再表2014-58028IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年4月17日
【発行日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8238 20060101AFI20160808BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20160808BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20160808BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20160808BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   H01L27/08 321H
   H01L27/06 311C
   H01L27/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
【出願番号】特願2014-540896(P2014-540896)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-227527(P2012-227527)
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】上西 顕寛
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038BH07
5F038BH12
5F038BH18
5F038CA03
5F038CD14
5F048AA03
5F048AA05
5F048AC01
5F048AC03
5F048BA01
5F048BB03
5F048BB20
5F048BC03
5F048BC18
5F048BD10
5F048BE02
5F048BE03
5F048BE04
5F048BF15
5F048BF16
5F048BF18
5F048BG12
5F048BH04
5F048CC08
5F048CC19
(57)【要約】
p型バルク基板(1)のおもて面側に設けられたn-拡散領域(2)の表面層には、p拡散領域(3)が選択的に設けられる。n-拡散領域(2)には、電源電位(VB)が印加され、ハイサイド駆動回路のPMOS(12)と、クランプ用PMOS(14)とが配置される。p拡散領域(3)には、中間電位(VS)が印加され、ハイサイド駆動回路のNMOS(13)が配置される。ハイサイド駆動回路は、中間電位(VS)を基準電位として、中間電位(VS)と電源電位(VB)との間の電位で動作する。クランプ用PMOS(14)の閾値電圧は−0.1V〜−0.6V程度である。クランプ用PMOS(14)のp+ソース領域(41)およびゲート電極(46)はVB電極(2b)に接続される。クランプ用PMOS(14)のp+ドレイン領域(42)はVS電極(3b)に接続される。これにより、サージによる破壊を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の表面層に設けられ、第1電位が印加される第2導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の内部に設けられ、第2電位が印加される第1導電型の第2半導体領域と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域に設けられ、前記第2電位を基準電位とし、前記第2電位よりも高い前記第1電位との間の電位で動作する回路と、
前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型のソース領域、前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型のドレイン領域、および、前記第1半導体領域の、前記ソース領域と前記ドレイン領域とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極を有する絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、
を備え、
前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの閾値電圧は−0.1V〜−0.6Vであり、
前記ソース領域および前記ゲート電極は前記第1半導体領域に電気的に接続され、
前記ドレイン領域は前記第2半導体領域に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
絶縁体を介して、前記ゲート電極の前記ゲート絶縁膜側に対して反対側に対向する導電体をさらに備え、
前記導電体は、前記ドレイン領域に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁体は、高誘電体材料でできていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁体は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムまたは酸化ランタンでできていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置
【背景技術】
【0002】
従来、産業用インバータにおいて電力変換用ブリッジ回路を構成するIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子のゲート駆動に用いる半導体素子として、入力側と出力側とを電気的に絶縁するトランスやフォトカプラが公知である。また、近年、主に低容量のインバータ用途において、低コスト化のために、入力側と出力側とを電気的に絶縁しない高耐圧IC(HVIC)が用いられている(例えば、下記非特許文献1,2参照)。
【0003】
従来の高耐圧ICの回路構成について説明する。図23は、従来の高耐圧ICを示す回路図である。図23に示す高耐圧IC200は、電力変換用ブリッジ回路の一相分を構成する第1,2IGBT101,102を駆動する回路である。第1,2IGBT101,102は、高圧の主電源(正極側)Vdcと、この主電源の負極側であるグランド電位GNDとの間に直列に接続される。VS端子は、第1IGBT101と第2IGBT102との接続点105に接続される。接続点105は、第1,2IGBT101,102で構成されるブリッジ回路の出力点である。
【0004】
高耐圧IC200は、一般的に、ハイサイド駆動回路110、ローサイド駆動回路(不図示)、レベルシフタ115、制御回路116を備える。ハイサイド駆動回路110は、ゲート駆動回路111、レベルシフト抵抗119などを備える。ゲート駆動回路111は、ハイサイド側のpチャネルMOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、以下、PMOSとする)112と、ローサイド側のnチャネルMOSFET(以下、NMOSとする)113とが相補うように接続されたCMOS(相補型MOS)回路よりなる。符号103,104,117はFWD(還流ダイオード)である。
【0005】
制御回路116は、グランド電位GNDを基準として動作し、第1IGBT101をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号、および第2IGBT102をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号を生成する。レベルシフタ115は、制御回路116によって生成されたローサイドレベルのオン・オフ信号を、第1IGBT101のゲートに入力されるハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換する。
【0006】
ハイサイド側の第1IGBT101を駆動する場合の高耐圧IC200の動作について説明する。制御回路116によって第1IGBT101をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号が生成される。このローサイドレベルのオン・オフ信号は、レベルシフタ115によりハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換された後、ハイサイド駆動回路110に入力される。ハイサイド駆動回路110は、中間電位VSを基準電位として、中間電位VSと電源電位VBとの間の電位で動作する。電源電位VBは、中間電位VSよりも例えば15V程度高くなっている。
【0007】
制御回路116からハイサイド駆動回路110に入力されたオン・オフ信号は、NOT回路およびその後段のゲート駆動回路111を介してハイサイド側の第1IGBT101のゲートに入力される。第1IGBT101は、制御回路116からのオン・オフ信号に基づいてオン・オフされる。高耐圧IC200の動作中、VS端子に印加される中間電位VSは0VからVdcまでの間で変動する。
【0008】
このような高耐圧IC200を低コストで作製(製造)する方法として、安価なバルク基板を用いることができ、かつ特別な素子分離プロセスを必要としない自己分離技術を用いたICプロセスが適している。自己分離型ICプロセスによって作製された高耐圧IC200の構造について説明する。図24は、従来の高耐圧ICの平面構造を模式的に示す平面図である。図25は、図24の切断線AA−AA’における断面構造を示す断面図である。
【0009】
図24,25に示すように、p型バルク基板201には、ハイサイド駆動回路が配置されたハイサイド駆動回路領域210、ハイサイド駆動回路領域210を囲む高耐圧分離領域215、高耐圧分離領域215を囲むローサイド領域216が設けられている。高耐圧分離領域215には、レベルシフタ115が配置される。ローサイド領域216は、ハイサイド駆動回路領域210と、高耐圧分離領域215の、レベルシフタ115が形成された部分とを除いた部分である。ローサイド領域216には、制御回路116が配置される。ハイサイド駆動回路領域210は、高耐圧分離領域215によってローサイド領域216と分離され、ローサイド領域216よりも600V以上の高電位が印加可能となっている。
【0010】
p型バルク基板201の表面層には、n-拡散領域202が選択的に形成されている。n-拡散領域202は、ハイサイド駆動回路領域210から高耐圧分離領域215にわたって設けられている。n-拡散領域202には、ハイサイド駆動回路領域210においてハイサイド駆動回路が形成されている。具体的には、n-拡散領域202の表面層には、ゲート駆動回路を構成する横型のPMOS212および横型のNMOS213が形成されている。
【0011】
NMOS213は、n-拡散領域202の表面層に設けられたp-拡散領域203に形成される。また、p型バルク基板201の表面層の、n-拡散領域202の外側には、ローサイド領域216内にp-領域204が設けられている。p型バルク基板201およびp-領域(以下、p-GND領域とする)204にはグランド電位GNDが印加される。n-拡散領域202には、ハイサイド電源電位VBが印加される。p-拡散領域203には中間電位VSが印加される。
【0012】
このような高耐圧ICとして、高電位ゲート駆動回路部と、レベルシフト回路部とを同一の他導電型半導体基板上に備え、前記高電位ゲート駆動回路部には少なくとも一つの横型MOSFETが形成され、前記半導体基板の主面に平行方向に選択的に、かつ前記横型MOSFETのソース領域およびドレイン領域の下方に、寄生素子抑制用の埋め込み絶縁膜を有する装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0013】
また、別の高耐圧ICとして、次の装置が提案されている。入出力端子と接地端子の間に接続された静電保護回路としてのsgPMOSトランジスタを備えている。トランジスタはソースとゲートが入出力端子に接続され、ドレインが接地端子に接続されている。トランジスタのドレインは第1P型ドレイン拡散層と第2P型ドレイン拡散層からなる二重拡散構造を備えている(例えば、下記特許文献2参照。)。
【0014】
また、別の高耐圧ICとして、次の装置が提案されている。高耐圧素子が形成された高耐圧素子領域と、低耐圧素子が形成された低耐圧素子領域とが規定されたp-半導体基板を含む。p-半導体基板の上には、n+埋込み拡散層、n-エピタキシャル層が形成されている(例えば、下記特許文献3(第0003段落、第5図)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−288476号公報
【特許文献2】特開2009−105392号公報
【特許文献3】特開2007−220766号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】ティー・フジヒラ(T.FUJIHIRA)、外4名、プロポーザル オブ ニュー インターコネクション テクニック フォア ベリー ハイ−ボルテージ IC’s(Proposal of New Interconnection Technique for Very High−Voltage IC’s)、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1996年11月、第35巻(第1版)、第11号、p.5655−5663
【非特許文献2】ジョナサン・アダムス(Jonathan Adams)、“コントロールIC用ブートストラップ回路部品の選定”、[online]、インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン株式会社(International Rectifier Japan)、[平成24年9月24日検索]、インターネット<http://www.irf−japan.com/technical−info/designtp/dt98−2j.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、自己分離型ICプロセスによって作製された高耐圧IC200では、ハイサイド駆動回路領域210内に、p-拡散領域203、n-拡散領域202およびp型バルク基板201からなる寄生pnpバイポーラトランジスタ118が形成される。寄生pnpバイポーラトランジスタ118のベース、エミッタおよびコレクタは、それぞれ、VB端子、VS端子、GND端子に接続された状態となる。
