(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
通信制御方法は、複数の受信機UEの各々について、当該受信機UEに対応する送信BFウェイト行列に対して、当該受信機UE以外の受信機UEに対応する複数のチャネル行列をそれぞれ乗算して得られる、複数の等価チャネル行列を含む除外チャネル行列を算定し、除外チャネル行列を特異値分解して得られる右特異行列に含まれる、除外チャネル行列の雑音部分空間に対応した第1固有ベクトルを取得し、当該受信機UEに対応する送信BFウェイト行列を含む等価チャネル行列と第1固有ベクトルとの積を特異値分解して得られる右特異行列に含まれる、その積の信号部分空間に対応した第2固有ベクトルを取得し、第1固有ベクトルと第2固有ベクトルとを乗算して当該受信機UEに対応するプリコーディング行列を得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1. 第1実施形態
1(1). Massive−MIMO伝送
本発明の第1Massive−MIMO伝送方式について説明する。基地局が多数の送信アンテナA
Tを用いて無線通信を実行するMassive−MIMO伝送方式においては、多重化による高い無線通信速度(データレート)が実現される。また、多数の送信アンテナA
Tを用いることにより、ビームフォーミングを行う際のアンテナ制御の自由度が高まるため、従来よりも高度なビームフォーミングが実現される。そのため、干渉量の低減や無線リソースの有効利用が実現される。
【0016】
なお、Massive−MIMOに適応した基地局が備える送信アンテナA
Tの数は、以下に限定されるものではないが、32本以上、64本以上、96本以上、100本以上、128本以上、192本以上、200本以上、256本以上、500本以上、512本以上、1000本以上、または1024本以上であると好適である。
【0017】
Massive−MIMO伝送方式において、高周波数帯(例えば、10 GHz以上の周波数帯)が使用されると好適である。高周波数帯では、低周波数帯と比較して、広い帯域幅(例えば、200 MHz以上)の無線リソースを確保しやすい。また、アンテナ素子の大きさは信号の波長に比例することから、無線信号の波長が相対的に短い高周波数帯を用いる場合には、アンテナAをより小型化することが可能である。その一方で、周波数が高いほど伝搬損失が増大するため、仮に同じ送信電力で基地局から無線信号を送信しても、高周波数帯を用いた場合には、低周波数帯を用いる場合と比較して、移動局における受信信号強度が低下する結果となる。
【0018】
しかしながら、以上のような、高周波数帯を用いることによる受信信号強度の低下は、ビームフォーミング利得により補償可能である。図1は、周波数に応じたビーム(無線信号)の到達範囲を模式的に示す図である。従来の基地局(マクロ基地局MeNB)は低周波数帯を用いて無線通信を行うので、幅の広い放射パターンのビームを用いてもより遠くまでビームが到達する。
【0019】
他方、本実施形態のMassive−MIMO伝送方式に対応する基地局(スモール基地局MMNB)は高周波数帯を用いて無線通信を行うので、幅の広い放射パターンのビームを用いる場合にはマクロ基地局MeNBと比較してビームの到達する距離が短い。ところが、ビームフォーミングによってビームの放射パターンの幅を狭くする場合には、高周波数帯を用いるスモール基地局MMNBであっても遠くまでビームを到達させることが可能である。
【0020】
図2は、第1無線通信システム1の概略構成図である。無線通信システム1は、マクロ基地局MeNB、スモール基地局MMNB、中央制御局MME、およびユーザ装置UEを備える。スモール基地局MMNBは、Massive−MIMO伝送方式に対応する基地局である。
【0021】
マクロ基地局MeNBはその周囲にマクロセルCmを形成し、スモール基地局MMNBはその周囲にMassive−MIMOセル(MMセル)Cmmを形成する。スモール基地局MMNBが用いる周波数帯(例えば、10 GHz帯)は、マクロ基地局MeNBが用いる周波数帯(例えば、2 GHz帯)よりも周波数が高く伝搬損失も大きいので、MMセルCmmのセルサイズはマクロセルCmのセルサイズよりも小さい。そのため、スモール基地局MMNBとユーザ装置UEとは見通し線(line-of-sight)で接続される可能性が高い。
【0022】
図2に示されるように、MMセルCmmは、マクロセルCmなど他の無線アクセス技術(Radio Access Technology, RAT)による無線通信可能エリアとオーバーラップすることが可能である。結果として、オーバーラップする領域に位置するユーザ装置UEに対しては、複数の無線アクセス技術による同時接続(Multiple Connectivity)がサポートされる。
【0023】
さらに、Massive−MIMO伝送方式に対応するスモール基地局MMNBと通信中のユーザ装置UEに対して、異なる無線アクセス技術に対応するマクロ基地局MeNBから制御信号を送信することも可能である。なお、他の無線アクセス技術として、公衆またはローカルの無線LANが例示される。
【0024】
前述の通り、高周波数帯域を用いるMassive−MIMO伝送において、ビームフォーミングにより実現される利得によって伝搬損失が補償されると好適である。また、さらなる高速無線通信を実現するために、複数のデータストリームが空間的に多重されて伝送されると好適である。以上のような多重伝送においては、ビームフォーミングによるビーム自体の制御のみならず、プリコーディングによるストリーム間多重の補償が実現されるとより好適である。
【0025】
図3は、固定ビームフォーミングを採用したMassive−MIMOにおける送信機及び受信機の構成の一例を示す図である。図3は、単一の送信機と単一の受信機とが存在するSU−MIMOに基づく構成を示す。送信機(例えば、スモール基地局MMNB)のプリコーダおよび送信ビームフォーマがそれぞれプリコーディングおよび送信ビームフォーミングを実行し、受信機(例えば、ユーザ装置UE)の受信ビームフォーマおよびポストコーダがそれぞれ受信ビームフォーミングおよびポストコーディングを実行する。
【0026】
数学的には、プリコーディング処理は、M本(Mは2以上の自然数,例えばM=16)のストリームを表すM行1列の信号ベクトル
【数1】
に対して、L
T行M列(L
Tは送信ビーム数)のプリコーディング行列
【数2】
を乗算する処理である。送信ビームフォーミング処理は、プリコーディングが施された信号に対して、N
T行L
T列(N
Tは送信アンテナ数,例えばN
T=256)の送信BF(ビームフォーミング)ウェイト行列
【数3】
を乗算する処理である。送信ビームフォーミング後、送信アンテナA
Tから送信された信号に対して、空間の伝搬に対応するN
R行N
T列(N
Rは受信アンテナ数,例えばN
