再表2021-2132IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年1月7日
【発行日】2021年11月4日
(54)【発明の名称】半導体モジュールの回路構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20211008BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20211008BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20211008BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20211008BHJP
【FI】
   H01L23/12 Q
   H01L25/04 C
   H05K1/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2021-529927(P2021-529927)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年6月1日
(31)【優先権主張番号】特願2019-124452(P2019-124452)
(32)【優先日】2019年7月3日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 聖一
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA16
5E338AA18
5E338BB75
5E338CC04
5E338CD10
5E338EE01
(57)【要約】
電流定格を拡大しつつも回路パターンの異常過熱を抑制すること。半導体モジュール(1)の回路構造は、絶縁板(30)の上面に回路パターン(31)が形成された絶縁回路基板(3)と、回路パターンの上面に配置される半導体素子(4)と、を備える。回路パターンは、所定方向に延びるストレート部(35a)と、ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部(35b)と、を有する。ストレート部の上面には、コーナー部の外周側に偏ってストレート部の延在方向に沿う配線部材(W6)が配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板の上面に回路パターンが形成された絶縁回路基板と、
前記回路パターンの上面に配置される半導体素子と、を備え、
前記回路パターンは、
所定方向に延びるストレート部と、
前記ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部と、を有し、
前記ストレート部の上面には、前記コーナー部の外周側に偏って前記ストレート部の延在方向に沿う配線部材が配置されることを特徴とする半導体モジュールの回路構造。
【請求項2】
絶縁板の上面に回路パターンが形成された絶縁回路基板と、
前記回路パターンの上面に配置される半導体素子と、を備え、
前記回路パターンは、
所定方向に延びるストレート部と、
前記ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部と、を有し、
前記コーナー部の上面には、外周側に偏って屈曲方向に沿う配線部材が配置されることを特徴とする半導体モジュールの回路構造。
【請求項3】
前記配線部材は、前記コーナー部の上面にも外周側に偏って屈曲方向に沿うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュールの回路構造。
【請求項4】
前記配線部材は、前記回路パターンに対して複数箇所で接続されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体モジュールの回路構造。
【請求項5】
前記配線部材は、前記回路パターンの幅方向に並んで複数本配置されることを特徴とする請求項4に記載の半導体モジュールの回路構造。
【請求項6】
前記回路パターンに対する前記配線部材の接続箇所の数は、前記回路パターンの幅方向外周側に向かうに従って多くなることを特徴とする請求項5に記載の半導体モジュールの回路構造。
【請求項7】
前記回路パターンの幅方向に並んで配置される複数の前記配線部材の材質は、外周側に向かうに従って導電率が高くなることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体モジュールの回路構造。
【請求項8】
前記回路パターンの幅方向に並んで配置される複数の前記配線部材の線径は、外周側に向かうに従って大きくなることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の半導体モジュールの回路構造。
【請求項9】
前記半導体素子は、IGBT素子とFWD素子の機能を一体化したRC−IGBT素子であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の半導体モジュールの回路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールの回路構造