【0018】
高耐圧IC200の通常動作において、電源電位VBは中間電位VSよりも高いため、寄生pnpバイポーラトランジスタ118は動作しない。しかし、負電圧サージにより電源電位VBが中間電位VSよりもシリコンpn接合の拡散電位である0.6V以上低下した場合、すなわちVB<(VS−0.6[V])の電位関係になった場合、寄生pnpバイポーラトランジスタ118がオン状態となる。これにより、高電圧(〜Vdcの高電位側電位)が印加されたVS端子とGND端子との間に大電流が流れるため、大電流による発熱によって高耐圧IC200が破壊される虞がある。
【0019】
このようなサージによる破壊を回避するため、通常、非特許文献2で提案されるように、p型バルク基板201の外部に外付け部品としてVB端子とVS端子との間に接続されたバイパスコンデンサが配置される。しかしながら、レイアウト設計やコスト上の制約によりバイパスコンデンサを配置することができなかったり、レイアウト設計の制約により高耐圧IC200から離れた位置に配置されることで十分に効果が得られないという問題がある。
【0020】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、サージによる破壊を防止することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の半導体層の表面層に、第1電位が印加される第2導電型の第1半導体領域が設けられている。前記第1半導体領域の内部に、第2電位が印加される第1導電型の第2半導体領域が設けられている。前記第1半導体領域および前記第2半導体領域に、前記第2電位を基準電位とし、前記第2電位よりも高い前記第1電位との間の電位で動作する回路が設けられている。前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型のソース領域、前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型のドレイン領域、および、前記第1半導体領域の、前記ソース領域と前記ドレイン領域とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極を有する絶縁ゲート型電界効果トランジスタが設けられている。前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの閾値電圧は−0.1V〜−0.6Vである。前記ソース領域および前記ゲート電極は前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記ドレイン領域は前記第2半導体領域に電気的に接続されている。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、絶縁体を介して、前記ゲート電極の前記ゲート絶縁膜側に対して反対側に対向する導電体をさらに備える。前記導電体は、前記ドレイン領域に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記絶縁体は、高誘電体材料でできていることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記絶縁体は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムまたは酸化ランタンでできていることを特徴とする。
【0025】
上述した発明によれば、ハイサイド駆動回路の電源電位VBが印加されるVB電極にゲートおよびソースが電気的に接続され、ハイサイド駆動回路の基準電位となる中間電位VSが印加されるVS電極にドレインが電気的に接続されたクランプ用PMOS(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)をハイサイド駆動回路領域(第1半導体領域)に設けることで、負電圧サージが印加されたときにクランプ用PMOSに電流を流すことができる。これにより、負電圧サージが印加されたときに電源電位VBが中間電位VSよりもシリコンpn接合の拡散電位である0.6V以上低下することを抑制することができる。したがって、p型バルク基板を用いて自己分離型ICプロセスによって作製した高耐圧ICにおいて、負電圧サージによる寄生pnpバイポーラトランジスタの動作を抑制することができる。このため、高電圧(Vdcの高電位側電位)が印加されたVS端子とGND端子との間に大電流が流れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる半導体装置によれば、サージによる破壊を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる半導体装置を示す回路図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の平面構造を模式的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2の切断線A−A’における断面構造を示す断面図である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図12】図12は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図14】図14は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図16】図16は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図17】図17は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図18】図18は、実施の形態2にかかる半導体装置を示す回路図である。
【図19】図19は、実施の形態2にかかる半導体装置の断面構造を模式的に示す平面図である。
【図20】図20は、クランプ用のpチャネルMOSFETの電気的特性を示す特性図である。
【図21】図21は、クランプ用のpチャネルMOSFETのオン時の電気的特性を示す特性図である。
【図22】図22は、実施例にかかる半導体装置の負電圧サージ印加時の電気的特性を示す特性図である。
【図23】図23は、従来の高耐圧ICを示す回路図である。
【図24】図24は、従来の高耐圧ICの平面構造を模式的に示す平面図である。
【図25】図25は、図24の切断線AA−AA’における断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置を示す回路図である。図1に示す実施の形態1にかかる半導体装置は、電力変換用ブリッジ回路(主回路)の一相分を構成する第1,2IGBT101,102を駆動する高耐圧IC100である。図1に示すように、高耐圧IC100は、ハイサイド駆動回路10、ローサイド駆動回路(不図示)、クランプ用のエンハンストメント型pチャネルMOSFET(以下、クランプ用PMOSとする)14、レベルシフタ15、制御回路16を備える。
【0030】
ハイサイド駆動回路10は、ゲート駆動回路11、NOT回路、レベルシフト抵抗19などを備える。第1,2IGBT101,102は、高圧の主電源(正極側)Vdcと、この主電源の負極側であるグランド電位GNDとの間に直列に接続されている。VS端子は、第1IGBT101と第2IGBT102との接続点105に接続される。接続点105は、第1,2IGBT101,102で構成される電力変換用ブリッジ回路の出力点であり、例えば負荷であるモータなどが接続される。
【0031】
高耐圧IC100の動作中、VS端子に印加される中間電位VSは、第1IGBT101と第2IGBT102とが相補にオン・オフ(on・off)されることによって、主電源Vdcの高電位側電位(例えば400V程度)と低電位側電位(グランド電位GND)との間で上昇および下降を繰り返し、0Vから数百Vまでの間で変動する。電源電位VBは、中間電位VSよりも15V程度高くなっており、基板電位(グランド電位GND)よりも415V程度高くなっている。
【0032】
ハイサイド駆動回路10は、VS端子に印加される電位(中間電位)VSを基準電位として、中間電位VSと電源電位VBとの間の電位で動作し、ハイサイド側の第1IGBT101を駆動する。具体的には、ハイサイド駆動回路10は、レベルシフト抵抗19の電圧降下を信号として、NOT回路およびその後段のゲート駆動回路11を介してハイサイド側の第1IGBT101のゲートにオン・オフ信号を入力する。
【0033】
ゲート駆動回路11は、ハイサイド側のpチャネルMOSFET(PMOS)12と、ローサイド側のnチャネルMOSFET(NMOS)13とが相補うように接続されたCMOS回路よりなる。具体的には、PMOS12のソースはVB端子に接続され、PMOS12のドレインはNMOS13のドレインに接続されている。NMOS13のソースはVS端子に接続されている。PMOS12とNMOS13との接続点は、第1IGBT101のゲートに接続されている。
【0034】
また、VB端子とVS端子との間には、クランプ用PMOS14が接続されている。具体的には、クランプ用PMOS14のソースおよびゲートはVB端子に接続されている。クランプ用PMOS14のドレインは、VS端子に接続されている。クランプ用PMOS14の閾値電圧は、−0.1V〜−0.6V程度である。クランプ用PMOS14の耐圧は15V以上であるのが好ましい。なお、ここでいう閾値電圧とは、ゲート電圧を0Vから上昇あるいは降下させた際に、チャネルが弱反転状態から強反転状態に変わる時のゲート電圧のことである。
【0035】
制御回路16は、グランド電位GNDを基準として動作し、第1IGBT101をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号、および第2IGBT102をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号を生成する。レベルシフタ15は、制御回路16によって生成されたローサイドレベルのオン・オフ信号を、第1IGBT101のゲートに入力されるハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換する。符号103,104,17はFWD(還流ダイオード)である。
【0036】
高耐圧IC100は、例えばp型バルク基板上に自己分離技術を用いたICプロセスによって製造される。高耐圧IC100の平面構造について説明する。図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の平面構造を模式的に示す平面図である。図2に示すように、p型バルク基板1上には、ハイサイド駆動回路10が配置されたハイサイド駆動回路領域10a、ハイサイド駆動回路10の耐圧を確保する高耐圧分離領域15a、高耐圧分離領域15aを囲むローサイド領域16aが設けられている。
【0037】
ハイサイド駆動回路領域10aの周囲には、ハイサイド駆動回路領域10aを囲むように高耐圧分離領域15aが配置される。ハイサイド駆動回路領域10aは、高耐圧分離領域15aによってローサイド領域16aと分離され、ローサイド領域16aよりも600V以上の高電位が印加可能となっている。ハイサイド駆動回路領域10aには、例えばハイサイド駆動回路領域10aと高耐圧分離領域15aとの境界付近においてハイサイド駆動回路10を囲むようにVB電極4bが配置される。
【0038】
ハイサイド駆動回路領域10a内には、高耐圧IC100の設計条件に応じて図示省略するVB電極およびVS電極が選択的に配置される。ハイサイド駆動回路領域10a内にVB電極およびVS電極を配置することにより、ノイズとなるキャリアを引き抜くことができる。高耐圧分離領域15aには、レベルシフタ15が配置される。ローサイド領域16aは、ハイサイド駆動回路領域10aと、高耐圧分離領域15aの、レベルシフタ15が形成された部分とを除いた部分である。ローサイド領域16aには、制御回路16が配置される。レベルシフタ15をローサイド領域16aに形成することもできる。
【0039】
次に、高耐圧IC100の断面構造について説明する。図3は、図2の切断線A−A’における断面構造を示す断面図である。図3に示すように、高耐圧IC100は、p型バルク基板1に自己分離型ICプロセスによって作製された素子分離構造を有する。p型バルク基板1の表面層には、n-拡散領域2が選択的に形成されている。n-拡散領域2は、ハイサイド駆動回路領域10aに設けられている。n-拡散領域2の拡散深さは、例えば10μm程度であってもよい。n-拡散領域2の表面層には、p拡散領域3が選択的に設けられている。
【0040】
n-拡散領域2およびp拡散領域3には、ハイサイド駆動回路10が設けられている。n-拡散領域2には、クランプ用PMOS14が設けられている。図3には、ハイサイド駆動回路10の構成部のうち、ゲート駆動回路11を構成する横型のpチャネルMOSFET(PMOS)12および横型のnチャネルMOSFET(NMOS)13を示す。n-拡散領域2には、n-拡散領域2の内部に設けられたn+高濃度領域2aを介して電気的に接続されたVB電極2bから電源電位VBが印加される。p拡散領域3には、p拡散領域3の内部に設けられたp+高濃度領域3aを介して電気的に接続されたVS電極3bから中間電位VS(接続点105の電位)が印加される。
【0041】
