(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年5月16日
【発行日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】プラズマ式治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/44 20060101AFI20201030BHJP
A61C 17/06 20060101ALI20201030BHJP
A61C 1/08 20060101ALI20201030BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
A61N1/44
A61C17/06 Z
A61C1/08 F
H05H1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2019-552355(P2019-552355)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年11月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-215731(P2017-215731)
(32)【優先日】2017年11月8日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 喜重
(72)【発明者】
【氏名】長原 悠
(72)【発明者】
【氏名】上原 剛
(72)【発明者】
【氏名】大下 貴也
【テーマコード(参考)】
2G084
4C052
4C053
【Fターム(参考)】
2G084AA13
2G084AA14
2G084AA24
2G084BB03
2G084BB06
2G084BB11
2G084BB23
2G084BB37
2G084CC03
2G084CC34
2G084DD01
2G084DD18
2G084DD21
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2G084DD63
2G084FF02
2G084GG02
2G084GG07
2G084HH03
2G084HH37
2G084HH45
2G084HH57
4C052AA03
4C052AA06
4C053MM02
(57)【要約】
落下による衝撃力等の意図せぬ外力により管状誘電体が破損し、治療効果が低下した状態では、プラズマや活性ガスの吐出を抑制する、プラズマ式治療装置を提供する。
本発明のプラズマ式治療装置は、プラズマ発生部(12)と、プラズマ発生部(12)にて発生したプラズマ及びプラズマによって生じる活性ガスの少なくとも一方を吐出するノズル(1)と、を有する照射器具(10)と、照射器具(10)が受けた衝撃力等の意図せぬ外力を検出する検出部(15)と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生部と、前記プラズマ発生部にて発生したプラズマ及び前記プラズマによって生じる活性ガスの少なくとも一方を吐出するノズルと、を有する照射器具と、
前記照射器具が受けた外力を検出する検出部と、を備えているプラズマ式治療装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記ノズルよりも前記プラズマ発生部に近い請求項1に記載のプラズマ式治療装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記照射器具から離脱可能である請求項1または2に記載のプラズマ式治療装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記照射器具が前記外力を受けたときに変色する請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ式治療装置。
【請求項5】
前記検出部の検出結果に基づいて前記外力について演算する演算部を更に備えている請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ式治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ式治療装置に関する。
本願は、2017年11月8日に、日本に出願された特願2017−215731号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば歯科治療等の医療を用途とするプラズマ式治療装置が知られている。プラズマ式治療装置は、創傷等の患部にプラズマ又は活性ガスを照射することで、患部を治癒する。前記活性ガスは、プラズマ式治療装置内でプラズマによって発生させられる。例えば、特許文献1は、歯科治療を行うプラズマジェット照射装置を開示している。前記プラズマジェット照射装置は、プラズマジェット照射手段を有する照射器具を備えている。前記プラズマジェット照射装置は、発生したプラズマと、活性種と、を被照射物に照射する。前記活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。
特許文献2は、照射器具内部で活性ガス(活性種)を発生させ、その活性ガスをノズルから吐出して患部に照射するプラズマ式治療装置を開示している。前記活性ガスは、例えば、活性酸素や活性窒素等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5441066号公報
【特許文献2】特開2017−50267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のプラズマ式治療装置において、照射器具が意図せぬ外力(衝撃力)を受けることがある。照射器具が受ける外力としては、次のような衝撃力が考えられる。照射器具が床などに落下した際の衝撃力;照射器具に接続されている配線により、照射器具が振り子として動き、照射器具が壁などに衝突した際の衝撃力;照射器具の上に重量物が落下した際の衝撃力。
照射器具に、のような衝撃力が加えられると、照射器具のプラズマ発生部に備えられた管状誘電体(例えば、ガラス管)と、その内部に配置された内部電極とが衝突し、管状誘電体が破損することがある。管状誘電体が破損すると、誘電体バリア放電が不安定になり、照射器具から吐出されるプラズマの強度や活性ガスの組成に影響が生じ、治療効果が低下する懸念がある。また、破損により生じた管状誘電体の破片が、管状誘電体内部のガス流路内に詰まることがある。ガス流路内に破片が詰まると、プラズマ発生用ガスの流量が低下してプラズマの強度や活性ガスの組成に影響が生じ、治療効果が低下する懸念がある。