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の半導体素子が設けられた基板を有し、インバータ装置等に利用されている。
【0003】
民生・産業用のモータ駆動用等に広く用いられるインバータ装置は、MOSFETやIGBT等の半導体スイッチング素子(スイッチング素子)と、その半導体スイッチング素子を駆動する駆動用集積回路(ICチップ)から構成される。また、機器の小型化と保護回路内蔵のための手段として、したスイッチング素子とICチップを1パッケージ化したIPM(Intelligent Power Module)が用いられる。
【0004】
ところで、以下に示す特許文献1、2には、半導体モジュール又は集積回路において大電流を通流可能とするため、導電パターン上に導電部材(ボンディングワイヤ)を配置する技術が提案されている。また、特許文献3では、基板上の回路パターン導電層の抵抗値を削減すべく、回路パターン導電層上にワイヤ配線を配置している。更に、特許文献4では、突入電流による導電路の溶断を防止すべく、導電路上にワイヤ線をボンディング接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−251551号公報
【特許文献2】特開平6−29646号公報
【特許文献3】特開2001−85611号公報
【特許文献4】特開平6−338668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、近年では、IGBT素子とFWD素子の機能を一体化したRC(Reverse Conducting)−IGBT素子が開発されている。RC−IGBT素子によれば、従来と同じ電流定格で比較するとチップ面積が縮小され、より高密度な実装が可能となっている。すなわち、従来と同じチップ面積で比較すると電流定格を拡大することが可能である。
【0007】
このように、RC−IGBT素子を採用することで従来のパッケージサイズでは実現できなかった電流定格を実現できる反面、更なる通電量の拡大(高電流密度化)に伴って電流の二乗に比例して回路網の発熱量が増加する。この結果、従来の電流定格では問題とならなかった回路パターンの異常過熱が発生し得る。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電流定格を拡大しつつも回路パターンの異常過熱を抑制することができる半導体モジュールの回路構造を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体モジュールの回路構造は、絶縁板の上面に回路パターンが形成された絶縁回路基板と、前記回路パターンの上面に配置される半導体素子と、を備え、前記回路パターンは、所定方向に延びるストレート部と、前記ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部と、を有し、前記ストレート部の上面には、前記コーナー部の外周側に偏って前記ストレート部の延在方向に沿う配線部材が配置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様の半導体モジュールの回路構造は、絶縁板の上面に回路パターンが形成された絶縁回路基板と、前記回路パターンの上面に配置される半導体素子と、を備え、前記回路パターンは、所定方向に延びるストレート部と、前記ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部と、を有し、前記コーナー部の上面には、外周側に偏って屈曲方向に沿う配線部材が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電流定格を拡大しつつも回路パターンの異常過熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る半導体モジュールの一例を示す平面模式図である。
【図2】本実施の形態に係る半導体モジュールの一例を示す断面模式図である。
【図3】本実施の形態に係る半導体モジュールの回路構造の部分拡大図である。
【図4】第1変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。
【図5】第2変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。
【図6】第3変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。
【図7】第4変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。