具体的には、PMOS12は、n-拡散領域2の表面層に形成されている。PMOS12は、p+ソース領域21、p+ドレイン領域22、ゲート絶縁膜23、ゲート電極24、ソース電極25およびドレイン電極26を備える。p+ソース領域21およびp+ドレイン領域22は、n-拡散領域2の内部に互いに離れて設けられる。p+ソース領域21およびp+ドレイン領域22の拡散深さは、p拡散領域3の拡散深さよりも浅い。ゲート電極24は、n-拡散領域2の、p+ソース領域21とp+ドレイン領域22とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜23を介して設けられている。ソース電極25およびドレイン電極26は、それぞれp+ソース領域21およびp+ドレイン領域22に電気的に接続されている。ソース電極25は、例えばアルミニウム配線によってVB電極2bに接続される。
【0042】
NMOS13は、p拡散領域3の表面層に形成されている。NMOS13は、n+ソース領域31、n+ドレイン領域32、ゲート絶縁膜33、ゲート電極34、ソース電極35およびドレイン電極36を備える。n+ソース領域31およびn+ドレイン領域32は、p拡散領域3の内部に互いに離れて設けられている。ゲート電極34は、p拡散領域3の、n+ソース領域31とn+ドレイン領域32とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜33を介して設けられている。ソース電極35およびドレイン電極36は、それぞれn+ソース領域31およびn+ドレイン領域32に電気的に接続されている。ソース電極35は、例えばアルミニウム配線によってVS電極3bに接続される。
【0043】
クランプ用PMOS14は、n-拡散領域2の表面層に形成されている。クランプ用PMOS14は、p+ソース領域41、p+ドレイン領域42、pドレインドリフト領域43、n-チャネル領域44、ゲート絶縁膜45、ゲート電極46、ソース電極47およびドレイン電極48を備える。クランプ用PMOS14において、p+ソース領域41およびp+ドレイン領域42は、n-拡散領域2の内部に互いに離れて設けられている。p+ソース領域41およびp+ドレイン領域42の拡散深さは、p拡散領域3の拡散深さよりも浅い。pドレインドリフト領域43は、p+ドレイン領域42を覆うようにn-拡散領域2の内部に設けられている。
【0044】
n-チャネル領域44は、p+ソース領域41とpドレインドリフト領域43との間に設けられている。ゲート電極46は、n-拡散領域2の、p+ソース領域41とp+ドレイン領域42とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜45を介して設けられている。ソース電極47およびドレイン電極48は、それぞれp+ソース領域41およびp+ドレイン領域42に電気的に接続されている。ゲート電極46およびソース電極47は、例えばアルミニウム配線によってVB電極2bに接続される。ドレイン電極48は、例えばアルミニウム配線によってVS電極3bに接続される。
【0045】
クランプ用PMOS14のチャネル長Lおよびチャネル幅Wは、それぞれ、例えば1.7μmおよび25000μmであってもよい。クランプ用PMOS14のチャネル長Lとは、p+ソース領域41とpドレインドリフト領域43との間の最短距離である。クランプ用PMOS14のチャネル幅Wは、チャネル長Lに直交する方向のチャネル部の幅である。図3では、PMOS12とNMOS13との間にクランプ用PMOS14を図示しているが、クランプ用PMOS14はハイサイド駆動回路領域10a内に配置され、VB端子とVS端子との間に電気的に接続されていればよい。また、クランプ用PMOS14の配置面積が広い程、より本発明の効果が得られる。
【0046】
また、p型バルク基板1の表面層の、n-拡散領域2の外側には、例えばn-拡散領域2よりも浅い深さでn-拡散領域4が設けられている。n-拡散領域4は、n-拡散領域2に接し、かつn-拡散領域2の周囲を囲む。n-拡散領域4には、n-拡散領域4内部のn+高濃度領域4aを介して電気的に接続されたVB電極4bから電源電位VBが印加される。n+高濃度領域4aおよびVB電極4bは、ハイサイド駆動回路領域10aの周囲を囲む。n-拡散領域2から、n+高濃度領域4aの外側の端部までがハイサイド駆動回路領域10aである。
【0047】
p型バルク基板1の表面層のn-拡散領域4の外側には、n-拡散領域4の周囲を囲み、かつn-拡散領域4に接するp-領域5が設けられている。n-拡散領域4およびp-領域5の内部には、n-拡散領域4とp-領域5との境界にp領域6が設けられている。p-領域(以下、p-GND領域とする)5およびp領域(以下、pGND領域とする)6には、pGND領域6内部のp+高濃度領域(不図示)を介して電気的に接続されたGND電極5bからグランド電位GNDが印加される。p-GND領域5およびpGND領域6は、p型バルク基板1をグランド電位GNDに固定する機能を有する。
【0048】
n-拡散領域4、p-GND領域5およびpGND領域6は、高耐圧分離領域15aを構成する。具体的には、n+高濃度領域4aの外側の端部からp-GND領域5の外側の端部までが高耐圧分離領域15aである。n+高濃度領域4aの外側の端部からpGND領域6の内側の端部までの距離Tは、耐圧600Vである場合に100μm程度であり、耐圧1200Vである場合に200μm程度である。
【0049】
n+高濃度領域4aの外側の端部から外側の、シフトレジスタ(不図示)が形成された部分を除いた部分がローサイド領域16aである。符号7はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)などの局部絶縁膜である。符号8はBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)等の層間絶縁膜である。符号9はシリコン窒化膜(Si3N4膜)などからなるパッシベーション膜である。
【0050】
また、高耐圧IC100は、後述するように自己分離技術を用いたICプロセス(自己分離型ICプロセス)によって作製される。このため、ハイサイド駆動回路領域10a内には、p拡散領域3をエミッタとし、n-拡散領域2をベースとし、p型バルク基板1をコレクタとする寄生pnpバイポーラトランジスタ18が形成される。寄生pnpバイポーラトランジスタ18のベース、エミッタおよびコレクタは、それぞれ、VB端子、VS端子、GND端子に接続された状態となる。
【0051】
次に、高耐圧IC100の製造方法について説明する。主に、クランプ用PMOS14の製造工程について説明する。図4〜17は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、図4に示すように、比抵抗が例えば300Ωcm程度のシリコンからなるp型バルク基板1を用意する。次に、p型バルク基板1の表面にレジストマスク51を形成し、n-拡散領域2の形成領域に対応する部分を露出させる。
【0052】
次に、レジストマスク51をマスクとして例えばリン(P)などのn型不純物の第1イオン注入61を行う。図4において、p型バルク基板1表面近傍の点線は、第1イオン注入61されたn型不純物をあらわしている(図5,6においても同様)。第1イオン注入61の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および2.0×1013/cm2程度であってもよい。
【0053】
次に、図5に示すように、レジストマスク51の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク52を形成し、n-拡散領域4の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク52をマスクとして例えばリンなどのn型不純物の第2イオン注入62を行う。第2イオン注入62の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および4.0×1012/cm2程度であってもよい。図5において、p型バルク基板1表面近傍の点線(第1イオン注入61されたn型不純物を示す点線よりも細かい点線)は、第2イオン注入62されたn型不純物をあらわしている(図6においても同様)。
【0054】
次に、図6に示すように、レジストマスク52の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク53を形成し、p-GND領域5の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク53をマスクとして例えばボロン(B)などのp型不純物の第3イオン注入63を行う。第3イオン注入63の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および3.0×1012/cm2程度であってもよい。
【0055】
図6において、p型バルク基板1表面近傍の点線(第1,2イオン注入61,62されたn型不純物を示す点線よりも粗い点線)は、第3イオン注入63されたp型不純物をあらわしている。次に、レジストマスク53の除去後、例えば窒素(N2)雰囲気下において1200℃程度の温度の熱処理を300分程度行い、p型バルク基板1に第1〜3イオン注入61〜63されたn型不純物およびp型不純物を熱拡散させる。これにより、図7に示すように、n-拡散領域2、n-拡散領域4およびp-GND領域5が形成される。
【0056】
次に、図8に示すように、p型バルク基板1の、n-拡散領域2が形成された側の表面(以下、単に表面とする)にレジストマスク54を形成し、pGND領域6の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク54をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第4イオン注入64を行う。第4イオン注入64の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および4.0×1013/cm2程度であってもよい。図8において、p-GND領域5表面近傍の点線は、第4イオン注入64されたp型不純物をあらわしている(図9においても同様)。
【0057】
次に、図9に示すように、レジストマスク54の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク55を形成し、p拡散領域3の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク55をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第5イオン注入65を行う。第5イオン注入65の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および5.0×1013/cm2程度であってもよい。
【0058】
図9において、n-拡散領域2表面近傍の点線(第4イオン注入64されたp型不純物を示す点線よりも粗い点線)は、第5イオン注入65されたp型不純物をあらわしている。次に、レジストマスク55の除去後、例えば窒素雰囲気下において1150℃程度の温度の熱処理を240分程度行い、p型バルク基板1に第4,5イオン注入64,65されたp型不純物を熱拡散させる。これにより、図10に示すように、p拡散領域3およびpGND領域6が形成される。
【0059】
次に、図11に示すように、p型バルク基板1の表面にレジストマスク56を形成し、クランプ用PMOS14のpドレインドリフト領域43の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク56をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第6イオン注入66を行う。第6イオン注入66の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および4.0×1013/cm2程度であってもよい。図11において、n-拡散領域2表面近傍の点線は、第6イオン注入66されたp型不純物をあらわしている。
【0060】
次に、レジストマスク56の除去後、例えば窒素雰囲気下において1150℃程度の温度の熱処理を90分程度行い、p型バルク基板1に第6イオン注入66されたp型不純物を熱拡散させる。これにより、図12に示すように、pドレインドリフト領域43が形成される。次に、図13に示すように、酸素(O2)雰囲気下に1000℃程度の温度の熱酸化処理を90分程度行い、局部絶縁膜7を形成する。
【0061】
次に、図14に示すように、p型バルク基板1の表面にレジストマスク57を形成し、クランプ用PMOS14のn-チャネル領域44の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク57をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第7イオン注入67を行う。第7イオン注入67の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば120keV程度および1.0×1012/cm2程度であってもよい。図14において、n-拡散領域2表面近傍の点線は、第7イオン注入67されたp型不純物をあらわしている。第7イオン注入67されたp型不純物によって、n-拡散領域2の、n-チャネル領域44の形成領域に対応する部分のn型不純物濃度が低くなる。
【0062】
次に、図15に示すように、酸素雰囲気下で熱酸化することにより、p型バルク基板1の表面に厚さ50Åのシリコン酸化膜71を形成する。シリコン酸化膜71は、ゲート絶縁膜23,33,45となる。次に、減圧CVD(化学気相成長)法により、シリコン酸化膜71上に厚さ3000Åのドープドポリシリコン膜72を形成してパターニングする。これにより、ゲート電極24,34,46が形成される。
【0063】
