再表2017-150480IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年9月8日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】医療用ポンプおよび輸液履歴記録方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   A61M5/142 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2018-503311(P2018-503311)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-40099(P2016-40099)
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 孝文
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD15
4C066QQ17
4C066QQ24
4C066QQ25
4C066QQ42
4C066QQ46
4C066QQ47
4C066QQ58
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
(57)【要約】
医療用ポンプ(1)は、操作部(31)と、操作部(31)の操作に基づいて輸液を行う輸液部(21)と、輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する切換操作判定部(77)と、輸液部の輸液履歴を記録する輸液履歴記録部(74)とを備え、輸液履歴記録部(74)は、切換操作が行われたときの輸液履歴を記録可能に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
前記操作部の操作に基づいて輸液を行う輸液部と、
前記輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する切換操作判定部と、
前記輸液部の輸液履歴を記録する輸液履歴記録部とを備え、
前記輸液履歴記録部は、前記切換操作が行われたときの輸液履歴を記録可能に構成されていることを特徴とする医療用ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用ポンプにおいて、
前記切換操作判定部は、前記操作部で輸液の流量の設定が変更されたときに前記切換操作が行われたと判定することを特徴とする医療用ポンプ。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用ポンプにおいて、
前記切換操作判定部は、前記操作部で輸液の予定量の設定が変更されたときに前記切換操作が行われたと判定することを特徴とする医療用ポンプ。
【請求項4】
請求項1に記載の医療用ポンプにおいて、
前記切換操作判定部は、前記操作部で輸液の積算量が初期化されたときに前記切換操作が行われたと判定することを特徴とする医療用ポンプ。
【請求項5】
請求項1に記載の医療用ポンプにおいて、
前記切換操作判定部は、前記輸液の完了前に前記操作部で電源がオフされたときに前記切換操作が行われたと判定することを特徴とする医療用ポンプ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医療用ポンプにおいて、
前記輸液履歴には、前記切換操作の操作内容が含まれることを特徴とする医療用ポンプ。
【請求項7】
医療用ポンプの輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する工程と、
前記切換操作が行われたときの輸液履歴を記録する工程とを備えていることを特徴とする輸液履歴記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ポンプおよび輸液履歴記録方法
【背景技術】
【0002】
従来、輸液履歴を記録する医療用ポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の医療用ポンプは、輸液が処方通り完了した場合に輸液履歴を記録するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−51244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の医療用ポンプは、輸液が途中で中止され、別の処方に切り換わって輸液が開始された場合、処方途中で中止された輸液の履歴を記録することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、処方途中で中止された輸液の履歴を記録できる医