第2の線形フィルタのパラメータを求めるステップと、少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータと、第2の線形フィルタのパラメータとから、第1の線形フィルタのパラメータを求めるステップとに基づいて求められる。
【】
これによって、全てのフィルタ及び関数のパラメータの値を求める段階的な方法が提供される。
【】
有利には、の帯域のパラメータは、第1の受信シーケンスが、第1のパイロットシーケンスにの帯域を適用したものに等しいという仮定の下で求められる。
【】
そのような場合において、モデルは、単一のフィルタとしてモデル化された少なくとも1つの線形フィルタとして近似することができ、そのため、バンドフィルタのパラメータは、第1のパイロットシーケンス、及び第1の受信シーケンスから計算することができるので、バンドフィルタのパラメータを推定することができる。
【】
有利には、第1のパイロットシーケンス及び第3のパイロットシーケンスのうちの少なくとも一方は、それらの位相が少なくとも1つの線形フィルタの出力における信号、又は予測信号の振幅を最小にする等電力の正弦波の和である。
【】
正弦波の和を使用することによって、第1のパイロットシーケンス又は第2のパイロットシーケンスの周波数スペクトル及び振幅を同時に制御して、その振幅が非線形関数からの非線形効果を回避するように十分低い所望の周波数帯域における信号を取得することができる。
【】
有利には、本方法は、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けるか否かを確認することと、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受ける場合には、第1のパイロットシーケンスを、その振幅を削減するように変更して、ステップa)に戻ることと、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けない場合には、ステップb)に進むこととを含む。
【】
これによって、最初の処理シーケンスの振幅が、非線形関数の非線形性を回避するように十分低くなり、それに伴って、バンドパスフィルタがローパスフィルタ及びハイパスフィルタの畳み込みを正確に表すことが保証される。
【】
有利には、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けるか否かを確認するステップは、第1の受信シーケンスと、少なくとも1つのフィルタの推定値を第1のパイロットシーケンスに適用したものとの間の差のノルムを計算することと、ノルムが、チャネルの予想雑音よりも高い場合には、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けることを出力することとを含む。
【】
これによって、第1の受信シーケンスが雑音による影響を受けているか否かを確認する効果的な方法が提供される。
【】
有利には、非線形関数、又は、非線形関数と、モデルにおけるその非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードの帯域のパラメータのうちの少なくとも1つの推定値のうちの少なくとも1つは、正規化された平均二乗誤差を最小にする最小二乗アルゴリズムを使用して行われる。
【】
これによって、モデルのパラメータを効果的に求め、電気通信チャネルを使用するときにNMSE(正規化された平均二乗誤差)を削減し、その結果、通信の精度を改善することが可能になる。
【】
有利には、非線形関数、又は、非線形関数と、モデルにおけるその非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードの帯域のパラメータのうちの少なくとも1つの推定のうちの少なくとも1つは、受信機によって行われ、受信機は、帯域及び第2のパイロットシーケンスのうちの少なくとも一方に関する少なくとも1つのデータを送信機に送信するように構成される。
【】
「バンドパスフィルタ及び第2のパイロットシーケンスのうちの少なくとも一方に関する少なくとも1つのデータ」は、バンドパスフィルタのパラメータ、及び/又は第2のパイロットシーケンスを定義するか、又は取り出すことを可能にする少なくとも1つのデータを示す。
【】
そのような少なくとも1つのデータは、以下のもののうちの少なくとも1つを含むことができる。
・バンドパスフィルタのパラメータ;
・バンドパスフィルタの帯域周波数;
・第2のパイロットシーケンス;
・コードブックにおけるパイロットシーケンスの識別子;
・その他。
【】
これによって、受信機は、受信シーケンスに基づいてモデルのパラメータを直接求めることができ、関連した第2のパイロットシーケンスを送信するために関連したデータを送信機に持たせることが可能になる。
【】
有利には、非線形関数、又は、非線形関数と、モデルにおけるその非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードの帯域のパラメータのうちの少なくとも1つの推定のうちの少なくとも1つは、送信機によって行われ、受信機は、第1の受信シーケンス及び第2の受信シーケンスのうちの少なくとも一方を送信機に送信するように構成される。
【】
これによって、送信機は、パイロットシーケンス及び受信シーケンスの双方の知識を有し、モデルのパラメータを求めることが可能になる。
【】
有利には、本方法は、のモデルに基づいてプリディストーション関数を適合させることと、送信機が、そのプリディストーション関数を信号に適用して、プリディストーションされた信号を取得することと、そのプリディストーションされた信号を送信することとを更に含む。
【】
これによって、送信機は、受信機が受信するメッセージが送信対象のメッセージと可能な限り類似するように、送信対象の信号の代わりに、プリディストーションされた信号を送信することが可能になる。
【】
別の態様において、本発明の一実施の形態による方法によってパラメータ化されたモデルに基づいてプリディストーション関数を適合させることと、送信機がそのプリディストーション関数を信号に適用して、プリディストーションされた信号を取得することと、そのプリディストーションされた信号を送信することとを含む方法が提案される。
【】
別の態様において、本発明の実施の形態のうちの1つの方法を実行するように構成された少なくとも1つの処理ユニットを備える送信機が提案される。
【】