【図8】第5変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用可能な半導体モジュールについて説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体モジュールの一例を示す平面模式図である。図2は、本実施の形態に係る半導体モジュールの一例を示す断面模式図である。具体的に図2は、図1のA−Aに沿って切断した断面図である。なお、以下に示す半導体モジュールはあくまで一例にすぎず、これに限定されることなく適宜変更が可能である。本明細書において、平面視は、後述する絶縁回路基板に垂直な方向から半導体モジュールを見た場合を意味する。
【0014】
半導体モジュール1は、例えばパワーモジュール等の電力変換装置に適用されるものである。図1及び図2に示すように、半導体モジュール1は、放熱板2、絶縁回路基板3、複数の半導体素子4等を含んで構成される。
【0015】
放熱板2は、絶縁回路基板3のベース板としての役割を果たし、銅やアルミニウム等の熱伝導性の良好な金属板によって平面視矩形状に形成される。
【0016】
放熱板2の上面(主面)には、絶縁回路基板3が配置される。絶縁回路基板3は、金属層と絶縁層とを積層して構成され、平面視方形状に形成されている。本実施の形態では、2つの絶縁回路基板3が放熱板2の長手方向に並んで配置されている。2つの絶縁回路基板3は、例えば半田等の接合材(不図示)を介して放熱板2の上面に配置される。
【0017】
絶縁回路基板3は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板で構成される。具体的に絶縁回路基板3は、上面と下面を有する絶縁板30と、絶縁板30の上面(主面)に形成される回路パターン31と、絶縁板30の下面に形成される金属板32と、を有している。絶縁板30は、セラミックや樹脂等の絶縁材料によって平面視方形状に形成される。絶縁材料には、例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)等のセラミックス材料、エポキシ等の樹脂材料、または、セラミックス材料をフィラーとして用いたエポキシ樹脂材料が用いられる。
【0018】
回路パターン31は、所定厚みの導電体で構成される。回路パターン31の厚さは、50μm以上、2.0mm以下であってよい。好ましくは、100μm以上、500μm以下である。薄すぎると、電気抵抗が大きくなり損失や発熱が生じる場合がある。厚すぎると、絶縁板30との間の応力により反りや破損が発生する場合がある。回路パターン31の材質は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。更に、回路パターン31の表面に対して、例えば、ニッケル、または、ニッケル合金が形成されていてもよい。回路パターン31は、平面視で独立した島状(電気的に互いに絶縁された状態)の複数の回路パターン33〜36を有している。図1では、紙面左側に位置する絶縁板30上に3つの独立した回路パターン33〜35が形成され、紙面右側に位置する絶縁板30上に4つの独立した回路パターン33〜36が形成されている。なお、左右それぞれの絶縁板30上で対応する回路パターン31は、説明の便宜上、共通する符号で示している。また、各回路パターン31については後述する。
【0019】
金属板32は、回路パターン31と同様に銅箔等によって形成される所定厚みの金属層で構成される。金属板32は、平面を有しており、絶縁板30の下面の略全体を覆う平面視方形状を有している。具体的に金属板32の外縁部は、絶縁板30の外縁部よりも僅かに内側に位置している。金属板32の下面は、放熱板2の上面に向けられている。金属板32は、図示しない接合材を介して放熱板2の上面に接合される。
【0020】
回路パターン33の上面には、4つの半導体素子4が配置されている。半導体素子4は、例えばシリコン(Si)、炭化けい素(SiC)等の半導体基板によって平面視方形状に形成される。本実施の形態では、半導体素子4は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子とFWD(Free Wheeling Diode)素子の機能を一体化したRC(Reverse Conducting)−IGBT素子で構成される。
【0021】
なお、半導体素子4は、これに限定されず、IGBT、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子、FWD(Free Wheeling Diode)等のダイオードを単独に用いてもよい。また、逆バイアスに対して十分な耐圧を有するRB(Reverse Blocking)−IGBT等を用いてもよい。また、半導体素子4の形状、配置数、配置箇所等は適宜変更が可能である。
【0022】
半導体素子4の上面には、主電極として不図示の入力電極(アノード電極)が設けられている。半導体素子4の下面には、主電極として不図示の出力電極(カソード電極)が設けられている。半導体素子4の下面は、例えば半田等の接合材(不図示)を介して回路パターン33の上面に電気的に接合される。
【0023】
また、放熱板2の外周側の上面には、枠状のケース部材5が配置される。ケース部材5は、例えば合成樹脂によって成形され、接着剤(不図示)を介して放熱板2に接合される。ケース部材5は、2つの絶縁回路基板3の外周を囲う環状壁部50を有している。環状壁部50は、放熱板2の外形に沿う平面視四角環状に形成されている。また、環状壁部50は、半導体モジュール1の厚み方向(鉛直方向)に立ち上がっている。環状壁部50の上面の内周側には、一段下がった段部51が形成されている。段部51は、四角環状の凹部で形成され、環状壁部50の上面に対して段部51の上面が低い位置に設けられている。
