再表2013-145865IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月3日
【発行日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20151113BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20151113BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   B28B1/30 101
   H01G13/00 351Z
   B32B27/00 L
   B32B27/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2013-536357(P2013-536357)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年2月4日
(11)【特許番号】特許第5492353号(P5492353)
(45)【特許公報発行日】2014年5月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-73681(P2012-73681)
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】深谷 知巳
(72)【発明者】
【氏名】市川 慎也
【テーマコード(参考)】
4F100
4G052
5E082
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AK25B
4F100AK42
4F100AK52B
4F100AL05B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100DD01A
4F100DD01B
4F100GB41
4F100JB14B
4F100JK07B
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4F100JL14
4F100JL14B
4F100YY00A
4F100YY00B
4G052DA02
4G052DB01
5E082LL01
5E082MM13
(57)【要約】
基材11と、基材11の片側に設けられた剥離剤層12とを備えたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム1であって、剥離剤層12は、活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分を含む剥離剤組成物の硬化物であり、剥離剤層12の基材11とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が8nm以下であり、かつ最大突起高さ(Rp)が50nm以下であり、剥離剤層12のナノインデンテーション試験により測定される弾性率が4.0GPa以上であり、基材11の剥離剤層12とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が5〜50nmであり、かつ最大突起高さ(Rp)が30〜500nmであるセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム1。かかるセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム1によれば、セラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生することを防止・抑制することができ、さらにはセラミックグリーンシートの剥離性にも優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムであって、
前記剥離剤層は、活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分を含む剥離剤組成物の硬化物であり、
前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が8nm以下であり、かつ最大突起高さ(Rp)が50nm以下であり、
前記剥離剤層のナノインデンテーション試験により測定される弾性率が4.0GPa以上であり、
前記基材の前記剥離剤層とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が5〜50nmであり、かつ最大突起高さ(Rp)が30〜500nmである
ことを特徴とするセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項2】
前記剥離剤組成物中における前記シリコーン系成分の、前記活性エネルギー線硬化性成分および前記シリコーン系成分の合計質量に対する質量割合は、0.7〜5質量%であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項3】
前記シリコーン系成分は、反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項4】
前記活性エネルギー線硬化性成分は、(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸エステルは、三官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項6】
前記剥離剤層の厚さは、0.3〜2μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシートを製造する工程で使用する剥離フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板といった積層セラミック製品を製造するには、セラミックグリーンシートを成形し、得られたセラミックグリーンシートを複数枚積層して焼成することが行われている。
【0003】
セラミックグリーンシートは、チタン酸バリウムや酸化チタンなどのセラミック材料を含有するセラミックスラリーを剥離フィルム上に塗工することにより成形される。剥離フィルムとしては、フィルム基材にポリシロキサン等のシリコーン系化合物が剥離処理されたものが使用されている。この剥離フィルムには、当該剥離フィルム上に成形した薄いセラミックグリーンシートを当該剥離フィルムから破断等することなく剥離できる剥離性が要求される。