しかしながら、プラズマ式治療装置においては、その構造上、外力により管状誘電体が破損した場合であっても、それを外部から確認することは難しいのみならず、プラズマの強度や活性ガスの組成の変化を確認することも容易ではない。したがって、従来、使用者がプラズマ式治療装置による治療効果が低下していることに気づかないまま、治療が行われてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、プラズマ式治療装置において、治療効果が低下した状態でのプラズマや活性ガスの吐出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るプラズマ式治療装置は、プラズマ発生部と、前記プラズマ発生部にて発生したプラズマ及び前記プラズマによって生じる活性ガスの少なくとも一方を吐出するノズルと、を有する照射器具と、前記照射器具に加えられた外力を検出する検出部と、を備えている。
【0007】
この場合、検出部が、照射器具が受けた外力を検出する。したがって、照射器具に外力が加えられたことを、例えば医師などの使用者が検出部から認識することができる。これにより、例えば、照射器具に外力が加えられた後に、その照射器具を用いて治療し続けるのを防ぐこと等が可能になり、治療効果が低下した状態でのプラズマや活性ガスの吐出を抑制することができる。
【0008】
前記検出部は、前記ノズルよりも前記プラズマ発生部に近くてもよい。
【0009】
この場合、検出部がノズルよりもプラズマ発生部に近い。これにより、照射器具のうち、特にプラズマ発生部が受けた外力を、検出部によって精度良く検出することができる。プラズマ発生部に外力が加えられると、プラズマや活性ガスの吐出に影響が生じ易い。したがって、プラズマ発生部が受けた外力を検出部によって精度良く検出することで、治療効果が低下した状態でのプラズマや活性ガスの吐出を確実に抑制することができる。
【0010】
前記検出部は、前記照射器具から離脱可能であってもよい。
【0011】
この場合、検出部が、照射器具から離脱可能である。したがって、例えば、照射器具に外力が加えられたことを使用者が認識した後、照射器具を検査して照射器具そのものの異常がみられない場合であって、検出部が再使用不能となったときなどであっても、検出部を照射器具から離脱させて交換し、照射器具を再利用することができる。
【0012】
前記検出部は、前記照射器具が前記外力を受けたときに変色してもよい。
【0013】
この場合、照射器具に外力が加えられたときに検出部が変色する。したがって、例えば使用者が単に検出部を視認すること等により、照射器具に外力が加えられたか否かを判別することができる。
【0014】
前記検出部の検出結果に基づいて前記外力について演算する演算部を更に備えていてもよい。
【0015】
この場合、演算部が、検出部の検出結果に基づいて外力について演算する。したがって、演算部の演算結果に基づいて、照射器具に外力が加えられたか否かを使用者が判別することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラズマ式治療装置において、治療効果が低下した状態でのプラズマや活性ガスの吐出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一プラズマ式治療装置を示す模式図である。
【図2】本発明の一プラズマ式治療装置を構成する照射器具の部分断面図である。
【図3】図2の照射器具のx−x断面図である。
【図4】図2の照射器具のy−y断面図である。
【図5】本発明の一プラズマ式治療装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他のプラズマ式治療装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のプラズマ式治療装置は、プラズマジェット照射装置又は活性ガス照射装置である。
プラズマジェット照射装置は、プラズマを発生させる。プラズマジェット照射装置は、発生したプラズマと、活性種と、を被照射物に直接照射する。前記活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。活性種としては、活性酸素種や活性窒素種を例示できる。活性酸素種としては、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル等を例示できる。活性窒素種としては、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシナイトライト、過酸化亜硝酸、三酸化二窒素等を例示できる。
活性ガス照射装置は、プラズマを発生させる。活性ガス照射装置は、活性種を含む活性ガスを被照射物に照射する。前記活性種は、プラズマ中の気体又はプラズマ周辺の気体とプラズマとが反応して生成される。
【0019】
以下、本発明のプラズマ式治療装置の一実施形態について説明する。
本実施形態のプラズマ式治療装置は、活性ガス照射装置である。
図1から図5に示すように、本実施形態の活性ガス照射装置100は、照射器具10と、検出部15と、供給ユニット20と、ガス管路30と、電気配線40と、供給源70と、報知部80と、制御部90(演算部)と、を備える。
照射器具10は、照射器具10内で発生した活性ガスを吐出する。供給ユニット20は、照射器具10に電力及びプラズマ発生用ガスを供給する。供給ユニット20は、供給源70を収容している。供給源70は、プラズマ発生用ガスを収容している。供給ユニット20は、例えば、100Vの家庭用電源等の電源(不図示)と接続されている。ガス管路30は、照射器具10と供給ユニット20とを接続している。電気配線40は、照射器具10と供給ユニット20とを接続している。本実施形態において、ガス管路30と電気配線40とは、各々独立しているが、ガス管路30と電気配線40とは一体でもよい。
【0020】
図2は、照射器具10における軸線に沿う面の断面(縦断面)図である。
図2に示すように、照射器具10は、長尺状のカウリング2と、カウリング2の先端から突出するノズル1と、カウリング2内に位置するプラズマ発生部12とを備える。
カウリング2は、円筒形の胴体部2bと、胴体部2bの先端を塞ぐヘッド部2aとを備える。なお、胴体部2bは、円筒形に限らず、四角筒、六角筒、八角筒等の多角筒形でもよい。
