特表2016-537124IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-537124(P2016-537124A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】計量化手段を用いた肌年齢予測装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20161104BHJP
【FI】
   A61B5/10 300Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-532601(P2016-532601)
(86)(22)【出願日】2014年11月21日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】KR2014011271
(87)【国際公開番号】WO2015076617
(87)【国際公開日】20150528
(31)【優先権主張番号】10-2013-0142938
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】株式会社アモーレパシフィック
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ガ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヨム, ミョン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジュン チョル
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB03
4C038VB22
4C038VC05
4C038VC20
(57)【要約】
本発明は、統計的計量化手段を用いてヒトの肌年齢を予測する装置および方法を提供する。本発明に係る肌年齢予測方法は、対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出する段階を含み、肌年齢予測式は、回帰定数および少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出する段階を含み、前記肌年齢予測式は、回帰定数および前記少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される、肌年齢予測方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの関連ファクタを測定しまたは入力を受ける段階をさらに含む、請求項1に記載の肌年齢予測方法。
【請求項3】
前記関連ファクタは、前記対象者の色素面積および目じりシワの面積を含む、請求項1に記載の肌年齢予測方法。
【請求項4】
前記肌年齢予測式は、
複数の標本を相関分析してヒトの皮膚状態を示す複数のファクタから前記少なくとも一つの関連ファクタを決め、前記決められた関連ファクタに対して前記複数の標本を多重回帰分析して前記回帰定数および前記少なくとも一つの変数項を決め、前記決められた回帰定数および少なくとも一つの変数項を線形組み合わせて決められる、請求項3に記載の肌年齢予測方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの変数項は、それぞれ前記色素面積および目じりシワの面積のいずれか一つに対応する変数と前記変数に対応するベータ値の積で表される、請求項4に記載の肌年齢予測方法。
【請求項6】
前記肌年齢予測式は、次の数式で表される、請求項5に記載の肌年齢予測方法。
【数1】

前記式中、Q19は、前記肌年齢等級を示し、
X1は、前記色素面積に対応する変数を示し、
X2は、前記の目じりシワの面積に対応する変数を示し、
7.414は、前記回帰定数を示し、
−0.0000558および−0.0000576は、それぞれ前記X1および前記X2に対応するベータ値を示す。
【請求項7】
前記算出された肌年齢等級から前記対象者の肌年齢を決める段階をさらに含む、請求項1に記載の肌年齢予測方法。
【請求項8】
前記対象者の肌年齢を決める段階は、
前記算出された肌年齢等級を予め決められた方法によりスケーリングする段階;および
前記スケーリング結果に基づいて前記対象者の肌年齢を算出する段階を含む、請求項7に記載の肌年齢予測方法。
【請求項9】
肌年齢予測式を記憶する記憶部;および
対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを前記記憶された肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出するプロセッサを含み、
