再表2018-155260IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年8月30日
【発行日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】OHラジカル検出プローブ、OHラジカル測定装置、および、OHラジカル測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20191025BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20191025BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20191025BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   G01N21/78 C
   G01N21/77 A
   G01N21/64 Z
   G01N31/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】特願2019-501240(P2019-501240)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-32024(P2017-32024)
(32)【優先日】2017年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 孝男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克巳
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和之
【テーマコード(参考)】
2G042
2G043
2G054
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA04
2G042BA07
2G042BE03
2G042CB01
2G042DA09
2G043AA01
2G043BA17
2G043CA01
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA18
2G043FA03
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA05
2G043LA01
2G043NA01
2G043NA11
2G054AA01
2G054BB04
2G054CA07
2G054CB10
2G054CD01
2G054CE02
2G054CE08
2G054EA03
2G054EB01
2G054FA46
2G054GA02
2G054GA03
2G054GA04
2G054GB02
2G054JA01
2G054JA06
(57)【要約】
OHラジカル検出プローブ(102)は、芳香族カルボン酸と、極性非プロトン性有機溶媒と、極性プロトン性有機溶媒と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族カルボン酸と、
極性非プロトン性有機溶媒と、
極性プロトン性有機溶媒と、
を備えるOHラジカル検出プローブ。
【請求項2】
前記極性プロトン性有機溶媒の含有率は、前記極性非プロトン性有機溶媒の含有率より低い請求項1に記載のOHラジカル検出プローブ。
【請求項3】
前記芳香族カルボン酸は、テレフタル酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、および、フェニルアラニンの群から選択される1または複数である請求項1または2に記載のOHラジカル検出プローブ。
【請求項4】
前記極性非プロトン性有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドであり、
前記極性プロトン性有機溶媒は、メタノールである請求項1から3のいずれか1項に記載のOHラジカル検出プローブ。
【請求項5】
芳香族カルボン酸、極性非プロトン性有機溶媒、および、極性プロトン性有機溶媒を含むOHラジカル検出プローブを収容する収容部と、
前記収容部内に測定対象ガスを供給するガス供給部と、
前記測定対象ガスに接触させた後の前記OHラジカル検出プローブ中における、前記芳香族カルボン酸とOHラジカルとの反応生成物の濃度に基づいて、前記測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を換算する濃度換算部と、
を備えるOHラジカル測定装置。
【請求項6】
前記濃度換算部は、
前記測定対象ガスに接触させた後の前記OHラジカル検出プローブに紫外線を照射する照射部と、
前記OHラジカル検出プローブから生じる蛍光の強度を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記蛍光の強度に基づいて、前記測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を導出する濃度導出部と、
を備える請求項5に記載のOHラジカル測定装置。
【請求項7】
前記濃度換算部は、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、質量分析装置、ガスクロマトグラフ質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析装置、および、赤外分光装置のうちのいずれか1またはいずれか2以上の装置である請求項5に記載のOHラジカル測定装置。