【0021】
ヘッド部2aは、先端に向かい漸次窄んでいる。即ち、本実施形態におけるヘッド部2aは、円錐形である。なお、ヘッド部2aは、円錐形に限らず、四角錘、六角錘、八角錘等の多角錘形でもよい。
ヘッド部2aは、先端に嵌合孔2cを有している。嵌合孔2cは、ノズル1を受け入れる孔である。ノズル1は、ヘッド部2aに着脱可能になっている。ヘッド部2aは、管軸O1方向に延びる第一の活性ガス流路7を内部に有している。管軸O1は、胴体部2bの管軸である。
胴体部2bは、外周面に操作スイッチ9(操作部)を備えている。
【0022】
図2及び図3に示すように、プラズマ発生部12は、管状誘電体3(誘電体)と、内部電極4と、外部電極5とを備える。
管状誘電体3は、管軸O1方向に延びる円筒状の部材である。管状誘電体3は、管軸O1方向に延びるガス流路6を内部に有している。第一の活性ガス流路7とガス流路6とは連通している。なお、管軸O1は、管状誘電体3の管軸と同じである。
管状誘電体3は、内部に内部電極4を備えている。内部電極4は、管軸O1方向に延びる略円柱状の部材である。内部電極4は、管状誘電体3の内面と離間している。
管状誘電体3の外周面の一部には、内部電極4に沿う外部電極5を備えている。外部電極5は、管状誘電体3の外周面に沿って周回する環状の電極である。
図3に示すように、管状誘電体3と内部電極4と外部電極5とは、管軸O1を中心として同心円状に位置している。
本実施形態において、内部電極4の外周面と外部電極5の内周面とは、管状誘電体3を挟んで互いに対向している。
【0023】
プラズマ発生部12は、カウリング2から離脱可能である。プラズマ発生部12は、例えば、カウリング2から管軸O1方向に引き抜かれる。例えば、カウリング2をヘッド部2aと胴体部2bとに分解した後、プラズマ発生部12が、胴体部2bに対して前側に引き抜かれるようにプラズマ発生部12を構成してもよい(なお、管軸O1方向に沿ってヘッド部2a側を前側、胴体部2b側を後側とする)。
例えば、プラズマ発生部12が破損した場合などには、カウリング2からプラズマ発生部12を離脱させた後、新たなプラズマ発生部12をカウリング2に装着することができる。このとき、新たなプラズマ発生部12は、カウリング2に対して管軸O1方向に差し込むことができる。
【0024】
ノズル1は、嵌合孔2cに嵌合する台座部1bと、台座部1bから突出する照射管1cとを備える。台座部1bと照射管1cとは一体になっている。ノズル1は、その内部に、第二の活性ガス流路8を有している。ノズル1は、先端に照射口1aを有している。第二の活性ガス流路8と第一の活性ガス流路7とは、連通している。
【0025】
胴体部2bの材料は、特に制限はないが、絶縁性を有する材料が好ましい。絶縁性の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を例示できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等を例示できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等を例示できる。
胴体部2bの大きさは、特に制限はなく、手指で把持しやすい大きさとすることができる。
【0026】
ヘッド部2aの材料は、特に制限はなく、絶縁性を有してもよいし、絶縁性を有しなくてもよい。ヘッド部2aの材料は、耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料が好ましい。耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料としては、ステンレス等の金属を例示できる。ヘッド部2aと胴体部2bとの材料は、同じでもよく、異なってもよい。
ヘッド部2aの大きさは、活性ガス照射装置100の用途等を勘案して決定できる。例えば、活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、ヘッド部2aの大きさは、口腔内に挿入できる大きさが好ましい。
【0027】
管状誘電体3の材料としては、公知のプラズマ装置に使用する誘電体材料を適用できる。管状誘電体3の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、合成樹脂等を例示できる。管状誘電体3の誘電率は低いほど好ましい。
【0028】
管状誘電体3の内径Rは、内部電極4の外径dを勘案して適宜決定できる。内径Rは、後述する距離sを所望の範囲とするように決定する。
【0029】
内部電極4は、管軸O1方向に延びる軸部と、軸部の外周面のねじ山とを備える。軸部は、中実でもよいし、中空でもよい。中でも、軸部は中実が好ましい。軸部が中実であれば、加工が容易であり、かつ機械的な耐久性を高められる。内部電極4のねじ山は、軸部の周方向に周回する螺旋状のねじ山である。内部電極4の形態は、雄ねじと同様の形態である。
内部電極4は、外周面にねじ山を有することで、ねじ山先端部の電界が局所的に強くなり、放電開始電圧が低くなる。このため、低電力でプラズマを生成し、維持できる。
【0030】
内部電極4の外径dは、活性ガス照射装置100の用途(即ち、照射器具10の大きさ)等を勘案して、適宜決定できる。活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、外径dは、0.5mm〜20mmが好ましく、1mm〜10mmがより好ましい。外径dが下限値以上であれば、内部電極4を容易に製造できる。加えて、外径dが下限値以上であれば、内部電極4の表面積が大きくなり、プラズマをより効率的に発生して、治癒等をより促進できる。外径dが上限値以下であれば、照射器具10を過度に大きくすることなく、プラズマをより効率的に発生し、治癒等をより促進できる。
【0031】
内部電極4のねじ山の高さhは、内部電極4の外径dを勘案して適宜決定できる。
内部電極4のねじ山のピッチpは、内部電極4の長さや外径d等を勘案して適宜決定できる。
【0032】
内部電極4の材料は、導電材であれば特に制限はなく、公知のプラズマ装置の電極に使用できる金属を適用できる。内部電極4の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
【0033】
