(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-522359(P2016-522359A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(54)【発明の名称】内燃機関の始動方法、装置、コンピュータ・プログラム製品
(51)【国際特許分類】
F02D 29/02 20060101AFI20160701BHJP
F02D 13/02 20060101ALI20160701BHJP
【FI】
F02D29/02 321B
F02D13/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-522382(P2016-522382)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月3日
(86)【国際出願番号】EP2014062332
(87)【国際公開番号】WO2014206765
(87)【国際公開日】20141231
(31)【優先権主張番号】102013212168.7
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ウール,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】トプホーフェン,イェンス
【テーマコード(参考)】
3G092
3G093
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA06
3G092AA11
3G092AA13
3G092AB02
3G092AC02
3G092AC03
3G092CB03
3G092DA01
3G092DA08
3G092FA32
3G092FA50
3G092FB04
3G092GA01
3G092HA04Z
3G092HA13Z
3G092HE01Z
3G092HE08Z
3G092HG08Z
3G093CA01
3G093DA01
3G093DA05
3G093DB09
3G093EA15
(57)【要約】
本発明は、内燃機関が、少なくとも2つのシリンダと、各シリンダに対して少なくとも1つの入口弁および少なくとも1つの出口弁を備えた弁駆動装置であって、少なくとも入口弁の閉鎖時点が可変設定可能な弁駆動装置と、直接噴射システム、特にガソリン直接噴射システムとを有し、この場合、始動が1つのシリンダ内における直接噴射および点火により開始される、自動車用内燃機関の始動方法に関するものである。始動において、少なくとも1つの他のシリンダの少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が、少なくとも1つの実際状態値に依存して変化されることが行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関が、少なくとも2つのシリンダと、各シリンダに対して少なくとも1つの入口弁および少なくとも1つの出口弁を備えた弁駆動装置であって、少なくとも入口弁の閉鎖時点が可変設定可能な弁駆動装置と、直接噴射システム、特にガソリン直接噴射システムとを有し、この場合、始動が1つのシリンダ内における直接噴射および点火により開始される、自動車用内燃機関の始動方法において、
始動において、少なくとも1つの他のシリンダの少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が、少なくとも1つの実際状態値に依存して変化されることを特徴とする自動車用内燃機関の始動方法。
【請求項2】
実際状態値として、周囲温度(T0)が測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実際状態値として、周囲圧力(p0)が測定されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
実際状態値として、エンジン温度(TM)が決定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
実際状態値として、潤滑剤状態(TS)、特に内燃機関の潤滑剤の粘度を表す値が測定されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
実際状態値として、内燃機関の回転数(n)が測定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
始動のために最適な減圧が対応シリンダ内に発生するように、それぞれの測定状態値に依存して、少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が選択されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載の方法を実行するための手段を含む、特に用意された制御装置が設けられていることを特徴とする内燃機関の運転特に始動装置。
【請求項9】
プログラムがコンピュータ上で実行されるとき、機械が読取り可能な媒体上に記憶されている、請求項1ないし7に記載の方法を実行するためのプログラムコードを備えたコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関が、少なくとも2つのシリンダと、各シリンダに対して少なくとも1つの入口弁および少なくとも1つの出口弁を備えた弁駆動装置であって、少なくとも入口弁の閉鎖時点が可変設定可能な弁駆動装置と、直接噴射システム、特にガソリン直接噴射システムとを有し、この場合、始動が1つのシリンダ内における直接噴射および点火により開始される、自動車用内燃機関の始動方法に関するものである。