前記肌年齢予測式は、回帰定数および前記少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される、肌年齢予測装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの関連ファクタを測定する測定部をさらに含む、請求項9に記載の肌年齢予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌年齢を予測する装置および方法に係り、より詳しくは、統計的計量化手段を用いてヒトの肌年齢を予測する装置および方法
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は加齢や環境的要因によって老化していく。このようなヒトの皮膚老化は個人毎に偏差をもって進むため、生物学的年齢が同じヒトであっても皮膚老化程度は異なることがある。
【0003】
皮膚科の医師や漢方医師のような皮膚専門家らによれば、ヒトの皮膚状態は拡大した視覚的特徴と皮膚シワの長さ、幅、厚さ等から判断することができる。このような視覚的特徴と個人的経験に基づいて専門家らは、肌年齢という抽象的な概念を用いて皮膚状態を推論する。肌年齢は、対象者の生物学的年齢よりは対象者の外観的な皮膚特徴や皮膚老化進行具合によって大きく影響される。
【0004】
一方、このような肌年齢は、対象者の皮膚を観察するヒトの主観的な感じによって異なる判断をすることがあり、肌年齢を判別するための客観的な基準も確立されておらず、肌年齢を計量化するのに困難があった。すなわち、複数の対象者に対して、どの対象者の肌年齢がより若く見えるかのような相対的な優劣は比較的に容易に評価できたが、各対象者の肌年齢が何歳なのかような客観的且つ計量化した評価は、専門家による専門的な分析でなければ簡単に判断できないという難点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、統計的計量手段を用いてヒトの肌年齢を予測する装置および方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、専門家による分析なしでも、ヒトの肌年齢を計量化して評価できる装置および方法を提供することにある。
【0007】
本発明のまた他の目的は、対象者に適合した化粧品を提案するために、対象者の肌年齢を予測できる装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例に係る肌年齢予測方法は、対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出する段階を含み、前記肌年齢予測式は、回帰定数および前記少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される。
【0009】
実施例として、前記少なくとも一つの関連ファクタを測定しまたは入力を受ける段階をさらに含む。
【0010】
実施例として、前記算出された肌年齢等級から前記対象者の肌年齢を決める段階をさらに含む。
【0011】
実施例として、前記対象者の肌年齢を決める段階は、前記算出された肌年齢等級を予め決められた方法によりスケーリングする段階;および前記スケーリングの結果に基づいて前記対象者の肌年齢を算出する段階を含む。
【0012】
実施例として、前記関連ファクタは、前記対象者の色素面積および目じりシワの面積を含む。
【0013】
実施例として、前記肌年齢予測式は、複数の標本を相関分析してヒトの皮膚状態を示す複数のファクタから前記少なくとも一つの関連ファクタを決め、前記決められた関連ファクタに対して前記複数の標本を多重回帰分析して前記回帰定数および前記少なくとも一つの変数項を決め、前記決められた回帰定数および少なくとも一つの変数項を線形組み合わせて決められる。
【0014】
実施例として、前記少なくとも一つの変数項は、それぞれ前記色素面積および目じりシワの面積のいずれか一つに対応する変数と前記変数に対応するベータ値の積で表される。
【0015】
実施例として、前記肌年齢予測式は、数式
【数1】

で表され、前記Q19は前記肌年齢等級を示し、前記X1は前記色素面積に対応する変数を示し、前記X2は前記目じりシワの面積に対応する変数を示し、前記7.414は前記回帰定数を示し、前記−0.0000558および前記−0.0000576はそれぞれ前記X1および前記X2に対応するベータ値を示す。
【0016】
