再表2020-116091IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年6月11日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両の燃料ホース支持構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 37/00 20060101AFI20211126BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20211126BHJP
   B62K 11/10 20060101ALI20211126BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
   B62J37/00 Z
   B62J35/00 C
   B62K11/10
   F02M37/00 321B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】17
【出願番号】特願2020-559835(P2020-559835)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】特願2018-227154(P2018-227154)
(32)【優先日】2018年12月4日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【弁理士】
【氏名又は名称】神澤 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100098176
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 訓
(72)【発明者】
【氏名】中内 洪太
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AF04
3D011AG01
3D011AH02
3D011AL32
3D011AL34
3D011AL37
(57)【要約】
上リンク式のスイング式パワーユニットを備えた鞍乗型車両において、燃料ホースの揺動量を抑える燃料ホースの支持構造。
車体フレーム2にリンク部材8を介して支持されたスイング式パワーユニット3を備え、スイング式パワーユニットは上方に吸気通路部材6を備え、リンク部材は上リンク式であり車体側ピボット軸83とパワーユニット側連結軸84とを備える鞍乗型車両1の燃料ホース支持構造において、燃料噴射弁71に接続される燃料ホース7は、吸気通路部材の上方を通るように配索され、吸気通路部材に固定される固定部75aと、燃料ホースを支持するホース支持部75bとを有する燃料ホース支持部材75を備え、吸気通路部材は吸気管61とスロットルボディ62を含み、スロットルボディは、車両前後方向位置において一部が車体側ピボット軸の軸心Xに重なり、ホース支持部は、車両前後方向位置において一部がスロットルボディ重なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(2)と、
シリンダ軸線(C)を略水平に前傾して配置されたシリンダ(42)をクランクケース(30)の前部に設けて、前記車体フレーム(2)にリンク部材(8)を介して上下揺動可能に支持されたスイング式パワーユニット(3)とを備え、
前記スイング式パワーユニット(3)は上方に吸気通路部材(6)を備え、
前記リンク部材(8)は、前記クランクケース(30)の上方に配置された上リンク式であり、前記車体フレーム(2)側に連結される車体側ピボット軸(83)と前記スイング式パワーユニット(3)側に連結されるパワーユニット側連結軸(84)とを備える鞍乗型車両(1)の燃料ホース支持構造において、
前記吸気通路部材(6)に設けられた燃料噴射弁(71)に接続される燃料ホース(7)は、前記吸気通路部材(6)の上方を通るように配索され、
一端側端部に前記吸気通路部材(6)に固定される固定部(75a)を有し、他端側端部に前記燃料ホース(7)を支持するホース支持部(75b)を有する燃料ホース支持部材(75)を備え、
前記吸気通路部材(6)は吸気管(61)とスロットルボディ(62)を含み、同スロットルボディ(62)は、車両前後方向位置において少なくとも一部が前記車体側ピボット軸(83)の軸心(X)に重なり、
前記ホース支持部(75b)は、車両前後方向位置において少なくとも一部が前記スロットルボディ(62)に重なることを特徴とする鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項2】
