特表2016-539819IP Force 特許公報全文掲載

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539819(P2016-539819A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】圧縮アセンブリ及びタービンエンジン用複合材ブレード製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/18 20060101AFI20161125BHJP
   F04D 29/38 20060101ALI20161125BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20161125BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20161125BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20161125BHJP
   D03D 25/00 20060101ALI20161125BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20161125BHJP
   B29C 39/18 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   B29C43/18
   F04D29/38 G
   F01D25/00 L
   F01D25/00 X
   F02C7/00 C
   F02C7/00 D
   F02C7/00 F
   D03D1/00 A
   D03D25/00
   D03D15/00 102Z
   B29C39/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-519804(P2016-519804)
(86)(22)【出願日】2014年10月3日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月10日
(86)【国際出願番号】FR2014052515
(87)【国際公開番号】WO2015049475
(87)【国際公開日】20150409
(31)【優先権主張番号】61/886,725
(32)【優先日】2013年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1456021
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ヤン マルシャル
(72)【発明者】
【氏名】マチュー ジマ
【テーマコード(参考)】
3H130
4F204
4L048
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB52
3H130AC17
3H130CB01
3H130ED01C
3H130ED02C
4F204AA36
4F204AA39
4F204AC05
4F204AD16
4F204AH04
4F204AH31
4F204AJ08
4F204EA03
4F204EB01
4F204EB11
4F204EF05
4F204EF27
4F204EK24
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
4F204FF05
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN17
4F204FQ15
4L048AA02
4L048AA03
4L048AA05
4L048AA25
4L048AA48
4L048AB06
4L048AC01
4L048AC09
4L048BA22
4L048DA24
4L048DA41
4L048EB00
(57)【要約】
製織されたプレフォーム10aを受容するのに適した上方開口ハウジング26を形成する成形型24と、プレフォームが上方開口ハウジング26内に配置されることで前記製織プレフォーム10bの圧縮を可能にする圧縮アセンブリを形成するべく成形型24と協働する上下可動圧縮工具128とを有する、圧縮アセンブリ。該圧縮工具は少なくともルート部分を有する。本発明は、タービンエンジン用複合材ブレードの製造方法に適用できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン用複合材ブレードを形成するため、糸(20)を三次元的に製織することにより得られる製織プレフォームを圧縮するための圧縮アセンブリであって、前記製織プレフォームは、翼(12)と、ブレードのルート(14)と、前記翼(12)と前記ルート(14)の間にあるブレードのタング(13)の夫々を予め定義するための各部分とを有し、前記圧縮アセンブリは、製織されたプレフォーム(10a)を受容するのに適した上方開口ハウジング(26)を形成する成形型(24)と、プレフォームが前記上方開口ハウジング(26)内に配置されることで前記製織プレフォーム(10b)の圧縮を可能にする圧縮アセンブリを形成するべく前記成形型(24)と協働する上下可動圧縮工具(28)とを有する、圧縮アセンブリにおいて、
前記上下可動圧縮工具(28)は少なくともルート部分(128A)を有する圧縮アセンブリ。
【請求項2】
前記上下可動圧縮工具(28)はさらに、少なくとも1つのタング部分(128B)を有する請求項1に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項3】
前記ルート部分(128A)と前記タング部分(128B)は分離している請求項2に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項4】
前記ルート部分(128A)及び/又は前記タング部分(128B)は、中央圧縮ブロック(1281)を含む少なくとも3個の分割圧縮ブロック(1281−1287)に細分化され、前記3個の分割圧縮ブロック(1281−1287)は、前記中央圧縮ブロック(1281)に始まる形で夫々、別個に前記成形型(24)に向かって下降するように構成されている請求項3に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項5】
前記ルート部分(128A)は単一のブロックであり、前記タング部分(128B)は少なくとも3個の分割圧縮ブロックに細分化される請求項3又は4に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項6】