本発明の実施例に係る肌年齢予測装置は、肌年齢予測式を記憶する記憶部;および対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを前記記憶された肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出するプロセッサを含み、前記肌年齢予測式は、回帰定数および前記少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される。
【0017】
実施例として、前記少なくとも一つの関連ファクタを測定する測定部をさらに含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、統計的計量手段を用いてヒトの肌年齢を予測することができる。
【0019】
また、専門家による専門的な分析がなくても、容易にヒトの肌年齢を計量化して評価することができる。
【0020】
また、対象者の肌年齢を予測することによって、対象者の皮膚に適合した化粧品を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ヒトの肌年齢と実際年齢との相関図を示す図である。
【図2】平均的な実際年齢が同一である標本を、肌年齢によってそれぞれ異なる群に分類した棒グラフである。
【図3】専門家の評価によって5等級に分けられた標本の肌年齢を示す棒グラフである。
【図4】本発明の実施例に係る、関連ファクタを決めるための相関分析の結果を示すテーブルである。
【図5】本発明の実施例に係る、関連ファクタが肌年齢に及ぼす影響を示す多重回帰分析結果を示すテーブルである。
【図6】本発明の実施例に係る、肌年齢予測式を決める方法を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施例に係る、肌年齢予測方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
後述する本明細書に関する詳細な説明は、本明細書が実施できる特定の実施例を例示として図示する添付の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本明細書を実施できるように充分に詳細に説明されている。なお、本明細書の多様な実施例はそれぞれ異なるが、相互排他的である必要はないことが理解できなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造および特性は、一実施例に関連して本明細書の思想および範囲を逸脱することなく他の実施例で具現することができる。
【0023】
また、それぞれの開示された実施例中の個別の構成要素の位置または配置は、本明細書の思想および範囲を逸脱しない範囲内で多様に変更できることが理解できなければならない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として意図されたものではなく、本明細書の範囲は原則的に特許請求の範囲によって決められ、特許請求の範囲に記載されたものおよびそれと均等な範囲の可能な実施例を包括する。類似の参照符号が図面において用いられた場合、類似の参照符号は複数の実施例に対して同一か類似の機能を示す。
【0024】
図1は、ヒトの肌年齢と実際年齢との相関図を示す図である。図1を参考すると、標本(実験または測定に参加したヒト)の実際年齢と肌年齢が2次元平面上に点で図示される。本明細書において、標本の肌年齢は専門家らの目視評価および質問評価によって測定されたものである。
【0025】
図1において、標本の肌年齢は実際年齢が増加するほど概ね増加する(11)。しかしながら、同図(10)の右下に位置した標本や同図(10)の左上に位置した標本から分かるように、標本の肌年齢が実際年齢と必ず比例することではない。これは、ヒトの肌年齢には加齢に伴う自然老化である内因性要因に加え、皮膚露出環境、皮膚管理習慣などによる老化である環境性要因が影響を及ぼすためである。
【0026】
したがって、ヒト々は、生物学的な実際年齢だけでは自身の肌年齢がどうなのか正確に知ることができない。そして、一般的に、このような肌年齢は、専門家の目視評価だけによってある程度正確な診断が可能であり、それさえも専門家の主観的な感じによって判断結果が異なることがある。本発明では、ヒトの肌年齢を計量化して客観的に予測する手段を提供することによって、肌年齢をより簡単且つ客観的に予測できるようにする。
【0027】
図2は、平均的な実際年齢が同一である標本を肌年齢によってそれぞれ異なる群に分類した棒グラフである。図2を参考すると、平均的な実際年齢が同一である標本は、肌年齢が高い群(H)と肌年齢が低い群(L)とに分けられて棒グラフ(20)で図示されている。
【0028】
