(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-522122(P2016-522122A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(54)【発明の名称】単車の横方向動特性を安定させる方法
(51)【国際特許分類】
B62J 27/00 20060101AFI20160701BHJP
B62K 21/00 20060101ALI20160701BHJP
【FI】
B62J27/00 B
B62K21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-522354(P2016-522354)
(86)(22)【出願日】2014年5月15日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2014059988
(87)【国際公開番号】WO2014206642
(87)【国際公開日】20141231
(31)【優先権主張番号】102013212606.9
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】レメイダ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】クレウス,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァール,アンジャ
【テーマコード(参考)】
3D013
【Fターム(参考)】
3D013CA00
(57)【要約】
【課題】カーブ走行時に単車の横方向動特性を安定させる。
【解決手段】車両横方向に不安定な走行状態の発生が検出され、不安定な走行状態に応じて、車両を安定させるために少なくとも1つのノズルが制御され、ノズルを通って、媒体が車輪のホイール平面に対して垂直方向に流出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブ走行時に単車の横方向動特性を安定させる方法において、
車両横方向に不安定な走行状態の発生を検出し、
不安定な走行状態に応じて、車両を安定させるために少なくとも1つのアクチュエータを制御し、アクチュエータの制御により、車輪のホイール平面に対して垂直方向の速度成分を備える媒体を流出させる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
不安定な走行状態が、前記車両のオーバステアまたはアンダステアであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記車両の横滑り角を検出し、横滑り角が所定の閾値を超過した場合に、オーバステアした走行状態が発生したことを検出することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
オーバステアした走行状態が発生した場合に、カーブ外側のリアサスペンションに取り付けられたノズルが制御され、該ノズルを通って、カーブ外側方向に向いた速度成分を有する媒体が流出することを特徴とする。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
さらに前記車両の舵角を検出し、舵角が所定の閾値を超過しており、同時に横滑り角が所定の閾値を超過している場合に、アンダステアした走行状態が発生していることを検出することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
アンダステアした走行状態が発生した場合に、カーブ外側のフロントフォークに取り付けられたノズルが制御され、該ノズルを通って、カーブ外側方向に向いた速度成分を有する媒体が流出することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記媒体が、圧力容器に貯蔵された二酸化炭素、窒素、ヘリウムまたは圧縮空気であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記媒体が、ノズル近傍で実現された局所的な燃焼により生じた燃焼生成物であり、該燃焼生成物がノズル開口を通って流出することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
流出する前記媒体が、ホイール平面に対して平行に配向され、単車の上方に垂直方向に向いた速度成分を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記アクチュエータの制御と並行して、前輪に作用するステアリングトルクダンパまたはステアリングトルク調節器を制御することを特徴とする方法。
【請求項11】
本発明による方法を実施するように構成された手段を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
他者の関与なしに起こる自動二輪車によるカーブ事故の原因の多くは、一方または両方のホイールの横滑りを伴う車両の過剰なオーバステアまたはアンダステアである。これらの状況は、主に過剰なカーブ速度、傾斜状態における過度な加速、またはタイヤと道路との間の摩擦値の変化によって誘発される。特に最後に挙げた例では、摩擦値が低下し、短い距離を進んだ後すぐに再び突然に上昇した場合には、自動二輪車の転倒を伴う、いわゆる「ハイサイド」が生じる。
【0002】
2つの軌跡を残す車両では、過剰なオーバステアまたはアンダステアを防止するために最も効果的なエレクトロニック・スタビリティコントロールシステムが広く知られている。2つの軌跡を残す車両における一般的な係合可能性である片側ブレーキは、二輪車もしくは単車では構造に基づいて考慮されない。上述のように傾斜状態における過度な加速が行われ、後輪のスリップにより後部の横滑りが生じた場合のためにのみ、トラクションコントロールのためのシステムが次第に広まっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、カーブ走行時に単車の横方向動特性を安定させる方法に関し、
