(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-530541(P2019-530541A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】シリンジ係合機構を備える流体インジェクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20190927BHJP
【FI】
A61M5/145 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2019-520533(P2019-520533)
(86)(22)【出願日】2017年10月16日
(85)【翻訳文提出日】2019年6月14日
(86)【国際出願番号】US2017056731
(87)【国際公開番号】WO2018075379
(87)【国際公開日】20180426
(31)【優先権主張番号】62/409,044
(32)【優先日】2016年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/545,693
(32)【優先日】2017年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スポーン
(72)【発明者】
【氏名】バリー・タッカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・デディッグ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ジョンストン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・マクダーモット
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ベリー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ステーゲ
(72)【発明者】
【氏名】キース・リップフォード
(72)【発明者】
【氏名】チェット・ラロウ
(72)【発明者】
【氏名】マリアーノ・マンパワー
(72)【発明者】
【氏名】ダニカ・ゴードン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066GG01
4C066HH02
4C066HH13
(57)【要約】
流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせられた係合機構が、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成される。係合機構は、複数の係合要素を有し、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である。係合機構は、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構をさらに有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせられ、前記ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構であって、前記係合機構は、
複数の係合要素であって、前記複数の係合要素が前記シリンジの前記係合部分に係合していない第1の位置と、前記複数の係合要素が前記シリンジの前記係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、前記シリンジの前記係合部分に対して前記枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である、複数の係合要素と、
前記複数の係合要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるための駆動機構と
を備える係合機構。
【請求項2】
前記複数の係合要素は、前記シリンジの前記係合部分に対する把持力を連続的に増加させるように、前記ピストンの近位方向への移動につれて前記第1の位置から前記第2の位置へと漸進的に移動可能である、請求項1に記載の係合機構。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記複数の係合要素が前記ピストンの近位方向への移動につれて前記第1の位置から前記第2の位置へと移動可能であるように、前記ピストンに動作可能に接続される、請求項1または2に記載の係合機構。
【請求項4】
前記複数の係合要素は、前記ピストンの遠位方向への移動につれて前記第2の位置から前記第1の位置へと移動可能である、請求項3に記載の係合機構。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記ピストンの近位方向または遠位方向への移動とは無関係に前記複数の係合要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる、請求項1または2に記載の係合機構。
【請求項6】
前記駆動機構は、リニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧による機構、油圧による機構、電磁気による機構、電気活性ポリマーによる機構、ニチノールワイヤに基づく機構、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の係合機構。
【請求項7】
前記駆動機構は、モータによって直線移動可能または回転移動可能なロッドを備え、前記ロッドの直線移動または回転移動が、前記複数の係合要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆に移動させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の係合機構。
【請求項8】
前記複数の係合要素は、付勢機構によって前記第1の位置または前記第2の位置の一方へと付勢される、請求項1から7のいずれか一項に記載の係合機構。
【請求項9】
前記付勢機構は、ばねである、請求項8に記載の係合機構。
【請求項10】
流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせられ、前記ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構であって、前記係合機構は、
複数の係合要素であって、前記複数の係合要素が前記シリンジの前記係合部分に係合していない第1の位置と、前記複数の係合要素が前記シリンジの前記係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、前記シリンジの前記係合部分に対して前記枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である、複数の係合要素と、
