(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年12月14日
【発行日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】流量可変バルブ機構及び過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 37/18 20060101AFI20180928BHJP
【FI】
F02B37/18 A
F02B37/18 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2018-522367(P2018-522367)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年4月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-113522(P2016-113522)
(32)【優先日】2016年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】許 ジェミン
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA12
3G005GA02
3G005GB27
(57)【要約】
流量可変バルブ機構は、ハウジングに対して回転可能に支持されたステムと、ハウジングの貫通穴に挿通され、ステムをステムの軸心周りに回転可能に支持する軸受け部と、ステムの一端側に設けられ、開口部を開閉する弁部と、を備える。ステムの外周面は、ステムの他端側から一端側に向かって、ステムの軸心に接近する第1傾斜面を含む。軸受け部の内周面は、ステムの第1傾斜面に当接する第2傾斜面を含む。弁部は、ガス流量可変通路に対面する弁部傾斜面を含む。弁部傾斜面は、ステムが延在する方向において、ステムの他端側から一端側に向かうにつれて、軸心から離間している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構であって、
ハウジングに対して回転可能に支持されたステムと、
前記ハウジングの貫通穴に挿通され、前記ステムを前記ステムの軸心周りに回転可能に支持する軸受け部と、
前記ステムの第一端側に設けられ、前記開口部を開閉する弁部と、を備え、
前記ステムの外周面は、前記ステムの第二端側から前記第一端側に向かって、前記ステムの前記軸心に接近する第1傾斜面を含み、
前記軸受け部の内周面は、前記ステムの前記第1傾斜面に当接する第2傾斜面を含み、
前記弁部は、前記ガス流量可変通路に対面する弁部傾斜面を含み、
前記弁部傾斜面は、前記ステムが延在する方向において、前記ステムの第二端側から前記第一端側に向かうにつれて、前記軸心から離間している流量可変バルブ機構。
【請求項2】
前記第1傾斜面は、前記ステムが延在する方向において、前記ステムの前記第二端側に配置されている請求項1に記載の流量可変バルブ機構。
【請求項3】
前記弁部傾斜面は、前記開口部に対応する全域に形成されている請求項1に記載の流量可変バルブ機構。
【請求項4】
前記弁部傾斜面は、前記開口部に対応する全域に形成されている請求項2に記載の流量可変バルブ機構。
【請求項5】
前記弁部傾斜面は、前記開口部に対応する領域の一部分に形成され、前記ステムが延在する方向において、前記第一端側の部分にのみ形成されている請求項1に記載の流量可変バルブ機構。
【請求項6】
前記弁部傾斜面は、前記開口部に対応する領域の一部分に形成され、前記ステムが延在する方向において、前記第一端側の部分にのみ形成されている請求項2に記載の流量可変バルブ機構。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の流量可変バルブ機構を備えた過給機であって、
タービンと、
前記タービンによる回転駆動力が伝達されて駆動されるコンプレッサと、を備え、
前記弁部は、前記タービンをバイパスする前記ガス流量可変通路の開口部を開閉する過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
流量可変バルブ機構及び過給機
【背景技術】
【0002】