さらに、前記成形型(24)に対面する前記圧縮工具の少なくとも一部を覆う変形可能な外皮(130)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項7】
前記変形可能な外皮(130)は、前記成形型(24)に対面する前記タング部分の表面全体を覆う請求項6に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項8】
前記圧縮工具(128)は、前記製織プレフォームが前記上方開口ハウジング(26)に置かれた際、少なくとも1本のトレーサ糸(22)の位置が見えるように構成された少なくとも1つの窓(132)を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項9】
タービンエンジン用複合材ブレードの製造方法において、その方法は、
a)糸(20a、20b、22)を三次元的に製織することによりプレフォームを作り、前記製織プレフォームは、翼(12)、ブレードのルート(14)、及び前記翼(12)と前記ルート(14)の間にあるブレードのタング(13)を形成する各部分を有し、前記糸(20a、20b、22)には、少なくとも前記製織プレフォームの表面において目視により確認可能に配置されたトレーサ糸(22)が含まれる、ステップと、
b)前記製織プレフォームの基準面(16)に沿って配置される一連のトレーサ糸(22)を残して前記製織プレフォームを切り出すことで、前記ブレードを構成する部分の形状と寸法を予め定義するように構成された切り出しプレフォーム(10a)を獲得するステップと、
c)前記切り出しプレフォーム(10a)を予め変形させることで予備変形プレフォーム(10b)を獲得するステップと、
d)前記予備変形プレフォーム(10b)を予め圧縮することで予備圧縮プレフォーム(10c)を獲得するステップと、
e)前記予備圧縮プレフォーム(10a)を湿らせ乾燥することにより補強化されたプレフォームを獲得するステップと、
f)その内部に前記補強プレフォームを置く射出成形型を用意するステップと、
g)前記補強プレフォーム全体を含浸させて補強プレフォームの各糸(20a、20b、22)間の相対位置関係を保持するべく、前記射出成形型内に熱硬化性樹脂からなるバインダを噴射するステップと、
h)前記射出成形型を加熱するステップと、
i)前記成形型から、実質的に前記ブレードの形状と寸法を有する複合材成形品を抜き出すステップとを有する、製造方法において、
前記ステップc)の間、前記予備変形は、成形型(24)によって形成されたハウジング(26)内に前記切り出しプレフォーム(10a)を配置して実行され、前記ステップd)の間に前記予備圧縮が実行される方法。
【請求項10】
前記ステップd)の間、前記製織プレフォームの内の少なくとも前記ルート部分(12)が予め圧縮(10b)される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップc)と前記ステップd)の間に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧縮アセンブリが使用される請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
ルート(14)と、翼(12)と、前記ルート(14)と前記翼(12)の間の遷移部を構成するタング(13)とを有するタービンエンジン複合材ブレードであって、前記タービンエンジン複合材ブレードは、圧縮されかつバインダで含浸された三次元的に製織された繊維からなるプレフォームを有し、前記製織プレフォームの外層を成す繊維は、前記翼(12)に隣接するタング域(13)に配置されると共に20度以下の各振れ角(A1)を有するブレードの前縁又は後縁に沿って延びるタービンエンジン用複合材ブレード。
【請求項13】
請求項12に記載の複合材ブレードを備えたタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮アセンブリ、及びタービンエンジン用複合材ブレードの製造方法に関するものであり、またタービンエンジン用複合材ブレードに関するものである。その複合材ブレードは、三次元的に製織された糸や繊維からなるプレフォームと、プレフォームの糸間の相対位置決めを維持するバインダとを有するタイプのブレードであっても良い。前記プレフォームは、縦糸の方向がプレフォーム自体の長手方向となるような縦糸と横糸とで構成してもよい。
【0002】
特に、本方法はタービンエンジン、特にターボジェットのためのファンブレードの製造に関するものである。それでも尚、本発明は、運転中の到達温度がこの種のブレードの高温強度に適合するような低圧コンプレッサで使用されるブレードの製造することも想定している。また、アンダクト(又は“オープンロータ”)ファン用ブレードや、それどころかプラットフォームを組み込んだブレードの製造も想定している。
【背景技術】
【0003】
従来より、複合材料、特に炭素繊維からできているファンブレードは、予め含浸された一方向性パイルの積層体から作られており、それらの連続したパイルは、オートクレーブ内での圧縮・重合化に先立ち、異なる配向性を有して成形型内に配置されるものである。この工法は非常に難しく、かつ手によるプライ積み重ね作業を必要とするため、長時間かつ費用のかかるものである。
【0004】
閉じられた型の中に樹脂を噴射することによる含浸に先立ち、乾燥繊維からなる製織プレフォームを用意し、その後、縫合によりプレフォーム同士を組み立てるという提案もなされている。また、ある特許文献によれば、噴射に先立って、1つ以上の固体インサートと共に組み立てられる単一の製織プレフォームを作るという代替案もある(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかしながら、これらの解決策は、共に組み立てられるべき複数の部品を必要とし、例えば機械的強度上、特に耐衝撃性という点で極めて有害とされる層間剥離の結果、特に脆弱になりそうなアセンブリ領域部位内で作るという欠点を抱えている。
【0005】
これらの欠点を克服するため、また別の特許文献では、インサートやその他の適合要素に頼ることなく、それ自身、或いは切り出されてバインダが噴射された後の状態で、タービンエンジンブレードのあらゆる部分を成す最終品を形成可能にするような三次元製織糸又は繊維からプレフォームを作ることを提案している(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