前記複数の係合要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるための駆動機構と
を備え、前記駆動機構は、
前記流体インジェクタの前記ピストンに対して固定された外側ピストンスリーブと、
前記外側ピストンスリーブの遠位端において前記外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された当接部であって、前記複数の係合要素に動作可能に係合する、当接部と、
前記外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された内側ピストンスリーブであって、前記内側ピストンスリーブの移動が前記当接部の移動を生じさせるように前記当接部に接続され、前記内側ピストンスリーブは、前記ピストンに移動可能に結合したピストンロッドによって移動可能である、内側ピストンスリーブと
を備え、
前記ピストンの近位方向への移動が、前記外側ピストンスリーブを前記当接部に対して近位方向に移動させ、
前記外側ピストンスリーブの前記当接部に対する近位方向の移動が、前記複数の係合要素を前記第1の位置から前記第2の位置へと移動させる、
係合機構。
【請求項11】
前記当接部は、外側係合面を有し、前記外側係合面は、前記シリンジの前記係合部分を受け入れるように構成された前記外側係合面上の中央開口部において前記シリンジの閉じた端壁に接触するように構成されている、請求項10に記載の係合機構。
【請求項12】
前記複数の係合要素は、前記シリンジの前記係合部分に対する把持力を連続的に増加させるように、前記ピストンの近位方向への移動につれて前記第1の位置から前記第2の位置へと漸進的に移動可能である、請求項10または11に記載の係合機構。
【請求項13】
前記複数の係合要素のうちの少なくとも1つは、前記複数の係合要素が前記第2の位置にあるときに前記シリンジの前記係合部分へと少なくとも部分的に埋め込まれるように構成された尖った末端を有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の係合機構。
【請求項14】
前記複数の係合要素は、前記ピストンの遠位方向への移動につれて前記第2の位置から前記第1の位置へと移動可能である、請求項10から13のいずれか一項に記載の係合機構。
【請求項15】
前記複数の係合要素は、付勢機構によって前記第1の位置または前記第2の位置の一方へと付勢される、請求項10から14のいずれか一項に記載の係合機構。
【請求項16】
前記付勢機構は、ばねである、請求項15に記載の係合機構。
【請求項17】
少なくとも1つの往復移動可能なピストンを備えている少なくとも1つのインジェクタヘッドと、
前記少なくとも1つのピストンに組み合わせられ、前記ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構であって、
複数の係合要素であって、前記複数の係合要素が前記シリンジの前記係合部分に係合していない第1の位置と、前記複数の係合要素が前記シリンジの前記係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、前記シリンジの前記係合部分に対して前記枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である、複数の係合要素と、
前記複数の係合要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるための駆動機構と
を備える係合機構と、
を備える、
流体インジェクタ。
【請求項18】
前記駆動機構は、リニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧による機構、油圧による機構、電磁気による機構、電気活性ポリマーによる機構、ニチノールワイヤに基づく機構、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項17に記載の流体インジェクタ。
【請求項19】
前記駆動機構は、モータによって直線移動可能または回転移動可能なロッドを備え、前記ロッドの直線移動または回転移動が、前記複数の係合要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で可逆に移動させる、請求項17または18に記載の流体インジェクタ。
【請求項20】
前記駆動機構は、
前記流体インジェクタの前記ピストンに対して固定された外側ピストンスリーブと、
前記外側ピストンスリーブの遠位端において前記外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された当接部であって、前記複数の係合要素に動作可能に係合する、当接部と、
前記外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された内側ピストンスリーブであって、前記内側ピストンスリーブの移動が前記当接部の移動を生じさせるように前記当接部に接続され、前記内側ピストンスリーブは、前記ピストンに移動可能に結合したピストンロッドによって移動可能である、内側ピストンスリーブと、を備え、
前記ピストンの近位方向への移動が、前記外側ピストンスリーブを前記当接部に対して近位方向に移動させ、
前記外側ピストンスリーブの前記当接部に対する近位方向の移動が、前記複数の係合要素を前記第1の位置から前記第2の位置へと移動させる、
請求項17に記載の流体インジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月17日に出願された米国特許仮出願第62/409,044号および2017年8月15日に出願された米国特許仮出願第62/545,693号の優先権を主張し、これらの開示は、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
医療用流体インジェクタに関し、より詳細には、可撓性の側壁と、側壁の近位端に位置するピストン係合部分とを備えるシリンジとの係合のためのシリンジ係合機構を有する流体インジェクタ
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療手順において、医師などの開業医は、1つ以上の医療用流体を患者に注入する。近年では、造影剤溶液(「造影剤」と呼ばれることが多い)、生理食塩水などの洗浄剤、および他の医療用流体などの医療用流体を圧力のもとで注入するためのいくつかのインジェクタ駆動のシリンジおよび動力式の流体インジェクタが、血管造影法、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴映像法(MRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)、および他の撮像方法などといった処置のために開発されてきた。一般に、これらの流体インジェクタは、予め設定された量の医療用流体を予め設定された圧力および/または流量にてもたらすように設計されている。
