(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年1月5日
【発行日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】磁気記録媒体
(51)【国際特許分類】
G11B 5/66 20060101AFI20171027BHJP
H01F 1/047 20060101ALI20171027BHJP
【FI】
G11B5/66
H01F1/047
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2017-526175(P2017-526175)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】特願2015-133885(P2015-133885)
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】由沢 剛
(72)【発明者】
【氏名】菊池 洋人
(72)【発明者】
【氏名】島津 武仁
【テーマコード(参考)】
5D006
5E040
【Fターム(参考)】
5D006BB01
5D006BB07
5D006BB08
5D006FA04
5D006FA09
5E040AA11
5E040AA19
5E040BD05
5E040CA06
(57)【要約】
本発明は、記録温度の低減を実現できる磁気記録媒体を提供することを目的とする。磁気記録媒体は、基板と、第1磁性層及び第2磁性層を含む磁気記録層とを含み、前記第2磁性層は、FePtRh規則合金を含み、前記第1磁性層は、その室温におけるKuが、第2磁性層の室温におけるKuよりも大きいことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1磁性層及び第2磁性層を含む磁気記録層とを含む磁気記録媒体であって、
前記第2磁性層は、FePtRh規則合金を含み、
前記第1磁性層は、その室温における磁気異方性定数(Ku)が、第2磁性層の室温におけるKuよりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記第1磁性層及び前記第2磁性層は、基板側に第1磁性層が形成され、第1磁性層の上層に第2磁性層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記第1磁性層は、FePt規則合金を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記第1磁性層及び第2磁性層は、磁性結晶粒と、該磁性結晶粒を取り囲む非磁性結晶粒界とを含むグラニュラー構造を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気記録媒体に関する。具体的には、ハードディスク磁気記録装置(HDD)に使用される磁気記録媒体
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録の高密度化の要請が著しい。磁気記録の高密度化を実現する技術として、垂直磁気記録方式が採用されている。垂直磁気記録媒体は、非磁性基板と、硬質磁性材料から形成される磁気記録層を少なくとも含む。垂直磁気記録媒体は、任意選択的に、軟磁性材料から形成されて、磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層に集中させる役割を担う軟磁性裏打ち層、磁気記録層の硬質磁性材料を目的の方向に配向させるための下地層、磁気記録層の表面を保護する保護膜などをさらに含むことができる。
【0003】
磁気記録の高密度化のためには、高い熱安定性が必要であり、FePtなどの高い磁気異方性を有する材料で構成された磁気記録層が提案されている。しかしながら、FePtは、室温での保磁力が高く、通常の記録ヘッドでは磁場が足りず記録を行うことができない。そこで熱アシスト磁気記録方式が提案されている。
【0004】
熱アシスト磁気記録方式は、磁気記録層にレーザ等を照射して加熱することで保磁力を低下させ、その状態で記録用の磁場を印加して磁化を反転させる記録方式である。熱アシスト磁気記録方式では磁性材料のキュリー温度近傍まで加熱して記録する。例えば、FePtのキュリー温度(Tc)は720K程度であることが知られている。
【0005】
一方、高温での記録は、磁気記録層を保護するためのカーボン保護膜や保護膜上の潤滑剤の劣化をもたらし、記録ヘッド自体の劣化の原因ともなるため、磁気記録装置の信頼性が大きく低下する要因となる。そのため、できるだけ低温で記録を行うことが望まれる。
【0006】
特許文献1には、複数の磁性層を設け、それぞれの磁性層において異なる磁気異方性定数(Ku)とTcを設定することで、KuとTcとの相関を緩和する提案がなされている。具体的には、特許文献1の提案は、磁気記録層が、キュリー温度Tc1を有する第1磁性層とキュリー温度Tc2を有する第2磁性層を含み、Tc1>Tc2の関係を満たすようにする。これにより、Tc2よりも高い温度に磁気記録層を加熱した場合、第1磁性層と第2磁性層の交換結合が解消され、第1磁性層への記録が可能となる、というものである。