従来、過給機のタービンに供給される作動流体の流量を調整する流量可変バルブ機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。この流量可変バルブ機構は、タービンを収容するタービンハウジングに設けられた軸受け部と、軸受け部によって回転可能に支持されたステムと、ステムの一端側に連結された弁体とを備えている。流量可変バルブ機構では、タービンをバイパスする流量可変通路を弁体により開閉することで、タービンに供給される作動流体の流量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−291782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の過給機では、作動流体の脈動が弁体に伝達され、弁体が振動してステムが振動するおそれがある。ステムの振動を抑制することが可能な流量可変バルブ機構及び過給機を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、ガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構であって、ハウジングに対して回転可能に支持されたステムと、ハウジングの貫通穴に挿通され、ステムをステムの軸心周りに回転可能に支持する軸受け部と、ステムの第一端側に設けられ、開口部を開閉する弁部と、を備え、ステムの外周面は、ステムの第二端側から第一端側に向かって、ステムの軸心に接近する第1傾斜面を含み、軸受け部の内周面は、ステムの第1傾斜面に当接する第2傾斜面を含み、弁部は、ガス流量可変通路に対面する弁部傾斜面を含み、弁部傾斜面は、ステムが延在する方向において、ステムの第二端側から第一端側に向かうにつれて、軸心から離間している。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、ステムの径方向の移動を抑えて、ステムの振動を抑制することが可能な流量可変バルブ機構及び過給機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本開示の第1過給機を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す過給機の側面図である。
【図3】図3は、図2中のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、第1ウェイストゲートバルブをステムの一端側から示す図である。
【図5】図5は、図4中のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、ガス流量可変通路及びバルブ傾斜面を示す断面図である。
【図7】図7は、第2ウェイストゲートバルブのガス流量可変通路及びバルブ傾斜面を示す断面図である。
【図8】図8は、第3ウェイストゲートバルブのガス流量可変通路及びバルブ傾斜面を示す断面図である。
【図9】図9は、第4ウェイストゲートバルブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一態様は、ガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構であって、ハウジングに対して回転可能に支持されたステムと、ハウジングの貫通穴に挿通され、ステムをステムの軸心周りに回転可能に支持する軸受け部と、ステムの第一端側に設けられ、開口部を開閉する弁部と、を備え、ステムの外周面は、ステムの第二端側から第一端側に向かって、ステムの軸心に接近する第1傾斜面を含み、軸受け部の内周面は、ステムの第1傾斜面に当接する第2傾斜面を含み、弁部は、ガス流量可変通路に対面する弁部傾斜面を含み、弁部傾斜面は、ステムが延在する方向において、ステムの第二端側から第一端側に向かうにつれて、軸心から離間している。
【0009】