【0004】
近年、電子機器の小型化および高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板の小型化および多層化が進み、セラミックグリーンシートの薄膜化が進んでいる。セラミックグリーンシートが薄膜化して、その乾燥後の厚みが、例えば3μm以下となると、セラミックスラリーを塗工し乾燥させたときに、セラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生し易くなる。また、成形したセラミックグリーンシートを剥離フィルムから剥離するときに、セラミックグリーンシートの強度低下による破断等の不具合が発生し易くなる。
【0005】
前者の問題を解決するために、特許文献1には、キャリアフィルム(剥離フィルム)として、セラミックスラリーの塗布面におけるJIS B0601で定義される最大高さRmaxが0.2μm以下の表面を有するものを使用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−203822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように最大高さRmaxを規定した剥離フィルムを使用しても、薄膜化したセラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生することを効果的に防止することはできなかった。また、薄膜化したセラミックグリーンシートを剥離フィルムから剥離するときに、セラミックグリーンシートが破断する等の不具合は依然としてあった。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、セラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生することを防止・抑制することができ、さらにはセラミックグリーンシートの剥離性にも優れたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムであって、前記剥離剤層は、活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分を含む剥離剤組成物の硬化物であり、前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が8nm以下であり、かつ最大突起高さ(Rp)が50nm以下であり、前記剥離剤層のナノインデンテーション試験により測定される弾性率が4.0GPa以上であり、前記基材の前記剥離剤層とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が5〜50nmであり、かつ最大突起高さ(Rp)が30〜500nmであることを特徴とするセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムを提供する(発明1)。
【0010】
発明(発明1)によれば、主として活性エネルギー線硬化性成分の硬化物によって、剥離剤層の表面が高平滑となり、セラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生することを効果的に防止・抑制することができる。また、剥離剤層がシリコーン系成分またはその硬化物を含有するとともに、剥離剤層の弾性率がのように規定されることによって、当該セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムからセラミックグリーンシートを正常に剥離することができる。さらには、基材の裏面が所定の粗さを有することで、ブロッキングの発生、あるいは搬送時の蛇行や、巻取り時の巻きずれなどを効果的に抑制しつつ、基材の裏面の突起に起因したセラミックグリーンシートにおける欠陥の発生を抑制することができる。
【0011】
発明(発明1)において、前記剥離剤組成物中における前記シリコーン系成分の、前記活性エネルギー線硬化性成分および前記シリコーン系成分の合計質量に対する質量割合は、0.7〜5質量%であることが好ましい(発明2)。
【0012】
発明(発明1,2)において、前記シリコーン系成分は、反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであることが好ましい(発明3)。
【0013】
発明(発明1〜3)において、前記活性エネルギー線硬化性成分は、(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい(発明4)。
【0014】
発明(発明4)において、前記(メタ)アクリル酸エステルは、三官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい(発明5)。
【0015】
発明(発明1〜5)において、前記剥離剤層の厚さは、0.3〜2μmであることが好ましい(発明6)。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムによれば、剥離剤層の表面が高平滑となり、セラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生することを効果的に防止・抑制することができ、さらにはセラミックグリーンシートとの剥離性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一剥離フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム(以下、単に「剥離フィルム」という場合がある。)1は、基材11と、基材11の第1の面(図1では上面)の上に積層された剥離剤層12とを備えて構成される。
【0019】
本剥離フィルム1における基材11としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような基材11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を効果的に防止することができる。