R=16)のチャネル行列
【数4】
が乗算される。受信ビームフォーミング処理は、受信アンテナA
Rで受信された信号に対して、L
R行N
R列(L
Rは受信ビーム数)の受信BFウェイト行列
【数5】
を乗算する処理である。ポストコーディング処理は、受信ビームフォーミングが施された信号に対して、M行L
R列のポストコーディング行列
【数6】
を乗算する処理である。以上から、ポストコーディング後のM行1列の信号ベクトル
【数7】
は、以下の数式で表現される。
【数8】
なお、以上の数式において加算される別項である
【数9】
は、L
R行1列の雑音ベクトルである。
【0027】
本実施形態では、Massive−MIMO伝送のより好適な態様として、プリコーディングとしてディジタルプリコーディングが採用され、送信および受信ビームフォーミングとしてアナログ固定ビームフォーミングが採用され、ポストコーディングとしてディジタルポストコーディングが採用される。具体的な回路構成の例を図4および図5に非限定的に示す。図4が送信機側の等価回路を示し、図5が受信機側の等価回路を示す。
【0028】
図4のように、送信機側では、M本のストリームに対して、複数の乗算器MPおよび加算器ADを有するディジタル信号処理回路DC
Tによってディジタル的にプリコーディング(行列演算)が施された後、処理回路PC
Tによって逆フーリエ変換、ガードインターバルの挿入、DA変換、およびアップコンバートが実行され高周波送信信号が生成される。高周波送信信号は、複数の可変移相器PSおよび振幅調整器AAのいずれか一方または双方、並びに加算器ADを有するアナログ信号処理回路AC
Tによって位相および振幅に変化が付与された後(すなわち、アナログ的に送信ビームフォーミングが施された後)、N
T本の送信アンテナA
Tから送信される。
【0029】
図5のように、受信機側では、N
R本の受信アンテナA
Rにて受信された高周波受信信号に対して、複数の可変移相器PS、振幅調整器AAおよび加算器ADを有するアナログ信号処理回路AC
Rによって位相および振幅に変化が付与される(すなわち、アナログ的に受信ビームフォーミングが施される)。そして、受信ビームフォーミング後の信号に対して、処理回路PC
Rによってダウンコンバート、AD変換、およびフーリエ変換が実行され、ディジタル信号処理回路DC
Rによってディジタル的にポストコーディング(行列演算)が施された結果、M本のストリームが生成(再生)される。
【0030】
以上の構成は、とりわけ、伝送すべきストリーム数Mに対して送信アンテナ数N
Tが十分に多い(すなわち、M<<N
Tである)Massive−MIMO伝送方式において好適である。一般的に、送信ストリーム数M<送信アンテナ数N
Tの場合、無線信号の送信に先立って、M個のストリーム成分をN
T個の送信アンテナ成分に変換するN
T行M列の行列演算が必要である。本実施形態では、前述の通り、数学的には、L
T行M列のプリコーディング行列
【数10】
およびN
T行L
T列の送信BFウェイト行列
【数11】
による行列演算によって、M個のストリーム成分がN
T個の送信アンテナ成分に変換される。
【0031】
以上の構成では、送信側において、ディジタル信号処理回路DC
Tによってプリコーディングのみが実行される。そのため、プリコーディングと送信ビームフォーミングとの双方をディジタル処理する構成と比較して、ディジタル信号処理回路DC
Tの回路規模および演算量を削減できる上、DAコンバータ(処理回路PC
T)のチャネル数も削減できる。したがって、構成の簡素化と多数の送信アンテナA
Tの使用とが併せて実現される。受信側(ポストコーディングおよび受信ビームフォーミング)についても同様である。
【0032】
1.(2) マルチユーザMIMO(MU−MIMO)
本発明の第1MU−MIMOについて説明する。図6は、MU−MIMOの概念図である。MU−MIMOにおいては、1個のMIMO基地局であるスモール基地局MMNBが、多重された信号を同時に複数本の送信アンテナA
Tを用いて複数のユーザ装置UEに対して送信する。すなわち、MIMO基地局は、ユーザ多重により複数のユーザと同時に無線通信を行うことが可能である。MU−MIMOによれば複数のユーザ間のチャネル相関が低減されるため、全てのユーザ装置UE合計の通信速度が向上する。
【0033】
一方で、図6に示すように、ユーザが多重されることにより複数のユーザ間で干渉が生じる。例えば、第1のユーザ装置UE−1に対する所望信号は第2のユーザ装置UE−2に対する干渉信号となり、逆もまた然りである。したがって、ユーザ間の干渉を低減させるための干渉制御が必要である。
【0034】
図7は、固定ビームフォーミングが採用されたMassive−MIMOにおける送信機及び受信機の構成の一例を示す図である。図7は、単一の送信機と複数の受信機とが存在するMU−MIMOに基づく構成を示す。以下、合計のユーザ数(受信機数)はN
Uであり、全ユーザの合計ストリーム数はMである。ある単一のユーザはi(1≦i≦N
U)で示され、第i番目のユーザ(第iユーザ)のストリーム数はM
iである。
【0035】
送信機であるスモール基地局MMNBのプリコーダおよび送信ビームフォーマが、受信機であるユーザ装置UEの各々(第1番目のユーザ装置UE−1、…、第i番目のユーザ装置UE−i、…、第N
U番目のユーザ装置UE−N
U)に宛てられる信号について、それぞれプリコーディングおよび送信ビームフォーミングを実行する。全てのユーザ装置UEに対する信号は加算され、N
T本の送信アンテナA
Tから送信される。全ユーザ合計の送信ビーム数はL
Tであり、第iユーザの送信ビーム数はL
Ti(例えば、L
Ti=L
T/N
U)である。各ユーザ装置UEは、N
R本の受信アンテナA
Rを用いて信号を受信し、各ユーザ装置UEの受信ビームフォーマおよびポストコーダがそれぞれ受信ビームフォーミングおよびポストコーディングを実行する。
【0036】
数学的には、第iユーザについてのプリコーディング処理は、N
R行1列の信号ベクトル
【数12】
に対して、L
Ti行N
R列のプリコーディング行列
【数13】
を乗算する処理である。以上の信号ベクトルは、以下の式で表される。
【数14】
ここで、以上の式の
【数15】
はM
i本のストリームに対応するM
i行1列のデータ信号ベクトルであり、
【数16】
は(N
R−M
i)行1列の零ベクトルである。(・)
Tは行列またはベクトルの転置を示す。
【0037】
第iユーザについての送信ビームフォーミング処理は、プリコーディング処理が施された信号に対して、N
T行L
Ti列の送信BFウェイト行列
【数17】
を乗算する処理である。なお、L
Ti本の各送信ビームに対応するN
T行1列の送信BFウェイトベクトルを
【数18】
とおくと、送信BFウェイト行列は
【数19】
と表現できる。
【0038】
