(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年3月2日
【発行日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】電力変換回路の制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20180511BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20180511BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】特願2017-536431(P2017-536431)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-166300(P2015-166300)
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100174643
【弁理士】
【氏名又は名称】豊永 健
(72)【発明者】
【氏名】黒川 不二雄
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB23
5H730BB57
5H730DD04
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FD61
5H730FF06
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
5H730XX47
(57)【要約】
【課題】制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に振動が生じずかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束する電力変換回路の制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置1は、出力電流i
oが制限値を超えたことを検出する過電流検出部11、通常モードでの制御信号を生成する第1制御部12、電流制限モードでの制御信号を生成する第2制御部13、第1制御部12が生成する制御信号と第2制御部13が生成する制御信号を選択する制御信号選択部を備えている。第1制御部は、電力変換回路4の出力電圧を含む、時間に依存する動特性演算式に基づき通常モードでの制御信号を生成し、第2制御部は、負荷抵抗を検出し、抵抗の値と出力電流プリセット値を含む、時間に依存しない静特性演算式に基づき電流制限モードでの制御信号を生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードでの動作中に所定部位を流れる電流が制限値を超えたときに、電流制限モードでの動作に移行する電力変換回路の制御装置であって、
前記所定部位を流れる電流が制限値を超えたことを検出する過電流検出部と、
前記通常モードでの制御信号を生成する第1制御部と、
前記電流制限モードでの制御信号を生成する第2制御部と、
前記所定部位を流れる電流が前記制限値を超えたことを前記過電流検出部が検出していないときは、前記第1制御部が生成する制御信号を選択し、前記所定部位を流れる電流が制限値を超えたことを前記過電流検出部が検出したときは、前記第2制御部が生成する制御信号を選択する制御信号選択部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記電力変換回路の少なくとも出力電圧を含む、時間に依存する動特性演算式に基づき前記通常モードでの制御信号を生成し、
前記第2制御部は、前記電力変換回路に接続された負荷のインピーダンスを検出または推定し、前記インピーダンスの値と出力電流プリセット値を含む、時間に依存しない静特性演算式に基づき前記電流制限モードでの制御信号を生成する、
電力変換回路の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記所定部位が、前記電力変換回路の出力端子、前記電力変換回路を構成するスイッチ、リアクトル、キャパシ夕、抵抗、トランスまたはダイオードである、
電力変換回路の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部が、負荷インピーダンス検出部を備え、
前記負荷インピーダンス検出部は、
前記電力変換回路の出力電圧と出力電流とに基づき前記負荷のインピーダンスを検出し、または、
前記電力変換回路の出力電圧と、前記出力電流と同一とみなせる電流に基づき前記負荷のインピーダンスを検出する、
電力変換回路の制御装置。
【請求項4】
前記所定部位が電力変換用スイッチである請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
さらに、前記電力変換回路の出力電圧値を検出する出力電圧検出部と、前記電力変換回路の電力変換用スイッチの電流値を検出するスイッチ電流検出部を備え、
前記第2制御部が、負荷インピーダンス検出部を備え、
前記負荷インピーダンス検出部は、前記電力変換回路の出力電圧値と前記電力変換用スイッチの電流値に基づき前記負荷インピーダンスを検出する、
電力変換回路の制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記負荷のインピーダンスの値が当該インピーダンスの絶対値である、
電力変換回路の制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記時間に依存しない静特性演算式が、前記インピーダンスの値と前記出力電流プリセット値の他、さらに前記電力変換回路の入力電圧を含む、
電力変換回路の制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記制御信号が、オン時間、オフ時間、スイッチング周期またはこれらの組み合わせに係る時間制御量である、
電力変換回路の制御装置。
【請求項8】
前記電力変換回路が降圧型DC/DCコンバータである請求項6に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の静特性演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数1】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i[n]:入力電圧のデジタル値