前記車体側ピボット軸(83)の軸心(X)と前記ホース支持部(75b)とが、高さ方向位置において、前記スロットルボディ(62)に重なることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項3】
前記燃料ホース支持部材(75)の固定部(75a)は前記吸気管(61)に取付けられ、同燃料ホース支持部材(75)の前記ホース支持部(75b)は前記固定部(75a)よりも、車両前後方向位置において、前記車体側ピボット軸(83)の軸心(X)側に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項4】
前記固定部(75a)を取付ける支持部材取付け部(61a)が、前記スロットルボディ(62)に接合する前記吸気管(61)のフランジ部(61b)に隣接する位置に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項5】
燃料タンク(16)が後輪(17)上方に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項6】
前記スロットルボディ(62)とエアクリーナ(65)の間を接続するコネクティングチューブ(63)と前記リンク部材(8)との間に、前記燃料ホース(7)のたわみ部(7c)が配されたことを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項7】
前記燃料噴射弁(71)が前記吸気通路部材(6)の下流端に配設されたことを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項8】
乗員シート(12)の下方に設けられた収納ボックス(11)の下の空間(11b)に、前記燃料ホース支持部材(75)の前記ホース支持部(75b)が配置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上リンク式のスイング式パワーユニットを備えた鞍乗型車両の燃料ホース支持構造
【背景技術】
【0002】
下リンク式のスイング式パワーユニットを備えた鞍乗型車両の効果的な燃料ホースの支持構造については、例えば、例えば下記特許文献1に示されている。
しかし、スイング式パワーユニットを車体フレームに支持させるリンク部材がクランクケースの上方に配置された、上リンク式のスイング式パワーユニットにおける効果的な燃料ホースの支持構造については示されていない。
スイング式パワーユニットを備えた鞍乗型車両において、上リンク式の場合であっても、燃料ホースの揺動量を抑え、それに伴い燃料ホース長さの短縮化を図り、周辺レイアウトのクリアランス自由度を向上させる燃料ホースの支持構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5764172号公報(図1〜図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来技術に鑑みてなされたものであって、上リンク式のスイング式パワーユニットを備えた鞍乗型車両において、燃料ホースの揺動量を抑え、それに伴い燃料ホース長さの短縮化や車両スペースの効率的利用を図り、周辺レイアウトのクリアランス自由度を向上させる燃料ホースの支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
の課題を解決するために、本発明によれば、
車体フレームと、シリンダ軸線を略水平に前傾して配置されたシリンダをクランクケースの前部に設けて、前記車体フレームにリンク部材を介して上下揺動可能に支持されたスイング式パワーユニットとを備え、前記スイング式パワーユニットは上方に吸気通路部材を備え、前記リンク部材は、前記クランクケースの上方に配置された上リンク式であり、前記車体フレーム側に連結される車体側ピボット軸と前記スイング式パワーユニット側に連結されるパワーユニット側連結軸とを備える鞍乗型車両の燃料ホース支持構造において、
前記吸気通路部材に設けられた燃料噴射弁に接続される燃料ホースは、前記吸気通路部材の上方を通るように配索され、一端側端部に前記吸気通路部材に固定される固定部を有し、他端側端部に前記燃料ホースを支持するホース支持部を有する燃料ホース支持部材を備え、前記吸気通路部材は吸気管とスロットルボディを含み、同スロットルボディは、車両前後方向位置において少なくとも一部が前記車体側ピボット軸の軸心に重なり、前記ホース支持部は、車両前後方向位置において少なくとも一部が前記スロットルボディに重なることを特徴とする鞍乗型車両の燃料ホース支持構造が提供される。
【0006】
本発明の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造によれば、