【0020】
また、この基材11においては、その第1の面に設けられる剥離剤層12との密着性を向上させる目的で、第1の面に、酸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
【0021】
基材11の厚さは、通常10〜300μmであればよく、好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜125μmである。
【0022】
基材11の第1の面における算術平均粗さ(Ra)は、2〜50nmであることが好ましく、特に5〜30nmであることが好ましい。また、基材11の第1の面における最大突起高さ(Rp)は、10〜700nmであることが好ましく、特に30〜500nmであることが好ましい。基材11の第1の面における算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)をの範囲に設定することで、剥離剤層12の表面における算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)を後述する範囲内におさめることが容易となる。
【0023】
一方、基材11の第2の面(第1の面と反対側の面;図1では下面;「裏面」という場合がある。)における算術平均粗さ(Ra)は、5〜50nmであり、10〜30nmであることが好ましい。また、基材11の第2の面における最大突起高さ(Rp)は、30〜500nmであり、50〜300nmであることが好ましい。
【0024】
基材11の第2の面の算術平均粗さ(Ra)が5nm未満であると、当該第2の面が平滑過ぎることとなり、剥離フィルム1の巻き取り時に基材11の第2の面と高平滑な剥離剤層12とが密着して、ブロッキングが発生し易くなる。一方、基材11の第2の面の算術平均粗さ(Ra)が50nmを超えると、基材11の第2の面の最大突起高さ(Rp)をの好ましい低い範囲におさめることが困難になる。
【0025】
基材11の第2の面における最大突起高さ(Rp)が500nmを超えると、セラミックグリーンシート成形後に巻き取ったときに、当該セラミックグリーンシートに密着する基材11の第2の面の突起形状がセラミックグリーンシートに転写され、セラミックグリーンシートが部分的に薄くなり、当該セラミックグリーンシートを積層してコンデンサを作製したときに、短絡による不具合が生じるおそれがある。一方、基材11の第2の面の最大突起高さ(Rp)が30nm未満であると、基材11の第2の面の凹凸が均一となり、当該第2の面が平坦になるため、剥離剤層12を形成する工程等で、基材11がロールに接する面で空気を巻き込みやすくなる。その結果、搬送している基材11が蛇行したり、ロール状に巻き取る際に巻きずれを生じたりすることがある。
【0026】
また、基材11の第2の面における算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)をのような範囲とすると、巻取り時の巻きずれを効果的に抑制することができるため、巻き取り張力を高める必要がなく、それにより、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形を抑制することが可能となる。
【0027】
なお、基材11の第1の面と逆の面に、後述する剥離剤層12と同じ層を設けたり、または剥離剤層12とは異なる層を設けたりしてもよく、この場合、基材11の第2の面は、これらの層の面のうち、基材11側とは反対側の面を指す。
【0028】
基材11の第1の面の最大突起高さ(Rp)と第2の面の最大突起高さ(Rp)のいずれもがの好ましい範囲にあるフィルムを得るために、基材11として、基材11の第1の面の最大突起高さ(Rp)と、第2の面の最大突起高さ(Rp)とが異なる、すなわち表裏異粗度のものを使用してもよいし、第1の面の最大突起高さ(Rp)と、第2の面の最大突起高さ(Rp)とが実質的に同一の、すなわち表裏同粗度のものを使用してもよい。
【0029】
本剥離フィルム1における剥離剤層12は、活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分を含む剥離剤組成物(以下「剥離剤組成物C」という。)を硬化させた硬化物である。かかる剥離剤組成物Cによれば、主として活性エネルギー線硬化性成分の硬化物によって、基材11の第1の面に存在する突起相互間の凹部分を効果的に埋めて、得られる剥離剤層12の表面を高平滑化することができ、また、シリコーン系成分またはその硬化物によって、剥離剤層12の表面に適度な剥離性を付与することができる。さらに、剥離フィルム1の製造の際に、活性エネルギー線の照射によって剥離剤組成物Cの塗膜を硬化させることができるため、たとえば熱硬化性の剥離剤組成物を用いた場合と比べ、基材の縮みや変形といったダメージの発生を抑制することができる。
【0030】
なお、従来のシリコーン樹脂系剥離剤は、基材11の表面形状に追従し易く、剥離剤組成物Cのような平滑化効果は得られない。従来より、特定の樹脂フィルム、特にポリエステル系フィルムにおいては、表面の易滑性や機械的強度を付与するために充填材の添加が必須であるが、フィルムの製膜方法の改良により、かかる充填材に起因した高さの高い突起の密度を小さくすることには限界があった。これに対し、のように活性エネルギー線硬化性成分の硬化物によって剥離剤層12の表面を高平滑化することにより、剥離剤層12の表面における高さの高い突起の密度を低減し、高度に平滑な表面を有する剥離フィルム1を得ることができる。また、従来のシリコーン樹脂系剥離剤によって形成した剥離剤層は、弾性率が低く変形し易いため、成形したセラミックグリーンシートを剥離する際に、剥離剤層が変形してセラミックグリーンシートに追従し、それにより剥離力が増大して、セラミックグリーンシートを正常に剥離できないことがある。
【0031】
剥離剤組成物Cの活性エネルギー線硬化性成分は、本発明の効果を妨げることなく、活性エネルギー線の照射によって硬化する成分であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。この活性エネルギー線硬化性成分は、(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。剥離剤層12の主成分が(メタ)アクリル酸エステル系成分の硬化物であると、当該剥離剤層12において、セラミックスラリーのはじきが発生し難くなる。
