(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-538531(P2016-538531A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】分光装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20161111BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20161111BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20161111BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
G01N21/65
G01J3/18
G01N21/27 E
G01N21/64 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-519914(P2016-519914)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月6日
(86)【国際出願番号】GB2014052937
(87)【国際公開番号】WO2015049494
(87)【国際公開日】20150409
(31)【優先権主張番号】1317429.7
(32)【優先日】2013年10月2日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アンソニー メイソン
【テーマコード(参考)】
2G020
2G043
2G059
【Fターム(参考)】
2G020CA04
2G020CB04
2G020CB23
2G020CC02
2G020CC47
2G020CC63
2G020CD24
2G020CD34
2G020CD37
2G043EA00
2G043EA03
2G043EA10
2G043FA02
2G043HA01
2G043HA09
2G043JA01
2G043JA04
2G043KA09
2G043LA03
2G043NA05
2G043NA06
2G059EE03
2G059EE07
2G059FF03
2G059GG01
2G059JJ02
2G059JJ05
2G059JJ22
2G059KK04
2G059MM09
2G059MM10
(57)【要約】
本発明は、サンプル上に光プロファイル(110)を生成するように構成された光源(101)と、サンプルと光源(101)からの光の相互作用から生成される特性光を検出するための、少なくとも1つの受光素子(104)を有する受光器(103)と、サンプルを支持するための支持体(109)であって、光プロファイル(110)に対して移動可能である支持体(109)と、処理ユニット(121)とを備える分光装置に関する。処理ユニット(121)は、支持体(109)と光プロファイル(110)の間に発生したと予期される相対運動に基づいて、特定の時間において受光素子(104)によって記録されたスペクトル値と、特定の時間において受光素子(104)によって記録された特性光を生成したと予測されるサンプル上の点を関連づけるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル上に光プロファイルを生成するための光源と、
前記サンプルと前記光源からの光の相互作用から生成される特性光を検出するための少なくとも1つの受光素子を有する受光器と、
前記サンプルを支持するための支持体であって、前記光プロファイルに対して移動可能である支持体と、
前記支持体と前記光プロファイルの間に発生したと予期される相対運動に基づいて、特定の時間において前記受光素子によって記録されたスペクトル値を、前記特定の時間において前記受光素子によって記録された前記特性光を生成したと予測される前記サンプル上の点に関連づけるように構成された処理ユニットと
を備えることを特徴とする分光装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記スペクトル値が記録された時間以外の時間において取得された、前記光プロファイルに対する前記支持体の相対位置についての情報に基づいて、スペクトル値を前記サンプル上の点と関連づけることを特徴とする請求項1に記載の分光装置。
【請求項3】
前記受光器は、以前の既知の位置から予測される、前記光プロファイルに対する前記支持体の相対運動に基づいて、起動されることを特徴とする請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項4】
測定期間中の光プロファイルに対する前記支持体の移動は一定速度であり、前記処理ユニットは、前記受光素子が前記測定期間中に等間隔の時間間隔でスペクトル値を記録するように、前記受光器を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項5】
前記支持体および/または光プロファイルは、加速期間中に前記一定速度まで加速され、処理ユニットは、前記加速期間の終了後に前記特性光に対するスペクトル値を記録し始めるように前記受光器を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項6】
サンプリングしようとする初期点が識別されて、前記支持体および/または光プロファイルが、交差位置から後退させられた位置から動かされ、前記交差位置において、前記初期点が、前記光プロファイルによって照射されて、前記初期点が前記交差位置になる時間までに前記加速期間が終了するように、前記受光素子上に特性光を生成することを特徴とする請求項5に記載の分光装置。
【請求項7】
前記処理ユニットは、既知の時間における前記光プロファイルに対する前記支持体の既知の相対位置から、前記点が前記光プロファイルによって照射されて前記受光素子上に当たる特性光を生成する、前記特定の時間を外挿するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項8】