ホース支持部の一部が車両前後方向位置においてスロットルボディに重り、スロットルボディの一部は車両前後方向位置において車体側ピボット軸の軸心と重なるので、リンク部材の揺動中心位置となる車体側ピボット軸の軸心に対して近い位置でホース支持部が燃料ホースを支持することとなる。
したがって、スイング式パワーユニットの前後の揺動が比較的大きくなりやすい上リンク式においても、燃料ホースの特に前後の揺動量が効果的に抑えられ、燃料ホース長さの短縮化や車両スペースの効率的利用が図られ、周辺レイアウトのクリアランス自由度が向上する。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、
前記車体側ピボット軸の軸心と前記ホース支持部とが、高さ方向位置において、前記スロットルボディに重なる。
車体側ピボット軸の軸心とホース支持部を、車両前後方向位置のみならず高さ方向位置においても近付けることで、ホース支持部の揺動量をより少なくできる
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、
前記燃料ホース支持部材の固定部は前記吸気管に取付けられ、同燃料ホース支持部材の前記ホース支持部は前記固定部よりも、車両前後方向位置において、前記車体側ピボット軸の軸心側に設けられる。
スロットルボディは機種共通部材のため、機種専用の固定部の取付け部を設けることを避けることが好ましいが、吸気管は機種ごとに設計できる部材のため、機種専用の固定部の取付け部を設けやすい。すなわち、吸気管に固定部の取付け部を設けたので機種共通性が向上する。また、ホース支持部が車体側ピボット軸の軸心に近く配置されてホース支持部の揺動が低減する。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、
前記固定部を取付ける支持部材取付け部が、前記スロットルボディに接合する前記吸気管のフランジ部に隣接する位置に設けられる。
剛性の高いフランジ部を活用して、それに隣接して固定部を取付ける支持部材取付け部を設けたので、吸気管において、支持部材取付け部のための補強用の肉盛りの追加を不要とできる。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、
燃料タンクが後輪上方に設けられる。
燃料タンクの配置上、燃料ホースが長くなる車両においても、燃料ホースの揺動抑制の効果が好適に発揮される。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、
前記スロットルボディとエアクリーナの間を接続するコネクティングチューブと前記リンク部材との間に、前記燃料ホースのたわみ部が配される。
燃料ホースの配置において、コネクティングチューブとリンク部材との間の空いたスペースが有効に活用できる。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、
前記燃料噴射弁が前記吸気通路部材の下流端に配設される。
燃料噴射弁の配置上、燃料ホースが長くなる車両においても、燃料ホースの揺動抑制の効果が好適に発揮される。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、
乗員シートの下方に設けられた収納ボックスの下の空間に、前記燃料ホース支持部材の前記ホース支持部が配置される。
ホース支持部の配置において、収納ボックスの下の空いた空間を有効に活用できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造によれば、
ホース支持部の一部が車両前後方向位置においてスロットルボディに重り、スロットルボディの一部は車両前後方向位置において車体側ピボット軸の軸心と重なるので、リンク部材の揺動中心位置となる車体側ピボット軸の軸心に対して近い位置でホース支持部が燃料ホースを支持することとなる。
したがって、スイング式パワーユニットの前後の揺動が比較的大きくなりやすい上リンク式においても、燃料ホースの特に前後の揺動量が効果的に抑えられ、燃料ホース長さの短縮化や車両スペースの効率的利用が図られ、周辺レイアウトのクリアランス自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一鞍乗型車両の燃料ホース支持構造を備えた自動二輪車の左側面概要図である。
【図2】図1の自動二輪車の中央要部の、車体カバーを外し、一部断面とする左側面図である。
【図3】自動二輪車のリンク部材周辺を左後方から見た斜視図である。
【図4】自動二輪車の車体カバーを外して、パワーユニットの内燃機関周辺を、後部上方から見た斜視図である。