【請求項8】
前記収容部内の前記測定対象ガスを加熱する加熱部を備える請求項5から7のいずれか1項に記載のOHラジカル測定装置。
【請求項9】
芳香族カルボン酸、極性非プロトン性有機溶媒、および、極性プロトン性有機溶媒を含むOHラジカル検出プローブを用いて気相中のOHラジカルを測定するOHラジカル測定方法。
【請求項10】
前記OHラジカル検出プローブと、測定対象ガスとを接触させる工程と、
前記測定対象ガスに接触させた後の前記OHラジカル検出プローブ中における、前記芳香族カルボン酸とOHラジカルとの反応生成物の濃度に基づいて、前記測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を換算する工程と、
を含む請求項9に記載のOHラジカル測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
OHラジカル検出プローブ、OHラジカル測定装置、および、OHラジカル測定方法に関する。本願は2017年2月23日に日本に出願された特願2017−032024号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中のOHラジカルを測定する技術として、ヒドロキシテレフタル酸の濃度を測定することで、OHラジカルの濃度を導出する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術は、テレフタル酸を含む水溶液中で放電させることによりOHラジカルを生成し、生成したOHラジカルとテレフタル酸とが反応することによって生じるヒドロキシテレフタル酸の濃度を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5740138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されたように、液相中のOHラジカルを検出する技術が従来開発されている。しかし、気相中のOHラジカルを検出するプローブ技術は、未だ開発されていない。
【0005】
このような課題に鑑み、気相中のOHラジカルを検出することが可能なOHラジカル検出プローブ、OHラジカル測定装置、および、OHラジカル測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、本開示の一態様に係るOHラジカル検出プローブは、芳香族カルボン酸と、極性非プロトン性有機溶媒と、極性プロトン性有機溶媒と、を備える。
【0007】
また、極性プロトン性有機溶媒の含有率は、極性非プロトン性有機溶媒の含有率より低くてもよい。
【0008】
また、芳香族カルボン酸は、テレフタル酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、および、フェニルアラニンの群から選択される1または複数であってもよい。
【0009】
また、極性非プロトン性有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドであり、極性プロトン性有機溶媒は、メタノールであってもよい。
【0010】
課題を解決するために、本開示の一態様に係るOHラジカル測定装置は、芳香族カルボン酸、極性非プロトン性有機溶媒、および、極性プロトン性有機溶媒を含むOHラジカル検出プローブを収容する収容部と、収容部内に測定対象ガスを供給するガス供給部と、測定対象ガスに接触させた後のOHラジカル検出プローブ中における、芳香族カルボン酸とOHラジカルとの反応生成物の濃度に基づいて、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を換算する濃度換算部と、を備える。
【0011】
また、濃度換算部は、測定対象ガスに接触させた後のOHラジカル検出プローブに紫外線を照射する照射部と、OHラジカル検出プローブから生じる蛍光の強度を測定する測定部と、測定部によって測定された蛍光の強度に基づいて、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を導出する濃度導出部と、を備えてもよい。
【0012】
また、濃度換算部は、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、質量分析装置、ガスクロマトグラフ質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析装置、および、赤外分光装置のうちのいずれか1またはいずれか2以上の装置であってもよい。
【0013】
また、収容部内の測定対象ガスを加熱する加熱部を備えてもよい。
【0014】
課題を解決するために、本開示の一態様に係るOHラジカル測定方法は、芳香族カルボン酸、極性非プロトン性有機溶媒、および、極性プロトン性有機溶媒を含むOHラジカル検出プローブを用いて気相中のOHラジカルを測定する。
【0015】
また、OHラジカル検出プローブと、測定対象ガスとを接触させる工程と、測定対象ガスに接触させた後のOHラジカル検出プローブ中における、芳香族カルボン酸とOHラジカルとの反応生成物の濃度に基づいて、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を換算する工程と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
