(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-526059(P2016-526059A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】ポリウレタンセメント系ハイブリッド床材の製造用速硬性組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/32 20060101AFI20160805BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20160805BHJP
C08G 18/36 20060101ALI20160805BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20160805BHJP
C08K 3/00 20060101ALI20160805BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20160805BHJP
C08G 18/16 20060101ALI20160805BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20160805BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20160805BHJP
C04B 26/16 20060101ALI20160805BHJP
C09D 1/08 20060101ALI20160805BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20160805BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20160805BHJP
E04F 15/12 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
C08G18/32 A
C08G18/76 Z
C08G18/36
C08L75/04
C08K3/00
C08K3/22
C08G18/16
C08K5/42
C08L33/04
C04B26/16
C09D1/08
C09D175/04
C09D7/12
E04F15/12 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-509494(P2016-509494)
(86)(22)【出願日】2014年4月25日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014058489
(87)【国際公開番号】WO2014174093
(87)【国際公開日】20141030
(31)【優先権主張番号】13165592.0
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504274505
【氏名又は名称】シーカ・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒメノ サントス パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ニートハンマー マティアス
(72)【発明者】
【氏名】グレッツィンガー ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ツィルグ カルステン
【テーマコード(参考)】
2E220
4J002
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本出願は、1種又は複数種のポリオール及び水を含むポリオール成分と、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を含むポリイソシアネート成分と、セメント、水酸化カルシウム、及び1種又は複数種の凝集体を含む粉体成分と、ポリオール、ポリイソシアネート、及び粉体成分の総重量ベースで0.5重量%未満のアミノアルコール及び酸含有硬化促進剤成分とを含む、多成分組成物に関する。改善された硬化速度、及び実質的に色合いの変化を示さない向上した風合いを有するポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜のシステムが達成され得る。気泡の発生を回避することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分組成物であって、
1種又は複数種のポリオール及び水を含むポリオール成分と、
メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を含むポリイソシアネート成分と、
セメント、水酸化カルシウム、及び1種又は複数種の凝集体を含む粉体成分と、
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の総量ベースで0.5重量%未満の、アミノアルコール及び酸を含有する硬化促進剤成分と、
を含む、多成分組成物。
【請求項2】
前記硬化促進剤成分がアルキルアミノアルコール及び3.5以上のpKaを有する酸、好ましくはホウ酸又は安息香酸を含む、請求項1に記載の多成分組成物。
【請求項3】
添加剤成分が好ましくはスルホン化メラミン及び/又はポリカルボキシレートエーテルポリマーに基づくセメント系材料に対する可塑剤を更に含む、請求項1又は2に記載の多成分組成物。
【請求項4】
前記組成物中の前記硬化促進剤成分の含有量が、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の総重量ベースで0.005重量%〜0.05重量%、好ましくは0.01重量%〜0.015重量%であり、前記硬化促進剤が好ましくはポリオール成分との混和物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項5】
前記硬化促進剤がポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分から分離され、0.005重量%〜0.05重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.015重量%、0.01重量%〜0.03重量%、又は0.03重量%〜0.05重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリオールが、ポリヒドロキシ官能性脂肪若しくは油、及び/又は天然の脂肪若しくは油の、化学修飾物であるポリオールを含み、好ましくは前記ポリオールがヒマシ油を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項7】