療用ポンプおよび輸液履歴記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の医療用ポンプは、操作部と、前記操作部の操作に基づいて輸液を行う輸液部と、前記輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する切換操作判定部と、前記輸液部の輸液履歴を記録する輸液履歴記録部とを備え、前記輸液履歴記録部は、前記切換操作が行われたときの輸液履歴を記録可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の医療用ポンプにおいて、前記切換操作判定部は、前記操作部で輸液の流量の設定が変更されたときに前記切換操作が行われたと判定することが好ましい。
【0008】
本発明の医療用ポンプにおいて、前記切換操作判定部は、前記操作部で輸液の予定量の設定が変更されたときに前記切換操作が行われたと判定することが好ましい。
【0009】
本発明の医療用ポンプにおいて、前記切換操作判定部は、前記操作部で輸液の積算量が初期化されたときに前記切換操作が行われたと判定することが好ましい。
【0010】
本発明の医療用ポンプにおいて、前記切換操作判定部は、前記輸液の完了前に前記操作部で電源がオフされたときに前記切換操作が行われたと判定することが好ましい。
【0011】
本発明の医療用ポンプにおいて、前記輸液履歴には、前記切換操作の操作内容が含まれることが好ましい。
【0012】
本発明の輸液履歴記録方法は、医療用ポンプの輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する工程と、前記切換操作が行われたときの輸液履歴を記録する工程とを備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定し、切換操作が行われたときの輸液履歴を記録するため、処方途中で中止された輸液の履歴を記録することができる。
また、処方切換時に行われる流量、予定量、積算量の設定の変更操作や、輸液完了前の電源オフ操作を利用して、切換操作が行われたか否かを判定すれば、切換操作を確実に判定することができる。
また、輸液履歴に切換操作の操作内容を含めておけば、どのような切換操作により輸液が中止されたかを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一医療用ポンプの斜視図。
【図2】ドア部が開いた状態の医療用ポンプの正面図。
【図3】医療用ポンプの輸液履歴を示す図。
【図4】医療用ポンプのブロック図。
【図5】医療用ポンプの処理手順を示すフローチャート。
【図6】医療用ポンプの処理手順を示すフローチャート。
【図7】医療用ポンプの輸液履歴を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、医療用ポンプ1は、輸液チューブ2を押圧して輸液を行う輸液ポンプである。医療用ポンプ1は、箱状の本体部20と、その前面を覆う開閉式のドア部30とを備えている。
【0016】
本体部20は、図2に示すように、輸液部としてのポンプ部21、気泡センサ22、上流閉塞センサ23、および下流閉塞センサ24とを備えている。
【0017】
ポンプ部21は、輸液チューブ2を押圧して薬液を圧送するポンプ機構21Aと、ポンプ機構21Aを駆動する図示しないモータとを備えている。
【0018】
気泡センサ22は、輸液チューブ2内の気泡混入を検出可能に構成されている。気泡センサ22は、輸液チューブ2内の長さが所定長さ(例えば、10mm)となる所定量(例えば、0.08cc)以上の気泡を検出する。
【0019】
上流閉塞センサ23は、輸液チューブ2に対するポンプ部21の上流側に設けられ、当該上流側で輸液チューブ2が閉塞したことを検出可能に構成されている。
【0020】
下流閉塞センサ24は、輸液チューブ2に対するポンプ部21の下流側に設けられ、当該下流側で輸液チューブ2が閉塞したことを検出可能に構成されている。
【0021】
ドア部30は、図1に示すように、操作部31、表示部32、および通信部33を備えている。
【0022】
操作部31は、押圧可能な複数のボタンを備え、これらのボタンを押圧することで医療用ポンプ1に対する各種操作が可能に構成されている。操作部31では、例えば、輸液の単位時間あたりの流量や、輸液の予定量の設定、点検モードの選択、輸液の開始や停止等の操作が行えるようになっている。
【0023】
表示部32は、液晶などを用いた表示パネルと、各種報知用のランプとで構成される。表示部32は、輸液の流量の設定値および実績値、輸液の予定量および積算量、輸液の完了、各種警報情報、輸液チューブ2の閉塞圧力の設定レベル等を表示する。なお、閉塞圧力の設定レベルは、例えば、「L」、「M」、「H」のように表示される。
