(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年6月29日
【発行日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】自己免疫疾患治療剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20180921BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20180921BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20180921BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20180921BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
A61K31/198
A61P25/00
A61P31/14
A61P37/00
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】12
【出願番号】特願2017-558275(P2017-558275)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-249621(P2015-249621)
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、難治性疾患実用化研究事業「神経筋疾患の原因究明および革新的治療法開発に関する研究」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 博
(72)【発明者】
【氏名】荒田 仁
(72)【発明者】
【氏名】松浦 英治
(72)【発明者】
【氏名】田代 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 匡宏
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA32
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZB07
4C206ZB11
4C206ZB33
(57)【要約】
本発明は、自己免疫疾患を治療するための薬剤を提供することを目的とし、具体的には、L-アルギニン塩酸塩を有効成分として含有するHTLV-1関連脊髄症等の自己免疫疾患治療剤に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L-アルギニン塩酸塩を有効成分として含有する自己免疫疾患治療剤。
【請求項2】
自己免疫疾患がHTLV-1関連脊髄症である、請求項1記載の自己免疫疾患治療剤。
【請求項3】
0.125g〜0.5g/kg体重/日のL-アルギニン塩酸塩を投与するためのものである、請求項2記載の自己免疫疾患治療剤。
【請求項4】
0.2g〜0.5g/kg体重/日のL-アルギニン塩酸塩を投与するためのものである、請求項3記載の自己免疫疾患治療剤。
【請求項5】
経口投与するためのものである、請求項2〜4のいずれか1項記載の自己免疫疾患治療剤。
【請求項6】
毎日投与するためのものである、請求項2〜5のいずれか1項記載の自己免疫疾患治療剤。
【請求項7】
投与期間は、一生涯である、請求項2〜6のいずれか1項記載の自己免疫疾患治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばL-アルギニン塩酸塩を有効成分として含有する自己免疫疾患治療剤
【背景技術】
【0002】
ヒトTリンパ球指向性ウイルス1型(以下、「HTLV-1」と称する)はCD4陽性Tリンパ球のゲノムDNAに組み込まれて体内及び個体間で感染伝播するレトロウイルスである。HTLV-1は、感染細胞の腫瘍化による成人T細胞白血病、感染細胞が脊髄内に浸潤し、痙性脊髄麻痺、排尿障害等をきたすHTLV-1関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy:以下、「HAM」と称する)や感染細胞が眼球内に浸潤したブドウ膜炎(HU)等の炎症性疾患を引き起こす。
【0003】
HAMに対する根治療法は未樹立であり、経験的に用いられる抗炎症薬の副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)経口投与は、ある程度のHTLV-1プロウイルス量減少、症状改善効果があるものの、不十分である。また、当該副腎皮質ステロイド投与は、副作用(ステロイド糖尿病、骨粗鬆症、免疫抑制等)も多く、長期的な治療が困難となっている。
【0004】
また、インターフェロンαは、HAMに対して唯一医療保険適応となっている薬剤である。しかしながら、インターフェロンαは、高価で、且つ症状の改善もわずかで、副作用にも注意する必要がある。発熱やうつ状態による長期間の活動性低下は運動機能の低下につながる。