【0024】
また、環状壁部50の長手方向で対向する一対の壁部には、それぞれ端子部材6が埋め込まれている。当該端子部材6に対応して環状壁部50の上縁部には、水平方向外側に向かって突出する板状の突出片52が形成されている。
【0025】
端子部材6は、例えば金属製の板状体を折り曲げて形成される。端子部材6は、段部51の上面に露出する内側端子部60と、突出片52の上面に露出する外側端子部61と、を有している。図1の紙面左側に位置する端子部材6が1つの内側端子部60と2つの外側端子部61とが環状壁部50内で電気的に接続されるように一体的に形成されている。一方、図1の紙面右側に位置する端子部材6は、1つの内側端子部60と1つの外側端子部61が環状壁部50内で電気的に接続されるように一体的に形成されている。すなわち、図1の紙面右側には、電気的に独立した2つの端子部材6が、環状壁部50の短手方向に並んで配置されている。
【0026】
各半導体素子4、回路パターン31、及び端子部材6は、配線部材(ワイヤ)によって電気的に接続される。具体的に半導体素子4と回路パターン34は、配線部材W1によって電気的に接続される。
【0027】
また、図1の紙面左側において、回路パターン35を挟んで対向する一対の半導体素子4は、配線部材W2によって電気的に接続される。同様に図1の紙面右側において、回路パターン36を挟んで対向する一対の半導体素子4は、配線部材W2によって電気的に接続される。
【0028】
図1の紙面左側において、半導体素子4が実装される回路パターン33と内側端子部60は、配線部材W3によって電気的に接続される。同様に図1の紙面右側において、半導体素子4が実装される回路パターン33と一方の内側端子部60は、配線部材W3によって電気的に接続される。また、図1の紙面右側において、回路パターン35と他方の内側端子部60は、配線部材W3によって電気的に接続される。
【0029】
図1の紙面左側の回路パターン33と紙面右側の回路パターン36は、配線部材W4によって電気的に接続される。同様に図1の紙面左側の回路パターン35と紙面右側の回路パターン35は、配線部材W4によって電気的に接続される。
【0030】
また、図1の紙面左側において、回路パターン35と半導体素子4は、配線部材W5によって電気的に接続される。同様に図1の紙面右側において、回路パターン36と半導体素子4は、配線部材W5によって電気的に接続される。
【0031】
また、詳細は後述するが、回路パターン35には、延在方向に沿って複数の配線部材W6が配置されている。配線部材W6は、平面視で回路パターン35の幅方向(延在方向に直交する方向)に並んで複数本(図1では2本)配置されている。また、各配線部材W6は、回路パターン35に対して複数箇所で電気的に接続される。
【0032】
した配線部材W1〜W6には、導電性を有する線状のワイヤが用いられる。ワイヤは、断面円形で直径25μm以上、600μm以下であってよい。導電ワイヤの材質は、金、銅、アルミニウム、金合金、銅合金、アルミニウム合金のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。配線部材W1〜W6は、それぞれの回路パターンおよび半導体素子とウェッジボンディングで接合されていてよい。
【0033】
回路パターン35において延在方向に沿って配置されている配線部材W6は、直径100μm以上、600μm以下の断面円形を有する線状のワイヤであってよい。また、配線部材W6として、ワイヤ以外の部材を用いることも可能である。例えば、配線部材W6として、導電性を有する薄帯状のリボンを用いることができる。リボンの幅は、500μm以上、2.5mm以下である。リボンの厚さは50μm以上、250μm以下である。このような配線部材W6の材質は、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。さらに、電気抵抗を調整するために、シリコン、鉄、タングステン、チタンのいずれか1つ又はそれらの組み合わせが加えられていてもよい。このような配線部材W6は、回路パターン35に対して、ウェッジボンディングやレーザー接合を用いて複数箇所で接続される。
【0034】
特に図示はしないが、環状壁部50により規定されるケース部材5の内部空間は、封止樹脂によって封止される。具体的に封止樹脂は、ケース部材5の内側で絶縁回路基板3、半導体素子4、配線部材、及び内側端子部60が十分に埋まる程度に充填される。なお、封止樹脂には、エポキシ樹脂やシリコーンゲルを用いることができる。
【0035】
ところで、したように近年では、IGBT素子とFWD素子の機能を一体化したRC−IGBT素子が開発されている。RC−IGBT素子によれば、IGBT素子とFWD素子を一対組み合わせて単一のスイッチ素子を構成する場合に比べて、同じ電流定格におけるチップ面積が縮小され、より高密度な実装が可能となっている。