気相中のOHラジカルを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】OHラジカル測定装置を説明する図である。
【図2】収容部、加熱部、ガス供給部の具体的な構成を説明する図である。
【図3】OHラジカル測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4(a)は、比較例1の検量線を示す。図4(b)は、実施例1の検量線を示す。
【図5】実施例2の蛍光スペクトルを示す図である。
【図6】図6(a)は、実施例3の蛍光スペクトルを示す図である。図6(b)は、実施例3における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図6(c)は、実施例3における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【図7】図7(a)は、実施例4の蛍光スペクトルを示す図である。図7(b)は、実施例4における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図7(c)は、実施例4における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【図8】図8(a)は、実施例5の蛍光スペクトルを示す図である。図8(b)は、実施例5における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図8(c)は、実施例5における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【図9】図9(a)は、実施例6の蛍光スペクトルを示す図である。図9(b)は、実施例6における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図9(c)は、実施例6における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【図10】実施例4〜実施例6を測定対象ガスとしたときに、OHラジカル検出プローブ中に生成されたHTAの濃度を説明する図である。
【図11】図11(a)は、実施例7の蛍光スペクトルを示す図である。図11(b)は、実施例7における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。
【図12】図12(a)は、実施例8の蛍光スペクトルを示す図である。図12(b)は、実施例8における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。
【図13】図13(a)は、実施例9の蛍光スペクトルを示す図である。図13(b)は、実施例9における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
(OHラジカル検出プローブ)
本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブは、芳香族カルボン酸と、極性非プロトン性有機溶媒と、極性プロトン性有機溶媒とを備える。OHラジカル検出プローブが、極性プロトン性有機溶媒を備えることにより、芳香族カルボン酸とOHラジカルとを反応させることができ、OHラジカルを検出することが可能となる。
【0020】
また、液相中のOHラジカルを測定する従来のOHラジカル検出プローブは、テレフタル酸を溶かす溶媒として水を用いた水溶液である。このため、従来のOHラジカル検出プローブによって、気相中、特に水蒸気中(または、湿度が高い加湿気相中)のOHラジカルの測定が試みられた場合、水溶液中に溶け込んだOHラジカルの前駆体から生成されたOHラジカルとテレフタル酸とが優先的に反応してしまう。したがって、従来のOHラジカル検出プローブは、気相中のOHラジカルを選択的に検出できないという問題があった。
【0021】
これに対し、本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブは、主溶媒として極性非プロトン性有機溶媒を備える無水溶媒にすることにより、液相にOHラジカルの前駆体が溶け込むことがなくなる。したがって、本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブは、水溶媒(水溶液)のように液相中に溶け込んだOHラジカルの前駆体から生成されたOHラジカルと、芳香族カルボン酸とが反応してしまう事態を回避することができる。
【0022】
また、OHラジカルと芳香族カルボン酸とが反応すると、プロトン(H+)が生成される。このため、芳香族カルボン酸を溶解させるための有機溶媒として極性非プロトン性有機溶媒のみが用いられると、プロトンが受容されず、OHラジカルと芳香族カルボン酸との反応が進行しなくなってしまう。
【0023】
そこで、本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブは、副溶媒として極性プロトン性有機溶媒を備えることにより、反応によって生じたプロトンを受容させることができる。これにより、OHラジカルと芳香族カルボン酸との反応を進行させ、ヒドロキシテレフタル酸(以下、「HTA」と称する)を生成させることができ、結果として、気相中のOHラジカルを検出することが可能となる。特に、本実施形態のOHラジカル検出プローブは、水蒸気中、または、湿度が高い加湿気相中のOHラジカルを検出することができる。ここで、気相は、気体のみが存在する相のみならず、液体(例えば、液体の水)が含まれる気体を含む概念である。液体が含まれる気体は、ミストを含む気体、液体の層を含む気体(例えば、水分子が複数層形成された箇所を含む気体)、または、液体が分散された気体(エアロゾル)である。