【0002】
さらに、本発明は、請求項8の上位概念に記載の装置並びに請求項9の上位概念に記載のコンピュータ・プログラム製品に関するものである。
【背景技術】
【0003】
通常の内燃機関において、始動は一般にいわゆるピニオン・スタータを介して行われ、ピニオン・スタータは、それに続いて内燃機関がシリンダ内の燃焼の開始を介してその後の運転を引き継ぐまでの間、外部から与えられるトルクにより内燃機関を加速する。内燃機関の始動のために必要な外部トルクを低減したいという関心が、例えば使用の観点からも高くなった。さらに、ピニオン・スタータないしは始動装置は、より小さい大きさとすることが有利である。ハイブリッド駆動装置においては、内燃機関の抵抗に対するトルク量がそれに対応して低下するので、電気機械はより小さくすることが可能である。
【0004】
このようなトルク低減は、1つのシリンダ内における噴射および点火により始動過程が開始されるいわゆる減圧始動の使用により達成可能である。この場合、ちょうど膨張行程にあるシリンダ内において最初の点火ないしは噴射が行われ、これにより、燃焼が内燃機関のクランク軸内にトルクを導入する。点火順序においてそれに続くシリンダ(後続シリンダ)の上死点を超えるためには、形成された運動エネルギーが後続シリンダ内の全空気質量を圧縮するためにしばしば十分ではないので、シリンダ充填の一部を再び排出することが必要である。したがって、入口弁を介して空気質量をシリンダから再び排出可能なように、入口弁のきわめて遅れた閉鎖が実行されることが適切である。例えば6シリンダ・エンジンにおいては、4番目に燃焼されるシリンダ以降は最初に減圧はもはや必要ではなく、且つこのときの後続シリンダの全空気質量は圧縮可能であるので、2つの後続シリンダをこのように減圧させることが必要である。
【発明の概要】
【0005】
請求項1の特徴を有する本発明の方法は、確実な直接始動が、周囲条件および内燃機関の寿命の影響とは無関係に保証されるという利点を有する。このために、本発明により、内燃機関の始動において、少なくとも1つの他のシリンダ(後続シリンダ)の少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が、少なくとも1つの実際状態値に依存して変化されることが行われる。少なくとも1つの他のシリンダとは、この場合、点火順序において最初に噴射および点火が行われたシリンダに続くシリンダと理解されるべきである。要するに、点火順序において2番目のシリンダである。この他のシリンダの少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点を実際状態値に依存して変化させることにより、例えば、周囲条件が許容するときは始動過程が短縮され、または内燃機関の確実な起動を保証するために始動過程が延長されるように、減圧が周囲条件および/または寿命の影響に適合され得る。
【0006】
このために、本発明の有利な一態様により、実際状態値として周囲温度および/または周囲圧力が測定されることが行われる。周囲圧力および周囲温度は初期燃焼のためのそれぞれのシリンダの充填を決定する。さらに、これにより後続シリンダの圧縮作業が影響される。これらの周囲値に依存した閉鎖時点の適合により、それに対応して基本閉鎖時点が影響ないしは補正されるので、これは条件および必要な減圧性能に十分である。
【0007】
本発明の有利な一態様により、実際状態値として、内燃機関温度ないしはエンジン温度が測定されることが行われる。エンジン温度は内燃機関の摩擦に影響を与え、したがって始動の間の回転数経過にも影響を与えるので、エンジン温度に依存した閉鎖時点の適合により、始動過程はさらに最適化される。
【0008】
代替態様または追加態様として、好ましくは潤滑剤状態、特に内燃機関の潤滑剤温度が測定されることが行われる。潤滑剤状態として、潤滑剤の粘度、特に潤滑剤の粘度を表わす値が測定されることは特に好ましい。これは既知のセンサにより行うことが可能である。潤滑剤は経年変化し、この場合、その粘度は、燃料の混入、摩損および/またはコークス化に基づいて変化し、このことが内燃機関の摩擦に直接影響を与える。内燃機関の潤滑剤の温度は、同様に、エンジン摩擦したがって克服されるべき減圧トルクにも影響を与える。潤滑剤温度が高いとき、この場合には克服されるべきトルクはそれに対応して小さくなり、且つ内燃機関の起動はより急速に行われるか、ないしは克服されるべき減圧トルクも同様により小さい値に低下するので、例えば閉鎖時点は、遅れ方向ではなく進み方向にシフトされる。
【0009】
本発明の有利な一態様により、追加態様または代替態様として、内燃機関の回転数が実際状態値として測定されることが行われる。前に記載の状態値が始動過程の開始前における減圧方式のいわゆるオフライン補正を意味する一方で、内燃機関の回転数の測定および考慮は、減圧方式のこの場合において、起動過程の間に行われるいわゆるオンライン補正を示す。回転数の測定により、内燃機関の始動経過がどのように行われたかが得られる。例えばより高い減圧力が克服されなければならないことにより、始動経過が期待よりも不調に開始されたとき、これは、対応する入口弁の閉鎖時点の変化により、後続シリンダが正常運転におけるよりも著しく遅い入口弁の閉鎖により減圧されることによって「救済」可能である。始動経過が期待よりも良好に推移していることが検出されたとき、これは、後続シリンダ内の充填が、クランク軸の回転開始時にはじめに計画されたよりも急速に形成されることによって、さらに加速可能である。このために、後続シリンダが計画されるよりも弱く減圧され、入口弁は正常よりも早く閉鎖されることが好ましい。