以上のプリコーディング処理および送信ビームフォーミング処理(以下、送信側信号処理と総称する場合がある)が、全てのユーザ(UE−1,…,UE−i,…,UE−N
U)について実行される。全ユーザに対する送信側信号処理の結果として得られたユーザ毎のN
T本の信号は、N
T個の加算器に分配されて加算され、N
T本の送信アンテナA
Tから送信される。すなわち、ある1本の送信アンテナA
Tから送信される信号には、全てのユーザに対する信号成分が含まれ得る。
【0039】
N
T本の送信アンテナA
Tから送信された信号は各ユーザ装置UEに受信される。第i番目のユーザ装置UE−iが受信する信号には、スモール基地局MMNBからユーザ装置UE−iまでの空間の伝搬に対応するN
R行N
T列のチャネル行列
【数20】
が乗算される。なお、以上のチャネル行列はユーザ装置UEに応じて異なる。したがって、本例のMU−MIMOシステム全体においては、N
R・N
U行N
T列の全体チャネル行列
【数21】
が形成される。N
R・N
Uはシステム全体の受信アンテナA
R数を示す。
【0040】
第iユーザについての受信ビームフォーミング処理は、受信アンテナA
Rで受信された受信信号ベクトル(詳細は後述される)に対して、N
R行N
R列の受信BFウェイト行列
【数22】
を乗算する処理である。第iユーザについてのポストコーディング処理は、受信ビームフォーミングが施された信号に対して、N
R行N
R列のポストコーディング行列
【数23】
を乗算する処理である。ポストコーディング処理により、N
R行1列の信号ベクトル
【数24】
が得られる。ここで、
【数25】
の1行目からM
i行目までは推定された(再生された)M
i本のストリームに対応するデータ信号ベクトルであり、残りの(M
i+1)行目からN
R行目までは零ベクトルである。
【0041】
1(3). 送信機および受信機の構成
図8は、第1実施形態のスモール基地局MMNB(送信機)の主要な構成要素を示す機能ブロック図である。スモール基地局MMNBは、データ信号生成部10と参照信号生成部20とベースバンド処理部30とDA変換部40とRF処理部50とフィードバック部60とプリコーディング制御部70と送信BFウェイト制御部80と記憶部90とを備える。ベースバンド処理部30はプリコーディング部32を備え、RF処理部50はアップコンバート部52と送信ビームフォーミング部54とを備える。N
T本の送信アンテナA
Tが、送信ビームフォーミング部54に接続される。なお、本実施形態のスモール基地局MMNBにて採用されるキャリア構成は任意である。例えば、シングルキャリア(Single Carrier,SC)が採用されてもよいし、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing,OFDM)が採用されてもよい。
【0042】
データ信号生成部10は、ユーザ装置UEに対する送信信号に含まれるべきデータ信号を生成する。データ信号生成部10は、複数系列のストリームとしてデータ信号を生成することが可能である。本実施形態において、データ信号生成部10は、N
U個のユーザ装置UEに対応するM本のストリームのデータ信号を生成する(前述の通り、第i番目のユーザ(第iユーザ)のストリーム数はM
iである)。
【0043】
参照信号生成部20は、ユーザ装置UEに対する送信信号に含まれるべき参照信号を生成する。参照信号は、例えば、各ユーザ装置におけるチャネル推定、ユーザ装置UEとスモール基地局MMNBとの初期同期、およびユーザ装置UEにおけるスモール基地局MMNBの識別に用いられる信号である。生成されたデータ信号および参照信号は、ベースバンド信号としてベースバンド処理部30に入力される。
【0044】
ベースバンド処理部30は、入力されたベースバンド信号(データ信号、参照信号)を処理する要素である。ベースバンド処理部30は、第iユーザの信号ベクトルに対して、プリコーディング行列
【数26】
を用いてディジタルプリコーディング(行列演算)を施すプリコーディング部32を備える。プリコーディング部32は、全ユーザ(UE−1,…,UE−N
U)に対応する合計M本のストリームに対して、以上のディジタルプリコーディングを実行する。すなわち、プリコーディング部32は、N
U個のプリコーダとして動作する。
【0045】
通常の無線送信においては、データ信号と参照信号とを組み合わせた信号がプリコーディング部32にてプリコードされ、ベースバンド処理部30から出力される。一方、本実施形態の等価チャネル行列の推定においては、プリコードされていない参照信号がベースバンド処理部30から出力される。
【0046】
DA変換部40は、ベースバンド処理部30から出力されたディジタル信号をアナログ信号に変換し、RF処理部50へ出力する。
【0047】
RF処理部50は、入力されたアナログ信号を処理して送信アンテナA
Tから送信する要素である。RF処理部50は、入力されたアナログ信号を無線周波数(Radio Frequency)のRF信号に周波数変換するアップコンバート部52と、周波数変換後の信号に対して、送信BFウェイト行列
【数27】
に基づいてアナログ送信ビームフォーミングを施す送信ビームフォーミング部54とを備える。送信ビームフォーミング部54は、全ユーザ(UE−1,…,UE−N
U)の全送信ビームに対応する合計L
T本の信号に対して、以上の送信ビームフォーミングを実行する。すなわち、送信ビームフォーミング部54は、N
U個の送信ビームフォーマとして動作する。
【0048】
送信ビームフォーミング部54(各送信ビームフォーマ)から出力された高周波信号は、送信ビームフォーミング部54が有するN
T個の加算器によって加算され、N
T本の送信アンテナA
Tから送信される。以上のアナログ送信ビームフォーミングは、送信BFウェイト行列の乗算に相当する位相および振幅の変化を、可変移相器PSおよび振幅調整器AAを用いてアナログ信号に付与する処理である。換言すると、以上のアナログ送信ビームフォーミングにおいては、複数の送信アンテナA
T間(複数の送信アンテナA
Tから送信される信号間)の位相および振幅が、送信BFウェイト行列の乗算に相当するようにアナログ的に変化する。
【0049】
フィードバック部60は、ユーザ装置UEの各々と制御に関する通信を行う要素であり、特に、ユーザ装置UEからのフィードバック情報をプリコーディング制御部70および送信BFウェイト制御部80に供給する。プリコーディング制御部70は、プリコーディング部32にて用いられるプリコーディング行列の制御を行う。送信BFウェイト制御部80は、送信ビームフォーミング部54にて用いられるBFウェイトの制御を行う。記憶部90は、無線通信の制御に関する情報(例えば、プリコーディング行列、送信BFウェイト行列)を記憶する。
【0050】