【0024】
なお、OHラジカル検出プローブにおける溶媒(極性非プロトン性有機溶媒、および、極性プロトン性有機溶媒)中の芳香族カルボン酸は、例えば、2mmol/L(2mM=2mol/m3)程度である。また、OHラジカル検出プローブにおける極性プロトン性有機溶媒の含有率は、極性非プロトン性有機溶媒の含有率より低い(例えば、極性プロトン性有機溶媒の含有率は、極性非プロトン性有機溶媒の含有率の10%〜50%程度)とよい。これにより、極性プロトン性有機溶媒に溶解する気相中の湿分の量を低減することができる。
【0025】
また、本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブを構成する芳香族カルボン酸は、フタル酸(o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸(テレフタル酸))、フタル酸の誘導体(例えば、テレフタル酸ジメチル)、安息香酸、安息香酸の誘導体(例えば、ヒドロキシ安息香酸(2−ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸))、および、ベンゼン環に置換基を介してカルボキシル基が結合した化合物の群から選択される1または複数である。芳香族カルボン酸は、好ましくは、テレフタル酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、および、フェニルアラニンの群から選択される1または複数である。
【0026】
また、本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブを構成する極性非プロトン性有機溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ジオキサン、クロロホルム、二塩化エチレン、および、塩化メチレンの群から選択される1または複数である。
【0027】
また、本実施形態にかかるOHラジカル検出プローブを構成する極性プロトン性有機溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、酢酸、酢酸エチル、ギ酸、1−ブタノール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、および、メタンジオールの群から選択される1または複数である。
【0028】
(OHラジカル検出プローブの製造方法)
続いて、OHラジカル検出プローブの製造方法について説明する。まず、極性非プロトン性有機溶媒に芳香族カルボン酸を溶解させる。その後、芳香族カルボン酸の極性非プロトン性有機溶媒溶液に、極性プロトン性有機溶媒が混合される。これにより、芳香族カルボン酸を溶媒中に分散させることができる。
【0029】
(OHラジカル測定装置100)
図1は、OHラジカル測定装置100を説明する図である。なお、図1中、ガスまたは液の流れを実線の矢印で示し、光の流れを破線の矢印で示し、信号の流れを一点鎖線の矢印で示す。
【0030】
図1に示すように、OHラジカル測定装置100は、収容部110と、加熱部120と、ガス供給部130と、濃度換算部140とを含む。
【0031】
収容部110は、OHラジカル検出プローブ102(液体)を収容する。加熱部120は、気相中の湿度が高い場合に、収容部110内の測定対象ガスおよびOHラジカル検出プローブ102を所定の温度に加熱する。ガス供給部130は、収容部110内に測定対象ガスを供給する。
【0032】
図2は、収容部110、加熱部120、ガス供給部130の具体的な構成を説明する図である。なお、図2中、測定対象ガスの流れを実線の矢印で示し、接触後のガスの流れを破線の矢印で示す。図2に示すように、収容部110は、密閉された容器である。収容部110の内部空間110aには、OHラジカル検出プローブ102が収容される。
【0033】
加熱部120は、測定対象ガスが高湿度である場合に、収容部110内の測定対象ガス、および、OHラジカル検出プローブ102を加熱する。加熱部120は、例えば、収容部110を囲繞するヒータで構成される。加熱部120を備える構成により、測定対象ガスが高湿度である場合に、収容部110において湿分が凝縮して液体の水が生成される事態を回避することができる。
【0034】
ガス供給部130は、内側管132と、外側管134と、排気管136とを含む。内側管132は、一端132aが不図示のガス供給源に接続され、他端132bが収容部110の内部空間110aに配される管である。外側管134は、内側管132の一部を囲繞した管であり、一端134aが収容部110の内部空間110aに配され、他端134bが排気管136に接続される管である。なお、内側管132の他端132bは、外側管134の一端134aより、鉛直下方(OHラジカル検出プローブ102側)に位置する。
【0035】
したがって、ガス供給部130によって供給された測定対象ガスは、内側管132の他端132bから収容部110の内部空間110aに到達する。そして、測定対象ガスは、内部空間110aにおいてOHラジカル検出プローブ102に接触した後、外側管134の一端134aから外側管134内に流入する。外側管134に流入した測定対象ガスは、排気管136を通じて外部に排気される。