とりわけ、さらに別の特許文献に記載された製造方法では、製造時、製織され、次いで切り出されたプレフォームが、バインダの噴射と硬化処理の前に成形型内に設置される(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
しかしながら、現時点では、成形の実施方法に関連して様々な問題が未解決のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5672417号
【特許文献2】米国特許第5013216号
【特許文献3】仏国特許第2861143号
【特許文献4】仏国特許第2892339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は上述した欠点を回避可能にする圧縮アセンブリに関する。さらに詳しくは、その圧縮アセンブリはプレフォームの予備圧縮を実行すること可能にする。
【0010】
タービンエンジン用複合材ブレードを形成するべく、圧縮アセンブリは、三次元製織糸によって得られプレフォーム上で使用することができ、そのプレフォームは、同時に翼、ブレードのルート、及び翼・ルート間のブレードのタングを有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
圧縮アセンブリは、製織されたプレフォーム(先に切り出されている場合もあり)を受容する上方開口ハウジングを形成する成形型と、前記プレフォームがハウジング内に配置されることでプレフォームの圧縮を可能にする圧縮アセンブリを形成するために成形型と協働する上下可動圧縮工具とを有する。
【0012】
圧縮アセンブリは、長手方向と、その長手方向に平行な垂直中央平面とを定めても良い。
【0013】
圧縮アセンブリは、成形型に向かって下降するように構成されても良い。
【0014】
圧縮アセンブリは少なくともルート部分を有する。一例として、圧縮アセンブリはルート部分だけを有したり、或いはルート部分とタング部分の双方を有してもよい。こうした状況では、ルート部分とタング部分が単一のブロックを形成することもあり、逆に互いに分離することもある。それらが分離した状態にある場合、タング部分それ自体が、中央圧縮ブロックを含み、少なくとも3個の分割圧縮ブロックに細分化され、前記3個の分割圧縮ブロックの夫々が別個に成形型に向けて下降するように構成してもよい。特に、各圧縮ブロックは、中央圧縮ブロックに始まる形で連続した形で下げてもよい。
【0015】
本開示は又、圧縮アセンブリを用いてタービンエンジン用複合材ブレードを製造する方向に関連し、さらにタービンエンジン用複合材ブレードにも関係する。
【0016】
本発明のその他の利点及び特徴は、添付図面を参照しつつなされた以下の説明を読むことにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】切り出し後の模範的プレフォームの概略的斜視図である。
【図2】模範的製造方法の製造工程を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態における圧縮アセンブリを用い、プレフォームの異なる2部分の形状への圧縮効果を示した、図2の方向III に沿う断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における圧縮アセンブリを用い、プレフォームの異なる2部分の形状への圧縮効果を示した、図2の方向IVに沿う断面図である。
【図5】図1のプレフォームの部分図であって、そのルートとタングを拡大して示した図である。
【図6】図4のそれに類似した断面図であって、圧縮アセンブリのもう1つの例を示した図である。
【図7】図6の圧縮アセンブリの圧縮工具の斜視図である。
【図8】異なる形で製造された複合材ブレード部分の内の一方の比較概略図である。
【図9】異なる形で製造された複合材ブレード部分の内の他方の比較概略図である。
【図10】2つの代表的座屈形態を有する2本の繊維の一方の振れ角の測定法を示す図である。
【図11】2つの代表的座屈形態を有する2本の繊維の他方の振れ角の測定法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態は本発明の特徴及び利点を示すものである。とは言え、本発明はこれらの実施形態に限定されないことを留意されたい。
【0019】
一実施形態において、その製造方法は、a)製織によって縦糸20aと横糸20bからなる三次元的製織プレフォームを作ることからなる第1工程で始まる。これら2群の編み糸は、他の糸とは目で区別することができかつ少なくともプレフォームの表面において定期的に配置されるトレーサ糸22を含んでいる。
【0020】
一例として、縦糸と横糸は、炭素繊維、ガラス繊維、シリカファイバ、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維及び芳香族ポリアミド繊維からなるグループから選んでもよい。
【0021】
シングルピースとして製織されるプレフォームは、その後、本方法の第2工程(b)で切断される。具体的には、製織されたプレフォームは、変形された状態で仕上げ品の形状にマッチするように設計された所定の三次元的治具に基づいて輪郭周りに切断することにより切り出される。この切断はウォータジェットを使用したり、さらに/又は機械的手段(鋏、カッター、鋸)や、さらに/又はレーザーカッティングにより実行されるようにしても良い。
【0022】
これにより図1に示すような切り出しプレフォーム10aがもたらされる。ここでは、ブレードの翼12とルート14を形成することになる部分と、翼12とルート14の間の遷移部分としてのタング13を見ることができる。特に、三次元的製織に使用される縦糸20aと横糸20bは炭素繊維(黒)であり、縦糸20aに平行な主要長手方向と横糸20bに平行な横断方向に沿って、基本的にプレフォームの表面に位置するトレーサ糸22を形成するのはガラス又はケブラー繊維(白)である。このようにしてトレーサ糸22は、黒であるプレフォームの残余部分上に白色で現われ、従ってトレーサ糸22は目立つことになる。また、トレーサ糸は、最終部品が規則に沿ったものであることを立証するために、従来からの(X線トモグラフィーや超音波タイプの)非破壊検査技術によって検出可能である。
【0023】
特に、本例ではトレーサ糸22は、以下に説明するように、切断工程やその他のプレフォーム処理工程に先立って位置決めする基準点として作用するように、ブレードの2面(加圧側壁面17と吸引側壁面18を夫々形成する面)の表面上、所定位置に現れる形で示されている。