この流量可変バルブ機構では、弁部が開口部を閉じている状態において、開口部内のガスの圧力によって、弁部傾斜面が押圧されて、ステムが延在する方向(軸線方向)に力が生じる。弁部傾斜面は、ステムの軸線方向において、第二端側から第一端側に向かうにつれて、軸心から離れるように傾斜しているので、弁部に作用する力は、ステムの軸線方向において、第二端側から第一端側へ向かう力となる。これにより、ステムに対して、ステムが第二端側から第一端側へずれる方向に力が作用する。ステムの外周面には、第二端側から第一端側に向かうにつれて、軸心に接近する第1傾斜面が設けられているので、ステムが第二端側から第一端側に押されると、ステムの第1傾斜面が軸受け部の第2傾斜面に接近する。そのため、ステムの外周面と軸受け部の内周面とを、ステムの周方向において連続して接触させることができる。すなわち、ステムの周方向において線接触させることで、ステムの径方向の移動を抑えて、ステムの振動を抑制する。なお、所定の幅を有して接触した場合には、線接触ではなく面接触となる。第1傾斜面と第2傾斜面との接触面積が増加すると、より効果的にステムの移動が抑制され、ステムの振動が抑制される。
【0010】
第1傾斜面は、ステムが延在する方向において、ステムの第二端側に配置されている構成でもよい。ステムの第二端側の方が、ステムの第一端側と比較して、ステムの径方向に作用する力が大きい。ステムの第二端側に第1傾斜面を設けることにより、振動を好適に抑制することができる。
【0011】
弁部傾斜面は、開口部に対応する全域に形成されている構成でもよい。これにより、開口部に対応して全域に弁部傾斜面を設けることで、開口部の内部のガスの圧力を確実に受けることができ、ステムがステムの軸線方向にずれ易くなり、ステム外周面の第1傾斜面が、軸受け部内周面の第2傾斜面に接触し易くなる。そのため、ステムの振動を好適に抑制することができる。
【0012】
弁部傾斜面は、開口部に対応する領域の一部分に形成され、ステムが延在する方向において、第一端側の部分にのみ形成されている構成でもよい。これにより、簡素な構成でもステムの振動を好適に抑制することができる。
【0013】
本開示の過給機は、の流量可変バルブ機構を備えた過給機であって、タービンと、タービンによる回転駆動力が伝達されて駆動されるコンプレッサと、を備え、弁部は、タービンをバイパスするガス流量可変通路の開口部を開閉する。
【0014】
この過給機では、の流量可変バルブ機構を備えているので、弁部が、開口部内のガスの圧力によって、ステムの軸線方向において、第二端側から第一端側に押される。ステムが第二端側から第一端側に移動することで、ステムの外周面の第1傾斜面が軸受け部の内周面の第2傾斜面に線接触する。これにより、ステムの径方向の移動が抑えられて、ステムの振動が抑制される。
【0015】
以下、本開示の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
(過給機)
図1〜図3に示される過給機1は、車両用の過給機であり、図示しないエンジンから排出された排気ガスを利用して、エンジンに供給される空気を圧縮するものである。この過給機1は、タービン2とコンプレッサ(遠心圧縮機)3とを備える。タービン2は、タービンハウジング4と、タービンハウジング4に収納されたタービン翼車6と、を備えている。コンプレッサ3は、コンプレッサハウジング5と、コンプレッサハウジング5に収納されたコンプレッサ翼車7と、を備えている。
【0017】
タービン翼車6は回転軸14の一端に設けられており、コンプレッサ翼車7は回転軸14の他端に設けられている。タービンハウジング4とコンプレッサハウジング5との間には、軸受ハウジング13が設けられている。回転軸14は、軸受15を介して軸受ハウジング13に回転可能に支持されている。
【0018】
タービンハウジング4には、排気ガス流入口8及び排気ガス流出口10が設けられている。エンジンから排出された排気ガスは、排気ガス流入口8を通じてタービンハウジング4内に流入し、タービン翼車6を回転させ、その後、排気ガス流出口10を通じてタービンハウジング4外に流出する。
【0019】
コンプレッサハウジング5には、吸入口9及び吐出口11が設けられている。のようにタービン翼車6が回転すると、回転軸14及びコンプレッサ翼車7が回転する。回転するコンプレッサ翼車7は、吸入口9を通じて外部の空気を吸入し、圧縮して吐出口11から吐出する。吐出口11から吐出された圧縮空気は、エンジンに供給される。
【0020】
図1及び図3に示されるように、タービンハウジング4の内部には、排気ガス流入口8から導入した排気ガスの一部を、タービン翼車6をバイパスさせて排気ガス流出口10側へ導出するためのバイパス通路(図3参照)17が形成されている。バイパス通路17は、タービン翼車6側へ供給される排気ガスの流量を可変とするためのガス流量可変通路である。
【0021】
(ウェイストゲートバルブ)