車両横方向に不安定な走行状態の発生が検出され、
これに応じて、車両を安定させるために少なくとも1つのアクチュエータ、特にノズルが制御され、ノズルの制御により、車輪のホイール平面に対して垂直方向に向いた速度成分を備える媒体が流出する。
【0004】
本発明により、ホイールに作用する横方向力を意図的に生成し、これにより単車の安定化に貢献することが可能である。
【0005】
本発明の好ましい構成は、不安定な走行状態が、車両のオーバステアまたはアンダステアであることを特徴とする。
【0006】
本発明の好ましい構成は、車両の横滑り角が検出され、横滑り角が所定の閾値を超過した場合に、オーバステアした走行状態が発生したことが検出されることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい構成は、オーバステアした走行状態が発生した場合に、カーブ外側のリアサスペンションに取り付けられたノズルが制御され、ノズルを通って、媒体がカーブ外側方向に流出することを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい構成は、さらに車両の舵角が検出され、舵角が所定の閾値を超過しており、同時に横滑り角が所定の閾値を超過している場合に、アンダステアした走行状態が発生していることが検出されることを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい構成は、アンダステアした走行状態が発生した場合に、カーブ外側のフロントフォークに取り付けられたノズルが制御され、ノズルを通って、媒体がカーブ外側方向に流出することを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい構成は、媒体が、圧力容器に貯蔵された二酸化炭素、窒素、ヘリウムまたは圧縮空気であることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい構成は、媒体が、ノズル近傍で実現された局所的な燃焼により生じた燃焼生成物であり、該燃焼生成物がノズル開口を通って流出することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい構成は、流出する媒体が、ホイール平面に位置し、単車の上方に垂直方向に向いた速度成分を備えることを特徴とする。流出する媒体の速度成分により、車道へのタイヤの押圧力が高められる。このことは、タイヤの最大限に可能なコーナリング力を高める。
【0013】
本発明の好ましい構成は、アクチュエータの制御と並行して、前輪に作用するステアリングトルクダンパまたはステアリングトルク調節器が制御されることを特徴とする。この制御により、不都合な付加的なステアリングトルクが補正される。
【0014】
さらに、本発明は、本発明による方法を実施するように構成された手段を含む装置を含む。この装置は、特に、本発明による方法を実施するためのプログラムコードを備える制御器である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にとって重要な役割を果たす構成要素を示した自動二輪車の側面図である。
【図2】カーブ走行時に傾斜した自動二輪車を示す後面図である。左側の図では、媒体はホイール平面に対して垂直にノズルから流出する。右側の図では、媒体は、付加的に自動二輪車の鉛直方向に向いた速度成分を備える。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によって、ホイールが横滑りしそうな走行状態がセンサによって検出され、続いて自動二輪車に取り付けられたノズルが制御される。これらのノズルからはガスが噴出され、ガスは反動により車体フレームに横方向力をもたらし、これによりホイールの横滑りが防止される。
【0018】
過剰なオーバステアまたはアンダステアを伴う状況を検出するためには、例えば慣性センサによるクラスタならびに舵角センサが使用される。必要とされる慣性センサは、特に数3つの空間方向における自動二輪車の回転速度、および、必要に応じて付加的に、3つの空間方向に生じた加速度を検出する。このような慣性センサは、最新の自動二輪車の一部では既に提供されている。車体フレームに組み込まれたノズルは、走行方向に対して横方向に向いた開口を備え、流出する支持質量を用いた反動原理により付加的な横方向力を車体フレームに加え、これによりホイールの横滑りを防止する可能性が得られる。
【0019】
一実施形態では、横方向加速度、ヨーレート、ロールレート、およびピッチレートを測定することができる慣性センサ‐クラスタが自動二輪車に組み込まれている。車両速度を推定するためのホイール回転数は、ほぼすべての自動二輪車に、同様にセンサ変数として供給されている。これらの変数によって、制御器において横滑り角が推定される。横滑り角は、安定走行時の自動二輪車においては一般に数度にすぎない。横滑り角が突然に上昇した場合には後軸の横滑りが仮定される。付加的に舵角センサを使用した場合には、前輪が横滑りする危険性が生じるアンダステア状態を検出することができる。このようなアンダステア状態は、舵角が大きい場合に横滑り角が不均衡に小さいことを特徴とする。横滑り角に対して代替的に、センサ装置が適宜に提供されている場合には、ホイールの傾斜角を調整値として使用することもできる。
【0020】
