特表2026-533608IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】共振空洞の電磁モード励起による誘電加熱
(51)【国際特許分類】
   
   
   
【FI】
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(31)【優先権主張番号】AM20230081
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ディットマン リアンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フローレス アナ イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ホヴセピアン フライル
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
3K090AA02
3K090AB20
3K090BA03
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
4B162AD28
(57)【要約】
エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、エアロゾル形成基体を取り外し可能に受容するための共振空洞と、無線周波数(RF)電磁波を発生するための電磁波発生器と、電磁波発生器に連結された制御電子回路とを備える。電磁波発生器は、制御電子回路の制御下でRF電磁波を共振空洞に伝達するために、共振空洞内の一つ以上の位置に連結され、共振空洞の異なる所定の電磁モードを選択的に励起する。
【選択図】図2a
【特許請求の範囲】
【請求項】
エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、前記装置が、
前記エアロゾル形成基体を受容するための共振空洞と、
無線周波数(RF)電磁波を発生させるための電磁波発生器と、
前記電磁波発生器に連結された制御電子回路と、を備え、
前記電磁波発生器が、前記制御電子回路の制御下で、前記RF電磁波を前記共振空洞に伝達するために、前記共振空洞内の一つ以上の位置に連結され、前記共振空洞の異なる所定の電磁モードを選択的に励起し、前記所定の電磁モードの各々が、前記エアロゾル形成基体を加熱するために、前記共振空洞内に対応するRF電波放射場を発生することに関連付けられている、エアロゾル発生装置。
【請求項】
前記所定の電磁モードが、第一の電磁モードおよび第二の電磁モードを含み、前記第一および第二の電磁モードが共通の共振周波数を有し、前記電磁波発生器が、前記共通の共振周波数で前記RF電磁波を発生させるように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記制御電子回路が、前記電磁波発生器を制御して、第一の所定の周波数で前記RF電磁波を発生させることと、第二の所定の周波数で前記RF電磁波を発生させることとを切り替えるように構成され、前記第一の所定の周波数が前記第二の所定の周波数とは異なり、前記第一および第二の所定の周波数が、前記所定の電磁モードのそれぞれの第一および第二の周波数の励起に関連する、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記第一の所定の周波数が、前記第一の所定の電磁モードに関連付けられた第一の共振周波数であり、前記第二の所定の周波数が、前記第二の所定の電磁モードに関連付けられた第二の共振周波数である、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記第一の共振周波数と前記第二の共振周波数との比が、0.75~1.33、または0.80~1.25、または0.85~1.18、または0.90~1.11、または0.95~1.05である、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記制御電子回路が、使用セッションにわたって、前記所定の電磁モードの異なるものまたは組み合わせを励起するように切り替えるように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記制御電子回路が、前記所定の電磁モードの異なるものまたは組み合わせを励起するように切り替えて、目標温度を維持するか、または前記使用セッションの目標温度プロファイルに従うように構成され、随意に、前記目標温度および前記目標温度プロファイルのうちの一方または両方が、前記共振空洞内に受容された時に、前記エアロゾル形成基体の目標温度と関連付けられる、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記電磁波発生器が、前記共振空洞内の複数の位置に連結され、前記制御電子回路が、前記RF電磁波を異なる位置または前記複数の位置の組み合わせに伝達するように切り替えるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記電磁波発生器が、前記共振空洞内の複数の位置に連結され、前記制御電子回路が、前記RF電磁波を前記複数の位置のうちの少なくとも第一および第二の位置に同時に伝達し、それによって、前記共振空洞内に少なくとも対応する第一および第二のRF電波放射場を同時に発生するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記複数の位置のうちの前記少なくとも第一および第二の位置が、前記対応する第一および第二のRF電波放射場が前記共振空洞の長さの少なくとも一部に沿って軸方向に離間するように、互いに対して配設される、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記複数の位置のうちの前記第一および第二の位置が、前記共振空洞の前記所定の電磁モードのうちの共通のものと関連付けられる、請求項9または請求項10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記電磁波発生器と前記共振空洞内の前記一つ以上の位置との間の前記連結が、
前記一つ以上の位置のうちの第一の位置で前記共振空洞内に少なくとも部分的に配置され、前記共振空洞の前記所定の電磁モードのうちの第二の位置と相互に排他的に、またはそれより優先的に、前記共振空洞の前記所定の電磁モードのうちの第一の位置を励起するように構成された第一のカプラー配設と、
前記一つ以上の位置のうちの第二の位置で前記共振空洞内に少なくとも部分的に配置され、前記共振空洞の前記第一の所定の電磁モードと相互に排他的に、またはそれより優先して、前記共振空洞の前記第二の所定の電磁モードを励起するように構成された、第二のカプラー配設と、を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記第一のカプラー配設が、前記共振空洞の前記第一の所定の電磁モードを励起する時に、前記共振空洞の長さの少なくとも一部に沿って概して均一なRF電波放射場を画定するように構成される、請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記第二のカプラー配設が、前記共振空洞の前記第二の所定の電磁モードを励起する時に、前記共振空洞の長軸方向軸を少なくとも部分的に包囲する少なくとも一つの円周RF電波放射場を画定するように構成される、請求項12または請求項13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項】
前記電磁波発生器と前記共振空洞内の前記一つ以上の位置との間の前記連結が、第一の位置または配向と第二の位置または配向との間で変換可能なカプラー配設を備え、
前記第一の位置または配向において、前記カプラー配設が、前記共振空洞の前記所定の電磁モードのうちの第二のものと相互に排他的に、またはそれより優先して、前記共振空洞の前記所定の電磁モードのうちの第一のものを励起するように動作可能であり、
前記第二の位置または配向において、前記カプラー配設が、前記共振空洞の前記第一の電磁モードと相互に排他的に、またはそれより優先して、前記共振空洞の前記第二の電磁モードを励起するように動作可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱してそこからエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置と、対応するエアロゾル発生装置およびエアロゾルを発生するための加熱され得るエアロゾル発生物品を有するエアロゾル送達システムと
【背景技術】
【】
エアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生させる、多くの異なるタイプの個人用気化器および加熱非燃焼式製品が利用可能である。これらのシステムの一部は液体組成物を加熱し、その他は固体たばこ混合物を加熱する。ほぼすべての利用可能なシステムは、発熱体からエアロゾル形成基体への熱の伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。最も一般的には、これは電気抵抗性のある発熱体に電流を流し、発熱体のジュール加熱を生じさせることによって達成される。誘導加熱システムも提案されており、ジュール加熱は、サセプタ発熱体に誘導された渦電流の結果として起こる。
【】
