(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】
(54)【発明の名称】多層PCBスタックにおけるビア製造方法、および多層PCBスタック
(51)【国際特許分類】
【FI】
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】
(86)(22)【出願日】
(85)【翻訳文提出日】
(86)【国際出願番号】
(87)【国際公開番号】
(87)【国際公開日】
(32)【優先日】
(33)【優先権主張国・地域又は機関】
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 34,1119 NS Schiphol Rijk,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ペリン レミー
(72)【発明者】
【氏名】アームド アームド サーブリー エルテーハー
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317AA30
5E317BB01
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD11
5E317CD27
5E317CD40
5E317GG20
5E343AA02
5E343AA12
5E343AA17
5E343AA18
5E343BB24
5E343DD33
5E343DD43
5E343ER11
5E343GG20
(57)【要約】
複数の交互に配置された第1の誘電層(52)および第2の誘電層(54)を備える多層誘電PCBスタック(50)におけるビア製造方法であって、第1の誘電層(52)は、第1のガラス転移温度(Tg)を有する第1の誘電材料を含み、第2の誘電層(54)は、第1のガラス転移温度(Tg)よりも高い第2のガラス転移温度(Tg)を有する第2の誘電材料を含み、複数のビア(64)が、複数の第1の誘電層(52)および第2の誘電層(54)に形成(202、204)され、
方法は、
ビア(64)間の第1の誘電層(52)を少なくとも部分的に溶解する(206)工程と、
ビア(64)、および第1の誘電層(52)の少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した第2の誘電層(54)間の空間を金属(68、70)で充填し(208、210)、それによりビア(64)を相互接続する金属経路(72)を得る工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項】
複数の交互に配置された第1の誘電層および第2の誘電層を備える多層誘電PCBスタックにおけるビア製造方法であって、前記第1の誘電層は、第1のガラス転移温度を有する第1の誘電材料を含み、前記第2の誘電層は、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有する第2の誘電材料を含み、複数のビアが、前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層に形成され、
前記方法は、
前記ビア間の前記第1の誘電層を少なくとも部分的に溶解する工程と、
前記ビア、および前記第1の誘電層の前記少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した前記第2の誘電層間の空間を金属で充填し、それにより前記ビアを相互接続する金属経路を得る工程と
を含む、方法。
【請求項】
前記ビア間で前記第1の誘電層を前記少なくとも部分的に溶解する工程が、前記多層誘電PCBスタックに対して過マンガン酸塩デスミア処理を実行する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項】
前記金属で充填する工程が、
前記多層誘電PCBスタックへの無電解金属堆積を実行し、それにより前記複数のビアの内壁に第1の金属層を堆積させる工程であって、当該第1の金属層はまた、前記第1の誘電層の前記少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した前記第2の誘電層間の前記空間を充填する工程と、
前記多層誘電PCBスタックへの金属電気めっき充填を実行し、それにより前記複数のビアを第2の金属層で充填する工程と
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項】
前記第1の金属層および前記第2の金属層が銅を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項】
前記第1の誘電層がアクリルを含み、前記第2の誘電層がFR4を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項】