【0032】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、多官能の(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリレートオリゴマーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特に、三官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリレートオリゴマーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらには、三官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。三官能以上であることで、剥離剤組成物Cの硬化性が優れたものとなり、また、得られる剥離剤層12の表面の剥離性がより優れたものとなる。
【0033】
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエーテルアクリレート系オリゴマー、ポリブタジエンアクリレート系オリゴマー、シリコーンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
【0035】
ポリエステルアクリレート系オリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0036】
エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、エポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。
【0037】
ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0038】
ポリエーテルアクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0039】
の多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、それぞれ1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、多官能(メタ)アクリレートモノマーと多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとを組み合わせて用いることもできる。
【0040】
剥離剤組成物Cにおいて、活性エネルギー線硬化性成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
剥離剤組成物Cのシリコーン系成分は、本発明の効果を妨げることなく、剥離剤層12の表面に所望の剥離性を付与することができるものであれば特に制限されず、ポリオルガノシロキサン、好ましくは反応性官能基を有するポリオルガノシロキサン、特に好ましくは反応性官能基を有するポリジメチルシロキサンが使用される。反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンを使用すると、活性エネルギー線の照射により、または別途の反応工程(例えば加熱工程)により、反応性官能基が反応して、ポリオルガノシロキサン(シリコーン系成分)が架橋構造に組み込まれ、固定されることとなる。これにより、剥離剤層12中のシリコーン系成分が、剥離剤層12上に成形されたセラミックグリーンシートに転着することが抑制される。
【0042】
反応性官能基は、ポリオルガノシロキサンの片末端に導入されていてもよいし、両末端に導入されていてもよいし、側鎖に導入されていてもよい。反応性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、水酸基等が挙げられ、中でも、活性エネルギー線硬化性成分の硬化時(活性エネルギー線照射時)に同時に硬化が可能である(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびマレイミド基が好ましい。これらの反応性官能基は、ポリオルガノシロキサン1分子中に、少なくとも2つ以上導入されていることが好ましい。また、これらの反応性官能基は、ポリオルガノシロキサン1分子中に、2種以上導入されていてもよい。
【0043】
なお、剥離剤組成物Cにおいて、シリコーン系成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
剥離剤組成物C中におけるシリコーン系成分の、活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分の合計質量に対する質量割合は、0.7〜5質量%であることが好ましく、特に1.0〜2.5質量%であることが好ましい。シリコーン系成分の質量割合をの範囲にすることで、剥離剤層12の表面にセラミックスラリーをはじくことなく塗布することができ、かつ、形成されたセラミックグリーンシートを破断させることなく容易に剥離することができ、剥離剤層12が剥離性に優れたものとなる。シリコーン系成分の質量割合が0.7質量%未満であると、剥離剤層12が十分な剥離性能を発揮できないおそれがある。一方、シリコーン系成分の質量割合が5質量%を超えると、剥離剤層12が硬化し難くなり、また、剥離剤層12の弾性率が低くなり過ぎるおそれがある。さらには、剥離剤層12の表面にセラミックスラリーを塗布したときに、セラミックスラリーをはじき易くなるおそれがある。また、剥離剤層12が硬化し難くなり、十分な剥離性が得られない場合がある。
【0045】
剥離剤組成物C中に含まれる固形分の全質量に占める活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分の合計質量の質量割合は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン系成分の合計質量の質量割合が、範囲にあることで、形成される剥離剤層12の表面を高平滑とし、かつ、剥離剤組成物Cの十分な硬化性を得ることがより容易となる。