【0007】
また、特許文献1ではTcを低下させるためFePtにCu等を添加することを提案している。
【0008】
特許文献2は、非磁性基板上の堆積された磁気記録層が、面内方向について、互いに反磁性領域で分離された複数の強磁性領域を含む磁気記録媒体を開示している。引用文献2では、強磁性領域及び反磁性領域にFePtRhを主成分とした合金を使用し、高密度化及び磁気ビット間の磁気分離が可能であり、表面の劣化を抑制することができることが開示されているが、引用文献2の媒体はパターンド媒体であり、且つ磁気記録時の記録温度の低下についての提案はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−059461号公報
【特許文献2】特開2009−151899号公報
【特許文献3】特開2015−040244号公報
【特許文献4】特開2010−003408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に開示されているようなCuを添加したFePtであっても、そのTcは比較的高い。例えば、Cuを10at%添加したものでTcは650Kである。従って、磁気記録媒体におけるさらなる記録温度の低減が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
磁気記録媒体は、基板と、第1磁性層及び第2磁性層を含む磁気記録層とを含み、前記第2磁性層はFePtRh規則合金を含み、前記第1磁性層は、その室温におけるKuが第2磁性層の室温におけるKuよりも大きい。
【0012】
磁気記録媒体は、基板側に第1磁性層が形成され、第1磁性層の上層に第2磁性層が形成されていることが好ましい。
【0013】
磁気記録媒体は、前記第1磁性層がFePt規則合金を含むことが好ましい。
【0014】
磁気記録媒体では、前記第1磁性層及び第2磁性層が、磁性結晶粒と、該磁性結晶粒を取り囲む非磁性結晶粒界とを含むグラニュラー構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
磁気記録媒体は、従来と同等の熱安定性を維持しつつ、記録温度及び記録磁場を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、磁気記録媒体の1つの構成例を示す断面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aで示した磁気記録媒体の磁気記録層を拡大して示した断面図である。
【図2A】図2Aは、磁気記録媒体の磁性層にFePt規則合金を用い、これにRhを添加した場合の状態を説明するための概略図であり、FePtRh規則合金の状態を示す概略図である。
【図2B】図2Bは、磁気記録媒体の磁性層にFePt規則合金を用いた場合の状態を説明するための概略図であり、FePt規則合金の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
磁気記録媒体は、基板と、第1磁性層及び第2磁性層を含む磁気記録層とを含み、前記第2磁性層はFePtRh規則合金を含み、前記第1磁性層は、その室温におけるKuが第2磁性層の室温におけるKuよりも大きいことを特徴とする。この磁気記録媒体は、基板と磁気記録層との間に、密着層、軟磁性裏打ち層、ヒートシンク層、下地層及び/又はシード層のような当該技術において知られている層をさらに含んでもよい。加えて、この磁気記録媒体は、磁気記録層の上に、保護層及び/又は液体潤滑剤層のような当該技術において知られている層をさらに含んでもよい。磁気記録媒体の一例として、基板と、第1磁性層及び上層を含む磁気記録層と、保護層を含む構成を挙げることができる。また、図1Aに、基板10、密着層20、下地層30、シード層40、磁気記録層50、及び保護層60を含む磁気記録媒体の1つの構成例を示す。磁気記録媒体の磁気記録層50は、図1Bに示すように、第1磁性層52及び第2磁性層54を含む。本明細書において、FePtRh、FePt、FePt−Cなどの、元素により表された合金又は材料の表記は、単に当該元素を構成要素として有することを意味し、当該元素間の組成を規定しない。従って、例えばFePtRhとの記載は、当該規則合金の構成元素がFe、Pt及びRhであることを示すのみであり、これらの構成元素の比が1:1:1であることを意味しない。また、本明細書において、「FePtRhからなる(consisting of)」、「FePtからなる(consisting of)」、「FePt−Cからなる(consisting of)」などの用語は、表記された元素を構成要素として有することを意味し、構成要素である元素間の比率を規定しない。従って、例えば「FePtRhからなる」とは、この材料が、Fe、Pt及びRhの元素のみで構成されることを意味し、これらの元素の比が1:1:1であることを意味しない。本明細書において、元素の割合を化学式によって示す場合は、例えば「60vol%Fe