上部金属層を前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の上方に配置する工程と、
所定のパターンに従って前記上部金属層をエッチングし、それにより、下方に配置された前記第1の誘電層および前記第2の誘電層を覆う複数のマスキング領域を残し、前記第1の誘電層および前記第2の誘電層が前記上部金属層によって覆われていない対応する非被覆領域を残す工程と、
前記非被覆領域に対応して前記第1の誘電層および前記第2の誘電層を穿孔し、それにより前記複数のビアを形成する工程と
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項】
前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の下方に下部金属層を配置する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項】
前記上部金属層が銅を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項】
前記下部金属層が銅を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項】
前記第1の誘電層および前記第2の誘電層を穿孔する工程は、機械的穿孔またはレーザ穿孔を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項】
前記過マンガン酸塩デスミア処理が、第1のスウェラーステップ、第2の過マンガン酸塩エッチング、および第3の酸化マンガンの還元を含む、請求項2から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項】
複数の交互に配置された第1の誘電層および第2の誘電層であって、前記第1の誘電層が、第1のガラス転移温度を有する第1の誘電材料を含み、前記第2の誘電層が、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有する第2の誘電材料を含む、第1の誘電層および第2の誘電層と、
前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層に形成された複数のビアであって、前記第1の誘電層が、前記ビア間において少なくとも部分的に溶解されている、複数のビアと
を備え、
前記ビア、および前記第1の誘電層の前記少なくとも部分的な溶解によって空隙が残された前記第2の誘電層間の空間が金属で充填され、それにより、前記ビアを相互接続する金属経路が得られている、
多層PCBスタック。
【請求項】
前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の上方に配置された上部金属層と、前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の下方に配置された下部金属層とをさらに備える、請求項12に記載の多層PCBスタック。
【請求項】
前記上部金属層および前記下部金属層が銅を含む、請求項13に記載の多層PCBスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
多層PCBスタックにおけるビア製造方法、および多層PCBスタック
【背景技術】
【】
従来の多層PCB(プリント回路基板)は、ビア(穴)を使用して2つ以上の導電層を相互接続する。ビアは、誘電層に機械的またはレーザ穿孔され、次いで、誘電層の上方および下方にそれぞれ配置された少なくとも上部導電層および下部導電層を電気的および熱的に接続するために導電性メタライゼーション(例えば銅)でコーティングされた穴である。
【】
PCB埋め込みパワーダイの場合、最大の熱伝達および最小の電気抵抗を有するように、高密度のビアパターンで接続が行われる。
【】
実際、PCBでは、誘電層よりも良好な熱伝導率のために、熱が導電性経路をたどる。
【】
PCBの熱的性能を改善する1つの方法は、ビアのサイズおよび/またはビアの密度を増加させることである。そうするために、レーザ穿孔が使用されて、最小のビアの直径を有し、最大の数のビアで接続パッドを覆うようにする。この既知の技術は、穿孔、化学的銅堆積、および表面仕上げという連続的なステップを含む。
【】