【0046】
ここで、剥離剤組成物Cに対して照射する活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、剥離剤組成物Cは、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。このように光重合開始剤を含有することにより、活性エネルギー線硬化性成分(およびシリコーン系成分)を効率良く硬化させることができ、また重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
【0047】
光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。特に、表面硬化性に優れるとされる、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましく、中でも2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性成分および活性エネルギー線硬化性を有するシリコーン系成分(例えば、反応性官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはマレイミド基を有するポリオルガノシロキサン)の合計100質量部に対して、1〜20質量部、特に3〜15質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0049】
剥離剤層12を構成する剥離剤(剥離剤組成物Cを含む)は、必要に応じて、シリカ、帯電防止剤、染料、顔料その他の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、活性エネルギー線硬化性成分およびシリコーン成分の合計100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0050】
剥離剤層12の厚さは、0.3〜2μmであることが好ましく、特に0.5〜1.5μmであることが好ましい。剥離剤層12の厚さが0.3μm未満であると、剥離剤層12表面の平滑性が不十分となり、セラミックグリーンシートにピンホールや厚みむらが発生し易くなる場合がある。一方、剥離剤層12の厚さが2μmを超えると、剥離剤層12の硬化収縮により剥離フィルム1にカールが発生し易くなるおそれがある。また、剥離フィルム1をロール状に巻き取った際に、基材11の第2の面とブロッキングが発生し易いために、巻き取り不良が生じたり、巻き出し時の帯電量が増大して、異物が付着し易くなったりするおそれがある。
【0051】
剥離剤層12は、基材11の第1の面に、剥離剤および所望により希釈剤等を含有する剥離剤溶液を塗布した後、必要に応じて乾燥し、活性エネルギー線の照射により硬化させることで形成することができる。シリコーン系成分の反応性官能基が熱により反応するものである場合には、このときの乾燥により反応を起こさせ、シリコーン系成分を架橋構造に組み込むことができる。剥離剤溶液の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等が使用できる。
【0052】
活性エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。活性エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で50〜1000mJ/cm2が好ましく、特に100〜500mJ/cm2が好ましい。また、電子線の場合には、0.1〜50kGy程度が好ましい。
【0053】
活性エネルギー線の照射により、剥離剤組成物C中の活性エネルギー線硬化性成分は硬化する。また、剥離剤組成物C中のシリコーン系成分が活性エネルギー線硬化性の反応性基を有する場合には、当該シリコーン系成分も硬化する。これにより、高平滑で、セラミックスラリーがはじき難く、かつセラミックグリーンシートの剥離性に優れた剥離剤層12が形成される。
【0054】
本剥離フィルム1において、セラミックスラリーが成形される面である剥離剤層12の表面(図1では上面;基材11とは反対側の面)における算術平均粗さ(Ra)は8nm以下であり、かつ最大突起高さ(Rp)は50nm以下である。本明細書における算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)は、JIS B0601−1994に準拠して測定(試験例では、ミツトヨ社製の表面粗さ測定機SV3000S4(触針式)を使用して測定)した値とする。
【0055】
剥離剤層12の表面の算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)をのような範囲とすることで、剥離剤層12の表面を十分に高平滑なものにすることができ、例えば厚さ1μm未満の薄膜セラミックグリーンシートを当該剥離剤層12の表面に成形したときにも、薄膜セラミックグリーンシートにはピンホールや厚みむら等の欠陥が発生しにくく、良好なシート成形性が示される。また、剥離剤層12の表面の算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)をのような範囲とすることで、セラミックグリーンシートの剥離性も優れたものとなり、例えば厚さ1μm未満の薄膜セラミックグリーンシートを剥離剤層12から剥離するときにも、セラミックグリーンシートは破断し難い。これらの優れた効果は、特許文献1のように剥離剤層12の最大高さ(Rmax)を規定するだけでは得られない。
【0056】
剥離剤層12の表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは6nm以下であり、特に好ましくは4nm以下である。また、剥離剤層12の表面の最大突起高さ(Rp)は、好ましくは40nm以下であり、特に好ましくは30nm以下である。
【0057】