【0036】
より具体的にRC−IGBT素子は、IGBT素子とFWD素子を別体で組み合わせた場合に比べて同じ電流定格におけるチップ面積をおよそ20%縮小することが可能である。したがって、半導体モジュールの製品サイズを縮小して従来と同じ電流定格を達成できるという利点がある。
【0037】
すなわち、IGBT素子とFWD素子を別体で組み合わせたチップ面積と同じ面積のRC−IGBT素子を用いれば、電流定格を更に拡大(およそ25%)することが可能である。この場合、半導体モジュールの製品サイズは従来と同じまま、電流定格だけ拡大することが可能である。
【0038】
しかしながら、従来に比べて電流定格が拡大される結果、電流の二乗に比例して回路網の発熱量が増加するため、従来の電流定格では問題とならなかった回路パターンの異常過熱が発生し得る。これは回路パターンを流れる電流に位置的な偏りが生じているためと考えられる。
【0039】
ここで、図3を参照して本実施の形態にかかる半導体モジュール1の回路構造について説明する。図3は、本実施の形態に係る半導体モジュールの回路構造の部分拡大図である。より具体的に図3Aは図1の回路パターン35周辺の部分拡大図であり、図3Bは図2の回路パターン35周辺の部分拡大図である。
【0040】
図3Aに示すように、回路パターン35は、所定方向に延びる第1ストレート部35aと、第1ストレート部35aの延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部35bと、コーナー部35bの屈曲方向に延びる第2ストレート部35cと、を有している。
【0041】
第1ストレート部35aは、例えば半導体モジュール1の長手方向(図3の紙面左右方向)に沿って延びている。コーナー部35bは、第1ストレート部35aの端部から直角に屈曲している。第2ストレート部35cは、コーナー部35bの端部から例えば半導体モジュール1の短手方向(図3の紙面上下方向)に延びている。すなわち、第1ストレート部35aと第2ストレート部35cは、コーナー部35bにおいて、直角を成すように連結されている。
【0042】
通常、回路パターン31(35)には、銅等の導電性の高い金属材料が用いられるものの、所定の抵抗を有する。特に図3Aのように回路パターン35にコーナー部35bを有する場合、回路パターン35を流れる電流は、より抵抗の低い箇所を流れる傾向がある。すなわち、電流は、回路パターン35中の抵抗が小さくなる経路を流れようとする。より具体的に電流は、回路パターン35(コーナー部35b)の内周側を流れようとする(図3A中の矢印参照)。この場合、回路パターン35の外周側には、内周側に比べて電流が流れ難くなっている。このように、回路パターン35を流れる電流には、経路によって偏りが生じているといえる。
【0043】
そこで、本件発明者は、のように回路パターンを流れる電流に位置的な偏りが生じることに着目し、本発明に想到した。具体的に本実施の形態では、第1ストレート部35aの上面に第1ストレート部35aの延在方向に沿って複数(例えば3つ)の配線部材W6を配置している。また、複数の配線部材W6は、コーナー部35bの外周側に偏って配置されている。
【0044】
この構成によれば、配線部材W6が回路パターン35の外周側に偏って配置されることで、回路パターン35の外周側の抵抗を下げることが可能である。この結果、回路パターン35の外周側にも電流を流れやすくすることが可能である。より具体的に電流は、回路パターン35の内周側だけでなく、配線部材W6を含む回路パターン35の外周側にも流れることになる。
【0045】
このように、回路パターン35を流れる電流を分流化することで、回路パターン35を流れる電流に位置的な偏りを抑えることが可能である。この結果、回路パターン35中の電流密度を低下させ、回路パターン35全体に電流が流れ易くなっている。このため、回路パターン35の熱分布が均一となり、局所的な異常過熱を防止することが可能になっている。
【0046】
このような異常過熱防止効果は、IGBT素子とFWD素子の機能を一体化したRC−IGBT素子を備えた半導体モジュール1において、より顕著に表れる。したがって、本実施の形態によれば、電流定格を拡大しつつも回路パターンの異常過熱を抑制することが可能である。
【0047】
次に、図4から図8を参照して変形例にかかる半導体モジュールの回路構造について説明する。図4は、第1変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。図5は、第2変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。図6は、第3変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。図7は、第4変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。図8は、第5変形例に係る半導体モジュールの回路構造を示す模式図である。
【0048】