スモール基地局MMNBに含まれる要素のうち、ディジタル的な処理を実行する要素(例えば、データ信号生成部10、参照信号生成部20、ベースバンド処理部30、フィードバック部60、プリコーディング制御部70、送信BFウェイト制御部80)は、不図示のCPU(Central Processing Unit)が、記憶部90に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
【0051】
図9は、第1実施形態の第iユーザのユーザ装置UE(受信機)の主要な構成要素を示す機能ブロック図である。ユーザ装置UEは、RF処理部110とAD変換部120とベースバンド処理部130と信号解析部140と送受信特性推定部150と受信BFウェイト制御部160とポストコーディング制御部170とフィードバック部180と記憶部190とを備える。RF処理部110は受信ビームフォーミング部112とダウンコンバート部114とを備え、ベースバンド処理部130はポストコーディング部132を備える。N
R本の受信アンテナA
Rが、受信ビームフォーミング部112に接続される。
【0052】
送信機であるスモール基地局MMNBから送信され空間を伝搬した無線信号が、N
R本の受信アンテナA
Rに受信されてRF処理部110に入力される。
【0053】
RF処理部110は、複数の受信アンテナA
Rが受信した信号を処理する要素である。RF処理部110は、受信された信号に対して、受信BFウェイト行列
【数28】
に基づいてアナログ受信ビームフォーミングを施す受信ビームフォーミング部112と、入力された信号をベースバンド信号に周波数変換して出力するダウンコンバート部114とを備える。以上のアナログ受信ビームフォーミングは、受信BFウェイト行列の乗算に相当する位相および振幅の変化を、可変移相器PSおよび振幅調整器AAを用いてアナログ信号に付与する処理である。換言すると、以上のアナログ受信ビームフォーミングにおいては、複数の受信アンテナA
R間(複数の受信アンテナA
R間にて受信される信号間)の位相および振幅が、受信BFウェイト行列の乗算に相当するようにアナログ的に変化する。
【0054】
AD変換部120は、RF処理部110から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換し、ベースバンド処理部130へ出力する。
【0055】
ベースバンド処理部130は、入力されたベースバンド信号を処理してM
i本のストリームを復元する要素である。ベースバンド処理部130は、AD変換部120から出力された信号に対して、ポストコーディング行列
【数29】
を用いてディジタルポストコーディング(行列演算)を施すポストコーディング部132を備える。以上のポストコーディングにより、M
i本のストリームが再生される。再生されたM
i本のストリームは、信号解析部140に入力されて解析される。
【0056】
送受信特性推定部150は、後述される送受信特性の推定を実行する。受信BFウェイト制御部160は、受信ビームフォーミング部112にて用いられるBFウェイトの制御を行う。ポストコーディング制御部170は、ポストコーディング部132にて用いられるポストコーディング行列の制御を行う。フィードバック部180は、スモール基地局MMNBと制御に関する通信を行う要素であり、特に、送受信特性推定部150および受信BFウェイト制御部160からのフィードバック情報をスモール基地局MMNBに送信する。記憶部190は、無線通信の制御に関する情報(例えば、ポストコーディング行列、受信BFウェイト行列)を記憶する。
【0057】
ユーザ装置UEに含まれる要素のうち、ディジタル的な処理を実行する要素(例えば、ベースバンド処理部130、信号解析部140、送受信特性推定部150、受信BFウェイト制御部160、ポストコーディング制御部170、フィードバック部180)は、不図示のCPUが、記憶部190に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
【0058】
1(4). プリコーディング行列の決定
1(4)−1. ブロック対角化による受信信号の分離
第i番目のユーザ装置UE−iにおけるN
R行1列の受信信号ベクトルを
【数30】
とすると、全ユーザ装置UE(1,…,N
U)の受信信号ベクトル(MU−MIMOシステム全体の受信信号ベクトル)は、以下のように表される。
【数31】
【0059】
以上の式(1)中の行列
【数32】
の非対角成分、すなわち
【数33】
は、第iユーザへの信号が、第iユーザ以外の第kユーザへの信号に対して与える干渉成分に相当する。そのため、プリコーディング制御部70が、
【数34】
となるように各プリコーディング行列
【数35】
を設定することにより、以上の行列(2)の非対角成分(干渉成分)を全て
【数36】
にすること(すなわち、行列(2)をブロック対角化すること)が可能である。
【0060】
行列(2)をブロック対角化した後の式(1)は、以下の式で表される。
【数37】
【0061】
以上の式(3)に基づくと、第iユーザの受信信号ベクトルは
【数38】
と表される。すなわち、プリコーディング制御部70が、行列(2)をブロック対角化するように各プリコーディング行列
【数39】
を設定することにより、第i番目のユーザ装置UE−iについて、当該ユーザ装置UE−iに対応する送信BFウェイト行列
【数40】
を選択し、かつ当該ユーザ装置UE−iに対応するチャネル行列
【数41】
以外のチャネル行列
【数42】
の影響(チャネル応答)をゼロにすることができる(すなわち、MU−MIMO対象の複数ユーザを直交化することができる)。結果として、第iユーザについて、干渉信号成分を含まない受信信号ベクトルを得ることができる。
【0062】
1(4)−2. ブロック対角化を実現するプリコーディング行列の算定
以下、プリコーディング制御部70が、前述の行列(2)
【数43】
をブロック対角化するN
U個のプリコーディング行列
【数44】
を求める。以下、
【数45】
と表記することにより、送信BFウェイト行列とチャネル行列とを一体として扱う。なお、以下において、行列
【数46】
を「等価チャネル行列」と称する場合がある。
【0063】
第iユーザに対応する送信BFウェイト行列を含む等価チャネル行列
【数47】
のうち、第iユーザに対応するチャネル行列を含む等価チャネル行列
【数48】
を除外した、N
R・(N
U−1)行L
Ti列の等価チャネル行列のセット(除外チャネル行列)を、以下のように定義する。
【数49】
【0064】
以上の除外チャネル行列は、第iユーザに対応する送信BFウェイト行列
【数50】
に対して、第iユーザ以外のユーザに対応するチャネル行列
【数51】
をそれぞれ乗算して得られる、複数の等価チャネル行列を含むセットと表現することもできる。
【0065】
以上の除外チャネル行列に対する特異値分解により、以下の式(4)が得られる。
【数52】
なお、(・)
Hは共役転置行列を示す。
【0066】
以上の式(4)において、左特異行列