タービンハウジング4には、流量可変バルブ機構の1つとしてウェイストゲートバルブ20が設けられている。ウェイストゲートバルブ20は、バイパス通路17の開口部を開閉するバルブである。
【0022】
ウェイストゲートバルブ20は、タービンハウジング4の外壁(壁体)に対して回転可能に支持されたステム21と、ステム21からステム21の径方向に張り出す揺動片22と、揺動片22に支持された弁体(弁部)23と、を備えている。
【0023】
タービンハウジング4の外壁には、外壁の板厚方向に貫通する支持穴(貫通穴)24が形成されている。この支持穴24内には、円筒状の軸受け部25が挿通されている。この軸受け部25は、タービンハウジング4の外壁の支持穴24に対して圧入されて固定されている。軸受け部25には、ステム21が挿通される開口(挿通孔)が形成されている。
【0024】
ここで、ステム21の外周面には、図5に示されるように、傾斜面(第1傾斜面)21aが形成されている。具体的には、ステム21は円錐部(切頭円錐部)を含み、この円錐部の外周面が傾斜面21aを形成している。この円錐部は、ステム21の軸線L
21方向(軸心が延在する方向)において、他端側(第二端側)から一端側(第一端側)に向かうにつれて縮径している。すなわち、ステム21の傾斜面21aは、他端側から一端側に向かうにつれて、ステム21の軸線(軸心)L
21に接近するように傾斜している。傾斜面21aは、軸線L
21に沿う断面において、直線状に形成されている。
【0025】
軸線L
21方向において、ステム21の円錐部の両側には、円柱部21c,21dが設けられている。軸線L
21方向の一端側の円柱部21cは、揺動片22が取り付けられる部分であり、他端側の円柱部21dは、タービンハウジング4の外部に突出し、後述するリンク部材28が取り付けられる部分である。例えば、一端側の円柱部21cには、揺動片22のステム21に対する移動を抑制するために、係止部が設けられている。係止部としては凹凸形状を用いることができる。
【0026】
揺動片22は、図4に示されるように、ステム21の円柱部21cに装着される円筒部22aと、円筒部22aに連結され円筒部22aの径方向外側に張り出す張出部22bを備えている。張出部22bは、例えば板状を成している。張出部22bの円筒部22aとは反対側の端部には、弁体23を支持するための取付穴が設けられている。揺動片22は、ステム21の回転に伴って揺動し、弁体23を移動させる。
【0027】
弁体23は、バイパス通路17(図6参照)の開口部の周縁部に当接離隔可能なものであり、例えば円盤状を成している。弁体23は、バイパス通路17の開口端面に当接するシート面を形成する。弁体23には、バイパス通路17の開口部とは反対側に突出するバルブ軸26が設けられている。バルブ軸26は、揺動片22の先端部の取付穴に挿通されている。バルブ軸26の弁体23とは反対側の端部には止め金27が固定されており、この止め金27によって、取付穴に挿通されたバルブ軸26が保持されている。なお、バルブ軸26の軸線L
26は、ステム21の軸線L
21に対して、直交するように配置されていてもよく、軸線L
21に対して傾斜して配置されていてもよい。
【0028】
弁体23のバイパス通路17に対向する面には、図6に示されるように、傾斜面(以下「弁部傾斜面」という)23aが設けられている。弁部傾斜面23aは、ステム21の軸線L
21方向において、ステム21の他端側から一端側に向かうにつれて、軸線L
21から離間するように傾斜している。すなわち、弁体23は、ステム21の軸線L
21方向において、タービンハウジング4の壁体に近い方より遠い方が、ステム21の軸線L
21から離間するように張り出している。弁部傾斜面23aは、ステム21の軸線L
21及びバルブ軸26の軸線L
26に対して傾斜している。
【0029】
弁部傾斜面23aは、ステム21の軸線L
21方向において、バイパス通路17の開口部に対応する全域に形成されている。
【0030】
なお、バイパス通路17は、図6に示されるように、ステム21の軸線L
21に直交する方向に延びている。バイパス通路17の開口部を形成する周縁部17a,17bは、ステム21の軸線L
21に沿う切断面において、軸線L
21と平行な面を形成している。周縁部17aは、タービンハウジング4の壁体に近い方の周縁部であり、周縁部17bは、タービンハウジング4の壁体に遠い方の周縁部である。周縁部17aは、ステム21の軸線L