前記点が光プロファイルによって照射されて、前記受光素子上に当たる特性光を生成する前記時間は、前記既知の位置からの前記光プロファイルに対する前記支持体の既知の相対運動から外挿されることを特徴とする請求項7に記載の分光装置。
【請求項9】
前記既知の相対運動は、前記支持体および/または光プロファイルの事前設定加速度プロファイル、ならびに/または前記支持体および/または光プロファイルの事前設定速度プロファイルであることを特徴とする請求項8に記載の分光装置。
【請求項10】
前記支持体の位置を検出するためのセンサを備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項11】
前記処理ユニットは、前記検出された位置から、前記サンプル上の所与の点が光プロファイルによって照射されて前記受光素子上に特性光を生成する時間を外挿するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の分光装置。
【請求項12】
前記処理ユニットは、前記検出された位置から前記支持体の速度を特定し、前記特定された速度を使用して、前記サンプル上の所与の点が、前記光プロファイルによって照射されて、前記受光素子上に特性光を生成する時間を特定するように構成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の分光装置。
【請求項13】
前記処理ユニットは、前記特定された速度から前記支持体の加速度を特定し、前記特定された加速度を使用して、前記サンプル上の所与の点が、前記光プロファイルによって照射されて、前記受光素子上に特性光を生成する時間を特定するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の分光装置。
【請求項14】
前記処理ユニットは、前記特定された速度および/または加速度に基づいて、前記受光器を始動させる時間を更新するように構成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の分光装置。
【請求項15】
前記受光素子がスペクトル値をその間に記録するサンプリング時間間隔が、前記支持体の検出された位置が前記処理ユニットにその間に報告される検出時間間隔よりも短いことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項16】
前記受光素子が前記サンプル上の点に対するスペクトル値を記録する、データ率が、前記支持体の位置を検出するためのデータ率よりも大きいことを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項17】
前記受光器が受光器タイマを備え、前記受光素子が、前記受光器タイマからの信号に基づく時間にスペクトル値を記録するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項18】
前記処理ユニットは、前記支持体が、前記光プロファイルに対して所定の位置にあると予測される時間に、前記受光器タイマを起動するように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の分光装置。
【請求項19】
前記支持体を駆動するモータを備え、前記モータの速度が、前記受光器タイマからの信号に基づいて制御されることを特徴とする請求項18に記載の分光装置。
【請求項20】
サンプルに対して分光法を実施する方法であって、
前記サンプルを照射する光プロファイルに対して、前記サンプルを移動させて、前記サンプル上の複数の点を連続して照射するステップと、
受光器の受光素子を用いて、前記サンプルと、前記光プロファイルを形成する光との相互作用によって前記複数の点から生成される特性光を検出するステップと、
前記支持体と前記光プロファイルの間に発生したと予期される相対運動に基づいて、特定の時間において前記受光素子によって記録されたスペクトル値を、前記特定の時間において前記受光素子によって記録された前記特性光を生成したと予測される前記サンプル上の点に関連づけるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の分光装置の処理ユニットによって実行されると、前記処理ユニットに請求項20の方法を実施させる命令を記憶していることを特徴とするデータキャリア。
【請求項22】
サンプル上に光プロファイルを生成するように構成された光源と、
前記サンプルと前記光源からの光との相互作用から生成される特性光を検出するための少なくとも1つの受光素子を有する受光器と、
前記サンプルを支持するための支持体であって、前記光プロファイルに対して移動可能である支持体と、
前記支持体の移動を制御する処理ユニットであって、走査しようとする前記サンプルの区域の選択を受け取り、前記光プロファイルが走査しようとする前記区域と交差するときに、前記支持体が所定の速度に到達しているように、ある位置から所定の速度まで前記支持体を加速するように構成されている処理ユニットと
を備えることを特徴とする分光装置。
【請求項23】
前記処理ユニットは、前記光プロファイルが一定速度で前記区域の一面にわたり走査されるように、前記光プロファイルに対する前記支持体の相対移動を制御するように構成されていることを特徴とする請求項22に記載の分光装置。
【請求項24】
サンプルに対して分光法を実施する方法であって、
走査しようとするサンプルの区域の選択を受け取るステップと、
光源によってサンプル上に生成された光プロファイルに対して前記サンプルを移動させて、前記サンプルの前記区域において、複数の点を連続して照射するステップと、
受光器の受光素子で、前記サンプルの、前記光プロファイルを形成する光との相互作用によって前記複数の点から生成される特性光を検出するステップとを含み、
前記光プロファイルが走査しようとする前記区域と交差するときに、サンプルが所定の速度に到達しているように、サンプルは、ある位置から所定の速度まで加速されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22または23に記載の分光装置の処理ユニットによって実行されるときに、前記処理ユニットに請求項24の方法を実施させる命令を記憶していることを特徴とするデータキャリア。