本発明の一実施例において、肌年齢に影響を与えるファクタ(以下、関連ファクタ)を決めるために、先ず、専門家目視評価および質問評価によって平均実際年齢が同一である標本を、肌年齢によってそれぞれ異なる群に分類した。そして、標本の皮膚状態と関連した多様なファクタを測定し、測定されたファクタと肌年齢との相関関係を分析し、肌年齢と直接的に関連した関連ファクタを決めた。
【0029】
ファクタと肌年齢との相関関係を分析するために、一般的な統計的手段である相関分析法が用いられる。図3に示すように、平均的な実際年齢が同一である標本を対象に関連ファクタを決めると内因性要因の影響を最小化することがあることから、環境的要因に一層集中して関連ファクタを決めることができる。
【0030】
図3は、専門家評価によって5等級に分けられた標本の肌年齢を示す棒グラフである。図3を参考すると、標本の肌年齢が専門家らによって5等級に分類された棒グラフ(30)で図示されている。
【0031】
本実施例において、専門家らは、標本の実際年齢をブラインド(blind)した状態で標本の皮膚状態だけを目視してそれらの肌年齢を評価した。専門家評価による肌年齢群(A、B、C、D、E)は1〜5等級に分類される。
【0032】
実施例として、1等級と評価された群(A)は、専門家評価によって肌年齢が35歳未満と評価された群である。2等級と評価された群(B)は、専門家評価によって肌年齢が35歳〜41歳の間と評価された群である。3等級と評価された群(C)は、専門家評価によって肌年齢が42歳〜48歳の間と評価された群である。4等級と評価された群(D)は、専門家評価によって肌年齢が49歳〜55歳の間と評価された群である。5等級と評価された群(E)は、専門家評価によって肌年齢が56歳以上と評価された群である。
【0033】
なお、このような肌年齢分類基準は例示的なものであって、本発明では、これとは異なる分類基準にて標本の肌年齢を分類することができる。例えば、本発明では、標本を肌年齢1歳から100歳までとして、同じ間隔のまたは同じ大きさの10つの群に分類することができる。
【0034】
本実施例では、標本の平均的な実際年齢が同一であることを要求せず、専門家らは目視した皮膚状態だけで標本の肌年齢を評価する。専門家らによる肌年齢評価の結果は一元分散分析によって有意差がないことを確認し、これにより評価結果の客観性を確保した。
【0035】
一方、本実施例では、図2と同様に、肌年齢に影響を与えるファクタ(factor)を決めるために、標本の皮膚状態と関連した多様なファクタを測定し、測定されたファクタらと肌年齢との間の相関関係を分析して、肌年齢と直接的に関連した関連ファクタを決める。ファクタと肌年齢との間の相関関係を分析するために、一般的な統計的手段である相関分析法を用いた。本実施例に係る相関分析方法に関する具体的な例を図4を参考しながら後述する。
【0036】
図4は、本発明の実施例に係る、関連ファクタを決めるための相関分析の結果を示すテーブルである。図4を参考すると、テーブル(40)は、皮膚状態を示すファクタ(41)とそれらの相関分析結果を含む。
【0037】
図4において、nは標本の総数を示し、rは相関分析法により算出された相関係数を示し、p−valueは有意確率(significant probability)を示し、Q19は専門家評価結果を示す。ここで、Q19は専門家評価結果であって、肌年齢が1等級〜5等級である場合、それぞれ1〜5の値に対応できる(すなわち、図3のA群のQ19は1である)。一方、テーブル(40)において、*は両側(2−tailed)分析において0.05レベルと有意性があることを示し、**は両側(2−tailed)分析において0.01レベルと有意性があることを示す。
【0038】
図4において、テーブル(40)は、ファクタ(41)とQ19との相関関係を示す。具体的に、相関係数(r)は−1〜1の間の値であって、各ファクタ(41)とQ19とがどの程度の線形関係を有するかを示す。
【0039】
例えば、r<−0.7であると、ファクタとQ19とは強い負の線形関係を有することを意味し、−0.7<r<−0.3であると、ファクタとQ19とはある程度著しい負の線形関係を有することを意味し、−0.3<r<−0.1であると、ファクタとQ19とは弱い負の線形関係を有することを意味する。これに対し、0.7<rであると、ファクタとQ19とは強い負の線形関係を有することを意味し、0.3<r<0.7であると、ファクタとQ19とはある程度著しい負の線形関係を有することを意味し、0.1<r<0.3であると、ファクタとQ19とは弱い負の線形関係を有することを意味する。−0.1<r<0.1であると、ファクタとQ19とは有意味な線形関係を有しないと見なす(N.S)。