これらのシステムの一つの問題は、エアロゾル形成基体の不均一な加熱を生じさせ得ることである。例えば、発熱体に最も近いエアロゾル形成基体の部分は、発熱体からより離れたエアロゾル形成基体の部分よりも速く、またはより高温に加熱される。この問題をある程度軽減するために、エアロゾル発生装置内に位置付けられたエアロゾル形成基体に熱を与えるように、無線周波数(RF)電放射場伝播および吸収を使用することが提案されてきた。エアロゾル形成基体の加熱を誘発するために、誘電体により吸収されたRF電放射場を使用することは、発熱体と基体との間の直接接触を必要とせずに、誘電特性を有する基体を概して均一に加熱するという利点を提供する。しかしながら、RF電放射場を使用して基体を加熱する時に、エアロゾル形成基体が早期に枯渇する可能性があり、局所的に不均一な熱が生成される。したがって、RF電放射場を使用してエアロゾル形成基体を加熱するように適合された改善されたエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【】
本開示の一態様によると、エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、エアロゾル形成基体を取り外し可能に受容するための共振空洞と、無線周波数(RF)電磁波を発生するための電磁波発生器と、電磁波発生器に連結された制御電子回路とを備えてもよい。電磁波発生器は、制御電子回路の制御下でRF電磁波を共振空洞に伝達して、共振空洞の異なる所定の電磁モードを選択的に励起するために、共振空洞内の一つ以上の位置に連結されてもよい。
【】
共振空洞の異なる所定の電磁モードの選択的な励起は、経時的に強度、形状、および/または位置を変化させることができる共振空洞内に放射場を発生させることを可能にしてもよく、それによって、空洞内に受容されたエアロゾル形成基体に対し放射場から生じる加熱方式に対応した変化をもたらす。例えば、所定の電磁モードの異なる一つまたは組み合わせは、エアロゾル発生装置の使用セッションにわたって異なる点で励起されてもよい。これらの異なる点は、使用セッションの目標温度プロファイルの対応する点と関連付けられてもよい。目標温度プロファイルは、空洞内に発生した放射場に曝露された時に、共振空洞内に受容されたエアロゾル形成基体のためのものであってもよい。
【】
RF電磁波は、一つ以上のカプラーによって共振空洞内に導入されてもよい。各カプラーは、電磁波発生器に連結され、電磁波発生器によって発生された電磁波を空洞内に導入するように、共振空洞内またはそれに隣接して位置付けられてもよい。一例として、および限定されるものではないが、カプラーは、少なくとも一つの静電容量ピンカプラー、少なくとも一つの誘導ループカプラー、少なくとも一つの導波管、少なくとも一つのマイクロストリップ、少なくとも一つのストリップライン、またはそれらの組み合わせを含み得る。共振空洞内の各カプラーの位置付けは、空洞のどの電磁モードが励起されるかに影響を与え得る。用いられるカプラーのタイプおよび位置は、それぞれのカプラーによって空洞内に導入される電磁波によって共振空洞内に生成される電界線および磁界線に影響を与えることになる。
【】
所定の電磁モードの各々は、エアロゾル形成基体の加熱のために共振空洞内に対応するRF電波放射場を発生することに関連することが好ましい。
【】
有利なことに、所定の電磁モードは、第一の電磁モードおよび第二の電磁モードを含む。第一および第二の電磁モードは、共通の共振周波数を有することが好ましい。電磁波発生器は、共通の共振周波数でRF電磁波を発生するように構成されていることが好ましい。第一および第二の電磁モードが共通の共振周波数を有する状態は、「モード縮退」の状態と呼ばれる。同じ共振周波数を有する第一および第二の電磁モードを有することは、第一および第二の電磁モードの異なる一つを起動するために、電磁波発生器の周波数出力を変更する必要性を回避する。共通の共振周波数を共有する第一および第二の電磁モードの別の利点は、電磁波発生器によって発生したRF電磁波をその共通の共振周波数で使用して、第一および第二の電磁モードの同時励起を可能にし得ることである。例えば、エアロゾル発生装置は、共振空洞内の第一の位置に配置された第一のカプラーと、共振空洞内の第二の位置に配置された第二のカプラーとを備えてもよく、第一のカプラーは、第一の電磁モードを励起するように構成され、第二のカプラーは、各々が共通の共振周波数でRF電磁波を供給された時に、第二の電磁モードを励起するように構成される。一例として、第一および第二の電磁モードの同時励起は、エアロゾル発生装置のための強化されたまたはブーストレベルの加熱モードと関連付けられてもよい。
【】
制御電子回路は、電磁波発生器を制御して、RF電磁波を第一の所定の周波数で発生することと、RF電磁波を第二の所定の周波数で発生することとを切り替えるように構成されることが好ましい。第一の所定の周波数は、第二の所定の周波数とは異なる。第一および第二の所定の周波数は、所定の電磁モードのそれぞれ第一および第二の周波数の励起と関連付けられ得る。第一の所定の周波数は、第一の所定の電磁モードに関連付けられた第一の共振周波数であってもよい。第二の所定の周波数は、第二の所定の電磁モードに関連付けられた第二の共振周波数であってもよい。
【】
第一の共振周波数および第二の共振周波数は、第一の所定の電磁モードと第二の所定の電磁モードの異なるモードを励起するように切り替える際に、電磁波発生器に必要な周波数調整の大きさを低減するため、相互に密接に間隙を介していることが好ましい。
【】
第一の共振周波数と第二の共振周波数との比は、0.75~1.33、または0.80~1.25、または0.85~1.18、または0.90~1.11、または0.95~1.05であることが好ましい。
【】
有利なことに、第一の共振周波数および第二の共振周波数は、電磁波発生器の動作周波数範囲内にある。好都合なことに、電磁波発生器は、250MHz以下、または150MHz以下、または100MHz以下、または80MHz以下、または60MHz以下の帯域幅を有する。電磁波発生器は、1GHz~5GHzの範囲の周波数値、好ましくは2.45GHzの周波数値を中心にする帯域幅にわたってRF電磁波を発生させるように動作可能であってもよい。
【】
所定の電磁モードは、横断方向電気モードおよび横断方向磁気モードを含むことが好ましい。
【】
制御電子回路は、使用セッションにわたって、所定の電磁モードのうち異なるものまたは組み合わせを励起するように切り替えるように構成されることが好ましい。
【】
有利なことに、制御電子回路は、所定の電磁モードの異なるものまたは組み合わせを励起するように切り替えて、使用セッションの目標温度を維持するか、または目標温度プロファイルに従うように構成される。目標温度および目標温度プロファイルの一方または両方は、共振空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の目標温度と関連付けられてもよい。一例として、目標温度および/または目標温度プロファイルは、制御電子回路の一部を形成するまたは制御電子回路にアクセス可能なメモリモジュールに保存されてもよい。
【】
電磁波発生器は、共振空洞内の複数の位置に連結されてもよい。
【】
一実施例では、制御電子回路は、RF電磁波を複数の位置の異なる位置または組み合わせ位置に伝達するように切り替えるように構成されてもよい。位置の各々は、所定の電磁モードのうちの異なるものと関連付けられてもよい。
【】
第二の実施例では、制御電子回路は、RF電磁波を複数の位置のうちの少なくとも第一および第二の位置に同時に伝達し、それによって共振空洞内に少なくとも対応する第一および第二のRF電波放射場を同時に生成するように構成され得る。複数の位置のうちの少なくとも第一および第二の位置は、対応する第一および第二のRF電波放射場が共振空洞の長さの少なくとも一部に沿って軸方向に離間するように、互いに対して配設されてもよい。複数の位置のうちの第一および第二の位置は、共振空洞の所定の電磁モードのうちの共通の一つと関連付けられてもよい。
【】
電磁波発生器と共振空洞内の一つ以上の位置との間の連結は、第一のカプラー配設および第二のカプラー配設を含むことが好ましい。第一および第二のカプラー配設は、一つ以上の位置のそれぞれ第一および第二の位置で、共振空洞内に少なくとも部分的に配置されてもよい。第一のカプラー配設は、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第二のモードと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第一のモードを励起するように構成されていることが好ましい。第二のカプラー配設は、共振空洞の第一の所定の電磁モードと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の第二の所定の電磁モードを励起するように構成されていることが好ましい。このようにして、第一および第二のカプラー配設の各々は、所定の電磁モードの異なるものを励起することを提供する。
【】