次に、図16に示すように、p型バルク基板1の表面にレジストマスク58を形成し、クランプ用PMOS14のp+ソース領域41およびp+ドレイン領域42の形成領域とp+高濃度領域3aの形成領域とに対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク58をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第8イオン注入68を行う。第8イオン注入68の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば65keV程度および3.0×1015/cm2程度であってもよい。このとき、pGND領域6内部の図示省略するp+高濃度領域の形成領域に対応する部分にも第8イオン注入68を行う。図16において、n-拡散領域2、p拡散領域3およびpドレインドリフト領域43の表面近傍の点線は、第8イオン注入68されたp型不純物をあらわしている(図17においても同様)。
【0064】
次に、図17に示すように、レジストマスク58の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク59を形成し、n+高濃度領域2aおよびn+高濃度領域4aの形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク59をマスクとして例えば砒素(As)などのn型不純物の第9イオン注入69を行う。第9イオン注入69の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば65keV程度および4.0×1015/cm2程度であってもよい。図17において、n-拡散領域2およびn-拡散領域4の表面近傍の点線(第8イオン注入68されたp型不純物を示す点線よりも細かい点線)は、第9イオン注入69されたn型不純物をあらわしている。
【0065】
次に、レジストマスク59の除去後、熱処理を行い、p型バルク基板1に第7〜9イオン注入67〜69されたn型不純物およびp型不純物を熱拡散させる。これにより、図3に示すように、n-チャネル領域44、p+ソース領域41、p+ドレイン領域42、p+高濃度領域3a、n+高濃度領域2a、n+高濃度領域4a、および、pGND領域6内部の図示省略するp+高濃度領域が形成される。次に、CVD法により厚さ1.0μmの層間絶縁膜8を堆積する。次に、フォトリソグラフィにより層間絶縁膜8を選択的に除去し、複数のコンタクトホールを形成する。
【0066】
次に、層間絶縁膜8上に例えば厚さ1.0μmのアルミニウム(Al)膜を堆積する。アルミニウム膜は、各コンタクトホールを介してp+ソース領域41、p+ドレイン領域42、p+高濃度領域3a、n+高濃度領域2a、n+高濃度領域4a、および、pGND領域6内部の図示省略するp+高濃度領域に接する。次に、アルミニウム膜をパターニングし、ソース電極47、ドレイン電極48、VB電極2b、VS電極3b、GND電極5b、およびアルミニウム配線(不図示)を形成する。
【0067】
次に、プラズマCVD法により厚さ1.0μmのパッシベーション膜9を形成することにより、図1〜3に示す高耐圧IC100が完成する。PMOS12、NMOS13、抵抗、コンデンサなどは、上述した高耐圧IC100の製造方法に一般的な製造工程を追加することによって、クランプ用PMOS14の形成されたp型バルク基板1上に形成される。PMOS12、NMOS13、抵抗、キャパシタ(容量)などを形成するタイミングは、高耐圧IC100の設計条件に合わせて種々変更可能である。PMOS12およびNMOS13の各領域は、例えばクランプ用PMOS14の、拡散深さおよび不純物濃度が等しい領域とともに形成してもよい。
【0068】
次に、ハイサイド側の第1IGBT101を駆動する場合の高耐圧IC100の動作について説明する。制御回路16によってローサイドレベルのオン・オフ信号が生成される。このローサイドレベルのオン・オフ信号は、レベルシフタ15を介してハイサイド駆動回路10に入力される。ハイサイド駆動回路10は、中間電位VSを基準電位として、中間電位VSと電源電位VBとの間の電位で動作する。高耐圧IC100の動作中、VS端子に印加される電位は0Vから数百Vまで変化する。電源電位VBは、中間電位VSよりも例えば15V程度高くなっている。
【0069】
ハイサイド駆動回路10に入力されたオン・オフ信号は、NOT回路およびその後段のゲート駆動回路11を介してハイサイド側の第1IGBT101のゲートに入力される。第1IGBT101は、制御回路16からのオン・オフ信号に基づいてオン・オフされる。高耐圧IC100の通常動作において電源電位VBが中間電位VSよりも高いため、寄生pnpバイポーラトランジスタ18は動作しない。また、電源電位VBが中間電位VSよりも高いため、クランプ用PMOS14はオフ状態であり、クランプ用PMOS14に電流は流れない。
【0070】
一方、負電圧サージが印加され、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合、クランプ用PMOS14がオン状態となり、クランプ用PMOS14を介してVS電極3bからVB電極2b,4bへ電流が流れる。これにより、寄生pnpバイポーラトランジスタ18のベース−エミッタ間に流れるベース電流を低減することができる。電源電位VBが中間電位VSよりも0.6V以上低下した場合にクランプ用PMOS14に流れる電流は、主に、p+ドレイン領域42とバックゲートであるn-拡散領域2とによって形成される寄生pnダイオードがターンオンすることによるものである。
【0071】
また、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上0.6V以下低下した場合にクランプ用PMOS14に流れる電流は、クランプ用PMOS14のチャネル電流によるものである。クランプ用PMOS14のチャネル電流が流れる理由について説明する。クランプ用PMOS14を、p+ソース領域41をドレインとし、p+ドレイン領域42をソースとし、n-拡散領域2をバックゲートとした同一構造のPMOS(以下、逆クランプ用PMOSとする)と仮定する。チャネルは双方向性を有するため、逆クランプ用PMOSであっても、通常のMOSFETと同様にソースに対して閾値電圧以下のゲート電圧を印加することによりソースからドレインへとドレイン電流を流すことができる。
【0072】
高耐圧IC100において逆クランプ用PMOSは、ドレイン、ゲート、およびバックゲートがVB端子に接続され、ソースがVS端子に接続された状態となっている。したがって、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合、逆クランプ用PMOSのゲート−ソース間に閾値電圧の絶対値以上の電圧が印加されることとなるため、逆クランプ用PMOSはオン状態となり、クランプ用PMOS14のチャネル電流が流れる。このとき、電源電位VBの低下により逆クランプ用PMOSのバックゲートであるn-拡散領域2の電位が低下するため、逆クランプ用PMOSの閾値電圧は、バックゲート効果によりクランプ用PMOS14の閾値電圧よりも低下している。
【0073】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、ハイサイド駆動回路の電源電位VBが印加されるVB電極にゲートおよびソースが電気的に接続され、ハイサイド駆動回路の基準電位となる中間電位VSが印加されるVS電極にドレイン電極が電気的に接続された閾値電圧−0.1V〜−0.6V程度のクランプ用PMOSをハイサイド駆動回路領域に設けることで、負電圧サージが印加されたときにクランプ用PMOSに電流を流すことができる。これにより、負電圧サージが印加された場合に、電源電位VBが中間電位VSよりもシリコンpn接合の拡散電位である0.6V以上低下することを抑制することができる。したがって、p型バルク基板を用いて自己分離型ICプロセスによって作製した高耐圧ICにおいて、負電圧サージによる寄生pnpバイポーラトランジスタの動作を抑制することができる。このため、高電圧(〜Vdcの高電位側電位)が印加されたVS端子とGND端子との間に大電流が流れることを防止することができ、高耐圧ICが破壊されることを防止することができる。
【0074】
また、実施の形態1によれば、安価なバルク基板を用いて、特別な素子分離プロセスを必要としない自己分離型ICプロセスによってイオン注入および熱拡散のみによって低コストで高耐圧ICを作製することができる。また、外付け部品として、VB端子とVS端子との間に接続するバイパスコンデンサを設ける必要がなくなる。これによって、安価な高耐圧ICを提供することができる。
【0075】
また、実施の形態1によれば、ゲート駆動回路を構成するPMOSやNMOSとともに、ハイサイド駆動回路領域内にクランプ用PMOSを形成することができる。このため、負電圧サージによる破壊を回避する効果を向上させることができる。また、ハイサイド駆動回路領域内にクランプ用PMOSを形成することができるため、VB端子とVS端子との間に外付け部品として接続するバイパスコンデンサが設けられない場合や距離が離れている場合でも負電圧サージによる破壊を回避する効果を向上させることができレイアウト設計の自由度が高くなる。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる半導体装置の構造について説明する。図18は、実施の形態2にかかる半導体装置を示す回路図である。図19は、実施の形態2にかかる半導体装置の断面構造を模式的に示す平面図である。実施の形態2にかかる半導体装置の平面構造は、実施の形態1にかかる半導体装置の平面構造と同様である。すなわち、図19には、図2の切断線A−A’における断面構造を示す。実施の形態2にかかる高耐圧IC120が実施の形態1にかかる高耐圧IC100と異なる点は、VB端子とVS端子との間にバイパスコンデンサ81が接続されている点である(図18)。
【0077】
図19に示すように、バイパスコンデンサ81は、層間絶縁膜8内の、クランプ用PMOS14のゲート電極46付近に形成される。具体的には、バイパスコンデンサ81は、クランプ用PMOS14のゲート電極46、絶縁膜83および導電体(以下、コンデンサ電極とする)82で構成されている。コンデンサ電極82は、ゲート電極46のゲート絶縁膜45側に対して反対側に絶縁膜83を介して設けられている。また、コンデンサ電極82は、例えばアルミニウム配線によってVS電極3bに接続される。すなわち、コンデンサ電極82は、クランプ用PMOS14のp+ドレイン領域42と低抵抗な状態で電気的に接続されている。
【0078】
絶縁膜83は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)または酸化ランタン(La2O3)等の高誘電体材料でできているのが望ましい。その理由は、バイパスコンデンサ81の容量を大きくすることができるからである。絶縁膜83の厚さは、例えば250Åであってもよい。バイパスコンデンサ81を設けることにより、負電圧サージが印加され、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合、クランプ用PMOS14だけでなく、バイパスコンデンサ81を介してVS電極3bからVB電極2b,4bへ電流を流すことができる。
【0079】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2によれば、バイパスコンデンサを設けることにより、電源電位VBが中間電位VSよりも低下することを抑制することができる。このため、実施の形態2にかかる半導体装置は、例えば、インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)など、従来、その内部にバイパスコンデンサを設けない構成の装置において高い効果を奏する。また、実施の形態2によれば、ゲート駆動回路を構成するPMOSやNMOSとともに、ハイサイド駆動回路領域内にバイパスコンデンサを形成することができる。このため、外付け部品としてバイパスコンデンサを接続する場合よりも負電圧サージによる破壊を回避する効果を向上させることができる。
【0080】
(実施例)
次に、本発明にかかる半導体装置のクランプ用PMOS14の動作について、実施の形態1にかかる高耐圧IC(以下、実施例とする)を用いて検証した。図20は、クランプ用のpチャネルMOSFETの電気的特性を示す特性図である。図20には、クランプ用PMOS14のゲート−ソース間電圧Vgsが0Vのときの、ドレイン電流と、ドレイン−ソース間電圧(VS端子−VB端子間電圧)との関係を示す。クランプ用PMOS14の閾値電圧を−0.15Vとした。寄生pnpバイポーラトランジスタ18の面積は、一般的な高耐圧ICの場合の0.2mm2とした。図20に示すように、ドレイン−ソース間電圧がクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値未満、すなわち0.15V未満である場合、クランプ用PMOS14のドレイン−ソース間に電流は流れない。
【0081】
一方、クランプ用PMOS14のドレイン電位がソース電位よりも0.15V以上高くなった場合、n-チャネル領域44に反転層が形成され、クランプ用PMOS14のドレイン−ソース間に電流が流れる。ドレイン−ソース間電圧が0.0V〜0.6Vのときに流れる電流は、クランプ用PMOS14のチャネル電流である(ドレイン−ソース間電圧0.6Vを矢印91で示す)。また、ドレイン−ソース間電圧が0.6V以上のときに流れる電流は、クランプ用PMOS14のp+ドレイン領域42とn-拡散領域2とによって形成される寄生pnダイオードに流れる電流である。
【0082】
図21は、クランプ用のpチャネルMOSFETのオン時の電気的特性を示す特性図である。図22は、実施例にかかる半導体装置の負電圧サージ印加時の電気的特性を示す特性図である。図21の横軸のVS端子−VB端子間電圧とは、中間電位VSから電源電位VBを減じた値(=中間電位VS−電源電位VB)である。図22の縦軸のVB端子−VS端子間電圧とは、電源電位VBから中間電位VSを減じた値(=電源電位VB−中間電位VS)である。図21に示すように、従来の高耐圧IC(図23参照、以下、従来例とする)のようにクランプ用PMOS14を備えていない場合、サージ電圧が印加され寄生pnpバイポーラトランジスタ118のベース−エミッタ間に10mAのベース電流(サージ電流)が流れた場合、電源電位VBが中間電位VSよりも0.65V低くなることが確認された。したがって、図22に示すように、従来例では、電源電位VBが中間電位VSよりも0.6V以上低下することが確認された。