ビアの形成において、より高いまたはより低い速度および/または精度によって、ビアの異なるサイズ、形状および深さを得ることを可能にする様々な穿孔技術が知られている。特許文献1は、同じ精度で異なるサイズの穴を得ることを可能にするレーザヘッドの詳細な穿孔経路を開示している。特許文献2は、ポリマー材料にキャビティを穿孔する技術を開示している。レーザヘッドは、接続する要素に応じて特定の形状を有するキャビティを形成するために特定の経路をたどる。特許文献3は、PCBの金属の密度を増加させ、それにより熱抵抗を改善することを可能にする連続的な穿孔および充填ステップを開示している。この技術は、より良好な熱的性能を提供するものの、複数の連続的なステップに起因して製造時間を増加させ、製造コストも増加させる。特許文献4は、PCB基板の金属の密度を増加させることによってより高い電流通過能力を得ることを可能にする、特定のハニカムまたは斜めに配置されたビアパッドを開示している。
【】
上述の解決策はすべて、ビアの相互接続の熱的制限を被っている。実際には、ビアの相互接続は、熱の拡散のための良好な直接的熱経路を局所的に提供しているが、PCBスタックに作成できるビアの数が穿孔技術によって制限されるために、上部および下部導電層の全表面を接触させることはできない(これは「離散的相互接続」と呼ばれる)。これは、PCBスタックを介した全体的な熱伝導を制限し、直接的なはんだの相互接続(「銀焼結」または「金属系はんだ」)と比較してより高い熱抵抗をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【】
【特許文献】米国特許第5,614,114号
【特許文献】米国特許第4,894,115号
【特許文献】欧州特許出願公開第4095898号
【特許文献】米国特許第5,764,485号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【】
このような状況を改善することを目的とする。特に、上部および下部導電層の間の金属の密度を増加させ、PCBスタックからのより良好な熱抽出を得ることを可能にし、ビアの相互接続の固有の熱抵抗を低減できる解決策を提案することによって、上述した従来技術の制限の少なくとも一部または全部に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【】
この目的のために、複数の交互に配置された第1の誘電層および第2の誘電層を備える多層誘電PCBスタックにおけるビア製造方法に関し、第1の誘電層は、第1のガラス転移温度(Tg)を有する第1の誘電材料を含み、第2の誘電層は、第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度(Tg)を有する第2の誘電材料を含み、複数のビアが、複数の第1の誘電層および第2の誘電層に形成され、
方法は、
ビア間の第1の誘電層を少なくとも部分的に溶解する工程と、
ビア、および第1の誘電層の少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した第2の誘電層間の空間を金属で充填し、それによりビアを相互接続する金属経路を得る工程と
を含む。
【】
実施形態において、ビア間の第1の誘電層を少なくとも部分的に溶解するために、多層誘電PCBスタックに対して過マンガン酸塩デスミア処理が実行される。
【】
実施形態において、ビアを金属で充填するために、多層誘電PCBスタックへの無電解金属堆積が実行され、それにより複数のビアの内壁に第1の金属層を堆積し、第1の金属層はまた、第1の誘電層の少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した第2の誘電層間の空間を充填し、次いで、多層誘電PCBスタックへの金属電気めっき充填が実行され、それにより複数のビアを第2の金属層で充填する。
【】
実施形態において、第1の金属層(68)および第2の金属層(70)は銅を含む。
【】
実施形態において、第1の誘電層はアクリルを含み、第2の誘電層はFR4を含む。
【】
実施形態において、複数のビアを得る工程は、
上部金属層を複数の第1の誘電層および第2の誘電層の上方に配置する工程と、
所定のパターンに従って上部金属層をエッチングし、それにより、下方に配置された第1の誘電層および第2の誘電層を覆う複数のマスキング領域を残し、第1の誘電層および第2の誘電層が上部金属層によって覆われていない対応する非被覆領域を残す工程と、
非被覆領域に対応して第1の誘電層および第2の誘電層を穿孔し、それにより複数のビアを得る工程と
を含む。
【】
実施形態において、複数の第1の誘電層および第2の誘電層の下方に、下部金属層が配置される。
【】
実施形態において、上部金属層は銅を含む。
【】
実施形態において、下部金属層は銅を含む。
【】
実施形態において、第1の誘電層および第2の誘電層を穿孔する工程は、機械的穿孔またはレーザ穿孔を含む。
【】
実施形態において、過マンガン酸塩デスミア処理は、第1のスウェラーステップ、第2の過マンガン酸塩エッチング、および第3の酸化マンガンの還元を含む。
【】
また、本明細書では多層PCBスタックが提供され、この多層PCBスタックは、