【数53】
は、N
R・(N
U−1)行N
R・(N
U−1)列のユニタリ行列である。右特異行列
【数54】
は、L
Ti行L
Ti列のユニタリ行列である。特異値行列
【数55】
は、
【数56】
の特異値を対角成分として有し、非対角成分として0を有するN
R・(N
U−1)行L
Ti列の行列である。また、
【数57】
は、L
Ti行N
R・(N
U−1)列の行列であり、
【数58】
は、L
Ti行(L
Ti−N
R・(N
U−1))列の行列である。
【0067】
【数59】
は、除外チャネル行列
【数60】
の送信機側における雑音部分空間に対応した固有ベクトル(第1固有ベクトル)であり、本実施形態のブロック対角化に使用される。
【0068】
ここで、第1固有ベクトル
【数61】
は、以下の式(5)を満たす。
【数62】
【0069】
次いで、等価チャネル行列と第1固有ベクトルとの積
【数63】
に対する特異値分解により、以下の式(6)が得られる。
【数64】
以上の式(5)において、左特異行列
【数65】
は、N
R行N
R列のユニタリ行列である。右特異行列
【数66】
は、(L
Ti−N
R・(N
U−1))行(L
Ti−N
R・(N
U−1))列のユニタリ行列である。特異値行列
【数67】
は、
【数68】
の特異値を対角成分として有し、非対角成分として0を有するN
R行(L
Ti−N
R・(N
U−1))列の行列である。また、
【数69】
は、(L
Ti−N
R・(N
U−1))行N
R列の行列であり、
【数70】
は、(L
Ti−N
R・(N
U−1))行(L
Ti−N
R・(N
U−1)−N
R)列の行列である。
【0070】
【数71】
は、
【数72】
の送信機側における信号部分空間に対応した固有ベクトル(第2固有ベクトル)であり、本実施形態のブロック対角化に使用される。
【0071】
以上のようにして得られた固有ベクトル(第1個有ベクトルおよび第2固有ベクトル)に基づいて、以下の式(7)のように第iユーザのプリコーディング行列が求められる。
【数73】
また、第iユーザのポストコーディング行列は以下の式(8)のように求められる。
【数74】
【0072】
前述した行列(2)の非対角成分
【数75】
に以上の式(7)を代入すると、
【数76】
が得られる。以上の非対角成分は、式(5)の関係に基づき
【数77】
となる。
【0073】
以上のように、プリコーディング制御部70が、式(7)のように各ユーザのプリコーディング行列を設定することにより、行列(2)がブロック対角化され、式(3)が成立する(すなわち、MU−MIMO対象の複数ユーザが互いに直交化される)。
【0074】
式(8)のポストコーディング行列を用いると、式(3)は更に以下のように変形できる。
【数78】
【0075】
なお、以上のブロック対角化が成立するには、各ユーザ(第iユーザ)が使用する送信ビーム数L
Tiがシステム全体の受信アンテナA
R数N
R・N
U以上である必要がある(L
Ti≧N
R・N
U)。また、前述のように、第iユーザの送信ビーム数がL
Ti=L
T/N
Uで表される場合には、システム全体の送信ビーム数L
TはN
R・N
U2以上である必要がある(L
T≧N
R・N
U2)。
【0076】
1(4)−3. ウェイト行列の決定
以上のように、プリコーディング制御部70が、N
U個のプリコーディング行列
【数79】
を決定することにより、MU−MIMOシステムにおける全体チャネル行列
【数80】
のブロック対角化が実現される。換言すると、プリコーディング行列
【数81】
が前述のように決定される限りにおいて、送信BFウェイト行列
【数82】
および受信BFウェイト行列
【数83】
は任意に決定され得る。
【0077】
本実施形態において、送信BFウェイト制御部80は、第iユーザの送信BFウェイト行列
【数84】
を、例えば、第iユーザにおける受信電力を最大化するように決定してもよいし、第iユーザの信号対干渉比(Signal-to-Interference Ratio)を最大化するように決定してもよいし、システム全体のチャネル容量(キャパシティ)を最大化するように決定してもよい。
【0078】
送信BFウェイト制御部80は、第iユーザの送信BFウェイト行列
【数85】
を、可変移相器PSおよび振幅調整器AAによる位相および振幅の変化を示すステアリングベクトルによって生成してもよいし、DFT(Discrete Fourier Transform)プリコーディングに基づいて生成してもよいし、複数ユーザ間の送信ビームを直交化するように、バトラーマトリックスを用いて生成してもよい。
【0079】
また、本実施形態において、第iユーザの受信BFウェイト行列
【数86】
は、N
R行N
R列の単位行列として決定される。すなわち、受信側ではBFウェイトが掛からない構成が採用される。
【0080】
1(4)−3−1. 送信BFウェイト行列の決定の具体例
第iユーザについて、ステアリングベクトルを用いて送信BFウェイト行列を決定する構成を、以下に具体的に例示する。前述の通り、送信BFウェイト行列は
【数87】
と表現される。第l番目の送信ビームに対応する送信BFウェイトベクトル
【数88】
の候補は、候補により異なる変数であるΦ(水平角度)及びθ(垂直角度)を有する以下のステアリングベクトル
【数89】
によって表現される。ここで、式中の
【数90】
は、複数の送信アンテナA
Tが配置された一様平面アレーの横n
x番目(n
x=0〜N
Tx−1)、縦n
z番目(n
z=0〜N
Tz−1)のアンテナ素子における位相回転量であり、
【数91】
と表現される。λは、搬送波の波長を示す。
【0081】
図10は、送信BFウェイト行列の決定処理の動作フローである。スモール基地局MMNBが、第l番目の送信ビームに対応する送信BFウェイトベクトル
【数92】
の候補(すなわち、ステアリングベクトルの変数であるΦ及びθの組合せ)を1つ選択し(S10)、相互に直交するL
Ti個のストリームの参照信号を送信する(S20)。ユーザ装置UEは、送信された参照信号の受信電力を測定する(S30)。スモール基地局MMNBは、全てのステアリングベクトルの候補の選択が終了するまで、以上のステップを繰り返す(S40:NO)。送信BFウェイトベクトルの候補(すなわち、Φ及びθの組合せ)は、所定の差分値ΔΦ,Δθを単位として偏移しながら選択されると好適である。
【0082】
全てのステアリングベクトルの候補が選択されると、スモール基地局MMNBは、選択が終了したことを示す情報をユーザ装置UEに通知する(S40:YES)。ユーザ装置UEは、送信BFウェイトベクトルの候補の各々に対応する参照信号の受信電力の測定結果に基づいて、第l番目の送信ビームに対応する最適な送信BFウェイトベクトル
【数93】
の候補(すなわち、Φ及びθの組合せ)を選択する(S50)。ユーザ装置UEは、例えば、参照信号の受信電力が最も大きくなるΦ及びθの組合せを有する送信BFウェイトベクトルの候補を、最適な送信BFウェイトベクトル