【図5】スロットルボディと吸気管との接続部の前後を左前方上側から見た斜視図であり、燃料ホース支持部材75の固定状態と、燃料ホース支持部材による燃料ホースの支持状態を示す。
【図6】図2と同様の方向から、自動二輪車の中央要部の左右中央左側寄りの断面を示す左側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図6に基づき、本発明の一鞍乗型車両の燃料ホース支持構造につき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本鞍乗型車両の燃料ホース支持構造を備えた鞍乗型車両の車両の向きに従うものとする。本実施形態において鞍乗型車両は、具体的にはスクータ型自動二輪車(以下、単に「自動二輪車」という)である。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
【0017】
図1に、本鞍乗型車両の燃料ホース支持構造を備えた自動二輪車1の左側面概要を示す。
本実施形態の自動二輪車1においては、車体前部1Aと車体後部1Bとが、低いフロア部1C(足載部)を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレーム2は、概ねダウンフレーム21とメインフレーム22とからなる。
すなわち車体前部1Aのヘッドパイプ20からダウンフレーム21が下方へ延出し、ダウンフレーム21の下端から後方へ略水平に延びる左右一対のメインフレーム22のロアフレーム部22aが接続する。ロアフレーム部22aの後端から斜め後上方に延びるメインフレーム22は左右一対の傾斜部22bを形成し、傾斜部22bの上部がさらに屈曲して後方に略水平に延びた左右一対の水平部22cを形成している。
【0018】
メインフレーム22の傾斜部22bと水平部22cには収納ボックス(ヘルメットボックスともいわれる)11が支持され、その上方は乗員シート12が覆って配置されている。
一方、車体前部1Aにおいては、ヘッドパイプ20に軸支されて上方にハンドル13が設けられ、下方にフロントフォーク14が延びてその下端に前輪15が軸支されている。
メインフレーム22の傾斜部22bにパワーユニット支持ブラケット23が後方に向けて突設され、パワーユニット支持ブラケット23にリンク部材8を介してスイング式パワーユニット(以下、単に「パワーユニット」という。)3が上下揺動可能に連結支持される。
すなわち、本実施形態の自動二輪車1は、パワーユニット3の上リンク式の支持構造を採っており、その結果、パワーユニット3の前部下方に触媒装置92を備えるスペースが得られる。
【0019】
車体前部1Aでは、ヘッドパイプ20およびダウンフレーム21が、車体カバー10のフロントカバー10aとレッグシールド10bにより前後から覆われる。
フロア部1Cは、車体フレーム2のメインフレーム22の左右一対のロアフレーム部22a側に設けられる。
ロアフレーム部22aの上方はフロアカバー10cにより覆われるとともに、その左右がそれぞれ前後方向にフロアサイドカバー10dで覆われ、下部はアンダーカバー10eで覆われる。
車体後部1Bでは、乗員シート12の後部下方で後輪17の上方に燃料タンク16が、メインフレーム22の水平部22cに設けられている。メインフレーム22の傾斜部22bと水平部22cはボデイカバー10fにより左右および後方が覆われる。また、前輪15の上方にはフロントフェンダ10gが設けられる。
車体カバー10を構成する各カバー10a〜10fは樹脂材料等の適宜な材料で形成される。
【0020】
パワーユニット(本発明における「スイング式パワーユニット」)3には、内燃機関4が設けられるとともに、内燃機関4から後方にかけてベルト式無段変速機51を内設した動力伝達部5が備えられる。動力伝達部5の後部に設けられた減速ギヤ機構52の出力軸である後車軸52aに後輪17が設けられている。
動力伝達部5の後部と、メインフレーム22後部の水平部22cとの間にリヤクッション18が介装されている。
【0021】
内燃機関4は、クランクケース30にクランク軸41を車幅方向、すなわち左右方向に指向させて回転自在に支持する。
クランクケース30の前部から突出するように、シリンダ42、シリンダヘッド43、ヘッドカバー44を順次重ねて、シリンダ軸線Cを略水平に近く大きく前傾して締結して設けている。
クランクケース30は左右割り構造で、左半体は後方に一体に延在して動力伝達部5を構成している。
【0022】
パワーユニット3の上方、シリンダヘッド43からクランクケース30にかけての上方には、吸気管61とスロットルボディ62を含む吸気通路部材6が備えられる。大きく前傾したシリンダヘッド43の上部の吸気ポート入口45には、吸気管61が接続し、吸気管61は上流側が後方へ屈曲して延出し、スロットルボディ62に接続されている。