内部電極4としては、JIS B 0205:2001のメートルねじの規格品(M2、M2.2、M2.5、M3、M3.5等)、JIS B 2016:1987のメートル台形ねじの規格品(Tr8×1.5、Tr9×2、Tr9×1.5等)、JIS B 0206:1973のユニファイ並目ねじの規格品(No.1−64UNC、No.2−56UNC、No.3−48UNC等)等と同等の仕様が好ましい。これらの規格品と同等の仕様であれば、コスト面で優位である。
【0034】
内部電極4の外面と管状誘電体3の内面との距離sは、0.05mm〜5mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましい。距離sが下限値以上であれば、所望量のプラズマ発生用ガスを容易に通流できる。距離sが上限値以下であれば、プラズマをさらに効率的に発生し、活性ガスの温度を低くできる。
【0035】
外部電極5の材料は、導電材であれば特に制限はなく、公知のプラズマ装置の電極に使用する金属を適用できる。外部電極5の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
【0036】
ノズル1の材料は、特に制限はなく、絶縁性を有してもよいし、導電性を有してもよい。ノズル1の材料としては、耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料が好ましい。耐摩耗性、耐腐食性に優れる材料としては、ステンレス等の金属を例示できる。
【0037】
ノズル1における照射管1c内の流路の長さ(即ち、距離L2)は、活性ガス照射装置100の用途等を勘案して、適宜決定できる。
照射口1aの開口径は、例えば、0.5mm〜5mmが好ましい。開口径が下限値以上であれば、活性ガスの圧力損失を抑制できる。開口径が上限値以下であれば、照射する活性ガスの流速を高めて、患部の治癒等を促進できる。
照射管1cは、管軸O1に対して屈曲している。
照射管1cの管軸O2と管軸O1とのなす角度θは、活性ガス照射装置100の用途等を勘案して決定できる。
【0038】
内部電極4の先端Q1からヘッド部2aの先端Q2までの距離L1と、先端Q2から照射口1aまでの距離L2との合計(即ち、内部電極4から照射口1aまでの道のり)は、活性ガス照射装置100に求める大きさや、照射した活性ガスが当たる面(被照射面)における温度等を勘案して適宜決定する。距離L1と距離L2の合計が長ければ、被照射面の温度を低くできる。距離L1と距離L2の合計が短ければ、活性ガスのラジカル密度をさらに高めて、被照射面における清浄化、賦活化、治癒等の効果をさらに高められる。なお、先端Q2は、管軸O1と管軸O2との交点である。
【0039】
図2、図4及び図5に示すように、検出部15は、照射器具10に設けられている。図2及び図4に示すように、検出部15は、照射器具10が受けた外力(衝撃力)を検出する。検出部15は、ノズル1よりもプラズマ発生部12に近い。上述した通り、照射器具10に外力が加えられると、プラズマ発生部12に備えられた管状誘電体3と、その内部に配置された内部電極4とが衝突し、管状誘電体3が破損することがある。そこで、検出部15を、ノズル1よりもプラズマ発生部12に近い位置に設けることにより、プラズマ発生部12が受けた外力を検知することが好ましい。これにより、管状誘電体3が破損したか否かを判別することができる。
ここで、「ノズル1よりもプラズマ発生部12に近い」とは、管軸O1に沿って離間して設けられているノズル1とプラズマ発生部12とに関して、検出部15の管状誘電体3側の端部から管状誘電体3の先端部までの距離Aが、検出部15のノズル1側の端部からノズル1の付け根(ノズル1とカウリング2との境界)までの距離Bよりも短い(即ち、距離B/距離Aの比が1未満である)ことを意味する。距離Aが0である場合とは、検出部15を正面(検出部15の管軸O1とは反対側の面)から見たときに、検出部15の管状誘電体3側の端部の位置と管状誘電体3の先端部の位置が一致する場合のみならず、検出部15と管状誘電体3とが重なり合う状態をも包含する。
のことから明らかな通り、管状誘電体3の破損は、管状誘電体3と内部電極4とが対向している箇所で特に発生し易い。また、図2に示すように、管状誘電体3よりも内部電極4が短く、内部電極4の先端部が管状誘電体3の内面に対向している場合、この内部電極4の先端部が管状誘電体3の内面に対向している箇所で管状誘電体3の破損が特に発生し易い。したがって、検出部15は、管状誘電体3と内部電極4とが対向している箇所、特に内部電極4の先端部が管状誘電体3の内面に対向している箇所に加わった外力を確実に検出できる位置に設置することがより好ましい。この観点から、検出部15は、検出部15を正面(検出部15の管軸O1とは反対側の面)から見たときに、管状誘電体3と重なり合う位置に配置することが好ましく、内部電極4の先端部と重なり合う位置に配置することがより好ましい。
また、照射器具10において、管状誘電体3が受ける衝撃と同等、もしくはそれ以上の衝撃を受ける位置に、検出管15を配置する必要がある。例えば、管状誘電体3に接触している部材とOリング等のゴムを介さずに連続的に接続されている部材中に、検出部15を配置することが好ましい。また、照射器具10の胴体部2b内において、Oリング等によって、管状誘電体3を胴体部2bと離隔して配置する場合には、管状誘電体3を保持している部材の外側にある、検出部15を配置している部材の損失正接が、管状誘電体3が近接している部材の材料(衝撃を緩和し難い材料)の損失正接と同等以下であることが好ましい。また、照射器具10が受けた衝撃をそのまま伝えられる位置に、検出部15を配置することが好ましい。具体的には、照射器具10の胴体部2bの最外層に、物質中の弾性波の伝搬速度が3000m/sec以上の材料を配置し、その材料に接するように検出部15を配置する。物質中の弾性波の伝搬速度が3000m/sec以上の材料としては、金属材料等を用いることができる。
検出部15は、凹部16に配置されている。凹部16は、胴体部2bの内周面に形成されている。管軸O1に直交する方向を径方向とすると、検出部15は、管状誘電体3に対して径方向の外側に配置されている。検出部15は、管軸O1方向に延びる管状に形成されている。検出部15が管状であることにより、照射器具10内の狭いエリアに、検出部15を設置することができる。なお、検出部15は管状のものに限定されず、後述する機能を有するものであれば、如何なる形状であってもよい。