【0040】
図4において、ファクタ(41)の殆ど(水分、油分、弾力、肌きめ、毛穴の大きさ、毛穴の個数、皮脂の大きさ、皮脂の個数)は、肌年齢を示すQ19と有意味な相関関係を有さない(N.S)と分析された(42)。そして、ファクタ(41)のうちの目じりシワの面積および色素面積がQ19と有意味な相関関係を有すると分析された(43、44)。
【0041】
目じりシワの面積とQ19との相関係数(r)は−0.532であり(有意レベル0.05)、そのときの有意確率は0.011である(43)。色素面積とQ19との相関係数(r)は−0.561であり(有意レベル0.01)、そのときの有意確率は0.007である(44)。Q19と相関関係を有すると分析されたファクタ(目じりシワの面積および色素面積)は本発明における関連ファクタとなる。なお、ここで決定された関連ファクタは例示的なものであって、ここで説明していない他のファクタ(例えば、肌きめ)が関連ファクタとして追加されてもよい。
【0042】
一方、本実施例において、相関分析法(または、後述する多重回帰分析法)に用いられたファクタ(41)の測定値は、絶対的な個数、含有量、または面積を示す値ではないこともある。具体的に、ファクタ(41)の測定値は、絶対的な個数、含有量、または面積がスケーリングされた相対的な値であって、絶対的な個数、含有量、または面積に比例する加工された数値であってよい。例えば、本実施例において用いられた目じりシワの面積の測定値が30であるとき、これは30mm2または30cm2のような絶対的な面積を意味するものではなく、相対的な大きさとして面積の大きさ程度が30であることを意味する。すなわち、測定値30は10mm2を意味することもある。なお、このときも、測定値は絶対的な面積に比例する値であることから、測定値が30から60に二倍増加すると、絶対的な面積も二倍増加したことを意味する。
【0043】
実施例として、目じりシワの面積および色素面積を測定するために、予め決められた皮膚状態測定手段が用いられていてよい。当該皮膚状態測定手段の一例として、株式会社アモーレパシフィックで用いるスキンタッチシステム(Skin Touch System、STS)が用いられていてよい。スキンタッチシステムは、APスコープとAPセンサの二つの素子を利用して皮膚状態を測定する。ここで、APスコープは、対象者の皮膚を拡大して見ることができる拡大撮像用スコープであって、30の拡大レンズが装着されており、左側レバーを選択することによって一般モードと偏光モードの二種類の形態で皮膚画像を獲得できる装置である。
【0044】
実施例として、目じりシワの面積は、シワ部位を十分に拡大撮像した後、2Dイメージと3Dイメージとでの変換作業によってシワの個数の面積を計算し、それに基づいて全体のシワ面積を算出する方法にて測定すればよい。
【0045】
実施例として、色素面積は、皮膚表面を偏光モードで撮像し、撮像した皮膚イメージのうちの色素沈着領域を別途に分離した後、その面積を算出する方法にて測定すればよい。
【0046】
図5は、本発明の実施例に係る、関連ファクタが肌年齢に及ぼす影響を示す多重回帰分析結果を示すテーブルである。図5を参考すると、テーブル(50)は、関連ファクタ(色素面積、目じりシワの面積)とそれらの多重回帰分析の結果を示すものである。
【0047】
図5において、多重回帰分析は、関連ファクタがQ19に及ぼす影響を統計的に客観化且つ具体化するために用いられた。テーブル(50)において、nは標本の総数を示し、定数は関連ファクタとQ19との線形関係を示す回帰式の回帰定数(または、回帰グラフのY切片)であり、ベータは回帰式のベータ値(または、回帰グラフの傾き)であり、p−valueは単純回帰分析の有意確率(significant probability)であり、R2は回帰式の決定係数(または、回帰グラフの決定係数)である。ここで、決定係数(R2)は、関連ファクタとQ19との間の変動比率を示す値であって、決定係数が大きいほど関連ファクタとQ19との間の回帰関係は線形関係に近くなる。
【0048】
テーブル(50)を参考すると、回帰分析の結果、色素面積と目じりシワの面積がQ19に対して有意レベルの影響を及ぼすことが分かり、テーブル(50)の分析結果により構成された肌年齢予測式(または、多重回帰分析モデル)は、次の数式1のとおりである。
【数2】
【0049】
前記式中、Q19は専門家評価による肌年齢を示し、X1は測定された色素面積値を示し、X2は測定された目じりシワの面積値を示し、7.414は決定された回帰定数値を示し、−0.0000558および−0.0000576はそれぞれ色素面積および目じりシワの面積のベータ値を示す。
【0050】