実施の形態において、配線部材W6が第1ストレート部35aの上面に配置される構成としたが、この構成に限定されない。例えば、図4に示す構成も可能である。図4に示すように、配線部材W6は、コーナー部35bの上面に配置されてもよい。配線部材W6は、コーナー部35bの屈曲方向に沿って平面視L字状を成すように配置されている。また、配線部材W6は、回路パターン35の幅方向に並んで2つ設けられている。更に2つの配線部材W6は、コーナー部35bの外周側に偏って配置されている。このような配線構成であっても、と同様に回路パターン35の外周側の抵抗を下げることができ、局所的な異常過熱を防止することが可能になっている。
【0049】
また、図3及び図4の配線パターンを組み合わせて、図5のように、回路パターン35の外周側に配線部材W6を配置することも可能である。これにより、回路パターン35の熱分布が均一となって更なる異常過熱抑制効果を得ることが可能である。
【0050】
また、図6に示すように、回路パターン35に対する配線部材W6の接続箇所W6aの数は、回路パターン35の幅方向外周側に向かうに従って多くしてもよい。例えば、配線部材W6の接続箇所W6aの間隔は、最も内周側の配線部材W6を1とした時に、最も外周側の配線部材W6が0.5であり、その間の配線部材W6が1より大きく0.5より小さい範囲で外周側に向かって順次小さくなっていてよい。回路パターン35の外周側の接続箇所W6aが増える程、回路パターン35の外周側の抵抗を下げることができるため、回路パターン35の熱分布が均一となって更なる異常過熱抑制効果を得ることが可能である。また、実施の形態では、配線部材W6が、回路パターン35のストレート部35aに形成される場合について説明したが、これに限定されることなく、図4のコーナー部35b、および図5の外周側の場合において、適宜変更が可能である。
【0051】
また、特に図示はしないが、図3の回路パターン35のストレート部35a、図4のコーナー部35b、および図5の外周側に形成される配線部材W6において、回路パターン35の幅方向に並んで配置される複数の配線部材W6の材質は、外周側に向かうに従って導電率が高くなるようにしてもよい。例えば、内周側がアルミニウム又はアルミニウム合金であって、外周側が銅または銅合金であってよい。更に、複数の配線部材W6の線径は、外周側に向かうに従って大きくしてもよい。例えば、複数の配線部材W6がワイヤであって、内周側の直径が100μm以上、300μm未満であって、外周側の直径が300μm以上、500um以下であってよい。このように外周側に向かうに従って回路パターン35の抵抗を下げる構成を適宜変更することが可能である。すなわち、外周側に向かうに従って抵抗の下げ方に軽重を設けることで、より柔軟に異常過熱を抑制することが可能である。
【0052】
また、実施の形態では、回路パターン35が平面視L字状に形成される場合について説明したが、回路パターン35の形状はこれに限定されることなく、適宜変更が可能である。例えば、図7及び図8に示すように、平面視でクランク状に形成される回路パターン37で構成されてもよい。
【0053】
具体的に回路パターン37は、所定方向(図7及び図8では紙面上下方向)に延びる第1ストレート部37aと、第1ストレート部37aの両端から第1ストレート部37aの延在方向に対して異なる方向(直角方向)に屈曲する第1コーナー部37b及び第2コーナー部37cと、を有している。第1コーナー部37bと第2コーナー部37cは、互い反対側に向くように屈曲している。
【0054】
図7では、第1コーナー部37bの上面に2つの配線部材W7が配置されている。配線部材W7は、第1コーナー部37bの屈曲方向に沿って平面視L字状を成すように配置されている。また、配線部材W7は、回路パターン37の幅方向に並んで2つ設けられている。更に2つの配線部材W7は、第1コーナー部37bの外周側に偏って配置されている。また、回路パターン37に対する配線部材W7の接続箇所W7aは、4箇所ずつ設けられている。
【0055】
同様に、第2コーナー部37cの上面にも2つの配線部材W7が配置されている。配線部材W7は、第2コーナー部37cの屈曲方向に沿って平面視L字状を成すように配置されている。また、配線部材W7は、回路パターン37の幅方向に並んで2つ設けられている。更に2つの配線部材W7は、第2コーナー部37cの外周側に偏って配置されている。また、回路パターン37に対する配線部材W7の接続箇所W7aは、4箇所ずつ設けられている。
【0056】
図8では、第1ストレート部37aの上面に配線部材W7が配置されている。具体的に第1コーナー部37bに近い側の第1ストレート部37aには、第1コーナー部37bの外周側に偏って2つの配線部材W7が第1ストレート部37aの延在方向に沿って配置されている。2つの配線部材W7は、第1ストレート部37aの幅方向に並んで配置されている。
【0057】
一方で、第2コーナー部37cに近い側の第1ストレート部37aには、第2コーナー部37cの外周側に偏って2つの配線部材W7が第1ストレート部37aの延在方向に沿って配置されている。2つの配線部材W7は、第1ストレート部37aの幅方向に並んで配置されている。
【0058】
