(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】プロピレン-エチレンコポリマー及び分散剤の水性分散体
(51)【国際特許分類】
【FI】
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン、ハンゼ
(72)【発明者】
【氏名】マロツキー、デイビッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】サリバン、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】カテパリ、ハリ
(72)【発明者】
【氏名】ドラムライト、レイ イー.
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、ジョナサン エフ.
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
4J002BB051
4J002BB082
4J002GH00
4J002GK04
4J002HA06
(57)【要約】
本発明は、水と、40℃~85℃の範囲の融点を有するプロピレン-エチレンコポリマーと、190℃で50~2000g/10分の範囲のメルトフローインデックス及び115~140の範囲の酸価を有する分散剤とを含む組成物である。本発明の組成物は、紙包装用途のためのコーティングに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項】
組成物の重量に基づいて、40~70重量パーセントの水と、25~55重量パーセントの、40℃~85℃の範囲の融点を有するプロピレン-エチレンコポリマー樹脂であって、プロピレン単位の重量パーセントがエチレン単位の重量パーセントを超える、プロピレン-エチレンコポリマー樹脂と、5~20重量パーセントの、190℃及び2.16kgの負荷質量で50g/10分~2000g/10分の範囲のメルトフローインデックス、及び110~140の範囲の酸価を有する分散剤と、を含み、前記分散剤が、エチレン-アクリル酸コポリマー又はエチレン-メタクリル酸コポリマーである、組成物。
【請求項】
前記組成物の重量に基づいて、水の濃度が、45~55重量パーセントの範囲であり、前記プロピレン-エチレンコポリマーの濃度が3、0~50重量パーセントの範囲であり、前記分散剤の濃度が、5~15重量パーセントの範囲であり、前記プロピレン-エチレンコポリマーが、50℃~85℃の範囲の融点を有し、前記分散剤が、120~130の範囲の酸価を有し、前記プロピレン-エチレンコポリマーが、230℃の温度及び2.16kgの負荷質量で2g/10分~50g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有し、前記分散剤が、50g/分~500g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項】
前記プロピレン-エチレンコポリマーが、55℃~85℃の範囲の融点を有し、前記分散剤が、120~125の範囲の酸価を有し、前記プロピレン-エチレンコポリマーが、5g/分~25g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有し、前記分散剤が、50g/分~300g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項】
前記分散剤が、エチレン-メタクリル酸コポリマーであり、前記分散剤が、200g/分~300g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有する、請求項3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本発明は、プロピレンとエチレンとのコポリマーの水性分散体と、酸コポリマー分散剤とを含む組成物に関する。本発明の組成物は、紙コーティング用途において高いヒートシール/ホットタック強度特性を提供する。
【】
持続可能な包装に対する消費者の要求は、紙包装における興味及び成長を刺激し、これは、シーラント剤コーティングが、破損モードとして基材破損(すなわち、紙繊維の引き裂き)を伴うヒートシール特性を提供することを必要とする。ポリエチレンコーティングは、所望の破壊モードを与えることが知られているが、それらは、冷却する前のコーティングのシール強度の尺度である不十分なホットタック強度を示す。ホットタック強度は、高速縦型充填形成シール(high-speed vertical-fill-form-seal;VFFS)包装ラインにおいて、新たに創出されたシールでの破壊を防止するために重要である。様々な包装プロセスに許容されるホットタック強度は、10N/インチを超え、これはポリエチレンコーティングではほとんど達成できない。したがって、紙包装の分野において、基材の破損及び優れたホットタック強度を与える紙用コーティングを発見することは、有利である。