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
A
eo:出力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
A
io:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
A
Ei:入力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
G
eo:出力電圧のA−Dゲイン
G
io・出力電流のA−Dゲイン
G
Ei:入力電圧のA−Dゲイン
r:コンバータの損失
R
s:ioの検出抵抗
L:リアクタンス
【請求項9】
前記電力変換回路がフォワード型DC/DCコンバータである請求項6に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の静特性演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数2】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i[n]:入力電圧のデジタル値
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
N
p:トランスの一次巻線の巻数
N
s:トランスの二次巻線の巻数
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
A
eo:出力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
A
io:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
A
Ei:入力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
G
eo:出力電圧のA−Dゲイン
G
io・出力電流のA−Dゲイン
G
Ei:入力電圧のA−Dゲイン
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
【請求項10】
前記所定部位が電力変換用スイッチである請求項1に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記電力変換用スイッチを流れる電流を積分する積分回路を備え、
前記第1制御部はPID制御、PD制御またはPI制御に基づく第1時間量T1に、前記積分回路による前記電流の積分が開始してから積分値が所定値に達するまでの第2時間量を付加することで電力変換用スイッチのオンタイムを算出し、
過電流検出部は、前記第2時間量が所定値を下回ったときに、前記電力変換用スイッチを流れる電流が制限値を超えたと判断する、
電力変換回路の制御装置。
【請求項11】
前記電力変換回路が降圧型DC/DCコンバータである請求項10に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の静特性演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数3】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i:入力電圧のデジタル値
V
th:積分回路の電圧しきい値
τ:積分回路の時定数
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
A
c:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
【請求項12】
前記電力変換回路がフォワード型DC/DCコンバータである請求項10に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の静特性演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数4】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i:入力電圧のデジタル値
V
th:積分回路の電圧しきい値
τ:積分回路の時定数
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
N
p:トランスの一次巻線の巻数
N
s:トランスの二次巻線の巻数
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
R
o:負荷抵抗
A
c:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常モードでの動作中に所定部位を流れる電流が制限値を超えたときに、電流制限モードでの動作に移行する電力変換回路の電力変換回路の制御装置
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換回路の構成部材を保護するために、スイッチ電流を積分器により監視する制御技術が知られている。
特許文献1に記載の制御技術では、通常は定電圧モードで電力変換回路を制御するが、スイッチ電流の積分値が所定時間内に所定の値に達したときに保護回路を動作させる。
特許文献2に記載の制御技術では、電力変換回路の構成部材を保護するために、定電流制御を行うことで、当該構成部材の保護を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平4−279006号公報
【特許文献2】特願平7−72292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
の従来技術は、何れもアナログ制御装置に適用されるものであるが、デジタル制御装置においても、構成部材を保護するために、スイッチ電流を監視し、過電流を検出したときに制限制御を行うことが想起される。
図1は電力変換回路の従来の制御装置を示す図である。
図1において、電力変換回路9は、電源91側のスイッチ(図1では、トランジスタ)92と、スイッチ92に直列接続されたリアクトル93と、スイッチ92とリアクトル93との接続点とグランドGとの聞に接続されたフライホイールダイオード94と、リアクトル93に直列に接続された電流検出用抵抗95と、リアクトル94の出力端子とグランドGとの聞に接続されたキャパシタ96とからなる。電力変換回路9の出力端子には負荷ROが接続されている。
【0005】