【0024】
通信部33は、NFC(Near Field Communication)規格による近距離無線通信が可能に構成されている。例えば、通信部33は、Felica(登録商標)ポートを有するパーソナルコンピュータや、Felica(登録商標)機能付きの携帯情報端末等の外部端末と通信を行うことができる。この通信部33により、外部端末から注射箋の識別ID、輸液の流量、輸液の予定量等の注射箋情報を受信したり、輸液ごとに記録された輸液履歴としての注射箋ログを外部端末に送信したりすることができる。
【0025】
図3において、注射箋ログは、輸液に関する処方箋である注射箋の内容と、その実施履歴とを記録したものである。注射箋ログには、記録開始日時(輸液開始日時)、終了日時、注射箋の識別ID、設定された流量、予定量、実際の積算量、実施者の識別ID、患者の識別IDが記録される。各識別ID、流量、および予定量は、操作部31を介して、または外部端末から通信部33を介して医療用ポンプ1に記憶させておくことで、注射箋ログに記録することができる。また、注射箋ログには、輸液の途中経過を記録した経過ログが注射箋ログに関連付けて記録される。
【0026】
経過ログは、前回の記録から所定時間経過するごとに記録される。経過ログには、記録日時、設定された流量、予定量、実際の積算量、記録時の状態が記録される。記録時の状態とは、輸液の開始や完了、輸液が正常に行われているか否か、輸液が停止されたか否か、輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否か、および切換操作の操作内容等の情報のことである。
【0027】
[医療用ポンプの制御構造]
図4において、医療用ポンプ1は、ポンプ部21、気泡センサ22、上流閉塞センサ23、下流閉塞センサ24、操作部31、表示部32、通信部33、電源部40、音出力部50、記憶部60、および制御部70を備えている。
【0028】
電源部40は、交流電源41およびバッテリ42を備えている。電源部40は、交流電源41またはバッテリ42から電源を供給したり、交流電源41によりバッテリ42への充電を行ったりする。
【0029】
音出力部50は、例えば、スピーカにより構成され、気泡混入警報、上流閉塞警報、下流閉塞警報の警報音や、輸液完了時の報知音等を出力する。
【0030】
記憶部60は、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体で構成され、制御部70の制御プログラムや、当該制御プログラムで用いられる各種パラメータを記憶している。また、記憶部60は、外部端末から受信した注射箋情報や、注射箋ログ、経過ログを記憶可能に構成されている。
【0031】
制御部70は、ポンプ部21、気泡センサ22、上流閉塞センサ23、下流閉塞センサ24、操作部31、表示部32、通信部33、電源部40、音出力部50、および記憶部60の各々に電気的に接続され、医療用ポンプ1全体の制御を行うように構成されている。
制御部70は、輸液設定部71、輸液開始判定部72、ポンプ駆動部73、輸液履歴記録部74、輸液完了判定部75、輸液停止判定部76、および切換操作判定部77を備えている。
【0032】
輸液設定部71は、実施される輸液の流量および予定量を設定するとともに、設定された流量および予定量を記憶部60に記録する。本実施形態の場合、輸液設定部71は、操作部31の操作に基づいて流量および予定量を設定する。また、輸液設定部71は、外部端末から受信した注射箋情報としての流量および予定量を用いて、流量および予定量を設定することもできる。
【0033】
輸液開始判定部72は、操作部31の操作に基づいて、輸液開始操作が行われたか否かを判定する。
【0034】
ポンプ駆動部73は、ポンプ部21を駆動して輸液を行う。また、ポンプ駆動部73は、設定された流量となるように、ポンプ部21の駆動を制御する。
【0035】
輸液履歴記録部74は、輸液開始判定部72、輸液完了判定部75、輸液停止判定部76、および切換操作判定部77の判定結果に基づいて、注射箋ログや経過ログを記憶部60に記録する。また、輸液履歴記録部74は、外部端末から受信した注射箋の識別ID、流量、予定量、実施者の識別ID、患者の識別IDなどを注射箋ログに記録する。輸液履歴記録部74は、他の患者のデータとの混同を防止するために、注射箋ログ毎に各識別IDを記録するように構成されており、注射箋ログに記録された各識別IDをそのまま次の注射箋ログに転用できないようになっている。
【0036】
輸液完了判定部75は、設定された予定量と実際の積算量とから、注射箋に則って設定された予定量の輸液が完了したか否かを判定する。
【0037】