別の態様において、本発明の実施の形態のうちの1つによる方法によってパラメータ化されたモデルに基づいて補正関数を適合させることと、受信機が信号を受信することと、受信機が補正関数を受信信号に適用して、補正された受信信号を取得することとを含む方法が提案される。
【】
これによって、受信機は、電気通信チャネルによって生じる歪みについて受信信号を補正することが可能になるとともに、送信機によって送信された信号に可能な限り類似した信号を取り出すことが可能になる。
【】
別の態様において、本発明の実施の形態のうちの1つによる方法を実施するように構成された少なくとも1つの処理ユニットを備える受信機が提案される。
【】
別の態様において、ソフトウェアがプロセッサによって実行されると、ここで定義される方法の少なくとも一部を実施する命令を含むコンピュータソフトウェアが提案される。別の態様において、ソフトウェアがプロセッサによって実行されると、ここで定義される方法を実施するためにソフトウェアが登録されたコンピュータ可読非一時的記録媒体が提案される。
【】
他の特徴、詳細及び利点について、以下の詳細な説明においてかつ図に示す。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】本発明を実施することができるモデル化のための電気通信チャネルの第1の例を示す図である。
【図】本発明を実施することができるモデル化のための電気通信チャネルの第2の例を示す図である。
【図】本発明を実施することができるパラメータ化のためのウィナー-ハンマーシュタインモデルの一例を示す図である。
【図】本発明のいくつかの実施形態における方法の第1の例を示す図である。
【図】本発明のいくつかの実施形態における方法の第2の例を示す図である。
【図】本発明のいくつかの実施形態における、非線形関数としての増幅器のモデルの一例を示す図である。
【図】本発明のいくつかの実施形態における、2つの線形フィルタの畳み込み積であるバンドパスフィルタの一例を示す図である。
【図】本発明のいくつかの実施形態による、増幅器をモデル化する非線形関数の複数の推定値を示す図である。
【図】本発明のいくつかの実施形態における、第2のパイロットシーケンスの一例、及び増幅器の出力における対応する歪み信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【】
次に図1を参照する。
【】
図1は、本発明を実施することができるモデル化のための電気通信チャネルの第1の例である。
【】
チャネルChan1は、送信機Em1から開始する。送信機Em1は、人工衛星に搭載された増幅器Amp1を通じて受信機Rec1にメッセージを送信する大型衛星アンテナである。
【】
この例では、増幅器Amp1は、送信チャネルに非線形歪みを生じさせる最大増幅能力付近で使用される強力な増幅器である。
【】
次に図2を参照する。
【】
図2は、本発明を実施することができるモデル化のための電気通信チャネルの第2の例である。
【】
チャネルChan2は、IoTデバイス(この例では温度センサ)である送信機Em2が、別のIoTデバイス(この例ではヒートコントローラ)である受信機Rec2に、この例では無線ゲートウェイである第3のIoTデバイスに配置された増幅器Amp2を通じてメッセージを送信する電気通信チャネルである。
【】
この例では、増幅器Amp2は、送信チャネルに非線形歪みを生じさせる軽量の増幅器である。
【】
チャネルChan1及びChan2は、本発明を実施することができるモデル化のための電気通信チャネルの単なる例として提供されているにすぎない。本発明は、より一般的には、増幅器の動作が非線形性を導入する任意の電気通信チャネルのモデル化のために実施することができる。
【】
次に図3を参照する。
【】
図3は、本発明をパラメータ化のために実施することができるウィナー-ハンマーシュタインモデルの一例を表している。
【】
モデルMod3は、「ウィナー-ハンマーシュタイン」タイプのモデルである。このモデルは、第1の線形フィルタLF31、非線形関数NLF32、及び第2の線形フィルタLF33からなる。
【】
第1の線形フィルタLF31及び非線形関数NLF32は、「ウィナー」モデルを形成する一方、非線形関数NLF32及び第2の線形フィルタLF33は、「ハンマーシュタイン」モデルを形成する。第1の線形フィルタLF31、非線形関数NLF32、及び第2の線形フィルタLF33によって形成されるウィナーモデル及びハンマーシュタインモデルの組み合わせは、「ウィナー-ハンマーシュタイン」モデルと呼ばれる。
【】
ウィナー-ハンマーシュタインタイプのモデルは、例えば、チャネルChan1又はチャネルChan2等の、非線形歪みの影響を受ける電気通信チャネルをモデル化するのに使用することができる。
【】
第1の線形フィルタLF31、非線形関数NLF32、及び第2の線形フィルタLF33のそれぞれは、パラメータの値によって定義される。したがって、モデルMod3等のウィナー-ハンマーシュタインタイプのモデルによってモデル化されるチャネルは、第1の線形フィルタLF31、非線形関数NLF32、及び第2の線形フィルタLF33のパラメータの値が全て既知である場合に定義することができる。
【】
図3及び以下に記載の例において、
・x(n)は、送信機によって送信された信号を表すとともに、第1の線形フィルタLF31の入力を表す;
・u(n)は、第1の線形フィルタLF31の出力を表すとともに、非線形関数NLF32の入力を表す;
・y(n)は、非線形関数NLF32の出力を表すとともに、線形フィルタLF33の入力を表す;
・モデルの出力w(n)は、第2の線形フィルタLF33の出力と推定雑音e(n)との和である。
【】
で論述したように、送信機側においてプリディストーション技法を使用すること又は受信機側において受信信号を補正することのいずれかによって電気通信チャネルの歪みを補正するには、モデルのパラメータが正確に知られている必要がある。
【】
したがって、本発明の目的のうちの1つは、例えばモデルMod3等の電気通信チャネルのモデルを正確にパラメータ化することである。
【】
この趣旨で、本発明は、送信機によるパイロットシーケンスの送信に依存する。この送信によって、受信機は対応する受信シーケンスの受信を行い、受信シーケンスは、チャネルによる歪みを受ける。対応する表記を以下のように導入することができる。
・x=[x(1)...x(n)...x(N)]は、長さNのパイロットシーケンスである;
・u=[u(1)...u(n)...u(N)]は、第1の線形フィルタLF31(hとも表記される)の出力における信号である;