水が前記ポリオール成分の10重量%〜50重量%を占める、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項8】
前記ポリイソシアネート成分が、2,4’−MDI及び4,4’−MDIを10:90〜40:60の比率で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項9】
前記粉体成分が、2重量%〜8重量%、好ましくは4.5重量%〜6.0重量%の水酸化カルシウムを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項10】
前記粉体成分が、2重量%〜8重量%、好ましくは4.5重量%〜6.0重量%の酸化カルシウムを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項11】
前記粉体成分が、60重量%〜80重量%の前記凝集体を含み、好ましくは該凝集体が砂を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項12】
前記ポリオール成分、前記ポリイソシアネート成分、及び前記粉体成分が、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を合わせた量の10重量%〜25重量%、10重量%〜25重量%、及び50重量%〜80重量%をそれぞれ占める、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項13】
前記ポリオール成分、前記ポリイソシアネート成分、及び前記粉体成分の総重量ベースで、
前記水の含有量が4.5重量%〜6.5重量%の範囲内であり、
前記MDIの含有量が15重量%〜17重量%の範囲内であり、
前記セメントの含有量が16重量%〜25重量%の範囲内である、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項14】
アルコール性OH基に対するNCO基のモル比が1.5:1〜3:1の範囲内、好ましくは2:1〜2.5:1の範囲内である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の多成分組成物。
【請求項15】
ポリオール、MDI、セメント、凝集体、水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウムと、水とを含む多成分組成物の硬化速度を増すためのアミノアルコール及び酸の混和物の使用。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を用いたポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜の製造方法であって、
前記ポリオール成分と前記ポリイソシアネート成分とを混合することと、
前記粉体成分と前記硬化促進剤成分とを前記ポリオール成分及び前記ポリイソシアネート成分の混合物に添加し、これを撹拌して実質的に均一な混合物を得ることと、
前記実質的に均一な混合物を基体に塗布することと、
前記塗布した混合物を硬化してセメント系床材又は塗膜を得ることと、
を含む、ポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法によって得ることができる床材又は塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜の製造用多成分組成物、該多成分組成物を用いた床材又は塗膜の製造方法、及び方法により得ることができる床材又は塗膜
【背景技術】
【0002】
従来技術では、エポキシ樹脂の床は見栄えの良い外観を示すが、これらの材料は用途の制限に悩まされ、それらの成形加工にアミンの使用を含む。化学物質に関連する、特にエポキシ化学物質(epoxy chemical)に必要なアミンに影響を及ぼす更なる制限が、欧州連合REACH規則によって課されている。そのため、同様の特性を有する材料を提供する代替化学物質が必要とされている。
【0003】
ポリウレタン(PU)セメント系ハイブリッドシステムは、極めて優れた機械特性を有する塗膜及び床材製品の作製に対して知られている。しかしながら、かかるPUハイブリッドシステムは、特にポリウレタン形成反応のための遅硬化に悩まされる。これらのシステムにおいてポリアルコールとポリイソシアネートとの間の反応が20℃以下の温度では24時間後であっても終了しないことがしばしば観察される。この時間の後の圧縮強度の値が往来に曝されるのに十分良好であっても、周囲温度が25℃未満である場合に1日より長く待つ必要があることから、長期の「動員時間(into service time)」は利用可能なシステムにとって大いに不利である。
【0004】
ポリウレタンセメント系ハイブリッドシステムは、前駆体成分の硬化中に2つの主な反応、すなわち、ポリウレタンを形成するポリオールとポリイソシアネートとの反応、及び一般的に水和と呼ばれるセメントと水との反応が起こる複雑なシステムである。水和によりセメントは硬化して、固体材料となる。水和は、凝集体の粒子がセメント材料によって共に結合されてモルタル又はコンクリートを得るように、通常、砂又は砂利等の凝集体の存在下で作用する。
【0005】
アミノアルコールと酸との混和物は、腐食防止剤としてセメント材料と併せて知られている。これらの材料は、通常、セメントに対して3重量%〜4重量%で添加されて、例えば鉄筋コンクリート用途における防食をもたらす。この目的について市販される既知の防食剤は、例えばSika(スイス)のFerroGard(商標)901である。この材料は、コンクリートに埋め込まれる鉄筋に対する腐食防止剤として特に適している。
【0006】
また、特許文献1において、エトキシル化アルキルフェノールと併せたアミノアルコールと脂肪酸との混和物が、イソシアネート反応性有機化合物/水分散物に対する分散安定剤として記載されている。これらの分散物を、ポリウレタン/セメントハイブリッドシステムを配合するために使用することができ、通常、100部のイソシアネート反応性有機化合物に対して0.5部〜20部の量の安定剤が採用される。しかしながら、特許文献1の組成物の一つの不利益は、それを用いて作製された表面が、比較的量の多いピンホール及び気泡等の表面欠陥を呈することである。これは、平滑な上部表面が求められる用途には問題である。