【発明の概要】
【】
本発明は、一態様において、組成物の重量に基づいて、40~70重量パーセントの水と、25~55重量パーセントの、40℃~85℃の範囲の融点を有するプロピレン-エチレンコポリマー樹脂であって、プロピレン単位の重量パーセントがエチレン単位の重量パーセントを超える、プロピレン-エチレンコポリマー樹脂と、5~20重量パーセントの、190℃及び2.16kgの負荷質量で50g/10分~2000g/10分の範囲のメルトフローインデックス、及び110~140の範囲の酸価を有する分散剤と、を含み、分散剤が、エチレン-アクリル酸コポリマー又はエチレン-メタクリル酸コポリマーである、組成物を提供することで、当該技術分野におけるニーズに対処する。本発明の組成物は、基材破壊及び優れたホットタック強度を示す紙コーティングとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【】
本発明は、組成物の重量に基づいて、40~70重量パーセントの水と、25~55重量パーセントの、40℃~85℃の範囲の融点を有するプロピレン-エチレンコポリマー樹脂であって、プロピレン単位の重量パーセントがエチレン単位の重量パーセントを超える、プロピレン-エチレンコポリマー樹脂と、5~20重量パーセントの、190℃及び2.16kgの負荷質量で50g/10分~2000g/10分の範囲のメルトフローインデックス、及び110~140の範囲の酸価を有する分散剤と、を含み、分散剤が、エチレン-アクリル酸コポリマー又はエチレン-メタクリル酸コポリマーである、組成物である。
【】
重量でエチレン単位よりもプロピレン単位を多く有する(すなわち、プロピレンから生じる単位の重量パーセントがエチレンから生じる単位の重量パーセントよりも大きい)プロピレン-エチレンコポリマー樹脂(PP-PE樹脂)は、40℃から、又は50℃から、又は55℃から、85℃までの範囲の融点を有する。組成物は、組成物の重量に基づいて、40重量パーセント又は45重量パーセントから70重量パーセント又は55重量パーセントまでの水と、25重量パーセント又は30重量パーセントから55重量パーセント又は50重量パーセントまでのPP-PE樹脂と、5重量パーセントから、20重量パーセント又は15重量パーセントまでの分散剤と、を含む。分散剤は、110又は120から、140又は130又は125までの範囲の酸価を有する。本発明の組成物は、以下に記載されるような二軸スクリュー押出機プロセスを用いて有利に調製される。
【】
組成物は、紙のコーティングとして有用であり、これは、組成物を紙基材上にドローダウンし、その後、典型的には70℃又は100℃から190℃までの範囲の温度でコーティングを乾燥させ、2g/m2又は5g/m2から、15g/m2まで10g/m2までの範囲の乾燥コーティング重量を有するコーティングされた紙物品を形成することによって調製することができる。コーティングされた紙物品は、基材破損の好ましい破損モードを示すので、包装産業において特に有用である。
【実施例】
【】
ポリオレフィン分散体の水性分散体を調製するための一般的手順
本発明の実施例及び比較例のための水性分散体を、以下の一般的な手順によって調製した。
【】
PP-PE樹脂及び分散剤を、別々に制御された速度のフィーダーを用いて直径25mmの二軸スクリュー押出機に供給した。樹脂の流量は64.3g/分であり、分散剤の流量は11.4g/分であった。EMAAは、最初に部分的に中和して、50~100の範囲のメルトフローインデックスを達成したが、EAAは最初に中和しなかった。コポリマー及び分散剤を押し出し、溶融させて、中間体の液体溶融材料を形成した。
【】
PP-PE樹脂は、好ましくは、230℃及び2.16kgの負荷質量で2又は5g/10分から、50又は25g/10分までの範囲のメルトフローインデックス(MFI)を有し、分散剤は、好ましくは、190℃及び2.16kgの負荷質量で、100又は200g/10分から500又は300g/10分までの範囲のMFIを有する。定義上、分散剤のMFIは、その中和されていない状態にある。MFIは、ISO 1133-1によって測定される。
【】
押出機の温度プロファイルを150℃まで上昇させ、その後、水とKOH(25重量%水溶液)との混合物を押出機に供給し、450rpmの押出機速度でポリマー溶融物と混合して、高い内部相比のエマルションを形成し、85%の中和度を得て、その後、追加の水を押出機に供給して、0.5μm~2μmの範囲の体積平均粒径を有する樹脂及び分散剤の水性分散体を形成した。押出機出口において、背圧レギュレータを使用して、一般に2MPa~4MPaの範囲内に、押出機バレル内部の圧力を十分に調製し、蒸気形成を低減した。