検出部15は、照射器具10から離脱可能である。検出部15は、プラズマ発生部12をカウリング2から離脱させた後、カウリング2内から外部に取り出される。したがって、例えば、照射器具10に外力が加えられたことを使用者が認識した後、照射器具10を検査して照射器具10そのものの異常がみられない場合であって、検出部15が再使用不能となったときなどであっても、検出部15を照射器具10から離脱させて交換し、照射器具10を再利用することができる。
なお、本明細書において、外力とは衝撃等により照射器具10が外部から受ける力をいい、より具体的には、照射器具が床などに落下した際の衝撃力;照射器具に接続されている配線により、照射器具が振り子として動き、照射器具が壁などに衝突した際の衝撃力;照射器具の上に重量物が落下した際の衝撃力等をいう。
【0040】
検出部15は、照射器具10に外力が加えられたときに変色する。本実施形態では、検出部15の色は、検出部15に所定の大きさ以上の外力が加えられる前後で異なる。検出部15の色は、検出部15に所定の大きさ以上の外力が加えられた後、元の色に戻らず変色したままである。本実施形態では、検出部15が、所定の衝撃加速度(衝撃値)以上の衝撃加速度が加えられたときに変色し、変色した状態が維持される。検出部15は、治療台の高さ(例えば、50cm)よりも低い高さから落下した場合(衝撃値G:80以下)には変色しないようにする。また、検出部15は、1mよりも高い高さから落下した場合(衝撃値G:112以上)には確実に変色するようにする。すなわち、検出部15は、衝撃値Gが80を超える場合に変色することが好ましく、衝撃値Gが112を超える場合に変色することがより好ましい。
物体が自由落下した場合、物体が床面(あるいは高さの基準となる面)に衝突する時の速度(衝突速度)Vは、V=(2gh)
1/2で表される。従って、物体が1mの高さから自由落下した場合、物体が床面に衝突する時の速度は、(2×9.8(m/sec
2)×1(m))
1/2=4.4(m/sec)である。
物体が床面に衝突する瞬間の加速度(衝突瞬間加速度)は、衝突速度V/衝突時間で表される。ここで、物体が床面に衝突する時間(衝突時間)を4msec(4×10
−3sec)と仮定する。従って、物体が床面に衝突する瞬間の衝突瞬間加速度は、4.4(m/sec)/4×10
−3(sec)=1100(m/sec
2)である。
物体が床面に衝突する時の衝撃値Gは、衝突瞬間加速度/重力加速度で表される。従って、物体が床面に衝突する時の衝撃値Gは、1100(m/sec
2)/9.8(m/sec
2)=112である。
医療用電気機器の安全性と基本的性能を確保するための、一連の技術規格であるIEC60601−1の15.3.4落下試験には、「手持ち型の医療機器は、落下によって受容できないリスクを生じる破損があってはならない。」、「適合性の判断では、試験サンプルに使用する高さ、又は1mの高さのいずれかの高い方から、コンクリートに設置した硬い木製の板の上に正常使用時に取ることができる3つの異なる姿勢でそれぞれ一度ずつ自由落下させる。」旨の記載がある。活性ガス照射装置100を用いた治療では、治療台上にいる患者の口腔内を治療する際、治療台(高さ1m以下)から照射器具10が落下することが考えられるため、1mの高さから落下した場合には、照射器具10が確実に変色するようにする。
なお、衝撃値Gとは、物がぶつかってから止まるまでの速度の変化(加速度)を重量加速度9.8(m/sec
2)で除した値のことである。
【0041】
検出部15としては、例えば、ショックウォッチ社のショックウォッチ(登録商標)を採用することができる。なお本実施形態のように、検出部15が管状の場合、検出部15として、例えば、衝撃検知チューブ(例えば、ショックウォッチ(登録商標)のチューブタイプ等)などを採用することができる。さらに、衝撃検知チューブに代えて、例えば、衝撃検知ラベル(例えば、ショックウォッチ(登録商標)のラベルタイプ等)や、衝撃検知表示器(例えば、ショックウォッチ(登録商標)のMAG2000等)などを採用することができる。
【0042】
検出部15は、例えば、管状誘電体3の強度(大きさや形状、材質)などに応じて適宜設計することができる。検出部15を適宜設計することにより、例えば、検出部15の変色に関する衝撃加速度の閾値を調節すること等ができる。
検出部15は、照射器具10の外部から視認可能である。カウリング2には、のぞき窓17が設けられている。のぞき窓17は、検出部15(凹部16)に対して径方向の外側に配置されている。検出部15は、のぞき窓17を通して照射器具10の外部から視認される。のぞき窓17には、外部からの水の浸入を防止するために、透明な樹脂フィルムが貼着されている。また、のぞき窓17の大きさ(開口している面積)は、検出部15の変色する部分の大きさと同じか、検出部15の変色する部分の大きさよりも小さくなっている。これにより、のぞき窓17を介して視認可能なことは検出部15の変色のみとなり、より検出部15の変色を正確に視認することができる。さらに、検出部15による外力の検出の感度は、管状誘電体3が破損する最低限の力(衝撃力)よりも小さい力に反応する程度である。
【0043】
図1に示すような供給ユニット20は、照射器具10に電気およびプラズマ発生用ガスを供給する。供給ユニット20は、内部電極4と外部電極5との間に印加する電圧及び周波数を調節できる。供給ユニット20は、供給源70を収容する筐体21を備えている。筐体21は、供給源70を離脱可能に収容する。これにより、筐体21に収容された供給源70内のガスがなくなったとき、供給源70を交換することができる。
【0044】
供給源70は、プラズマ発生部12にプラズマ発生用ガスを供給する。供給源70は、内部にプラズマ発生用ガスが収容された耐圧容器である。図5に示すように、供給源70は、筐体21内に配置された配管75に対して着脱可能に装着されている。配管75は、供給源70とガス管路30とを接続している。
配管75には、電磁弁71、圧力レギュレータ73、流量コントローラ74及び圧力センサ72(残量センサ)が取り付けられている。
【0045】
電磁弁71が開状態となると、供給源70から配管75及びガス管路30を介して照射器具10にプラズマ発生用ガスが供給される。図示の例では、電磁弁71は、弁開度が調節できる構成ではなく、開閉の切り替えのみができる構成である。なお電磁弁71は、弁開度が調節できる構成であってもよい。
圧力レギュレータ73は、電磁弁71と供給源70との間に配置されている。圧力レギュレータ73は、供給源70から電磁弁71に向かうプラズマ発生用ガスの圧力を低下(プラズマ発生用ガスを減圧)させる。
【0046】