【0007】
20℃以下の温度で硬化した場合に急速な硬化を呈して24時間後に硬化した表面を提供すると同時に、ピンホール及び気泡がほとんどない非常に平滑な表面を提供する、ポリウレタンセメント系ハイブリッドシステムがなおも必要とされている。
【0008】
利用可能な多成分ポリウレタンセメント系ハイブリッドシステムによる更なる不利益は、全ての成分が同じバッチに由来しても、塗布すると2つの異なるパックの重複する範囲でしばしば色合いの違いを生じることである。これは大きな審美的な不利益である。したがって、同じ組成の個々のポリウレタンセメント系ハイブリッドシステムに関して、これらのシステムが塗布される場合に、実質的に同一の色合いを保証することのできる材料が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0383492号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、20℃以下の温度で24時間以内に硬化することができるポリウレタンセメント系ハイブリッドシステム用速硬性多成分組成物を提供することである。システムは、従来技術の既知のポリウレタンセメント系ハイブリッドシステムの特性を更に有しているものとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、この目的は、アミノアルコール及び酸を、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を合わせた重量に対して0.5重量%未満の量で含む硬化促進剤成分を包含する多成分組成物を使用することにより達成することができた。さらに、ポリオール成分、特にポリオール成分に含有される水の含有量が、組成物中の他の原料の含有量に対して適切な方法で適合される場合に、より一層改善された結果を達成することができた。
【0012】
したがって、本出願は、多成分組成物であって、
1種又は複数種のポリオール及び水を含むポリオール成分と、
メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を含むポリイソシアネート成分と、
セメント、水酸化カルシウム、及び1種又は複数種の凝集体を含む粉体成分と、
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の合わせた量ベースで0.5重量%未満の、アミノアルコール及び酸を含有する硬化促進剤成分と、
を含む、多成分組成物に関する。
【0013】
本発明の多成分組成物をセルフレベリング性又は自己平滑化のスクリード又はモルタルとして使用することができ、予想外にも、約24時間以内に完全に硬化するポリウレタンセメント系ハイブリッド床材システムの製造を可能とし、全成分に関して同じバッチに由来する異なるパックについて重複する範囲で実質的な色合いの違いを示さない。さらに、作業性、開放時間(open time:オープンタイム)、特に圧縮強度等の機械特性に関する特性が極めて優れており、硬化促進剤成分を欠く従来技術のものに匹敵する。
【0014】
本発明のシステムは、床材、特に工業用床材に対して高荷重に耐え得る、ポリウレタンセメント系ハイブリッドセルフレベリング性スクリードとして特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例2においてFerroGard(商標)を含まない試料を用いた結果である。
【図2】実施例2において0.01重量%のFerroGard(商標)を含む試料を用いた結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「ポリ」で始まる物質名、例えばポリオール又はポリイソシアネート等は、形式上、1分子当たり、それらの名称にある官能基を2以上含有する物質を指す。
【0017】
「開放時間」の用語は、成分が互いに混合される場合の加工適性期間を意味すると理解される。解放時間の終わりは、通常、組成物の加工がもはや可能ではないほどの組成物の粘度の増加と関連する。
【0018】
平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される数平均分子量を意味すると理解される。
【0019】
本発明の多成分組成物は、少なくとも3つの個別の成分を含み、自発反応を回避するため別々に保存され、ポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜を作製する際に合わせられる。成分は、1つの包装として共にまとめられていてもよい。さらに、成分は、多成分組成物の実質的に全ての指定される原料を含むことが好ましく、例えばポリイソシアネート成分は多成分組成物の全てのポリイソシアネートを含む。
【0020】
成分はポリオール成分、ポリイソシアネート成分、粉体成分、及び硬化促進剤成分であり、これらは以下に記載される。
【0021】
ポリオール成分
ポリオール成分は、1種又は複数種のポリオールと水とを含む。1種又は複数種の添加剤が任意に添加されてもよい。
【0022】
好適なポリオールの例は、「ポリエーテルポリオール」とも呼ばれるポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール、ポリ炭化水素−ポリオール、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー及びその混合物、特にそれらのジオール、並びにそれらの混合物である。
【0023】
ポリエーテルポリオールの例は、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシブチレンポリオール、特にポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシブチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール及びポリオキシプロピレントリオールである。0.02meq/g未満の不飽和度を有し、1000g/モル〜30000g/モルの範囲内の平均分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、並びに平均分子量400g/モル〜8000g/モルを有するポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールが適切である。