輸液停止判定部76は、輸液を停止すべき状況になったか否かを判定する。輸液を停止すべき状況としては、気泡混入警報、上流閉塞警報、下流閉塞警報等の各種警報が発せられた場合、輸液完了が報知されて使用者が停止操作をおこなった場合、使用者が何らかの理由により輸液を一次停止する操作を行った場合などがある。
本実施形態の場合、輸液停止判定部76は、操作部31の操作と、気泡センサ22、上流閉塞センサ23、および下流閉塞センサ24の検出結果とに基づいて、輸液を停止すべき状況になったか否かを判定する。
【0038】
切換操作判定部77は、輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する。本実施形態の場合、切換操作判定部77は、輸液完了判定部75および輸液停止判定部76の判定結果と、操作部31の操作とに基づいて、切換操作が行われたか否かを判定する。
【0039】
以上の医療用ポンプ1において、注射箋ログおよび経過ログを記録する手順について説明する。
最初に、図5に基づいて、実施された輸液が完了するまでの処理について説明する。
先ず、操作部31で電源オン操作が行われると、制御部70は、電源部40を制御して電源供給を開始し、電源をオンする(ステップS1)。次いで、制御部70は、操作部31で点検モードが選択されている場合、選択された点検モードに従って点検を実施する(ステップS2)。なお、点検モードの詳細については、後述する。
【0040】
その後、輸液設定部71は、操作部31の操作に基づいて、または外部端末から受信した注射箋情報に基づいて、輸液の流量および予定量を設定するとともに、設定された流量および予定量を記憶部60に記録する(ステップS3)。次いで、輸液開始判定部72は、操作部31で輸液開始操作が行われたか否かを判定する(ステップS4)。ステップS3の処理は、輸液開始操作が行われるまで繰り返される。
【0041】
ステップS3で輸液開始操作が行われたと判定されると、輸液履歴記録部74が注射箋ログに輸液の開始記録を施し(ステップS5)、ポンプ駆動部73がポンプ部21を駆動して輸液を開始する(ステップS6)。また、輸液履歴記録部74は、定期的に経過ログを記録する(ステップS7)。本実施形態の場合、輸液履歴記録部74は、30分経過ごとに経過ログを記録する。
【0042】
その後、輸液完了判定部75は、輸液が完了したか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8で輸液が完了していないと判定された場合、輸液停止判定部76は、輸液を停止すべき状況になったか否かを判定する(ステップS9)。ここでいう輸液を停止すべき状況とは、各種警報が発せられた場合や、使用者が何らかの理由により輸液を一次停止する操作を行った場合などが該当する。
【0043】
ステップS9で輸液を停止すべき状況になっていないと判定された場合、制御部70は、ステップS7に戻って処理を続ける。ステップS7からステップS9の処理が行われている間は、開始された輸液が注射箋に則って継続されていることになる。
ステップS9で輸液を停止すべき状況になったと判定された場合、ポンプ駆動部73は、ポンプ部21の駆動を停止し、輸液を停止する(ステップS10)。次いで、輸液開始判定部72は、輸液開始操作が行われたか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で輸液開始操作が行われたと判定されると、制御部70は、ステップS6に戻って処理を続ける。
【0044】
一方、ステップS8で輸液が完了したと判定された場合、輸液履歴記録部74は、注射箋ログに終了記録を施す(ステップS12)。この際、制御部70は、表示部32にランプ点滅等の方法で輸液の完了を表示させるとともに、音出力部50に報知音を出力させる。輸液が完了しても、血栓を防止するために、輸液停止判定部76は、輸液を停止すべき状況になったか否かを判定し(ステップS13)、ポンプ駆動部73は、輸液を停止すべき状況になるまでポンプ部21を駆動して低流量で輸液を継続する(ステップS14)。ここでいう輸液を停止すべき状況とは、主として使用者が操作部31で停止操作をおこなった場合が該当する。そして、輸液を停止すべき状況になったと判定されると、ポンプ駆動部73は、ポンプ部21の駆動を停止し、輸液を停止する(ステップS15)。次いで、制御部70は、操作部31により電源オフ操作が行われたか否かを判定する(ステップS16)。制御部70は、ステップS16で電源オフ操作が行われたと判定されると、電源部40の電源供給を遮断して電源をオフし(ステップS17)、電源オフ操作が行われていないと判定されると、ステップS3に戻って処理を続ける。
【0045】
図3には、輸液が完了した場合の注射箋ログおよび経過ログが示されている。注射箋ログからは、2014年11月25日の12:30に記録が開始され(すなわち輸液が開始され)、同日の22:45に終了したことがわかる。また、経過ログからは、同日の13:45に下流閉塞警報が発せられて輸液が一次停止し、同日の13:58に輸液が再開されたことがわかる。