50Pt
50−40vol%C」、などのように規則合金と非磁性粒界材料の間の組成を体積%で表し、「Fe
50Pt
50」、「Fe
48Pt
42Rh
10」などは、規則合金の組成を原子%(at%)で表す。
【0018】
基板10は、表面が平滑である様々な基板であってもよい。例えば、磁気記録媒体に一般的に用いられる材料を用いて、基板10を形成することができる。用いることができる材料は、NiPメッキを施したAl合金、MgO単結晶、MgAl
2O
4、SrTiO
3、強化ガラス、結晶化ガラス等を含む。
【0019】
任意選択的に設けてもよい密着層20は、密着層20の上に形成される層と密着層20の下に形成される層との密着性を高めるために用いられる。密着層20の下に形成される層としては基板10を含む。密着層20を形成するための材料はNi、W、Ta、Cr、Ruなどの金属、前述の金属を含む合金を含む。密着層20は、単一の層であってもよいし、複数の層の積層構造を有してもよい。
【0020】
任意選択的に設けてもよい軟磁性裏打ち層(不図示)は、磁気ヘッドからの磁束を制御して、磁気記録媒体の記録及び再生の特性を向上させる。軟磁性裏打ち層を形成するための材料は、(i)NiFe合金、センダスト(FeSiAl)合金、CoFe合金などの結晶質材料、(ii)FeTaC,CoFeNi,CoNiPなどの微結晶質材料、又は(iii)CoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質材料を含む。軟磁性裏打ち層の膜厚の最適値は、磁気記録に用いる磁気ヘッドの構造及び特性に依存する。他の層と連続成膜で軟磁性裏打ち層を形成する場合、生産性との兼ね合いから、軟磁性裏打ち層が10nm〜500nmの範囲内(両端を含む)の膜厚を有することが好ましい。
【0021】
本発明の磁気記録媒体を熱アシスト磁気記録方式において使用する場合、ヒートシンク層(不図示)を設けてもよい。ヒートシンク層は、熱アシスト磁気記録時に発生する磁気記録層50の余分な熱を効果的に吸収するための層である。ヒートシンク層は、熱伝導率及び比熱容量が高い材料を用いて形成することができる。そのような材料は、Cu単体、Ag単体、Au単体、又はそれらを主体とする合金材料を含む。ここで、「主体とする」とは、当該材料の含有量が50wt%以上であることを指す。また、強度などの観点から、Al−Si合金、Cu−B合金などを用いて、ヒートシンク層を形成することができる。さらに、センダスト(FeSiAl)合金、軟磁性のCoFe合金などを用いてヒートシンク層を形成することができる。軟磁性材料を用いることによって、ヘッドの発生する垂直方向の磁界を磁気記録層50に集中させる機能をヒートシンク層に付与し、軟磁性裏打ち層の機能を補完することもできる。ヒートシンク層の膜厚の最適値は、熱アシスト磁気記録時の熱量及び熱分布、ならびに磁気記録媒体の各層の構成及び各層の厚さによって変化する。ヒートシンク層を他の層と連続成膜で形成する場合などは、生産性との兼ね合いから、ヒートシンク層の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。ヒートシンク層は、スパッタ法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。通常の場合、ヒートシンク層は、スパッタ法を用いて形成される。ヒートシンク層は、磁気記録媒体に求められる特性を考慮して、基板10と密着層20との間、密着層20と下地層30との間などに設けることができる。
【0022】
下地層30は、上方に形成されるシード層40の結晶性及び/又は結晶配向を制御するための層である。下地層30は単層であっても多層であってもよい。下地層30は、非磁性であることが好ましい。下地層30の形成に用いられる非磁性材料は、(i)Pt金属、Cr金属などの単金属、又は(ii)主成分であるCrにMo、W、Ti、V、Mn、Ta、及びZrからなる群から選択される少なくとも1種の金属が添加された合金を含む。下地層30は、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
【0023】
シード層40の機能は、上層である磁気記録層50中の磁性結晶粒の粒径及び結晶配向を制御することである。シード層40に、シード層40の下にある層と磁気記録層50との間の密着性を確保する機能を持たせてもよい。また、シード層40と磁気記録層50の間に中間層等の他の層を配置してもよい。中間層等を配置する場合は、中間層等の結晶粒の粒径及び結晶配向を制御することにより磁気記録層50の磁性結晶粒の粒径及び結晶配向を制御する。シード層40は非磁性であることが好ましい。シード層40の材料は、磁気記録層50の材料に合わせて適宜選択される。より具体的には、シード層40の材料は、磁気記録層の磁性結晶粒の材料に合わせて選択される。例えば、磁気記録層50の磁性結晶粒がL1