剥離剤層12のナノインデンテーション試験により測定される弾性率は、4.0GPa以上であり、好ましくは4.2GPa以上である。剥離剤層12の弾性率が4.0GPa以上であることにより、剥離剤層12が変形し難くなるため、剥離剤層12からセラミックグリーンシートを剥離する際に、剥離剤層12がセラミックグリーンシートに追従し難くなり、それにより、セラミックグリーンシートを正常に剥離することができる。一方、剥離剤層12の弾性率が4.0GPa未満であると、剥離剤層12からセラミックグリーンシートを剥離する際に、剥離剤層12が変形してセラミックグリーンシートに追従し易くなるため、剥離力が増大し、セラミックグリーンシートを正常に剥離できないことがある。のような高い弾性率は、剥離剤層12の形成に剥離剤組成物Cを使用し、活性エネルギー線硬化性成分の種類および配合量を適宜に選択、設定することによって達成することができ、従来のシリコーン樹脂系剥離剤を使用した場合には達成することはできない。
【0058】
なお、本明細書における剥離剤層の弾性率の測定は、23℃の雰囲気下、ナノインデンテーション試験により行われる。具体的には、アルミニウム製の台座に接着したガラス板上に、10mm×10mmサイズに裁断した剥離フィルム1の基材の裏面側を2液系エポキシ接着剤で固定し、微小硬度評価装置を使用(試験例では、MTS社製の「Nano Indenter SA2」を使用)して行う。
【0059】
セラミックグリーンシートの製造工程でのような剥離フィルム1を使用することにより、得られるセラミックグリーンシートにピンホールや厚みむら等の欠陥が発生することを効果的に防止・抑制することができるとともに、剥離フィルム1からセラミックグリーンシートを剥離するときにも、セラミックグリーンシートが破断する等の不具合が発生することを効果的に防止・抑制することができる。
【0060】
以上説明した本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0061】
例えば、基材11と剥離剤層12との間や、基材11の第2の面には、他の層が存在していてもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0063】
〔実施例1〕
基材として、表裏同粗度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ31μm)を用意した。このPETフィルムの両面における算術平均粗さ(Ra)は29nmであり、最大突起高さ(Rp)は257nmであった。なお、PETフィルムの両面における算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)の測定方法は、後述する剥離剤層表面における算術平均粗さ(Ra)および最大突起高さ(Rp)の測定方法と同様である(以下の実施例等も同じ)。
【0064】
一方、活性エネルギー線硬化性成分であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村工業社製,A−DPH,固形分100質量%)99.0質量部と、シリコーン系成分であるポリエーテル変性アクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン(ビッグケミー社製,BYK−3500,固形分100質量%)1.0質量部と、光重合開始剤である2-メチル-1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製,IRGACURE907)5.0質量部とからなる剥離剤組成物Cを、イソプロピルアルコールおよびメチルエチルケトンの混合液(混合質量率3:1)にて希釈して、これを剥離剤溶液(固形分20質量%)とした。この剥離剤溶液を、バーコーターにより基材の一方の面(第1の面)に、硬化後の剥離剤層の厚さが0.97μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた。その後、紫外線を照射(積算光量:250mJ/cm2)し、剥離剤組成物Cを硬化させて剥離剤層を形成し、これを剥離フィルムとした。なお、剥離剤層の厚さは、後述する測定方法によって測定した結果である(以下の実施例等も同じ)。
【0065】
〔実施例2〕
実施例1における活性エネルギー線硬化性成分を、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村工業社製,A−DPH,固形分100質量%)15.0質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村工業社製,A−TMPT,固形分100質量%)84.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0066】
〔実施例3,4〕
剥離剤層の厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0067】
〔実施例5〕
剥離剤組成物Cにおけるシリコーン系成分の質量割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0068】
〔比較例1〕
剥離剤組成物Cにおいてシリコーン系成分を配合しない以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0069】
〔比較例2〜4〕
剥離剤層の厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0070】
〔比較例5〕
実施例1における活性エネルギー線硬化性成分を、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村工業社製,A−TMPT,固形分100質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0071】
〔比較例6〕
剥離剤組成物Cにおけるシリコーン系成分の質量割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0072】
〔比較例7〕
熱硬化付加反応型シリコーン(信越化学工業社製,KS−847H)100質量部をトルエンで希釈し、これに白金触媒(信越化学工業社製,CAT−PL−50T)2質量部を混合し、固形分が5.0質量%の剥離剤溶液を調製した。
【0073】
得られた剥離剤溶液を、形成される剥離剤層の乾燥後の厚さが0.3μmとなるように、実施例1と同じ基材の一方の面(第1の面)に均一に塗布し、140℃で1分間乾燥させて剥離剤層を形成し、これを剥離フィルムとした。