【請求項26】
サンプル上に光プロファイルを生成するように構成された光源と、
前記サンプルと、前記光源からの光との相互作用から生成された特性光を検出するための、複数の受光素子を備える前記複数の受光器であって、当該複数の受光素子が少なくとも1つの行または列に構成されている、受光器と、
前記サンプルを支持するための支持体であって、前記光プロファイルに対して移動可能な支持体と、
前記支持体が前記光プロファイルに対して所定の一定速度で移動しているときに、前記複数の受光素子が前記特性光に対するデータを記録するように、前記受光器を始動させるように構成された処理ユニットであって、データは、少なくとも1つの行または列の前記受光素子の間で繰り返しシフトされ、各連続シフトは、以前のシフトから等しい時間間隔の後に行われる処理ユニットと
を備えることを特徴とする分光装置。
【請求項27】
前記等しい時間間隔が、事前設定された一定速度に基づいて事前設定されていることを特徴とする請求項26に記載の分光装置。
【請求項28】
前記光プロファイルに対する前記支持体の所定の一定速度、および前記データがシフトされる間隔が、前記データが行または列に沿ってシフトされるときに、前記サンプルの所与の点または領域からの特性光に対して記録されたデータが、少なくとも1つの行または列の連続する前記受光素子に蓄積するように選択されることを特徴とする請求項26または27に記載の分光装置。
【請求項29】
前記一定速度は、所望の露出時間と、1つの受光素子の高さに対応する、前記サンプル上の距離とに基づいて事前選択されることを特徴とする請求項27または28に記載の分光装置。
【請求項30】
サンプルに対して分光法を実施する方法であって、
光源によって前記サンプル上に生成された光プロファイルに対して前記サンプルを移動させて、前記サンプルと前記光プロファイルを形成する光との相互作用により複数の点から生成された特性光が、受光器の複数の受光素子の上に当たるように、前記サンプルの区域内の複数の点を連続的に照射するステップであって、前記複数の受光素子が少なくとも1つの行または列に構成されているステップと、
前記受光素子が前記特性光に対するデータを記録するように、前記支持体が前記光プロファイルに対して所定の一定速度で移動するときに、前記受光器を起動するステップであって、データは、前記少なくとも1つの行または列の前記受光素子間で繰り返しシフトされ、各連続するシフトは、以前のシフトから等しい時間間隔の後に行われるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項26乃至29のいずれか一項に記載の分光装置の処理ユニットによって実行されると、前記処理ユニットに、請求項30の方法を実施させる命令を記憶していることを特徴とするデータキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光装置および方法に関する。これはラマン分光法において特に有用であるが、例えば、蛍光、狭線幅光ルミネセンス、または陰極ルミネセンスを使用する、その他の形態の分光法においても同等に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ラマン分光装置の例が示されている(Batchelderら、特許文献1)。レーザ光源からの光が、サンプル上のスポットに集束させられる。光とサンプルの分子の間の相互作用によって、ラマン散乱が、励起レーザ周波数に対してシフトされた周波数および波数を有するスペクトルになる。レーザ周波数をフィルタリングした後に、回折格子などの分散素子が、この散乱ラマンスペクトルを、例えば、電荷結合素子(CCD)の形態の2次元受光器アレイの全域にわたって分散させる。異なる分子種は異なる特性ラマンスペクトルを有しており、それゆえ、この効果を利用して存在する分子種を分析することができる。ラマンスペクトルは、サンプル内の局所的な応力または歪などの、その他の情報も与えることができる。
【0003】
単一点ではなく、サンプルの区域をマッピングすることが望ましい場合には、直交方向X、Yに移動させることのできるステージ上にサンプルを装着することが知られている。代替的に、可動ミラーによって、X方向およびY方向にサンプルの表面の全域にわたり、光ビームを偏向させてもよい。すなわち、サンプルのラスタ走査を行い、走査における各点におけるラマンスペクトルを得ることができる。
【0004】
そのようなラスタ走査における各点において、レーザビームは、ラマンスペクトルを取得するのに十分に長い時間だけ、サンプルを照射しなくてはならない。サンプルの大きな区域にわたるマップを取得することは、したがって時間がかかる可能性がある。したがって、点焦点によってではなく、線焦点によってサンプルを照射することが知られている。これによって、線内の複数点から同時にスペクトルを取得することが可能になる。CCD受光器上で、線の画像が、スペクトル分散の方向に直交して延びるように構成されている。これによって、受光器の2次元的性質を有効に使用して、複数スペクトルを同時に取得することが可能になる。この複数スペクトルは、CCDアレイの複数行または複数列において同時に形成される。
【0005】
CCDアレイ上の電荷が、線焦点に対するサンプルの移動と同期して、アレイの素子間でシフトされる方法が記載されている(特許文献2)。電荷のシフトは、スペクトル分散の方向と垂直な方向としてもよい。したがって、線焦点の長さに沿って異なる位置からの光によって点が連続的に照射されて、光強度が線焦点の長さに沿って変動しても、各点が同じ合計強度の光によって照射されることが保証される。
【0006】