【0024】
ポリエーテルポリオールの更なる例は、いわゆる、エチレンオキシド終端(「EOエンドキャップ化」、エチレンオキシドエンドキャップ化)ポリオキシプロピレンポリオール、スチレンアクリロニトリルグラフト化ポリエーテルポオール、例えばドイツのElastogran GmbHによるルプラノール(Lupranol)(登録商標)である。
【0025】
本発明で使用される特に好ましいポリオールは、ポリヒドロキシ官能性脂肪及び/又は油であり、例えばヒマシ油等の天然の脂肪及び/又は油、又は天然脂肪及び/又は油の、化学修飾によって得られる(化学修飾物である)ポリオール、いわゆるオレオケミカルポリオールである。ヒマシ油が特に好ましい。
【0026】
化学修飾された天然の脂肪及び/又は油の例は、例えば不飽和油のエポキシ化によって、カルボン酸又はアルコールによる後の開環によって得られたエポキシポリエステル又はエポキシポリエーテルから得られたポリオール、不飽和油のヒドロホルミル化及び水素添加によって得られたポリオール、又はアルコーリシス若しくはオゾン分解等の分解プロセス及び例えばそのようにして得られた分解産物若しくはその誘導体のエステル交換若しくは二量体化による後の化学結合によって天然脂肪及び/又は油から得られるポリオールである。天然脂肪及び/又は油の好適な分解産物は、特に、脂肪酸及び脂肪アルコール及び脂肪酸エステル、特にメチルエステル(FAME)であり、これを、例えばヒドロホルミル化によって誘導体化することができ、また、水素添加によってヒドロキシ脂肪酸エステルを得ることができる。
【0027】
上述のポリオールは、通常、比較的高い分子量、例えば250g/モル〜30000g/モル、特に1000g/モル〜30000g/モルの平均分子量、及び/又は1.6〜3の範囲内の平均OH官能価を有する。
【0028】
好適なポリオールの更なる例は、例えば250g/モル未満の分子量を有する低分子量の二価又は多価のアルコールである。それらの例は、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、二量体の脂肪アルコール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール、例えばキシリトール、ソルビトール又はマンニトール、糖、例えばスクロース、より官能価が高い他のアルコール、上述の二価及び多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、並びにそれらの混合物である。
【0029】
低分子量の二価アルコール又は多価アルコールをポリオールとして使用してもよいが、高分子量を有する上述のポリオールの使用が好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つの上述の高分子量のポリオールと、少なくとも1つの低分子量の二価又は多価のアルコールとを組合せて使用する。1種又は複数種のポリヒドロキシ官能性の脂肪及び油、かかる天然脂肪及び油、又は天然脂肪及び油、特にヒマシ油の化学修飾によって得られたポリオールと、1、2又はそれより多い低分子量の二価又は多価のアルコールとの組み合せが特に好ましい。かかる組合せにおいて、1種又は複数種の高分子量を有するポリオールが、通常、少なくとも1つの低分子量の二価又は多価のアルコールよりも多い量で使用される。
【0030】
ポリオール成分中の低分子量の二価又は多価のアルコールの量に関して、これが、ポリオール成分の総重量ベースで0重量%〜7重量%の範囲内であることが好ましい。したがって、本出願の多成分組成物は、低分子量の二価又は多価のアルコールを用いずに配合されてもよい。しかしながら、この成分の添加が最終製品の特性のより優れた微調整を可能とすることがわかっているため、1種又は複数種の低分子量の二価又は多価のアルコールが組成物中に存在する場合が好ましい。低分子量の二価又は多価のアルコールの量は、1重量%〜5重量%の範囲内であることがより好ましく、量が約5重量%であることが最も好ましい。
【0031】
1種又は複数種のポリオールと水とは別に、ポリオール成分は更なる添加剤を含有してもよい。かかる添加剤は、必要に応じて一般的に使用され、ポリウレタン分野の当業者に典型的に知られている。任意の添加剤の例は、可塑剤、顔料、シラン、例えばエポキシシラン、(メタ)アクリレートシラン、及びアルキルシラン等の接着促進剤、熱、光、及び紫外線に対する安定剤、チキソトロピー剤、流動性改善剤、難燃剤、消泡剤等の界面活性剤、湿潤剤、流動性調整剤、脱気剤、及び殺生物剤である。
【0032】
ポリオール成分の好ましく使用される任意の添加剤は、ベンゾエート、フタレート、又はジイソプロピルベンゼン(通常、異性体の混合物)等の1種又は複数種の可塑剤、無機及び有機の顔料、シリコン不含溶媒及びオルガノ変性ポリシロキサン等の消泡剤、並びに水酸化カルシウム等の乳化剤である。
【0033】
ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分は、メチレンジフェニルジイソシアネートを含む。以下、メチレンジフェニルジイソシアネートを通常MDIと略記する。MDIは、例えばポリウレタン生産用の開始材料として有用な化合物であり、世界中で年間数百万トンが生産される。複数の異なる製品グレードのMDIが入手可能である。本発明において使用されるこの「メチレンジフェニルジイソシアネート」の用語は、そのグレードに応じて、モノメリック、オリゴメリック、及びポリメリックのMDIを包含する。ポリイソシアネート成分の文脈において用語は、ポリイソシアネート成分において全てのこれらの成分を包含する。
【0034】
MDIは、3つの異なる異性体、すなわち、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’−MDI)、及び2,2’−メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’−MDI)の形態で利用可能である。商業的に入手可能なMDIは、モノメリックMDI(MMDIとも表示される)及びテクニカルMDIとも呼ばれるポリメリックMDI(PMDI)に分類され得る。ポリメリックMDIは、MDI異性体とオリゴマー種とを含有するMDI合成の原生成物である。モノメリックMDIは、精製によりポリメリックMDIから得られる。
【0035】