【0074】
〔比較例8,9〕
剥離剤層の厚さを表1に示すように変更した以外は、比較例7と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0075】
〔比較例10〕
基材として、表裏同粗度のPETフィルム(厚さ38μm)を用意した。このPETフィルムの両面における算術平均粗さ(Ra)は42nmであり、最大突起高さ(Rp)は619nmであった。基材としての基材を使用する以外、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。
【0076】
〔試験例1〕(剥離剤層の厚さ測定)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムの剥離剤層の厚さ(μm)を、反射式膜厚計(フィルメトリックス社製,F20)を使用して測定した。具体的には、実施例および比較例で得られた剥離フィルムを100×100mmに裁断した後、測定する側の面の反対面が吸引ステージ側となるように剥離フィルムを膜厚計に設置し、剥離剤層表面の10ヵ所について膜厚を測定し、その平均値を剥離剤層の厚さとした。結果を表1に示す。
【0077】
〔試験例2〕(剥離剤層の表面粗さ測定)
ガラス板に両面テープを貼付し、実施例および比較例で得られた剥離フィルムを、測定する側の面の反対面がガラス板側となるように両面テープを介してガラス板に固定した。その剥離フィルムの剥離剤層の表面における算術平均粗さ(Ra;nm)および最大突起高さ(Rp;nm)を、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製,SV−3000S4,触針式)を使用し、JIS B0601−1994に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0078】
〔試験例3〕(弾性率測定)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムを10mm×10mmサイズに裁断し、次いで、アルミニウム製の台座に接着したガラス板上に、裁断した剥離フィルムの基材裏面を2液系エポキシ接着剤で固定した。そして、微小硬度評価装置(MTS社製,Nano Indenter SA2)を使用して、圧子の最大押し込み深さ100nm、歪速度0.05sec−1、変位振幅2nm、振動周波数45Hz、23℃の雰囲気下にてナノインデンテーション試験を行い、剥離フィルムの剥離剤層の弾性率を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
〔試験例4〕(剥離剤層の硬化性評価)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムについて、メチルエチルケトンを3ml含ませたウエス(小津産業社製,BEMCOT AP−2)によって剥離剤層の表面を荷重1kg/cm2で往復10回研磨した後、剥離剤層の表面を目視で観察し、以下の判断基準で剥離剤層の硬化性を評価した。結果を表1に示す。
A…剥離剤層の溶解・脱落なし
B…剥離剤層の一部溶解が見られた
C…剥離剤層が完全に溶解し、基材から脱落した
【0080】
〔試験例5〕(カール評価)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムを200×200mmに裁断した後、基材がガラス板側となるように、剥離フィルムを平坦なガラス板の上に載置した。次いで、100×100mmのガラス板を剥離フィルムの剥離剤層上の中央に載置した後、下側のガラス板の上面から剥離フィルムの各角部頂点までの高さを測定し、以下の判断基準でカールを評価した。結果を表1に示す。
A…各角部の高さの総和が50mm未満
B…各角部の高さの総和が50mm以上、100mm未満
C…各角部の高さの総和が100mm以上
【0081】
〔試験例6〕(ブロッキング性評価)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。この剥離フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管し、剥離フィルムロールそのままの状態での外観を目視にて観察し、以下の判断基準でブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
A…ロール状に巻き上げたときから変化がなかった(ブロッキング無し)
B…幅方向における半分以下の領域にて、フィルム同士の密着に起因する色目の変化が見られた(ブロッキング若干有り)
C…幅方向における過半の領域にわたって、フィルム同士の密着に起因する色目の変化が見られた(ブロッキング有り)
【0082】
〔試験例7〕(スラリー塗工性評価)
チタン酸バリウム粉末(BaTiO3;堺化学工業社製,BT−03)100質量部、バインダーとしてのポリビニルブチラール(積水化学工業社製,エスレックB・K BM−2)8質量部、および可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(関東化学社製,フタル酸ジオクチル 鹿1級)4質量部に、トルエンおよびエタノールの混合液(質量比6:4)135質量部を加え、ボールミルにて混合分散させて、セラミックスラリーを調製した。
【0083】
実施例および比較例で得られた剥離フィルムの剥離剤層表面に、セラミックスラリーをダイコーターにて乾燥後の膜厚が1μmになるように、幅250mm、長さ10mにわたって塗工し、その後、乾燥機にて80℃で1分間乾燥させた。セラミックグリーンシートが成形された剥離フィルムについて、剥離フィルム側から蛍光灯を照らして、塗工したすべてのセラミックグリーンシート面を目視で検査し、以下の判断基準でスラリー塗工性を評価した。結果を表1に示す。
A…セラミックグリーンシートにピンホールがなかった
B…セラミックグリーンシートに1〜5個のピンホールが発生した
C…セラミックグリーンシートに6個以上のピンホールが発生した
【0084】
〔試験例8〕(剥離性評価)