共振空洞の所定の電磁モードのうちの一つを、所定の電磁モードのうちの別の一つに「それより優先して」励起することを指す場合、これは、以下のいずれかの状態を指す。i)所定の電磁モードのうちの一つが、他の所定の電磁モードが励起されることなく励起される状態、またはii)両方の所定の電磁モードが励起されるが、一方の所定の電磁モードの一つの励起から生じるRF電波放射場の電界強度が、他方の所定の電磁モードの励起から生じるRF電波放射場の電界強度の少なくとも5(5)倍、または少なくとも10回(10回)、または少なくとも20倍(20)である状態。制御電子回路は、RF電磁波を電磁場発生器から、所与の瞬間に第一および第二のカプラー配設のうちの一つのみに供給し、それによって、第一の所定の電磁モードまたは第二の所定の電磁モードのうちの一つのみを励起するように構成され得る。第一および第二の所定の電磁モードは、共通の共振周波数を有し、電磁波発生器は、その共通の共振周波数でRF電磁波を発生させるように制御されることが好ましい。共通の共振周波数を有する第一の所定の電磁モードおよび第二の所定の電磁モードの使用は、RF電磁波を第一のカプラー配設および第二のカプラー配設の異なるものに供給するように変化させる時に、電磁波発生器の周波数出力を調整する必要性を回避する。上述のように、第一および第二の所定の電磁モードが異なる共振周波数を有する実施例では、異なる共振周波数は、互いに密接に離間し、それによって、RF電磁波を第一および第二のカプラー配設の異なるものに供給するように切り替える時に電磁波発生器に必要な周波数調整の大きさを低減することが好ましい。
【】
別の方法として、または追加的に、制御電子回路は、RF電磁波を電磁場発生器から第一および第二のカプラー配設の両方に同時に供給するように構成され得る。第一および第二の所定の電磁モードは、共通の共振周波数を有し、電磁波発生器は、共通の共振周波数で電磁波を発生させるように制御されることが好ましい。これにより、第一および第二の所定の電磁モードのそれぞれのカプラー配設による同時励起が可能になる。第一の所定の電磁モードおよび第二の所定の電磁モードの同時励起は、エアロゾル発生装置のための強化されたまたはブーストレベルの加熱モードに対応し得る。
【】
好都合なことに、第一および第二のカプラー配設のいずれかまたは各々は、静電容量ピンカプラー、誘導ループカプラー、少なくとも一つの導波管、少なくとも一つのマイクロストリップ、少なくとも一つのストリップライン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【】
第一のカプラー配設は、共振空洞の第一の所定の電磁モードを励起する時に、共振空洞の長さの少なくとも一部に沿って概して均一なRF電波放射場を画定するように構成されてもよい。一例として、第一のカプラー配設は、共振空洞の長軸方向軸上またはそれに隣接して配設された静電容量ピンカプラーを備えてもよい。
【】
第二のカプラー配設は、共振空洞の第二の所定の電磁モードを励起する時に、共振空洞の長軸方向軸を少なくとも部分的に包囲する少なくとも一つの円周RF電波放射場を画定するように構成されてもよい。一例として、第二のカプラー配設は、共振空洞の周辺壁上またはそれに隣接して配設された静電容量ピンカプラーおよび/または誘導ループカプラーを備えてもよい。有利には、第二のカプラー配設は、少なくとも第一および第二の軸方向に離間したRF電波放射場を画定するように構成されてもよく、第一および第二の放射場の各々は、共振空洞の長軸方向軸を少なくとも部分的に囲む。一例として、第二のカプラー配設は、共振空洞の長軸方向軸に沿って互いに軸方向に離間した第一および第二のカプラーを備えてもよい。
【】
電磁波発生器と共振空洞内の一つ以上の位置との間の連結は、第一の位置または配向と第二の位置または配向との間で変形可能なカプラー配設を備えてもよい。第一の位置または配向では、カプラー配設は、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第二のモードと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第一のモードを励起するように動作可能であってもよい。第二の位置または配向では、カプラー配設は、共振空洞の第一の電磁モードと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の第二の電磁モードを励起するように動作可能であってもよい。そのため、第一の位置または配向と第二の位置または配向との間のカプラー配設の変形可能な性質は、異なる時点で所定の電磁モードのうちの異なるものの励起を可能にする。第一および第二の所定の電磁モードは、共通の共振周波数を有し、電磁波発生器は、その共通の共振周波数でRF電磁波を発生させるように制御されることが好ましい。第一の所定の電磁モードおよび第二の所定の電磁モードが異なる共振周波数を有する場合、異なる共振周波数は互いに密接に間隔を置いており、それによって、第一の位置または配向および第二の位置または配向の異なるものにおいてRF電磁波を変換可能なカプラー配設に供給するように切り替える時に電磁波発生器に必要な周波数調整の大きさを低減することが好ましい。
【】
エアロゾル発生装置は、共振空洞を少なくとも部分的に内部的に囲むために共振空洞内に配設された誘電体充填物をさらに備えてもよく、誘電体充填物は、1より大きい比誘電率を有する。誘電体充填物は、共振空洞の周囲全体を囲むように配設されることが好ましい。誘電体充填物は、共振空洞の周辺壁を少なくとも部分的に内部的に囲むように、共振空洞内に配設されることが好ましい。充填物の比誘電率εrは、充填物の絶対誘電率εと真空誘電率ε0の比を指す。「比誘電率」εrという用語は、「誘電定数」と呼ばれることもある。1より大きい比誘電率εrを有する誘電体充填物を提供することは、充填物が全くない同じ共振空洞と比較して、共振空洞の共振周波数を低減する有益な効果を有することが見出された。一般的な用語では、所定サイズの共振空洞の場合、充填物の比誘電率εrが大きいほど、共振空洞の静電容量値が増加するため、共振空洞の共振周波数は小さくなる。共振空洞を内部的に囲むように充填物を配設することは、基体を共振空洞の周壁から離して位置付けることに役立つ。好都合にも、充填物は、5~100の比誘電率εrを有する。有利なことに、充填物は40~50の比誘電率を有する。充填物は、アルミナ、MgNb2O6、ZnNb2O6、MgTa2O6、ZnTa2O6、およびガラスのうちの少なくとも一つを含むか、またはそれらからなりうる。以下の表は、これらの例示的な充填物材料についての比誘電率εrの値を詳述する。
【表】
【】
共振空洞は、長さおよび半径を有してもよい。長さと半径との比は、2~20、好ましくは4~10の範囲内にあり得る。
【】
共振空洞は、5~50ミリメートルの範囲内の長さを有し得る。
【】
共振空洞は、1ミリメートル~10ミリメートル、より好ましくは2ミリメートル~5ミリメートルの範囲内の半径を有してもよい。
【】
共振空洞は、円、楕円、正方形、または長方形のうちのいずれか一つから選択される断面形状を有し、断面形状は共振空洞の長軸方向軸に対して直角に整列されていることが好ましい。
【】
共振空洞は、共振空洞内でRF電磁波に対して実質的に不透明であるように構成された周壁を備えることが好ましい。一例として、共振空洞の周壁は、導電性材料、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銀、または金などのRF電磁放射を通さない任意の適切な材料を含んでもよい。周壁の内向き表面は、共振空洞内でのそこからのRF電磁放射の反射を改善するために研磨された表面を有してもよく、それによって、空洞内に位置する基体の効率的な加熱も強化される。周壁のための材料は、共振空洞の内部内でRF電磁放射を内部的に反射するように作用し、それによって、RF電磁放射と空洞内に位置するエアロゾル形成基体との連結を強化することを助けるものが選択されることが好ましい。しかしながら、周壁が共振空洞内のRF電磁波に対して実質的に不透明であるように構成されている場合、共振空洞の中への電磁波の導入を可能にするために、RF放射に対して実質的に透明な一つ以上の穴、スロット、または部分も含んでもよい。例えば、RF電磁波を共振空洞内に導入するために一つ以上のカプラーが使用される場合、各カプラーは、穴、スロット、または部分に、またはそれを通して位置付けられてもよい。
【】
電磁波発生器は、ソリッドステートRFトランジスタおよびアンテナを含んでもよい。ソリッドステートRFトランジスタの使用により、エアロゾル発生装置をコンパクトなフォームファクタを有することが可能になり、それによって装置を手持ち式または携帯可能にすることができる。家庭用電子レンジなどの加熱用のRF電磁波を生成するための従来的な手段には、マグネトロンが含まれる。マグネトロンはかさばり、動作には非常に高い電圧が必要なため、手持ち式装置には不向きである。さらに、マグネトロンは比較的不安定な周波数出力を有し、比較的短い寿命を有する。対照的に、ソリッドステートRFトランジスタは、より多くの使用サイクルにわたって一貫した動作を提供し、はるかに低い動作電圧を必要とする。有利なことに、ソリッドステートRFトランジスタは、RF電磁波を発生および増幅するように構成され得る。好都合にも、エアロゾル発生装置は、RF電磁波の発生および増幅の両方を提供するために単一のソリッドステートRFトランジスタを採用し、それによって、複数のこうしたトランジスタの使用と比較して、装置のフォームファクタを減少させる。ソリッドステートRFトランジスタは、例えば、LDMOSトランジスタ、GaAs FET、SiC MESFETもしくはGaN HFET、またはバイポーラジャンクショントランジスタ技術などの他のトランジスタ技術であってもよい。
【】