【0036】
図1に戻って説明すると、濃度換算部140は、測定対象ガスに接触させた後のOHラジカル検出プローブ102中における、芳香族カルボン酸(テレフタル酸)とOHラジカルとの反応生成物(HTA)の濃度に基づいて、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を換算する。本実施形態において、濃度換算部140は、照射部150と、測定部160と、制御部170とを含む。
【0037】
照射部150は、収容部110から取り出したOHラジカル検出プローブ102に紫外線(例えば、波長310nmの紫外線)を照射する。測定部160は、照射部150が紫外線を照射することで、OHラジカル検出プローブ102から生じる蛍光(例えば、HTA(ヒドロキシテレフタル酸)を示す波長425nmの蛍光)の強度を測定する。
【0038】
制御部170は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。制御部170は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して、OHラジカル測定装置100全体を管理および制御する。本実施形態において、制御部170は、濃度導出部172として機能する。
【0039】
濃度導出部172は、測定部160によって測定された蛍光の強度に基づいて、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を導出する。
【0040】
例えば、OHラジカル検出プローブ102を構成する芳香族カルボン酸としてテレフタル酸を採用した場合、OHラジカル検出プローブ102にOHラジカルが接触すると、下記反応式(1)に示す反応が進行する。
【化1】
…反応式(1)
反応式(1)は、テレフタル酸 + OHラジカル → 2−ヒドロキシテレフタル酸(HTA) + プロトン で表すこともできる。
【0041】
したがって、この場合、テレフタル酸がOHラジカルと反応して、2−ヒドロキシテレフタル酸(HTA)およびプロトンが生成される。そのため、照射部150によって、OHラジカル検出プローブ102に紫外線が照射されると、HTAから蛍光が生じる。そして、測定部160が、HTAから生じた蛍光の強度(蛍光強度)を測定することで、その蛍光強度からHTAの濃度、すなわち、気相中(測定対象ガス中)のOHラジカルの濃度を算出できる。
【0042】
したがって、複数の異なる濃度のHTAの標準液を作成し、それぞれに紫外線を照射して蛍光強度を測定し、HTAの蛍光強度の検量線を作成できる。そのため、濃度導出部172は、測定部160によって測定された蛍光の強度と検量線とに基づいて、OHラジカルの濃度を導出することが可能となる。
【0043】
(OHラジカル測定方法)
続いて、OHラジカル測定装置100を用いたOHラジカル測定方法について説明する。図3は、OHラジカル測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。OHラジカル測定方法は、接触工程S110、照射・測定工程S120、導出工程S130を含む。
【0044】
(接触工程S110)
接触工程S110は、所定の温度下で、OHラジカル検出プローブ102と、測定対象ガスとを接触させる工程である。具体的に説明すると、まず、収容部110にOHラジカル検出プローブ102を収容する。そして、ガス供給部130によって収容部110の内部空間110aに測定対象ガスが供給されると、OHラジカル検出プローブ102と、測定対象ガスとが接触する。なお、測定対象ガスが高湿度の場合には、加熱部120を駆動して、収容部110内の測定対象ガスおよびOHラジカル検出プローブ102を所定の温度に加熱する。
【0045】
(照射・測定工程S120)
照射・測定工程S120では、まず、接触工程S110において測定対象ガスに接触させた後のOHラジカル検出プローブ102を取りだす。そして、照射部150が取り出したOHラジカル検出プローブ102に紫外線を照射し、OHラジカル検出プローブ102から生じる蛍光の強度を、測定部160が測定する。
【0046】
(導出工程S130)
導出工程S130は、照射・測定工程S120において測定された蛍光の強度に基づいて、濃度導出部172が、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を導出する工程である。
【0047】
以上説明したように、本実施形態にかかるOHラジカル測定装置100、および、これを用いたOHラジカル測定方法によれば、OHラジカル検出プローブ102の溶媒として、水以外の有機溶媒を利用することにより、気相中のOHラジカルを測定することが可能となる。
【0048】
(実施例1)
比較例1(従来例)の化学プローブと、実施例1のOHラジカル検出プローブとの検量線をそれぞれ作成し、測定感度の比較を行った。
【0049】
まず、水に所定濃度のHTAを溶解させた標準液群(比較例1)を作成した。次に、DMFおよびメタノール(体積比4:1)に所定濃度のHTAを溶解させた標準液群(実施例1)を作成した。そして、比較例1および実施例1のHTAの蛍光強度の検量線をそれぞれ作成した。比較例1、実施例1ともに、所定濃度(HTAの濃度)が0.002μM、0.2μM、20μMの標準液を用いた。
【0050】