【0083】
一方、実施の形態1にかかる高耐圧IC(実施例)においては、クランプ用PMOS14のドレイン電極48がVS電極3bに接続され、ソース電極47がVB電極2bに接続されることにより、電源電位VBが中間電位VSよりも0.15V低下したときに、クランプ用PMOS14を介してVS電極3bからVB電極2bへドレイン電流(サージ電流)が流れ、電源電位VBが中間電位VSよりも0.50Vしか低下しないことが確認された。すなわち、実施例においては、寄生pnpバイポーラトランジスタ18のベース電流を従来例よりも1/100(=1.0×10-4/1.0×10-2)に抑えることができることが確認された。したがって、実施例においては、図22に示すように、電源電位VBが中間電位VSよりも0.6V以上低下しないため、寄生pnpバイポーラトランジスタ18が動作しないことが確認された。
【0084】
以上において本発明は種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法は要求される仕様等に応じて種々設定される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 p型バルク基板
2,4 n-拡散領域
2a,4a n+高濃度領域
2b,4b VB電極
3 p拡散領域
3a p+高濃度領域
3b VS電極
5 p-GND領域
5b GND電極
6 pGND領域
7 局部絶縁膜
8 層間絶縁膜
9 パッシベーション膜
10 ハイサイド駆動回路
10a ハイサイド駆動回路領域
11 ゲート駆動回路
12 pチャネルMOSFET(PMOS)
13 nチャネルMOSFET(NMOS)
14 クランプ用のpチャネルMOSFET(クランプ用PMOS)
15 レベルシフタ
15a 高耐圧分離領域
16 制御回路
16a ローサイド領域
17,103,104 FWD
18 寄生pnpバイポーラトランジスタ
19 レベルシフト抵抗
21,31,41 ソース領域
22,32,42 ドレイン領域
23,33,45 ゲート絶縁膜
24,34,46 ゲート電極
25,35,47 ソース電極
26,36,48 ドレイン電極
43 pドレインドリフト領域
44 チャネル領域
81 バイパスコンデンサ
82 コンデンサ電極
83 絶縁膜
100 高耐圧IC
101 第1IGBT
102 第2IGBT
105 接続点
GND グランド電位
L クランプ用PMOSのチャネル長
T n+高濃度領域の外側の端部からpGND領域の内側の端部までの距離
VB 電源電位
VS 中間電位
Vdc 主電源
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】

【手続補正書】
【提出日】2014年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置
【背景技術】
【0002】
従来、産業用インバータにおいて電力変換用ブリッジ回路を構成するIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子のゲート駆動に用いる半導体素子として、入力側と出力側とを電気的に絶縁するトランスやフォトカプラが公知である。また、近年、主に低容量のインバータ用途において、低コスト化のために、入力側と出力側とを電気的に絶縁しない高耐圧IC(HVIC)が用いられている(例えば、下記非特許文献1,2参照)。
【0003】
従来の高耐圧ICの回路構成について説明する。図23は、従来の高耐圧ICを示す回路図である。図23に示す高耐圧IC200は、電力変換用ブリッジ回路の一相分を構成する第1,2IGBT101,102を駆動する回路である。第1,2IGBT101,102は、高圧の主電源(正極側)Vdcと、この主電源の負極側であるグランド電位GNDとの間に直列に接続される。VS端子は、第1IGBT101と第2IGBT102との接続点105に接続される。接続点105は、第1,2IGBT101,102で構成されるブリッジ回路の出力点である。
【0004】
高耐圧IC200は、一般的に、ハイサイド駆動回路110、ローサイド駆動回路(不図示)、レベルシフタ115、制御回路116を備える。ハイサイド駆動回路110は、ゲート駆動回路111、レベルシフト抵抗119などを備える。ゲート駆動回路111は、ハイサイド側のpチャネルMOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、以下、PMOSとする)112と、ローサイド側のnチャネルMOSFET(以下、NMOSとする)113とが相補うように接続されたCMOS(相補型MOS)回路よりなる。符号103,104,117はFWD(還流ダイオード)である。
【0005】
制御回路116は、グランド電位GNDを基準として動作し、第1IGBT101をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号、および第2IGBT102をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号を生成する。レベルシフタ115は、制御回路116によって生成されたローサイドレベルのオン・オフ信号を、第1IGBT101のゲートに入力されるハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換する。
【0006】
ハイサイド側の第1IGBT101を駆動する場合の高耐圧IC200の動作について説明する。制御回路116によって第1IGBT101をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号が生成される。このローサイドレベルのオン・オフ信号は、レベルシフタ115によりハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換された後、ハイサイド駆動回路110に入力される。ハイサイド駆動回路110は、中間電位VSを基準電位として、中間電位VSと電源電位VBとの間の電位で動作する。電源電位VBは、中間電位VSよりも例えば15V程度高くなっている。
【0007】
制御回路116からハイサイド駆動回路110に入力されたオン・オフ信号は、NOT回路およびその後段のゲート駆動回路111を介してハイサイド側の第1IGBT101のゲートに入力される。第1IGBT101は、制御回路116からのオン・オフ信号に基づいてオン・オフされる。高耐圧IC200の動作中、VS端子に印加される中間電位VSは0VからVdcまでの間で変動する。
【0008】
このような高耐圧IC200を低コストで作製(製造)する方法として、安価なバルク基板を用いることができ、かつ特別な素子分離プロセスを必要としない自己分離技術を用いたICプロセスが適している。自己分離型ICプロセスによって作製された高耐圧IC200の構造について説明する。図24は、従来の高耐圧ICの平面構造を模式的に示す平面図である。図25は、図24の切断線AA−AA'における断面構造を示す断面図である。
【0009】
図24,25に示すように、p型バルク基板201には、ハイサイド駆動回路が配置されたハイサイド駆動回路領域210、ハイサイド駆動回路領域210を囲む高耐圧分離領域215、高耐圧分離領域215を囲むローサイド領域216が設けられている。高耐圧分離領域215には、レベルシフタ115が配置される。ローサイド領域216は、ハイサイド駆動回路領域210と、高耐圧分離領域215の、レベルシフタ115が形成された部分とを除いた部分である。ローサイド領域216には、制御回路116が配置される。ハイサイド駆動回路領域210は、高耐圧分離領域215によってローサイド領域216と分離され、ローサイド領域216よりも600V以上の高電位が印加可能となっている。
【0010】
p型バルク基板201の表面層には、n-拡散領域202が選択的に形成されている。n-拡散領域202は、ハイサイド駆動回路領域210から高耐圧分離領域215にわたって設けられている。n-拡散領域202には、ハイサイド駆動回路領域210においてハイサイド駆動回路が形成されている。具体的には、n-拡散領域202の表面層には、ゲート駆動回路を構成する横型のPMOS212および横型のNMOS213が形成されている。
【0011】
NMOS213は、n-拡散領域202の表面層に設けられたp-拡散領域203に形成される。また、p型バルク基板201の表面層の、n-拡散領域202の外側には、ローサイド領域216内にp-領域204が設けられている。p型バルク基板201およびp-領域(以下、p-GND領域とする)204にはグランド電位GNDが印加される。n-拡散領域202には、ハイサイド電源電位VBが印加される。p-拡散領域203には中間電位VSが印加される。
【0012】
このような高耐圧ICとして、高電位ゲート駆動回路部と、レベルシフト回路部とを同一の他導電型半導体基板上に備え、前記高電位ゲート駆動回路部には少なくとも一つの横型MOSFETが形成され、前記半導体基板の主面に平行方向に選択的に、かつ前記横型MOSFETのソース領域およびドレイン領域の下方に、寄生素子抑制用の埋め込み絶縁膜を有する装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0013】
また、別の高耐圧ICとして、次の装置が提案されている。入出力端子と接地端子の間に接続された静電保護回路としてのsgPMOSトランジスタを備えている。トランジスタはソースとゲートが入出力端子に接続され、ドレインが接地端子に接続されている。トランジスタのドレインは第1P型ドレイン拡散層と第2P型ドレイン拡散層からなる二重拡散構造を備えている(例えば、下記特許文献2参照。)。
【0014】
また、別の高耐圧ICとして、次の装置が提案されている。高耐圧素子が形成された高耐圧素子領域と、低耐圧素子が形成された低耐圧素子領域とが規定されたp-半導体基板を含む。p-半導体基板の上には、n+埋込み拡散層、n-エピタキシャル層が形成されている(例えば、下記特許文献3(第0003段落、第5図)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−288476号公報
【特許文献2】特開2009−105392号公報
【特許文献3】特開2007−220766号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】ティー・フジヒラ(T.FUJIHIRA)、外4名、プロポーザル オブ ニュー インターコネクション テクニック フォア ベリー ハイ−ボルテージ IC's(Proposal of New Interconnection Technique for Very High−Voltage IC's)、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1996年11月、第35巻(第1版)、第11号、p.5655−5663
【非特許文献2】ジョナサン・アダムス(Jonathan Adams)、"コントロールIC用ブートストラップ回路部品の選定"、[online]、インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン株式会社(International Rectifier Japan)、[平成24年9月24日検索]、インターネット<http://www.irf−japan.com/technical−info/designtp/dt98−2j.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、自己分離型ICプロセスによって作製された高耐圧IC200では、ハイサイド駆動回路領域210内に、p-拡散領域203、n-拡散領域202およびp型バルク基板201からなる寄生pnpバイポーラトランジスタ118が形成される。寄生pnpバイポーラトランジスタ118のベース、エミッタおよびコレクタは、それぞれ、VB端子、VS端子、GND端子に接続された状態となる。
【0018】
高耐圧IC200の通常動作において、電源電位VBは中間電位VSよりも高いため、寄生pnpバイポーラトランジスタ118は動作しない。しかし、負電圧サージにより電源電位VBが中間電位VSよりもシリコンpn接合の拡散電位である0.6V以上低下した場合、すなわちVB<(VS−0.6[V])の電位関係になった場合、寄生pnpバイポーラトランジスタ118がオン状態となる。これにより、高電圧(〜Vdcの高電位側電位)が印加されたVS端子とGND端子との間に大電流が流れるため、大電流による発熱によって高耐圧IC200が破壊される虞がある。
【0019】
このようなサージによる破壊を回避するため、通常、非特許文献2で提案されるように、p型バルク基板201の外部に外付け部品としてVB端子とVS端子との間に接続されたバイパスコンデンサが配置される。しかしながら、レイアウト設計やコスト上の制約によりバイパスコンデンサを配置することができなかったり、レイアウト設計の制約により高耐圧IC200から離れた位置に配置されることで十分に効果が得られないという問題がある。