制御電子回路は、電源から電磁波発生器への電力供給を制御するように構成されてもよい。制御電子回路は、マイクロプロセッサ、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有する他の電子回路を備えてもよい。制御回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。例えば、制御回路は、センサー、スイッチ、ディスプレイ要素のいずれかを備えてもよい。制御回路は、RF電力センサーを含み得る。制御回路は、電力増幅器を含み得る。制御回路は、プロセッサまたは制御回路の他の構成要素部品によって読み取り可能な命令を含むメモリモジュールを備えてもよく、命令は、電磁波発生器の動作を制御するために使用される。電源は、DC電源を備えてもよい。電源は、エアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。電源は、少なくとも一つの電池を含み得る。少なくとも一つの電池は、再充電可能リチウムイオン電池を含み得る。代替として、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。
【】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、細長いハウジングを備えてもよく、電磁波発生器および共振空洞は細長いハウジングの内部に提供される。装置に細長いハウジングを使用することは、ユーザーが装置を手で持つことを容易にするための装置の幾何学的アスペクト比を提供する。細長いプロファイルはまた、従来の紙巻たばこまたは葉巻たばこにも見られ、本開示のエアロゾル発生装置でこのようなプロファイルを使用することは、装置のユーザーに親しみやすさという利点を提供する。好都合にも、細長いハウジングは、概して円筒状の形状であってもよい。
【】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダーであってもよい。
【】
エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であることが好ましい。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なニコチン含有エアロゾルを発生させる喫煙物品であることがより好ましい。
【】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを発生するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成材料から成る基体を、またはそれを含む基体を、指す。
【】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の複数の構成要素部分のうちの一つを形成してもよく、エアロゾル発生物品は共振空洞内に取り外し可能に受容可能である。あるいは、エアロゾル形成基体のみで、エアロゾル発生物品を形成してもよい。
【】
エアロゾル発生装置内で使用されるエアロゾル形成基体は、様々な形態を取ってもよい。エアロゾル形成基体は、固体を含み得る。エアロゾル形成基体は、液体、または共振空洞の中に定置することができる容器もしくはカートリッジの内側に位置する液体、または液体を保持することができる毛細管もしくは他の多孔体を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、ゲルを含み得る。エアロゾル形成基体は、固体、液体、およびゲルのうちの二つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、RF電放射場の作用下など、誘電体加熱のために双極子相互作用を受けやすい極性分子を含むことが好ましい。一例として、エアロゾル形成基体は、水を含んでもよく、水は誘電体加熱に特に影響されやすい。エアロゾル形成基体は、固体形態であるが、水または極性分子を含有する別の液体に浸された状態で提供されてもよい。このようにして、RF電放射場は、水または他の液体の極性分子を励起するように作用し、それによって熱を発生させた後、その熱はエアロゾル形成基体の材料に伝達される。
【】
エアロゾル形成基体は、ニコチン、ニコチン誘導体、またはニコチン類似体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、一つ以上のニコチン塩を含んでもよい。一つ以上のニコチン塩は、クエン酸ニコチン、乳酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アルギン酸ニコチン、およびサリチル酸ニコチンからなるリストから選択されてもよい。
【】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成体」は、使用時に、高密度で安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある、任意の好適な既知の化合物または化合物の混合物を指す。好適なエアロゾル形成体は、当業界で周知であり、限定されるものではないが、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなどの多価アルコールのエステル、およびドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなどの、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルが挙げられる。好ましいエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの、多価アルコールまたはその混合物である。
【】
エアロゾル形成基体は、風味剤をさらに含み得る。風味剤は、揮発性風味成分を含み得る。風味剤は、メントールを含み得る。本明細書に使用される場合、「メントール」という用語は、その異性体のいずれかにおける化合物2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールを示す。風味剤は、メントール、レモン、バニラ、オレンジ、ウインターグリーン、チェリー、およびシナモンからなる群から選択される風味を提供し得る。風味剤は、加熱時に基体から放出される揮発性たばこ風味化合物を含んでもよい。
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エアロゾル形成基体は、たばこまたはたばこ含有材料をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、たばこスラリー、キャスト葉たばこ、および膨化たばこのうちのいずれかを含んでもよい。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、不活性材料、例えば、ガラスもしくはセラミック、または別の好適な不活性材料で圧縮されたたばこ粉末を含んでもよい。
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エアロゾル形成基体が液体またはゲルを含む場合、いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は、吸収性担体を含み得る。エアロゾル形成基体は、吸収性担体上に被覆されるか、または吸収担体内に含浸され得る。例えば、ニコチン化合物およびエアロゾル形成体は、液剤として、水と混合され得る。液剤は、一部の実施形態では、風味剤をさらに含み得る。こうした液剤は、次に、吸収性担体によって吸収されるか、または吸収性担体の表面上に被覆され得る。吸収性担体は、その上にニコチン化合物およびエアロゾル形成体が被覆または吸収され得る、セルロースベースの材料のシートまたは錠剤であってもよい。吸収性担体は、液体保持特性および毛細管特性を有し、その上に液体またはゲルエアロゾル形成基体が被覆または吸収されている、金属、ポリマー、または植物性発泡体であってもよい。
【】
エアロゾル形成基体は、一つ以上の植物成分、および/または一つ以上の医薬品を含んでもよい。
【】
本明細書で使用される場合、無線周波数(RF)という用語は、3Hz~3THzの間の周波数を意味し、マイクロ波を含む。好ましくは、電磁波発生器によって発生するRF電磁波は、500MHz~50GHz、より好ましくは、900MHz~30GHzの周波数を有してもよい。RF電磁波は、900MHz~5GHzの周波数を有してもよい。好ましい一実施例では、RF電磁波は、約2.4GHzの周波数を有してもよい。
【実施例】
【】
本発明は、特許請求の範囲で定義される。しかしながら、下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例における各特徴の任意の一つ以上の特徴は、本明細書で説明する別の実施例、別の実施形態、または別の態様における、任意の一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【】
実施例1:
エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、装置が、
エアロゾル形成基体を受容するための共振空洞と、
無線周波数(RF)電磁波を発生させるための電磁波発生器と、
電磁波発生器に連結された制御電子回路と、を備え、
電磁波発生器が、制御電子回路の制御下で、RF電磁波を共振空洞に伝達して、共振空洞の異なる所定の電磁モードを選択的に励起するために、共振空洞内の一つ以上の位置に連結される、エアロゾル発生装置。
実施例2:
所定の電磁モードの各々が、エアロゾル形成基体の加熱のために共振空洞内に対応するRF電波放射場を発生することに関連付けられる、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:
所定の電磁モードが、第一の電磁モードおよび第二の電磁モードを含み、第一および第二の電磁モードが、共通の共振周波数を有し、電磁波発生器が、共通の共振周波数でRF電磁波を発生させるように構成される、実施例1または2のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