【0024】
切断工程中においては、一連のトレーサ糸22がプレフォームの表面上にあって少なくとも1つの基準面16(図示した例では前縁を成す面)に沿うような形を保持するようになっている。
【0025】
その後、切り出しプレフォーム10aは工程c)で予備変形される。
【0026】
特に、工程c)の間、予備変形は、成形型24(図2)に切り出しプレフォーム10aを配した形で行われる。その成形型には、プレフォーム10aを受けるキャビティ(ハウジング26)を形成するような各部分があり、少なくとも何本かのトレーサ糸22を位置決めするための基準となるようなマークも備えている。
【0027】
切り出しプレフォーム10aを特定しかつ位置決めするための様々なシステムを用いることも可能である。特に、所定の位置決めを達成するべくそれに従って対応トレーサ糸22を容易に動かせるように、トレーサ糸22のための理想位置に光線を投射するレーザー投射機27(図2)などがそうである。
【0028】
これに取って代わるか、或いは付け加える形で、トレーサ糸22の幾つか又は全部の輪郭及び/又は位置を再生するマスクをプレフォーム上に配置し、それが適正な形で位置決めされているか否かを確認するようにしても良い。
【0029】
切り出しプレフォーム10aが成形型24に配置された際、切り出しプレフォーム10aは、その主要軸に平行な軸線XX’周りで(図2の矢印25a方向に)回転させることでプレフォームを変形し、それによってこの軸線周りで翼をツイストさせる効果を持つような形に置かれる。
【0030】
実施形態によっては、プレフォームのルート14の自由端に対しある位置をとる目的をもってスライド可能な可動部分24aを成形型24に設けることで、プレフォームのこの部分14に所望の変形を課すか、或いはプレフォーム10bの他の部分に対しては変形がなされつつもこの部分にある種の変形が起きないようにする応力(図2の矢印25b)を課すようにしても良い。
【0031】
トレーサ糸22を、成形型24内にプレフォーム10aを位置決めするための基準要素として用いることで切り出しプレフォーム10aを成形するための数多くの様々な可能性があることを理解されたい。
【0032】
切り出しプレフォーム10aを成形型24内に配置するその方略はまた、選択された基準面、特にルート、先端、前縁16、後縁19、或いは他の所定域から選択された面によっては、先立って実行される切断、又は切り出しプロフィールにも関係がある。
【0033】
切り出しプレフォーム10aを成形型24内に置くことが所望の形状を達成するのに必要な変形の全てを課すのに十分である場合もある。そうは言っても、実施形態によっては、工程c)を複数のサブ工程に分けて実行する場合もあり得る。
【0034】
その後、バインダが前記射出成形型内に噴射されるが、そのバインダは熱硬化性樹脂からなり、プレフォーム全体に含浸し、プレフォームの糸間の相対位置決めを保持する働きをする。その後射出成形型は加熱され、次いで実質上、前記ブレードの形状・寸法を有する複合材モールド部品が成形型から抜きだされる。
【0035】
工程c)に続く工程d)では、バインダの射出に先立って、予備変形されたプレフォーム10bの少なくとも一部分に対し予備圧縮がなされるが、その部分はルートを有し、好ましくはルート14とタング13からなるものであって、予備圧縮は予備変形されたプレフォーム10bの全幅にわたってなされる。この予備圧縮は、所望の位置において特定の繊維をブロックしたり、或いは少なくともその位置へ入り得る動きを回避することで、所望の最終形状に一層近似するプレフォーム用中間形状を獲得するものである。ルートの繊維、好ましくはタングの繊維までもブロックすることは、製造時点でのブレードにおける繊維のより良い位置決めを確実にする働きがあり、特にプレードの各部分には共通して観察されるようなファイバ座屈現象を抑えることができる。同様に、繊維を適切に位置決めすることは、ブレードのルートとタングにおいて良好な機械的性質を得ることを可能にする。そのような作用は、ルートとタングが運転時、最も大きい機械的応力を受けるブレード部分であるという理由から特に有効なものである。
【0036】
この目的で使用されかつその一部を図2に概略的に示した圧縮工具28は、必要な機器と共に成形型24を仕上げるように作ってもよい。その圧縮工具28は(上下に)移動可能であり、約100℃の温度まで上昇可能でなければならない。
【0037】
この工程d)にあって、糸を被覆し、かつ製織を容易にするのに使用されると共に予備圧縮部分における繊維の相対位置決めをブロックする働きするのが潤滑物質である。
【0038】
その後、予備圧縮されたプレフォーム10cは湿らされ、次いで補強プレフォームを得るべく、例えばドライオーブンで乾燥される。この補強処理は、切り出しプレフォーム10a(今は予備変形されたプレフォーム10b)に対し工程c)で与えられたその形状を“フリーズ(固化)”し、それに続いてプレフォームを射出成形型24内に、簡単かつその形状(上述した予備変形の形状に相当)を著しく変えることなく配置されるのを十分可能にする働きがある。
【0039】
予備圧縮工程d)の間に与えられる熱や圧力の影響下にあって、製織された炭素繊維と繋がることができることで予備変形されたプレフォーム10bが特に、射出工程において如何なる変形を受けることのないように、必要に応じてプレフォームの内部に、例えば希釈樹脂(特にエポキシ型)等の粘着剤を加えることが可能である。
【0040】
圧縮工具28は、最終品の最終繊維密度に対して中ほどの繊維密度まで製織されたプレフォームを圧縮するために成形型24のハウジング26に挿入できるほどの形状寸法を有する。例えば、圧縮工具28を用いて意図するところは、射出成型後の状態で最終品が50%〜65%の範囲内に含まれる繊維密度を有するように、35%〜55%の範囲内に収まる繊維密度を有する圧縮プレフォームを得ることにある。
【0041】
図3及び図4を参照するに、それらは一実施形態における圧縮アセンブリ(成形型24と圧縮工具28)と、そのルート14(図3)とタング(図4)を示した予備変形されたプレフォーム10bの各断面図であって、圧縮プレフォーム10c(実線)を得るために予備変形されたプレフォーム10b(点線)のこれら異なる部分13、14にどのようにして予備変形が施されるかを示したものである。
【0042】
ルート14(図3)に対し、成形型24のハウジング26は矩形断面を有し、圧縮工具28はそのハウジング26の断面に相補する矩形断面のルート部分28Aを有する。
【0043】