・y=[y(1)...y(n)...y(N)]は、非線形関数NLF32(c(・)とも表記される)の出力における信号である;
・w=[w(1)...w(n)...w(N)]は、第2の線形フィルタLF33(gとも表記される)の出力における信号であり、この出力はチャネル全体の出力である。
【】
ウィナー-ハンマーシュタインモデルの要素は、以下でより詳細に説明される。
【】
第1の線形フィルタLF31、すなわちhは、長さL1を有する。このフィルタの出力はu(n)であり、以下のように表される。
【数】
【】
非線形関数NLF32、すなわちcは、以下の式としてモデル化される。
【数】
【】
1つの一般的な仮定は、非線形関数NLF32、すなわちcが、振幅|u(n)|が十分小さいときに線形であるということである。すなわち、
【数】
である。
【】
この仮定は、ほとんどの増幅器が、入力信号の振幅があまり大きくないときに線形増幅特性を示すことから有効である。いくつかの場合において、振幅が小さい場合の特性は、準線形にすぎない場合があり、以下の式が得られる。
【数】
この式は、残留非線形性の影響が雑音項εとして扱われていることを意味する。
【】
図6は、本発明のいくつかの実施形態における非線形関数としての増幅器のモデルの一例を表している。
【】
モデルMod6は、入力uの関数として、非線形関数の出力yの電力を表している。非線形性は高振幅時においてのみ発生することを見て取ることができる。低振幅時においては、増幅器の出力は入力の線形関数に近似することができる。これは、増幅器が飽和状態付近で動作するときに非線形効果が発生するからである。
【】
|u(n)|が十分小さいとき、信号は低振幅であると言われる。この低振幅又は高振幅の概念は、増幅器の飽和レベルに関して規定することができ、例えば、ピーク電力対平均電力比に関して規定することができる。したがって、その場合に、増幅器のタイプに応じて、振幅が非線形関数に対して十分高いか又は低いかによって、線形か又はそうでないかを判断することができる。
【】
留意すべき点は、本発明がウィナー-ハンマーシュタインモデルのパラメータによって例示されているが、より一般的には、本発明が、少なくとも1つの線形フィルタ、及び非線形関数を備えるモデルに適用可能であるということである。したがって、本発明は、ウィナーモデル又はハンマーシュタインモデルをパラメータ化するのにも適用可能である。
【】
第2の線形フィルタgは長さL2を有し、その出力は、
【数】
である。
【】
ここで、e(n)は、チャネルにおける雑音である。
【】
次に図4を参照する。
【】
図4は、電気通信チャネルのモデルをパラメータ化する方法P4を表している。この通信チャネルは、送信機と、受信機と、送信機から受信機に送信される信号を増幅する少なくとも1つの増幅器とを備える。
【】
このモデルは、一続きの少なくとも1つの線形フィルタ及び非線形関数を備える。
【】
で論述したように、このモデルは、例えば、以下のもののうちの1つとすることができる。
・一続きの第1の線形フィルタ、非線形関数、および第2の線形フィルタを備えるモデルMod3等のウィナー-ハンマーシュタインモデル;
・一続きの線形フィルタ、および非線形関数を備えるウィナーモデル;
・一続きの非線形関数、および線形フィルタを備えるハンマーシュタインモデル。
【】
以下でより詳細に説明するように、方法P4は、チャネルの送信機、例えば送信機Em1又はEm2によって部分的又は全体的に実施される。
【】
方法P4は、送信機が第1のパイロットシーケンスx1を受信機に送信するステップS41を含む。この第1のパイロットシーケンスは、広帯域シーケンスである。
【】
言い換えると、ステップS41において、送信機は、広帯域シーケンスである第1のパイロットシーケンスx1、すなわち、そのエネルギーが、電気通信チャネルによって使用することができる周波数スペクトルの全体又は少なくとも大部分にわたって拡散しているパイロットシーケンスを受信機に送信する。
【】
受信機は、それに伴って、送信機によって送信された第1のパイロットシーケンスx1に対応するが、電気通信チャネルによって変更されている第1の受信シーケンスw1を受信する。
【】
第1のパイロットシーケンスx1は広帯域シーケンスであるので、第1の受信シーケンスw1は、電気通信システムによって使用することができる周波数スペクトルの全体又は少なくとも大部分にわたってチャネルによる影響を受ける。少なくとも1つの線形フィルタの1つの帯域(又は複数の帯域)は、そのため、受信シーケンスw1から推論することができる。
【】
第1のパイロットシーケンスは、第1の受信シーケンスw1が非線形関数による影響を受けないように、振幅を十分低くすることもできる。実際、非線形関数の非線形性は、基本的には高い振幅に適用される。で論述したように、考慮される振幅は、例えば、パイロットシーケンスの平均振幅及び/又は最大振幅及び/又はピーク振幅とすることができる。
【】
したがって、特に、第1の受信シーケンスw1が非線形関数による影響を受けないように、第1のパイロットシーケンスx1が十分低い振幅を有する広帯域シーケンスであるとき(このことは、この文脈では、モデルを少なくとも1つの線形フィルタとしてのみ近似することができることを意味する)、推定されたモデルによってフィルタリングされた第1のパイロットシーケンスx1と第1の受信シーケンスw1との間の比較により、信号がどの帯域において送信されたのか(すなわち、エネルギー減衰がどの帯域において低かったのか)を判断することが可能になる。これによって、少なくとも1つの線形フィルタの1つの帯域、又は複数の帯域を決定することが可能になる。
【】
方法P4は、次に、送信機が第2のパイロットシーケンスx2を受信機に送信するステップS43を含む。この第2のパイロットシーケンスは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであり、の帯域のパラメータは、第1の受信シーケンスw1から求められ、第2のパイロットシーケンスの振幅は、第1のパイロットシーケンスの振幅よりも高い。
【】
第1の受信シーケンスは非線形関数の非線形性による影響を受けなかったが、第2の受信シーケンスは非線形関数の非線形性による影響を受けるように、第2のパイロットシーケンスx2は、第1のパイロットシーケンスよりも高い振幅を有する。
【】
第2のパイロットシーケンスx2は、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の周波数しか含まないので、このシーケンスは、非線形関数の前にある線形フィルタによる影響を受けない。
【】