図4(a)および図4(b)は、比較例1および実施例1の検量線を説明する図である。図4(a)は、比較例1の検量線を示す。図4(b)は、実施例1の検量線を示す。図4(a)に示すように、比較例1では、y=10.382x(R2=0.9997)の検量線が得られた。また、図4(b)に示すように、実施例1では、y=8.113x(R2=0.9996)の検量線が得られた。
【0051】
これにより、実施例1においても、従来の比較例1と同様の傾き、かつ、同様の相関係数の検量線を作成できることが確認された。これにより、有機溶媒を用いた実施例1のOHラジカル検出プローブでも、従来の水溶液を用いた比較例1の化学プローブと同等の性能を示すことが実証された。
【0052】
(実施例2)
比較例2(従来例)の化学プローブを用いて、測定対象ガスAと測定対象ガスBとをそれぞれ測定した。比較例2の化学プローブとして、2mMのテレフタル酸ナトリウム水溶液を作成した。また、測定対象ガスAとして、オゾンおよび水蒸気の混合ガスを用いた。測定対象ガスBとして乾燥オゾンを用いた。
【0053】
そして、測定対象ガスAを5分間接触させた後の比較例2の化学プローブに紫外線を照射し、比較例2の化学プローブから生じた蛍光の強度を測定した。また、測定対象ガスBを5分間接触させた後の比較例2の化学プローブに紫外線を照射し、比較例2の化学プローブから生じた蛍光の強度を測定した。
【0054】
図5は、実施例2の蛍光スペクトルを示す図である。なお、図5中、測定対象ガスAを接触させた結果を実線で示し、測定対象ガスBを接触させた結果を破線で示す。
【0055】
図5に示すように、比較例2の化学プローブに測定対象ガスAを接触させた場合、OHラジカルとの反応生成物であるHTAを示す波長425nmの蛍光強度は、47程度であった。また、比較例2の化学プローブに測定対象ガスBを接触させた場合、HTAを示す波長425nmの蛍光強度は、54程度であった。つまり、比較例2の化学プローブに測定対象ガスAを接触させた場合であっても、比較例2の化学プローブに測定対象ガスBを接触させた場合であっても、蛍光強度に大きな差は認められなかった。換言すれば、比較例2の化学プローブは、測定対象ガスに水蒸気が含まれるか否かに拘わらず、OHラジカルを検出していることが確認された。
【0056】
ところで、従来、オゾンは水の存在下において殺菌効果を発揮するものの、オゾンのみ(乾燥オゾン)では殺菌効果が認められないことが分っている(例えば、新しいオゾン技術とバイオテクノロジー 増田閃一著 J.IEE Japan, Vol.108, No.12, 1988 p.1173-1176、食品工場の微生物制御へのオゾン利用技術 内藤茂三著 http://www.mac.or.jp/mail/120102/04.shtml)。殺菌効果には、OHラジカルが寄与していることが分っているため、オゾンのみではOHラジカルが生成されていないと推察される。つまり、オゾンは水と共存することによって初めてOHラジカルを生成し、生成されたOHラジカルが殺菌効果を発揮する。
【0057】
しかし、図5に示すように、実施例2の結果では、比較例2の化学プローブに、水蒸気が含まれる測定対象ガスAを接触させた場合であっても、水蒸気が含まれない測定対象ガスBを接触させた場合であってもOHラジカルが検出されている。つまり、比較例2の化学プローブは、化学プローブ中の水とオゾンとが反応することによって生じたOHラジカルを単に検出しているにすぎないことが分った。換言すれば、比較例2の化学プローブ(従来の化学プローブ)は、測定対象ガス中のOHラジカルを選択的に検出することができないことが確認された。
【0058】
(実施例3:測定対象ガスとしてオゾンのみを測定)
OHラジカル検出プローブとして、DMFおよびメタノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させた液を用いた。また、測定対象ガスとしてオゾンを用いた。なお、実施例3において、加熱部120による加熱は実行しなかった。そして、オゾンを接触させた後のOHラジカル検出プローブに紫外線を照射し、OHラジカル検出プローブから生じた蛍光の強度を測定した。
【0059】
図6(a)〜図6(c)は、実施例3の結果を説明する図である。図6(a)は、実施例3の蛍光スペクトルを示す図である。図6(b)は、実施例3における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図6(c)は、実施例3における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【0060】
図6(a)〜図6(c)に示すように、接触時間が5分、10分、15分、20分、25分のいずれにおいても、乾燥オゾンのみでは、OHラジカルとの反応生成物であるHTAを示す波長425nmの蛍光は検出されなかった。
【0061】
(実施例4:測定対象ガスとしてオゾンおよび水蒸気の混合ガスを測定)
OHラジカル検出プローブとして、DMFおよびメタノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させた液を用いた。また、測定対象ガスとしてオゾンおよび水蒸気の混合ガスを用いた。なお、実施例4において、加熱部120による加熱は60℃で実行した。そして、オゾンおよび水蒸気の混合ガスを接触させた後のOHラジカル検出プローブに紫外線を照射し、OHラジカル検出プローブから生じた蛍光の強度を測定した。
【0062】