タング13(図4)に対しては、成形型24のハウジング26は、凸状の底部26aと、ハウジング26の開口部に対して広がった側部26bとを伴った断面を有する。圧縮工具28は、実質上垂直な側部28bと、成形型24内の凸状底部に対面することになる底部28aとを備えた断面のタング部分28Bを有する。この底部28aは凹状になっており、そのプロフィールは成形型24のハウジング26の底部の凸状プロフィールよりも大きな曲率半径を有している。
【0044】
本実施形態の圧縮工具28は単一品であり、移動によって成形型24のハウジング26内に下降したり、又ハウジングから離れるように上昇することで予備変形されたプレフォーム10bを圧縮する。
【0045】
予備変形されたプレフォーム10bの繊維への損傷を回避し、特に繊維の挟み込みを回避するために、ハウジングに対面する成形型24と圧縮工具28の各表面は、如何なる(凹凸の)鋭利なエッジを有さず、フィレットを成すスムーズな接続部によって丸みを持たされたコーナーを伴う面によって構成されている。
【0046】
そのような状況において、プレフォームのタング13(図4)を圧縮するタング部分28Bに配慮して圧縮工具28が下降すると、最初、予備変形されたプレフォーム10bの側縁部16a、19a(それらのエッジは前縁16と後縁19を夫々成すことになる)が圧縮工具28の側縁部28cと底部28aの位置で同工具と接触する。その後、接触は圧縮工具28に対面するタング13の全表面でなされ、圧縮アセンブリの中央平面PMを通る中央域(帯)で終了する。
【0047】
この中央平面PM(必ずしも、圧縮アセンブリ又はプレフォームの対称面とは限らない)は、プレフォームの主要方向に方向付けられた軸線XX’に対し垂直かつ平行であり、成形型24のハウジング26の各側縁部26bの真ん中にあり、圧縮工具28の各側縁部28bの真ん中にもある。
【0048】
このような形状では、タング13の予備変形に関連して特定の欠点を往々にして有する可能性はある。即ち、図5に示した形状では、プレフォーム10bの側縁部16a、19aが共に薄くかつタングの残りの部分よりも大きな曲げを受けるために、プレフォームを形成する繊維20が座屈してしまい、最終ブレードにおける良好な機械的強度に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0049】
この好ましからぬ座屈を受ける切り出しプレフォーム10aの領域は、図5において、翼12近くに位置するタング13の鋭いエッジに対応した2つの場所Z1、Z2で示されている。
【0050】
上述した欠点を解消するため、一実施形態において、圧縮工具は、前記中央平面と交差する中央圧縮ブロックと、前記圧縮工具の両側に配置された2個の側部圧縮ブロックであって中央圧縮ブロックに始まって成形型に対して夫々独立した形で1個づつ降下されるのに適した2つの側部圧縮ブロックとを有する、少なくとも3個の分割圧縮ブロックを備えても良い。
【0051】
このように、圧縮工具を少なくとも3個の部分で構成しても良く、圧縮工具と切り出しプレフォームとの最初の接触が圧縮工具に対面するタングの表面の中央域を介して起こるように最初に中央圧縮ブロックが降下する形で、これら各部分を異なる時期に降下することができる。
【0052】
このようにして、本発明の圧縮アセンブリを使用することで、プレフォームのタングの側縁部が最後に圧縮されることで、予備圧縮時においてこれら薄い領域に生じる繊維座屈を最少限に抑えるか回避することも可能である。
【0053】
特に、圧縮工具は、前記中央平面を交差する中央の圧縮ブロックと、その中央圧縮ブロックの両側に同じ数の他の圧縮ブロックとを伴う配置構造を成すようにして、奇数の分割圧縮ブロックを有してもよい。
【0054】
複数ブロックからなる圧縮工具には更に、各圧縮ブロックによりプレフォームに与えられる予備圧縮量(これは、予備圧縮に由来する中間繊維密度によって測定可能)を変えることができるという利点がある。
【0055】
特定の実施形態において、前記3個の分割圧縮ブロックは、前記中央圧縮ブロックによって始まり、先行して降下したブロックに隣接した各圧縮ブロックが続き、側部の圧縮ブロックに至り、以て前記プレフォームの全幅を圧縮することになる順番で、成形型に向かって1個づつ下げられるのに適している。
【0056】
特定の実施形態において、前記圧縮工具は、少なくともルート部分とタング部分とを有し、そのタング部分は少なくとも3個の分割圧縮ブロックを有する。ルート部分は複数ブロックであっても、或いは単一のブロックであっても良い。ルート部分が複数ブロックである場合、それは中央圧縮ブロックを含め、少なくとも3個の分割圧縮ブロックに細分されるようにしても良い。
【0057】
特定の実施形態において、前記圧縮ブロックは成形型に向かう下降に適しており、その下降は、中央圧縮ブロックによって始まり、次いで中央平面の両側部の一方の側にある全圧縮ブロックが、好ましくは中央圧縮ブロックからスタートして第1側部圧縮ブロックに向かうようにして1個づつ続き、最終的には中央平面の他方の側にある全ての圧縮ブロックにおいても、好ましくは中央圧縮ブロックに最も近いブロックからスタートして第2側部圧縮ブロックに向かって1個づつ下降するものである。
【0058】
また別の可能性においては、前記圧縮ブロックは、中央平面に対称な形で成形型に向けて下降するのに適している。
【0059】
実施形態によっては、全圧縮工具128は、その圧縮工具128の中央平面PMを通る中央圧縮ブロック1281を含んだ、少なくとも3個の分割圧縮ブロックに細分化され、前記圧縮ブロックは、中央圧縮ブロック1281に始まり、成形型24に向かって独立した形で下降するように配置される。
【0060】
圧縮工具128は、ルート14と翼12の間、即ちタング13において遷移領域を含んでも良く、その目的はこの遷移領域における圧縮によって与えられる変形を制御するためである。このため、圧縮工具128のタング部分128Bはタング13内で50ミリメートル(mm)以上の高さ、好ましくは支持面14b(図1参照)の上、約70mmまで上昇してもよい。
【0061】
図6及び図7の例では、圧縮工具128は分離したルート部分128Aとタング部分128Bを有する。従って、ルート部分128Aとタング部分128Bは圧縮工具の独立部分を構成する。
【0062】
特に、図示するようにルート部分128Aを単一ブロックとする一方、タング部分128Bを、圧縮工具128の中央平面PMを通る中央圧縮ブロック1281を含んだ、少なくとも3個の分割圧縮ブロックから構成されるようにしても良く、その場合、タング部分128Bの前記分割圧縮ブロックは、中央圧縮ブロック1281に始まる成形型24に向かう独立した下降に適する。この例では、圧縮工具128のタング部分128Bは、中央平面PMの両側に分配された7個の分割圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287に細分化される。