複数の交互に配置された第1の誘電層および第2の誘電層であって、第1の誘電層が、第1のガラス転移温度(Tg)を有する第1の誘電材料を含み、第2の誘電層が、第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度(Tg)を有する第2の誘電材料を含む、第1の誘電層および第2の誘電層と、
複数の第1の誘電層および第2の誘電層に穿孔された複数のビアであって、第1の誘電層が、ビア間において少なくとも部分的に溶解されている、複数のビアと
を備え、
ビア、および第1の誘電層の少なくとも部分的な溶解によって空隙が残された第2の誘電層間の空間は金属で充填され、それにより、ビアを相互接続する金属経路が得られている。
【】
実施形態において、多層PCBスタックは、複数の第1の誘電層および第2の誘電層の上方に配置された上部金属層と、複数の第1の誘電層および第2の誘電層の下方に配置された下部金属層とをさらに備える。
【】
実施形態において、多層PCBスタックの上部金属層および下部金属層は銅を含む。
【】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、単に非限定的な例として提供される以下の説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】PCBスタックを穿孔する3つの異なる方法を示す。
【図】過マンガン酸塩デスミア工程の3つのステップの間に起こる化学反応を示す。
【図】過マンガン酸塩デスミア工程の3つのステップの間に起こる化学反応を示す。
【図】過マンガン酸塩デスミア工程の3つのステップの間に起こる化学反応を示す。
【図】本発明による多層PCBスタックにおけるビア製造方法のステップを示す。
【図】金属経路を含む多層PCBスタックの三次元的な図を示す。
【図】金属経路を含まないPCBスタックの三次元的な図を示す。
【図】デスミア処理が適用される前の第1の構成における第1の多層PCBスタックサンプルの断面図を示す。
【図】金属電気めっき充填ステップの終了時の、図6Aの第1のサンプルを示す。
【図】デスミア処理が適用される前の第2の構成における第2の多層PCBスタックサンプルの断面図を示す。
【図】金属電気めっき充填ステップ210の終了時の、図7Aの第2のサンプルを示す。
【図】金属電気めっき充填ステップの終了時の基準スタックの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【】
ビア相互接続の熱の挙動を改善する、多層PCBスタックにおけるビア製造方法
【】
ビアは、PCBスタックを形成する誘電材料の層の穴であり、この誘電材料は上部導体層と下部導体層という2つの導体層を絶縁する。これら上部導体層および下部導体層はそれぞれ、このような誘電材料の上方および下方に配置されている。誘電(エポキシ樹脂系)材料は、例えばアクリル系、ポリイミド系、ポリプロピレン系とすることができる。
【】
機械的にまたはレーザによって行われるビアの穿孔は、常に洗浄化学浴(デスミアと呼ばれる)が続く。化学浴は、穿孔ステップの間にビアの中に生じた燃焼された誘電材料の一部、および/または穿孔ステップの終了時にビアの中に残されているあらゆる残留物を除去する。さらに、化学浴は、ビアの内壁を洗浄するので、以下に詳述するように、導電層の粗さを向上させることによって、ビアにおいて続いて堆積される金属の接着性を促進する。洗浄化学浴は、通常、酸化化学反応を用いてビアの縁部を粗面化する過マンガン酸塩系浴である。
【】
図1は、PCBスタックを穿孔する3つの異なる方法を示す。特に、図1の部分(a)には、UVレーザのプロセスが示されており、図1の部分(b)には、CO2レーザのプロセスが示されており、図1の部分(c)には、エキシマレーザのプロセスが示されている。
【】
図1の部分(a)は、PCBスタック1が作成される初期段階100aを示し、断面図で示されたPCBスタック1は、下部導電層6が間に配置された基板4に配置された誘電層2と、誘電層2の上方に配置されたRCC(樹脂被覆銅)層8とを含む。次の段階102aでは、RCC層8がUVレーザでエッチングされ、開口部10が形成される。段階104aでは、UVレーザアブレーションが実行され、それにより誘電層2をエッチングして穴(ビア)12を形成する。次に、段階106aにおいて、デスミアおよびメタライゼーションプロセスが実行され、さらにPCBスタック1の上部にマスク14が配置される。次に、段階108aでは、PCBスタック1および穴12を金属層16で覆うために金属堆積が実行され、最後に、段階110aでは、マスク14、およびマスク14の下にあったRCC層8の一部を除去するために、最終エッチングが実行される。
【】