図7(a)〜図7(c)は、実施例4の結果を説明する図である。図7(a)は、実施例4の蛍光スペクトルを示す図である。図7(b)は、実施例4における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図7(c)は、実施例4における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【0063】
図7(a)、図7(b)に示すように、接触時間が5分、10分、15分、20分、25分と長くなるに従って、HTAを示す波長425nmの蛍光強度が大きくなることが分かった。また、図7(b)に示すように、接触時間の経過に従って、蛍光強度が直線的(y=1.614x+0.919、R2=0.9807)に増加することが確認された。つまり、図7(c)に示すように、接触時間の経過に従って、HTAの濃度が直線的(y=4.1969x−0.2106、R2=0.9807)に増加することが確認された。
【0064】
(実施例5:測定対象ガスとして過酸化水素のみを測定)
OHラジカル検出プローブとして、DMFおよびメタノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させた液を用いた。また、測定対象ガスとして過酸化水素を用いた。なお、実施例5において、加熱部120による加熱は60℃で実行した。そして、過酸化水素を接触させた後のOHラジカル検出プローブに紫外線を照射し、OHラジカル検出プローブから生じた蛍光の強度を測定した。
【0065】
図8(a)〜図8(c)は、実施例5の結果を説明する図である。図8(a)は、実施例5の蛍光スペクトルを示す図である。図8(b)は、実施例5における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図8(c)は、実施例5における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【0066】
図8(a)、図8(b)に示すように、接触時間が5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分と長くなるに従って、HTAを示す波長425nmの蛍光強度が大きくなることが分かった。また、図8(b)に示すように、接触時間の経過に従って、蛍光強度が直線的(y=0.1704x+2.4602、R2=0.9827)に増加することが確認された。つまり、図8(c)に示すように、接触時間の経過に従って、HTAの濃度が直線的(y=0.4431x−0.3792、R2=0.9827)に増加することが確認された。
【0067】
(実施例6:測定対象ガスとしてオゾンおよび過酸化水素の混合ガスを測定)
OHラジカル検出プローブとして、DMFおよびメタノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させた液を用いた。また、測定対象ガスとしてオゾンおよび過酸化水素の混合ガスを用いた。なお、実施例6において、加熱部120による加熱は60℃で実行した。そして、オゾンおよび過酸化水素の混合ガスを接触させた後のOHラジカル検出プローブに紫外線を照射し、OHラジカル検出プローブから生じた蛍光の強度を測定した。
【0068】
図9(a)〜図9(c)は、実施例6の結果を説明する図である。図9(a)は、実施例6の蛍光スペクトルを示す図である。図9(b)は、実施例6における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。図9(c)は、実施例6における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、OHラジカル検出プローブ中のHTAの濃度(nM)との関係を示す図である。
【0069】
図9(a)、図9(b)に示すように、接触時間が5分、10分、15分、20分、25分と長くなるに従って、HTAを示す波長425nmの蛍光強度が大きくなることが分かった。また、図9(b)に示すように、接触時間の経過に従って、蛍光強度が直線的(y=2.7931x−2.5327、R2=0.9916)に増加することが確認された。つまり、図9(c)に示すように、接触時間の経過に従って、HTAの濃度が直線的(y=7.2629x−6.5858、R2=0.9916)に増加することが確認された。
【0070】
図10は、実施例4〜実施例6を測定対象ガスとしたときに、OHラジカル検出プローブ中に生成されたHTAの濃度を説明する図である。図10中、実施例4を白四角で示し、実施例5を黒四角で示し、実施例6を黒丸で示す。なお、実施例4〜実施例6では、反応時間(OHラジカル検出プローブ102と測定対象ガスとの接触時間)が、5分、10分、15分、20分、25分の際のHTAの濃度を導出した。
【0071】
その結果、図10に示すように、実施例4〜実施例6のいずれも反応時間が長くなるにしたがって、HTAの濃度(OHラジカルの濃度)が上昇することが分かった。また、実施例6(オゾンおよび過酸化水素の混合ガス)は、実施例4(オゾンおよび水蒸気の混合ガス)より、HTAの濃度が高いことが分かった。実施例4は、実施例5(過酸化水素のみ)よりHTAの濃度が高いことが分かった。
【0072】
(実施例7:極性プロトン性有機溶媒としてメタノールを用いた場合)
DMFおよびメタノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させたOHラジカル検出プローブを用いて、オゾンおよび水蒸気の混合ガスの測定を行い、HTAの濃度からHTAの生成速度(nM/分)を求めた。
【0073】