制御電子回路が、電磁波発生器を制御して、第一の所定の周波数でRF電磁波を発生させることと、第二の所定の周波数でRF電磁波を発生させることとを切り替えるように構成され、第一の所定の周波数が第二の所定の周波数とは異なり、第一および第二の所定の周波数が、 所定の電磁モードのそれぞれの第一および第二の周波数の励起に関連付けられる、実施例1~3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
第一の所定の周波数が、第一の所定の電磁モードに関連付けられた第一の共振周波数であり、第二の所定の周波数が、第二の所定の電磁モードに関連付けられた第二の共振周波数である、実施例4に記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
第一の共振周波数と第二の共振周波数との比が、0.75~1.33、または0.80~1.25、または0.85~1.18、または0.90~1.11、または0.95~1.05である、実施例5に記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
第一の共振周波数および第二の共振周波数が、電磁波発生器の動作周波数範囲内にある、実施例5または6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
電磁波発生器が、250MHz以下、または150MHz以下、または100MHz以下、または80MHz以下、または60MHz以下の帯域幅を有する、実施例7に記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
電磁波発生器が、1GHz~5GHzの範囲の周波数値、好ましくは2.45GHzの周波数値を中心にする帯域幅にわたってRF電磁波を発生するように動作可能である、実施例7または8のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
所定の電磁モードが、横断方向電気モードおよび横断方向磁気モードを含む、実施例1~9のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:
制御電子回路が、使用セッションにわたって、所定の電磁モードの異なるものまたは組み合わせを励起するように切り替えるように構成される、実施例1~10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
制御電子回路が、所定の電磁モードの異なるものまたは組み合わせを励起するように切り替えて、目標温度を維持するか、または使用セッションの目標温度プロファイルに従うように構成される、実施例11に記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
目標温度および目標温度プロファイルのうちの一方または両方が、共振空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の目標温度と関連付けられる、実施例12に記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
電磁波発生器が、共振空洞内の複数の位置に連結され、制御電子回路が、RF電磁波を複数の位置の異なる位置または組み合わせに伝達することを切り替えるように構成される、実施例1~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
電磁波発生器が、共振空洞内の複数の位置に連結され、制御電子回路が、RF電磁波を複数の位置のうちの少なくとも第一および第二の位置に同時に伝達し、それによって、共振空洞内に少なくとも対応する第一および第二のRF電波放射場を同時に発生するように構成される、実施例1~14のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例16:
複数の位置のうちの少なくとも第一および第二の位置が、対応する第一および第二のRF電波放射場が共振空洞の長さの少なくとも一部に沿って軸方向に離間するように、互いに対して配設される、実施例15に記載のエアロゾル発生装置。
実施例16a:
複数の位置のうちの第一の位置および第二の位置が、共振空洞の所定の電磁モードのうちの共通の一つと関連付けられる、実施例15または16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例17:
電磁波発生器と共振空洞内の一つ以上の位置との間の連結が、
一つ以上の位置のうちの第一の位置で共振空洞内に少なくとも部分的に配置され、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第二の位置と相互に排他的に、またはそれより優先的に、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第一の位置を励起するように構成された第一のカプラー配設と、
一つ以上の位置のうちの第二の位置で共振空洞内に少なくとも部分的に配置され、共振空洞の第一の所定の電磁モードと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の第二の所定の電磁モードを励起するように構成された、第二のカプラー配設と、を備える、実施例1~16aのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例18:
第一および第二のカプラー配設のいずれかまたは各々が、静電容量ピンカプラー、誘導ループカプラー、少なくとも一つの導波管、少なくとも一つのマイクロストリップ、少なくとも一つのストリップライン、またはそれらの組み合わせを含む、実施例17に記載のエアロゾル発生装置。
実施例19:
第一のカプラー配設が、共振空洞の第一の所定の電磁モードを励起する時に、共振空洞の長さの少なくとも一部に沿って概して均一なRF電波放射場を画定するように構成される、実施例17または18のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例20:
第二のカプラー配設が、共振空洞の第二の所定の電磁モードを励起する時に、共振空洞の長軸方向軸を少なくとも部分的に包囲する少なくとも一つの円周RF電波放射場を画定するように構成される、実施例17~19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21:
第二のカプラー配設が、少なくとも第一および第二の軸方向に離間したRF電波放射場を画定するように構成され、第一および第二の放射場の各々が、共振空洞の長軸方向軸を少なくとも部分的に囲む、実施例20に記載のエアロゾル発生装置。
実施例21a:
第二のカプラー配設が、少なくとも第一および第二のカプラーを備え、第一および第二のカプラーが、共振空洞の長軸方向軸に沿って互いに軸方向に離間している、実施例21に記載のエアロゾル発生装置。
実施例22:
電磁波発生器と共振空洞内の一つ以上の位置との間の連結が、第一の位置または配向と第二の位置または配向との間で変換可能なカプラー配設を備え、
第一の位置または配向において、カプラー配設が、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第二のものと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の所定の電磁モードのうちの第一のものを励起するように動作可能であり、
第二の位置または配向において、カプラー配設が、共振空洞の第一の電磁モードと相互に排他的に、またはそれより優先して、共振空洞の第二の電磁モードを励起するように動作可能である、実施例1~21aのいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例23:
共振空洞内に配設されて共振空洞を少なくとも部分的に内部的に囲む誘電体充填物をさらに備え、誘電体充填物の比誘電率が1を超える、実施例1~22のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例24:
共振空洞が長さおよび半径を有し、長さと半径との比が2~20、より好ましくは4~10の範囲内である、実施例1~23のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例25:
共振空洞が、5ミリメートル~50ミリメートルの範囲の長さを有する、実施例1~24のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例26:
共振空洞が、1ミリメートル~10ミリメートル、より好ましくは2ミリメートル~5ミリメートルの範囲の半径を有する、実施例1~25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例27:
共振空洞が、円、楕円、正方形、または長方形のうちのいずれか一つから選択される断面形状を有し、断面形状が、共振空洞の長軸方向軸に対して直角に整列している、実施例1~26のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
【】
ここで、図を参照しながら、実施例をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】図1は、誘電体加熱システムの概略図を示す。
【図】図2aは、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品から形成されたエアロゾル送達システムの第一の実施例の概略図を示す。