21と直交する方向において、周縁部17bよりも軸線L
21に近い位置に配置されている。
【0031】
そして、弁体23は、弁部傾斜面23aの外側に、バイパス通路17の周縁部17a,17bに当接するシール面23b,23cを備えている。弁体23には、バルブ軸26の周方向の全周において、バイパス通路17の周縁部17a,17bに当接するシール面23b,23cが形成されている。
【0032】
そして、弁体23がバイパス通路17の開口部の周縁部17a,17bに当接してウェイストゲートバルブ20が閉状態となり、弁体23がバイパス通路17の開口部の周縁部17a,17bから離れてウェイストゲートバルブ20が開状態となる。
【0033】
ステム21の他端側の円柱部21dには、図5に示されるように、ステム21の径方向に張り出す板状のリンク部材28が固定されている。リンク部材28の先端部には、図2に示されるように、連結ピン29が挿通される取付穴が形成され、この取付穴に連結ピン29が挿通されている。この連結ピン29を介して、アクチュエータ50の作動ロッド51の先端部51bがリンク部材28に連結されている。
【0034】
軸受け部25の開口の内周面には、図5に示されるように、ステム21の傾斜面21aに当接する傾斜面(第2傾斜面)25aが形成されている。軸受け部25の内周面は、ステム21の円錐部に対向する傾斜面25aを含んでいる。軸受け部25の開口は、ステム21の軸線L
21方向において、ステム21の他端側から一端側に向かって直径が小さくなる先細り形状を成している。すなわち、軸受け部25の傾斜面25aは、他端側から一端側に向かうにつれて、ステム21の軸線(軸心)L
21に接近するように傾斜している。傾斜面25aは、軸線L
21に沿う断面において、直線状に形成されている。軸受け部25の内周面の傾斜面25aは、ステム21の外周面の傾斜面21aと同じ角度で傾斜している。傾斜面21a,25aは、ステム21の周方向において全周に形成されている。
【0035】
次に、過給機1の動作について説明する。
【0036】
排気ガス流入口8から流入した排気ガスはタービンスクロール流路4aを通過して、タービン翼車6の入口側に供給される。タービン翼車6は供給された排気ガスの圧力を利用して、回転力を発生させ、回転軸14及びコンプレッサ翼車7をタービン翼車6と一体的に回転させる。これにより、コンプレッサ3の吸入口9から吸入した空気を、コンプレッサ翼車7を用いて圧縮する。コンプレッサ翼車7によって圧縮された空気は、ディフューザー流路5a及びコンプレッサスクロール流路5bを通過して吐出口11から排出される。吐出口11から排出された空気は、エンジンに供給される。
【0037】
過給機1の運転中に、過給圧(吐出口11から排出される空気の圧力)が設定圧に達すると、アクチュエータ50が駆動されて、作動ロッド51が押し出される。作動ロッド51による押出し力(駆動力)は、この作動ロッド51に連結されたリンク部材28、ステム21及び揺動片22を介して、弁体23に伝達される。これにより、弁体23は、バイパス通路17の開口部の周縁部から離れるように移動して、ウェイストゲートバルブ20は、開状態となる。このとき、排気ガス流入口8から流入した排気ガスの一部は、バイパス通路17を通過し、タービン翼車6をバイパスする。そのため、タービン翼車6に供給される排気ガスの流量を減少させることができる。
【0038】
一方、過給機1の運転中に、過給圧が設定圧未満になると、作動ロッド51による押出し力が解除されて、作動ロッド51が押し戻される。これにより、リンク部材28は、ステム21を中心として揺動し、ステム21がその軸線L
21回りに回転して、揺動片22が揺動する。そして、弁体23は、バイパス通路17の開口部へ接近し、開口部の周縁部17a,17bに押し当てられて、ウェイストゲートバルブ20は、閉状態となる。すなわち、タービン2において、バイパス通路17による排気ガスのバイパスは行われていない状態となっている。
【0039】
過給機1では、例えば、エンジンからの排気ガスの脈動により、バイパス通路17内の排気ガスも脈動し、閉状態の弁体23が振動するおそれがある。
【0040】
ウェイストゲートバルブ20では、バルブの閉状態において、弁体23の弁部傾斜面23aにバイパス通路17内の排気ガスの圧力が作用する。弁部傾斜面23aは、ステム21の他端側から一端側に向かうにつれて、ステム21の軸線L