スロットルボディ62の上流側は、コネクティングチューブ63を介して、動力伝達部5の上部に取付けられたエアクリーナ65が接続している。
【0023】
また、シリンダヘッド43の下部の排気ポート出口47に接続した上流側排気管91aには、車幅方向に配向された略円筒形状の触媒装置92が介装されており、その内部に排気ガス浄化用の、例えば三元触媒等の触媒が装填されている。
触媒装置92の出口に接続した下流側排気管91b(図2参照)は後方へ屈曲し車両右側に沿って後方に延びて、後輪17の右側の図示しないマフラに接続している。
【0024】
図2は、図1の自動二輪車1の中央要部の車体カバー10を外し、一部断面とする左側面図である。
図2に示されるように、本実施形態においてシリンダヘッド43の吸気ポート入口45に接続した吸気管61には、上流側にスロットルボディ62が締結接続されている。
スロットルボディ62は、吸気通路にスロットル弁が内装される本体部と、スロットル弁の操作機構等が備えられるスロットルボディカバーを備えるが、本明細書ではそれらを合わせてスロットルボディ62と呼ぶ。
【0025】
図3は、左後方から見たリンク部材8周辺の斜視図である。
リンク部材8は、図3に示されるように、クランクケース30の上方において車両左右方向に配された連結パイプ80と、連結パイプ80に斜め上方に向けて突出するように固定された上腕部81と、連結パイプ80に斜め下方に向けて突出するように固定された下腕部82とを備えている。
【0026】
上腕部81の先端部は、メインフレーム22の傾斜部22bに後方に向けて突設されたパワーユニット支持ブラケット23に、車体側ピボット軸83を介して回動可能に軸支されている。
また、下腕部82の先端部は、クランクケース30の上部に上方に向けて突設されたブラケット部31に、パワーユニット側連結軸84を介して軸支されている。パワーユニット側連結軸84とブラケット部31とは図示しないダンピング部材によって相互の回動が抑制されるとともにダンピング作用が働くように構成されている。
したがって、パワーユニット3は、車体側ピボット軸83の軸心Xを揺動中心位置として、車体フレーム2に対して上下に揺動する。
【0027】
図2に示されるように、動力伝達部5の上部に取付けられたエアクリーナ65からは、コネクティングチューブ63が吸気の下流側、すなわち車両前方に向けて、リンク部材8の連結パイプ80の上方を乗り越すように延出し、左右のパワーユニット支持ブラケット23と車体側ピボット軸83の間に位置する吸気通路部材6のスロットルボディ62に接続する。
スロットルボディ62の前方、すなわち吸気の下流側には吸気通路部材6の吸気管61が接続して下方に屈曲し、シリンダヘッド43の上部の吸気ポート入口45に接続している。
【0028】
吸気管61の下流端、すなわち吸気通路部材6の下流端には燃料噴射弁71が取付けられる。
燃料噴射弁71に接続された燃料ホース7は、吸気通路部材6の上方を通るように後方に向けて配索され、燃料タンク16に接続した燃料ポンプ装置16aを介して、後輪17上方に設けられた燃料タンク16に接続している。
【0029】
図4は、車体カバー10を外して、パワーユニット3の内燃機関4周辺を、後部上方から見た斜視図である。
図4に示されるように、上流端7aが燃料ポンプ装置16aに接続した燃料ホース7は、燃料に流れ方向に従って、左側のメインフレーム22の傾斜部22bに取付けられたフレーム側燃料ホース支持部材25に支持された後、湾曲しつつそのたわみ部7cを、コネクティングチューブ63とリンク部材8との間に配した後(図2も参照)、吸気通路部材6の上方を通って下流端7bが燃料噴射弁71に至って接続される。
燃料ホース7は、途中、吸気通路部材6に取付け固定された燃料ホース支持部材75によって支持される。
【0030】
燃料ホース支持部材75は、その一端側端部に形成され吸気管61に固定される固定部75aと、他端側端部に形成され燃料ホース7を支持するホース支持部75bとを備える。
固定部75aは、吸気通路部材6のうちのスロットルボディ62側に固定されるようにしてもよいが、スロットルボディ62は機種共通部材のため、機種専用の支持部材取付け部を設けることが避けることが好ましい。
一方、吸気管61は機種ごとに設計できる部材のため、機種専用の支持部材取付け部61aを設けやすい。すなわち、本実施形態のように吸気管61側に固定部75aを取付ける支持部材取付け部61aを設けると機種共通性が向上する。
【0031】
以上のような本実施形態の燃料ホース7の支持構造おいては、さらに図2に示されるように、スロットルボディ62は、車両前後方向位置において一部が車体側ピボット軸83の軸心Xに重なり、ホース支持部75bは、車両前後方向位置において一部がスロットルボディ62に重なっている。