制御装置8は、比較回路81と、制御モード決定部82と、制御信号生成部83とを備えており、比較回路81は電流検出用抵抗95により生成された電圧e
sを取得し、これをプリセット電圧V
setと比較する。
制御モード決定部82は、e
s<V
setのときは定電圧モードを選択し、e
s≧V
setのときは、電流制限モードを選択する。制御信号生成部83は、ドライブ回路DRVに駆動信号N
DRVを送出し、ドライブ回路DRVはスイッチ92にオン・オフ信号S
Tonを出力する。
【0006】
図2に示すように、制御モードが定電圧モードから電流制限モードに移行した場合にフィードバックゲインが大きいとe
oやi
Lに振動が生じ、フィードパックゲインが小さいとe
oやi
Lが収束するまでの時聞が長くなる。
したがって、図1に示した制御装置では、安定性が高い設計を行うことが困難となる。
【0007】
本発明の目的は、電力変換回路の所定部位を流れる電流が制限値を超え、制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に生じる振動を抑制しかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束する電力変換回路の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力変換回路の制御装置は以下のような特徴を有する。
(1)
通常モードでの動作中に所定部位を流れる電流が制限値を超えたときに、電流制限モードでの動作に移行する電力変換回路の制御装置であって、
前記所定部位を流れる電流が制限値を超えたことを検出する過電流検出部と、
前記通常モードでの制御信号を生成する第1制御部と、
前記電流制限モードでの制御信号を生成する第2制御部と、
前記所定部位を流れる電流が前記制限値を超えたことを前記過電流検出部が検出していないときは、前記第1制御部が生成する制御信号を選択し、前記所定部位を流れる電流が制限値を超えたことを前記過電流検出部が検出したときは、前記第2制御部が生成する制御信号を選択する制御信号選択部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記電力変換回路の少なくとも出力電圧を含む、時間に依存する動特性演算式に基づき前記通常モードでの制御信号を生成し、
前記第2制御部は、前記電力変換回路に接続された負荷のインピーダンスを検出または推定し、前記インピーダンスの値と出力電流プリセット値を含む、時間に依存しない静特性演算式に基づき前記電流制限モードでの制御信号を生成する、
電力変換回路の制御装置。
ここで、「通常モード」は、換言すると、定常状態または安定状態における制御モードである。
また、「電流制限モード」は、所定部位に所定値以上の電流が流れたときに、当該電流を出力電流プリセット値に収束させる制御モードである。
制御信号は、電力変換回路を構成する電力変換用スイッチの、オンタイム、オフタイムまたはオン・オフタイムの時間長に係るものである。
「時間に依存する」とは、いわゆる動特性や過渡特性と言われるもので、制御演算式(制御関数)に時間「×t」、「d/dt」、「∫dt」等を少なくともひとつ含むことである。逆に、「時間に依存しない」とは、いわゆる静特性あるいは定常特性と言われるもので、制御演算式(制御関数)に時間「×t」、「d/dt」、「∫dt」等を含まないことである。
【0009】
(2)
(1)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記所定部位が、前記電力変換回路の出力端子、前記電力変換回路を構成する素子である、
電力変換回路の制御装置。
電力変換回路を構成する素子は、具体的には、電力変換用スイッチ(トランジスタ・サイリスタ等)またはリアクトル、キャパシ夕、抵抗、トランス、ダイオードである。
【0010】
(3)
(1)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部が、負荷インピーダンス検出部を備え、
前記負荷インピーダンス検出部は、
前記電力変換回路の出力電圧と出力電流とに基づき前記負荷のインピーダンスを検出し、または、
前記電力変換回路の出力電圧と、前記出力電流と同一とみなせる電流に基づき前記負荷のインピーダンスを検出する、
電力変換回路の制御装置。
【0011】
(4)
前記所定部位が電力変換用スイッチである(2)に記載の電力変換回路の制御装置において、
さらに、前記電力変換回路の出力電圧値を検出する出力電圧検出部と、前記電力変換回路の電力変換用スイッチの電流値を検出するスイッチ電流検出部を備え、
前記第2制御部が、負荷インピーダンス検出部を備え、
前記負荷インピーダンス検出部は、前記電力変換回路の出力電圧値とスイッチ電流値に基づき前記負荷インピーダンスを検出する、
電力変換回路の制御装置。
【0012】
(5)
(1)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記負荷のインピーダンスの値が当該インピーダンスの絶対値である、
電力変換回路の制御装置。
負荷インピーダンスが抵抗である場合には負荷インピーダンスの値は抵抗値であるが、負荷インピーダンスが容量性または誘導性である場合には、負荷インピーダンスの値はインピーダンスの絶対値とすることができる。
【0013】
(6)
(1)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第1制御部は、前記電力変換回路の少なくとも出力電圧に基づき、
前記第2制御部は、さらに前記電力変換回路の入力電圧をパラメータとする、
電力変換回路の制御装置。
【0014】
(7)
(1)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記制御信号が、オン時間、オフ時間、スイッチング周期またはこれらの組み合わせに係る時間制御量である、
電力変換回路の制御装置。
【0015】
(8)
前記電力変換回路が降圧型DC/DCコンバータである(6)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数1】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i[n]:入力電圧のデジタル値
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
A
eo:出力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
A
io:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
A
Ei:入力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
G
eo:出力電圧のA−Dゲイン
G
io・出力電流のA−Dゲイン
G
Ei:入力電圧のA−Dゲイン
r:コンバータの損失
R
s:ioの検出抵抗
L:リアクタンス
【0016】
(9)
前記電力変換回路がフォワード型DC/DCコンバータである(6)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数2】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i[n]:入力電圧のデジタル値
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
N
p:トランスの一次巻線の巻数
N
s:トランスの二次巻線の巻数
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
A
eo:出力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
A
io:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
A
Ei:入力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
G
eo:出力電圧のA−Dゲイン
G
io・出力電流のA−Dゲイン
G
Ei:入力電圧のA−Dゲイン
r:コンバータの損失
R
s:ioの検出抵抗
L:リアクタンス
【0017】
(10)
前記所定部位が電力変換用スイッチである(1)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記電力変換用スイッチを流れる電流を積分する積分回路を備え、
前記第1制御部はPID制御、PD制御またはPI制御に基づく第1時間量T1に、前記積分回路による前記電流の積分が開始してから積分値が所定値(しきし値)に達するまでの第2時間量を付加することで電力変換用スイッチのオンタイムを算出し、
過電流検出部は、前記第2時間量が所定値を下回ったときに、前記電力変換用スイッチを流れる電流が制限値を超えたと判断する、
電力変換回路の制御装置。
【0018】
(11)
前記電力変換回路が降圧型DC/DCコンバータである(10)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数3】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i:入力電圧のデジタル値
V
th:積分回路の電圧しきい値
τ:積分回路の時定数
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
A
c:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
r:コンバータの損失
R
s:ioの検出抵抗
L:リアクタンス
【0019】
(12)
前記電力変換回路がフォワード型DC/DCコンバータである(10)に記載の電力変換回路の制御装置において、
前記第2制御部による制御が、次の演算式により行われる、
電力変換回路の制御装置。
【数4】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i:入力電圧のデジタル値
V
th:積分回路の電圧しきい値
τ:積分回路の時定数
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
N
p:トランスの一次巻線の巻数
N
s:トランスの二次巻線の巻数
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
R
o:負荷抵抗
A
c:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電力変換回路の所定部位を流れる電流が制限値を超え、制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に生じる振動を抑制しかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電力変換回路の従来の制御装置の説明図である。
【図2】図2は、図1の制御装置により電流制限を行う場合の出力電圧と出力電流を示す波形図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態の制御装置および電力変換回路を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、図3の制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示した制御装置において、制御モードが定電圧モードから電流制限モードへの移行する場合の動作説明図である。 図5(A)は、出力電流プリセット値io_setが定電流特性を示す場合を示している。 図5(B)は、出力電流プリセット値io_setがドルーピング特性を示す場合を示している。 図5(C)は、出力電流プリセット値io_setがフォールバック特性を示す場合を示している。
【図6】図6は、図3に示した制御装置により電流制限を行う場合の、電力変換回路の出力電圧および出力電流、ならびに制御回路が生成するドライブ信号および制御量を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態の制御装置および電力変換回路を示す機能ブロック図である。
【図8】図8は本発明の第3実施形態の制御装置および電力変換回路を示す機能ブロック図である。
【図9】図9は、図8に示した制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図8に示した制御装置において、制御モードが通常モードから電流制限モードへの移行する場合の波形図である。 図10(A)は定電圧モード(本発明における通常モード)における波形図である。 図10(B)は電流制限モードへの移行したときの波形図である。
【図11】図11は本発明の制御装置の第4実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
《第1実施形態》