【数94】
として選択する。選択された最適な送信BFウェイトベクトルは、ユーザ装置UEからスモール基地局MMNBにフィードバックされる(S60)。スモール基地局MMNBは、ユーザ装置UEからの報告に基づき、最適な送信BFウェイトベクトルを決定する(S70)。
【0083】
以上の動作が第iユーザの送信ビーム数であるL
Ti回にわたって繰り返されることにより(S80:NO)、第iユーザの送信BFウェイト行列
【数95】
が決定される。
【0084】
1(5). プリコーディング行列及びポストコーディング行列の決定処理の動作フロー
図11は、本実施形態のプリコーディング行列及びポストコーディング行列の決定処理を示す動作フローである。なお、以下の動作フローにおいて、各ユーザの送信BFウェイト行列
【数96】
および受信BFウェイト行列
【数97】
は、例えば前述の手法(「1(3)−3. ウェイト行列の決定」に記載の手法)により、予め決定されているものとする。前述の通り、本実施形態の受信BFウェイト行列
【数98】
は単位行列である。
【0085】
スモール基地局MMNBの送信BFウェイト制御部80は、全ユーザの送信BFウェイト行列
【数99】
を用いて、参照信号RSにアナログ送信ビームフォーミングを施してN
T本の送信アンテナA
Tから送信するように、送信ビームフォーミング部54を制御する(S100)。
【0086】
送信アンテナA
Tから送信された参照信号RSは、各々のユーザ装置UE(UE−1,…,UE−N
U)に向かう空間(伝搬路)を伝搬することにより、各々のユーザ装置UEに対応するチャネル行列
【数100】
が乗算された参照信号RSとなって、各々のユーザ装置UE(UE−1,…,UE−N
U)に到達する。
【0087】
第i番目のユーザ装置UE−iの受信BFウェイト制御部160は、受信アンテナA
Rに受信された参照信号RSに対して、単位行列である受信BFウェイト行列
【数101】
を用いてアナログ受信ビームフォーミングを施すように(すなわち、受信ウェイトを掛けないように)、受信ビームフォーミング部112を制御する。
【0088】
受信ビームフォーミング部112に受信された参照信号RSは、ダウンコンバート部114とAD変換部120とを経て送受信特性推定部150に入力される。送受信特性推定部150は、入力された参照信号RSを用いて、等価チャネル行列
【数102】
を推定する(S200)。以上の等価チャネル行列は、送信ビームフォーミングおよび空間伝搬による信号の変化を示す特性行列である。以上の等価チャネル行列の推定は、一般的なチャネル推定と同様に実行される。例えば、最小二乗法を用いた推定が可能である。推定された等価チャネル行列は、フィードバック部180を介して第iユーザ装置UE−iからフィードバックされ(S300)、スモール基地局MMNBに受信される。
【0089】
全てのユーザ装置UE(UE−1,…,UE−N
U)が以上のステップS200及びS300を実行する結果として、スモール基地局MMNBが、等価チャネル行列の全ての組合せ
【数103】
を取得する。
【0090】
スモール基地局MMNBのプリコーディング制御部70は、取得した等価チャネル行列の全ての組合せを用いて、全ユーザの除外チャネル行列
【数104】
を生成し、前述の手法(「1(3)−2. ブロック対角化を実現するプリコーディング行列の算定」にて説明される手法)に従って、N
U個のプリコーディング行列
【数105】
およびポストコーディング行列
【数106】
を決定する(S400)。
【0091】
なお、本例においては、プリコーディング行列およびポストコーディング行列の決定が、スモール基地局MMNB(プリコーディング制御部70)にて実行される。決定されたポストコーディング行列は、それぞれ、フィードバック部60を介して、対応するユーザ装置UEに通知される。
【0092】
1(6). 本実施形態の効果
以上の本実施形態の構成によれば、固定ビームフォーミングが採用されるMU−MIMO環境において、第iユーザの送信BFウェイト行列
【数107】
に第iユーザ以外のユーザのチャネル行列
【数108】
をそれぞれ乗算した等価チャネル行列
【数109】
のセットである除外チャネル行列
【数110】
に基づいて決定されたプリコーディング行列
【数111】
を用いることにより、全ユーザ(UE−1,…,UE−N
U)に対する等価チャネル行列を成分とする行列
【数112】
がブロック対角化される(干渉成分に相当する非対角成分が0になる)。結果として、MU−MIMO対象ユーザ間の干渉制御が実現される。
【0093】
2. 第2実施形態
本発明の第2実施形態を以下に説明する。以下に例示する各実施形態において、作用、機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の説明を適宜に省略する。
【0094】
送信機(スモール基地局MMNB)では、送信ビーム数L
Tが多いほど回路規模(処理回路PC
Tの数)が増大し、製造コストが高まる。したがって、スモール基地局MMNBの製造コストを下げるには、送信ビーム数L
Tを低減させるべきである。
【0095】
前述の通り、第1実施形態のようなブロック対角化による干渉制御を実現するためには、各ユーザ(第iユーザ)が使用する送信ビーム数L
Tiが、システム全体の受信アンテナA
R数N
R・N
U以上である必要がある(L
Ti≧N
R・N
U)。そのため、送信ビーム数L
Tiを低減させるには、各ユーザの受信アンテナ数N
RとMU−MIMO対象の合計ユーザ数N
Uとの少なくともいずれかを減らすべきである。
【0096】
一方で、送信ビーム数L
Tiを減少させると、等価チャネル行列
【数113】
の列数(N
R行L
Ti列)も減少し自由度が低下する。結果として、ユーザ間の干渉を充分に低減することができずに、伝送特性が劣化する可能性がある。したがって、送信ビーム数L
Tiの低減に伴う自由度の低下が補償されるべきである。
【0097】
2(1). 受信アンテナ数の仮想的な削減
第1実施形態では、N
R行L
Ti列の等価チャネル行列
【数114】
を用いてブロック対角化を実行する。本実施形態では、以上に代えて、等価チャネル行列として、受信BFウェイト行列を含むL
Rk行L
Ti列(N
R>L
Rk)の行列
【数115】
を用いてブロック対角化を実行することにより、各ユーザの受信アンテナ数N
Rを仮想的に削減する。
【0098】
ブロック対角化における具体的な計算の流れは、等価チャネル行列が以上のように置換される以外、第1実施形態における流れと同じである。すなわち、L
Rk・(N
U−1)行L
Ti列の等価チャネル行列のセット(除外チャネル行列)が
【数116】
として定義され、第1実施形態と同様に2段階の特異値分解がなされて、プリコーディング行列
【数117】
およびポストコーディング行列