そのように、スロットルボディ62の少なくとも一部は車両前後方向位置において車体側ピボット軸83の軸心Xと重なり、ホース支持部75bの少なくとも一部が車両前後方向位置においてスロットルボディ62に重なるようにすれば、リンク部材8の揺動中心位置となる車体側ピボット軸83の軸心Xに対して近い位置でホース支持部75bが燃料ホース7を支持することとなる。
したがって、スイング式パワーユニット3の前後の揺動が比較的大きくなりやすい上リンク式においても、燃料ホース7の特に前後の揺動量が効果的に抑えられ、燃料ホース7長さの短縮化や車両スペースの効率的利用が図られ、周辺レイアウトのクリアランス自由度が向上する。
【0032】
また、図2に示されるように、車体側ピボット軸83の軸心Xとホース支持部75bとが、高さ方向位置において、スロットルボディ62に重なっている。
そのように、車体側ピボット軸83の軸心Xとホース支持部75bを、車両前後方向位置のみならず高さ方向位置においても近付けることで、ホース支持部75bの揺動量がより少なくなっている。
【0033】
そして、図4に示されるように、燃料ホース支持部材75のホース支持部75bは固定部75aよりも、車両前後方向位置において、車体側ピボット軸83の軸心X側に設けられている。
そのように、ホース支持部75bが車体側ピボット軸83の軸心Xに近く配置されたことでホース支持部75bの揺動が低減している。
【0034】
図5は、スロットルボディ62と吸気管61との接続部64の前後を左前方上側から見た斜視図であり、燃料ホース支持部材75の固定状態と、燃料ホース支持部材75による燃料ホース7の支持状態を示す。
図示のように、固定部75aを取付ける支持部材取付け部61aが、スロットルボディ62に接合する吸気管61のフランジ部61bに隣接する位置に設けられている。
剛性の高いフランジ部61bを活用して、それに隣接して支持部材取付け部61aを設けたので、吸気管61において、支持部材取付け部61aのための補強用の肉盛りの追加が不要となっている。
【0035】
また、本実施形態では、燃料タンク16が後輪17の上方に設けられているが、そのような配置上、燃料ホース7が長くなる自動二輪車1においても、燃料ホース7の揺動抑制の効果が好適に発揮され、好ましい燃料ホース7の支持構造となっている。
【0036】
一方、燃料噴射弁71が吸気管61の下流端、すなわち吸気通路部材6の下流端に配設されているが、そのような配置上、燃料ホース7が長くなる自動二輪車1において、この場合も燃料ホース7の揺動抑制の効果が好適に発揮され、好ましい燃料ホース7の支持構造となっている。
【0037】
また、図2、図4に示されるように、スロットルボディ62とエアクリーナ65との間を接続するコネクティングチューブ63とリンク部材8との間に、燃料ホース7のたわみ部7cが配置されている。そのため、燃料ホース7の配置において、コネクティングチューブ63とリンク部材8との間の空いたスペースが有効に活用されている。
【0038】
図6は、図2と同様の方向から、自動二輪車1の中央要部の左右中央左側寄りの断面を示す左側面断面図である。
本実施形態においては、図6に示されるように、乗員シート12の下方に設けられたヘルメットボックスとも呼ばれる収納ボックス11には、通常、ヘルメット19が収納される。収納ボックス11の床板11aはヘルメット19の下側となる首部開口19aに合わせて上方へ凸状に形成され、床板11aの下面外側には空間11bが生じる。
その収納ボックス11の下の空間11bに、燃料ホース支持部材75のホース支持部75bが配置されており、ホース支持部75bの配置において、収納ボックス11の下の空いた空間11bが、有効に活用されている。
【0039】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能であり、本発明の要旨の範囲で、車両、スイング式パワーユニット、内燃機関等が、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