【0020】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、サージによる破壊を防止することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の半導体層の表面層に、第1電位が印加される第2導電型の第1半導体領域が設けられている。前記第1半導体領域の内部に、第2電位が印加される第1導電型の第2半導体領域が設けられている。前記第1半導体領域および前記第2半導体領域に、前記第2電位を基準電位とし、前記第2電位よりも高い前記第1電位との間の電位で動作する回路が設けられている。前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型のソース領域、前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型のドレイン領域、および、前記第1半導体領域の、前記ソース領域と前記ドレイン領域とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極を有する絶縁ゲート型電界効果トランジスタが設けられている。前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの閾値電圧は−0.1V〜−0.6Vである。前記ソース領域および前記ゲート電極は前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記ドレイン領域は前記第2半導体領域に電気的に接続されている。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、絶縁体を介して、前記ゲート電極の前記ゲート絶縁膜側に対して反対側に対向する導電体をさらに備える。前記導電体は、前記ドレイン領域に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記絶縁体は、高誘電体材料でできていることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記絶縁体は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムまたは酸化ランタンでできていることを特徴とする。
【0025】
上述した発明によれば、ハイサイド駆動回路の電源電位VBが印加されるVB電極にゲートおよびソースが電気的に接続され、ハイサイド駆動回路の基準電位となる中間電位VSが印加されるVS電極にドレインが電気的に接続されたクランプ用PMOS(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)をハイサイド駆動回路領域(第1半導体領域)に設けることで、負電圧サージが印加されたときにクランプ用PMOSに電流を流すことができる。これにより、負電圧サージが印加されたときに電源電位VBが中間電位VSよりもシリコンpn接合の拡散電位である0.6V以上低下することを抑制することができる。したがって、p型バルク基板を用いて自己分離型ICプロセスによって作製した高耐圧ICにおいて、負電圧サージによる寄生pnpバイポーラトランジスタの動作を抑制することができる。このため、高電圧(Vdcの高電位側電位)が印加されたVS端子とGND端子との間に大電流が流れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる半導体装置によれば、サージによる破壊を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる半導体装置を示す回路図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の平面構造を模式的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図12】図12は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図14】図14は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図16】図16は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図17】図17は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図18】図18は、実施の形態2にかかる半導体装置を示す回路図である。
【図19】図19は、実施の形態2にかかる半導体装置の断面構造を模式的に示す平面図である。
【図20】図20は、クランプ用のpチャネルMOSFETの電気的特性を示す特性図である。
【図21】図21は、クランプ用のpチャネルMOSFETのオン時の電気的特性を示す特性図である。
【図22】図22は、実施例にかかる半導体装置の負電圧サージ印加時の電気的特性を示す特性図である。
【図23】図23は、従来の高耐圧ICを示す回路図である。
【図24】図24は、従来の高耐圧ICの平面構造を模式的に示す平面図である。
【図25】図25は、図24の切断線AA−AA'における断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置を示す回路図である。図1に示す実施の形態1にかかる半導体装置は、電力変換用ブリッジ回路(主回路)の一相分を構成する第1,2IGBT101,102を駆動する高耐圧IC100である。図1に示すように、高耐圧IC100は、ハイサイド駆動回路10、ローサイド駆動回路(不図示)、クランプ用のエンハンストメント型pチャネルMOSFET(以下、クランプ用PMOSとする)14、レベルシフタ15、制御回路16を備える。
【0030】
ハイサイド駆動回路10は、ゲート駆動回路11、NOT回路、レベルシフト抵抗19などを備える。第1,2IGBT101,102は、高圧の主電源(正極側)Vdcと、この主電源の負極側であるグランド電位GNDとの間に直列に接続されている。VS端子は、第1IGBT101と第2IGBT102との接続点105に接続される。接続点105は、第1,2IGBT101,102で構成される電力変換用ブリッジ回路の出力点であり、例えば負荷であるモータなどが接続される。
【0031】
高耐圧IC100の動作中、VS端子に印加される中間電位VSは、第1IGBT101と第2IGBT102とが相補にオン・オフ(on・off)されることによって、主電源Vdcの高電位側電位(例えば400V程度)と低電位側電位(グランド電位GND)との間で上昇および下降を繰り返し、0Vから数百Vまでの間で変動する。電源電位VBは、中間電位VSよりも15V程度高くなっており、基板電位(グランド電位GND)よりも415V程度高くなっている。
【0032】
ハイサイド駆動回路10は、VS端子に印加される電位(中間電位)VSを基準電位として、中間電位VSと電源電位VBとの間の電位で動作し、ハイサイド側の第1IGBT101を駆動する。具体的には、ハイサイド駆動回路10は、レベルシフト抵抗19の電圧降下を信号として、NOT回路およびその後段のゲート駆動回路11を介してハイサイド側の第1IGBT101のゲートにオン・オフ信号を入力する。
【0033】
ゲート駆動回路11は、ハイサイド側のpチャネルMOSFET(PMOS)12と、ローサイド側のnチャネルMOSFET(NMOS)13とが相補うように接続されたCMOS回路よりなる。具体的には、PMOS12のソースはVB端子に接続され、PMOS12のドレインはNMOS13のドレインに接続されている。NMOS13のソースはVS端子に接続されている。PMOS12とNMOS13との接続点は、第1IGBT101のゲートに接続されている。
【0034】
また、VB端子とVS端子との間には、クランプ用PMOS14が接続されている。具体的には、クランプ用PMOS14のソースおよびゲートはVB端子に接続されている。クランプ用PMOS14のドレインは、VS端子に接続されている。クランプ用PMOS14の閾値電圧は、−0.1V〜−0.6V程度である。クランプ用PMOS14の耐圧は15V以上であるのが好ましい。なお、ここでいう閾値電圧とは、ゲート電圧を0Vから上昇あるいは降下させた際に、チャネルが弱反転状態から強反転状態に変わる時のゲート電圧のことである。
【0035】
制御回路16は、グランド電位GNDを基準として動作し、第1IGBT101をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号、および第2IGBT102をオン・オフするためのローサイドレベルのオン・オフ信号を生成する。レベルシフタ15は、制御回路16によって生成されたローサイドレベルのオン・オフ信号を、第1IGBT101のゲートに入力されるハイサイドレベルのオン・オフ信号に変換する。符号103,104,17はFWD(還流ダイオード)である。
【0036】
高耐圧IC100は、例えばp型バルク基板上に自己分離技術を用いたICプロセスによって製造される。高耐圧IC100の平面構造について説明する。図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の平面構造を模式的に示す平面図である。図2に示すように、p型バルク基板1上には、ハイサイド駆動回路10が配置されたハイサイド駆動回路領域10a、ハイサイド駆動回路10の耐圧を確保する高耐圧分離領域15a、高耐圧分離領域15aを囲むローサイド領域16aが設けられている。
【0037】
ハイサイド駆動回路領域10aの周囲には、ハイサイド駆動回路領域10aを囲むように高耐圧分離領域15aが配置される。ハイサイド駆動回路領域10aは、高耐圧分離領域15aによってローサイド領域16aと分離され、ローサイド領域16aよりも600V以上の高電位が印加可能となっている。ハイサイド駆動回路領域10aには、例えばハイサイド駆動回路領域10aと高耐圧分離領域15aとの境界付近においてハイサイド駆動回路10を囲むようにVB電極4bが配置される。
【0038】
ハイサイド駆動回路領域10a内には、高耐圧IC100の設計条件に応じて図示省略するVB電極およびVS電極が選択的に配置される。ハイサイド駆動回路領域10a内にVB電極およびVS電極を配置することにより、ノイズとなるキャリアを引き抜くことができる。高耐圧分離領域15aには、レベルシフタ15が配置される。ローサイド領域16aは、ハイサイド駆動回路領域10aと、高耐圧分離領域15aの、レベルシフタ15が形成された部分とを除いた部分である。ローサイド領域16aには、制御回路16が配置される。レベルシフタ15をローサイド領域16aに形成することもできる。
【0039】
次に、高耐圧IC100の断面構造について説明する。図3は、図2の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。図3に示すように、高耐圧IC100は、p型バルク基板1に自己分離型ICプロセスによって作製された素子分離構造を有する。p型バルク基板1の表面層には、n-拡散領域2が選択的に形成されている。n-拡散領域2は、ハイサイド駆動回路領域10aに設けられている。n-拡散領域2の拡散深さは、例えば10μm程度であってもよい。n-拡散領域2の表面層には、p拡散領域3が選択的に設けられている。
【0040】
n-拡散領域2およびp拡散領域3には、ハイサイド駆動回路10が設けられている。n-拡散領域2には、クランプ用PMOS14が設けられている。図3には、ハイサイド駆動回路10の構成部のうち、ゲート駆動回路11を構成する横型のpチャネルMOSFET(PMOS)12および横型のnチャネルMOSFET(NMOS)13を示す。n-拡散領域2には、n-拡散領域2の内部に設けられたn+高濃度領域2aを介して電気的に接続されたVB電極2bから電源電位VBが印加される。p拡散領域3には、p拡散領域3の内部に設けられたp+高濃度領域3aを介して電気的に接続されたVS電極3bから中間電位VS(接続点105の電位)が印加される。
【0041】
具体的には、PMOS12は、n-拡散領域2の表面層に形成されている。PMOS12は、p+ソース領域21、p+ドレイン領域22、ゲート絶縁膜23、ゲート電極24、ソース電極25およびドレイン電極26を備える。p+ソース領域21およびp+ドレイン領域22は、n-拡散領域2の内部に互いに離れて設けられる。p+ソース領域21およびp+ドレイン領域22の拡散深さは、p拡散領域3の拡散深さよりも浅い。ゲート電極24は、n-拡散領域2の、p+ソース領域21とp+ドレイン領域22とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜23を介して設けられている。ソース電極25およびドレイン電極26は、それぞれp+ソース領域21およびp+ドレイン領域22に電気的に接続されている。ソース電極25は、例えばアルミニウム配線によってVB電極2bに接続される。
【0042】
NMOS13は、p拡散領域3の表面層に形成されている。NMOS13は、n+ソース領域31、n+ドレイン領域32、ゲート絶縁膜33、ゲート電極34、ソース電極35およびドレイン電極36を備える。n+ソース領域31およびn+ドレイン領域32は、p拡散領域3の内部に互いに離れて設けられている。ゲート電極34は、p拡散領域3の、n+ソース領域31とn+ドレイン領域32とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜33を介して設けられている。ソース電極35およびドレイン電極36は、それぞれn+ソース領域31およびn+ドレイン領域32に電気的に接続されている。ソース電極35は、例えばアルミニウム配線によってVS電極3bに接続される。
【0043】
クランプ用PMOS14は、n-拡散領域2の表面層に形成されている。クランプ用PMOS14は、p+ソース領域41、p+ドレイン領域42、pドレインドリフト領域43、n-チャネル領域44、ゲート絶縁膜45、ゲート電極46、ソース電極47およびドレイン電極48を備える。クランプ用PMOS14において、p+ソース領域41およびp+ドレイン領域42は、n-拡散領域2の内部に互いに離れて設けられている。p+ソース領域41およびp+ドレイン領域42の拡散深さは、p拡散領域3の拡散深さよりも浅い。pドレインドリフト領域43は、p+ドレイン領域42を覆うようにn-拡散領域2の内部に設けられている。
【0044】
n-チャネル領域44は、p+ソース領域41とpドレインドリフト領域43との間に設けられている。ゲート電極46は、n-拡散領域2の、p+ソース領域41とp+ドレイン領域42とに挟まれた部分の表面にゲート絶縁膜45を介して設けられている。ソース電極47およびドレイン電極48は、それぞれp+ソース領域41およびp+ドレイン領域42に電気的に接続されている。ゲート電極46およびソース電極47は、例えばアルミニウム配線によってVB電極2bに接続される。ドレイン電極48は、例えばアルミニウム配線によってVS電極3bに接続される。