したがって、第2のパイロットシーケンスx2に対応する第2の受信パイロットシーケンスw2は、非線形関数による影響を受け、(非線形関数は信号のスペクトルを変更するので)非線形関数の後にある線形フィルタによる影響を受けるが、非線形関数の前にある線形フィルタによる影響は受けない。
【】
したがって、第2の受信パイロットシーケンスw2と第2のパイロットシーケンスx2とを比較することによって、非線形関数のパラメータの値を定義することが可能になり、又は、モデルが非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタを備える場合には、非線形関数と、モデルにおけるこの非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードのパラメータを定義することが可能になる。
【】
したがって、本方法によって、例えば、ウィナー-ハンマーシュタインモデル等の一続きの少なくとも1つの線形関数及び非線形関数として定義される電気通信チャネルのモデルのパラメータを求めることが可能になる。
【】
モデルを近似する必要がないので、モデルのパラメータの値は、正確に特定することができる。
【】
電気通信チャネルのモデルを推定することによって、通信を改善すること、例えば、電気通信チャネルを使用するときに信号の歪みを削減することが可能になる。
【】
これによって、例えば、受信信号の非線形歪みを回避するとともに、増幅器を最大電力において使用することが可能になる。受信信号の歪みが回避されることによって、例えば、他の周波数キャリアとの干渉を回避することが可能になる。
【】
本発明の重要な点のうちの1つは、第1のパイロットシーケンスx1及び第1の受信シーケンスw1に基づいて第2のパイロットシーケンスx2を求めることである。これは、ステップS41とステップS43との間のステップS42によって行うことができる。ステップS42は、例えば、送信機又は受信機によって実行することができる。
【】
いくつかの実施形態において、ステップS42は受信機によって実行されるが、受信機は、第1の受信シーケンスw1を既に受信しているので、更に第1のパイロットシーケンスx1を知る必要がある。
【】
これは、例えば、以下によって行うことができる。
・既定の第1のパイロットシーケンスx1を使用すること。この場合、受信機は、送信されることになる第1のパイロットシーケンスx1を事前に認識している;
・受信機が、第1のパイロットシーケンスを求めることを可能にする少なくとも1つのデータを送信機から受信すること。そのようなデータは、例えば、以下のものとすることができる。
○ 別のチャネルを通じて受信される第1のパイロットシーケンスx1そのもの;
○ コードブックにおける第1のパイロットシーケンスx1のインデックス;
○ 第1のパイロットシーケンスx1を再構築することを可能にするパラメータ。例えば、第1のパイロットシーケンスx1の帯域及び平均振幅は、第1のパイロットシーケンスを正確に再構築することができる;
○ その他。
【】
そのような実施形態において、受信機が第2のパイロットシーケンスx2を求めると、受信機は、送信機が第2のパイロットシーケンスx2を特定することができるデータを送信機に返信することができる。そのようなデータは、以下のものとすることができる。
・第2のパイロットシーケンスx2そのもの;
・コードブックにおける第2のパイロットシーケンスx2のインデックス;
・第2のパイロットシーケンスx2のパラメータ;
・その他。
【】
本発明の他の実施形態において、第2のパイロットシーケンスx2を求めるステップS42は、送信機によって実行される。そのような場合には、送信機は、第1のパイロットシーケンスx1を既に認識しているので、第1の受信シーケンスw1を表す入力を受信機から受信する必要がある。そのような入力は、以下のものとすることができる。
・第1の受信シーケンスw1そのもの;
・第1の受信シーケンスw1のパラメータ;
・少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータ。これらのパラメータは、第1の受信シーケンスが受信される帯域に対応するため、第1の受信シーケンスを表し、第2のパイロットシーケンスx2を求めることを可能になる;
・その他。
【】
したがって、第2のパイロットシーケンスx2を取り出すために、送信機は、以下のもののうちの少なくとも1つを含むデータを受信機から受信することができることは明らかである。
・第2のパイロットシーケンス;
・コードブックにおける第2のパイロットシーケンスのインデックス;
・第1の受信シーケンスw1;
・第1の受信シーケンスw1のパラメータ;
・少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータ;
・その他。
【】
上述したように、第2のパイロットシーケンスx2は、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内にあり、十分高い振幅を有するので非線形関数による影響を受ける。
【】
本発明のいくつかの実施形態において、方法P4は、送信機によって送信された第2のパイロットシーケンスx2に対応する第2の受信シーケンスw2から、非線形関数のパラメータ、又は、非線形関数と、モデルにおけるこの非線形関数の後にある少なくとも1つの線形フィルタとのカスケードのパラメータを求めるステップS44を更に含む。
【】
ステップS44は、送信機又は受信機において実行することができ、非線形関数を含むモデルのパラメータを実際に取得することを可能にする。
【】
本発明のいくつかの実施形態において、モデルは、非線形関数の前にある第1の線形フィルタ、及び非線形関数の後にある第2の線形フィルタを備え(例えば、ウィナー-ハンマーシュタインモデルMod3の場合である)、第3のパイロットシーケンスx3が使用される。そのような実施形態において、方法P4は、送信機が第3のパイロットシーケンスx3を受信機に送信するステップS45を更に含む。この第3のパイロットシーケンスは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであり、第2のパイロットシーケンスの振幅よりも低い振幅を有する。
【】
言い換えると、第3のパイロットシーケンスx3は、第2のパイロットシーケンスx2と同じ帯域を有するが、より小さな振幅(例えば、より小さな平均振幅及び/又は最大振幅及び/又はピーク振幅)を有する。例えば、第3のパイロットシーケンスx3は、第1のパイロットシーケンスx1と同じ振幅を有することができる。送信機による第3のパイロットシーケンスx3の送信によって、受信機による対応する第3の受信パイロットシーケンスw3の受信が生じる。