【】
水性分散体を押出機から出し、最初に200μmのフィルターで濾過した。分散体の固形分は、赤外線固体分析器を使用して測定し、ポリマー粒子の体積平均粒径は、COULTER LS-230粒度分析器(Beckman Coulter Corporation,Fullerton,CA)を使用して測定した。表1は、組成物を製造するために使用される種々の成分の流量を示す。H2Oi は、mL/minでの初期水の流量を指し、H2Ofは、mL/分での追加の水の流量を指し、PSは、体積平均粒径を指す。
【】
【】
PP-PE樹脂の融点の決定
PP-PE樹脂の融点は、自動サンプラーを備えたTA-100示差走査熱量計を用いて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。約10mgの樹脂をアルミニウム製の密閉パンに添加し、各測定のためにサンプラーに添加した。試料を25℃で平衡化させ、10℃/分の速度で150℃まで上昇させた。温度に対する熱流のデータ曲線を生成し、TA Instruments Universal Analysis 2000ソフトウェア(バージョン4.7A)によって分析した。DSC曲線の融解ピークは、固体から液体への相転移に対応する吸熱ピークとして同定し、融点は、融解ピーク高さの最大値に対応する温度によって決定した。
【】
コーティングされた紙試料の調製及びヒートシール試験法の説明
コポリマー及び分散剤の水性分散体を、ドローダウンバーを用いてUPMグラシン紙上に塗布し、その後、150℃で2分間乾燥させて、8g/m2のコーティング層を生成した。2枚のコーティングされた紙片を1インチ幅のストリップに切断し、Labthink HST-H3 Heat Seal testerを用いて、以下の条件を用いて、コーティング層が互いに面するようにヒートシールした。
【】
【】
ヒートシールした試料を1週間エージングした後、手動で引き離した。ヒートシール結果は、破損モードに基づいて報告した。
【】
【】
酸価の決定
EMAA試料を120℃でトリクロロベンゼンに溶解し、90°パルス、逆ゲート1Hデカップリング、200ppmのスペクトル幅、83ppmに設定したスペクトル中心、1.1秒の取得時間、6秒の緩和遅延、及びデータ平均化のための1024スキャン)を用いて、13C NMRスペクトルを得た。化学シフトは、ポリエチレン(最大)ピークを30.1ppmに参照することによって設定した。生データを指数乗算し、フーリエ変換し、位相合わせし、ベースライン補正し、MNOVAソフトウェアを使用して積分した。175~190ppmのシフトでのMAAモノマーの構造単位に起因するカルボニル共鳴を「a」として積分し、エチレンモノマーの構造単位に起因する0~60ppmの高磁場領域における全ての共鳴、並びにMAAモノマーの構造単位に起因するCH3、CH2、及び四級炭素を「b」として積分した。EMAAの酸価は、以下に示す式によって決定した。
【】
【】
EAA試料を同じ方法で調製し、以下の式2において、「a」が175~190ppmのシフトでAAモノマーの構造ユニットに起因するカルボニル共鳴を指し、「b」がエチレンモノマーの構造ユニットに起因する0~60ppmの高磁場領域における全ての共鳴、並びにAAモノマーの構造ユニットに起因するCH2及び四級炭素を指すことを除いて、のEMAAサンプルについて記載されるような同じ条件下で、13C NMRスペクトルを得た。EAAの酸価は、式2によって決定した。
【】
【】
ホットタック性能測定
コーティングされた紙試料のホットタック性能を、ASTM F1921にしたがって、Enepay Magma 3-station Hot Tack&Heat Seal Testerによって測定した。コーティングされた紙試料を1インチ×12インチのストリップに切断し、コーティングされた側を機器のドアに向けて装填した。機器の条件は以下のようにプログラムした。
【】
【】
特定のシールジョー温度での強度対剥離距離の剥離曲線を生成し、ホットタック強度を剥離曲線のピーク最大値で報告した。ホットタック強度は、8つの異なるシールジョー温度で測定し、上側ジョー及び下側ジョーの両方を60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、120℃、140℃、及び160℃で加熱し、ホットタック強度対シールジョー温度曲線を作成した。曲線のピーク最大値を、各試料のホットタックピーク強度として報告した。
【】
実施例及び比較例について、分散剤に対するPP-PE樹脂の重量比は85:15であった。表2中、PP-PE m.p.は、各PP-PE樹脂の融点を指し、ホットタックは、ホットタックピーク強度を指す。
【】
【】
結果は、許容できるホットタック強度を維持しながら、所望のレベルの繊維引き裂き破損を達成する際の酸価及び樹脂融点の臨界性を示す。
【国際調査報告】