特許文献2に記載された方法の実装形態において、サンプルがその上に装着されるステージを駆動して移動させるモータが、CCDアレイの素子間の電荷のシフトを制御するコントローラとは独立した、ステージコントローラによる制御下にある。スペクトルが、サンプルの特定のターゲット位置に対して記録される前に、ターゲット位置がステージコントローラに送られて、このステージコントローラがモータを起動してステージをターゲット位置まで駆動する。CCDアレイを制御しているコントローラは、ターゲット位置をステージコントローラへ送付してから所与の時間が経過した後に、CCDアレイを起動して、スペクトルを記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5442438号明細書(Batchelderら)
【特許文献2】米国特許第8179526号明細書
【特許文献3】米国特許第5442438号明細書
【特許文献4】国際公開第2008/090350号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この構成での問題は、高いデータ収集率に対しては、スペクトルが記録されるときに、ステージの位置がターゲット位置に対してある距離だけ遅れることがあり、これによってスペクトルに対する記録位置が不正確になることである。
【0009】
図1は、位置の不正確さ、および速度の変動を示すグラフである。このグラフは、108msにおけるCCDアレイの77行のデータ収集率に対するものである。一点鎖線は、ステージの期待位置を示し、これに対して点線(長い点符号)はステージの実際位置と、それがどの程度、期待位置から遅れているかを示す。点1は、CCDによってデータが記録される最終時間であり、点2および3は、それぞれ、この時間における、テーブルの実際位置および期待位置である。小さい点符号による点線によって表示された平均速度から、CCDアレイによってデータが記録される期間中、ステージの速度が変動することがわかる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、
サンプル上に光プロファイルを生成するための光源と、
サンプルと、光源からの光の相互作用から生成される特性光を検出するための少なくとも1つの受光素子を有する受光器と、
サンプルを支持するための支持体であって、光プロファイルに対して移動可能である支持体と、
支持体と光プロファイルの間に発生したと予期される相対運動に基づいて、特定の時間において受光素子によって記録されたスペクトル値を、特定の時間において受光素子によって記録された特性光を生成したと予測されるサンプル上の点に関連づけるように構成された処理ユニットと
を備える分光装置が提供される。
【0011】
このように、データが受光器によって記録される率は、受光器と、スポット、線焦点、またはその他好適な光のパターンなどの光プロファイルに対する支持体の相対的移動を制御するためのコントローラとの間の通信の速度によって限定されない。特に、処理ユニットは、スペクトル値が記録された時間以外の時間において取得された可能性のある、光プロファイルに対する支持体の相対位置ついての情報に基づいて、スペクトル値をサンプル上の点と関連づけてもよい。
【0012】
特性光は、ラマン散乱によって生成された光などの、サンプルから散乱された光としてもよい。
【0013】
受光器は、以前の既知位置から予測される、光プロファイルに対する支持体の相対運動に基づいて、起動することができる。例えば、支持体を動かして、その後、予期される支持体の運動に基づいて、間隔をおいてスペクトル値を記録するように受光器を構成することができる。
【0014】
装置は、支持体を駆動して光プロファイルに対して移動させるためのモータを備えてもよい。モータは、光プロファイルに対して支持体に所定の運動をさせるように制御してもよい。
【0015】
測定期間中の光プロファイルに対する支持体の移動は一定速度であってもよく、処理ユニットは、受光素子が測定期間中に等間隔の時間間隔でスペクトル値を記録するように、受光器を制御するように構成してもよい。支持体および/または光プロファイルは、加速期間中に一定速度まで加速してもよく、処理ユニットは、加速期間の終了時に特性光に対するスペクトル値を記録し始めるように受光器を制御するように構成されてもよい。サンプリングしようとする初期点を識別して、支持体および/または光プロファイルを、交差位置から後退させられた位置から動かしてもよく、この位置において、初期点が、光プロファイルによって照射されて、初期点が交差位置になる時間までに加速期間が終了するように、受光素子上に特性光を生成する。
【0016】
処理ユニットは、既知の時間における光プロファイルに対する支持体の既知の相対位置から、点が光プロファイルによって照射されて、受光素子上に当たる特性光を生成する、時間を外挿するように構成してもよい。次いで、このときに記録されたスペクトル値は、サンプル上の点と関係づけることができる。高いデータ収集率に対しては、十分に高速で光プロファイルに対する支持体の相対位置を特定して伝達して、所与の点が光プロファイルによって照射される、時宜を得た情報を提供することは不可能であるかもしれない。本発明は、光プロファイルに対する支持体の相対位置を検出して伝達することのできる率よりも高いデータ率で、受光器がスペクトル値を記録することを可能にしてもよい。
【0017】
光ファイルに対する支持体の相対位置は、既知の位置からの光ファイルに対する支持体の既知の運動から外挿してもよい。例えば、支持体は、既知の位置から、光プロファイルに対して一定速度で進むと仮定してもよい。
【0018】
装置は、支持体の位置を検出するためのセンサを備えてもよい。処理ユニットは、検出された位置から、所与の時間において受光素子によって記録された特性光を生成する、サンプル上の点を外挿するように構成してもよい。処理ユニットは、検出された位置から、支持体の速度、および任意選択で、加速度を特定するように構成してもよい。処理ユニットは、特定された速度および、任意選択で加速度に基づいて、受光器を始動させる時間を更新するように構成してもよい。処理ユニットは、例えば、サンプル上の所定の点が光源によって照射されて、受光素子上に特性光を生成するときに、受光器が始動される場合には、検出された位置に基づいて受光器を始動させる時間を更新するように構成してもよい。しかしながら、支持体の運動が、一定速度などの、指定の速度または加速度基準に合致する時間において、この時間に受光素子上の特性光を生成するサンプル上の点とは無関係に、受光器を始動させることも可能であることが理解されるであろう。