図7及び8のように、クランク形状の回路パターン37においても、電流が流れ難いと予想される箇所に配線部材W7を設けることで、回路パターン37全体に電流が流れ易くなっている。このため、回路パターン37の熱分布が均一となり、局所的な異常過熱を防止することが可能になっている。
【0059】
以上説明したように、本発明によれば、回路パターンの中で電流が流れ難いとされる箇所に配線部材を配置したことで、電流定格を拡大しつつも回路パターンの異常過熱を抑制することが可能である。
【0060】
また、実施の形態において、絶縁回路基板3や半導体素子4の個数及び配置箇所は、構成に限定されず、適宜変更が可能である。配線部材の配置個数、回路パターンに対する配線部材の接続箇所の個数も同様に適宜変更が可能である。
【0061】
また、実施の形態において、回路パターンの個数及びレイアウトは、構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0062】
また、実施の形態では、絶縁回路基板3や半導体素子4が平面視矩形状又は方形状に形成される構成としたが、この構成に限定されない。絶縁回路基板3や半導体素子4は、以外の多角形状に形成されてもよい。
【0063】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、他の実施の形態として、実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0064】
また、本実施の形態はの実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0065】
下記に、実施の形態における特徴点を整理する。
実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造は、絶縁板の上面に回路パターンが形成された絶縁回路基板と、前記回路パターンの上面に配置される半導体素子と、を備え、前記回路パターンは、所定方向に延びるストレート部と、前記ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部と、を有し、前記ストレート部の上面には、前記コーナー部の外周側に偏って前記ストレート部の延在方向に沿う配線部材が配置されることを特徴とする。
【0066】
また、実施の形態に記載の他の半導体モジュールの回路構造は、絶縁板の上面に回路パターンが形成された絶縁回路基板と、前記回路パターンの上面に配置される半導体素子と、を備え、前記回路パターンは、所定方向に延びるストレート部と、前記ストレート部の延在方向に対して異なる方向に屈曲するコーナー部と、を有し、前記コーナー部の上面には、外周側に偏って屈曲方向に沿う配線部材が配置されることを特徴とする。
【0067】
また、実施の形態に記載の他の半導体モジュールの回路構造において、前記配線部材は、前記コーナー部の上面にも外周側に偏って屈曲方向に沿うように配置されることを特徴とする。
【0068】
また、実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造において、前記配線部材は、前記回路パターンに対して複数箇所で接続されることを特徴とする。
【0069】
また、実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造において、前記配線部材は、前記回路パターンの幅方向に並んで複数本配置されることを特徴とする。
【0070】
また、実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造において、前記回路パターンに対する前記配線部材の接続箇所の数は、前記回路パターンの幅方向外周側に向かうに従って多くなることを特徴とする。
【0071】
また、実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造において、前記回路パターンの幅方向に並んで配置される複数の前記配線部材の材質は、外周側に向かうに従って導電率が高くなることを特徴とする。
【0072】
また、実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造において、前記回路パターンの幅方向に並んで配置される複数の前記配線部材の線径は、外周側に向かうに従って大きくなることを特徴とする。
【0073】
また、実施の形態に記載の半導体モジュールの回路構造において、前記半導体素子は、IGBT素子とFWD素子の機能を一体化したRC−IGBT素子であることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明は、電流定格を拡大しつつも回路パターンの異常過熱を抑制することができるという効果を有し、特に、半導体モジュールの回路構造に有用である。
【0075】
本出願は、2019年7月3日出願の特願2019−124452に基づく。この内容は、すべてここに含めておく。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【国際調査報告】

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