【0063】
このように、圧縮工具128の下方運動を分割することができる。例えば、ルート部分128Aとタング部分128Bを夫々別個に下降することも可能である。タング部分128Bは、圧縮工具128の中央平面PMを通る中央圧縮ブロック1281で始まり(図6中の下向き矢印D1及び点線1281’)、その後中央圧縮ブロック1281の両側に位置する2個の圧縮ブロック1282、1283が続き(図6中の下向き矢印D2、D3とび点線1282’、1283’)、最後には圧縮ブロック128の外側に位置する2つの側部圧縮ブロック1286、1287に至るといったような形で下降することができる。
【0064】
本実施形態において、ルート部分128Aを構成する単一のルートブロックの下方運動は、例えば、タング部分128Bの中央圧縮ブロック1281の下降開始に先行して開始しても良く、或いはタング部分128Bの中央圧縮ブロック1281の下降開始と同時に開始するようにしても良く、さらにその下降速度はタング部分128Bの中央圧縮ブロック1281の速度と同じ速度であっても、またそれとは異なる速度であっても良い。
【0065】
別の可能性として、ルート部分128Aを構成する単一のルートブロックの下方運動が、タング部分128Bの中央圧縮ブロック1281の下降開始に先行して全部実行されるようにしても良い。これにより、プレフォームの残りの部分に対して何らかの操作をする前にルートをブロックすることができる。
【0066】
本ルートブロック128Aの底面の形状により、また同ブロックが与える圧縮量により、タングブロック128Bによって与えられる力とは別個の形でルートブロックが最低位置で与える力を調整することにより、予備変形プレフォーム10cのルート14に与えられる形状を管理することが可能になる。尚、この形態は、最終品における支持面(ルート14の側面)について満足のいく圧縮量の獲得を一層容易にする。
【0067】
加えて、タングブロック128Bを用いてタング13を圧縮することに先立って、ルートブロック128Bによりルート14の繊維を定位置でブロックすることにより(或いは、少なくとも移動する可能性を制限することにより)、製造時点でのブレード内での繊維の位置決めを更に改善する。中央圧縮ブロック1281を手始めとして、夫々独立した形で成形型に向けて圧縮ブロック1281〜1287を降下することに関連した本特徴は、図5で確認されるように、また翼12近傍に位置するタング13の鋭いエッジに対応し、領域Z1、Z2での好ましからざる座屈現象を大幅に減少させる。図8と図9の比較図がこの結果を示している。
【0068】
図8は、プレフォームの繊維間相対的位置関係を保持するバインダで含浸され、かつ三次元的に製織されたプレフォームを有する複合材ブレードを示している。そのブレードは、図2に示す種類の単一ブロック圧縮工具28を用いて予備圧縮されたプレフォームに始まる形で、以下に説明する方法を用いて製造された。製織されたプレフォームの外層は図8で見ることができる。図8に示したブレード域は図5の領域Z1に相当するものであり、即ち、翼12に隣接して前縁に沿って延びるタング13の領域に相当するものである。この領域Z1ではタング13のエッジは特に鋭くなっている。プレフォーム10の図示された表面上には、線L1、L2を含め幾つかのマークが描かれている。これらの線L1、L2は製織されたプレフォーム10の外層の2つの繊維部分F1、F2に沿う形で夫々描かれている。繊維F1、F2の主要な方向は図8において実質上縦の方向になっている。2つの繊維部分F1、F2によって局部的に追従される経路を示した線L1、L2は共にカーブしており、それは繊維F1、F2がそれらの主要方向から局部的に逸脱していることを表わしている。この現象は繊維F1、F2の“座屈”と呼ばれる。座屈は、繊維F1、F2の振れ角A1を測定することで定量化される。図10及び図11は、異なる典型的座屈形態にある2つの繊維F1、F2に対し、この角度A1がどのようにして測定されるかを示したものである。図8中、線L1、L2で示された座屈にあって、繊維F1、F2の振れ角A1は少なくとも30度はある。
【0069】
図9は、バインダで含浸されかつ三次元的に製織されたプレフォームを有する複合材ブレードを示す図8のそれと類似した図である。そのブレードは、プレフォーム10を予備圧縮する工程を除き、図8に対して使われたのと同じ方法を用いて製造された。本例ではプレフォーム10は図7に示す種類の圧縮工具128を使って予備圧縮された。製織されたプレフォームの外層は図9で見ることができる。図9に示されたブレードを領域は図5の領域Z1に対応する。プレフォーム10の外層の一部を成す繊維F3の部分に沿う形で線L3が描かれている。そこには座屈が無いか、或いは少なくとも繊維F3と領域Z1に位置する付近の繊維の全てが座屈を抑えた状態にあることがわかる。特に、この領域Z1での繊維の振れ角A1は20度以下であり、更に詳しく言えば5度以下にもなることがわかる。図5に示す領域Z2、即ち後縁に沿って延びかつ翼12に隣接するタング13の領域についても同様の観察がなされた。
【0070】
特定実施形態において、圧縮工具128は又、成形型24に対面することになる前記圧縮工具128の前記タング部分128Bの少なくとも全面を覆う、変形可能な外皮130(例えば、シリコンからなる厚膜)を有する。
【0071】
図6に示す例では、この変形可能外皮130は事実上、圧縮工具128全体を覆っている。
【0072】
図示しない変形例において、この外皮は圧縮工具128のタング部分128Bのみ覆ったり、或いは成形型24に対面する圧縮工具128の前記タング部分128Bの一部分だけを覆うものであったり、或いはまさに前記タング部分128Bの全面を覆う。
【0073】
図6から分かるように、そのような可撓性のある外皮130を用いると、外皮130は予備変形プレフォーム10bの横糸20aや縦糸20bの挟み込みを回避しながらも可逆的に伸張したり変形(外皮が変形した形状130’参照)するために、分割圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287の漸進的な下方運動への障害を回避することができる。
【0074】