【0019】
(スペクトル値がシフトされる前、または受光素子から読み出される前に)例えば、電荷を蓄積することによって、受光素子がスペクトル値をその間に記録する、サンプリング時間間隔は、検出された支持体の位置が、その間に処理ユニットに報告される、検出時間間隔よりも短くてもよい。したがって、受光素子が、(点の連続体などの)サンプル上の点に対するスペクトル値を記録するデータ率は、検出された支持体の位置を記録するためのデータ率よりも大きくてもよい。
【0020】
受光器は、受光器タイマを備えてもよく、受光素子は、受光器タイマからの信号に基づいてスペクトル値を記録するように構成される。受光器タイマは、センサからの検出位置に基づいて、支持体が光プロファイルに対して所定の位置にあると予測される時間に、始動させてもよい。光プロファイルに対する支持体の運動は、支持体が所定の位置にあるときに、支持体が、光プロファイルに対して一定速度で移動するように構成してもよい。所定の位置は、交差位置としてもよい。
【0021】
支持体を駆動するモータのモータ速度は、支持体タイマに基づいて制御してもよい。支持体タイマは、受光器タイマと同じタイマまたは異なるタイマとしてもよい。
【0022】
処理ユニットは、サンプリングしようとする初期点が光プロファイルから間隔を空けられている位置から、光プロファイルがサンプルの走査を開始するように、光ファイルに対する支持体の相対的な移動を制御するように構成してもよい。このようにして、支持体および/または光プロファイルは、初期点が光プロファイルと交差する前に、必要とされる、場合によっては一定の、速度まで加速させることができる。支持体および/または光プロファイルは、事前設定された加速率を有してもよく、初期点が光プロファイルから間隔を空けられている距離は、事前設定された加速度に基づいて特定してもよく、サンプリングが行われるターゲット速度は、ユーザによって選択されてもよい。ターゲット速度は、例えば、ユーザがデータ収集率を選択することによって、直接的または間接的に選択されてよい。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、サンプルに対して分光法を実施する方法であって、
サンプルを照射する光プロファイルに対して、サンプルを移動させて、サンプル上の複数の点を連続して照射するステップと、
受光器の受光素子を用いて、サンプルと、光プロファイルを形成する光との相互作用によって点から生成される特性光を検出するステップと、
支持体と光プロファイルの間に発生したと予期される相対運動に基づいて、特定の時間において受光素子によって記録されたスペクトル値を、特定の時間において受光素子によって記録された特性光を生成したと予測されるサンプル上の点に関連づけるステップと
を含む方法が提供される。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による分光装置の処理ユニットによって実行されると、処理ユニットに本発明の第2の態様による方法を実施させる命令を記憶しているデータキャリアが提供される。
【0025】
本発明の第4の態様によれば、
サンプル上に光プロファイルを生成するように構成された光源と、
サンプルと、光源からの光との相互作用から生成される特性光を検出するための少なくとも1つの受光素子を有する受光器と、
サンプルを支持するための支持体であって、光プロファイルに対して移動可能である支持体と、
支持体の移動を制御する処理ユニットであって、光プロファイルによって走査しようとするサンプルの区域の選択を受け取り、光プロファイルが走査しようとする区域と交差するときに、支持体が所定の速度に到達しているように、ある位置から所定の速度まで支持体を加速するように構成されている、処理ユニットと
を備える分光装置が提供される。
【0026】
処理ユニットは、光プロファイルが一定速度で区域の一面にわたり走査されるように、光プロファイルに対する支持体の相対移動を制御するように構成してもよい。
【0027】
本発明の第5の態様によれば、サンプルに対して分光法を実施する方法であって、
走査しようとするサンプルの区域の選択を受け取るステップと、
光源によってサンプル上に生成された光プロファイルに対してサンプルを移動させて、サンプルの区域において、複数の点を連続して照射するステップと、
受光器の受光素子で、サンプルの、光プロファイルを形成する光との相互作用によって点から生成される特性光を検出するステップとを含み、
光プロファイルが走査しようとする区域と交差するときに、サンプルが所定の速度に到達しているように、サンプルは、ある位置から所定の速度まで加速される方法が提供される。
【0028】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第4の態様による分光装置の処理ユニットによって実行されるときに、処理ユニットに本発明の第5の態様の方法を実施させる命令を記憶しているデータキャリアが提供される。
【0029】
本発明の第7の態様によれば、
サンプル上に光プロファイルを生成するように構成された光源と、
サンプルと、光源からの光との相互作用から生成された特性光を検出するための、複数の受光素子を備える受光器であって、受光素子が少なくとも1つの行または列に構成されている、受光器と、
サンプルを支持するための支持体であって、光プロファイルに対して移動可能な支持体と、
支持体が光プロファイルに対して所定の一定速度で移動しているときに、受光素子が特性光に対するデータを記録するように、受光器を始動させるように構成された処理ユニットであって、データは、少なくとも1つの行または列の受光素子の間で繰り返しシフトされ、各連続シフトは、以前のシフトから等しい時間間隔の後に行われる処理ユニットと
を備える分光装置が提供される。
【0030】