モノメリックMDIは、単一のMDI異性体の製品、又は2若しくは3のMDI異性体の異性体混合物の製品を含む、「純粋な」MDIを指す。異性体比率は幅広い範囲で変化し得る。例えば4,4’−MDIは、39.5℃の融点を有する無色〜黄色がかった固体である。市販のモノメリックMDIは、4,4’−MDIと、2,4’−MDIと、典型的には非常に低濃度の2,2’−MDIとの混合物であることが多い。
【0036】
ポリメリックMDIとして、MDI異性体に加えてオリゴマー種が挙げられる。そのため、ポリメリックMDIは、単独のMDI異性体、又は2若しくは3のMDI異性体の異性体混合物を含有し、その残部はオリゴマー種である。ポリメリックMDIは2より高いイソシアネート官能価を有する傾向がある。オリゴマー種の量と同じく異性体の比率は、これらの製品において幅広い範囲で変化し得る。例えばポリメリックMDIは、典型的には約30重量%〜80重量%のMDI異性体を含有し、残部はオリゴマー種であり得る。モノメリックMDIの場合、MDI異性体は4,4’−MDIと、2,4’−MDIと非常に低濃度の2,2’−MDIとの混合物であることが多い。ポリメリックMDIは、典型的には室温(23℃)で褐色又は濃い琥珀色の液体である。
【0037】
オリゴマー種は、3以上のNCO官能価を有するオリゴマーである。オリゴマー種は、合成プロセスの結果であり、下記式によって表すことができる。
【化1】
(式中、nは1〜4以上である)。同族体の量は、鎖長が増加するにつれて減少する。nが4より大きい同族体の総含有量は一般的にそれほど高くない。
【0038】
異性体及びオリゴマー種の数、種類及び含有量、異性体比率、並びにオリゴマー同族体の重量分布について変化する特性を有する幅広いポリメリックMDIグレードが利用可能である。これらの特性は、合成の種類及び条件、並びに精製手順に依存する。さらに、特性は、例えば消費者のニーズにより異なるMDIグレードを混合することによって調整され得る。
【0039】
本発明によれば、使用されるMDIにおける少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%のMDI異性体は4,4’−MDIである。
【0040】
ポリイソシアネート成分中に存在する2,4’−MDIに関して、これが全ポリイソシアネート成分の30重量%未満、好ましくは25重量%未満の量で存在することが好ましい。さらに、ポリイソシアネート成分は、2,4’−MDIと4,4’−MDIとを10:90〜40:60の比率で含むことが好ましい。
【0041】
2,4’−MDIと4,4’−MDIとの比率は、多成分組成物の可使時間に影響を及ぼす。例えば20℃〜35℃等のより高い温度環境では、ポリイソシアネート反応はより急速であることから、同様の可使時間を得るためにはより低含有量の2,4’−MDI異性体を採用する必要がある。そのため、かかる気候に対しては、組成物中の2,4’−MDI含有量は、ポリイソシアネート組成物の総重量ベースで4重量%〜12重量%、好ましくは5重量%〜10重量%の範囲内であることが好ましい。かかる気候に対しては、2,4’−MDI/4,4’−MDIの比率は10〜20:90〜80であることが更に好ましい。例えば北ヨーロッパの気候において見られる5℃〜20℃の標準的な作業温度に対しては、2,4’−MDI含有量はより高く、低温でより急速な反応を保証することが必要である。かかる用途に対して、2,4’−MDIの含有量は、ポリイソシアネート成分の総重量ベースで好ましくは10重量%〜30重量%、より好ましくは15重量%〜25重量%の範囲内である。同様に、2,4’−MDI対4,4’−MDIの比率は、かかる用途に対してはより高いことが好ましく、特に20〜40:80〜60、好ましくは25〜35:65〜75等である。
【0042】
ポリイソシアネート成分は、任意に、比較的少量、例えばポリイソシアネート成分の総重量ベースで、添加剤全体の最大10重量%、好ましくは最大5重量%、より好ましくは最大2重量%の溶媒等の1種又は複数種の更なる添加剤を含んでもよい。ポリイソシアネート化合物への添加に適した溶媒として、限定されないが、エステル、ケトン、炭化水素、及び塩素化炭化水素が挙げられる。しかしながら、一般的に、ポリイソシアネート成分はMDI、すなわちモノメリックMDI及び/又はポリメリックMDIからなることが好ましい。MDI製品は工業製品であることから、それらは、当然ながら少量の不純物を含む場合がある。
【0043】
粉体成分
粉体成分は、セメント、水酸化カルシウム、及び/又は酸化カルシウム、並びに1種又は複数種の凝集体を含む。
【0044】
セメントとして、任意の従来のセメント種又は2以上の従来のセメント種の混合物、例えばDIN EN 197−1により分類されたセメント:ポルトランドセメント(CEM I)、ポルトランド複合セメント(CEM II)、高炉セメント(CEM III)、シリカセメント(CEM IV)、及び複合セメント(CEM V)を使用してもよい。これらの主な種類は、当業者によく知られている27のサブタイプに分けられる。当然ながら、ASTM規格又はインド規格等による別の規格に従って製造されたセメントも好適である。
【0045】
ポルトランドセメントは最も一般的な種類のセメントであり、本出願に適切である。このセメントは、コンクリート、モルタル、化粧漆喰、及びほとんどの非専門的なグラウト剤(most non-specialty grout)の基本的な原料であることから、世界中で一般的に使用されている。ポルトランドセメントは、硬化時間を制御する制限された量の硫酸カルシウム、及び欧州規格EN 197.1によって規定される最大5%の微量成分を含むポルトランドセメントクリンカー(90%超)を研削することによって産生される微細粉体である。
【0046】
好ましいセメントは、白色セメントI−52:5及びI−42,5R等の白色セメントである。白色セメントは、低酸化鉄含量のポルトランドセメントである。白色セメントは、その白色の程度が高いこと以外は、通常のグレイポルトランドセメントに類似する。
【0047】
粉体成分は、消石灰としても知られる水酸化カルシウム、及び/又は酸化カルシウムを更に含む。この材料を白色の粉体として購入することができる。水酸化カルシウム、各々の酸化カルシウムは、作業性を調整し、イソシアネートとポリオール成分に由来する水との反応で生成されたCO
2による気泡形成を回避することにより、組成物において重要な役割を果たす。
【0048】