図1の部分(b)は、先に開示した段階100aに対応する初期段階100bを示す。次の段階102bでは、化学的銅還元が行われ、開口部10が形成される。段階104bでは、CO2レーザアブレーションが実行され、それにより穴12が得られる。段階106b、108bおよび110bは、上に開示された段階106a、108aおよび110aに対応する。
【】
図1の部分(c)は、誘電基板(層)20が設けられた初期段階100cを示す。段階102cでは、UVレーザアブレーションが実行され、それにより穴(ビア)22をエッチングする。段階104cでは、デスミアおよびメタライゼーションプロセスが実行され、穴22の中および基板20の上部に金属層24が堆積される。次の段階106cでは、エキシマレーザ処理が実行され、次いで、マスク26が基板20の上下に配置される。段階108cでは、基板20および穴22を金属層28で覆うために金属堆積が実行される。最後に、段階110cにおいて、マスク26を除去するために最終エッチングが実行される。
【】
上に開示されたデスミア処理で用いられる過マンガン酸塩は、低いTg(ガラス転移温度)、すなわち、例えばアクリルなどの100°C未満という温度の値の材料に対するより速い侵食を呈し、材料の深いエッチングをもたらす。溶解速度は、誘電材料の関数である。
【】
したがって、さらに詳細に開示される、本発明の多層PCBスタックにおけるビア製造方法によれば、異なるTg値を有する材料を使用してPCBスタックを作成して、デスミア処理において制御されたビア(キャビティ)を得られるようにし、次いで、金属堆積プロセスを通じてそのようなキャビティを金属(例えば、銅)で充填できるようにする。
【】
したがって、結果として得られる多層PCBスタックはより高い密度の金属を含み、したがってより良好な熱的性能を導く。
【】
デスミアは、ビアの内壁への金属の適切な接着を確実にするために金属堆積(金属めっき)の前に実行する重要なプロセスである。デスミア処理の最中に、湿式処理が施される。
【】
湿式処理の中でも、アルカリ性過マンガン酸塩エッチングは、1980年代に開発され、効率的で安価であり、最も広く使用されているデスミア処理プロセスであり続けている。過マンガン酸塩エッチングは、クロム酸エッチングよりも環境に優しく、幅広い種類のポリマーおよび複合材料に容易に適用可能であるという利点を呈する。
【】
過マンガン酸塩デスミア処理(工程)は、3つのステップ、すなわち第1のスウェラーステップ、第2の過マンガン酸塩エッチング、および第3の酸化マンガンの還元からなる。
【】
図2A~図2Cは、過マンガン酸塩デスミア工程の3つのステップの間に起こる化学反応を示す。
【】
特に、図2Aで、スウェラー分子30がエポキシポリマーネットワークを介して拡散し、図2Bで、過マンガン酸イオンMnO42-が表面からポリマーを侵食し、ポリマー表面にキャビティをもたらし(点線32を参照)、図2Cの式で、MnO2がヒドロキシルアンモニウム(または過酸化物)による還元によって反応的に溶解し、マンガンイオン水溶液および気体窒素(または水)を生じる。
【】
酸化エッチング浴の間、過マンガン酸イオンは、静電相互作用に起因して以前に形成されたクラスタのポリマー鎖を優先的に侵食する。
【】
実際、過マンガン酸イオンは、アルコール基およびエーテル基の両方のα位の炭素を侵食し、酸素からの誘導効果は、隣接する炭素-炭素結合の弱化をもたらすと判断されてきた。酸化の条件が強いと、エポキシの場合、隣接する炭素-炭素結合を弱め、表面から数マイクロメートルの厚さを除去することにより、焼損したエポキシの変化に至る。
【】
図3は、本発明による多層PCBスタックにおけるビア製造方法のステップを示す。
【】
多層誘電PCBスタック50、すなわち複数の交互に配置された第1の誘電層52および第2の誘電層54を備えるPCBスタックが第1のステップ200で得られ、断面図で図3の上部に示されている。
【】
有利なことに、第1の誘電層52は、アクリルなどの低Tgの第1の誘電材料を含み、第2の誘電層54は、難燃性タイプ4(FR4)などの高Tgの第2の誘電材料を含む。本明細書において、「低Tg」という表現は、100°Cの閾値以下のガラス転移温度を指す。同様に、「高Tg」という表現は、そのような100°Cという閾値よりも高いガラス転移温度を指す。すなわち、「高Tg」(第1のTg)で表されるガラス転移温度は、「低Tg」(第2のTg)よりも高い。多層PCBスタック50は、第1の誘電層52および第2の誘電層54のスタック(以下、誘電スタックと呼ぶ)の上方および下方にそれぞれ配置された、好ましくは銅で作られた上部金属層56および下部金属層58をさらに含む。
【】
第2のステップ202において、上部金属層56は、所定のパターンに従ってエッチングされ、これにより、下方に配置された誘電スタックを覆う複数のマスキング領域60が残り、誘電スタックが上部金属層56によって覆われていない対応する非被覆領域62が残る。
【】