図11(a)および図11(b)は、実施例7の結果を説明する図である。図11(a)は、実施例7の蛍光スペクトルを示す図である。図11(b)は、実施例7における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。なお、図11(a)中、2回目は、1回目の18日(25920分)後の測定結果である。
【0074】
図11(a)および図11(b)に示すように、極性プロトン性有機溶媒としてメタノールを用いたOHラジカル検出プローブでは、HTAの生成速度が0.00034nM/分程度であった。
【0075】
(実施例8:極性プロトン性有機溶媒としてエタノールを用いた場合)
DMFおよびエタノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させたOHラジカル検出プローブを用いて、オゾンおよび水蒸気の混合ガスの測定を行い、HTAの濃度からHTAの生成速度(nM/分)を求めた。
【0076】
図12(a)および図12(b)は、実施例8の結果を説明する図である。図12(a)は、実施例8の蛍光スペクトルを示す図である。図12(b)は、実施例8における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。なお、図12(a)中、2回目は、1回目の18日(25920分)後の測定結果である。
【0077】
図12(a)および図12(b)に示すように、極性プロトン性有機溶媒としてエタノールを用いたOHラジカル検出プローブでは、HTAの生成速度が0.00041nM/分程度であった。
【0078】
(実施例9:極性プロトン性有機溶媒として2−プロパノールを用いた場合)
DMFおよび2−プロパノール(体積比4:1)にテレフタル酸を2mmol/L溶解させたOHラジカル検出プローブを用いて、オゾンおよび水蒸気の混合ガスの測定を行い、HTAの濃度からHTAの生成速度(nM/分)を求めた。
【0079】
図13(a)および図13(b)は、実施例9の結果を説明する図である。図13(a)は、実施例9の蛍光スペクトルを示す図である。図13(b)は、実施例9における測定対象ガスとOHラジカル検出プローブとの接触時間(分)と、蛍光強度との関係を示す図である。なお、図13(a)中、2回目は、1回目の18日(25920分)後の測定結果である。
【0080】
図13(a)および図13(b)に示すように、極性プロトン性有機溶媒として2−プロパノールを用いたOHラジカル検出プローブでは、HTAの生成速度が0.00054nM/分程度であった。
【0081】
実施例7〜実施例9の結果から、極性プロトン性有機溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノールが効率よく利用できることが確認された。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、実施形態において、OHラジカル検出プローブが、OHラジカルスカベンジャーとして芳香族カルボン酸を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、OHラジカル検出プローブは、芳香族カルボン酸以外のOHラジカルスカベンジャーを備えてもよい。
【0084】
また、実施形態において、OHラジカル検出プローブが、芳香族カルボン酸、極性非プロトン性有機溶媒、および、極性プロトン性有機溶媒のみを含む場合を例に挙げて説明した。しかし、OHラジカル検出プローブは、水を含まなければよく、他の溶媒を含んでもよい。
【0085】
また、実施形態において、OHラジカル測定装置100が加熱部120を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、加熱部120は必須の構成ではない。
【0086】
また、実施形態において、濃度換算部140が、照射部150と、測定部160と、制御部170とを含む場合を例に挙げて説明した。しかし、濃度換算部140は、測定対象ガスに接触させた後のOHラジカル検出プローブ中における、芳香族カルボン酸とOHラジカルとの反応生成物の濃度に基づいて、測定対象ガス中のOHラジカルの濃度を換算することができれば、構成に限定はない。濃度換算部140は、例えば、ガスクロマトグラフ(GC)、液体クロマトグラフ(LC)、質量分析装置(MS)、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS、GC−MS/MS)、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC−MS、LC−MS/MS)、および、赤外分光装置(IR)のうちのいずれか1またはいずれか2以上の装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
OHラジカル検出プローブ、OHラジカル測定装置、および、OHラジカル測定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
S110 接触工程
S120 照射・測定工程
S130 導出工程
100 OHラジカル測定装置
102 OHラジカル検出プローブ
110 収容部
120 加熱部
130 ガス供給部
140 濃度換算部
150 照射部
160 測定部
172 濃度導出部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際調査報告】

[広告欄]

ログインすれば広告は減ります

ログインすれば広告は減ります