【図】図2bは、図2aのエアロゾル発生装置の概略図を示すが、エアロゾル発生物品は表示していない。
【図】図3は、図2aおよび図2bのエアロゾル発生装置の共振空洞内に挿入するためのエアロゾル発生物品の概略図を示す。
【図】図4は、長さLおよび半径Rの円筒形共振空洞の概略図を示す。
【図】図5は、空洞の長さ:半径(すなわち、L/R)の異なるアスペクト比を有する、図4の円筒状の共振空洞の例示的な横断方向磁気モードおよび横断方向電気モードの周波数挙動を示す。
【図】図6は、空洞の異なる電磁モードを励起することによって、図4の共振空洞内で発生された電界の概略図を示す。
【図】図7は、空洞の異なる電磁モードを励起することによって、図4の共振空洞内で発生された電界の概略図を示す。
【図】図8は、図4の共振空洞内に位置付けられ、空洞の異なる電磁モードを励起することによって発生される電界に曝露されたエアロゾル発生物品の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【】
図1は、誘電体材料または基体への分離双極子相互作用によって熱を引き起こす無線周波数(RF)電気波を使用した誘電加熱システム10の概略図であり、誘電加熱とも呼ばれる。システム10は、RF電磁波発生器11、電力増幅器12および加熱空洞13を有する。加熱空洞13は、共振空洞の形態である。電力増幅器12は、RF電磁波発生器11に接続され、RF電磁波発生器によって発生されるRF信号を増幅するように機能する。カプラー14は、加熱空洞13内に延在するように位置付けられている。カプラー14は、電力増幅器12の出力に接続され、RF電磁波発生器11によって発生したRF信号を加熱空洞13に向けるように動作し、その結果、空洞内に振動する電波放射場が生じる。電力増幅器12の出力は、閉ループ制御を提供するためにRF電磁波発生器11にフィードバックされる。加熱される物体15は、加熱空洞13中に配置され、RF電波放射場を受ける。物体15内の極性分子は、振動するRF電波放射場と整列し、振動する電波放射場によって攪拌し、物体の温度を上昇させる。図2~8を参照して記載した図1に図示され、この段落に記述される基本的な加熱原理を用いる。
【】
図2aは、エアロゾル送達システム100の第一の実施形態の概略図を示す。エアロゾル送達システム100は、エアロゾル発生装置200およびエアロゾル発生物品300を備える。図2aは、エアロゾル発生装置200に連結されたエアロゾル発生物品300を示す。図2bは、図2aに対応するが、エアロゾル発生装置200のみを示し、エアロゾル発生物品300の存在は表示していない。図2aは、物品の内部構造または構成を例示することなく、エアロゾル発生物品300の輪郭のみを示す。エアロゾル発生物品300の例示的な構成は、図4に関連して本開示の後の段落で論じられる。
【】
エアロゾル発生装置200は、細長いハウジング201を有する。細長いハウジング201は、軸方向断面が円筒状である。しかしながら、他の実施形態では、細長いハウジング201は、楕円形、正方形、または長方形の形状である軸方向断面を有してもよい。細長いハウジング201は、電源202、制御電子回路203、無線周波数(RF)電磁波発生器204および共振空洞205を含む。電磁波発生器204は、ソリッドステートトランジスタを含む。電磁波発生器204は、共振空洞205の異なる所定の電磁モードに関連付けられた一つ以上の所定の周波数でRF電磁波を発生するように構成されてもよい。好ましい実施形態では、電磁波発生器204は、単一の所定の周波数でRF電磁波を発生するように構成され、単一の所定の周波数は、共振空洞205の異なる所定の電磁モードと関連付けられる。電源202は、制御電子回路203およびRF電磁波発生器204に連結され、電力を供給する。図示した実施例では、電源202は、リチウムイオン電池などの再充電可能電池であってもよい。ところが、代替的な実施例では、他の適切な電源、例えば、代替的な形態の電池またはコンデンサが使用されてもよい。制御電子回路203は、コントローラ203aおよびメモリモジュール204aを有する。コントローラ203aは、マイクロプロセッサの形態であってもよい。メモリモジュール203bは、装置200の起動後にエアロゾル発生装置200の動作を制御するために、コントローラ203aによってアクセス可能な命令およびデータを含む。より具体的には、メモリモジュール203bは、物品が共振空洞205内に受容された時に、エアロゾル発生物品300のエアロゾル形成基体部分304の目標温度プロファイル(図3を参照)を含有してもよい。
【】
共振空洞205は、概して円筒状の形状である周壁206を有する。図示した実施例について、周壁206は、導電性材料、例えばアルミニウムなどの金属で形成されている。代替的な実施例では、周壁206は、代わりに、ステンレス鋼またはRF電磁放射に対して実質的に不透明な別の材料で形成されてもよい。さらなる代替的な実施例では、周壁206の内向き表面は、銀、金、またはRF電磁放射に対して実質的に不透明な別の材料の層で被覆されてもよい。
【】
共振空洞205は、空洞の長軸方向軸207が細長いハウジング201の長軸方向軸と一致するように整列するように配設されている。共振空洞205は、空洞の一方の端に開口部208があり、空洞の反対端209が閉じている、ブラインド空洞を画定する。アルミナで形成される誘電体充填物210は、共振空洞205内に提供されている。誘電体充填物210は、周壁206の内部に面する表面に対して位置付けられて、共振空洞205内の円筒形空間211を囲む環状スリーブの形態である。アルミナ誘電体充填物210は、9.3~11.5の範囲の比誘電率εrを有する。代替的な実施例では、誘電体充填物は、MgNb2O6、ZnNb2O6、MgTa2O6、ZnTa2O6、およびガラスのうちの一つ以上で形成され得る。エアロゾル発生物品300は、開口部208を介して、共振空洞205に挿入される。
【】
エアロゾル発生装置200はまた、細長いハウジング201の周辺の周りの様々な位置に画定される空気吸込み口212を含むことができる。通路213は、空気吸込み口212から、共振空洞205の閉鎖端209内に提供される対応する開口部まで延在する。第一のカプラー214は、共振空洞205の閉鎖端209に位置付けられ、空洞の閉鎖端に提供されたスロットを通って延在する。第一のカプラー214は、共振空洞205の長軸方向軸207上に位置する。第二および第三のカプラー215a、215bは、共振空洞205の周壁206に沿って軸方向に離間した場所に位置付けられる。第二および第三のカプラー215a、215bの各々は、共振空洞205の周壁206内に提供された対応するスロットを通って延在する。図2a、2bのエアロゾル発生装置200に示される例示的な共振空洞205について、第二および第三のカプラー215a、215bは、空洞の長さの四分の一および四分の三に対応する位置に位置付けられる。カプラー214、215a、215bはそれぞれ、電気配線216によってRF電磁波発生器204に連結されている。カプラー214、215a、215bは、電磁波発生器204によって発生されたRF電磁波を共振空洞205の中に方向付ける役割を果たす。当然のことながら、他の実施形態では、追加のカプラーまたはより少ないカプラーが提供されてもよい。図2aおよび図2bの図示した実施形態では、第一のカプラー214は、静電容量ピンカプラーであり、一方、第二のカプラー215aおよび第三のカプラー215bは、静電容量ピンカプラーまたは誘導ループカプラーである。当然のことながら、他の実施形態では、カプラーは、図2aおよび図2bの実施形態について記載したもの以外の形態を取ってもよい。一例として、電磁波発生器204によって発生されたRF電磁波を共振空洞205の中に方向付けるためのカプラーに、またはカプラーとして、導波管、マイクロストリップ、または細片のうちの一つ以上が使用されてもよい。
【】
図3は、エアロゾル発生物品300の例の概略図を示す。エアロゾル発生物品300は、近位端301および遠位端302を有するロッドの形態をとる。近位端301は、エアロゾル発生物品300内で発生したエアロゾルをユーザーが吸入することを可能にするためのエアロゾル発生物品300の口側端として機能する。エアロゾル発生物品300は、紙ベースのラッパー303を含む。ラッパー303内に順次配置されるのは、エアロゾル形成基体部分304、管状支持要素305、エアロゾル冷却要素306、およびマウスピースフィルター307である。エアロゾル形成基体部分304は、エアロゾル形成体および水を含有する捲縮された再構成たばこのプラグである。支持要素305は中空アセテート管である。レーザー穿孔線308は、ラッパー303の厚さを通して形成される。金属メッシュ放射シールド要素309は、マウスピースフィルター307とエアロゾル冷却要素306の間に位置する。
【】