流量コントローラ74は、電磁弁71とガス管路30との間に配置されている。流量コントローラ74は、電磁弁71を通過したプラズマ発生用ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を調整する。流量コントローラ74は、プラズマ発生用ガスの流量を、例えば3L/minに調整する。
圧力センサ72は、供給源70におけるプラズマ発生用ガスの残量V1を検出する。圧力センサ72は、前記残量V1として、供給源70内の圧力(残圧)を測定する。圧力センサ72は、圧力レギュレータ73と供給源70との間(圧力レギュレータ73よりも一次側)を通過するプラズマ発生用ガスの圧力を、供給源70の圧力として測定する。圧力センサ72としては、例えば、キーエンス社のAP−V80シリーズ(具体的には、例えばAP−15S)等を採用することができる。
【0047】
配管75の供給源70側の端部には、継手76が設けられている。継手76には、供給源70が着脱可能に装着されている。供給源70を継手76に着脱させることで、電磁弁71、圧力レギュレータ73、流量コントローラ74及び圧力センサ72(以下、「電磁弁71等」という。)を筐体21に固定したまま、供給源70を交換することができる。この場合、交換前の供給源70、交換後の供給源70のいずれについても共通の電磁弁71等を使用することができる。なお電磁弁71等は、供給源70に固定され、供給源70と一体的に筐体21から離脱可能であってもよい。
【0048】
図1に示すように、ガス管路30は、供給ユニット20から照射器具10にプラズマ発生用ガスを供給する経路である。ガス管路30は、照射器具10の管状誘電体3の後端部に接続している。ガス管路30の材料は特に制限はなく、公知のガス管に用いる材料を適用できる。ガス管路30の材料としては、例えば、樹脂製の配管、ゴム製のチューブ等を例示でき、可撓性を有する材料が好ましい。
【0049】
電気配線40は、供給ユニット20から照射器具10に電気を供給する配線である。電気配線40は、照射器具10の内部電極4、外部電極5及び操作スイッチ9に接続している。電気配線40の材料は特に制限はなく、公知の電気配線に用いる材料を適用できる。電気配線40の材料としては、絶縁材料で被覆した金属導線等を例示できる。
【0050】
図5に示すような制御部90は、情報処理装置を用いて構成される。すなわち、制御部90は、バスで接続されたCPU(Central Processor Unit)、メモリ及び補助記憶装置を備える。制御部90は、プログラムを実行することによって動作する。制御部90は、例えば、供給ユニット20に内蔵されていてもよい。制御部90は、照射器具10、供給ユニット20および報知部80を制御する。
【0051】
制御部90には、照射器具10の操作スイッチ9が電気的に接続されている。操作スイッチ9が操作されると、操作スイッチ9から制御部90に電気信号が送られる。制御部90が前記電気信号を受け付けると、制御部90は電磁弁71及び流量コントローラ74を作動させ、かつ内部電極4と外部電極5との間に電圧を印加する。
【0052】
本実施形態では、操作スイッチ9が押釦であり、使用者が操作スイッチ9を1回押した(使用者が操作スイッチ9を操作した)ときに、制御部90が前記電気信号を受け付ける。すると制御部90が、電磁弁71を所定の時間、開放して電磁弁71を通過したプラズマ発生用ガスの流量を流量コントローラ74に調整させ、かつ内部電極4と外部電極5との間に電圧を所定の時間、印加する。その結果、供給源70からプラズマ発生部12に一定量のプラズマ発生用ガスが供給され、ノズル1から活性ガスが一定時間(例えば、数秒から数十秒程度、本実施形態では30秒)、継続して吐出される。
【0053】
制御部90は、プラズマ発生用ガスの残回数Nを演算する。残回数Nは、供給源70に残存するプラズマ発生用ガスによって、供給源70からプラズマ発生部12にプラズマ発生用ガスを供給することができる残りの回数である。残回数Nは、供給源70におけるプラズマ発生用ガスの残量V1から算出することができる。残回数Nは、残量V1と、操作スイッチ9の操作1回あたりのプラズマ発生用ガスの供給量V2と、に基づいて演算(N=V1/V2)することができる。
【0054】
報知部80は、残回数Nを報知する。報知部80は、制御部90が演算した残回数Nを数字で表示する。報知部80として、例えば、任意の数字を表示可能なディスプレイ装置を採用してもよく、機械式のカウンタを採用してもよい。なお報知部80は、音声によって残回数Nを報知してもよい。この場合、報知部80としては、例えばスピーカ等を採用することができる。
【0055】
次に、活性ガス照射装置100の使用方法を説明する。
例えば医師などの使用者は、照射器具10を持って移動させ、ノズル1を後述する被照射物に向ける。この状態で操作スイッチ9を押し、供給源70から照射器具10に電気及びプラズマ発生用ガスを供給する。
照射器具10に供給したプラズマ発生用ガスは、管状誘電体3の後端部から管状誘電体3の内空部に流入する。プラズマ発生用ガスは、内部電極4と外部電極5とが対向する位置において電離し、プラズマになる。
【0056】
本実施形態においては、内部電極4と外部電極5とが、プラズマ発生用ガスの流れる方向と直交する向きに対向している。内部電極4の外周面と外部電極5の内周面とが対向する位置で発生したプラズマは、ガス流路6と、第一の活性ガス流路7と、第二の活性ガス流路8とをこの順に通流する。この間、プラズマは、ガス組成を変化しつつ通流し、ラジカル等の活性種を含む活性ガスとなる。
【0057】
生じた活性ガスは照射口1aから吐出される。吐出された活性ガスは、照射口1a近傍の気体の一部をさらに活性化して活性種を生成する。これらの活性種を含む活性ガスを被照射物に照射する。
【0058】
被照射物としては、例えば、細胞、生体組織、生物個体等を例示できる。
生体組織としては、内蔵等の各器官、体表や体腔の内面を覆う上皮組織、歯肉、歯槽骨、歯根膜及びセメント質等の歯周組織、歯、骨等を例示できる。
生物個体としては、ヒト、犬、猫、豚等の哺乳類;鳥類;魚類等のいずれでもよい。
【0059】