【0005】
このように、従来において、HAMに対して特に有効な治療法が存在しているとは言えず、より安全で、安価で、且つ有効なHAMに対する治療法が求められている。
【0006】
一方、L-アルギニンは、アルギニン塩酸塩として、アルギU点滴静注20gがエイワイファーマより、また内服薬として味の素製薬から、高アンモニア血症や先天性尿素サイクル異常症の治療薬として用いられている。また、ミトコンドリア病のMELAS(Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic Acidosis, Stroke-like episodes)に対するL-アルギニン塩酸塩を用いた治療についても医師主導試験が行われている。
【0007】
しかしながら、従来において、HAMの治療薬としてL-アルギニン塩酸塩が用いられたことはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した実情に鑑み、HAM等の自己免疫疾患治療剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するため鋭意研究を行った結果、歩行障害を有するHAM患者に対してアルギニン塩酸塩を投与したところ、当該患者における歩行障害の有意な改善が認められ、また、HAMの活動性のマーカーである髄液ネオプテリン値の改善が見られ、アルギニン塩酸塩がHAM等の自己免疫疾患の治療に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下を包含する。
【0011】
(1)L-アルギニン塩酸塩を有効成分として含有する自己免疫疾患治療剤。
【0012】
(2)自己免疫疾患がHAMである、(1)記載の自己免疫疾患治療剤。
【0013】
(3)0.125g〜0.5g/kg体重/日のL-アルギニン塩酸塩を投与するためのものである、(2)記載の自己免疫疾患治療剤。
【0014】
(4)0.2g〜0.5g/kg体重/日のL-アルギニン塩酸塩を投与するためのものである、(3)記載の自己免疫疾患治療剤。
【0015】
(5)経口投与するためのものである、(2)〜(4)のいずれか1記載の自己免疫疾患治療剤。
【0016】
(6)毎日投与するためのものである、(2)〜(5)のいずれか1記載の自己免疫疾患治療剤。
【0017】
(7)投与期間は、一生涯である、(2)〜(6)のいずれか1記載の自己免疫疾患治療剤。
【0018】
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-249621号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、HAM等の自己免疫疾患をより安全で、且つ安価に治療することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る自己免疫疾患治療剤(以下、「本発明に係る治療剤」と称する)は、L-アルギニン塩酸塩を有効成分として含有するものである。
【0021】
ここで、自己免疫疾患としては、例えばHAM、自己免疫性脳症、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、筋炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、関節リウマチ、橋本病、糸球体腎炎、間質性肺炎、サルコイドーシス等が挙げられる。特に、本発明に係る治療剤の投与により、HAM患者において歩行障害や排尿障害を有意に改善することができる。
【0022】
本発明に係る治療剤における有効成分であるL-アルギニン塩酸塩としては、例えばエイワイファーマ株式会社や味の素製薬株式会社から市販されているアルギU点滴静注20g、EAファーマ株式会社等から市販されているアルギU配合顆粒(アルギU顆粒)等を使用することができる。
【0023】
本発明に係る治療剤は、その剤形に応じてそれ自体公知の種々の方法で投与することが可能であり、その投与量、投与部位、投与する間隔、期間等は、患者の年齢や体重、病状あるいは他の薬剤や治療法と併用した場合等を考慮して適宜決定することができる。投与方法としては、特に制限されないが、例えば、経口投与、注射や点滴静注等が挙げられる。
【0024】
本発明に係る治療剤の投与量は、その剤形、投与方法、又は治療しようとする症状により異なるが、例えば、体重1kg当たりの投与量として有効成分(L-アルギニン塩酸塩)換算で0.125g〜0.5g、好ましくは0.2g〜0.5gとすることができ、1日1回又は数回、あるいは持続点滴等、さらには数日毎に1回、毎日1回というような、適当な投与頻度によって投与することが可能である。また、投与期間は一生涯であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る治療剤の形態としては、例えば、点滴、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、坐剤、注射剤等が挙げられるが、特に制限されない。また、本発明に係る治療剤は、例えば製剤担体、賦形剤、安定剤等の成分を含有することもできる。