【】
したがって、第3のパイロットシーケンスx3のエネルギーは、少なくとも1つの線形フィルタの帯域に集中しており、その振幅は、十分に低いので、送信中に非線形関数からの影響を回避することができる。その結果、既知のパラメータから線形フィルタのパラメータの値を取得することが可能になる。
【】
第3のパイロットシーケンスx3を求めるには、第2のパイロットシーケンスx2と同じデータが必要とされることは明らかである。したがって、第3のパイロットシーケンスx3は、第1のパイロットシーケンスx1及び第1の受信シーケンスw1に基づいて求めることができる。したがって、第3のパイロットシーケンスx3を求めるための、送信機と受信機との間のデータの交換に関する全ての論述がそれぞれ当てはまる。
【】
方法P4は、それに伴って、第3の受信シーケンスw3と、少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータとから、第1の線形フィルタ(例えば、フィルタLF31)のパラメータ及び第2の線形フィルタ(例えば、フィルタLF33)のパラメータを求めるステップS46を更に含むことができる。
【】
言い換えると、第3の受信シーケンスw3及び第3のパイロットシーケンスx3は、2つの線形フィルタの帯域から、それぞれ第1の線形フィルタ及び第2の線形フィルタのパラメータを求めることができる。
【】
したがって、ウィナー-ハンマーシュタインモデル等の2つの線形フィルタ及び非線形関数を備えるモデルの全てのパラメータを求めることができる。
【】
ステップS46は、送信機又は受信機のいずれかにおいて実行することができる。パイロットシーケンス及び対応する受信シーケンスの双方の知識を必要とする全てのステップと同様に、これは、
・受信機においては、受信シーケンスに加えて、対応するパイロットシーケンスを取得することを可能にする少なくとも1つのデータ、例えば、
・別のチャネルを通じたパイロットシーケンスそのもの;
・コードブックにおけるパイロットシーケンスのインデックス;
・パイロットシーケンスのパラメータ;
・その他、
を送信機から受信することによって実行することができ、
・送信機においては、対応する受信シーケンスを取得することを可能にする少なくとも1つのデータ、例えば、
・受信シーケンスそのもの;
・受信シーケンスのパラメータ;
・その他、
を受信機から受信することによって実行することができる。
【】
方法P4は、本発明による方法の非限定的な例として提供されているにすぎず、他の方法を使用することができる。例えば、電気通信チャネルのモデルがウィナーモデルである場合、第1のパイロットシーケンス及び第2のパイロットシーケンスを送信することによって、それぞれ線形フィルタ及び非線形関数のパラメータを直接特定することが可能になるので、第3のパイロットシーケンスx3の送信は必要でない。
【】
モデルが方法P4を使用して正確にパラメータ化されると、このモデルを使用して、チャネルを通じた正確なデータ送信を行うことができる。
【】
第1の選択肢は、プリディストーションを実行することである。これは、受信信号が、受信するように意図された信号に対応するように、送信対象の信号を送信前に送信機によってプリディストーションすることを意味する。
【】
プリディストーションを達成するために、本方法は、モデルに基づいてプリディストーション関数を適合させるステップを更に含むことができる。
【】
次に、信号が送信されるごとに、送信機は、以下の処理を実行することができる。
・プリディストーション関数を信号に適用して、プリディストーションされた信号を取得する;
・次に、プリディストーションされた信号を送信する。
【】
このように、プリディストーションされた信号が送信対象の初期信号の代わりに送信されるため、受信機によって受信されるメッセージが、送信対象のメッセージに可能な限り類似したものになる。
【】
別の選択肢は、受信機において、モデルを使用して受信信号を補正することである。
【】
この趣旨で、モデルに基づいて補正関数を適合させることができる。
【】
受信機によって信号が受信されると、受信機は、この受信信号に補正関数を適用して、補正された受信信号を取得することができる。
【】
このように、受信機は、電気通信チャネルによって生じる歪みについて受信信号を補正し、送信機によって送信された信号に可能な限り類似した信号を取り出すことができる。
【】
この時点で、読み手は、送信機と受信機との間のシーケンスの交換について精通してきているはずであるので、図3に定義される表記を使用して本発明を例示する。ただし、図3の表記及び以下の式は、説明例として提供されているにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【】
第1のパイロットシーケンスの送信から生じる信号は、下付き文字1によって特定され、そのため、第1の線形フィルタLF31、すなわちhの出力、非線形関数NLF32、すなわちcの出力、及び受信シーケンスは、第1のパイロットシーケンスx1の送信から生じたときには、それぞれu1、y1及びw1で示される。
【】
第2のパイロットシーケンスの送信から生じる信号は、下付き文字2によって特定され、そのため、第1の線形フィルタLF31、すなわちhの出力、非線形関数NLF32、すなわちcの出力、及び受信シーケンスは、第2のパイロットシーケンスx2の送信から生じたときは、それぞれu2、y2及びw2で示される。
【】
第3のパイロットシーケンスの送信から生じる信号は、下付き文字3によって特定され、そのため、第1の線形フィルタLF31、すなわちhの出力、非線形関数NLF32、すなわちcの出力、及び受信シーケンスは、第3のパイロットシーケンスx3の送信から生じたときは、それぞれu3、y3及びw3で示される。
【】
予備ステップにおいて、第1のパイロットシーケンスx1が生成されるか、又はコードブックにおいて選択される。第1のパイロットシーケンスx1は、u1=x1*hが低振幅となるように、例えば低振幅を有するようなものを選ぶことができる。で説明したように、これは、増幅器の知識によって事前に決定することができる。さらに、x1は、hの関連スペクトルを特定するために広帯域シーケンスとして選択することもできる。
【】
一般に、パイロットシーケンスは、線形フィルタの帯域及び非線形関数に関して所望の効果を得るように信号の帯域及び振幅を制御するために等電力の正弦波の和として定義することができる。