随意的なものではあるが図7に示したように、圧縮工具128は、成形型24と圧縮工具28の間に形成されたハウジング内にプレフォームが配置されている状態で少なくとも1本のトレーサ糸の位置を視認できるようにした、少なくとも1つの窓132を備える。一例として、この窓132は透明な材料から作られた圧縮工具128の一部分によって構成されるか、好ましくは圧縮工具28の厚さ全体を通過する開口部によって構成される。この窓132は、ルート部分128Aに隣接するタング部分128Bの領域内に配置される場合もあり、好ましくは中央にある圧縮ブロック1281に配置してもよい。そのような窓132を設けることで、特に窓に見えるトレーサ糸22(例えば、支持面からの出口にあるトレーサ糸)が、圧縮時、適正に位置決めされ、かつ適正に位置決めされたままの状態にあるか確認することが可能になる。
【0075】
図6に示す例では、圧縮工具128のタング部分128Bは7個の分割圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287に細分化される。
【0076】
従って、圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287は下降し、様々な速度及び/又は様々な力(圧縮ブロックによりプレフォームに付与される力)でプレフォーム10bを圧縮することができ、これにより様々なレベルの予備圧縮を生んだり、様々な圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287によってなされる予備圧縮に由来した様々なレベルの中間繊維密度を生むことができる。
【0077】
図示した例では、タング部分128Bに対して7個の圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287が設けられているが、より一般的には、少なくとも5個であって、例えば5個ぴったりのブロックを設けることが可能であり、分割圧縮ブロックへの細分化が関係しているか否かにかかわらず、圧縮工具128のタング部分128Bと圧縮工具のルート部分128Bとによって形成される(単一)アセンブリに適用しても、或いは圧縮工具128のタング部分128Bに適用するようにしても良い。
【0078】
複合材タービンエンジンブレードを製造する方法は以下の工程、即ち、
a)糸20a、20b、22を三次元的に製織することによりプレフォーム10を作り、前記プレフォームは、翼12、ブレードのルート14、及び前記翼12と前記ルート14の間にあるブレードのタング13を同時に有し、前記糸20は、少なくとも前記プレフォームの表面において目視により確認可能に配置されたトレーサ糸22を含み、
b)前記プレフォームの基準面16に沿って配置される一連のトレーサ糸22を残して前記プレフォームを切り出すことで、前記ブレードを構成する部分の形状と寸法をとるのに適した切り出しプレフォーム10aを与え、
c)前記切り出しプレフォーム10aを予め変形させることで予備変形プレフォーム10bを与え、
d)前記予備変形プレフォーム10bを予め圧縮することで予備圧縮プレフォーム10cを与え、
e)前記予備圧縮プレフォーム10aを湿らせ、例えば乾燥オーブンでそれを乾燥することにより補強化されたプレフォーム10を与え、
f)その内部に前記補強プレフォーム10を置く射出成形型24を用意し、
g)前記補強プレフォーム全体10を含浸させて補強プレフォームの各糸20a、20b、22間の相対位置関係を保持するべく、前記射出成形型内に熱硬化性樹脂からなるバインダを噴射し、
h)前記射出成形型を加熱し、
i)前記成形型から、実質的に前記ブレードの形状と寸法を有する複合材成形品を抜き出すような、以上の各ステップを有する。
【0079】
工程c)では、前記予備変形は成形型24によって形成されたハウジング26内に切り出しプレフォーム10aを配置して実行され、長手方向とその長手方向に平行な垂直中央平面PMを定める圧縮アセンブリを形成するため、工程d)では、成形型24と協働する可動予備圧縮工具128を用いて、前記予備変形プレフォーム10aの前記予備圧縮が実行される。
【0080】
工程d)では、成形型24に向けて圧縮工具28を下降することができる。
【0081】
上述したように圧縮工具128が複数圧縮ブロック1281、1282、1283、1284、1285、1286、1287からなる場合、その圧縮工具128は工程d)での、少なくとも前記予備変形プレフォーム10のルート14の圧縮に適するものであり、その圧縮は予備変形プレフォーム10bの中央に始まってそのエッジへと進むことになる。
【0082】
同様に、圧縮工具128が、上述したようにルート部分128Aとタング部分128Bを備える場合、これらの各部分128A、128Bを成形型24に向けて別々に降下させても良い。
【0083】
このように、これら有利な条件により圧縮工程時においては、上述した図8、図9に部分的に示したように、ルート域14とタング域13での繊維座屈の発生が回避される。
【0084】
本方法では、工程d)時、前記圧縮工具128は次のような形での成形型24に向かう下降に適している。即ち、プレフォーム10bの全幅を圧縮するにあたり、まず中央平面PMを通るその中央部分に始まり、次いでその先行部分に隣接する各部分が続き、中央平面PMから次第に離れていくといったような順番で前記ブロックが1個づつ、成形型24に向けて降下していくという形である。また工程d)時、前記圧縮工具128は前記中央平面PMに対称な形で成形型24に向けて降下していくのに適しうる。
【0085】
図面は、製造方法の始めから終りまで直線的なままのルート14の例を示している。本発明の範囲を超えることなく、成形型24内に置かれた際には捩れたり、他の形に変形されるようなルートを想定し得ることを理解されたい。
【0086】
さらに、変形実施形態(図示せず)では、圧縮工具128はブレードのルート14やタング13のみならずブレードの翼12の一部分をもカバーする。
【0087】
同様に、上の記述では、圧縮工具128は予備圧縮工程、即ち工程d)を実行することが述べられている。しかしながら、代替的に圧縮工具128を射出成形型24の一要素として使用することも、それを工程f)と工程g)だけに使用することも可能である。その他の変形例としては、同圧縮工具128を予備圧縮工程d)のみならず、工程f)、工程g)に使用することも可能である。
【0088】
本明細書で用いた“有する(cоmprise)”という動詞は、特定化された特徴がそこに存在するものの、その他の各特徴の1つ又はそれ以上の存在や付加を排除しないことを意味するものとして理解されたい。
【0089】