図3は本発明の制御装置の第1実施形態を示す説明図である。
図3において、電力変換回路4は、電源41(電圧E
i)と、電力変換用スイッチ42(「Tr」)と、リアクトル(「L」)43と、フライホイールダイオード(「D
F」)44と、電流検出用抵抗(「R
s」)45と、キャパシタ46とからなる。この電力変換回路4は、降圧型DC/DCコンバータである。
電源41(電圧E
i)は直流電源であり、電源41には電力変換用スイッチ42(「Tr」)が直列接続されている。電力変換用スイッチ42にはリアクトル(「L」)43が直列接続され、電力変換用スイッチ42とリアクトル43との接続点とグランドGとの聞にフライホイールダイオード(「D
F」)44が接続されている。電流検出用抵抗(「R
s」)45は、リアクトル43に直列に接続されている。たキャパシタ46は、リアクトル43の出力側の端子とグランドGとの聞に接続されている。電力変換回路4の出力端子には負荷抵抗(本発明における負荷インピーダンスに相当する)R
oが接続されている。
【0023】
図3において、制御装置1は、電力変換回路4の電力変換用スイッチ42のスイッチング制御(オンタイム制御、オフタイム制御またはオンタイム・オフタイム制御)を行う。
制御装置1は、過電流検出部11と、第1制御部12と、第2制御部13と、制御モード選択部14とを備えている。
制御装置1の前段には、出力電圧検出部21と、出力電流検出部22と、入力電圧検出
部23とが備えられている。
【0024】
出力電圧検出部21は、前置増幅器211とA−D変換器212とからなり、電力変換回路4の出力電圧e
oを検出する。
出力電流検出部22は、前置増幅器221とA−D変換器222とからなり、電力変換回路4の出力電流i
oを相当電圧e
sとして検出する。
入力電圧検出部23は、前置増幅器231とA−D変換器232とからなり電力変換回路4の入力電圧E
iを検出する。
【0025】
過電流検出部11は、電力変換回路4の出力端子を流れる電流(すなわち出力電流i
o)が制限値を超えたか否かを検出する。
第1制御部12は、時間経過に依存する関数に基づく通常モード(本実施形態では定電圧モード)での制御を行う。つまり、第1制御部12は、通常モードでの制御信号を生成する。
第2制御部13は、負荷インピーダンス検出部131と、制御量計算部132とからなり、電流制限モードでの制御を行う。つまり、第2制御部13は、電流制限モードでの制御信号を生成する。
ここで、「通常モード」は、換言すると、定常状態または安定状態における制御モードである。「電流制限モード」は、所定部位に所定値以上の電流が流れたときに、当該電流を出力電流プリセット値に収束させる制御モードである。第1制御部12および第2制御部13が生成する制御信号は、電力変換回路を構成する電力変換用スイッチの、オンタイム、オフタイムまたはオン・オフタイムの時間長に係るものである。制御信号は、オン時間、オフ時間、スイッチング周期またはこれらの組み合わせに係る時間制御量であってもよい。
また、「時間(経過)に依存する」とは、いわゆる動特性や過渡特性と言われるもので、制御演算式(制御関数)に時間「×t」、「d/dt」、「∫dt」等を少なくともひとつ含むことである。逆に、「時間に依存しない」とは、いわゆる静特性あるいは定常特性と言われるもので、制御演算式(制御関数)に時間「×t」、「d/dt」、「∫dt」等を含まないことである。
【0026】
負荷インピーダンス検出部131は、出力電圧検出部21の検出結果(電力変換回路4の出力電圧e
o)と、出力電流検出部22の検出結果(電力変換回路4の出力電流i
o)とに基づき、電力変換回路4の負荷インピーダンスR
oを検出する。なお、負荷インピーダンス検出部131が検出する負荷インピーダンスR
oは、複素インピーダンスの絶対値である。なお、本実施例では、負荷が抵抗性であるので、負荷インピーダンスはR
oで表されている。
【0027】
制御量計算部132は、負荷インピーダンスR
oの値と、電力変換回路4の出力電流プリセット値i
o_setとをパラメータとし、時間経過に依存しない関数に基づく定電流制御を行う。
制御モード選択部14は、過電流検出部11が電力変換回路4の所定部位(図3では電流検出用抵抗45)を流れる電流が制限値i
ocを超えたか否かにより、第1制御部12または第2制御部13からの信号を選択する。つまり、制御モード選択部14は、所定部位を流れる電流が制限値を超えたことを過電流検出部11が検出していないときは、第1制御部12が生成する制御信号を選択し、所定部位を流れる電流が制限値を超えたことを過電流検出部11が検出したときは、第2制御部13が生成する制御信号を選択する制御信号選択部として機能している。
【0028】
すなわち、第2制御部13は、過電流検出部11が所定部位(図3では電流検出用抵抗45)を流れる電流が制限値i
ocを超えたことを検出したときに動作する。
ドライブ回路3は制御モード選択部14からのドライブ信号(N
Drive)を受け取り、電力変換回路4の電力変換用スイッチ42に信号を送出する。
【0029】
図4は、図3の制御装置1の処理を示すフローチャートである。
図4の処理は、たとえばi
oのサンプリングサイクルごとに行ってもよいし、1回のスイッチング周期に複数回行ってもよいし、複数回のスイッチング周期に1回行ってもよい。
図5(A),(B),(C)は、図3の制御装置1において、制御モードが定電圧モードから電流制限モードへの移行する場合の動作説明図である。
図4および図5により、図3の制御装置1の動作を説明する。
制御装置1が、出力電圧設定値をe
o_1として定電圧モードで動作しているものとする。
図5に示されるように、定電圧モードIにおいては、負荷抵抗がR
oであり、出力電圧e
oと第1出力電圧設定値e
o_1との偏差がゼロとなる動特性演算式に基づいて制御される。
この場合、制御モード選択部14は、第1制御部12からの信号を選択する。第1制御部12は、出力電圧e
oを検出し、出力電圧プリセット値e
o_1に対応する制御量T
on_PIDを求め、ドライブ回路が処理可能な制御量N
PIDとしてドライブ回路に送出する(S110)。このように、第1制御部12は、電力変換回路4の少なくとも出力電圧e
oを含む、時間に依存する動特性演算式に基づき通常モードでの制御信号N
PIDを生成する。
【0030】
出力電流検出部22は、電力変換回路4の出力電流i
oを検出している(S120)。過電流検出部11は、出力電流検出部22から、出力電流i
oの検出値を受け取り、出力電流i
oが制限値i
o_oc_Aを超えたか否か(i
o≧i
o_oc_Aかi