【】
第1のパイロットシーケンスx1は、位相が信号の振幅又はu1の予測振幅を最小にするように定義することができ、これにより、所望の周波数帯域において信号を取得することができ、非線形関数からの非線形効果を回避するように振幅を定義することができる。
【】
x1は、例えば、N個のシヌソイドの和とすることができ、実信号の場合には、以下の式となり、
【数】
複素信号の場合には、以下の式となる。
【数】
【】
変数Tは、信号の周期であり、pkは、第kの周波数に対応する電力である。位相θkは、振幅が最小になるようなものを選ぶことができる。実信号の場合には、これは、例えば、M. Schroeder, "Synthesis of low-peak-factor signals and binary sequences with low autocorrelation", IEEE Trans. Inf. Theo., vol 16, no 1, Jan. 1970にあるように行うことができる。複素信号の場合には、これは、D. Chu, "Polyphase codes with good periodic correlation properties", IEEE Trans. Inf. Theo., vol. 18, no. 4, pp. 531-532, Jul. 1972に説明されているように行うことができる。位相θkは、以下の式として定義することができる。
【数】
【】
フィルタhが線形位相を有する場合には、u1の振幅はx1の振幅と同じである。
【】
正弦波の係数は、以下の式に示すように、ピーク平均比(PAR:Peak to Average Ratio)を最小にするように定義することもできる。
【数】
等電力の正弦波の和は以下の式で表される。
【数】
この式において、f1は、1/Tに等しい基本周波数であり、信号のPARは、以下の式によって定義される。
【数】
【】
M0は、状況に基づいて選択することができ、例えば、M0=M/2を用いて選択することができる。したがって、PARを最小にする正弦波のそれぞれのθkの値は、例えば遺伝的アルゴリズムを使用して求めることができる。
【】
別の可能な第1のパイロットシーケンスx1は、擬似ホワイトランダム(pseudo white random)パイロットシーケンスである。この場合に、u1はガウス信号のままであるので、信号u1の振幅は、フィルタの位相に対して敏感ではない。この場合、振幅は、フィルタの自己相関関数に依存する。
【】
次に、フィルタh及びgの畳み込み積である線形フィルタr=h*gが、例えば、ステップS42において特定される。
【】
図7は、フィルタh及びgの畳み込み積である線形フィルタrの一例を表している。
【】
横軸は、正規化された周波数(例えば、信号の周波数fとサンプリング周波数fsとの間の比)を表し、縦軸は、畳み込みフィルタの減衰を表している。
【】
図7は、第1のフィルタh(図3におけるフィルタLF31に対応する)がローパスフィルタであり、第2のフィルタg(図3におけるフィルタLF33に対応する)がハイパスフィルタであり、フィルタh及びgの畳み込みの結果得られる線形フィルタrがバンドパスフィルタであることを示している。
【】
以下でより詳細に説明するように、ステップS42は、この例においてフィルタrの帯域を求めることを可能にする。
【】
例えば、フィルタrの帯域のパラメータは、第1の受信シーケンスが、第1のパイロットシーケンスにその帯域を適用したものに等しいという仮定、すなわち、第1のパイロットシーケンスx1の振幅が低いため、非線形関数を線形関数によって近似することができるという仮定の下で求められる。
【】
そのような場合には、モデルが単一のフィルタとしてモデル化された少なくとも1つの線形フィルタとして近似することができるため、バンドフィルタのパラメータを推定することができ、したがって、バンドフィルタのパラメータは、推定することができ、第1のパイロットシーケンス及び第1の受信シーケンスから計算することができる。
【】
実際には、これは、最小二乗法を使用して以下の式を計算することによって行うことができる。
【数】
この式において、Lはフィルタrの長さであり、XT=[x1T,...,xNT]であり、xi=[x(i),...,x(i-L)]である。したがって、行列Xは、rのパラメータをxの全ての可能なシフトに対して最適化するために、xを1つずつ連続的にシフトしたものに対応する。同じ表記は、パイロットシーケンス及び受信シーケンスに基づくフィルタの他の推定にも利用される。
【】
フィルタrが推定されると、フィルタrの帯域内に存在するとともに、x1よりも高い振幅、例えば、関数cの非線形性による影響を受けるほど高い振幅を有するように、第2のパイロットシーケンスx2を選択又は生成することができる。その後、ステップS43において、第2のパイロットシーケンスx2は送信され、ステップS44が、第2のパイロットシーケンスx2及び対応する第2の受信シーケンスw2に基づいて実行される。
【】
この例において、ステップS44は、いくつかの仮定に依存している。
【】
第一に、非線形関数が、奇数次数項のみを有する多項式として定義されている。
【】
加えて、第2のパイロットシーケンスを多項式の奇数次数項のそれぞれでべき乗したものが、単一のシーケンスに連結される。
【】
第2のシーケンスは、2つの線形フィルタの帯域内の帯域制限シーケンスであるので、第1の線形フィルタLF31はシーケンスを変更しないと仮定される。したがって、ステップS44のために、この例では、u2=x2とする。u2は、x2と比較して短い遅延の影響を受ける場合がある。この遅延は、例えば、既定の遅延、又はモデルの誤差を最小にする遅延である。他方、第2の線形フィルタLF33は、非線形関数NLF32の非線形性のために、受信シーケンスw2に影響を与える場合がある。
【】
この仮定の下で、非線形関数及び第2の線形フィルタのカスケードのパラメータ、すなわち、ハンマーシュタインモデルのパラメータを求めることが可能であることを以下で実証する。
【】
ステップS44の仮定をより良く理解するために、次に図9を参照する。
【】
図9は、本発明のいくつかの実施形態における第2のパイロットシーケンス及び増幅器の出力における対応する歪み信号の一例である。横軸は、正規化された周波数(例えば、信号の周波数fとサンプリング周波数fsとの間の比)を表し、縦軸は、畳み込みフィルタの減衰を表している。
【】
図9は、
・曲線R9で、フィルタrの周波数応答;
・曲線G9で、フィルタgの周波数応答;