【0046】
次に、図6に基づいて、輸液開始後に開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたときの処理について説明する。
【0047】
ステップS11(図5)において、輸液開始操作が行われていないと判定されると、切換操作判定部77は、電源オフ操作が行われたか否かを判定する(ステップS18)。これにより、切換操作判定部77は、輸液完了前に切換操作が行われたか否かを判定する。ステップS18で電源オフ操作が行われたと判定されると、輸液履歴記録部74は、注射箋ログに終了記録を施す(ステップS19)。その後は、ステップS17の処理が行われ、電源がオフされる。
【0048】
ステップS18において、電源オフ操作が行われていないと判定されると、切換操作判定部77は、輸液の積算量が初期化されたか否かを判定することで、切換操作が行われたか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20で輸液開始操作が行われていないと判定されると、切換操作判定部77は、さらに輸液の流量や予定量が変更されたか否かを判定することで、切換操作が行われたか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21で流量や予定量が変更されていないと判定されると、制御部70は、ステップS11に戻って処理を続ける。
【0049】
一方、ステップS20で積算量が初期化されたと判定された場合や、ステップS21で流量や予定量が変更されたと判定された場合、輸液履歴記録部74は、注射箋ログに終了記録を施す(ステップS22)。その後、制御部70は、ステップS4に戻って処理を続ける。
【0050】
図7には、開始された輸液が途中で中止されたときの注射箋ログおよび経過ログが示されている。注射箋ログからは、輸液が2014年11月26日の12:30に開始され、同日の20:32に中止されたことがわかる。また、経過ログからは、同日の14:15に上流閉塞警報が発せられて輸液が一次停止し、同日の14:22に輸液が再開されたことがわかる。
【0051】
[点検モード]
点検モードは、医療用ポンプ1の点検を支援するモードであり、気泡点検モード、上流閉塞点検モード、および下流閉塞点検モードが準備されている。
先ず、気泡点検モードについて説明する。
従来は、使用者が輸液中に輸液チューブ2内に約10mmの気泡を流し、気泡混入警報が発生するかどうかを確認していた。
【0052】
これに対して、医療用ポンプ1では、気泡点検モードが選択された状態で、使用者が空の輸液チューブ2をセットし、輸液開始操作を行うと、制御部70が気泡センサ22の検出値を取得し、表示部32に気泡混入の有無を表示する。その後、使用者が水でプライミングした輸液チューブ2をセットし、輸液開始操作を行うと、制御部70が気泡センサ22の検出値を取得し、表示部32に気泡混入の有無を表示する。このように、気泡点検モードを利用すれば、実際に気泡を流して警報が発生するかを確認する必要がないため、従来よりも簡便に点検することができ、点検時間を短縮することができる。
【0053】
次に、上流閉塞点検モードについて説明する。
従来は、使用者が点検用のパラメータ(例えば、予定量200mL、流量120mL/h)を手動で設定した後、ポンプ部21よりも上流側で輸液チューブ2を閉塞させた状態で輸液開始操作を行い、ストップウォッチで計測した上流閉塞警報発生までの時間が所定範囲内か否かを確認していた。
【0054】
これに対して、医療用ポンプ1では、上流閉塞点検モードが選択されると、制御部70が上流閉塞点検用のパラメータを自動的に設定する。そして、使用者がポンプ部21よりも上流側で輸液チューブ2を閉塞させ、輸液開始操作を行うと、制御部70が上流閉塞警報発生までの時間を算出するとともに、この時間が所定時間内か否かを判定し、表示部32に上流閉塞の有無を表示する。このように、パラメータの設定が自動化されるとともに、ストップウォッチの操作を行う必要がなくなったため、従来よりも簡便に点検することができ、点検時間を短縮することができる。
【0055】
次に、下流閉塞点検モードについて説明する。
従来は、使用者が点検用のパラメータ(例えば、予定量200mL、流量120mL/h)と、所定の下流閉塞検出設定値とを手動で設定した後、ポンプ部21よりも下流側で輸液チューブ2を閉塞させた状態で輸液開始操作を行い、ストップウォッチで計測した下流閉塞警報発生までの時間が所定範囲内か否かを確認していた。この場合、下流閉塞点検後は、下流閉塞検出設定値をもとの使用時の設定に戻す必要があるが、これを忘れてしまうことがあった。
【0056】