【0010】
さらに、内燃機関の始動のために最適な減圧がそれぞれのシリンダ内に発生するように、測定状態値に依存して、閉鎖時点が選択されることが好ましい。これにより、外部影響並びに内燃機関の状態値に基づいて、減圧方式を設定することが可能となり、且つ特に後続シリンダの入口弁の閉鎖タイミングが内燃機関の最適始動過程を保証するように調節する。
【0011】
請求項8の特徴を有する本発明の装置は、本発明の方法を実行するための手段を有する、特に用意された制御装置を特徴とする。該手段は、特に、本方法がその上でプログラムとして実行可能なプロセッサである。これにより、運転において、内燃機関の始動過程に対して前に記載の利点が得られる。
【0012】
請求項9の特徴を有する本発明のコンピュータ・プログラム製品は、それがコンピュータ上で実行されたとき、本発明の方法を実行することを特徴とする。
以下に本発明が図面により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、内燃機関の有利な始動方法を流れ図で示す。
【図2】図2は、始動過程の第1の実施例を示す。
【図3】図3は、始動過程の第2の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、少なくとも2つのシリンダ、この場合6つのシリンダ、および1つの弁駆動装置を有する内燃機関の始動方法を簡単な流れ図で示し、この場合、弁駆動装置は、各シリンダに対して少なくとも1つの入口弁および少なくとも1つの出口弁を有し、およびこの場合、少なくとも入口弁の閉鎖時点が可変設定可能である。内燃機関は、さらに、ガソリン直接噴射システムを有し、ガソリン直接噴射システムを介して燃料を直接シリンダ内に供給可能である。それぞれのシリンダ内に供給された燃料を点火するために、各シリンダに、さらに、点火装置、特に点火プラグが付属されている。
【0015】
内燃機関は、直接始動ないしは減圧始動で運転されるべきものであり、このために、燃料は、ピストンが膨張行程内にあるシリンダ内に噴射され、且つ点火が開始される。それに続く燃焼が、ピストンを介して、内燃機関のクランク軸内に回転運動を与える。最初に点火されたシリンダは、以下において、スタート・シリンダと呼ぶものとする。
【0016】
内燃機関の最適始動を保証するために、始動時に、少なくとも1つの後続シリンダ、即ち点火順序においてスタート・シリンダに後続するシリンダの少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が、少なくとも1つの実際状態値に依存して変化されるという有利な方法が行われる。特に、点火順序において後続する第1および第2シリンダの入口弁の閉鎖時点が、実際状態値に依存して変化される。この場合、はじめに、最適運転条件下で最適始動過程を保証するであろう、対応入口弁に対する基本制御時点から出発される。実際状態値を考慮することによって、この基本制御時点は、対応入口弁がより早くまたはより遅く閉鎖するように変化ないしは補正され、これにより、それぞれのシリンダ内において行われる減圧が適合される。基本制御時点は、エンジン制御装置内において、内燃機関の停止位置に依存して与えられ、且つ以後の方法に対する出発点として利用されることが好ましい。ここで、図1に例として流れ図で示されているように、はじめに、入口弁の閉鎖時点のオフライン補正ないしは適合が行われることが計画される。最適始動条件は一般には存在しないので、オフライン補正の場合、閉鎖時点は、周囲条件および内燃機関の停止時に検出可能な内燃機関の状態条件に依存して変化ないしは補正されることが行われる。第1ステップS1において、はじめに、内燃機関の停止位置に依存して、始動過程が開始されるべきスタート・シリンダが決定される。次に、このことから、どの後続シリンダにおいて入口弁の閉鎖時点が変化されるべきかが得られる。6つのシリンダを備えた内燃機関においては、例えば第4又は第3後続シリンダから減圧を実行する必要はもはやないので、ここでは正常な閉鎖時点に依存すればよい。しかしながら、第1および第2後続シリンダに対しては、有利な方法により、以下に記載のように閉鎖時点の変化が行われる。
【0017】
はじめに、周囲圧力p
0および/または周囲温度T
0が測定される。それに依存して、ステップS2において、対応入口弁の閉鎖時点が変化されるか、ないしは基本制御時点が補正される。周囲圧力および周囲温度は、初期燃焼に対する充填並びに後続シリンダにより行われるべき圧縮作業を決定する。したがって、例えば、高い周囲圧力においては、より高い圧縮作業を行うことになるために、対応入口弁の閉鎖時点は、さらに後方にないしは遅れ方向にシフトされることが行われる。
【0018】
さらに、エンジン温度が決定され、このために、冷却水温度T
Wが対応センサにより測定される。これにより決定されたエンジン温度T
Mに依存して、次に、ステップS3において、それぞれの閉鎖時点がそれに対応してさらに変化され、即ち、進み方向にまたは遅れ方向にシフトされる。温度T
Mは内燃機関の摩擦に影響を与えるので、始動の間の回転数経過にも影響を与える。それに対応して、回転数経過に依存して閉鎖時点が変化されたとき、内燃機関の良好な始動を保証するために、後続シリンダの減圧がさらに最適化される。
【0019】
さらに、内燃機関の潤滑剤特にエンジンオイルの潤滑剤状態T
Sが測定されることが行われる。特に潤滑剤状態T
Sとして、摩損、コークス化および/または燃料混入に基づいて内燃機関の運転時間と共に変化する潤滑剤の粘度が測定される。潤滑剤の状態が同様に内燃機関の摩擦に影響を与えるので、ステップS4において、潤滑剤状態T