【0045】
クランプ用PMOS14のチャネル長Lおよびチャネル幅Wは、それぞれ、例えば1.7μmおよび25000μmであってもよい。クランプ用PMOS14のチャネル長Lとは、p+ソース領域41とpドレインドリフト領域43との間の最短距離である。クランプ用PMOS14のチャネル幅Wは、チャネル長Lに直交する方向のチャネル部の幅である。図3では、PMOS12とNMOS13との間にクランプ用PMOS14を図示しているが、クランプ用PMOS14はハイサイド駆動回路領域10a内に配置され、VB端子とVS端子との間に電気的に接続されていればよい。また、クランプ用PMOS14の配置面積が広い程、より本発明の効果が得られる。
【0046】
また、p型バルク基板1の表面層の、n-拡散領域2の外側には、例えばn-拡散領域2よりも浅い深さでn-拡散領域4が設けられている。n-拡散領域4は、n-拡散領域2に接し、かつn-拡散領域2の周囲を囲む。n-拡散領域4には、n-拡散領域4内部のn+高濃度領域4aを介して電気的に接続されたVB電極4bから電源電位VBが印加される。n+高濃度領域4aおよびVB電極4bは、ハイサイド駆動回路領域10aの周囲を囲む。n-拡散領域2から、n+高濃度領域4aの外側の端部までがハイサイド駆動回路領域10aである。
【0047】
p型バルク基板1の表面層のn-拡散領域4の外側には、n-拡散領域4の周囲を囲み、かつn-拡散領域4に接するp-領域5が設けられている。n-拡散領域4およびp-領域5の内部には、n-拡散領域4とp-領域5との境界にp領域6が設けられている。p-領域(以下、p-GND領域とする)5およびp領域(以下、pGND領域とする)6には、pGND領域6内部のp+高濃度領域(不図示)を介して電気的に接続されたGND電極5bからグランド電位GNDが印加される。p-GND領域5およびpGND領域6は、p型バルク基板1をグランド電位GNDに固定する機能を有する。
【0048】
n-拡散領域4、p-GND領域5およびpGND領域6は、高耐圧分離領域15aを構成する。具体的には、n+高濃度領域4aの外側の端部からp-GND領域5の外側の端部までが高耐圧分離領域15aである。n+高濃度領域4aの外側の端部からpGND領域6の内側の端部までの距離Tは、耐圧600Vである場合に100μm程度であり、耐圧1200Vである場合に200μm程度である。
【0049】
n+高濃度領域4aの外側の端部から外側の、シフトレジスタ(不図示)が形成された部分を除いた部分がローサイド領域16aである。符号7はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)などの局部絶縁膜である。符号8はBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)等の層間絶縁膜である。符号9はシリコン窒化膜(Si3N4膜)などからなるパッシベーション膜である。
【0050】
また、高耐圧IC100は、後述するように自己分離技術を用いたICプロセス(自己分離型ICプロセス)によって作製される。このため、ハイサイド駆動回路領域10a内には、p拡散領域3をエミッタとし、n-拡散領域2をベースとし、p型バルク基板1をコレクタとする寄生pnpバイポーラトランジスタ18が形成される。寄生pnpバイポーラトランジスタ18のベース、エミッタおよびコレクタは、それぞれ、VB端子、VS端子、GND端子に接続された状態となる。
【0051】
次に、高耐圧IC100の製造方法について説明する。主に、クランプ用PMOS14の製造工程について説明する。図4〜17は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、図4に示すように、比抵抗が例えば300Ωcm程度のシリコンからなるp型バルク基板1を用意する。次に、p型バルク基板1の表面にレジストマスク51を形成し、n-拡散領域2の形成領域に対応する部分を露出させる。
【0052】
次に、レジストマスク51をマスクとして例えばリン(P)などのn型不純物の第1イオン注入61を行う。図4において、p型バルク基板1表面近傍の点線は、第1イオン注入61されたn型不純物をあらわしている(図5,6においても同様)。第1イオン注入61の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および2.0×1013/cm2程度であってもよい。
【0053】
次に、図5に示すように、レジストマスク51の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク52を形成し、n-拡散領域4の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク52をマスクとして例えばリンなどのn型不純物の第2イオン注入62を行う。第2イオン注入62の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および4.0×1012/cm2程度であってもよい。図5において、p型バルク基板1表面近傍の点線(第1イオン注入61されたn型不純物を示す点線よりも細かい点線)は、第2イオン注入62されたn型不純物をあらわしている(図6においても同様)。
【0054】
次に、図6に示すように、レジストマスク52の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク53を形成し、p-GND領域5の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク53をマスクとして例えばボロン(B)などのp型不純物の第3イオン注入63を行う。第3イオン注入63の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および3.0×1012/cm2程度であってもよい。
【0055】
図6において、p型バルク基板1表面近傍の点線(第1,2イオン注入61,62されたn型不純物を示す点線よりも粗い点線)は、第3イオン注入63されたp型不純物をあらわしている。次に、レジストマスク53の除去後、例えば窒素(N2)雰囲気下において1200℃程度の温度の熱処理を300分程度行い、p型バルク基板1に第1〜3イオン注入61〜63されたn型不純物およびp型不純物を熱拡散させる。これにより、図7に示すように、n-拡散領域2、n-拡散領域4およびp-GND領域5が形成される。
【0056】
次に、図8に示すように、p型バルク基板1の、n-拡散領域2が形成された側の表面(以下、単に表面とする)にレジストマスク54を形成し、pGND領域6の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク54をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第4イオン注入64を行う。第4イオン注入64の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および4.0×1013/cm2程度であってもよい。図8において、p-GND領域5表面近傍の点線は、第4イオン注入64されたp型不純物をあらわしている(図9においても同様)。
【0057】
次に、図9に示すように、レジストマスク54の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク55を形成し、p拡散領域3の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク55をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第5イオン注入65を行う。第5イオン注入65の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および5.0×1013/cm2程度であってもよい。
【0058】
図9において、n-拡散領域2表面近傍の点線(第4イオン注入64されたp型不純物を示す点線よりも粗い点線)は、第5イオン注入65されたp型不純物をあらわしている。次に、レジストマスク55の除去後、例えば窒素雰囲気下において1150℃程度の温度の熱処理を240分程度行い、p型バルク基板1に第4,5イオン注入64,65されたp型不純物を熱拡散させる。これにより、図10に示すように、p拡散領域3およびpGND領域6が形成される。
【0059】
次に、図11に示すように、p型バルク基板1の表面にレジストマスク56を形成し、クランプ用PMOS14のpドレインドリフト領域43の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク56をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第6イオン注入66を行う。第6イオン注入66の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば50keV程度および4.0×1013/cm2程度であってもよい。図11において、n-拡散領域2表面近傍の点線は、第6イオン注入66されたp型不純物をあらわしている。
【0060】
次に、レジストマスク56の除去後、例えば窒素雰囲気下において1150℃程度の温度の熱処理を90分程度行い、p型バルク基板1に第6イオン注入66されたp型不純物を熱拡散させる。これにより、図12に示すように、pドレインドリフト領域43が形成される。次に、図13に示すように、酸素(O2)雰囲気下に1000℃程度の温度の熱酸化処理を90分程度行い、局部絶縁膜7を形成する。
【0061】
次に、図14に示すように、p型バルク基板1の表面にレジストマスク57を形成し、クランプ用PMOS14のn-チャネル領域44の形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク57をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第7イオン注入67を行う。第7イオン注入67の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば120keV程度および1.0×1012/cm2程度であってもよい。図14において、n-拡散領域2表面近傍の点線は、第7イオン注入67されたp型不純物をあらわしている。第7イオン注入67されたp型不純物によって、n-拡散領域2の、n-チャネル領域44の形成領域に対応する部分のn型不純物濃度が低くなる。
【0062】
次に、図15に示すように、酸素雰囲気下で熱酸化することにより、p型バルク基板1の表面に厚さ50Åのシリコン酸化膜71を形成する。シリコン酸化膜71は、ゲート絶縁膜23,33,45となる。次に、減圧CVD(化学気相成長)法により、シリコン酸化膜71上に厚さ3000Åのドープドポリシリコン膜72を形成してパターニングする。これにより、ゲート電極24,34,46が形成される。
【0063】
次に、図16に示すように、p型バルク基板1の表面にレジストマスク58を形成し、クランプ用PMOS14のp+ソース領域41およびp+ドレイン領域42の形成領域とp+高濃度領域3aの形成領域とに対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク58をマスクとして例えばボロンなどのp型不純物の第8イオン注入68を行う。第8イオン注入68の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば65keV程度および3.0×1015/cm2程度であってもよい。このとき、pGND領域6内部の図示省略するp+高濃度領域の形成領域に対応する部分にも第8イオン注入68を行う。図16において、n-拡散領域2、p拡散領域3およびpドレインドリフト領域43の表面近傍の点線は、第8イオン注入68されたp型不純物をあらわしている(図17においても同様)。
【0064】
次に、図17に示すように、レジストマスク58の除去後、p型バルク基板1の表面にレジストマスク59を形成し、n+高濃度領域2aおよびn+高濃度領域4aの形成領域に対応する部分を露出させる。次に、レジストマスク59をマスクとして例えば砒素(As)などのn型不純物の第9イオン注入69を行う。第9イオン注入69の加速電圧およびドーズ量は、それぞれ、例えば65keV程度および4.0×1015/cm2程度であってもよい。図17において、n-拡散領域2およびn-拡散領域4の表面近傍の点線(第8イオン注入68されたp型不純物を示す点線よりも細かい点線)は、第9イオン注入69されたn型不純物をあらわしている。
【0065】
次に、レジストマスク59の除去後、熱処理を行い、p型バルク基板1に第7〜9イオン注入67〜69されたn型不純物およびp型不純物を熱拡散させる。これにより、図3に示すように、n-チャネル領域44、p+ソース領域41、p+ドレイン領域42、p+高濃度領域3a、n+高濃度領域2a、n+高濃度領域4a、および、pGND領域6内部の図示省略するp+高濃度領域が形成される。次に、CVD法により厚さ1.0μmの層間絶縁膜8を堆積する。次に、フォトリソグラフィにより層間絶縁膜8を選択的に除去し、複数のコンタクトホールを形成する。
【0066】
次に、層間絶縁膜8上に例えば厚さ1.0μmのアルミニウム(Al)膜を堆積する。アルミニウム膜は、各コンタクトホールを介してp+ソース領域41、p+ドレイン領域42、p+高濃度領域3a、n+高濃度領域2a、n+高濃度領域4a、および、pGND領域6内部の図示省略するp+高濃度領域に接する。次に、アルミニウム膜をパターニングし、ソース電極47、ドレイン電極48、VB電極2b、VS電極3b、GND電極5b、およびアルミニウム配線(不図示)を形成する。
【0067】