【0004】
典型的には、動力式のインジェクタは、シリンジ内にスライド可能に配置されたシリンジプランジャにつながるピストンを有する。シリンジは、一般に、剛直な胴部を含み、胴部内にシリンジプランジャがスライド可能に配置される。ピストンは、胴部の長手軸の方向にプランジャを駆動し、ピストンの近位方向への移動によって流体がシリンジ胴部へと引き込まれ、ピストンの遠位方向への移動によってシリンジ胴部から流体が送出される。流体インジェクタのピストンをシリンジに係合させるための種々の接続機構が当技術分野に存在するが、注入の処置を容易にするために、シリンジおよびシリンジ係合機構の改良された設計を開発することが、依然として望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
広くには、可撓性の側壁と、可撓性の側壁の少なくとも一部分上に位置するピストン係合部分とを備えるシリンジとの係合のためのシリンジ係合機構を有する流体インジェクタに関する。
【0006】
本開示のいくつかの例においては、係合機構を、流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせることができる。係合機構を、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成することができる。係合機構は、複数の係合要素を有することができ、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である。係合機構は、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構をさらに有することができる。
【0007】
本開示の他の例において、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に対する把持力を連続的に増加させるように、ピストンの近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置へと漸進的に移動可能であってよい。駆動機構を、複数の係合要素がピストンの近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置へと移動可能であるように、ピストンに動作可能に接続することができる。複数の係合要素は、ピストンの遠位方向への移動につれて第2の位置から第1の位置へと移動可能であってよい。駆動機構は、ピストンの近位方向または遠位方向への移動とは無関係に複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させることができる。駆動機構は、リニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧による機構、油圧による機構、電磁気による機構、電気活性ポリマーによる機構、ニチノールワイヤに基づく機構、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを有することができる。駆動機構は、モータによって直線移動可能または回転移動可能なロッドを有することができる。ロッドの直線移動または回転移動が、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で可逆に移動させることができる。複数の係合要素を、付勢機構によって第1の位置または第2の位置の一方へと付勢することができる。付勢機構は、ばねであってよい。
【0008】
本開示の他の例において、係合機構を、流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせることができる。係合機構を、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成することができる。係合機構は、複数の係合要素を有することができ、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である。係合機構は、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構をさらに有することができる。駆動機構は、流体インジェクタのピストンに対して固定された外側ピストンスリーブと、外側ピストンスリーブの遠位端において外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された当接部とを有することができる。当接部は、複数の係合要素に動作可能に係合することができる。駆動機構は、外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された内側ピストンスリーブをさらに有することができ、内側ピストンスリーブの移動が当接部の移動を生じさせるように当接部に接続される。内側ピストンスリーブは、ピストンに移動可能に結合したピストンロッドによって移動可能であってよい。ピストンの近位方向への移動が、外側ピストンスリーブを当接部に対して近位方向に移動させることができ、外側ピストンスリーブの当接部に対する近位方向の移動が、複数の係合要素を第1の位置から第2の位置へと移動させることができる。
【0009】
本開示の他の例において、当接部は、外側係合面を有し、外側係合面は、シリンジの係合部分を受け入れるように構成された外側係合面上の中央開口部においてシリンジの閉じた端壁に接触するように構成される。複数の係合要素は、シリンジの係合部分に対する把持力を連続的に増加させるように、ピストンの近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置へと漸進的に移動可能である。複数の係合要素のうちの少なくとも1つは、複数の係合要素が第2の位置にあるときにシリンジの係合部分へと少なくとも部分的に埋め込まれるように構成された尖った末端を有することができる。複数の係合要素は、ピストンの遠位方向への移動につれて第2の位置から第1の位置へと移動可能であってよい。複数の係合要素を、ばねなどの付勢機構によって第1の位置または第2の位置の一方へと付勢することができる。
【0010】