0型規則合金で形成される場合、NaCl型の化合物を用いてシード層40を形成することが好ましい。特に好ましくは、MgO、SrTiO
3などの酸化物、又はTiNなどの窒化物を用いてシード層40を形成することができる。また、の材料を含む複数の層を積層して、シード層40を形成することもできる。磁気記録層50の磁性結晶粒の結晶性の向上、及び生産性の向上の観点から、シード層40は、1nm〜60nm、好ましくは1nm〜20nmの膜厚を有することが好ましい。シード層40は、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
【0024】
磁気記録層50は第1磁性層52及び第2磁性層54を含む。
【0025】
第1磁性層52は、規則合金を構成する元素と、任意選択的に第3元素を含む。第1磁性層は、第2磁性層54よりも室温におけるKuが高い。
【0026】
規則合金は、Fe及びCoからなる群から選択される少なくとも1つの元素と、Pt、Pd、Au及びIrからなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含むことができる。好ましい規則合金は、FePt、CoPt、FePd、及びCoPdからなる群から選択される。規則合金はL1
0型規則合金であることも好ましい。好ましい規則合金はFePtであり、特に好ましい規則合金は、L1
0型FePtである。第1磁性層は、第3元素として、Cu、Ag、Au、Ni、Mn、Cr等から選択される少なくとも1種の元素をさらに含んでもよい。これらの第3元素は、第1磁性層の特性変調を実現するためのものであり、特性変調には規則合金の規則化に必要な温度の低下を含む。あるいは、第1磁性層を構成する規則合金をFePtRhとすることができる。この場合には、Rhの比率を第2磁性層よりも低くする。
【0027】
第1磁性層52を、FePtを用いて形成する場合、FeとPtの比はFe:Pt=40:60〜60:40であることが好ましい。また、第3元素の量は、規則合金を構成する全原子を基準として3〜15原子%とすることが好ましい。
【0028】
第1磁性層は、規則合金の構成元素及び任意選択的な第3元素を、スパッタ法を用いて堆積させることにより形成できる。
【0029】
本明細書における「スパッタする」とは、高エネルギーイオンの衝突によりターゲットから原子、クラスター又はイオンを射出させる段階のみを意味し、射出された原子、クラスター又はイオンに含まれる元素の全てが被成膜基板上に固定されることを意味しない。言い換えると、本明細書における「スパッタする」工程で得られる薄膜は、被成膜基板に到達した元素を必ずしも到達量の比で含有しない。第1磁性層52の形成において、規則合金の各構成元素と、必要に応じた第3元素とを、全て別々のターゲットを用いることができる。あるいはまた、規則合金の構成元素を含むターゲットと、必要に応じた第3元素のターゲットを用いてもよい。更に、第3元素を必須とする場合は、規則合金の構成元素と第3元素を全て含むターゲットを用いることもできる。いずれの場合においても、それぞれのターゲットに印加する電力を調整して磁性結晶粒及び非磁性結晶粒界の構成比率を制御することができる。
【0030】
第1磁性層52を形成する際に基板を加熱する。この加熱の際の基板温度は、300℃〜450℃の範囲内である。この範囲内の基板温度を採用することによって、第1磁性層52中の規則合金の規則度を向上させることができる。
【0031】
また、第1磁性層52は、1〜10nm、好ましくは2〜4nmの膜厚を有する。
【0032】
磁気記録層50の第2磁性層54は、規則合金としてFePtRhを含む。第2磁性層54は、上述の第3元素を、任意選択的にさらに含むことができる。第2磁性層54の形成は、Rhターゲットを用いることを除いて、第1磁性層52と同様のターゲットを用いることができる。また、第2磁性層54は、第1磁性層と同様の条件を用いて形成される。
【0033】
第2磁性層54の形成において、Rhの量は、規則合金を構成する全原子を基準として5〜25原子%であることが好ましい。また、規則合金内のFePtの割合は、Fe:Pt=40:60〜60:40であることが好ましい。更に、第3元素が存在する場合には、その量は、規則合金を構成する全原子を基準として3〜15原子%であることが好ましい。
【0034】
また、第2磁性層54は、3〜10nm、好ましくは4〜6nmの膜厚を有する。
【0035】
理論に拘束されるものではないが、図2A及び図2Bを参照して、第2磁性層へのRhの添加について説明する。
【0036】