必要に応じて速度の関数として決定された横滑り角閾値を下回った場合には、危険なオーバステアの発生が検出される。必要に応じて速度の関数として決定された横滑り角閾値を超過し、同時に横滑り角が小さい場合には、危険なアンダステアの発生が検出される。アンダステアを突き止めるためには、横滑り角と舵角との比率を考慮してもよい。
【0021】
両方の危険な状態のいずれか一方が発生した場合に、横滑り角もしくは舵角とそれぞれの閾値との差に応じて、ホイールの横滑りを防止するために必要な力が制御器において計算される。リアサスペンションおよびフロントフォークには、それぞれ車軸の右側および左側にノズルが取り付けられており、ノズルの流出開口は車軸に沿って延在している。これらのノズルは、計算された必要な力に応じて制御される。必要な力が大きい程、ノズル開口から流出する媒体の質量流量も大きい。流出する媒体v_mediumの流出速度が一定であると仮定した場合、制御器によって計算された力変化F(t)について、車軸に対して横方向に衝撃Δp=∫F(t)dt=v_medium・Δmが生じ、Δmは、ノズル開口から流出した質量によって特徴づけられる。このような措置により、過剰なアンダステアもしくはオーバステアに反作用が及ぼされる。オーバステアの場合の横滑り角もしくはアンダステアの場合の横滑り角と舵角との比率が再び危険ではない値をとった場合には、ノズルの動作が再び調節される。
【0022】
ノズルに支持質量を供給するためには、自動二輪車に組み込まれた圧縮空気容器から流出するガスが提供される。圧縮空気容器には、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウムまたは圧縮空気が充填されている。代替的な可能性は燃料の燃焼であり、ロケット原理によって、燃料の燃焼生成物が高圧によりノズルを通って流出する。このために、付加的な動力用燃料容器および点火装置が組み込まれている必要がある。
【0023】
前軸におけるノズル動作が突然に開始された場合にフォークの不都合なねじれを防止するために、ステアリングダンパまたはステアリングトルク調節器がフォークに組み込まれていてもよい。このような構成要素により、不都合な付加的ステアリングトルクを補正することができる。
【0024】
本発明の一構成では、危険なオーバステアまたはアンダステアの発生時には、ホイールサスペンションの領域に取り付けられたコールドガス発生器が作動される。流出するガスの反動により、タイヤのコーナリング力の欠如を補う横方向力が車体フレームに作用し、これによりホイールの横滑りが防止される。
【0025】
リアサスペンション、および必要に応じてフロントフォークにも、それぞれ車軸の左側および右側に少なくとも1つのコールドガス発生器が取り付けられており、コールドガス発生器の流出開口は、車軸に対して平行である。流出開口を通る質量流量のための弁は、検出された必要な力に応じて制御される。一般に、既知のコールドガス発生器の弁は、完全に開放または閉鎖することしかできない。しかしながら、これらの開放および閉鎖プロセスは、数ミリ秒の間隔で行うこともできる。さらに、弁が開放された場合に流出するガスの力は、ガス容器の内圧が弱まることにより常に低下する。したがって、衝撃Δp=∫F(t)dt=v_medium・Δmがパルス列により実現されることは好ましく、個々のパルスは、弁の開放とこれに引き続く閉鎖プロセスとからなる。コールドガス発生器によるこれらの側方からの衝撃は、車体フレームにとっては重要な追加的負荷ではない。なぜなら、原則的には、必要に応じてタイヤの極めてわずかなコーナリング力のみが補正されるからである。
【0026】
高圧によるガスの突然の流出により、周囲をできるだけ危険にさらさないように、できるだけ広幅に拡大する放射特性を備える流出開口を形成することができ、したがって、圧力は開口から離れるにつれて急速に低下する。流出開口はホイール平面に対して平行に取り付けられているのではなく、上方に旋回させて取り付けられていることも可能である。開放は、一般にカーブ走行時、すなわち、著しい傾斜状態で行われるので、流出ノズルの開口は、ガスの流出時には少なくとも部分的には上方に向いている。流出ノズルをこのように取り付けることにより、力の望ましい横方向成分は低下するが、しかしながら、これに対してホイール接触点における押圧力が高められ、この押圧力は、ホイールの側方ドリフトに同様に反作用する。
【0027】
図1には、自動二輪車の側面図が示されている。この場合、符号1は自動二輪車に組み込まれた慣性センサ2を示す。符号2は制御器を示し、この制御器では、例えば状況検出、ノズル作動の計算、および操舵安定化のためのアルゴリズムが実施される。符号3は舵角センサを示し、符号4はステアリングダンパまたはステアリングトルク調整器を示す。符号5は、前輪におけるノズル制御のための大容量メモリおよびアクチュエータを示す。符号6は、前輪の1つのノズルを示す。符号7は、後輪におけるノズル制御のための大容量メモリおよびアクチュエータが示されている。符号8は後輪の1つのノズルを示す。
【0028】
図2には、左側および右側の図にそれぞれカーブ走行時の傾斜状態の自動二輪車の後面図が示されている。これらの図には、さらに速度v_mediumにより流出するガスの流出方向201が示されている。図2の左側の図では、ガスは後輪のホイール平面に対して垂直方向に流出し、後輪に作用する反動力Fmを生成する。反動力Fmは、車道平面においてカーブ内側方向に向いた成分Fyおよび車道表面に対して垂直方向に向いた成分Fzを備え、成分Fzは車道に対するタイヤの押圧力を高める。図2の右側の図では、ガスは後輪のホイール平面に対して垂直方向にノズルから流出せず、ホイール平面に対して平行に比較的大きい速度成分を備える。図2に示した実施例では、ガスは自動二輪車の傾斜により垂直方向に上方に流出する。したがって、反動力Fmは同様に上方から垂直方向に作用し、道路表面に対するタイヤの押圧力を著しく高める。
【国際調査報告】