さらに、粉体成分は1種又は複数種の凝集体を含む。凝集体は、化学的に不活性な固体粒子材料であり、様々な形状、大きさ、及び砂の微細粒子から大きな粗い岩の範囲の材料でもたらされる。特に好適な凝集体の例は、砂、砂利及び砕石、スラグ、焼成フリント、並びに、粘土、軽石、パーライト、及びバーミキュライト等の軽量凝集体である。砂、特にケイ砂は、平滑な表面を得るために必要な作業性を調整するため好ましく使用される。
【0049】
凝集体の粒度は、むしろ小さいことが好ましく、例えば5mm未満である。凝集体は、例えば2mm〜0.05mmの範囲内の粒度を有してもよく、ここで、0.1mm〜1mmの範囲内の粒度を有する砂、特にケイ砂が特に好ましい。例えば0.3mm〜0.8mm若しくは0.1mm〜0.5mmの範囲内又はそれらの組合せの粒度を有する砂は、本発明において有利に使用され得る。粒度の範囲は、例えば篩分析によって決定され得る。
【0050】
粉体成分は、必要に応じて一般的に使用され、セメント用途の分野の当業者に典型的に知られている添加剤を1又は複数更に含んでもよい。粉体成分中に任意に使用され得る好適な添加剤の例は、好ましくはポリカルボキシレートエーテルに基づく超可塑剤(高流動化剤)、鉱物油、ヒマシ油、及び無機顔料若しくは有機顔料である。
【0051】
粉体成分中の添加剤の量は、粉体成分の総重量ベースで10重量%を超えないことが好ましく、添加剤の量は5重量%以下であることがより好ましく、量は2重量%以下であることが更に好ましい。
【0052】
硬化促進剤成分
上述のように、硬化促進剤成分は、アミノアルコール及び酸を含み、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を合わせた量の0.5重量%未満の量で組成物に添加される。硬化促進剤成分を他の成分と物理的に分離された成分の形態で提供することができ、又は成分が硬化促進剤成分の原料に対して創造的でない(uncreative)限り、硬化促進剤をポリオール成分に直接添加することができる。しかしながら、本出願の実施においては、硬化促進剤が塗布の部位における温度条件に応じてその添加される量の調整を可能とすることから、別々の成分として硬化促進剤を提供することが好ましい。
【0053】
酸に関して、本出願は著しく制限されるものではないが、酸は弱酸、すなわち3.5以上のpKaを有する酸であることが好ましい。酸は、無機酸でもあってもよく、有機酸であってもよい。本出願の使用に好ましい無機酸はホウ酸である。好ましい有機酸は、例えば安息香酸等の芳香族酸である。ホウ酸はREACHに登録されていないことから、本発明の実施においては芳香族酸の使用が特に好ましい。
【0054】
アミノアルコールは、好ましくはアルキルアミノアルコールであり、より好ましくはアルキル基中に1〜6の炭素原子を有するアルキルアミノアルコールである。かかるアルキルアミノアルコールの好ましい例は、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N−メチル−ジエタノールアミン(MDEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)及びエチルジエタノールアミン(EDEA)である。
【0055】
上述の成分に加えて、硬化促進剤成分はセメント系材料用の可塑剤(plasticiser:流動化剤)を更に含んでもよい。セメント系材料用可塑剤は当該技術分野でよく知られており、スルホン化メラミンホルムアルデヒド樹脂、スルホン化メラミン尿素ホルムアルデヒド樹脂、及びポリカルボキシレートポリマーが挙げられる。本出願における使用に好ましい可塑剤は、スルホン化メラミン樹脂及び/又はポリカルボキシル化ポリマー、特にその骨格中にカルボキシル官能基、及びその骨格にグラフト化されたペンダント非電荷ポリマー鎖を有するポリカルボキシル化グラフトポリマーである。各可塑剤(plasticizers:流動化剤)は、例えばビスコクリート(Viscocrete)(登録商標)及びシカメント(Sikament)(登録商標)FF 86の商品名でSika(スイス)から入手可能である。
【0056】
一方、本出願の硬化促進剤成分は、イソシアネート反応性ポリオールの分散安定剤としてアミノアルコール及び脂肪酸との使用について記載されている、エトキシル化アルキルフェノール添加剤を実質的に含まないことが好ましい。したがって、硬化促進剤成分は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下のエトキシル化アルキルフェノールを含み、最も好ましくはエトキシル化アルキルフェノールを含まない。指定される重量パーセントは、硬化促進剤成分の総重量に対するものである。
【0057】
十分な硬化の促進を保証するのに必要な硬化促進剤の量は、用途のニーズに対して調整され得る。しかしながら、組成物中の硬化促進剤成分の含有量は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の総重量ベースで、0.25重量%以下、特に0.1重量%以下であることが好ましい。硬化促進剤成分の非常に好ましい含有量は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の総重量ベースで、0.005重量%〜0.025重量%、特に0.01重量%〜0.015重量%の範囲内である。添加剤成分の量が0.005重量%未満である場合、その材料が20℃以下の温度で24時間後に完全に硬化されることを保証することはできない。一方、添加剤成分の割合が0.025重量%を超える場合、これは、製品の開放時間の望ましくない減少をもたらし、色浮きが観察される。
【0058】
多成分組成物中のポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分に関する好適な割合
好適な方法で成分内及び成分間で原料の割合を調整することにより、本発明の改善が顕著に増強され得る。かかる好適な割合は以下に記載される。指定される原料は、上で論考されている特定の成分における原料を指す。異なる成分における原料を指す比率は、操作指示書による各成分の正しい割合、すなわち、成分の混合に使用される混合比率、及び調製される成分の混合物に対して使用される混合比率に関するものである。
【0059】
好ましい実施形態では、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を合わせた量のそれぞれ10重量%〜25重量%、10重量%〜25重量%、及び50重量%〜80重量%を占める。
【0060】