本実施例では、測定された色素面積および測定された目じりシワの面積値を、肌年齢予測式(数式1)の変数(X1、X2)にそれぞれ代入する。代入した結果はQ19として算出され、算出された値は統計的な有意レベル内で専門家が評価した肌年齢と同じ値を意味する。このような方法によれば、専門家評価を経なくても、専門家が評価した結果と有意レベル内で同じ結果値を算出することができる。
【0051】
一方、先述したように専門家評価による肌年齢は1〜5の値を有するように設計されたので、数式1によって算出されたQ19の値も一般的に1〜5の間の値になる。例えば、算出されたQ19の値が2であると、対象者の肌年齢は1等級に属し、肌年齢35歳〜41歳に対応する。
【0052】
実施例として、これより対象者の具体的な肌年齢を算出するために算出されたQ19値をスケーリングすることができる。例えば、算出されたQ19の値が2であると、対象者の肌年齢は1等級に属するとともに、肌年齢が35歳〜41歳の間であることを意味する。このとき、各等級の間隔は7であることから、1等級の上限から等級間隔の1/2を差し引いた値(すなわち、31.5)を1等級の代表値と定義すれば(すなわち、31.5)、算出されたQ19から1を差し引いた値を7倍スケーリングし、1等級の代表値を基準値として出すと(7×(2−1)+31.5)、Q19の値2に対応して肌年齢38.5歳が算出される。算出された38.5歳は2等級の中間値である。なお、このようなスケーリング方法は例示的なものであって、ここで説明した方法と異なる種々のスケーリング方法を本発明の範囲内で適用することができる。
【0053】
前記したような本発明の構成によれば、統計的計量手段を用いてヒトの肌年齢を予測でき、専門家による専門的な分析がなくても、容易にヒトの肌年齢を計量化して評価することができる。さらには、提案された方法にて対象者の肌年齢を予測することによって、対象者の皮膚に適合した化粧品を提案するための基礎情報を得ることができる。
【0054】
図6は、本発明の実施例に係る、肌年齢予測式を決める方法を示すフロー図である。図6を参考すると、予測式決定方法はS110段階〜S130段階を含む。
【0055】
S110段階において、標本を相関分析して関連ファクタを決める。具体的に、標本の皮膚状態から種々のファクタ値を測定し、測定された値と標本の肌年齢を相関分析して、肌年齢に影響を与える関連ファクタを決める。関連ファクタを決める具体的な方法は、図4〜図5で説明したとおりであり、本発明の実施例において、関連ファクタは、色素面積と目じりシワの面積で分析された。
【0056】
S120段階において、決められた関連ファクタに対して標本を多重回帰分析して、関連ファクタが肌年齢に及ぼす影響の程度を具体的に決める。関連ファクタに対する多重回帰分析方法は、図4〜図5で説明したとおりである。
【0057】
S130段階において、多重回帰分析の結果に基づいて肌年齢予測式を決める。決められた肌年齢予測式は数式1で説明したとおりであり、多重回帰分析による回帰定数と、それぞれのベータ値と掛け合わせられた測定された色素面積および目じりシワの面積の線形組み合わせから予測式が構成される。
【0058】
図7は、本発明の実施例に係る、肌年齢予測方法を示すフロー図である。図7を参考すると、肌年齢予測方法はS210段階〜S230段階を含む。
【0059】
本実施例において、肌年齢予測のための予測式は、図6の方法によって予め決められたものと仮定する。
【0060】
本実施例において、肌年齢予測方法は、少なくとも一つのコンピューティング装置によって実行されていてよい。コンピューティング装置は、肌年齢予測式または予測式を示すアルゴリズムを記憶する記憶部と、関連ファクタの測定値を予測式またはアルゴリズムに代入して肌年齢を算出するプロセッサとを含んでいてよい。実施例として、コンピューティング装置は、対象者の関連ファクタを測定する測定部をさらに含んでいてよい。データを記憶し、記憶されたデータを参照して予め決められたアルゴリズムを駆動する一般的なコンピューティング装置に関する内容は当該技術分野において周知であるので、ここではそれについての具体的な説明を省略する。
【0061】
S210段階において、対象者の関連ファクタを測定する。実施例として、関連ファクタは、色素面積および目じりシワの面積であってよい。
【0062】
S220段階において、測定された関連ファクタ値を肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出する。例えば、色素面積は数式1のX1に、目じりシワの面積は数式1のX2にそれぞれ代入され、代入された結果としてのQ19値が対象者の肌年齢等級になる。算出された肌年齢等級は、対象者の肌年齢レベルを示す予め決められた等級であってよく、または、対象者の肌年齢を直接計量化した数値であってもよい。