o<i
o_oc_A)を判定する(S130)。
【0031】
出力電流i
oが制限値i
o_oc_Aを超えないときは(S130の「NO」)処理はS120に戻され、出力電流i
oの検出が行われる。
制御装置1は、過電流検出部11が、出力電流ioが制限値i
o_oc_Aを超えたときは(S130の「YES」)、制御モード選択部14は、第2制御部13からの信号を選択し、制御は定電圧モードから電流制限モードに移行する。
電流制限モードにおいては、出力電圧検出部21が出力電圧e
oを検出し(S140)、負荷インピーダンス検出部131は、負荷抵抗Ro(図5のR
o_oc)を計算する(S150)。
なお、負荷抵抗R
o_ocは、
R
o_oc=e
o/i
o
により求めることができる。つまり、負荷インピーダンス検出部131は、電力変換回路4の出力電圧e
oと出力電流i
oとに基づき負荷のインピーダンスを検出している。
【0032】
制御量計算部132は、出力電流プリセット値i
o_setを設定する(S160)。
出力電流プリセット値i
o_setは、図5(A),(B),(C)に示すような特性を示すことができる。
図5(A)は出力電流プリセット値i
o_setが定電流特性を示す場合を示し、図5(B)は出力電流プリセット値i
o_setがドルーピング特性を示す場合を示し、図5(C)は出力電流プリセット値i
o_setがフォールドバック特性(「フ」の字特性」)を示す場合を示している。
【0033】
そして、負荷抵抗R
o_ocと、出力電流プリセット値i
o_setと、入力電圧検出部23により検出した入力電圧E
iとから、電流制限モードにおける制御量T
on_oc(オン・オフ信号S
Tonのディジタル値)を求める。制御量T
on_ocは、負荷抵抗がR
o_ocのときに、出力電圧e
oが出力電流プリセット値i
o_setに対応する電圧e
o_2になる制御量であり、ドライブ回路が処理可能な制御量N
ocとして、ドライブ回路3に送られる(Sl70)。
ついで、制御が定電圧モードに復帰したかが判断される(S180)。この判断は、制御装置12のCPU等が行うことができる。
定電圧モードに復帰しているときには(S180の「YES」)処理をS110に戻し、定電圧モードに復帰していないとき(電流制御モードが維持されているとき)は(S180の「NO」)、処理をS140に戻す。
【0034】
図5(A)に示されるように、出力電流がi
o_oc_Aを超えると、制御が電流制限モードIIに移行する。
電流制限モードIIでは、出力電流i
oが出力電流プリセット値i
o_setとなる静特性演算式に基づいて制御される。
【0035】
図5(A)において、出力電流プリセット値はi
o_setであり、i
o_setでに対応する出力電電圧はe
o_2である。なお、図5(A)では、出力電流プリセット値は、制限値i
o_ocよりも大きく設定してあるが、制限値i
o_ocと同じ値i
o_oc_Aに設定することもできる。
また、図5(C)に示すように出力電流プリセット値を制限値i
o_oc_Aよりも小さい値i
o_set_dに設定することもできる(このときの出力電電圧をe
o_2_dで示す)。
【0036】
電流制限モードIIの維持、電流制限モードIIから定電圧モードIへの復帰には、適宜の手法が採用される。
たとえば、第1制御部12における制御量N
PIDが、第2制御部13における制御量N
ocより大きいとき(N
PID>N
oc)は電流制御モードIIを維持するが、第1制御部12における制御量N
PIDが、第2制御部13における制御量N
oc以下になったとき(N
PID<=N
oc)に、制御モード選択部14において、電流制限モードIIから定電圧モードIへ復帰するようにできる。
【0037】
第1実施形態における制御に用いられる静特性演算式を以下に記す。
【数5】
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
R
o:負荷抵抗
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
E
i[n]:入力電圧のデジタル値
A
eo:出力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
A
io:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
A
Ei:入力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
G
eo:出力電圧のA−Dゲイン
G
io:出力電流のA−Dゲイン
G
Ei:入力電圧のA−Dゲイン
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
このように、第2制御部13は、電力変換回路4に接続された負荷Roのインピーダンス(負荷抵抗R
o_oc)を計算により推定し、インピーダンスの値と出力電流プリセット値(i
o_set)を含む、時間に依存しない静特性演算式に基づき電流制限モードでの制御信号を生成する。
【0038】
図6に電力変換回路4の出力電圧e
o、出力電流i
o、ドライブ信号N
Drive、制御量T
onを示す。
図6からわかるように、本発明では、通常モードでの稼動中に(数値制御量:N
PID、時間制御量:T
on_PID)、電力変換回路4の出力電流i
oが制限値i
o_ocを超えたとする。
この場合、制御が電流制限モードに移行したときに、出力電流i
oや出力電圧e
oに振動が生じず、かつ速やかに出力電流i
oが出力電流プリセット値i
o_setに、出力電圧e
oが所定電圧e
o_2に収束する。
このように、本実施形態では、電力変換回路の所定部位を流れる電流が制限値を超え、制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に生じる振動を抑制しかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束させることができる。つまり、オーバーシュートがほとんど発生せず、かつ出力電流が速やかにプリセット値に収束する電力変換回路の制御装置を実現でき、これにより、負荷の変動に起因して過大電流が電力変換回路を構成するトランジスタ等のスイッチング素子、リアクトル、キャパシ夕、抵抗、トランス、ダイオードを流れ、これにより当該構成部材が破壊される、といった事態が予防できる。
【0039】
《第2実施形態》
図7は、本発明の制御装置の第2実施形態を示す説明図である。