なお、説明の便宜上、図示の実施例の左右配置のものについて説明したが、左右配置の異なるものであっても、発明の要旨の範囲であれば本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…自動二輪車(本発明における「鞍乗型車両」)、1A…車体前部、1B…車体後部、1C…フロア部、2…車体フレーム、3…スイング式パワーユニット(パワーユニット)、5…動力伝達部、6…吸気通路部材、7…燃料ホース、7a…上流端、7b…下流端、7c…たわみ部、8…リンク部材、11…収納ボックス(ヘルメットボックス)、11a…床板、11b…空間、12…乗員シート、16…燃料タンク、16a…燃料ポンプ装置、19…ヘルメット、22…メインフレーム、22a…ロアフレーム部、22b…傾斜部、22c…水平部、23…パワーユニット支持ブラケット、25…フレーム側燃料ホース支持部材、30…クランクケース、31…ブラケット部、41…クランク軸、42…シリンダ、43…シリンダヘッド、45…吸気ポート入口、61…吸気管、61a…支持部材取付け部、61b…フランジ部、62…スロットルボディ、63…コネクティングチューブ、64…接続部、65…エアクリーナ、71…燃料噴射弁、75…燃料ホース支持部材、75a…固定部、75b…ホース支持部、80…連結パイプ、81…上腕部、82…下腕部、83…車体側ピボット軸、84…パワーユニット側連結軸、C…シリンダ軸線、X…車体側ピボット軸83の軸心
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】

【手続補正書】
【提出日】2020年9月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(2)と、
シリンダ軸線(C)を略水平に前傾して配置されたシリンダ(42)をクランクケース(30)の前部に設けて、前記車体フレーム(2)にリンク部材(8)を介して上下揺動可能に支持されたスイング式パワーユニット(3)とを備え、
前記スイング式パワーユニット(3)は上方に吸気通路部材(6)を備え、
前記リンク部材(8)は、前記クランクケース(30)の上方に配置された上リンク式であり、前記車体フレーム(2)側に連結される車体側ピボット軸(83)と前記スイング式パワーユニット(3)側に連結されるパワーユニット側連結軸(84)とを備える鞍乗型車両(1)の燃料ホース支持構造において、
燃料タンク(16)が後輪(17)上方に設けられ、
前記吸気通路部材(6)に設けられた燃料噴射弁(71)に接続される燃料ホース(7)は、前記吸気通路部材(6)の上方を通るように配索され、
前記吸気通路部材(6)は吸気管(61)とスロットルボディ(62)を含み、同スロットルボディ(62)は、車両前後方向位置において少なくとも一部が前記車体側ピボット軸(83)の軸心(X)に重なり、
一端側端部に前記吸気通路部材(6)に固定される固定部(75a)を有し、他端側端部に前記燃料ホース(7)を支持するホース支持部(75b)を有する燃料ホース支持部材(75)を備え、
前記ホース支持部(75b)は、車両前後方向位置において少なくとも一部が前記スロットルボディ(62)に重なり、
前記燃料ホース支持部材(75)の固定部(75a)は前記吸気管(61)に取付けられ、同燃料ホース支持部材(75)の前記ホース支持部(75b)は前記固定部(75a)よりも、車両前後方向位置において、前記車体側ピボット軸(83)の軸心(X)側に設けられたことを特徴とする鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項2】
前記車体側ピボット軸(83)の軸心(X)と前記ホース支持部(75b)とが、高さ方向位置において、前記スロットルボディ(62)に重なることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記固定部(75a)を取付ける支持部材取付け部(61a)が、前記スロットルボディ(62)に接合する前記吸気管(61)のフランジ部(61b)に隣接する位置に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記スロットルボディ(62)とエアクリーナ(65)の間を接続するコネクティングチューブ(63)と前記リンク部材(8)との間に、前記燃料ホース(7)のたわみ部(7c)が配されたことを特徴とする請求項1、または請求項2、請求項4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項7】
前記燃料噴射弁(71)が前記吸気通路部材(6)の下流端に配設されたことを特徴とする請求項1、または請求項2、請求項4、請求項6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【請求項8】
乗員シート(12)の下方に設けられた収納ボックス(11)の下の空間(11b)に、前記燃料ホース支持部材(75)の前記ホース支持部(75b)が配置されたことを特徴とする請求項1、または請求項2、請求項4、請求項6、請求項7のいずれか一項に記載の鞍乗型車両の燃料ホース支持構造。
【国際調査報告】

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