試験例7と同じ手順により剥離フィルムの剥離剤層表面に成形したセラミックグリーンシートを、剥離フィルムを打ち抜かないようにして200mm×200mmに打ち抜いた。次いで、グリーンシート積層機のシート剥離機構を利用して、打ち抜かれたグリーンシートを真空吸引ステージに吸着させ、剥離フィルムから剥離した。このときのセラミックグリーンシートの剥離性を、以下の判断基準で評価した。結果を表1に示す。
A…セラミックグリーンシートが破れることなく、スムーズに剥離でき、剥離剤層上にセラミックグリーンシートが残らなかった
B…セラミックグリーンシートが破れることなく、ややスムーズさに欠けるものの剥離でき、剥離剤層上にセラミックグリーンシートが残らなかった
C…セラミックグリーンシートが破れるか、剥離できなかった
【0085】
〔試験例9〕(剥離剤層表面の欠陥評価)
ポリビニルブチラール樹脂をトルエンおよびエタノールの混合液(質量比6:4)にて溶解した塗工液を、実施例および比較例で得られた剥離フィルムの剥離剤層の上に、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥させてポリビニルブチラール樹脂層を成形した。そして、そのポリビニルブチラール樹脂層の表面にポリエステルテープを貼付した。
【0086】
次いで、ポリエステルテープを使用して、剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離し、剥離フィルムの剥離剤層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面における凹みを数えた。具体的には、光干渉式表面形状観察装置(Vecco社製,WYKO―1100)を使用して、PSIモードにて50倍率で観察し、得られた91.2×119.8μmの範囲における表面形状画像に基づいて、深さ150nm以上の凹みを数え、以下の判断基準で剥離剤層表面の欠陥評価を行った。なお、前述した剥離性評価の試験において、評価が「C」であったものについては、本試験を行うのに満足な試料を得ることができなかったため、本試験は行わなかった。結果を表1に示す。
A…凹みの数が0個
B…凹みの数が1〜5個
C…凹みの数が6個以上
【0087】
なお、のような凹みが存在するセラミックグリーンシートでコンデンサを製造した場合、得られるコンデンサは、耐電圧低下によるショートが発生し易いものとなる。
【0088】
〔試験例10〕(基材裏面の欠陥評価)
ポリビニルブチラール樹脂をトルエンおよびエタノールの混合液(質量比6:4)にて溶解した塗工液を、厚さ50μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥させてポリビニルブチラール樹脂層を成形した。実施例および比較例で得られた剥離フィルムを、当該剥離フィルムの基材裏面がポリビニルブチラール樹脂層と接するように、当該ポリビニルブチラール樹脂層に貼り合わせた。この積層体を100mm×100mmに裁断した後、荷重5kg/cm2でプレスし、剥離フィルムの基材裏面の突起形状をポリビニルブチラール樹脂層に転写させた。
【0089】
次いで、剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離し、ポリビニルブチラール樹脂フィルムの剥離フィルムの基材裏面に接触していた面における凹みを数えた。具体的には、光干渉式表面形状観察装置(Vecco社製,WYKO―1100)を使用して、PSIモードにて50倍率で観察し、得られた91.2×119.8μmの範囲における表面形状画像に基づいて、深さ500nm以上の凹みを数え、以下の判断基準で剥離剤層表面の欠陥評価を行った。結果を表1に示す。
A…凹みの数が0個
B…凹みの数が1〜5個
C…凹みの数が6個以上
【0090】
なお、のような凹みが存在するセラミックグリーンシートでコンデンサを製造した場合、得られるコンデンサは、耐電圧低下によるショートが発生し易いものとなる。
【0091】
【表1】
【0092】
表1から明らかなように、実施例で得られた剥離フィルムは、剥離剤層表面による欠陥も、基材裏面による欠陥もなく、また、セラミックグリーンシートの剥離性も優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムは、特に厚さ1μm以下の薄膜セラミックグリーンシートを成形するのに好適である。
【符号の説明】
【0094】
1…剥離フィルム
11…基材
12…剥離剤層
【図1】

【手続補正書】
【提出日】2013年12月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムであって、
前記剥離剤層は、(メタ)アクリル酸エステルおよびシリコーン系成分を含む剥離剤組成物の硬化物であり、
前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が8nm以下であり、かつ最大突起高さ(Rp)が50nm以下であり、
前記剥離剤層のナノインデンテーション試験により測定される弾性率が4.0GPa以上であり、
前記基材の前記剥離剤層とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)が5〜50nmであり、かつ最大突起高さ(Rp)が30〜500nmである
ことを特徴とするセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項2】
前記剥離剤組成物中における前記シリコーン系成分の、前記(メタ)アクリル酸エステルおよび前記シリコーン系成分の合計質量に対する質量割合は、0.7〜5質量%であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項3】
前記シリコーン系成分は、反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステルは、三官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【請求項5】
前記剥離剤層の厚さは、0.3〜2μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
【国際調査報告】

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