プラズマ発生用ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等の希ガス;窒素;等を例示できる。これらのガスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プラズマ発生用ガスは、窒素を主成分とすることが好ましい。ここで、窒素を主成分とするとは、プラズマ発生用ガスにおける窒素の含有量が50体積%超であることをいう。即ち、プラズマ発生用ガスにおける窒素の含有量は、50体積%超が好ましく、70体積%以上がさらに好ましく、90体積%〜100体積%が特に好ましい。プラズマ発生用ガス中、窒素以外のガス成分は、特に制限はなく、例えば、酸素、希ガス等を例示できる。
【0060】
活性ガス照射装置100が口腔内用治療器具である場合、管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの酸素濃度は、1体積%以下が好ましい。酸素濃度が上限値以下であれば、オゾンの発生を低減できる。
【0061】
管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの流量は、1L/min〜10L/minが好ましい。
管状誘電体3に導入するプラズマ発生用ガスの流量が前記下限値以上であると、被照射物における被照射面の温度の上昇を抑制しやすい。プラズマ発生用ガスの流量が前記上限値以下であると、被照射物の清浄化、賦活化又は治癒をさらに促進できる。
【0062】
内部電極4と外部電極5との間に印加する交流電圧は、5kVpp以上20kVpp以下が好ましい。ここで、交流電圧を表す単位「Vpp(Volt peak to peak)」は、交流電圧波形の最高値と最低値との電位差である。
印加する交流電圧が前記上限値以下であれば、発生するプラズマの温度を低く抑えられる。印加する交流電圧が前記下限値以上であれば、さらに効率的にプラズマを発生できる。
【0063】
内部電極4と外部電極5との間に印加する交流の周波数は、0.5kHz以上20kHz未満が好ましく、1kHz以上15kHz未満がより好ましく、2kHz以上10kHz未満がさらに好ましく、3kHz以上9kHz未満が特に好ましく、4kHz以上8kHz未満が最も好ましい。
交流の周波数が前記上限値未満であれば、発生するプラズマの温度を低く抑えられる。交流の周波数が前記下限値以上であれば、さらに効率的にプラズマを発生できる。
【0064】
ノズル1の照射口1aから照射する活性ガスの温度は、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。
ノズル1の照射口1aから照射する活性ガスの温度が前記上限値以下であると、被照射面の温度を40℃以下にしやすい。被照射面の温度を40℃以下にすることで、被照射部分が患部である場合にも、患部への刺激を低減できる。
ノズル1の照射口1aから照射する活性ガスの温度の下限値は、特に制限はなく、例えば、10℃以上である。
活性ガスの温度は、照射口1aにおける活性ガスの温度を熱電対で測定した値である。
【0065】
照射口1aから被照射面までの距離(照射距離)は、例えば、0.01mm〜10mmが好ましい。照射距離が下限値以上であれば、被照射面の温度を低くし、被照射面への刺激をさらに緩和できる。照射距離が上限値以下であれば、治癒等の効果をさらに高められる。
【0066】
照射口1aから1mm以上10mm以下の距離で離れた位置の被照射面の温度は、40℃以下が好ましい。被照射面の温度が40℃以下であれば、被照射面への刺激を低減できる。被照射面の温度の下限値は特に制限はないが、例えば10℃以上である。
被照射面の温度は、内部電極4と外部電極5との間に印加する交流電圧、照射する活性ガスの吐出量、内部電極4の先端Q1から照射口1aまでの道のり等の組み合わせで調節できる。
被照射面の温度は、熱電対を用いて測定できる。
【0067】
活性ガスに含まれる活性種(ラジカル等)としては、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオキシナイトライト、過酸化亜硝酸、三酸化二窒素等を例示できる。活性ガスに含まれる活性種の種類は、例えば、プラズマ発生用ガスの種類等にさらに調節できる。
【0068】
活性ガス中におけるヒドロキシラジカルの密度(ラジカル密度)は、0.1μmol/L〜300μmol/Lが好ましい。ラジカル密度が前記下限値以上であると、細胞、生体組織及び生物個体から選ばれる被照射物の清浄化、賦活化又は異常の治癒を促進しやすい。ラジカル密度が前記上限値以下であると、被照射面への刺激を低減できる。
【0069】
ラジカル密度は、例えば、以下の方法で測定できる。
DMPO(5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド)0.2mol/L溶液0.2mLに対して、活性ガスを30秒間照射する。この際、照射口1aから液面までの距離を5.0mmとする。活性ガスを照射した前記溶液について、電子スピン共鳴(ESR)法を利用してヒドロキシルラジカル濃度を測定し、これをラジカル密度とする。
【0070】
活性ガス中における一重項酸素の密度(一重項酸素密度)は、0.1μmol/L〜300μmol/Lが好ましい。一重項酸素密度が前記下限値以上であると、細胞、生体組織及び生物個体等の被照射物の清浄化、賦活化又は異常の治癒を促進しやすい。前記上限値以下であると、被照射面への刺激を低減できる。
【0071】
一重項酸素密度は、例えば、以下の方法で測定できる。
TPC(2,2,5,5−テトラメチル−3−ピロリン−3−カルボキサミド)0.1mol/L溶液0.4mLに対して、活性ガスを30秒間照射する。この際、照射口1aから液面までの距離を5.0mmとする。活性ガスを照射した前記溶液について、電子スピン共鳴(ESR)法を利用して一重項酸素濃度を測定し、これを一重項酸素密度とする。
【0072】
照射口1aから照射する活性ガスの流量は、1L/min〜10L/minが好ましい。照射口1aから照射する活性ガスの流量が前記下限値以上であると、活性ガスが被照射面に作用する効果を充分に高められる。照射口1aから照射する活性ガスの流量が前記上限値未満であると、活性ガスの被照射面の温度が過度に高まることを防止できる。加えて、被照射面が濡れている場合には、被照射面の急速な乾燥を防止できる。さらに、被照射面が患部である場合には、患者への刺激を抑制できる。
なお、活性ガス照射装置100において、照射口1aから照射する活性ガスの流量は、管状誘電体3へのプラズマ発生用ガスの供給量で調節できる。
【0073】
活性ガス照射装置100によって生じる活性ガスは、外傷や異常の治癒を促進する効果を有する。活性ガスを細胞、生体組織又は生物個体に照射することによって、その被照射部分の清浄化、賦活化、又はその被照射部分の治癒を促進できる。