図2aおよび図2bのエアロゾル発生装置200のカプラー214、215a、215bは、電磁モードに対応する周波数を有する電磁波発生器204からRF電磁波が供給される時に、共振空洞の特定の所定の電磁モードを起動するように最適化された位置に共振空洞205内に位置付けられる。好ましい実施形態では、エアロゾル発生装置200は、コントローラ203aの制御下で、RF電磁波を電磁波発生器204からカプラー214、215a、215bの異なるものへと伝達するように切り替えるように構成されてもよい。このようにして、共振空洞205内で発生される電波放射場は、共振空洞205の異なる電磁モードが、異なる時点で励起されることに起因して、経時的に変化し得る。スイッチングは、コントローラ203aとカプラー214、215a、215bとの間に位置付けられた一つ以上のスイッチの使用によって、または制御電子回路203へのスイッチング素子の組み込みによって達成され得る。エアロゾル形成基体部分304が空洞内に完全に包含されるように、エアロゾル発生物品300が共振空洞205の中に挿入された状態で、カプラー214、215a、215bのうちの異なる一つによって発生される電波放射場は、エアロゾル形成基体部分304を基体の気化温度より高く加熱するように作用し、それによってそこからベイパーを発生する。ユーザーが物品300の口側端301を吸入すると、空気が入口212内に引き出され、装置200の通路213を通って、遠位端302を介してエアロゾル発生物品300に入る。空気は、エアロゾル形成基体304の加熱により発生したベイパーと混合して、同伴された流れを形成する。同伴された流れは、管状支持要素305およびエアロゾル冷却要素306を通して口側端301に向かって下流に流れ、その間に同伴された流れは凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルは、ユーザーによって吸入されるマウスピースフィルター307を通過する。共振空洞205内の電波放射場を変更することはまた、エアロゾル形成基体部分304が加熱される方法も変更する。加熱の変化は、エアロゾル形成基体部分304の加熱の強度の変化、またはエアロゾル形成基体部分304の異なるセグメントもしくは割合の加熱の変化、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【】
図4および図5は、電磁波発生器204の動作周波数または帯域幅の選択、および共振空洞205内のカプラー214、215a、215bの位置付けに影響を与える原理を図示する。
【】
図4は、共振空洞205の輪郭の簡略化された概略図であり、空洞は、軸方向断面が円筒状であり、半径R、直径D(=2R)、および長さLを有する。原点が長軸方向軸207上および空洞の盲端209に位置する座標系を図4に示す。座標系は、共振空洞205の長軸方向軸207に沿って整列されたz軸を有する。座標系は、共振空洞の半径方向に長軸方向軸207に垂直に延在するρ軸を有する。さらに、座標系の角度φは、ρ軸およびz軸の両方に垂直な平面のρ軸から延在する。共振空洞205は、複数の電磁モードを有する。図4の円筒形共振空洞205は、横断方向磁気モード、TMmnp、および横断方向電気モード、TEmnpを可能にし、ここで添え字{m、n、p}∈N3は、幾何学的形状に従って特定のモードにラベル付けする。異なる電磁モードの共振周波数は、以下の式(1)によって与えられる。
ωmnp=(εμ)-1/2[(αmn/R)2+(pπ/L)2]1/2(1)
εは、共振空洞205の誘電率を表す。
μは、共振空洞205の透過性を表す。
【】
TMモードの場合、αmnは、第1種m次ベッセル関数Jmのn番目の零点である。TEモードの場合、αmnは、第1種m次ベッセル関数をその引数に関して微分した一次導関数J’m=dJm(z)/dzのn番目の非自明な零点である。モード縮退は、添え字の少なくとも一つが異なる場合に、ωmnp=ωm’n’p’に対して発生する。そのため、モード縮退の状態では、TMモードのうちの一つは、TEモードのうちの一つと同じ共振周波数を有する。
【】
式1は、以下の方程式(2)に示すように、共振空洞205のアスペクト比L/Rで表すことができ、異なるモードの特定の対に対して解が存在する。
(L/R)2(αmn2-αm’n’2)=π2(m’2-m2)(2)
【】
図5は、異なる横断方向磁気(TM)モードおよび横断方向電気(TE)モードに対する、図4の共振空洞205の周波数とアスペクト比L/Rとの間の関係を図示する。図5のグラフ上の各線は、異なる電磁モードを表す。異なる電磁モードを表す線間の図5の交点は、モード縮退の状態、すなわち、共通の共振周波数を有する異なるモードを示す。さらに説明すると、図5は、L/Rが約2.031の点AにおけるモードTM010およびTE111の縮退を示す。より長い長さの空洞については、図5は、L/Rが約4.062の点BにおけるモードTM010およびTE112の縮退を示す。したがって、空洞形状のこれら二つのアスペクト比L/Rの各々について、それぞれの縮退したモードの対は、共通の共振周波数で励起され得る。異なるモードのフィールド線は、異なる幾何学的分布および配向を有することが理解されよう。そのため、図2aのエアロゾル送達システムに適用される時、異なるモードの磁力線の異なる幾何学的分布および配向は、エアロゾル発生物品300のエアロゾル形成基体部分304の対応する異なる加熱プロファイルを提供する。各モードは、空洞205内に設計および/または配置されたカプラーによって励起されてもよく、その結果、電磁波発生器204からRF電磁波を、縮退したモードに関連付けられた共振周波数で供給された時、カプラーは、縮退したモードの別のモードより優先して、縮退したモードのうちの一つを励起するために電界構成要素に作用する。図2aおよび図2bのエアロゾル送達システム100を参照すると、電磁波発生器204は、縮退したモードの共振周波数でRF電磁波を発生するように構成されてもよい。これは、図6および図7を参照して、以下でより詳細に説明する。
【】
図6および図7は、異なる電磁モード、この場合、モードTM010、TE112内の励起により共振空洞205内で発生される電界の強度および幾何学的変動を示す。図6は、モードTM010の励起から生じる電界を図示する。図7は、モードTM112の励起から生じる電界を図示する。
【】
以下に記載されるように、異なる電磁モードTM010、TE112は、各モードが異なるカプラーによって励起された、一対の縮退したモードであってもよい。
【】
図2aおよび図2bのエアロゾル送達システムに戻ると、静電容量ピンカプラー214は、カプラー214に、縮退したモードTM010、TE112の共振周波数で電磁波発生器204からRF電磁波を供給された時、カプラーはモードTE112と相互に排他的であるか、またはモードTE112より優先してモードTM010を励起するように作用する。さらに説明すると、静電容量ピンカプラー214は、そのz成分がカプラー214の位置で最大になるため、モードTM010の電界に作用するが、モードTE112のすべての電界成分は、その位置でゼロまたはゼロに近いため、カプラー214では励起されない。図6に示すように、電磁波を縮退したモードTM010、TE112の共振周波数で静電容量ピンカプラー214に印加すると、共振空洞205内の電界強度パターンが生成される。図6では、より暗い陰影は、より高い電界強度値を表し、より明るい陰影は、より低い電界強度値を表す。静電容量ピンカプラー214によって励起されるモードTM010では、電界強度は、共振空洞205の長軸方向軸207に沿って最大となり、z軸に沿って均一であり、空洞の周壁207に向かって半径方向に減少する。負荷で消費される電力は電界強度の二乗に比例するため、図6に示す電界強度パターンはまた、共振空洞205の中に挿入された基体(例えば、物品300のエアロゾル形成基体部分304内)での消費電力分布を表す。モードTM010を相互に排他的に、またはモードTE112より優先して励起する別の方法は、縮退したモードTM010、TE112の共振周波数で電磁波を、共振空洞205の空洞長さの四分の一(L/4)に対応する位置に配置されたループカプラー214’に供給することである。ループカプラー214’は、モードTM010の磁界のφ成分を選択するために、ループ平面の法線ベクトルが共振空洞205のz方向に単位ベクトルと90度の角度に及ぶように配向される。物理的には、これは、ループを通してゼロ以外の磁束を有することが望ましいことを意味する。
【】
図2aおよび図2bのエアロゾル送達システムについて、カプラー215a、215bの各々の共振空洞205内の位置付けは、カプラー215a、215bの各々に、縮退したモードTM010、TE112の共振周波数で電磁波発生器204からの電磁波が供給された時に、各カプラー215a、215bが、モードTM010と相互に排他的に、またはモードTM010より優先してモードTE112を励起するように作用するようなものである。図7は、カプラー215a、215bの各々によるモードTE112の励起から生じる共振空洞205内の電界強度パターンを示す。図7から分かるように、各カプラー215a、215bによるモードTE112の励起は、共振空洞205内に二つの円周方向に延在する電界をもたらし、二つの電界は互いに軸方向に離間している。カプラー215a、215bは、静電容量ピンまたは誘導ループカプラーであってもよい。例えば、カプラー215aは、励起モードTE112のための静電容量ピンカプラーであってもよく(例えば、その半径方向の電界構成要素を介して)、カプラー215aは、TM010の電界構成要素が消滅する空洞長さの四分の一に対応する位置に半径方向に位置付けられる。さらに、カプラー215bは、空洞長さの四分の一に対応する位置に位置付けられ、ループ平面の法線ベクトルが空洞205のz方向に単位ベクトルに平行であるように配向された誘導ループカプラーであってもよい。したがって、ループカプラー215bは、この位置でTE112の磁場の非ゼロのz成分を選択するように位置付けられ、モードTM010の磁場のz成分はゼロである。
【】