このようにして、受光器と、支持体と光プロファイルの間の相対的移動を発生させる、コントローラ/モータとの間の通信を同期させることは、データ収集率に制限を加える可能性があり、起動後は必要としない可能性がある。特に、等しい時間間隔は、事前設定された一定速度に基づいて事前設定されてもよい。例えば、一定速度、およびデータがシフトされる間隔は、データが行または列に沿ってシフトされるときに、サンプルの所与の点または領域からの特性光に対して記録されたデータが、少なくとも1行または1列の連続的な受光素子に蓄積されるように選択してもよい。
【0031】
一定速度は、所望の露出時間と、1つの受光素子の高さに対応する、サンプル上の距離とに基づいて事前選択してもよい。一定速度はまた、線焦点の長さなどの、光プロファイルの長さに基づいて事前選択してもよい。
【0032】
本発明の第8の態様によれば、サンプルに対して分光法を実施する方法であって、
光源によってサンプル上に生成された光プロファイルに対してサンプルを移動させて、サンプルと光プロファイルを形成する光との相互作用により複数の点から生成された特性光が、受光器の複数の受光素子の上に当たるように、サンプルの区域内の複数の点を連続的に照射するステップであって、複数の受光素子が少なくとも1つの行または列に構成されているステップと、
受光素子が特性光に対するデータを記録するように、支持体が光プロファイルに対して所定の一定速度で移動するときに、受光器を起動するステップであって、データは、少なくとも1つの行または列の受光素子間で繰り返しシフトされ、各連続するシフトは、以前のシフトから等しい時間間隔の後に行われるステップとを含む方法が提供される。
【0033】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第7の態様による分光装置の処理ユニットによって実行されると、処理ユニットに、本発明の第8の態様の方法を実施させる命令を記憶しているデータキャリアが提供される。
【0034】
本発明のの態様のデータキャリアは、機械に命令を与えるのに好適な媒体であってもよく、それには、非一時データキャリア、例えば、フロッピーディスク、CDROM、DVDROM/RAM(−R/−RWおよび+R/+RWを含む)、HDDVD、BluRay(商標)ディスク、(Memory Stick(商標))、SDカード、コンパクトフラッシュカード、その他などの)メモリ、(ハードディスクドライブなどの)ディスクドライブ、テープ、任意の磁気/光学記憶装置、またはワイヤまたは光ファイバ上の信号またはワイヤレス信号などの、一時的データキャリア、例えば、有線ネットワークまたは無線ネットワーク(例えば、インターネットダウンロード、FTP転送、その他)上で送信される信号がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】サンプルが走査されるときの、従来技術分光装置のステージの位置および速度を示すグラフである。
【図2】本発明の実施形態による、ラマン分光装置の概略図である。
【図3】サンプルに対して移動する、ラマン分光装置によって生成される線焦点、およびCCD受光器内部の対応する電荷のシフトを示す図である。
【図4】本発明による分光装置に対する、サンプルが走査されるときのステージの位置および速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2および3を参照すると、ラマン分光装置100は、サンプル102を照射するための光プロファイル110を生成するために構成された、光源101と、サンプル102から散乱された光を検出するための複数の受光素子104を有する受光器103とを備える。
【0037】
光源101は、レーザ、ビームエキスパンダ、ならびにフィルタ105上にレーザビーム115を成形して誘導するための好適なレンズおよびミラー(図示せず)を備え、フィルタ105は、レーザ周波数/波数の光は反射するが、その他の周波数/波数の光は透過する。フィルタ105は、レーザビーム115を顕微鏡106上に誘導する。顕微鏡106において、レーザビーム115を、この実施形態においては線焦点110として、可動ステージ109上に支持されたサンプル102上に集束させるために、レーザビーム115は、1または複数の好適なミラー108を経由して対物レンズ107を通り誘導される。光学構成は、参照により本明細書に組み入られている特許文献3および特許文献4に記載されているものと類似している。
【0038】
ステージ109は、サンプル102を線焦点110に対して、垂直方向XおよびYにおいて移動させるために、移動可能である。モータ111a、111bは、各方向においてステージ109の駆動動作のために設けられている。モータ111a、111bの移動は、コントローラ133の制御下においてタイマ113によって調整してもよい。センサ114は、ステージ109の位置を検出する。この実施形態において、センサ114は、ステージ109の相対的に移動可能な要素上に装着された、エンコーダスケールと、対応する読取りヘッド(read-head)とを備える。ステージコントローラ133は、コンピュータ112と通信するように構成されている。
【0039】
レーザビーム115によってサンプル102を照射することによって、レーザ周波数/波数に対して異なる周波数/波数における、散乱光、例えばラマン散乱光が生成される。散乱光は、顕微鏡対物レンズ107によって収集されて、受光器103に向かって誘導される。散乱光は、フィルタ105と、受光器103の全域に散乱光をスペクトル分散させるための、回折格子などの光学的要素116とを通過する。スペクトル分散光は、焦点レンズ117によって受光器103上に集束させられる。
【0040】
この実施形態において、受光器103は、受光素子104の2次元アレイを備える電荷結合デバイス(CCD)である。しかしながら、2次元CMOS受光器アレイなどの、その他の検出器も可能である。回折格子は、散乱光のスペクトルを、方向SにおいてCCD103の表面の全域にわたって分散させる。サンプル102上の線焦点110の各位置に対して、受光素子104の1行118の全域にわたって分散される散乱光が、サンプル102上の領域または部位から生ずる。