磁気記録媒体の磁気記録層において、強磁性層間に、Rh、Cu、Crなどの非磁性遷移金属で構成される薄い結合層を挟むことで、隣接する磁性層が反強磁性交換結合することはよく知られている。反強磁性結合エネルギーは、元素の種類、挟む層の構成などによって変化する。上述の元素を用いた結合層について反強磁性交換結合エネルギーの最大値を比較すると、結合層にRhを用いた場合の反強磁性交換結合エネルギーが特に大きい。また、Rhは、薄い膜厚から前述の効果を発揮できることが知られている。加えて、本発明者らの実験によれば、FePt等の規則合金に対してRhを添加することで、Cu等の他の元素を添加する場合に比べて、層のKuが同じである場合、層の飽和磁化Msが小さくなることが判明した。これらの点を総合して考慮すれば、添加したRhを介してスピンの向きが反対のカップルが生じる反強磁性結合に類似した現象が、層内で生じているものと推察される。本発明では、第2磁性層において、規則合金FePtRhは強磁性材料であるが、例えば図2Aに示すように、Rhの周辺で局部的に反強磁性的な性質を有する領域がもたらされ、Rh原子を挟んでFe原子が反対の向きのスピンを有するようにカップルを形成すると考えられる。この結果、磁気特性の修飾が行われているものと考えられる。これは、図2Bに示した、Rhを添加していない規則合金であるFePtとは異なる特徴であると考えられる。このように、規則合金内部の一部において、添加したRhを介した反強磁性的な結合が生じることにより、比較的低温で全体のスピンの乱れを生じさせやすくなり、Tcを低下させ、且つ磁気特性の温度に対する勾配が大きくなるという急峻な温度特性が得られているものと考えられる。
【0037】
急峻な温度特性が得られることにより、記録する温度領域でKuを大きく低減することが可能となるため反転磁界が低下して記録が容易となる。一方で、記録を保持する温度領域は一般的には室温であるが、Rhの添加は室温でのKuの低下をもたらす。この結果、Rhの添加は、記録を保持する温度領域での熱安定性の低下をもたらす。従って、第1磁性層を積層するのは熱安定性の確保を目的とするものである。即ち、Rhを添加した第2磁性層に比較して室温でのKuが大きな第1磁性層を積層することで、室温での熱安定性を確保することが可能となる。
【0038】
本発明では、磁気記録層50が、のような第1磁性層52と第2磁性層54の積層構造をとることで、記録温度がより低温になり、低磁場での磁化反転が可能となり、且つ、記録を保持する温度での熱安定性が確保できる。
【0039】
磁気記録層50では、第1磁性層を基板側に形成し、第2磁性層を磁気記録媒体の外層側に形成してよく、或いは、この逆の構成でもよい。
【0040】
磁気記録層50は、第1磁性層及び第2磁性層共に、磁性結晶粒と、磁性結晶粒を取り囲む非磁性結晶粒界とを含むグラニュラー構造を有していてもよい。磁性結晶粒は、前述の規則合金を含むことができる。非磁性結晶粒界は、SiO
2、TiO
2、ZnOなどの酸化物;SiN、TiNなどの窒化物;炭素(C);及びホウ素(B)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。例えば、非磁性結晶粒界は、炭素(C)及びホウ素(B)の混合物を含んでもよい。本発明では、第1磁性層が、規則合金としてFePtからなり、非磁性結晶粒界が炭素(C)からなるFePt−Cからなる層を含む層であることが好ましい。磁気記録媒体では、磁性結晶粒と、非磁性結晶粒界の材料の含有量は、磁性結晶粒:50〜90vol%、非磁性結晶粒界の材料:10〜50vol%であることが好ましい。
【0041】
磁気記録層50は、第1磁性層52及び第2磁性層54に加えて、1つ又は複数の追加の磁性層をさらに含んでもよい。1つ又は複数の追加の磁性層のそれぞれは、グラニュラー構造又は非グラニュラー構造のいずれを有してもよい。例えば、第1磁性層52及び第2磁性層54を含む積層構造と、追加の磁性層とで、Ruなどの結合層を挟んで積層したECC(Exchange−coupled Composite)構造を形成してもよい。あるいはまた、連続層として、グラニュラー構造を含まない磁性層を、第1磁性層52及び第2磁性層54を含む積層構造の上部に設けてもよい。連続層は、いわゆるCAP層を含む。第1磁性層の膜厚は1nm以上、10nm以下、好ましくは1.5nm以上、4nm以下である。第2磁性層の膜厚は1nm以上、20nm以下、好ましくは1.5nm以上、10nm以下である。
【0042】
保護層60は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されている材料を用いて形成することができる。具体的には、Ptなどの非磁性金属、ダイアモンドライクカーボンなどのカーボン系材料、あるいは窒化シリコンなどのシリコン系材料を用いて、保護層60を形成することができる。また、保護層60は、単層であってもよく、積層構造を有してもよい。積層構造の保護層60は、例えば、特性の異なる2種のカーボン系材料の積層構造、金属とカーボン系材料との積層構造、又は金属酸化物膜とカーボン系材料との積層構造であってもよい。保護層60は、CVD法、スパッタ法(DCマグネトロンスパッタリング法などを含む)、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