本開示の他の例においては、流体インジェクタが、少なくとも1つの往復移動可能なピストンを備えている少なくとも1つのインジェクタヘッドと、少なくとも1つのピストンに組み合わせられ、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構とを有することができる。係合機構は、複数の係合要素を有することができ、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である。流体インジェクタは、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構をさらに有することができる。
【0011】
本開示の他の例において、駆動機構は、リニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧による機構、油圧による機構、電磁気による機構、電気活性ポリマーによる機構、ニチノールワイヤに基づく機構、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを有することができる。駆動機構は、モータによって直線移動可能または回転移動可能なロッドを有することができる。ロッドの直線移動または回転移動が、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で可逆に移動させることができる。
【0012】
本開示の他の例において、駆動機構は、流体インジェクタのピストンに対して固定された外側ピストンスリーブと、外側ピストンスリーブの遠位端において外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された当接部とを有することができる。当接部は、複数の係合要素に動作可能に係合することができる。駆動機構は、外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された内側ピストンスリーブをさらに有することができ、内側ピストンスリーブの移動が当接部の移動を生じさせるように当接部に接続される。内側ピストンスリーブは、ピストンに移動可能に結合したピストンロッドによって移動可能であってよい。ピストンの近位方向への移動が、外側ピストンスリーブを当接部に対して近位方向に移動させることができる。外側ピストンスリーブの当接部に対する近位方向の移動が、複数の係合要素を第1の位置から第2の位置へと移動させることができる。
【0013】
本開示の種々の他の例が、以下に列挙される条項のうちの1つ以上に記載される。
【0014】
条項1:流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせられ、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構であって、係合機構は、複数の係合要素であって、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である、複数の係合要素と、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構と、を備える係合機構。
【0015】
条項2:複数の係合要素は、シリンジの係合部分に対する把持力を連続的に増加させるように、ピストンの近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置へと漸進的に移動可能である、条項1に記載の係合機構。
【0016】
条項3:駆動機構は、複数の係合要素がピストンの近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置へと移動可能であるように、ピストンに動作可能に接続されている、条項1または2に記載の係合機構。
【0017】
条項4:複数の係合要素は、ピストンの遠位方向への移動につれて第2の位置から第1の位置へと移動可能である、条項3に記載の係合機構。
【0018】
条項5:駆動機構は、ピストンの近位方向または遠位方向への移動とは無関係に複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させる、条項1または2に記載の係合機構。
【0019】
条項6:駆動機構は、リニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧による機構、油圧による機構、電磁気による機構、電気活性ポリマーによる機構、ニチノールワイヤに基づく機構、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、条項1から5のいずれか一項に記載の係合機構。
【0020】
条項7:駆動機構は、モータによって直線移動可能または回転移動可能なロッドを備え、ロッドの直線移動または回転移動が、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で可逆に移動させる、条項1から6のいずれか一項に記載の係合機構。
【0021】
条項8:複数の係合要素は、付勢機構によって第1の位置または第2の位置の一方へと付勢されている、条項1から7のいずれか一項に記載の係合機構。
【0022】
条項9:付勢機構は、ばねである、条項8に記載の係合機構。
【0023】
条項10:流体インジェクタの往復移動可能なピストンに組み合わせられ、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構であって、係合機構は、複数の係合要素であって、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である、複数の係合要素と、
複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構と、を備え、駆動機構は、流体インジェクタのピストンに対して固定された外側ピストンスリーブと、外側ピストンスリーブの遠位端において外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された当接部であって、当接部は、複数の係合要素に動作可能に係合する、当接部と、外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された内側ピストンスリーブであって、内側ピストンスリーブの移動が当接部の移動を生じさせるように当接部に接続され、内側ピストンスリーブは、ピストンに移動可能に結合したピストンロッドによって移動可能である、内側ピストンスリーブと、を備え、ピストンの近位方向への移動が、外側ピストンスリーブを当接部に対して近位方向に移動させ、外側ピストンスリーブの当接部に対する近位方向の移動が、複数の係合要素を第1の位置から第2の位置へと移動させる、係合機構。
【0024】
条項11:当接部は、外側係合面を有し、前記外側係合面は、シリンジの係合部分を受け入れるように構成された外側係合面上の中央開口部においてシリンジの閉じた端壁に接触するように構成されている、条項10に記載の係合機構。
【0025】