次に、ステップ204において、非被覆領域62に対応して誘電スタックが機械的またはレーザ穿孔され、これにより複数のビア(穴)64を得る。
【】
さらなるステップ206において、多層PCBスタック50において過マンガン酸塩デスミア処理(すなわち、上に開示された3つの浴を含む工程)が実行され、次いでステップ208において、多層PCBスタック50に対して無電解金属堆積が実行され、これにより複数のビア64の内壁において第1の金属層68、好ましくは銅を堆積する。
【】
過マンガン酸塩デスミア処理の間、第1の誘電層52は少なくとも部分的(第1の誘電層52の一部)に溶解し、無電解金属堆積208が実行されると、第1の金属層68はまた、第1の誘電層52の少なくとも部分的な溶解によって空隙が残された第2の誘電層54間の空間を充填する。
【】
あるいは、第1の誘電層52は完全に溶解する。
【】
その結果、フィスト誘電層52に対応して、誘電スタック内へと少なくとも部分的に進入する、ビア64の周りの金属リングが形成される。
【】
最後に、ステップ210において、多層PCBスタック50に対して金属電気めっき充填が実行され、このようにして複数のビア64を第2の金属層70、好ましくは銅で充填する。
【】
多層PCBスタック50において、異なるTgを有する第1の誘電層52および第2の誘電層54が交互に配置されることにより、ビア64は、溶解した第1の誘電層52に代わり第1の金属層68によって構成される金属経路72(図4参照)を介して、相互接続される。
【】
したがって、多層PCBスタック50は、デスミア処理の間における異なるエッチング速度を得るために、異なるTgを有する材料(第1の誘電層52および第2の誘電層54)の挟み合わせを含む。これにより、デスミア処理の間に第1の誘電層52が浸食され、次いで、無電解堆積ステップ208および電気めっき充填ステップ210において、ビア64、および第2の誘電層54間の空間が、金属で充填される。
【】
図4は、上に開示された金属経路72を含む多層PCBスタック50の三次元的な図を示し、対して図5は、そのような金属経路72を含まない従来技術のPCBスタック50’の三次元的な図を示す。図5では、図4の構成要素に対応するいくつかの参照符号が記載されている。
【】
図4に示すように、図5のPCBスタック50’と比較して、第2の誘電層54間の空間を充填し、第1の誘電層52によって以前に占有されていた第1の金属層68は、複数のビア64を相互接続し且つ上部金属層56と下部金属層58との間に配置される金属経路52をもたらす。
【】
表1は、第1の誘電層52および第2の誘電層54に使用することができる異なる誘電材料を、それらのそれぞれのTg値と共に挙げている。
【】
デスミア処理において最良のパフォーマンスを得るために、フィスト誘電層52(より低いTg値を有するもの)の材料が、第2の誘電層54(より高いTg値を有するもの)の材料よりもはるかに多く溶解するように、それぞれのTg値の差が大きい材料を、それぞれ第1および第2の誘電層52、54の材料として選択すべきである。
【】
【】
PCB埋め込みパワーダイに関連して、ダイの上面および/または底面の金属の密度を増加させることは、パッケージの全体的な熱伝達係数を高め、接合部を周囲の熱抵抗(RthJA)の値に向けて低減させるのに役立つ。
【】
FEM解析が、多層PCBスタックサンプル(上に開示された多層PCBスタック50に対応する)について実行され、誘電層としてただ1つの材料が使用される基準PCBスタックサンプル(上で示したPCBスタック50’に対応する)と比較されている。
【】
図6Aは、ステップ206においてデスミア処理が適用される前の第1の構成における第1の多層PCBスタックサンプル50aの断面図を示し、このような第1の構成において、第1の誘電層52のみが存在する。
【】
上に開示された多層PCBスタック50の構成要素に対応する要素は、同じ参照符号で示されている。
【】
図6Bは、金属電気めっき充填ステップ210の終了時の図6Aの第1の多層PCBスタックサンプル50aを示しており、第1の金属層68および第2の金属層70は、デスミア処理の間に第1の誘電層52から洗浄された空間を満たしている。
【】
図7Aは、ステップ206においてデスミア処理が適用される前の第2の構成における第2の多層PCBスタックサンプル50bの断面図を示し、そのような第2の構成では、3つの第1の誘電層52が存在する。
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図7Bは、金属電気めっき充填ステップ210の終了時の図7Aの第2の多層PCBスタックサンプル50bを示しており、第1の金属層68および第2の金属層70は、デスミア処理の間に第1の誘電層52から洗浄された空間を満たしている。