【0043】
また、任意選択的に、本発明の磁気記録媒体は、保護層60の上に液体潤滑剤層(不図示)をさらに設けてもよい。液体潤滑剤層は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されている材料を用いて形成することができる。液体潤滑剤層の材料は、例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤などを含む。液体潤滑剤層は、例えば、ディップコート法、スピンコート法などの塗布法を用いて形成することができる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例により、本発明を説明するが、以下の実施例は本発明を限定することを意図するものではない。
【0045】
(実施例1)
本実施例では、基板と、第1磁性層及び第2磁性層からなる磁気記録層を含む磁気記録媒体に対して、磁化反転に必要な磁場強度(反転磁界)と、室温での熱安定性を評価した。2層媒体の反転磁界、及び熱安定性には、各層のMs,Hk,交換結合定数、容易軸分散等が関わり、さらに熱アシスト媒体の場合には、それらの温度依存性が加わるため、解析的な計算により見積もることは難しい。そのため、マイクロマグネティックシミュレーションを使用した。なお、反転磁界は、書き込み性を示す物理量でもある。
【0046】
評価した磁気記録媒体は、第1磁性層にFePt(2nm)、第2磁性層にFePtX(5nm)(X=Rh又はCu)を積層した膜構成で、記録温度を450Kとした時の、磁化反転に必要な磁場強度と、室温での熱安定性を計算した。シミュレーションにおいて、磁性粒子は7nm径の柱状を仮定した。
【0047】
マイクロマグネティックシミュレーションは、磁性体の磁化状態を求める数値計算手法の一つであり、解析領域を微小な計算セルに分割し、各セル内の複数の原子スピンによる磁気モーメントを、大きさが一定で方向のみが変化する一つのマクロな磁気モーメントにより代表させることを特徴とする。
【0048】
マイクロマグネティックシミュレーションでは、磁気モーメントの時間発展を求めるために、通常Landau-Lifshitz-Gilbert(LLG)方程式と呼ばれる磁気モーメントの歳差運動と制動運動を表した微分方程式が用いられる。
【0049】
本シミュレーションでは、磁性粒子を7nm角の四角柱とし、これを縦及び横にそれぞれ16個並べ、合計256個の磁性粒子により磁気記録層を構成した。そして解析領域全体を縦、横及び高さが7nm×7nm×2nmの直方体セルで離散化した。また、磁気エネルギーとして、静磁界エネルギー、交換エネルギー、異方性エネルギー、ゼーマンエネルギー、及び熱エネルギーを考慮した。
【0050】
第1層と第2層の磁気特性は表1に示す通りであった。各層は以下の手順で各々成膜し、磁気特性を評価した。
【0051】
平滑な表面を有する化学強化ガラス基板(HOYA社製N−10ガラス基板)を洗浄し、基板10を準備した。洗浄後の基板10を、インライン式のスパッタ装置内に導入した。圧力0.5PaのArガス中で純Taターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚5nmのTa密着層20を形成した。Ta密着層形成時の基板温度は室温(25℃)であった。Ta密着層形成時のスパッタ電力は100Wであった。
【0052】
次に、圧力0.5PaのArガス中で純Crターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚20nmのCr下地層30を得た。Cr下地層30形成時の基板温度は室温(25℃)であった。Cr下地層30形成時のスパッタ電力は300Wであった。
【0053】
次に、圧力0.1PaのArガス中でMgOターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法により膜厚5nmのMgOシード層40を形成した。MgOシード層40形成時の基板温度は、室温(25℃)であった。MgOシード層40形成時のスパッタ電力は200Wであった。
【0054】
次に、MgOシード層40を形成した積層体を430℃に加熱し、圧力1.5PaのArガス中でFePtターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により、FePtからなるFePt層を形成した。FePt層の膜厚は10nmであった。FePt層形成時のターゲットに印加した電力は、300W(FePt)であった。FePtからなる層の各元素の含有量を第1表に記載した。
【0055】
FePtRhからなる層は、MgOシード層40を形成した積層体を430℃に加熱し、圧力1.5PaのArガス中でFePtターゲットと、Rhターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により成膜した。FePtRhの組成は、Fe
48Pt
42Rh