条項12:複数の係合要素は、シリンジの係合部分に対する把持力を連続的に増加させるように、ピストンの近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置へと漸進的に移動可能である、条項10または11に記載の係合機構。
【0026】
条項13:複数の係合要素のうちの少なくとも1つは、複数の係合要素が第2の位置にあるときにシリンジの係合部分へと少なくとも部分的に埋め込まれるように構成された尖った末端を有する、条項10から12のいずれか一項に記載の係合機構。
【0027】
条項14:複数の係合要素は、ピストンの遠位方向への移動につれて第2の位置から第1の位置へと移動可能である、条項10から13のいずれか一項に記載の係合機構。
【0028】
条項15:複数の係合要素は、付勢機構によって第1の位置または第2の位置の一方へと付勢されている、条項10から14のいずれか一項に記載の係合機構。
【0029】
条項16:付勢機構は、ばねである、条項15に記載の係合機構。
【0030】
条項17:少なくとも1つの往復移動可能なピストンを備えている少なくとも1つのインジェクタヘッドと、少なくとも1つのピストンに組み合わせられ、ピストンの作用時に反転するように構成された可撓性の側壁を有しているローリングダイアフラムシリンジの近位端の係合部分に解除可能に係合するように構成された係合機構と、を備え、係合機構は、複数の係合要素であって、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合するように枢支ピンを中心にして半径方向内側の方向に枢動可能である第2の位置との間で、シリンジの係合部分に対して枢支ピンを中心にして可逆に枢動可能である、複数の係合要素と、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構と、を備える、流体インジェクタ。
【0031】
条項18:駆動機構は、リニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧による機構、油圧による機構、電磁気による機構、電気活性ポリマーによる機構、ニチノールワイヤに基づく機構、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、条項17に記載の流体インジェクタ。
【0032】
条項19:駆動機構は、モータによって直線移動可能または回転移動可能なロッドを備え、ロッドの直線移動または回転移動が、複数の係合要素を第1の位置と第2の位置との間で可逆に移動させる、条項17または18に記載の流体インジェクタ。
【0033】
条項20:駆動機構は、流体インジェクタのピストンに対して固定された外側ピストンスリーブと、外側ピストンスリーブの遠位端において外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された当接部であって、当接部は、複数の係合要素に動作可能に係合する、当接部と、外側ピストンスリーブ内に移動可能に収容された内側ピストンスリーブであって、内側ピストンスリーブの移動が当接部の移動を生じさせるように当接部に接続され、内側ピストンスリーブは、ピストンに移動可能に結合したピストンロッドによって移動可能である、内側ピストンスリーブと、を備え、ピストンの近位方向への移動が、外側ピストンスリーブを当接部に対して近位方向に移動させ、外側ピストンスリーブの当接部に対する近位方向の移動が、複数の係合要素を第1の位置から第2の位置へと移動させる、条項17に記載の流体インジェクタ。
【0034】
本明細書に詳述される種々の例のさらなる詳細および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と合わせて検討することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本開示の一例による1対の圧力ジャケットおよびシリンジを有する流体インジェクタの前方からの斜視図である。
【図2A】本開示の一例によるシリンジの側面断面図であり、展開状態のシリンジを示している。
【図2B】図2Aのシリンジの反転後の状態を示した側面断面図である。
【図3A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図3B】図3Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図4A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【図4B】図4Aに示した係合機構を有するピストンおよびシリンジの分解図である。
【図5A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図5B】図5Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成から閉じた状態または構成へのシリンジ係合機構の移動を示している。
【図5C】図5Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成から閉じた状態または構成へのシリンジ係合機構の移動を示している。
【図5D】図5Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成から開いた状態または構成へのシリンジ係合機構の移動を示している。
【図5E】図5Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成から開いた状態または構成へのシリンジ係合機構の移動を示している。
【図6A】本開示の一例によるシリンジ係合機構の係合アームの側面図であり、開いた状態または構成と閉じた状態または構成との間の係合アームの移動を示している。
【図6B】本開示の一例によるシリンジ係合機構の係合アームの側面図であり、開いた状態または構成と閉じた状態または構成との間の係合アームの移動を示している。
【図6C】本開示の一例によるシリンジ係合機構の係合アームの側面図であり、開いた状態または構成と閉じた状態または構成との間の係合アームの移動を示している。
【図7A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図7B】図7Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図8A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図8B】図8Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図8C】図8Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図9A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図9B】図9Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図9C】図9Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成から開いた状態または構成へのシリンジ係合機構の移動を示している。