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図8は、金属電気めっき充填ステップ210の終了時の基準PCBスタックサンプル50cの断面図を示す。基準スタック50cは、上部導電層56’と、単一の誘電材料で構成されたビア64’とを含む。
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第1および第2の多層PCBスタックサンプル50a、50bでは、底面において、多層PCBスタックサンプル50a、50bを外部層に相互接続するビア64がまた、単一のフィン74aまたは3つのフィン74bによって、相互接続されている。
【】
第1および第2の多層PCBスタックサンプル50a、50bにおける材料の厚さは、入手可能な材料の仕様に従って選択されており、特に、パナソニックR1766からのFR4が(150°CのTgを有する)第2の誘電層54として採用され、デュポンLF100からのアクリル層が(45°CのTgを有する)第1の誘電層52として採用されている。
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表2~4は、基準PCBスタックサンプル50cおよび2つの構成における多層PCBスタックサンプル50a、50bの接合部の、周囲に対する熱抵抗(RthJA)の値を示し、埋め込みダイの内部およびパッケージの底面に位置する最高接合部温度および最低接合部温度が示されている。「Rth利点」の欄には、基準PCBスタックサンプル50cに対する多層PCBスタックサンプル50a、50bの接合部の、周囲に対する熱抵抗の値の改善の割合が示されている。
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表2~4に示すように、FEMシミュレーションの結果は、埋め込みダイの片面に適用された場合のRthJAの値の明確な改善を示している(3つのフィンについて25%)。このような改善は、この技術をダイの両面に適用することによって高めることができる。さらに、より多数のフィンを介して金属の密度を増加させることにより、熱抽出、したがってRthJAがさらに改善される。
【】
本発明による方法はまた、PCBスタック自体の製造技術を変更しないので、標準的なプロセスステップを実行して多層PCBスタックを製造できるという利点を有する。ビア相互接続の熱的挙動の改善は、多層誘電スタックを製造するために使用される材料の選択に起因し、デスミア処理の間に第1の誘電層52の浸食を発生させ、さらに金属で充填する。
【】
明らかに、本発明の原理は維持した上で、実施形態および製造の詳細は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の保護の範囲から逸脱することなく、純粋に非限定的な例として説明および例示されたものから大きく変更させることができる。
【図】
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【図】
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【図】
【図】
【図】
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【手続補正書】
【提出日】
【手続補正】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】
複数の交互に配置された第1の誘電層および第2の誘電層を備える多層誘電PCBスタックにおけるビア製造方法であって、前記第1の誘電層は、
100°Cの閾値以下の第1のガラス転移温度を有する第1の誘電材料を含み、前記第2の誘電層は、
前記100°Cの閾値よりも高い第2のガラス転移温度を有する第2の誘電材料を含み、複数のビアが、前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層に形成され、
前記方法は、
前記多層誘電PCBスタックに対して過マンガン酸塩デスミア処理を実行することで前記ビア間の前記第1の誘電層を少なくとも部分的に溶解する工程と、
前記ビア、および前記第1の誘電層の前記少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した前記第2の誘電層間の空間を
電気めっきによって金属で充填し、それにより前記ビアを相互接続する金属経路を得る工程と
を含む、方法。
【請求項】
前記金属で充填する工程が、
前記多層誘電PCBスタックへの無電解金属堆積を実行し、それにより前記複数のビアの内壁に第1の金属層を堆積させる工程であって、当該第1の金属層はまた、前記第1の誘電層の前記少なくとも部分的な溶解によって空隙を残した前記第2の誘電層間の前記空間を充填する工程と、
前記多層誘電PCBスタックへの金属電気めっき充填を実行し、それにより前記複数のビアを第2の金属層で充填する工程と