10であった。FePtRhからなる層を形成する時の各ターゲットに印加した電力は、300W(FePt)及び130W(Rh)であった。膜厚は10nmであった。また、FePtCuからなる層は、FePtRhからなる層の形成と同様にして、FePtターゲットとCuターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により成膜した。FePtCuの組成はFe
48Pt
42Cu
10であった。FePtCuからなる層を形成する時の各ターゲットに印加した電力は、それぞれ、300W(FePt)及び80W(Cu)であった。膜厚は10nmであった。以上の手順で、磁気記録層を形成した。FePtRhからなる層、及び、FePtCuからなる層の各元素の含有量を第1表に記載した。
【0056】
最後に、圧力0.5PaのArガス中でPtターゲットを用いたDCスパッタ法により膜厚5nmのPt保護層60を形成して、磁気記録媒体を得た。保護層形成時の基板温度は、室温(25℃)であった。Pt保護層60の形成時のスパッタ電力は50Wであった。
【0057】
振動試料型磁力計(VSM)を用いて、得られた磁気記録媒体の飽和磁化Msを測定した。また、得られた磁気記録媒体を室温(RT:298K(25℃))及び450Kに加熱して、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、室温及び450Kにおける飽和磁化Ms(T)を測定した。また、室温及び450Kの温度を含む複数の測定温度Tと飽和磁化の二乗Ms
2(T)をプロットし、最小二乗法により回帰直線を得た。得られた回帰直線をMs
2=0の点まで外挿し、キュリー温度Tcを求めた。結果を第1表に示す。
【0058】
さらに、異常ホール効果を用いて、得られた磁気記録層50の磁気異方性定数Kuを求めた。具体的には、室温(RT)において、7Tの外部磁場の下で磁気トルク曲線を測定し、得られたトルク曲線のフィッティングにより、室温における磁気異方性定数Ku(RT)を算出した。略語「RT」は、室温(298K(25℃))を意味する。
【0059】
続いて、式(1)を用いて、室温及び温度450Kにおける磁気異方性定数Ku(T)を求めた。
【0060】
Ku(T)=Ku(RT)×[Tc−T]/[Tc−RT] (1)
【0061】
さらに、式(2)を用いて、室温及び温度450Kにおける飽和磁化Ms(T)及び磁気異方性定数Ku(T)から、室温及び450Kにおける異方性磁界Hk(T)を求めた。
【0062】
Hk(T)=2×Ku(T)/Ms(T) (2)
【0063】
【表1】
【0064】
シミュレーションの結果は、表2の通りとなった。なお、FePt(7nm)単層膜も比較のため計算した。熱安定性は、以下の式より求めることができる。
【0065】
熱安定性=Ku・V/kT
但し、Ku:磁気異方性定数
V: 磁性微粒子1個の体積
k: ボルツマン定数
T: 絶対温度
【0066】
【表2】
【0067】
結果として、FePtRh/FePt積層膜の条件で反転磁界が17KOeとなり、磁気ヘッドで記録可能な値となった。FePtCu/FePt及びFePt単層膜においては、反転磁界が20kOeを超えており、磁気ヘッドでの書込みは不可である。記録温度450Kでは、FePtRh/FePtの構成のみで、記録可能であることが分かった。
【0068】
また、室温(300K)における熱安定性を比較した結果、FePtRh/FePt、FePtCu/FePtで同等となった。
【0069】
なお、シミュレーションにおいて、記録温度を450Kとする理由は、一般的に用いられる潤滑剤の熱分解温度が450K程度であるため(特許文献3参照:P.16 表1、Z−dol)である。
【0070】
また、評価において、反転磁界が20kOe以下を好ましい値とした。その理由は、一般的に、現状の記録磁界として使われている値が、18kOe〜20kOe程度(特許文献4参照:段落0034、0046など)であるためである。また、記録ヘッドの磁極として用いられる高Bs材料がすでに物理的限界であり、現時点で、現状以上の記録磁界の増加は見込めないためでもある。
【0071】
第1磁性層を高いKuを有する層(例えばFePt、第2磁性層よりも低Rh濃度のFePtRh)とすることで、全体としてのKuを維持することができる。
【0072】
記録ヘッドの磁界は20kOe程度が限界といわれている。磁気記録媒体の構成で、より低温で、反転磁界を磁気ヘッドで出すことが可能な20kOe以下にすることができる。
【0073】
以上の結果より、Rh添加はCu添加に比べ、熱安定は同等で、記録温度及び記録磁場を低減する効果があることが分かる。
【0074】
本明細書において、磁気記録層の層構成を「/」を用いて記述することがある。この表記において、「/」の左側は第2磁性層を表し、「/」の右側は第1磁性層を表す。従って、例えば「FePtRh/FePt」と表した場合、第1磁性層はFePtからなる層であり、第2磁性層はFePtRhからなる層であることを意味する。