21から離れるように傾斜しているので、バイパス通路17内の排気ガスの圧力が作用すると、弁体23をステム21の軸線L
21方向において、他端側から一端側へ向かう力が作用する。この力によって、弁体23、揺動片22及びステム21は、ステム21の軸線L
21方向に沿って移動する。
【0041】
これにより、ステム21が他端側から一端側に移動して、ステム21の外径が大きい方が、軸受け部25の内径が小さい方にずれることになり、ステム21の傾斜面21aは、軸受け部25の傾斜面25aに密着し、ステム21の周方向において連続するように線接触する。そのため、ステム21の径方向における移動が抑制され、ステム21の振動が抑制される。なお、所定の幅を有して接触した場合には、線接触ではなく面接触となる。傾斜面21aと傾斜面25aとの接触面積が増加すると、より効果的にステム21の移動が抑制され、ステム21の振動が抑制される。
【0042】
弁部傾斜面23aは、バイパス通路17の開口部に対応する全域に形成されているので、バイパス通路17の開口部の内部のガスの圧力を確実に受けることができ、ステム21を好適に軸線L
21方向にずらすことができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に図7を参照して、第2実施形態のウェイストゲートバルブ20について説明する。第2実施形態が第1実施形態と違う点は、バイパス通路17Bが延在する方向が異なっている点である。第2実施形態では、バイパス通路17Bの開口部はステム21の軸線L
21及び弁体23のバルブ軸26の軸線L
26に交差する方向に延在している。なお、バイパス通路17の開口部の周縁部17a,17bは、第1実施形態と同様に、ステム21の軸線L
21と平行に形成されている。
【0044】
このような第2実施形態のウェイストゲートバルブ20を備えた過給機においても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0045】
(第3実施形態)
次に図8を参照して、第3実施形態のウェイストゲートバルブ20Bについて説明する。第3実施形態のウェイストゲートバルブ20Bが第1実施形態のウェイストゲートバルブ20と違う点は、弁体23Bの弁部傾斜面23dの形状が異なる点である。また、第3実施形態では、バイパス通路17の開口部の周縁部17cの位置は、バルブ軸26の周方向の全周において、軸線L
21から同じ距離に形成されている。
【0046】
弁体23Bの弁部傾斜面23dは、ステム21の軸線L
21方向において、バイパス通路17の開口部に対応する領域の一部分に形成されている。具体的には、弁部傾斜面23dは、軸線L
21方向において、一端側の部分にのみ形成されている。弁部傾斜面23dが形成されていない部分は、例えばステム21の軸線L
21に平行な面を形成している。
【0047】
弁部傾斜面23dが形成されている領域は、揺動片22が延在する方向(軸線L
21及び軸線L
26に直交する方向)において、同一でもよく、異なっていてもよい。例えば、弁部傾斜面23dは、軸線L
26周りに形成されて、円錐状に沿うように形成されていてもよい。弁体23Bの周縁部が、バイパス通路17の開口部の周縁部17cに当接している状態において、弁部傾斜面23dは、開口部の内部に進入して配置されていてもよい。なお、図8では、バルブ軸26の軸線L
26を通りステム21Bの軸線L
21に平行な面で切った断面が示されている。
【0048】
このような第3実施形態のウェイストゲートバルブ20Bにおいても、弁体23Bの弁部傾斜面23dに、排気ガスの圧力を作用させて、ステム21をその一端側に移動させることができる。これにより、ステム21の傾斜面21aが、ステム21の周方向に連続して、軸受け部25の内周面の傾斜面25aに線接触する。そのため、ステム21は、その径方向における移動が抑制されるので、ステム21の振動が抑制される。ウェイストゲートバルブ20Bでは、バイパス通路17の開口部に対応する領域の一部分に弁部傾斜面23dが形成されている。これにより、簡素な構成でもステム21の振動を好適に抑制することができる。
【0049】
(第4実施形態)
次に図9を参照して、第4実施形態のウェイストゲートバルブ20Cについて説明する。第4実施形態のウェイストゲートバルブ20Cが、第1実施形態のウェイストゲートバルブ20と違う点は、ステム21Bの外周面の傾斜面21eの配置が異なる点、軸受け部25の内周面の傾斜面25bの配置が異なる点である。