【数118】
が算定される。具体的な算定手法は第1実施形態にて説明済みであるから、説明を省略する。
【0099】
本実施形態では、第1実施形態と比較して、等価チャネル行列
【数119】
のサイズ(行数)がN
R行L
Ti列からL
Rk行L
Ti列に減少する(すなわち、受信アンテナA
Rの数N
Rが仮想的に削減される)ので、各ユーザ(第iユーザ)が使用する最低限必要な送信ビーム数L
TiもN
R・N
UからL
Rk・N
Uに減少する(L
Ti≧L
Rk・N
U)。ひいては、等価チャネル行列のランクが小さくなることにより、自由度が向上する。
【0100】
以上において、第iユーザ以外のユーザに対応するL
Rk行N
R列の受信BFウェイト行列
【数120】
は、例えば、受信電力が大きい順にL
Rk個の受信ビームを選択することにより生成されてもよい。すなわち、ユーザ装置UEにおいて、L
R個の受信ビームフォーマを用いて時分割によりN
R個の直交ビームを生成し、それらの直交ビームのうち受信電力が大きい順にL
Rk個の受信ビームを選択することにより、以上の受信BFウェイト行列が生成されてもよい。
【0101】
代わりに、以上の受信BFウェイト行列が、受信電力がより高くなるような受信アンテナA
Rを選択することにより生成されてもよい。すなわち、第iユーザの受信信号ベクトル
【数121】
に基づいて、受信電力が大きい順にL
Rk個の受信アンテナA
Rを選択するような受信BFウェイト行列が生成されてもよい。
【0102】
また、以上の受信BFウェイト行列が、
【数122】
に基づいて求められるキャパシティ
【数123】
を最大化するように、例えばMMSE(最小自乗誤差)法に基づいて生成されてもよい。
【0103】
2(2). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、各ユーザ装置UEの受信アンテナ数N
Rが仮想的に削減されるので、各ユーザに対する送信ビーム数L
Tiを減少させ、ひいては全体の送信ビーム数L
Tを減少させることが可能である。結果として、スモール基地局MMNBの回路規模を小さく抑え、製造コストを下げることが可能である。加えて、等価チャネル行列のランクが小さくなることにより、自由度を向上させることが可能である。
【0104】
3. 第3実施形態
第2実施形態では、各ユーザの受信アンテナ数N
Rを仮想的に削減することにより、送信ビーム数L
Tを低減させる。第3実施形態では、MU−MIMO対象の合計ユーザ数N
Uを削減することにより、送信ビーム数L
Tを低減させる。
【0105】
3(1). 直交化対象のユーザ装置の削減
以下、MU−MIMO通信の対象となる(すなわち、直交化の対象となる)合計ユーザ数N
Uを削減する。より具体的には、第iユーザについて、送信ビーム数L
Tiを削減した後の等価チャネル行列
【数124】
が有する自由度に基づいて直交化可能な数のユーザのみを直交化の対象とし、その他のユーザについては第iユーザとの直交化の対象外とする。直交化の対象外としたユーザについては、第iユーザからの干渉を除去しない(すなわち、第iユーザからの干渉を許容する)。
【0106】
第1実施形態では、第iユーザについての除外チャネル行列
【数125】
を生成する際に、第iユーザに対応するチャネル行列を含む等価チャネル行列
【数126】
のみを除外するが、本例では更に、第iユーザとの直交化の対象外とするユーザ(第mユーザと称する)に対応するチャネル行列を含む等価チャネル行列
【数127】
も以上の除外チャネル行列から除外し、プリコーディング行列
【数128】
を計算する。第iユーザとの直交化の対象外とする第mユーザは複数存在してもよい。
【0107】
直交化対象のユーザの選択(ひいては、直交化の対象外となるユーザの選択)は、ユーザ装置UEからの等価チャネル行列のフィードバック後(S300)、プリコーディング行列の決定(S400)に先立って実行される。
【0108】
図12は、直交化対象ユーザの選択処理を示す動作フローの一例である。本例では、角ユーザ装置UEにおいて測定されたSIR(信号対干渉比)に基づいて、SIRの低い順に直交化対象となるユーザを選択する。スモール基地局MMNBは、直交化の対象となり得る複数のユーザ装置UE宛ての信号を多重化して送信する(S310)。各ユーザ装置UEは、スモール基地局MMNBから送信された信号を受信してSIRを測定し(S320)、スモール基地局MMNBにフィードバックする(S330)。スモール基地局MMNBは、複数のユーザ装置UEからフィードバックされたSIRの各々が所望SIR以上であるか否かを判定する(S340)。
【0109】
フィードバックされた全てのSIRが所望SIR以上であれば(S340:YES)、スモール基地局MMNBは、それらのSIRを報告したユーザ装置UEを直交化の対象には選択せずに、プリコーディング行列の決定(S400)に進む。一方、フィードバックされたSIRのうちに所望SIR未満であるSIRが含まれる場合(S340:NO)、スモール基地局MMNBは、SIRの低い順にユーザ装置UEを直交化の対象として選択し、以上のループ(ステップS310〜S340)を繰り返す。前述の通り、選択されるユーザ装置UEの数の上限値は、送信ビーム数L
Tiに対応する等価チャネル行列の自由度に応じて定まる。
【0110】
図13は、直交化対象ユーザの選択処理を示す動作フローの別の一例である。本例では、ユーザ間のチャネル相関に基づいて直交化対象となるユーザを選択する。スモール基地局MMNBは、各ユーザ装置UEからフィードバックされた等価チャネル行列に基づいて、全てのユーザ装置UE間におけるチャネル相関値を計算する(S312)。スモール基地局MMNBは、計算されたチャネル相関値に基づいて、全てのユーザ装置UEの位置関係を推定する(S322)。ある2つのユーザ装置UE間のチャネル相関値がより高いほど、それらのユーザ装置UEはより接近していると推定できる。
【0111】
スモール基地局MMNBは、各ユーザ装置UEについてチャネル相関値を合計し、合計値が大きい順に直交化対象となるユーザ装置UEを選択する(S332)。あるユーザ装置UEにおけるチャネル相関値の合計値がより大きい程、より多くの他のユーザ装置UEがそのユーザ装置UEの近くに存在する(すなわち、そのユーザ装置UEのSIRがより低い)と推定できるからである。
【0112】
3(2). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、MU−MIMOの対象となる(すなわち、直交化の対象となる)合計ユーザ数N
Uが削減されるので、各ユーザの送信ビーム数L
Tiを減少させ、ひいては全体の送信ビーム数L
Tを減少させることが可能である。結果として、スモール基地局MMNBの回路規模を小さく抑え、製造コストを下げることが可能である。
【0113】
4. 第4実施形態