図7において、電力変換回路5は、電源51(電圧E
i)と、電力変換用スイッチ52(「Tr」)と、トランス53、第1のダイオード54と、第2および第3のダイオード551,552と、リアクトル56と、キャパシタ57と、電流検出用抵抗(「R
s」)58とからなる。この電力変換回路4は、絶縁型のフォワード型DC/DCコンバータである。
【0040】
電源51(電圧E
i)のマイナス端子には、電力変換用スイッチ52の一端と第1のダイオード54のアノード端子が接続されている。
電力変換用スイッチ52(「Tr」)の他端は、トランス53の一次巻線の一端に接続され、第1のダイオード54のアノード端子は、トランス53の一次巻線の他端に接続されている。トランス53には中間タップが設けられており、この中間タップには電源51のプラス端子が接続されている。
【0041】
トランス53の二次巻線の一端には第2のダイオード551が接続されている。第2のダイオード551は、アノードがトランス53の一端を向くように配置されている。
トランス53の二次巻線の他端(グランド)と、第2のダイオード551のカソードとの聞には第3のダイオード552が接続されている。第3のダイオード552のカソードは、第2のダイオード551のカソードを向くように配置されている。
【0042】
第2のダイオード551と第3のダイオード552との接続点は、リアクトル(L)56に接続され、リアクトル56の出力側端子とグランドどの聞にはキャパシタ(C)57が接続されている。
また、リアクトル56とキャパシタ57の接続点と電力変換回路の出力端子との間には電流検出用抵抗(R
s)58が接続されている。
第2実施形態の制御装置1の動作は、第1実施形態の制御装置1の動作と概ね同じである。
第2実施形態における制御に用いられる静特性演算式を以下に記す。
【0043】
【数6】
e
o[n]:出力電圧のデジタル値
i
o[n]:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i[n]:入力電圧のデジタル値
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
N
p:トランスの一次巻線の巻数
N
s:トランスの二次巻線の巻数
T
s:スイッチング周期
N
Ts:スイッチング周期に対応するデジタル値
R
o:負荷抵抗
A
eo:出力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
A
io:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
A
Ei:入力電圧検出部の前置増幅器の増幅率
G
eo:出力電圧のA−Dゲイン
G
io・出力電流のA−Dゲイン
G
Ei:入力電圧のA−Dゲイン
r:コンバータの損失
R
s:ioの検出抵抗
L:リアクタンス
本実施形態では、電力変換回路の所定部位を流れる電流が制限値を超え、制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に生じる振動を抑制しかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束させることができる。つまり、オーバーシュートがほとんど発生せず、かつ出力電流が速やかにプリセット値に収束する電力変換回路の制御装置を実現でき、これにより、負荷の変動に起因して過大電流が電力変換回路を構成するトランジスタ等のスイッチング素子、リアクトル、キャパシ夕、抵抗、トランス、ダイオードを流れ、これにより当該構成部材が破壊される、といった事態が予防できる。
【0044】
《第3実施形態》
図8は、本発明の制御装置の第3実施形態を示す説明図である。
図8において、電力変換回路4は、図3に示した電力変換回路4と概ね同じである。
ただし、図3に示した電力変換回路4では、電流検出用抵抗(「R
s」)45により出力電流を検出しているが、図8の電力変換回路4では、電流検出用抵抗(「R
Tr」)47によりスイッチ電流i
Trを検出している。
これに対応して、図8の電力変換回路4では、制御装置1の前段には、出力電圧検出部21と、スイッチ電流検出部24と、入力電圧検出部23とが備えられている。
【0045】
スイッチ電流検出部24は、前置増幅器241とA−D変換器242と積分回路243とからなる。
スイッチ電流検出部24は、スイッチ47を流れる電流(スイッチ電流i
Tr)を相当電圧e
Trとして前置増幅器241とA−D変換器242により検出する。
積分回路243は、第1制御部12からの積分開始タイミング信号ISTにより積分を開始し、積分値V
rcがしきい値V
thに達したときに積分終了信号を出力する。過電流検出部11は、スイッチ電流i
Trの積分値を入力し、過電流を検出している。
【0046】
図9は、図8に示した制御装置1の処理を示すフローチャートである。
図9の処理は、たとえばi
Trのサンプリングサイクルごとに行ってもよいし、1回のスイッチング周期に複数回行ってもよいし、複数回のスイッチング周期に1回行ってもよい。
図10は、図8に示した制御装置1において、制御モードが通常モードから電流制限モードへの移行する場合の波形図であり、図10(A)は定電圧モード(通常モード)における波形図であり、図10(B)は電流制限モードへの移行したときの波形図である。
図9および図10により、図8の制御装置1の動作を説明する。
制御装置1が、定電圧モードで動作しているものとする。
この場合、制御モード選択部14は、第1制御部12からの信号を選択する。第1制御部12は、出力電庄e
oを検出し、出力電圧プリセット値e
o_1に対応する制御量T
on_PIDを求め、ドライブ回路に送出する(S210)。
図10(A)に示すように、第1制御部12はPID制御に基づく第1時間量T1を計算し、所定タイミングで積分回路243による積分を開始し、積分値(電圧)V
rcを測定する。本実施形態では第1時間量T1は第1制御部12が生成したPID制御量に適宜のディレイ時間を加算した値である。第1制御部12は、PD制御またはPI制御に基づいて第1時間量T1を求めてもよい。
積分回路243による前記電流の積分が開始してから積分値V
rcがしきい値V
thに達するまでの時間を第2時間量T
csとして第1時間量T1に付加することで、第1制御部12は電力変換用スイッチのオンタイム(図10(A)、図10(B)では「sw」で示す)を算出している。
過電流検出部11は、第2時間量T
csを監視している(S220)。
第2時間量T
csが設定時間T
csrより長いとき(T