【0041】
受光器103は、電荷結合デバイスを制御する、プロセッサ140を備える。プロセッサ140は、例えばUSBバスを経由して、コンピュータ112と通信するとともに、シリアル通信バスなどの、さらなる通信ラインを介して、ステージコントローラ133と通信するように構成されている。プロセッサ140および受光器アレイ103は、単一ユニットとして構築されてもよい。
【0042】
カメラ119は、レーザビーム115をサンプル102上に集束させるのに使用される顕微鏡106と同じ対物レンズ107を通して、サンプル102の画像がカメラ119によって取り込まれるように装着されている。カメラ119によって取り込まれた画像は、コンピュータ112に送付されて、ディスプレイ120上に表示されてもよい。
【0043】
コンピュータ112は、メモリ122内に記憶されたコンピュータプログラム内の命令を実行する、処理ユニット121を備える。次に説明するように、コンピュータ112、プロセッサ140およびステージコントローラ133は、ステージの移動、およびCCD103内の電荷のシフトおよび読取りを制御して、サンプル102全域にわたって線焦点110をラスタ走査して、サンプルから散乱された光に対するスペクトル値を記録する。しかしながら、その他の実施形態においては、その他のプロセッサの組合せ、および処理の分布を用いてもよいことが理解されるであろう。
【0044】
最初に、ユーザはサンプル102を可働ステージ109上に設置するとともに、カメラ119を使用してサンプルの画像を取り込む。この画像は、ディスプレイ120上に表示され、ユーザは、キーボードまたはポインティングデバイスなどの入力デバイス123を使用して、線焦点110を使用して走査しようとするサンプル102の区域124を選択することができる。このシステムは、画像の各ピクセルがステージ上の既知の場所に対応するように較正されている。したがって、処理ユニット121は、画像内で識別された区域124から、線焦点110を使用してサンプル102のこの区域を走査するのに必要とされる、ステージ109の移動を特定することができる。
【0045】
構成中に、ユーザは、サンプリングしようとする領域に対する露出時間を要求する。処理ユニット121は、要求された露出時間を、CCD103上の単一の行118の高さに対応するステージ109における距離dを乗算した、CCD103上の露出された行118の数で除算することによって、サンプリング中のステージ109の所望の速度を計算する。この速度は、ステージコントローラ133によって受け入れられる整数単元(whole units)に丸め込んでもよい。例えば、秒当たりのモータステップの10の整数倍である。
【0046】
次いで、処理ユニット121は、所望の速度から、ステージ109の運動と電荷のシフトが同期されるように、CCD103の行118の間での電荷のシフトの間に必要とされるシフト遅延(サンプリング期間)を計算する。例えば、必要とされるシフト遅延は、所望の速度で除算された、CCD103上の単一の行118の高さに対応する、ステージ109における距離dから特定してもよい。
【0047】
処理ユニット121は、ステージ109が事前設定された定率で加速するように、モータ111aを制御するように、プロセッサ140を介してステージコントローラ133を構成する。このような構成は、所望の速度およびシフト遅延の上述の計算の前または後に行われてもよい。
【0048】
Y方向におけるステージ109の移動に対して、線焦点110の前縁131は、区域124の縁130から、ある距離だけ最初に後退させられる。線焦点110が後退させられる距離は、線焦点110が区域124の縁と交差する前に、ステージ109を所望の速度まで加速することができるように、特定される。後退距離を特定するために、プロセッサ121は、事前設定された定率で加速するときに、(静止状態から)所望の速度に到達するのにステージ109が進まなくてはならない加速距離を特定する。後退距離は、ステージ109がその間は一定速度で進まなくてはならない設定期間、この実施形態においては20msを可能にする、追加の距離を、加速距離に加算することによって計算される。以下さらに詳細に説明されるように、この追加の距離は、いくらかの余裕をもたらすとともに期間を与え、その間に、処理ユニット121はステージ109の位置を測定して、線焦点110の前縁131が区域124の縁130と交差する時間を特定することができる。
【0049】
後退距離と区域124の既知の場所とから、開始位置を特定することができる。停止位置は、線焦点110が区域124の外側にある位置であり、停止位置は、ステージ109に、線焦点110が区域124を離れた後に減速するのに適当な距離を与える。
【0050】
処理ユニット121は、ステージ109に対する開始位置および停止位置、ならびにステージ109に対する所望の速度を指定する、コントローラ140に対するコマンドと、以下に記述するような処理を実施する命令とを送る。コンピュータ112から開始コマンドを受け取ると、プロセッサ140は、開始位置および停止位置、ならに所望の速度をステージコントローラ133に送り、受光器103の制御のためのコマンドを実行する。
【0051】
開始位置および停止位置を受け取ると、ステージコントローラ133は、モータ111a、111bを起動して、ステージを開始位置へと駆動する。
【0052】
開始位置に到達した後に、ステージ109は、Y方向に所望の速度まで加速される。ステージコントローラ133は、モータ111aが一旦所望の速度に到達すると設定速度を維持するように、タイマ113からのクロックパルスを使用してモータ111aの速度を調整する。
【0053】
この加速期間中に、センサ114からの信号が、プロセッサ140に送られて、プロセッサ140は、時間によるステージ109の位置の変化について位置データを記録する。位置データから、プロセッサ140は、何時、線焦点110が区域の縁130と交差するかを予測する。この予測は、センサ114から新しいデータが受け取られるときに更新される。
【0054】