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の混合比率について、ポリイソシアネート成分に対するポリオール成分の重量比は、40:60〜60:40の範囲内であることが好ましく、約50:50の範囲内であることがより好ましい。
【0061】
粉体成分に対するポリオール成分とポリイソシアネート成分とを合わせた重量比は、好ましくは1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3の範囲内である。混合比率は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を上で概説した割合に従って配合する場合に特に好ましい。
【0062】
本発明の多成分組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の総重量ベースで、水の含有量が4.5重量%〜6.5重量%の範囲内であり、MDIの含有量が15重量%〜17重量%の範囲内であり、セメントの含有量が16重量%〜25重量%の範囲内であるように配合されることが更に好ましい。
【0063】
水の量の相違は、その製品の最終表面のみならず、圧縮強度、作業性、及び開放時間等の物理的特性にも影響を及ぼす場合がある。したがって、他の原料に対する水の割合は注意深く決定される。
【0064】
ポリオール成分中の水の量は、好ましくは10重量%〜50重量%の範囲内であり、より好ましくは20重量%〜40重量%の範囲内であり、最も好ましくは25重量%〜30重量%の範囲内である。ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を合わせた量に対する水の量は4.5重量%〜6.5重量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0065】
粉体成分において、水酸化カルシウム(消石灰)又は酸化カルシウムは重要な役割を果たす。水酸化カルシウムがないと、ポリイソシアネート化合物とポリオール成分中に存在する水との反応によるCO
2の形成に起因して硬化した製品表面上に大きな気泡の形成をもたらす場合がある。一方、過剰量の水酸化カルシウムは、システムの作業性に対して好ましくない影響を有する。そのため、粉体成分中の水酸化カルシウムの好ましい量は、粉体成分の総重量ベースで2重量%〜8重量%、好ましくは4.5重量%〜6重量%の範囲内である。水和により酸化カルシウムは水酸化カルシウムを形成するため、水酸化カルシウムと同じ目的を果たす。
【0066】
多成分組成物全体に対して、水酸化カルシウムの好ましい含有量は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を合わせた量ベースで、1.4重量%〜5.6重量%、好ましくは3.1重量%〜4.2重量%である。
【0067】
多成分組成物における水酸化カルシウムに対する水の比率は、一般的に、0.80〜4.6:1の範囲内であり、好ましくは1.5〜3.5:1の範囲内である。
【0068】
多成分組成物におけるアルコール性OH基に対するNCO基のモル比は、好ましくは1.5:1〜3:1の範囲内であり、より好ましくは2:1〜2.5:1の範囲内である。かかるモル比は、最終製品の圧縮強度の改善をもたらす。
【0069】
ポリオール成分は、ポリオール含有量が、ポリオール成分の総重量ベースで20重量%〜60重量%、好ましくは30重量%〜50重量%、特に32重量%〜43重量%の範囲内であるように配合されることが好ましい。
【0070】
粉体成分は、各々粉体成分の総重量ベースで、少なくとも1つの以下の条件を満たすように配合されることが好ましい:
a)セメント含有量が8重量%〜45重量%、好ましくは26重量%〜30重量%の範囲内である、
b)水酸化カルシウム含有量が2重量%〜8重量%、好ましくは4.5重量%〜6重量%の範囲内である、
c)凝集体、好ましくは砂の含有量が50重量%〜90重量%、好ましくは60重量%〜80重量%の範囲内である。
【0071】
好ましい実施形態では、ポリオール成分と粉体成分との両方が上で概説した割合に従って配合される。さらに、ポリイソシアネート成分がMDIからなることが好ましい。
【0072】
酸/アミノアルコール混合物の硬化促進剤としての使用
本出願の更なる態様は、1種又は複数種のポリオール、MDI、セメント、凝集体、水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウム、並びに水を含む組成物の硬化速度を増すためのアミノアルコールと酸との混和物の使用に関する。この使用の好ましい実施形態では、アミノアルコールと酸との混和物は、0.5重量%未満の量、特に0.005重量%〜0.05重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.025重量%、更に好ましくは0.01重量%〜0.015重量%の量で、1種又は複数種のポリオール、MDI、セメント、凝集体、水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウム、並びに水を含む組成物に添加される。混和物がポリオール成分との組合せとして提供される場合、又は組成物の塗布温度が20℃〜35℃の範囲内であり、混和物が第4の成分として提供される場合、0.01重量%〜0.015重量%の混和物の量が特に好ましい。組成物の塗布温度が15℃〜20℃の範囲内である場合、混和物の量は好ましくは高く、すなわち、0.01重量%〜0.03重量%の範囲内であるのに対し、15℃未満の塗布温度において、混和物の好ましい量は0.03重量%〜0.05重量%の範囲内である。この使用の更に好ましい多成分組成物について上述したものと同じである。
【0073】
ポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜の製造方法
本発明の多成分組成物は、ポリウレタンセメント系ハイブリッド床材又は塗膜の作製に適している。方法は、
前記ポリオール成分と前記ポリイソシアネート成分とを混合することと、
前記粉体成分と前記硬化促進剤成分とをポリオール成分及び前記ポリイソシアネート成分の混合物に添加し、これを撹拌して実質的に均一な混合物を得ることと、
前記実質的に均一な混合物を基体に塗布することと、
前記塗布した混合物を硬化してセメント系床材又は塗膜を得ることと、
を含む。
【0074】
典型的な層厚みは、例えば2mm〜6mmの範囲内である。塗布温度は、約8℃〜35℃であることが好ましい。幅広い温度に対する24時間未満の急速な硬化が達成され得る。一日の塗布が可能であるため、トップシーラの適用は必要ではない。文脈において「実質的に」は、組成物がヒトの眼には均一であるように見えることを意味する。