・曲線x9で、第2のパイロットシーケンスx2の周波数応答;
・曲線x39で、第2のパイロットシーケンスx2の3乗、すなわちx23の周波数応答;
を表している。
【】
第2のパイロットシーケンスx2がフィルタrの帯域内にあるとしても、非線形関数はスペクトル全体に拡散するx23等の信号を生成し、線形フィルタgによるフィルタリングを受けることがわかる。これが、目下論述している例において、非線形関数c及び線形フィルタgのカスケードのパラメータが最初に併せて求められる理由である。
【】
上述した表記に基づくと、受信機によって受信される信号w(n)は、以下のように書き換えることができる。
【数】
この式において、
・kは、非線形関数を定義する多項式の奇数次項を表す(k=1,3,5...);
・gk’(i)は、ハンマーシュタインモデル(すなわち、非線形関数NLF32及び第2の線形フィルタLF33のカスケード)を表し、g’=[g1’(0),...,g1’(L2-1),...,gK’(0),...,gK’(L2-1)]である。
【】
受信シーケンスは、以下のように、K個の信号の和として書き換えることができる(各信号は、gによってフィルタリングされる非線形関数の多項式次数のうちの1つに対応する):
【数】
【】
したがって、単一のフィルタのパラメータは、第2の受信シーケンスと、単一のシーケンスによって第2のパイロットシーケンスをフィルタリングすることによる第2の受信シーケンスの推定値との間の差を最小にするパラメータとして推定することができる。例えば、単一のフィルタは、
【数】
及び
【数】
として記述することができる。これらの式において、
【数】
であり、L2は、第2の線形フィルタLF33の長さである。ハンマーシュタインモデルの係数は、したがって、最小二乗法を使用して以下の式として推定することができる。
【数】
【】
いくつかの場合において、
【数】
の精度は、
【数】
の精度よりも良好である。そのような場合において、フィルタの推定の精度を高める1つの選択肢は、
【数】
を、
【数】
から推定された値に置き換えることである。これは、比γ(1)’=γ(1)/γ(3)を推定することによって行うことができる。
【】
この趣旨で、第2の受信シーケンスwは、バンドパスフィルタrによって最初にフィルタリングされ、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスw’が得られる。
【数】
【】
その後、第2のパイロットシーケンスに、単一のフィルタの3次係数の推定値
【数】
及びバンドパスフィルタを適用して、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する1次項の寄与度を以下の式によって推定することが可能である。
【数】
【】
第2のパイロットシーケンスの3乗(cubic power)に、単一のフィルタの3次係数の推定値及びバンドパスフィルタを適用して、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスに対する3次項の寄与度を以下の式によって推定することも可能である。
【数】
【】
したがって、モデルの出力は、以下の式として推定することができる。
【数】
この式は、以下の式として書き換えることができる。
【数】
【】
1次項に関連する単一のフィルタのパラメータを、バンドフィルタリングされた第2の受信シーケンスと、1次項の推定された寄与度と、3次項の寄与度の推定とに基づいて行われた1次項に関連する単一のフィルタのパラメータの推定値に置き換えることが更に可能である。
【】
これは、例えば、係数γ(1)’を以下の式として最初に推定することによって行うことができる。
【数】
【】
その後、
【数】
の値を、
【数】
に基づく推定値に、以下の式によって置き換える。
【数】
【】
この推定値は、3次項に関連する単一のフィルタのパラメータが、バンドパスフィルタの帯域の外部にエネルギーを有する信号を生成するので、より正確なものとすることができるとともに、その結果、第2の線形フィルタによって定義されるハイパスフィルタに対する感度がより高いものとすることができる。
【】
バンドパスフィルタの帯域内の信号に対してこれを行うことによって、信号のエネルギーのほとんどが集中している箇所にこの操作を行うことが可能になる。
【】
図8は、本発明のいくつかの実施形態に従って増幅器をモデル化する非線形関数の複数の推定値を表している。
【】
で説明したように、本発明のいくつかの実施形態において、非線形関数は、奇数次数項のみを有する多項式関数であり、非線形関数は、主として、電気通信チャネルにおける増幅器の挙動をモデル化することを目的とする。非線形関数は、特に3次多項式又は5次多項式とすることができる。したがって、推定値の精度は、多項式の最大次数に応じて異なるが、非線形関数への入力である信号uの最大振幅にも応じて異なる。
【】
図8は、以下の曲線を表している。
・|u|の最大振幅が20である、3次モデルである非線形関数の推定値を表す曲線Mod81;
・|u|の最大振幅が16である、3次モデルである非線形関数の推定値を表す曲線Mod82;
・|u|の最大振幅が25である、5次モデルである非線形関数の推定値を表す曲線Mod83;
・|u|の最大振幅が20である、5次モデルである非線形関数の推定値を表す曲線Mod84;
・増幅器の理想的なRappモデルを表す曲線Mod85。
【】
推定値の精度は、多項式の次数及び|u|の最大振幅の双方に依存することがわかる。例えば、5次多項式は、一般に、3次多項式よりも正確であると考えられるが、適切にトレーニングするにははるかに多くのデータを必要とする。したがって、多くの場合において、3次多項式は、5次多項式よりも良好な結果を提供する。この所見は、より高次の多項式に一般化することができる。
【】
この例において、3次多項式は、|u|の最大振幅が16であるときに増幅器モデルの良好な推定値を提供する一方、5次多項式は、|u|の最大振幅が25であるときに増幅器モデルのはるかに良好な推定値を提供する。
【】
どの多項式次数が最も正確な推定値を提供するのかを事前に判断することが常に可能であるとは限らない。
【】
したがって、最も正確な推定値を取得するために、非線形関数NLF32及び第2の線形フィルタLF33のカスケードを求めるステップS44を、奇数次数項の数が異なる複数の多項式にそれぞれ対応する複数の候補非線形関数について繰り返すことができる。その後、複数の候補非線形関数の中で誤差関数を最小にする非線形関数を選択することができる。例えば、カスケードをパラメータ化するのに最小二乗誤差法が使用される場合、最小二乗法の出力において最小誤差をもたらす非線形関数を選択することができる。