本開示で記述した実施形態や履行は非限定的例証として与えられたものであって、当業者であるならば、本開示を踏まえ発明の範囲に留めつつ、これら実施形態や履行を変更したり、他のものを想定することが可能である。さらに、発明は本開示で記述した特定の組合せに限定されず、これら実施形態や履行の様々な特徴を単独で用いたり、組合わせて使用しても良い。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【手続補正書】
【提出日】2016年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン用複合材ブレードを形成するため、糸(20)を三次元的に製織することにより得られる製織プレフォームを圧縮するための圧縮アセンブリであって、前記製織プレフォームは、翼(12)と、ブレードのルート(14)と、前記翼(12)と前記ルート(14)の間にあるブレードのタング(13)の夫々を予め定義するための各部分とを有し、前記圧縮アセンブリは、製織されたプレフォーム(10a)を受容するのに適した上方開口ハウジング(26)を形成する成形型(24)と、プレフォームが前記上方開口ハウジング(26)内に配置されることで前記製織プレフォーム(10b)の圧縮を可能にする圧縮アセンブリを形成するべく前記成形型(24)と協働する上下可動圧縮工具(28)とを有する、圧縮アセンブリにおいて、
前記上下可動圧縮工具(28)は少なくともルート部分(128A)を有し、
さらに、前記成形型(24)に対面する前記圧縮工具の少なくとも一部を覆う変形可能な外皮(130)を有する圧縮アセンブリ。
【請求項2】
前記上下可動圧縮工具(28)はさらに、少なくとも1つのタング部分(128B)を有する請求項1に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項3】
前記ルート部分(128A)と前記タング部分(128B)は分離している請求項2に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項4】
前記ルート部分(128A)及び/又は前記タング部分(128B)は、中央圧縮ブロック(1281)を含む少なくとも3個の分割圧縮ブロック(1281−1287)に細分化され、前記3個の分割圧縮ブロック(1281−1287)は、前記中央圧縮ブロック(1281)に始まる形で夫々、別個に前記成形型(24)に向かって下降するように構成されている請求項3に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項5】
前記ルート部分(128A)は単一のブロックであり、前記タング部分(128B)は少なくとも3個の分割圧縮ブロックに細分化される請求項3又は4に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項6】
前記変形可能な外皮(130)は、前記成形型(24)に対面する前記タング部分の表面全体を覆う請求項1に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項7】
前記圧縮工具(128)は、前記製織プレフォームが前記上方開口ハウジング(26)に置かれた際、少なくとも1本のトレーサ糸(22)の位置が見えるように構成された少なくとも1つの窓(132)を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧縮アセンブリ。
【請求項8】
タービンエンジン用複合材ブレードの製造方法において、その方法は、
a)糸(20a、20b、22)を三次元的に製織することによりプレフォームを作り、前記製織プレフォームは、翼(12)、ブレードのルート(14)、及び前記翼(12)と前記ルート(14)の間にあるブレードのタング(13)を形成する各部分を有し、前記糸(20a、20b、22)には、少なくとも前記製織プレフォームの表面において目視により確認可能に配置されたトレーサ糸(22)が含まれる、ステップと、
b)前記製織プレフォームの基準面(16)に沿って配置される一連のトレーサ糸(22)を残して前記製織プレフォームを切り出すことで、前記ブレードを構成する部分の形状と寸法を予め定義するように構成された切り出しプレフォーム(10a)を獲得するステップと、
c)前記切り出しプレフォーム(10a)を予め変形させることで予備変形プレフォーム(10b)を獲得するステップと、
d)前記予備変形プレフォーム(10b)を予め圧縮することで予備圧縮プレフォーム(10c)を獲得するステップと、
e)前記予備圧縮プレフォーム(10a)を湿らせ乾燥することにより補強化されたプレフォームを獲得するステップと、
f)その内部に前記補強プレフォームを置く射出成形型を用意するステップと、
g)前記補強プレフォーム全体を含浸させて補強プレフォームの各糸(20a、20b、22)間の相対位置関係を保持するべく、前記射出成形型内に熱硬化性樹脂からなるバインダを噴射するステップと、
h)前記射出成形型を加熱するステップと、
i)前記成形型から、実質的に前記ブレードの形状と寸法を有する複合材成形品を抜き出すステップとを有する、製造方法において、
前記ステップc)の間、前記予備変形は、成形型(24)によって形成されたハウジング(26)内に前記切り出しプレフォーム(10a)を配置して実行され、前記ステップd)の間に前記予備圧縮が実行される方法。
【請求項9】
前記ステップd)の間、前記製織プレフォームの内の少なくとも前記ルート部分(12)が予め圧縮(10b)される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップc)と前記ステップd)の間に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧縮アセンブリが使用される請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ルート(14)と、翼(12)と、前記ルート(14)と前記翼(12)の間の遷移部を構成するタング(13)とを有するタービンエンジン複合材ブレードであって、前記タービンエンジン複合材ブレードは、圧縮されかつバインダで含浸された三次元的に製織された繊維からなるプレフォームを有し、前記製織プレフォームの外層を成す繊維は、前記翼(12)に隣接するタング域(13)に配置されると共に20度以下の各振れ角(A1)を有するブレードの前縁又は後縁に沿って延びるタービンエンジン用複合材ブレード。
【請求項12】
請求項11に記載の複合材ブレードを備えたタービンエンジン。
【国際調査報告】

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