したがって、異なるカプラーを配置して、別の一つの縮退した電磁モードより優先して共振空洞205の所与の縮退した電磁モードを起動するための好ましい戦略は、電界構成要素が相互に排他的である(すなわち、ゼロおよび非ゼロ)共振空洞内の位置を選択し、次いで、これらの位置に適切なタイプのカプラーを配置することである。次いで、縮退したモードの共振周波数における電磁波発生器204からの電磁波は、どのモードが所与の瞬間に励起されることが望ましいかに従って、異なるカプラーに供給されてもよい。上述のように、スイッチは、エアロゾル発生装置200に組み込まれて、電磁波を、異なる時点で、例えば、使用セッション中の異なる時点で、カプラー214、215a、215bのうちの異なるものに供給することを可能にし得る。
【】
図2aおよび図2bに図示したものに対する代替的な実施形態では、所与の瞬間にどのモードを起動させることが望ましいかに従って、その位置または配向を変換することができるカプラーを一つのみ利用することもできる。モードTM010およびTE112の実施例を参照すると、この単一のカプラーは、例えば、ループ平面配向を0~90度の間で変更することができ、それによって一つまたは他のモードを二つの異なる配向で励起することができる、空洞長さの四分の一(L/4)に対応する位置に位置付けられたループカプラーであってもよい。カプラーの第一の位置または配向は、モードTM010、TE112のうちの一方と関連付けられてもよく、カプラーの第二の位置または配向は、モードTM010、TE112のうちの他方と関連付けられてもよい。こうした変形可能なカプラーの使用は、異なる時点で異なる電磁モードを励起するために、RF電磁波を電磁波発生器204から異なるカプラーに供給するためのスイッチまたは類似の手段の必要性を回避する。
【】
図5の考察に戻ると、TM010-TE111の縮退した共振空洞205は、長さLが直径Dとほぼ同じである必要があり、一方でTM010-TE112の縮退した共振空洞205は、長さLが直径Dの約二倍である必要がある。
【】
エアロゾル発生装置200を設計する際にモード縮退を利用しようとする設計者は、以下の例示的な戦略に従い得る。
1)動作させる周波数帯を選択する。これにより、電磁波発生器204の設計仕様を決定する(またはそれによって決定される)。
2)異なるモードのモード縮退を提供する共振空洞205のアスペクト比L/Rを選択する。
3)エアロゾル発生装置200で使用されるエアロゾル発生物品300の寸法に従って、共振空洞205の寸法を(アスペクト比L/Rを一定に保ちながら)調整する。
4)必要に応じて、共振空洞205内の有効誘電率ε=ε0εr’(1-i tanδ)を調整することによって共振周波数を調整する。これは、より高い比誘電率、好ましくは低い損失接線の誘電材料(例えば、誘電体充填物210)を空洞205内に挿入することによって達成することができる。
【】
ステップ3および4は、反復的にまたは組み合わせて実施され得る。
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他の実施形態では、共振空洞205の寸法は、縮退点からわずかに外れるように設計されてもよく、その結果、異なる共振周波数を有する二つの電磁モードが生じる。これは、準縮退状態と称することができ、図5の点Cによって図示され、モードTM010およびTE111は縮退しないが、小さな周波数差によって互いに分離される。図2aおよび図2bのエアロゾル発生装置を参照すると、二つの準縮退電磁モードの周波数は、電磁波発生器204の動作周波数範囲内にあるべきである。一例として、電磁波発生器204は、2.45GHzの周波数を中心とした100MHzの帯域幅を有してもよく、動作周波数範囲は2.4GHz~2.5GHzの範囲内であり、二つの準縮退モードは動作周波数範囲内にある。しかしながら、電磁波発生器204は、異なる動作周波数範囲を有してもよく、一例として、電磁波発生器204は、0~6GHzの同調可能な出力周波数を有するソリッドステートRF源であってもよく、またはそれを含んでもよい。一般に、共振空洞205は、二つの関心のある準縮退モードのそれぞれの共振周波数が電磁波発生器204の動作周波数範囲内にあるようにサイズ設定される。二つのモードの各々は、モードのうちの一方の共振周波数で、共振空洞205内の一つ以上のカプラー(例えば、カプラー214、215a、215b)に電磁波を供給し、次いで、モードのうちの他方の共振周波数で、電磁波を一つ以上のカプラーに供給することに切り替えることによって、選択的に励起されることになる。電磁波発生器204によって発生される電磁波の品質係数が高いほど、二つのモードのうちの所与の一つのみが所与の瞬間に励起される可能性がより高い。図5の点Cに関連付けられた準縮退モードTM010およびTE111モードの考察に戻ると、これらの二つのモードは、二つのモードのうちの一方または他方の共振周波数で電磁波を選択的に供給する単一のカプラーによって励起され得る。例えば、二つのモードTM010、TE111は、空洞205の一方の端の近く、すなわち、z=0またはz=Lの近くに配置され、二つの異なる共振周波数で電磁波によって供給された誘導ループカプラーによって選択的に励起され得る。より一般的なシナリオでは、選択的な励起は、異なるモードに対して異なる結合方式を使用することによって達成されてもよく、異なるカプラーは、二つの関心のあるモードのうちの異なるものを励起するために使用される。
【】
制御された様式で異なる電磁モードを励起させることは、エアロゾル発生物品300のエアロゾル形成基体部分304における電力消費を管理するために利用されてもよく、それによって、基体部分の経時的な加熱および枯渇を通して基体の程度を制御するのに役立つ。空間内のある位置での消費体積出力密度は、その位置での電界の二乗に比例する。したがって、電力散逸、貫通加熱、および枯渇のパターンは、励起される空洞205の電磁モードの電界分布に強く関連している。したがって、経時的に(例えば、使用セッションの持続時間にわたって)共振空洞205内で励起される電磁モードを変更することにより、揮発性化合物の基体部分304の枯渇を変化させることが理解されるであろう。例えば、図6に示すように、モードTM010はz方向に非ゼロ電界成分のみを有し、z方向に均一であり、半径方向に零次ベッセル関数のように挙動する。これは、電力消費の密度がエアロゾル発生物品300の中央長軸方向軸に沿って均一であり、また枯渇パターンも同様であることを意味する。対照的に、図7に示すように、モードTE112は、電界の振幅が正弦関数のようにz軸に沿って変化し、したがって、z方向に沿って節面および最大値を示す。空洞205内に挿入されたエアロゾル発生物品300のエアロゾル形成基体部分304は、空洞内で励起されるモードに応じて、異なる電界パターンおよび異なる対応する電力消費パターンに曝露されることになる。これにより、エアロゾル形成基体部分304の枯渇を、共振空洞205の異なるモードを励起するように切り替えることによって制御することができる。
【】
図8は、図4の共振空洞205内に位置付けられ、モードTM010(図6におけるような)またはモードTE112(図7におけるような)のいずれかを励起することによって発生する電界に曝露されたエアロゾル発生物品300の概略図を示す。図8は、異なるモードTM010およびTE112によって異なる電界パターンが生じる様子を示し、したがって、物品のエアロゾル形成基体部分304内で異なるレベルの電力消費が生じる。
【】
使用セッションを開始するためのエアロゾル発生装置200の起動後、モードTE112は、エアロゾル形成基体部分304の二つの別個の軸方向に分離された領域304a、304bを加熱するために、使用セッションの第一の部分で最初に起動されてもよく、一方で基体部分の外面および領域304a、304bの間の基体部分の領域は、ほとんど影響を受けない。使用セッションの第二の部分では、モードTM010は、モードTE112の代わりに起動されて、エアロゾル発生物品300のエアロゾル形成基体部分304の中央長軸方向軸に沿って均質な消費パターンを提供し得る。これにより、エアロゾル形成基体部分304の中心および外面に近い、これまでに影響を受けていない領域が枯渇する。したがって、共振空洞基体負荷の異なる電磁モードの起動を制御することで、使用セッションの持続時間にわたって基体の枯渇を制御する方法を提供することが理解されよう。
【】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的については、別段の表示がない限り、程度(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数は、すべての事例において「約」という用語によって修飾されることが理解される。また、すべての範囲は、開示した最大点および最小点を含み、かつその範囲内の任意の中間範囲を含み、これらは、本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数「A」は、「A」の「A」±10%として理解される。この文脈では、数「A」は、数「A」が修正する特性の測定値に関する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数「A」は、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによって「A」が逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示した最大点および最小点を含み、かつその範囲内の任意の中間範囲を含み、これらは、本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【図】
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【国際調査報告】

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