第4実施形態では、例えば第1実施形態の項目1(4)−3のように決定される第iユーザの送信BFウェイト行列
【数129】
を更に調整することにより、第iユーザ以外のユーザへの干渉を抑圧する。
【0114】
4(1). 送信BFウェイト行列の調整
図14は、送信BFウェイト行列の調整処理を示す動作フローの一例である。スモール基地局MMNBの送信BFウェイト制御部80は、第iユーザ以外のユーザ(複数の第kユーザ)に対する第l番目の送信ビームに対応するN
T行1列の送信BFウェイトベクトルを、以下の式のように合算する(S400)。
【数130】
【0115】
ステップS400の結果として、L
Tk個(送信ビーム数)の合算ウェイトベクトル
【数131】
が取得される。
【0116】
次いで、送信BFウェイト制御部80は、取得された合算ウェイトベクトルの各々について相関行列
【数132】
を計算し、以下の式のように全送信ビームについて合算する(S410)。
【数133】
【0117】
ステップS410の結果として、N
T行N
T列の合算相関行列
【数134】
が取得される。
【0118】
送信BFウェイト制御部80は、取得された合算相関行列の逆行列(干渉制御行列)
【数135】
を送信BFウェイト行列
【数136】
に乗算することにより、調整後の送信BFウェイト行列
【数137】
を取得する(S420)。
【0119】
以上のステップS400からS420が全てのユーザ(1,…,N
U)について実行され、全てのユーザについて送信BFウェイト行列が調整される。以上のように取得された調整後の送信BFウェイト行列がスモール基地局MMNBからの無線信号の送信に使用される。
【0120】
4(2). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、第i番目のユーザ以外のユーザに対する送信ビームに対応する送信BFウェイトベクトルに基づいて生成された干渉制御行列が、第i番目のユーザの送信BFウェイト行列に乗算されるので、第i番目のユーザに対する無線信号が他のユーザに与える干渉を低減することが可能である。
【0121】
5. 変形例
以上の実施形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以上の実施の形態および以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0122】
5(1). 変形例1
以上の実施形態においては、ある1つのユーザ(第iユーザ)の送信ビーム数L
Tiは固定的に設定される(例えば、L
Ti=L
T/N
U)。しかしながら、送信ビーム数L
Tiが動的に設定されてもよい。例えば、送信ビーム数L
Tiは、第iユーザの通信速度が一定値以上になるように設定されてもよいし、システム全体の通信速度がより向上するように(好適には、最大となるように)設定されてもよいし、送信ビーム数L
Tiが固定的に設定される場合と比較して通信速度がより向上するように設定されてもよいし、第iユーザのキャパシティをより大きくするように(好適には、最大化するように)設定されてもよい。例えば、MCS(Modulation and Coding Scheme)の値に応じて送信ビーム数L
Tiが設定されると好適である。
【0123】
以上の構成によれば、ユーザごとに要求される品質の差異に対して柔軟に対応することが可能である。また、システム全体の通信速度の向上を図ると共に、ユーザ間の通信速度の公平性を確保することが可能である。
【0124】
5(2). 変形例2
以上の実施形態において、スモール基地局MMNBとユーザ装置UEとの制御情報の通信は、任意のルートにて実行され得る。例えば、スモール基地局MMNBとユーザ装置UEとの間に無線リンクが確立されている場合には、無線信号を直接的に送受信することで制御情報を交換してもよい。また、以上の無線リンクが確立されていない場合には、マクロ基地局MeNB経由でスモール基地局MMNBとユーザ装置UEとが制御情報を送受信してもよい。
【0125】
5(3). 変形例3
以上の実施形態では、送信側(スモール基地局MMNB)にてプリコーディング行列及びポストコーディング行列が決定される。しかしながら、無線通信システム1内の任意の箇所でコーディング行列の決定が実行され得る。例えば、受信側(ユーザ装置UE)にてポストコーディング行列が決定されてもよい。また、送信側でポストコーディング行列が決定されてもよいし、受信側でプリコーディング行列が決定されてもよい。送信側及び受信側のいずれでも無い箇所(例えば、中央制御局MME)でプリコーディング行列及びポストコーディング行列の少なくともいずれかが決定されてもよい。
【0126】
5(4). 変形例4
以上の実施形態では、ユーザ装置UEからフィードバックされた等価チャネルに基づいて、スモール基地局MMNBがプリコーディング行列等を決定する。無線通信システム1に時分割複信(Time Division Duplex,TDD)が採用される場合には、上りリンクと下りリンクとで共通の周波数が用いられるので、ユーザ装置UEから送信された参照信号に基づいてスモール基地局MMNBが等価チャネルを推定し、プリコーディング行列等を決定することが可能である。すなわち、時分割複信が採用される場合には、ユーザ装置UEからスモール基地局MMNBに対して等価チャネルをフィードバックしなくてもよい。
【0127】
5(5). 変形例5
スモール基地局MMNBの送信ビームフォーミング部54は、N
T本の送信アンテナA
Tを全て用いて1つの送信ビームが生成されるフルアレー型構成であってもよいし、(N
T/L
T)本の送信アンテナA
Tを用いて1つの送信ビームが生成されるサブアレー型構成であってもよい。いずれの構成によっても、以上の実施形態のユーザ多重が実現される。
【0128】
5(6). 変形例6
以上の実施形態におけるブロック対角化を行ったユーザに対し、さらに、種々の特性向上手法を適用することができる。例えば、訂正符号化方式や変調方式を適応的に変化させる適応符号化変調(Adaptive Modulation and Coding,AMC)、送信ストリーム数を適応的に制御するランクアダプテーション、または電力配分などの手法を適用することが可能である。
【0129】
5(7). 変形例7
ユーザ装置UEは、ネットワーク内の基地局(マクロ基地局MeNB、スモール基地局MMNB)と無線通信が可能な任意の装置である。ユーザ装置UEは、例えば、フィーチャーフォンまたはスマートフォン等の携帯電話端末でもよく、タブレット端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。
【0130】
5(8). 変形例8
無線通信システム1内の各要素(ユーザ装置UEおよびスモール基地局MMNB)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。