【0074】
外傷や異常の治癒を促進する目的で活性ガスを照射する場合、その照射頻度、照射回数及び照射期間は特に制限はない。例えば、1L/min〜5.0L/minの照射量で活性ガスを患部に照射する場合、1日1回〜5回、毎回10秒〜10分、1日〜30日間、等の照射条件が、治癒を促進する観点から好ましい。
【0075】
本実施形態の活性ガス照射装置100は、特に口腔内用治療器具、歯科用治療器具として有用である。また、本実施形態の活性ガス照射装置100は、動物治療用器具としても好適である。
【0076】
以上説明したような本活性ガス照射装置100によれば、検出部15が、照射器具10が受けた外力を検出する。したがって、照射器具10に外力が加えられたことを、例えば医師などの使用者が検出部15から認識することができる。さらに、照射器具10にどの程度の外力が加えられた場合にプラズマ発生部12に備えられた管状誘電体3と、その内部に配置された内部電極4とが衝突し、管状誘電体3が破損するかを予め検証して、それによって定めた値の外力を検出するよう検出部15を設定しておけば、管状誘電体3の破損の有無を高い信頼性をもって判別することができる。これにより、例えば、照射器具10に外力が加えられた後に、その照射器具10を用いて治療し続けるのを防ぐこと等が可能になり、治療効果が低下した状態でのプラズマや活性ガスの吐出を抑制することができる。
【0077】
検出部15がノズル1よりもプラズマ発生部12に近い。これにより、照射器具10のうち、特にプラズマ発生部12が受けた外力を、検出部15によって精度良く検出することができる。プラズマ発生部12に外力が加えられると、プラズマや活性ガスの吐出に影響が生じ易い。したがって、プラズマ発生部12が受けた外力を検出部15によって精度良く検出することで、治療効果が低下した状態でのプラズマや活性ガスの吐出を確実に抑制することができる。
【0078】
検出部15が、照射器具10から離脱可能である。したがって、例えば、照射器具10に外力が加えられたことを使用者が認識した後、照射器具10を検査して照射器具10そのものの異常がみられない場合であって、検出部15が再使用不能となったときなどであっても、検出部15を照射器具10から離脱させて交換し、照射器具10を再利用することができる。
【0079】
検出部15に外力が加えられたときに検出部15が変色する。したがって、例えば、使用者が単に検出部15を視認すること等により、照射器具10に外力が加えられたか否かを判別することができる。
なお、前記変色を検知して制御部90に電気信号を送る検知部を別途設けてもよい。この場合、前記検知部から送られる電気信号に基づいて、制御部90が報知部80を制御して、外力が入力されたことを報知部80が例えばアラーム等の音声により報知してもよい。制御部90が、前記電気信号に基づいて、供給ユニット20から照射器具10への給電を停止させてもよい。
【0080】
<他の実施形態>
なお、本発明は、の実施形態に限定するものではない。
検出部15として、外力を電気信号に変換するセンサを採用することが可能である。前記センサとしては、例えば加速度センサ等が挙げられる。この場合、図6に示す活性ガス照射装置100Aのように、検出部15の検出結果を制御部90に送り、制御部90が検出結果に基づいて外力について演算する。なお、制御部90は外力の大きさだけでなく、外力の向きや外力が入力された時刻などを検出することも可能である。また、制御部90が報知部80を制御して、外力が入力されたことを報知部80が例えばアラーム等の音声により報知してもよい。制御部90が、前記検出結果に基づいて、供給ユニット20から照射器具10への給電を停止させてもよい。
この場合、制御部90が、検出部15の検出結果に基づいて外力について演算する。したがって、制御部90の演算結果に基づいて、照射器具10に外力が加えられたか否かを使用者が判別することができる。
【0081】
検出部15は、例えば、衝撃力などの動荷重を外力として検出する構成に限られない。例えば、外力としての静荷重を検出する構成を検出部15として採用してもよい。
検出部15が、照射器具10から離脱不能であってもよい。この場合、照射器具10に外力が加えられたことを検出部15が検出したときに、照射器具10の全体を交換してもよい。
検出部15が、プラズマ発生部12よりもノズル1に近くてもよい。この場合、ノズル1が受けた外力を検出部15によって精度良く検出することができる。その結果、例えば、外力が加えられたことを起因としたノズル1の向きの変化などを使用者が認識することができる。
【0082】
検出部15は、照射器具10の長手方向に沿って、ノズル1側と内部電極4側の2箇所に設置してもよい。このようにすれば、プラズマ発生部12に外力が加えられたことをより精度良く検出することができる。
また、検出部15が、照射器具10が受けた外力を検出し、変色した場合に、変色を知らせる警報器(アラーム)を、照射器具10や供給ユニット20に設置することが好ましい。このようにすれば、検出部15が変色したことを見落とすのを防ぐことができる。
【0083】
操作スイッチ9が、の実施形態と異なっていてもよい。例えば、照射器具10に操作スイッチ9を設けることに代えて、供給ユニット20に足踏みペダルを設けてもよい。この場合、足踏みペダルを操作部とし、例えば使用者が足踏みペダルを踏んだときに、供給源70からプラズマ発生用ガスをプラズマ発生部12に供給する構成を採用すること等ができる。
報知部80がなくてもよい。
【0084】
上述の本実施形態の内部電極4の形状は、ねじ状である。しかしながら、内部電極は、外部電極との間にプラズマを発生できれば、内部電極の形状は限定されない。
内部電極は、表面に凹凸を有してもよいし、表面に凹凸を有しなくてもよい。内部電極としては、外周面に凹凸を有する形状が好ましい。
例えば、内部電極の形状は、コイル状でもよいし、外周面に突起、穴、貫通孔が複数形成された棒形状又は筒形状でもよい。内部電極の断面形状は、特に限定されず、例えば、真円形、楕円形等の円形、四角形、六角形等の多角形を例示できる。
【0085】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ノズル
9 操作スイッチ
10 照射器具
12 プラズマ発生部
15 検出部
70 供給源
80 報知部
90 制御部(演算部)
100、100A 活性ガス照射装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】