【0050】
ウェイストゲートバルブ20Cのステム21Bは、図9に示されるように、軸受け部25に支持されている領域において、円柱部(平行な面21f)及び円錐部(傾斜面21e)を備えている。円柱部及び円錐部は、軸線L
21方向において隣接し、一端側に円柱部が配置され、他端側に円錐部が配置されている。円柱部の外周面は、ステム21Bの軸線L
21に平行な面21fを形成し、円錐部の外周面は、ステム21Bの軸線L
21に対して傾斜する傾斜面21eを形成する。傾斜面21eは、ステム21Bの軸線L
21において、他端側から一端側に向かうにつれて、軸線L
21に接近するように傾斜している。ステム21Bでは、軸受け部25に支持されている領域において、他端側の部分のみに傾斜面21eが形成されている。
【0051】
ウェイストゲートバルブ20Cの軸受け部25の開口の内周面は、軸線L
21に平行な面25cと、軸線L
21に対して傾斜する傾斜面25bとを含む。平行な面25cは、ステム21Bの円柱部の外周面に対向する面であり、傾斜面25bは、ステム21Bの円錐部の外周面に対向する面である。
【0052】
このような第4実施形態のウェイストゲートバルブ20Cにおいても、弁部傾斜面23aにバイパス通路17内の排気ガスの圧力が作用して、ステム21Bが軸線L
21方向に他端側から一端側に移動する。これにより、ステム21Bの傾斜面21eが一端側に移動して、ステム21Bの外径が大きい部分が、軸受け部25の傾斜面25bの内径が小さい方に移動する。そのため、ステム21Bの傾斜面21eと軸受け部25の傾斜面25bとを、ステム21Bの周方向において連続して接触させることができる。すなわち、ステム21Bの周方向において線接触させて、ステム21Bの径方向の移動を抑えて、ステム21Bの振動を抑制することができる。
【0053】
ステム21Bでは、軸受け部25によって支持されている領域において、一端側よりも他端側の方が、径方向の力が大きく作用する。そのため、他端側の部分において、傾斜面21e,25b同士を接触させることで、ステム21Bの径方向の移動を拘束して、ステム21Bの振動を好適に抑制することができる。
【0054】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0055】
例えば、ステム21の一端側を屈曲させることで、弁体23のバイパス通路17に対面する面を、ステム21の回転中心線に対して傾斜させてもよい。バイパス通路17の開口部の周縁部は、ステム21の軸線L
21に対して平行な面に限定されず、軸線L
21に対して傾斜する面でもよい。
【0056】
ステム21の傾斜面は、ステム21の軸線L
21方向において、軸受け部25に支持されている領域のうち、一端側の一部分のみに形成されていてもよい。
【0057】
ステム21の傾斜面と軸受け部25の傾斜面との接触は、ステム21の周方向の全周において接触するものに限定されず、ステム21の周方向において部分的に接触するものでもよい。例えば、軸受け部25の傾斜面に、部分的に凹部が形成されている構成でもよく、ステム21の傾斜面に、部分的に凹部が形成されている構成でもよい。
【0058】
実施形態では、ウェイストゲートバルブ20が採用された過給機1を車両用として例示しているが、過給機は車両用に限定されず、船舶用のエンジンに用いられてもよく、その他のエンジンに用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示のいくつかの態様によれば、ステムの径方向の移動を抑えて、ステムの振動を抑制することが可能な流量可変バルブ機構及び過給機を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 過給機
2 タービン
3 コンプレッサ
4 タービンハウジング
17 バイパス通路
20、20B、20C ウェイストゲートバルブ
21、21B ステム
21a、21e ステムの傾斜面(第1傾斜面)
23 弁体(弁部)
23a、23d 弁部傾斜面
25 軸受け部
25a、25b 軸受け部の傾斜面(第2傾斜面)
L
21 ステムの軸線(軸心)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】