【0026】
また、本発明は、L-アルギニン塩酸塩をヒトや動物等の被験体(患者)に投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法に関する。L-アルギニン塩酸塩の剤形、投与様式、投与量等は、上述の本発明に係る治療剤に準じて決定することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕L-アルギニン塩酸塩によるHAMの治療
1.症例1
(i)患者、材料及び方法
症例は70歳女性。既知のHTLV-1関連脊髄症(以下HAM)があり、下肢筋力低下の進行を主訴に入院精査した。この時、筋疾患とHTLV-1脊髄症の合併と診断した。筋生検にてミトコンドリア機能異常を認められた。ミトコンドリア機能障害に対する治療としてL-アルギニン点滴を使用した。L-アルギニンは、アルギU 10g/42.0kg/日で7日間使用した。
【0029】
(ii)結果及び考察
頸部、脊柱起立筋、下肢筋力の改善と歩様の改善を認めた。
【0030】
また、HTLV-1関連脊髄症のバイオマーカーとされるネオプテリン値が、治療前14 pmol/mlから9 pmol/mlに低下していた。HTLV-1DNA定量値は81.3から31.7に低下していた。2回目のLアルギニン点滴にて、HTLV-1DNA定量値は7.7まで低下している。筋疾患よりもHAMに対してHTLV-1関連脊髄症に有効であったと考えられる。
【0031】
2.症例2
(i)患者、材料及び方法
症例は63歳女性。関節リウマチの既往がある。1年前からの四肢反射、痙性歩行、病的反射陽性、排尿障害があり、前医神経内科にてHTLV-1抗体陽性を指摘されHAMと診断された。症状進行のため当科紹介・入院となった。
【0032】
症例1の経験から、L-アルギニン点滴を行った。アルギニンはアルギU 15g/52.5kg/日で7日間使用した。
【0033】
(ii)結果及び考察
HAM臨床症状評価尺度として使用される10m歩行では18秒25歩から15秒23歩に改善を認めた。
【0034】
3.症例3
(i)患者、材料及び方法
症例は54歳女性。25年前にHTLV-1キャリアと診断されている。4年前からの下半身発汗低下、3年前から下肢異常感覚を認めている。2年前から走行困難、つまづきやすさがあり、1年前にHAMと診断された。精査加療目的で入院となった。入院時Osame grade 4(階段昇降に手すり必要)であった。
【0035】
症例1及び2の経験からHAMに対するL-アルギニン加療を行った。アルギニンはアルギU 15g/59.0kg/日で7日間使用した。
【0036】
(ii)結果及び考察
腸腰筋と大腿二頭筋の筋力の改善、Osame grade 1(手すりなしで階段昇降可、小走り可)まで改善している。
【0037】
脊髄の炎症を反映していると考えられる髄液蛋白は48.8→36.4(mg/dL)に改善していた。
【0038】
4.症例4
(i)患者、材料及び方法
患者は74歳女性。20年ほど前より下肢の運動機能障害および排尿障害を自覚していた。20年の経過中徐々に進行し続け、6年前、5年前に各々ステロイドによる治療を受け改善をしていたが、3年前のステロイド治療では改善を認めなかった。徐々に筋力低下が認められたため、L-アルギニンの点滴静注による治療を試みた。
【0039】
アルギニンはアルギU 15g/日で7日間使用した。
【0040】
(ii)結果及び考察
静脈内投与により、30m歩行では、歩数は72歩が60歩に、所要時間は62秒が44秒と著しく改善を認めた。OABSSは10点が6点に改善した。
【0041】
5.症例5
(i)患者、材料及び方法
患者は82歳男性。60歳ごろからの頻尿があり、歩行障害も徐々に進行し、64歳時にHAMと診断されている。両下肢の痙性歩行が著しく、二本杖歩行となっている。排尿障害のため夜間に5回の尿とりパッドの交換が必要であった。精査加療目的で入院となった。入院時Osame grade 6、排尿障害のスケールであるところのOABSSは14点であった。
【0042】
症例1〜4の経験から、L-アルギニンの内服加療を試みた。アルギニンは、アルギU顆粒 20g/54.0kg体重/日内服とし7日間使用した。なお自宅で3ヶ月前以降はアルギニン以外の内服やリハビリ内容の変更は行なっていないことを確認している。
【0043】
(ii)結果及び考察
10m歩行は入院時103秒であったものが、内服1週間後に87.8秒に短縮していた。3m up and go testでは93秒から87.3秒に短縮していた。
【0044】
膝関節の痙縮が内服3日目に軽減しており、筋緊張評価スケール(Modified Ashworth scale)では内服前1+から内服後1へと改善を認めた。
【0045】
下肢の針を刺す痛みが入院時のVisual Analogue scaleで8.5cmから0cmへと著しい改善を認めた。
【0046】