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項】
前記第1の金属層および前記第2の金属層が銅を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項】
前記第1の誘電層がアクリルを含み、前記第2の誘電層がFR4を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項】
上部金属層を前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の上方に配置する工程と、
所定のパターンに従って前記上部金属層をエッチングし、それにより、下方に配置された前記第1の誘電層および前記第2の誘電層を覆う複数のマスキング領域を残し、前記第1の誘電層および前記第2の誘電層が前記上部金属層によって覆われていない対応する非被覆領域を残す工程と、
前記非被覆領域に対応して前記第1の誘電層および前記第2の誘電層を穿孔し、それにより前記複数のビアを形成する工程と
をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項】
前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の下方に下部金属層を配置する工程をさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項】
前記上部金属層が銅を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項】
前記下部金属層が銅を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項】
前記第1の誘電層および前記第2の誘電層を穿孔する工程は、機械的穿孔またはレーザ穿孔を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項】
前記過マンガン酸塩デスミア処理が、第1のスウェラーステップ、第2の過マンガン酸塩エッチング、および第3の酸化マンガンの還元を含む、請求項
1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項】
複数の交互に配置された第1の誘電層および第2の誘電層であって、前記第1の誘電層が、第1のガラス転移温度を有する第1の誘電材料を含み、前記第2の誘電層が、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有する第2の誘電材料を含む、第1の誘電層および第2の誘電層と、
前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層に形成された複数のビアであって、前記第1の誘電層が、前記ビア間において少なくとも部分的に溶解されている、複数のビアと
を備え、
前記ビア、および前記第1の誘電層の前記少なくとも部分的な溶解によって空隙が残された前記第2の誘電層間の空間が金属で充填され、それにより、前記ビアを相互接続する金属経路が得られている、
多層PCBスタック。
【請求項】
前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の上方に配置された上部金属層と、前記複数の第1の誘電層および第2の誘電層の下方に配置された下部金属層とをさらに備える、請求項1
1に記載の多層PCBスタック。
【請求項】
前記上部金属層および前記下部金属層が銅を含む、請求項1
2に記載の多層PCBスタック。
【手続補正】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【】
その結果、第1の誘電層52に対応して、誘電スタック内へと少なくとも部分的に進入する、ビア64の周りの金属リングが形成される。
【手続補正】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【】
図4に示すように、図5のPCBスタック50’と比較して、第2の誘電層54間の空間を充填し、第1の誘電層52によって以前に占有されていた第1の金属層68は、複数のビア64を相互接続し且つ上部金属層56と下部金属層58との間に配置される金属経路72をもたらす。
【手続補正】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【】
デスミア処理において最良のパフォーマンスを得るために、第1の誘電層52(より低いTg値を有するもの)の材料が、第2の誘電層54(より高いTg値を有するもの)の材料よりもはるかに多く溶解するように、それぞれのTg値の差が大きい材料を、それぞれ第1および第2の誘電層52、54の材料として選択すべきである。
【国際調査報告】