位置データは、プロセッサ140が、加速期間中にステージコントローラ133に繰り返し問い合わせることによって収集してもよい。プロセッサ140は、内部タイマ(図示せず)からの第1のクロックカウントt
1を記憶し、ステージコントローラ133に信号を送り、ステージ109の位置を要求する。要求の受け取りに応答して、ステージコントローラ133は、センサ114から読取り値を取得して、この読取り値をプロセッサ140に返す。読取り値を受け取ると、プロセッサ140は、第2のクロックカウントt
2を記憶する。プロセッサ140は、時間(t
1+t
2)/2において発生するものとして読取り値を記録する。これは、送受信フェーズは、等しい時間を要するという仮説に基づいている。
【0055】
位置データから、プロセッサ140は、3つの読取り値など、事前定義された期間にわたって、平均速度および加速度を計算する。線焦点110の前縁131が区域124と交差すると予測される時間は、特定された速度および加速度に基づいて更新される。
【0056】
プロセッサ140は、線焦点110の前縁131が区域124の縁130と交差したと予測される時間において、CCD103を起動して測定期間を始める。これには、タイマ126を起動することを含めてもよく、このタイマ126は、CCD103上で電荷がシフトされる率を調整する。電荷は、計算されたシフト遅延に対応する等間隔の時間間隔で、矢印127で表示された方向において、各行から隣接する行までシフトされる。したがって、電荷は、サンプリングしようとする区域124の全域で線焦点110の移動と同期して、CCD103に沿ってシフトされる。
【0057】
図3は、線焦点110によって照射されたサンプル102の区域124の一部を示す。Yは、ステージ109の移動の方向を示し、矢印127は、電荷がCCDアレイ103上でシフトされる方向を示す。線焦点110上の各領域132(以後は、点と呼ぶ)に対して、ラマンスペクトル(影が付けられた区域で表示されている)は、CCD受光器103の対応する行118に沿って、方向Sに、方向Yと垂直に分散されている。点132の大きさは、図3においては誇張されており、実際には、CCD103上には、この点の数よりも何倍も多い点があるとともに、この行118の数よりも何倍も多い行があることを理解すべきである。
【0058】
CCD103が光に露出されると、各受光素子104内での電荷の蓄積が生じる。この電荷は、ラマンスペクトルに対するスペクトル値(またはビン(bin))を表わし、露出中にそれが受けた光の量に比例する。サンプル102は、電荷におけるシフトの間に受光素子104のいずれか1つの上に入射した光が、線焦点110上の点132よりも長い、サンプル内の領域から生じる散乱光となるように、線焦点110に対して連続的に移動する。したがって、受光器103の隣接する行は、サンプル102の重複領域をサンプリングすることになる。
【0059】
電荷は、CCD103の行の間で方向127にシフトされ、電荷は、サンプル102上の所与の領域から生じる散乱光に対して、電荷がシフトされる方向に連続する受光素子104内に着実に蓄積する。電荷のシフトは、電荷が読出しレジスタ134中にシフトされるまで続く。読出しレジスタ134内の電荷は、プロセッサ140へと読み出される。すなわち、CCD103上の電荷におけるシフト間で、シフトレジスタ134は、所与の領域が線焦点110を通過して移動されたときに、サンプル102の所与の領域を照射することにより蓄積した、1つの完全なスペクトルに対するデータを保持する。
【0060】
プロセッサ140は、CCD103からのスペクトル読出し値を、処理ユニット121へと送る。プロセッサ140は、線焦点110による区域124の走査全体を通しての、センサ114からの信号に基づく位置データを受け取り続け、これらもコンピュータ112に回してもよい。
【0061】
位置データから、コンピュータ112の処理ユニット121は、所与の時間におけるステージ109の位置を特定することができる。しかしながら、CCD103によってデータが蓄積される率は、位置データがセンサ114から受け取られる率よりも速い。例えば、電荷がその間に検出器素子104内に蓄積される、サンプリング時間間隔は、プロセッサ140に送られている位置測定値間の検出時間間隔よりも短い。したがって、処理ユニット121は、ステージ109と線焦点110の間で発生したと予期される相対運動に基づいて、特定の時間における読出しレジスタ134から読み出された完全なスペクトルを、散乱光を生成したと予測されるサンプル上の領域と関連づける。このことは、ステージ109が進んでいる、既知の一定速度と、線焦点110が区域124と交差したと予測された、時間とから特定することができる。しかしながら、好ましくは、処理ユニット121はまた、走査中に受け取った位置データから、ラマンスペクトルを生成したと予測される、サンプル102上の領域を外挿する。
【0062】
のプロセスは、線焦点110がサンプル102の全区域124を走査するように、異なるX位置に対して繰り返してもよい。
【0063】
次いで、スペクトルを生成したと予測される、サンプルの領域に基づいて、記録されたスペクトルと空間分布を関連づけて、マップを形成することができる。マップは、特定の分子種に対してラマンピークが発生する、特定の波数などの、スペクトルの特定の要素に対して形成してもよい。
【0064】
図4は、加速期間201、一定速度期間202、減速期間203、およびステージ109が次のX位置に対する区域の走査を行うために出発位置に戻る、復帰期間204を含む、ステージ109の動作の異なる期間を示す。スペクトルデータは、一定速度期間202中に収集され、それによって、等間隔でCCD全域において電荷がシフトされることにより、CCD103の各素子104が、サンプル102上の等しい長さの領域から散乱された光に対するデータを収集することが確実になる。
【0065】
上述の実施形態に対して、特許請求の範囲で定義されているような発明から逸脱することなく、修正および変更を行うことが可能であることが理解されるであろう。例えば、サンプルを照射する光プロファイルは、スポット焦点などの、異なる形状を有してもよい。
【国際調査報告】