排尿障害については夜間の尿おむつパッドの交換が入院時5回必要であったものが、内服後3回に軽減しており、失禁回数も減少し、過活動性膀胱の重症度を示すOveractive bladder syndrome score(;OABSS)は14点から12点へと改善した。
【0047】
生化学検査では内服にてアルギニン値が60.2 nmol/mlから275.8 nmol/mlへと上昇し、内服したものが十分に血中へ移行していることを確認した。
【0048】
血液免疫学的検査では、炎症反応に関与するサイトカインである血清IL-6が9.0から測定限界以下(<8.0)へ減少し、炎症の改善が示唆され、IL-6産生を誘導するとされるアディポネクチンも内服前8.1から治療開始後2週間後で7.1まで低下した。
【0049】
免疫反応の制御に関わるとされるNK細胞の機能指標の一つであるNK細胞活性は、活性が低下すると抗腫瘍効果が低下することが知られているが、この機能がE/T 10:1が5.8→6.5%へ上昇、E/T 20:1が10.9→12.4%へと上昇し、抗腫瘍効果の上昇が示唆された。
【0050】
L-アルギニンを内服したことで、炎症・免疫反応の指標であるIL-6、アディポネクチンが減少しており、免疫調節に関わるNK細胞活性が上昇しており、HAMの臨床症状が改善していたことから、L-Arginineが疾病の自己免疫的機序に抑制的に作用したことが示唆された。
【0051】
6.症例6
(i)患者、材料及び方法
症例は52歳女性。ATL家族歴(母親)、妹3人がHTLV-1キャリアである。10代から便秘があり、38歳ごろから下肢の痙縮を自覚し階段昇降が困難となった。48歳には過活動性膀胱を発症し、HTLV-1陽性を指摘され、HAMと診断された。精査加療目的で入院となった。入院時Osame grade 4、過活動性膀胱のスケールであるところのOABSSは5点だった。
【0052】
症例1〜4の経験から、L-アルギニンの内服加療を試みた。アルギニンは、アルギU顆粒 20g/56.0kg体重/日内服とし7日間使用した。なお外来加療で3ヶ月前以降はアルギニン以外の内服の変更を行なっていないことを確認している。
【0053】
(ii)結果及び考察
10m歩行は入院時11.9秒、22歩であったものが、内服1週間後に10.3秒19歩に短縮していた。歩数の減少は痙縮の軽減が示唆される。3m up and go testでは12.0秒から10.2秒に短縮していた。
【0054】
膝関節の痙縮が内服3日目に軽減しており、特に左下肢の間代が偽性間代に軽減していた。
【0055】
腹筋が徒手筋力テストにて4から4+へと改善し、ベッドからの起床が容易となった。前脛骨筋が徒手筋力テストで4から5レベルへと改善した。
【0056】
排尿障害については夜間尿が5-8回であったものが、内服1週間後に2-3回まで減少しており、過活動性膀胱の重症度を示すOveractive bladder syndrome score(;OABSS)は5点から3点へと軽減した。
【0057】
生化学検査では、内服にてアルギニン値が86.0 nmol/mlから350.6 nmol/mlへと上昇し、内服したアルギニンが血中へ移行していることを確認した。
【0058】
血液免疫学的検査では、炎症性サイトカインであるIL-6産生を誘導するとされる血清アディポネクチンが9.8から内服1週間後に8.6、2週間後に7へと漸減し、抗炎症効果が示唆された。 炎症促進作用を持つレプチンも31.3から26.7へと低下していた。免疫反応の制御に関わるとされるNK細胞の機能を反映するNK細胞活性は、E/T 10:1が8.90→10.5%へ増加、E/T 20:1が15.9→19.0%へと増加し、抗腫瘍効果が示唆された。
【0059】
L-アルギニンを内服したことで、炎症・免疫反応の指標であるレプチン、アディポネクチンが減少しており、免疫調節に関わるNK細胞活性が上昇しており、HAMの臨床症状が改善していたことから、L-アルギニンがHAM疾病の自己免疫的機序に抑制的に作用したことが示唆された。
【0060】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2017年4月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−アルギニン塩酸塩を有効成分として含有するHTLV−1関連脊髄症治療剤であって、0.125g〜0.5g/kg体重/日のL−アルギニン塩酸塩を投与するためのものである、前記治療剤。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
0.2g〜0.5g/kg体重/日のL−アルギニン塩酸塩を投与するためのものである、請求項1記載の治療剤。
【請求項5】
経口投与するためのものである、請求項1又は4記載の治療剤。
【請求項6】
毎日投与するためのものである、請求項1、4及び5のいずれか1項記載の治療剤。
【請求項7】
投与期間は、一生涯である、請求項1及び4〜6のいずれか1項記載の治療剤。
【国際調査報告】