Sに依存して同様にそれぞれの入口弁の閉鎖時点が補正される。これは、最適始動を保証するために、対応シリンダの減圧の最適化において有利な方法により考慮される。
【0020】
ステップS2、S3およびS4において実行された補正に続いて、例えば他のステップS5において、内燃機関の所定の最小回転数に到達するまでの始動時間および/または内燃機関の圧縮行程の間の最小回転数が測定される。これらの値を用いて、次に、ステップS6において、適合機能に関して、同様に減圧に影響を与える、例えば寿命の間に変化するエンジン摩擦および/またはいわゆるシリンダ隙間漏れ特性のような内燃機関の摩耗現象が考慮されてもよい。ステップS2、S3およびS4が、ここに示した順序とは異なって実行されてもよいことは明らかである。
【0021】
オフライン補正においては、内燃機関の始動前に入口弁の閉鎖時点が決定される一方で、オフライン補正に追加してまたはその代わりに実行可能な、以下に記載のオンライン補正においては、入口弁の閉鎖時点の適合および変化が、既に開始された始動過程の間に行われる。この場合、始動過程の間に内燃機関の回転数nがモニタされる。このために、図2および3はそれぞれ、内燃機関の回転数nが時間tに対して表わされた線図を示す。ここで、内燃機関の最適な、ないしは計画された始動経過の回転数経過が第1曲線n
0で示されている。
【0022】
図2に示す第1の実施例において、実際に測定された始動経過n
Sはより低い回転数を有し、これは、後続シリンダの不十分な減圧によるものであって、始動を中止させる。
しかしながら、開始時に既に、測定された回転数n
Sが期待された回転数n
0から偏差を有し、且つより低い値を有することが明らかである。このことが始動過程の間に検出されたとき、有利な方法により、後続シリンダの入口弁の閉鎖時点が遅れ方向にさらに変化されるか、ないしは後続シリンダのより強力な減圧が設定される。これにより、図2に示すように、内燃機関の始動時間は確かに概して値Δt
1だけ延長されるが、結果として得られた回転数n
SKが示すように、始動過程は「救済」ないしは保証可能である。
【0023】
より強力な減圧により、それぞれの後続シリンダの圧縮の間に、回転数nは、閉鎖時点が変化されなかったときのようにはそれほど顕著に低下しないので、始動が救済されることになる。
【0024】
図3は、開始時に既に、期待された回転数より高い回転数に導く、期待された回転数経過n
0に比較してより良好な回転数経過n
Bを示す。この場合、始動経過は、それぞれのシリンダ充填が回転開始時にはじめに計画されたよりも急速に形成されることにより、さらに加速可能である。このために、後続シリンダの入口弁の閉鎖時点は進み方向にシフトされ、これにより、後続シリンダは、はじめに基本制御時点による計画よりも弱く減圧される。これにより、内燃機関はより急速に加速され、且つ結果として得られた回転数n
BKはより急速に最小回転数に到達する。この場合、始動時間は、図に示す値Δt
2だけ短縮される。
【手続補正書】
【提出日】2016年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関が、少なくとも2つのシリンダと、各シリンダに対して少なくとも1つの入口弁および少なくとも1つの出口弁を備えた弁駆動装置であって、少なくとも入口弁の閉鎖時点が可変設定可能な弁駆動装置と、直接噴射システムとを有し、この場合、始動が1つのシリンダ内における直接噴射および点火により開始される、自動車用内燃機関の始動方法において、
始動において、少なくとも1つの他のシリンダの少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が、少なくとも1つの実際状態値に依存して変化されることを特徴とする自動車用内燃機関の始動方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法において、
前記直接噴射システムは、ガソリン噴射システムである、方法。
【請求項3】
実際状態値として、周囲温度(T0)が測定されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
実際状態値として、周囲圧力(p0)が測定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
実際状態値として、エンジン温度(TM)が決定されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
実際状態値として、潤滑剤状態(TS)が測定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項6に記載された方法において、
前記潤滑剤状態(TS)は、内燃機関の潤滑剤の粘度を表す値である、方法。
【請求項8】
実際状態値として、内燃機関の回転数(n)が測定されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
始動のために最適な減圧が対応シリンダ内に発生するように、測定された少なくとも1つの前記実際状態値に依存して、少なくとも1つの入口弁の閉鎖時点が選択されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1ないし9に記載の方法を実行するための手段を含む、特に用意された制御装置が設けられていることを特徴とする内燃機関の運転特に始動装置。
【請求項11】
プログラムがコンピュータ上で実行されるとき、機械が読取り可能な媒体上に記憶されている、請求項1ないし9に記載の方法を実行するためのプログラムコードを備えたコンピュータ・プログラム製品。
【国際調査報告】