次に、プラズマCVD法により厚さ1.0μmのパッシベーション膜9を形成することにより、図1〜3に示す高耐圧IC100が完成する。PMOS12、NMOS13、抵抗、コンデンサなどは、上述した高耐圧IC100の製造方法に一般的な製造工程を追加することによって、クランプ用PMOS14の形成されたp型バルク基板1上に形成される。PMOS12、NMOS13、抵抗、キャパシタ(容量)などを形成するタイミングは、高耐圧IC100の設計条件に合わせて種々変更可能である。PMOS12およびNMOS13の各領域は、例えばクランプ用PMOS14の、拡散深さおよび不純物濃度が等しい領域とともに形成してもよい。
【0068】
次に、ハイサイド側の第1IGBT101を駆動する場合の高耐圧IC100の動作について説明する。制御回路16によってローサイドレベルのオン・オフ信号が生成される。このローサイドレベルのオン・オフ信号は、レベルシフタ15を介してハイサイド駆動回路10に入力される。ハイサイド駆動回路10は、中間電位VSを基準電位として、中間電位VSと電源電位VBとの間の電位で動作する。高耐圧IC100の動作中、VS端子に印加される電位は0Vから数百Vまで変化する。電源電位VBは、中間電位VSよりも例えば15V程度高くなっている。
【0069】
ハイサイド駆動回路10に入力されたオン・オフ信号は、NOT回路およびその後段のゲート駆動回路11を介してハイサイド側の第1IGBT101のゲートに入力される。第1IGBT101は、制御回路16からのオン・オフ信号に基づいてオン・オフされる。高耐圧IC100の通常動作において電源電位VBが中間電位VSよりも高いため、寄生pnpバイポーラトランジスタ18は動作しない。また、電源電位VBが中間電位VSよりも高いため、クランプ用PMOS14はオフ状態であり、クランプ用PMOS14に電流は流れない。
【0070】
一方、負電圧サージが印加され、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合、クランプ用PMOS14がオン状態となり、クランプ用PMOS14を介してVS電極3bからVB電極2b,4bへ電流が流れる。これにより、寄生pnpバイポーラトランジスタ18のベース−エミッタ間に流れるベース電流を低減することができる。電源電位VBが中間電位VSよりも0.6V以上低下した場合にクランプ用PMOS14に流れる電流は、主に、p+ドレイン領域42とバックゲートであるn-拡散領域2とによって形成される寄生pnダイオードがターンオンすることによるものである。
【0071】
また、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合にクランプ用PMOS14に流れる電流は、クランプ用PMOS14のチャネル電流によるものである。クランプ用PMOS14のチャネル電流が流れる理由について説明する。クランプ用PMOS14を、p+ソース領域41をドレインとし、p+ドレイン領域42をソースとし、n-拡散領域2をバックゲートとした同一構造のPMOS(以下、逆クランプ用PMOSとする)と仮定する。チャネルは双方向性を有するため、逆クランプ用PMOSであっても、通常のMOSFETと同様にソースに対して閾値電圧以下のゲート電圧を印加することによりソースからドレインへとドレイン電流を流すことができる。
【0072】
高耐圧IC100において逆クランプ用PMOSは、ドレイン、ゲート、およびバックゲートがVB端子に接続され、ソースがVS端子に接続された状態となっている。したがって、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合、逆クランプ用PMOSのゲート−ソース間に閾値電圧の絶対値以上の電圧が印加されることとなるため、逆クランプ用PMOSはオン状態となり、クランプ用PMOS14のチャネル電流が流れる。このとき、電源電位VBの低下により逆クランプ用PMOSのバックゲートであるn-拡散領域2の電位が低下するため、逆クランプ用PMOSの閾値電圧は、バックゲート効果によりクランプ用PMOS14の閾値電圧よりも低下している。
【0073】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、ハイサイド駆動回路の電源電位VBが印加されるVB電極にゲートおよびソースが電気的に接続され、ハイサイド駆動回路の基準電位となる中間電位VSが印加されるVS電極にドレイン電極が電気的に接続された閾値電圧−0.1V〜−0.6V程度のクランプ用PMOSをハイサイド駆動回路領域に設けることで、負電圧サージが印加されたときにクランプ用PMOSに電流を流すことができる。これにより、負電圧サージが印加された場合に、電源電位VBが中間電位VSよりもシリコンpn接合の拡散電位である0.6V以上低下することを抑制することができる。したがって、p型バルク基板を用いて自己分離型ICプロセスによって作製した高耐圧ICにおいて、負電圧サージによる寄生pnpバイポーラトランジスタの動作を抑制することができる。このため、高電圧(〜Vdcの高電位側電位)が印加されたVS端子とGND端子との間に大電流が流れることを防止することができ、高耐圧ICが破壊されることを防止することができる。
【0074】
また、実施の形態1によれば、安価なバルク基板を用いて、特別な素子分離プロセスを必要としない自己分離型ICプロセスによってイオン注入および熱拡散のみによって低コストで高耐圧ICを作製することができる。また、外付け部品として、VB端子とVS端子との間に接続するバイパスコンデンサを設ける必要がなくなる。これによって、安価な高耐圧ICを提供することができる。
【0075】
また、実施の形態1によれば、ゲート駆動回路を構成するPMOSやNMOSとともに、ハイサイド駆動回路領域内にクランプ用PMOSを形成することができる。このため、負電圧サージによる破壊を回避する効果を向上させることができる。また、ハイサイド駆動回路領域内にクランプ用PMOSを形成することができるため、VB端子とVS端子との間に外付け部品として接続するバイパスコンデンサが設けられない場合や距離が離れている場合でも負電圧サージによる破壊を回避する効果を向上させることができレイアウト設計の自由度が高くなる。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる半導体装置の構造について説明する。図18は、実施の形態2にかかる半導体装置を示す回路図である。図19は、実施の形態2にかかる半導体装置の断面構造を模式的に示す平面図である。実施の形態2にかかる半導体装置の平面構造は、実施の形態1にかかる半導体装置の平面構造と同様である。すなわち、図19には、図2の切断線A−A'における断面構造を示す。実施の形態2にかかる高耐圧IC120が実施の形態1にかかる高耐圧IC100と異なる点は、VB端子とVS端子との間にバイパスコンデンサ81が接続されている点である(図18)。
【0077】
図19に示すように、バイパスコンデンサ81は、層間絶縁膜8内の、クランプ用PMOS14のゲート電極46付近に形成される。具体的には、バイパスコンデンサ81は、クランプ用PMOS14のゲート電極46、絶縁膜83および導電体(以下、コンデンサ電極とする)82で構成されている。コンデンサ電極82は、ゲート電極46のゲート絶縁膜45側に対して反対側に絶縁膜83を介して設けられている。また、コンデンサ電極82は、例えばアルミニウム配線によってVS電極3bに接続される。すなわち、コンデンサ電極82は、クランプ用PMOS14のp+ドレイン領域42と低抵抗な状態で電気的に接続されている。
【0078】
絶縁膜83は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)または酸化ランタン(La2O3)等の高誘電体材料でできているのが望ましい。その理由は、バイパスコンデンサ81の容量を大きくすることができるからである。絶縁膜83の厚さは、例えば250Åであってもよい。バイパスコンデンサ81を設けることにより、負電圧サージが印加され、電源電位VBが中間電位VSよりもクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値以上低下した場合、クランプ用PMOS14だけでなく、バイパスコンデンサ81を介してVS電極3bからVB電極2b,4bへ電流を流すことができる。
【0079】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2によれば、バイパスコンデンサを設けることにより、電源電位VBが中間電位VSよりも低下することを抑制することができる。このため、実施の形態2にかかる半導体装置は、例えば、インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)など、従来、その内部にバイパスコンデンサを設けない構成の装置において高い効果を奏する。また、実施の形態2によれば、ゲート駆動回路を構成するPMOSやNMOSとともに、ハイサイド駆動回路領域内にバイパスコンデンサを形成することができる。このため、外付け部品としてバイパスコンデンサを接続する場合よりも負電圧サージによる破壊を回避する効果を向上させることができる。
【0080】
(実施例)
次に、本発明にかかる半導体装置のクランプ用PMOS14の動作について、実施の形態1にかかる高耐圧IC(以下、実施例とする)を用いて検証した。図20は、クランプ用のpチャネルMOSFETの電気的特性を示す特性図である。図20には、クランプ用PMOS14のゲート−ソース間電圧Vgsが0Vのときの、ドレイン電流と、ドレイン−ソース間電圧(VS端子−VB端子間電圧)との関係を示す。クランプ用PMOS14の閾値電圧を−0.15Vとした。寄生pnpバイポーラトランジスタ18の面積は、一般的な高耐圧ICの場合の0.2mm2とした。図20に示すように、ドレイン−ソース間電圧がクランプ用PMOS14の閾値電圧の絶対値未満、すなわち0.15V未満である場合、クランプ用PMOS14のドレイン−ソース間に電流は流れない。
【0081】
一方、クランプ用PMOS14のドレイン電位がソース電位よりも0.15V以上高くなった場合、n-チャネル領域44に反転層が形成され、クランプ用PMOS14のドレイン−ソース間に電流が流れる。ドレイン−ソース間電圧が0.0V〜0.6Vのときに流れる電流は、クランプ用PMOS14のチャネル電流である(ドレイン−ソース間電圧0.6Vを矢印91で示す)。また、ドレイン−ソース間電圧が0.6V以上のときに流れる電流は、クランプ用PMOS14のp+ドレイン領域42とn-拡散領域2とによって形成される寄生pnダイオードに流れる電流である。
【0082】
図21は、クランプ用のpチャネルMOSFETのオン時の電気的特性を示す特性図である。図22は、実施例にかかる半導体装置の負電圧サージ印加時の電気的特性を示す特性図である。図21の横軸のVS端子−VB端子間電圧とは、中間電位VSから電源電位VBを減じた値(=中間電位VS−電源電位VB)である。図22の縦軸のVB端子−VS端子間電圧とは、電源電位VBから中間電位VSを減じた値(=電源電位VB−中間電位VS)である。図21に示すように、従来の高耐圧IC(図23参照、以下、従来例とする)のようにクランプ用PMOS14を備えていない場合、サージ電圧が印加され寄生pnpバイポーラトランジスタ118のベース−エミッタ間に10mAのベース電流(サージ電流)が流れた場合、電源電位VBが中間電位VSよりも0.65V低くなることが確認された。したがって、図22に示すように、従来例では、電源電位VBが中間電位VSよりも0.6V以上低下することが確認された。
【0083】
一方、実施の形態1にかかる高耐圧IC(実施例)においては、クランプ用PMOS14のドレイン電極48がVS電極3bに接続され、ソース電極47がVB電極2bに接続されることにより、電源電位VBが中間電位VSよりも0.15V低下したときに、クランプ用PMOS14を介してVS電極3bからVB電極2bへドレイン電流(サージ電流)が流れ、電源電位VBが中間電位VSよりも0.50Vしか低下しないことが確認された。すなわち、実施例においては、寄生pnpバイポーラトランジスタ18のベース電流を従来例よりも1/100(=1.0×10-4/1.0×10-2)に抑えることができることが確認された。したがって、実施例においては、図22に示すように、電源電位VBが中間電位VSよりも0.6V以上低下しないため、寄生pnpバイポーラトランジスタ18が動作しないことが確認された。
【0084】
以上において本発明は種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法は要求される仕様等に応じて種々設定される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 p型バルク基板
2,4 n-拡散領域
2a,4a n+高濃度領域
2b,4b VB電極
3 p拡散領域
3a p+高濃度領域
3b VS電極
5 p-GND領域
5b GND電極
6 pGND領域
7 局部絶縁膜
8 層間絶縁膜
9 パッシベーション膜
10 ハイサイド駆動回路
10a ハイサイド駆動回路領域
11 ゲート駆動回路
12 pチャネルMOSFET(PMOS)
13 nチャネルMOSFET(NMOS)
14 クランプ用のpチャネルMOSFET(クランプ用PMOS)
15 レベルシフタ
15a 高耐圧分離領域
16 制御回路
16a ローサイド領域
17,103,104 FWD
18 寄生pnpバイポーラトランジスタ
19 レベルシフト抵抗
21,31,41 ソース領域
22,32,42 ドレイン領域
23,33,45 ゲート絶縁膜
24,34,46 ゲート電極
25,35,47 ソース電極
26,36,48 ドレイン電極
43 pドレインドリフト領域
44 チャネル領域
81 バイパスコンデンサ
82 コンデンサ電極
83 絶縁膜
100 高耐圧IC
101 第1IGBT
102 第2IGBT
105 接続点
GND グランド電位
L クランプ用PMOSのチャネル長
T n+高濃度領域の外側の端部からpGND領域の内側の端部までの距離
VB 電源電位
VS 中間電位
Vdc 主電源
【国際調査報告】

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