【0063】
S230段階において、算出された肌年齢等級から対象者の具体的な肌年齢を決める。実施例として、肌年齢予測方法では、算出された肌年齢等級を予め決められた方法によりスケーリングして対象者の肌年齢を決めることができる。肌年齢等級をスケーリングする具体的な方法または例示は、図5で説明したとおりである。
【0064】
前記したような本発明の肌年齢予測方法によれば、統計的計量手段を用いてヒトの肌年齢を予測でき、専門家による専門的な分析がなくても、容易にヒトの肌年齢を計量化して評価することができる。さらには、提案された方法にて対象者の肌年齢を予測することによって、対象者の皮膚に適合した化粧品を提案するための基礎情報を得ることができる。
【0065】
本明細書の詳細な説明では具体的な実施例を挙げて説明したが、本明細書の範囲から逸脱しない限り、各実施例は種々の形態に変形可能である。
【0066】
また、ここで特定の用語が用いられたが、これは単に本発明を説明するための目的から用いられたものであって、意味限定や特許請求の範囲に記載された本明細書の範囲を制限するために用いられたものではない。したがって、本明細書の範囲が上述した実施例に局限されて決められてはならず、特許請求の範囲およびその均等物によって決められるべきである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【手続補正書】
【提出日】2016年5月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出する段階を含み、前記肌年齢予測式は、回帰定数および前記少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される、肌年齢予測方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの関連ファクタを測定しまたは入力を受ける段階をさらに含む、請求項1に記載の肌年齢予測方法。
【請求項3】
前記関連ファクタは、前記対象者の色素面積および目じりシワの面積を含む、請求項1又は2に記載の肌年齢予測方法。
【請求項4】
前記肌年齢予測式は、
複数の標本を相関分析してヒトの皮膚状態を示す複数のファクタから前記少なくとも一つの関連ファクタを決め、前記決められた関連ファクタに対して前記複数の標本を多重回帰分析して前記回帰定数および前記少なくとも一つの変数項を決め、前記決められた回帰定数および少なくとも一つの変数項を線形組み合わせて決められる、請求項1ないし3のうちいずれか1項 に記載の肌年齢予測方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの変数項は、それぞれ前記色素面積および目じりシワの面積のいずれか一つに対応する変数と前記変数に対応するベータ値の積で表される、請求項4に記載の肌年齢予測方法。
【請求項6】
前記肌年齢予測式は、次の数式で表される、請求項5に記載の肌年齢予測方法。
【数1】

前記式中、Q19は、前記肌年齢等級を示し、
X1は、前記色素面積に対応する変数を示し、
X2は、前記の目じりシワの面積に対応する変数を示し、
7.414は、前記回帰定数を示し、
−0.0000558および−0.0000576は、それぞれ前記X1および前記X2に対応するベータ値を示す。
【請求項7】
前記算出された肌年齢等級から前記対象者の肌年齢を決める段階をさらに含む、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の肌年齢予測方法。
【請求項8】
前記対象者の肌年齢を決める段階は、
前記算出された肌年齢等級を予め決められた方法によりスケーリングする段階;および
前記スケーリング結果に基づいて前記対象者の肌年齢を算出する段階を含む、請求項7に記載の肌年齢予測方法。
【請求項9】
肌年齢予測式を記憶する記憶部;および
対象者の皮膚状態を示す少なくとも一つの関連ファクタを前記記憶された肌年齢予測式に代入して肌年齢等級を算出するプロセッサを含み、
前記肌年齢予測式は、回帰定数および前記少なくとも一つの関連ファクタにそれぞれ対応する少なくとも一つの変数項の線形組み合わせから構成される、肌年齢予測装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの関連ファクタを測定する測定部をさらに含む、請求項9に記載の肌年齢予測装置。
【国際調査報告】

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