これに対して、医療用ポンプ1では、下流閉塞点検モードが選択されると、制御部70が下流閉塞点検用のパラメータおよび下流閉塞検出設定値を自動的に設定する。そして、使用者がポンプ部21よりも下流側で輸液チューブ2を閉塞させ、輸液開始操作を行うと、制御部70が下流閉塞警報発生までの時間を算出するとともに、この時間が所定時間内か否かを判定し、表示部32に下流閉塞の有無を表示する。その後、使用者が下流閉塞点検モードを解除すると、制御部70が下流閉塞検出設定値を自答的にもとの使用時の設定に戻す。このため、下流閉塞検出設定値をもとの使用時の値に設定に戻し忘れることを防止できる。また、パラメータの設定が自動化されるとともに、ストップウォッチの操作を行う必要がなくなったため、従来よりも簡便に点検することができ、点検時間を短縮することができる。
【0057】
以上のような実施形態によれば、輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定し、切換操作が行われたときの輸液履歴を記録するため、処方途中で中止された輸液の履歴を記録することができる。
また、処方切換時に行われる流量、予定量、積算量の設定変更操作や、輸液完了前の電源オフ操作を利用して、切換操作が行われたか否かを判定するため、切換操作を確実に判定することができる。
また、経過ログに切換操作の操作内容が含まれているため、どのような切換操作により輸液が中止されたかを確認することができる。
【0058】
また、通信部33により、外部端末から注射箋の識別ID、輸液の流量、輸液の予定量等の注射箋情報を受信したり、注射箋ログや経過ログを外部端末に送信したりできるので、看護師等の医療従事者による患者カルテへの入力業務の負荷を軽減することができる。また、患者カルテへの転記ミスを防止することができる。
さらに、医療従事者が輸液状況を定期的に確認できなかった場合でも、経過ログが定期的に記録されるため、輸液完了後にまとめて経過ログを取得することができる。
【0059】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、操作部31は、例えば、キーボード、マウス、ポインティング機器、タッチパネル、音声入力装置により構成されてもよい。
表示部32は、ドア部30と別体に構成されてもよい。
通信部33は、インターネット等のネットワークに接続され、当該ネットワークを介して外部端末と通信可能に構成されてもよい。
【0060】
制御部70は、通信時に外部端末に送信されていない2以上の注射箋ログが記憶されている場合、複数の患者の注射箋ログが混在している可能性があるため、その旨の警告を表示部32に表示させたり、音出力部50に警告音を出力させたりしてもよい。
制御部70は、外部端末に注射箋ログおよび経過ログを送信した場合、これらを記憶部60から消去してもよい。この際、終了記録が施されていない注射箋ログは、記憶部60から消去しなくてもよい。
制御部70は、外部端末に注射箋ログおよび経過ログを送信した場合、これらを記憶部60から消去せずに、その後の送信を禁止してもよい。
【0061】
輸液履歴記録部74は、医療用ポンプ1の外部に設けられたハードディスク等の記憶装置に注射箋ログや経過ログを記録してもよい。
輸液履歴記録部74は、所定時間経過後ではなく、例えば、予め設定した時間に経過ログを記録してもよい。
【0062】
前記実施形態では、切換操作判定部77は、輸液が停止された状態で流量や予定量の設定変更等が行われたときに、切換操作が行われたと判定したが、輸液が停止されていなくても、輸液完了前に流量や予定量の設定変更等が行われれば、切換操作が行われたと判定してもよい。
切換操作判定部77は、輸液開始時のものとは異なる注射箋の識別IDを外部端末から受信したときに、切換操作が行われたと判定してもよい。
【0063】
医療用ポンプ1は、当該医療用ポンプ1に対する各種操作を外部端末から通信部33を介して入力可能に構成されていてもよい。
医療用ポンプ1は、印刷部を備え、当該印刷部で注射箋ログや経過ログを印刷して出力してもよい。
医療用ポンプ1は、シリンジポンプであってもよい。この場合の輸液部は、シリンジの押し子をシリンジ内に押し込む駆動機構で構成される。
【符号の説明】
【0064】
1…医療用ポンプ、21…ポンプ部(輸液部)、22…気泡センサ、23…上流閉塞センサ、24…下流閉塞センサ、31…操作部、32…表示部、33…通信部、60…記憶部、70…制御部、71…輸液設定部、72…輸液開始判定部、73…ポンプ駆動部、74…輸液履歴記録部、75…輸液完了判定部、76…輸液停止判定部、77…切換操作判定部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】

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