【0075】
多成分組成物は、セルフレベリングシステム又はスクリードとして好適である。方法は、20℃未満の温度であっても24時間以内に十分硬化することができ、同じバッチの全ての成分に由来する2つの異なるパックについて重複範囲で色合いの違いを有しない、床材及び塗膜のシステムを提供する。
【0076】
本発明は、以下の実験部分において更に説明されるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。指定される割合及びパーセントは、別段の記述がない限り重量基準である。
【実施例】
【0077】
下記表1に示される原料を混合し、ポリオール成分、又はポリイソシアネート成分及び粉体成分を形成する。所与の量は重量部である。塗布のため、表1に示されるように、成分をそれぞれ14.3:14.3:71.4の重量比で混合した。右端の欄は、3つの成分の総重量ベースの各原料の重量パーセント部(percentage portion by weight)を示す。
【0078】
使用したMDIの組成は以下の通りである:22重量%の2,4’−MDI、50(重量)%の4,4’−MDIであり、残部はオリゴマー種である。
【0079】
【表1】
【0080】
3成分の混合物を、アルキルアミノアルコール、ホウ酸、可塑剤(シカメント(Sikament)(登録商標) FF86)、及び水を含有する種々の量のFerroGard(商標) 901と共に配合した。添加したFerrogardの量は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分の総量に対して0.005重量%〜0.025重量%であった。2組目の一連の実験では、Ferrogard 901中のホウ酸を安息香酸に置き換えた。
【0081】
硬化促進剤を他の3成分と混合して均一な混合物を得て、それぞれ、8℃、20℃、及び35℃で硬化した。ホウ酸を用いた調査の結果を下記表2〜表4に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
表において、「1」は最良の結果を示し、一方、「3」は最悪の結果を示す。
【0086】
表中の気泡試験を以下の通り行った:0.3m×0.26mの木製板をシカフロアー(Sikafloor)(登録商標) 161を用いて下塗りし、5mmの高さの木製枠に取り付けた。別々の成分及び木製板を8℃、23℃、及び35℃で16時間〜24時間保存した。その後、1kgの材料を900rpmで3分間混合し、下塗りした板に塗布して4mm厚の層を得た。表面をスパイクローラで処理し(spike-rolled)、その板を8℃、23℃、及び35℃の環境に戻して硬化させた。硬化後、表面をひび及び気泡について評価した。
【0087】
表からわかるように、全ての組成物は、反応条件下で硬化して満足のいく塗膜を形成した。0.01重量%〜0.015重量%の範囲内のFerroGard(商標) 901の添加による結果は、全体でより少ない又はより多い添加剤を含むものよりも良好であった。より少量の添加剤を使用した場合、硬化は24時間後に完了せず、一方、0.020重量%以上の量では製品の作業性が悪化し、また或る場合では、ピンホールの形成が起こった。23℃において、0.020重量%の硬化促進剤を含む組成物は、それらの可使時間に関して好適とは言えなかった。35℃での硬化について、0.005重量%〜0.015重量%の範囲内の硬化剤の量が最良の結果をもたらした。添加剤の量が0.015重量%を超えて増加された場合、可使時間は悪化し、また幾つかのピンホールが観察された。
【0088】
表2〜表4における材料の更なる特性は下記表5に示される。この表における特性を以下の通り判定した。
【0089】
DIN 1015−3に記載されるコーンを使用したが、材料をタンピングせずに、指定の温度において50%の相対湿度で流動性/作業性を判定した。その判定のため、1kgの材料(指定の温度において50%の相対湿度で)900rpmで3分間混合した。コーンをガラスシート上に設置し、縁まで満たし、持ち上げて10分後に得られた円の直径を求めた。
【0090】
可使時間:
1kgの材料を900rpmで3時間混合し、所定時間後、直径25cmのプラスチックの蓋に6mm厚で塗布し、パレットナイフでその直径を引っ掻いた。その印がそれ自体を直すのにかかる最も長い時間を可使時間として得た。
【0091】
圧縮強度:
4cm×4cm×16cmの試料を各材料で成形型を満たすことによって調製した。その後、24時間後に試料を成形型から取り出し、それぞれ、50%の相対湿度における、8℃、23℃での硬化の1日、7日、及び28日後に、EN 13892−2(DIN EN 196−1)に従って試験を行った。圧縮強度に対する負荷の増加は2400±200N/sであった。表5に圧縮強度について提示される値は6回の個別の測定の平均である。
【0092】
ショア硬さ:
4.5mm厚の試料を鋳造し、各温度(8℃、23℃/50%相対湿度、及び35℃)で硬化させた。硬さの測定を3秒及び15秒において自動ゲージを備えたショアDデュロメータを用いて行った。測定点間の距離は、試験片の縁から少なくとも13mm離れていた。3秒及び15秒の後、DIN EN ISO 868に従って、それぞれ目盛りを読み取った。28日間に亘って異なる時間に3回測定を行い、これらの測定の平均を表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】
実施例2
同じバッチの全成分を含む同じ材料の2つの異なるパックを塗布する間、色合いの違いを減少することができるかどうかを調査するため、2つのパックのポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び粉体成分を、0.01重量%のFerroGard(商標) 901と共に又はそれを含まずに混和し、2m
2のパッチ上に隣り合わせて塗布した。これらの調査の結果を図1及び図2に示す。図1は、FerroGard(商標)を含まない試料であるのに対し、図2は0.01重量%のFerroGard(商標)を含む試料を示す。図面から観察できるように、表面仕上げが改善され、2つのパック間の色合いの違いはFerroGard(商標)添加剤を含有する試料でほとんど視認されなかった。対照的に、FerroGard(商標)を含まない標準試料は可視的な色合いの違いを示した。
【国際調査報告】