【0075】
(実施例2)及び(比較例)
本実施例は、第1磁性層にFePt−C(2nm)を成膜し、第2磁性層にFePt−Rh(3nm)、又は、FePt(3nm)を成膜した磁気記録媒体を作成し、室温(RT)での飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)と、450Kでの保磁力(Hc)及び300Kでの熱安定性を測定した。
【0076】
実施例1と同様にして、ガラス基板(HOYA社製N−10ガラス基板)を準備し、膜厚5nmのTa密着層20、膜厚20nmのCr下地層30、及び、膜厚5nmのMgOシード層40を形成した。
【0077】
<第1磁性層の成膜>
次に、MgOシード層40を形成した積層体を450℃に加熱し、圧力1.5PaのArガス中でFePt−Cターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により、60vol%Fe
50Pt
50−40vol%CからなるFePt−C層を形成した。FePt−C層の膜厚は2nmであった。FePt−C層を形成する時のターゲットに印加した電力は、300Wであった。FePt−Cからなる層の各元素の含有量を第3表に記載した。FePt−C層は、FePtと磁性結晶粒とし、C(カーボン)を非磁性粒界材料とするグラニュラー構造を有している。
【0078】
<第2磁性層の成膜>
第2磁性層として、FePtRhからなる層(実施例2)またはFePtからなる層(比較例)を形成した。FePtRhからなる層は、MgOシード層40を形成した積層体を450℃に加熱し、圧力1.5PaのArガス中でFePtRhターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により、成膜した。FePtRhからなる層を形成する時のターゲットに印加した電力は、300Wであった。また、FePtからなる層は、FePtRhからなる層と同様にして、FePtターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により成膜した。FePtからなる層を形成する時のターゲットに印加した電力は、300Wであった。FePtRhからなる層及びFePtからなる層の膜厚は3nmであった。FePtRhからなる層、または、FePtからなる層の各元素の含有量を第3表に記載した。
【0079】
最後に、実施例1と同様にして膜厚5nmのPt保護層60を形成して、磁気記録媒体を得た。表3に層構成を示す。
【0080】
ここで、本実施例では、第1磁性層の材料としてFePt−Cを用いた。これは、第1磁性層の材料にFePt用い、第2磁性層の材料にFePtRhを用いて成膜を行うと、規則性が悪くなるためである。なお、FePt−CとFePtの間で、Ku等は変わらない。従って、第1磁性層の材料としてFePt−Cを用い、第2磁性層の材料としてFePtRh又はFePtを用いて磁気記録層を形成し、熱安定性等の特性を検証した。
【0081】
【表3】
【0082】
振動試料型磁力計(VSM)を用いて得られた磁気記録媒体の飽和磁化Msを、室温(RT:298K(25℃))で測定した。また、得られた磁気記録媒体を室温(RT:298K(25℃))及び450Kに加熱して、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、室温及び450Kにおける保磁力(Hc)を測定した。熱安定性と、従来より低温の450Kでの書き込み性を450KでのHcで評価した。結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
FePtRh/FePt−Cの磁気記録層を含む磁気記録媒体は、熱安定性が60より大きく、良好な長期信頼性が得られる。また、450KにおけるVSM測定による保磁力も6.6kOeと小さく、実際のヘッド書き込み時の反転磁界が20kOe以下になると想定される。また、Msが大きかった。そのため、磁気記録媒体での信号強度が大きくなり都合がよいと考えられる。
【0085】
一方、第1磁性層と第2磁性層のKuがほぼ同じFePt/FePt−Cの磁気記録層を含む磁気記録媒体は、熱安定性が60より大きく、良好な長期信頼性が得られるものの、450KにおけるVSM測定による保磁力(Hc)が9.7kOeと大きく、実際のヘッド書き込み時の反転磁界が20kOeより大きくなってしまうと想定される。
【0086】
以上のとおり、実際の磁気記録媒体においても、シミュレーションと同じ結果が得られた。FePtRh/FePt−CをFePt/FePt−Cと比較すると、反転磁界に対応する保磁力(Hc)がFePtRh/FePt−Cで低下した。また、熱安定性は、FePtRhで若干の低下が観測されたが、FePt/FePt−Cとほぼ同程度の安定性が実現できた。
【符号の説明】
【0087】
10 基板
20 密着層
30 下地層
40 シード層
50 磁気記録層
52 第1磁性層
54 第2磁性層
60 保護層
【国際調査報告】