【】
これによって、事前の仮定がなくても最適な多項式次数を選択することが可能になる。
【】
この決定のために、|u|の最大振幅は、実際にはフィルタrの帯域内にある第2のパイロットシーケンスの|x|の最大振幅として近似され、送信機によって送信される信号の予想最大振幅に等しい。
【】
したがって、最適な多項式の選択は、送信機による送信対象の全ての予見可能な信号の最大強度を含む振幅範囲において行われる。
【】
この例において、ステップS42において、バンドパスフィルタr(第1の線形フィルタLF31、すなわちh、及び第2の線形フィルタLF33、すなわちgの畳み込みである)のパラメータが求められ、ステップS44において、非線形関数NLF32、すなわちc、及び第2の線形フィルタLF33、すなわちgのカスケードのパラメータが求められると、ステップS45において、第3のパイロットシーケンスx3を送信することができ、ステップS46を実行して、第3のパイロットシーケンスx3及び第3の受信シーケンスw3に基づいて第1の線形フィルタLF31のパラメータ及び第2の線形フィルタLF33のパラメータを求めることができる。
【】
で説明したように、第3のパイロットシーケンスx3は、フィルタrの帯域内に含まれ、非線形性を生じさせない程度に低い振幅を有するものである。例えば、x3は、x2と同じスペクトル及びx1と同じ振幅を有するように決定することができる。
【】
この例では、ステップS46は、非線形関数の1次係数の逆数に等しいスケーリング係数α、すなわちα=1/γ(1)を求める第1のサブステップを含む。
【】
x3は、非線形性を生じさせない程度に低い振幅を有するので、以下のように、カスケードの1次のみを考慮することができる:
【数】
したがって、αは、以下の式として推定することができる。
【数】
【】
スケーリング係数αが判明すると、この例では、ステップS46は、第2の線形フィルタのパラメータ
【数】
を、α及びカスケードの既知のパラメータ
【数】
に基づいて、例えば、
【数】
によって求める第2のサブステップを含む。
【】
その後、この例では、ステップS46は、少なくとも1つの線形フィルタの帯域のパラメータ及び第2の線形フィルタのパラメータから第1の線形フィルタのパラメータを求める第3のサブステップを含む。言い換えると、フィルタhが、r及びgの値から推定される。
【】
この趣旨で、rは、以下の式としての行列演算を介してg及びhの関数として表すことができる。
【数】
この式において、Gは、行列
【数】
である。
【】
その後、hは、最小二乗アルゴリズムを介して以下の式として推定される。
【数】
【】
その後、
【数】
の値は、γ(1)、γ(3)等の値及び
【数】
等の値から直接取得することができる。
【】
この例は、本発明の方法によって、ハンマーシュタインモデル全体のパラメータの値を取得することができることを実証している。ただし、の詳細な例は、非限定的な例として提供されているにすぎず、例えば、必要とされる計算がより簡単であるハンマーシュタインモデル又はウィナーモデル等の他の種類のモデルにも適合させることができる。
【】
例えば、モデルがウィナーモデルである場合には、第2のパイロットシーケンスによって、非線形関数のパラメータを直接取得することが可能になるので、第3のパイロットシーケンスx3を使用する必要はない。
【】
次に図5を参照する。
【】
図5は、本発明のいくつかの実施形態における方法の第2の例を表している。
【】
方法P5は、方法P4の全てのステップを含む。
【】
で説明したように、第1の受信シーケンスw1が非線形関数による影響を受けないことが非常に重要である。
【】
これは、低振幅の第1のパイロットシーケンスx1を提供することによって事前に確認することができる。
【】
第1の受信シーケンスw1が非線形関数による影響を受けないことを更に保証するために、方法P5は、方法P4のステップに加えて、以下のステップを含む。
・ステップS42の出力において、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けるか否かを確認するステップS51;
・第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受ける場合には:
・第1のパイロットシーケンスを、その振幅を低減するように変更するステップS52;
・ステップS41に戻ること;
・第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けない場合には:ステップS43へ進む。
【】
言い換えると、第1の受信シーケンスw1が非線形関数による影響を受けることが検出された場合には、第1の受信シーケンスw1が非線形関数による影響をもはや受けなくなるまで、第1のパイロットシーケンスx1の振幅が低減され、更新されたパイロットシーケンスが再び送信される。
【】
これによって、最初の処理シーケンスが、非線形関数の非線形性を回避するように十分低い振幅を有し、それに伴って、バンドパスフィルタがローパスフィルタ及びハイパスフィルタの畳み込みを正確に表すことが確保される。
【】
ステップS51における確認は、
・第1の受信シーケンスw1と、第1のパイロットシーケンスx1に少なくとも1つのフィルタの推定値を適用したものとの間の差のノルムを計算すること;
・ノルムがチャネルの予想雑音よりも高い場合に、第1の受信シーケンスが非線形関数による影響を受けることを出力すること;
によって行うことができる。
【】
例えば、モデルがモデルMod3である場合に、ステップS51は、以下の式が成立するか否かを確認することによって実行することができる。
【数】
この式において、
・値
【数】
は、ステップS42の出力におけるバンドパスフィルタの推定値である;
・εは、チャネルの予想雑音の規模の量である。
【】
言い換えると、w1が非線形関数による影響を受けないように、x1が十分低い振幅を有する場合、w1は、
【数】
に実質的に等しく、式(27)に準拠したものとなる。
【】
本明細書で述べる、方法、送信機、受信機及びシステムに限定されず、それらは例に過ぎない。本発明は、当業者が、本文書を読むと想像することになる全ての代替物を包含する。
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【国際調査報告】

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