cs>T
csr)は処理をS220に戻す(S230の「NO」)。
図10(B)に示すように、第2時間量T
csが設定時間T
csrより短いときは、電力変換用スイッチ42を流れる電流i
Trが制限値i
Tr_ocを超えたと判断し、処理を電流制限モードに移行する(S230の「YES」)。
【0047】
出力電圧検出部21は出力電圧e
oを検出し、スイッチ電流検出部24はスイッチ電流i
Trを検出する(S240)。
そして、負荷インピーダンス検出部131は、負荷抵抗R
o_ocを計算する(S250)。
なお、負荷抵抗は、
R
o_oc≒e
o/i
Tr
として求めることができる。つまり、負荷インピーダンス検出部131は、電力変換回路4の出力電圧e
oと、出力電流と同一とみなせる電流i
Trに基づき負荷のインピーダンスを検出する。
制御量計算部132は、出力電流プリセット値i
o_setを設定する(S260)。
第2制御部23は、負荷抵抗R
o_ocと、出力電流プリセット値i
o_setと、入力電圧検出部23により検出した入力電圧Eiとから、電流制限モードにおける制御量T
on_oc(オン・オフ信号S
Tonのディジタル値)を求める。制御量T
on_ocは、負荷抵抗がR
o_ocのときに、出力電圧e
oが出力電流プリセット値i
o_setに対応する電圧e
o_2になる制御量であり、ドライブ回路3に送られる(S270)。
ついで、制御が定電圧モードに復帰したかが判断される(S280)。この判断は、制御装置12のCPU等が行うことができる。
定電圧モードに復帰しているときには(S280の「YES」)処理をS210に戻し、定電圧モードに復帰していないとき(電流制御モードが維持されているとき)は(S280の「NO」)、処理をS240に戻す。
第3実施形態における制御に用いられる静特性演算式を以下に記す。
【数7】
e
o:出力電圧のデジタル値
i
o:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i:入力電圧のデジタル値
V
th:積分回路の電圧しきい値
τ:積分回路の時定数
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
R
o:負荷抵抗
A
c:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
【0048】
本実施形態でも、電流制限モードIIの維持、電流制限モードIIから定電圧モードIへの復帰には、適宜の手法が採用される。
たとえば、第1制御部12における制御量N
PIDが、第2制御部13における制御量NOCより大きいとき(N
PID>N
oc)は電流制御モードIIを維持するが、第1制御部12における制御量N
PIDが、第2制御部13における制御量N
oc以下になったとき(N
PID<=N
oc)に、電流制限モードIIから定電圧モードIへ復帰するようにできる。
本実施形態では、電力変換回路の所定部位を流れる電流が制限値を超え、制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に生じる振動を抑制しかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束させることができる。つまり、オーバーシュートがほとんど発生せず、かつ出力電流が速やかにプリセット値に収束する電力変換回路の制御装置を実現でき、これにより、負荷の変動に起因して過大電流が電力変換回路を構成するトランジスタ等のスイッチング素子、リアクトル、キャパシ夕、抵抗、トランス、ダイオードを流れ、これにより当該構成部材が破壊される、といった事態が予防できる。
【0049】
《第4実施形態》
図11は本発明の制御装置の第4実施形態を示す説明図である。
図11の電力変換回路5は、図7に示した電力変換回路5と同じである。
第4実施形態の制御装置1の動作は、第3実施形態の制御装置1の動作と概ね同じである。
第4実施形態における制御に用いられる静特性演算式を以下に記す。
【数8】
e
o:出力電圧のデジタル値
i
o:出力電流のデジタル値
i
o_set:出力電流のプリセット値
E
i:入力電圧のデジタル値
V
th:積分回路の電圧しきい値
τ:積分回路の時定数
N
oc:過電流検出後のオン時間のデジタル値
T
s:スイッチング周期
R
o:負荷抵抗
A
c:出力電流検出部の前置増幅器の増幅率
r:コンバータの損失
R
s:i
oの検出抵抗
L:リアクタンス
本実施形態では、電力変換回路の所定部位を流れる電流が制限値を超え、制御が通常モードから電流制限モードに移行したときに、出力電流や出力電圧に生じる振動を抑制しかつ出力電流や出力電圧が速やかに所定値に収束させることができる。つまり、オーバーシュートがほとんど発生せず、かつ出力電流が速やかにプリセット値に収束する電力変換回路の制御装置を実現でき、これにより、負荷の変動に起因して過大電流が電力変換回路を構成するトランジスタ等のスイッチング素子、リアクトル、キャパシ夕、抵抗、トランス、ダイオードを流れ、これにより当該構成部材が破壊される、といった事態が予防できる。
上述の各単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、過電流検出部が制限値を超えるか否かを検出する電流が流れる所定位置としては、電力変換回路4の出力端子、あるいは、電力変換回路4を構成するスイッチ42としているが、電力変換回路を構成するリアクトル、キャパシタ、抵抗、トランス、または、ダイオードなどの他の位置であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 制御装置
3 ドライブ回路
4,5 電力変換回路
11 過電流検出部
12 第1制御部
13 第2制御部
14 制御モード選択部
21 出力電圧検出部
22 出力電流検出部
23 入力電圧検出部
24 スイッチ電流検出部
41,51 電源
42,52 電力変換用スイッチ
43 リアクトル
44 フライホイールダイオード
45 電流検出用抵抗
46 キャパシタ
53 トランス
54 第1のダイオード
551 第2のダイオード
552 第3のダイオード
56 リアクトル
57 キャパシタ
58 スイッチ電流検出用抵抗
131 負荷インピーダンス検出部
132 制御量計算部
211,221,231,241 前置増幅器
212,222,232,242 A−D変換器
243 積分回路
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】