【図9D】図9Aのシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成から開いた状態または構成へのシリンジ係合機構の移動を示している。
【図10A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの斜視部分断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図10B】図10Aに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【図10C】図10Aに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの斜視部分断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図10D】図10Cに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【図10E】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図10F】図10Eに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図10G】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図10H】図10Gに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図11A】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの斜視部分断面図であり、開いた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図11B】図11Aに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【図11C】図11Aに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの斜視部分断面図であり、閉じた状態または構成のシリンジ係合機構を示している。
【図11D】図11Cに示したシリンジおよびシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【図12】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【図13】シリンジおよび本開示の一例によるシリンジ係合機構を有するピストンの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書において使用されるとき、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈からそのようでないことが別段明らかでない限り、対象が複数である場合を含む。
【0037】
以下の説明の目的において、用語「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「側方」、「長手方向」、およびこれらの派生語は、図面における向きのとおりに本開示に関連するものとする。
【0038】
「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」、などの空間に関する用語または方向を意味する用語は、本発明が種々の異なる向きをとることができるため、限定的と見なされるべきではない。
【0039】
シリンジおよび/または圧力ジャケットに関連して使用されるとき、用語「近位」は、シリンジおよび/または圧力ジャケットのうち、シリンジおよび/または圧力ジャケットがインジェクタへの接続のための向きにされたときに、インジェクタに最も近い部分を指す。
【0040】
用語「遠位」は、シリンジおよび/または圧力ジャケットのうち、インジェクタへの接続のための向きにされたときにインジェクタから最も遠い部分を指す。
【0041】
用語「半径方向」は、近位端と遠位端との間を延びるシリンジおよび/または圧力ジャケットの長手軸に垂直な断面内の方向を指す。
【0042】
用語「周方向」は、シリンジおよび/または圧力ジャケットの側壁の内面または外面を巡る方向を指す。
【0043】
用語「軸方向」は、近位端と遠位端との間を延びるシリンジおよび/または圧力ジャケットの長手軸に沿った方向を指す。
【0044】
用語「可撓性」は、シリンジに関連して使用されるとき、シリンジの側壁などのシリンジの少なくとも一部分が、その延在の方向が変わるように、例えば180°まで曲がることができ、あるいは曲げられることができることを意味する。
【0045】
用語「ロールオーバー」、「ローリングオーバー」、および「反転する」は、シリンジの側壁の近位部分などのシリンジの第1の部分が、流体インジェクタのピストンによって強いられたとき、シリンジの側壁の遠位部分などのシリンジの第2の部分に対して、約180°曲がることができることを指す。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。用語「約」は、記載された値のプラスマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0047】
特段示されない限り、本明細書に開示されるすべての範囲または比は、その範囲または比に含まれるありとあらゆる部分的な範囲または部分的な比を包含すると理解されるべきである。例えば、「1〜10」という範囲または「1対10」という比の記載は、最小値1と最大値10との間(最小値1および最大値10を含む)のありとあらゆる部分的な範囲、すなわちこれらに限られるわけではないが1〜6.1(1対6.1)、3.5〜7.8(3.5対7.8)、および5.5〜10(5.5対10)など、1以上の最小値で始まって10以下の最大値で終わるすべての部分的な範囲または部分的な比を含むと理解されるべきである。
【0048】
「少なくとも・・・」という用語は、「・・・以上」を意味する。
【0049】
用語「・・・を含む」は、「・・・を備える」と同義である。
【0050】
添付の図面に示され、以下の明細書に記載される具体的な装置およびプロセスが、本開示の典型的な例にすぎないことを理解すべきである。したがって、本明細書に開示される例に関連する具体的な寸法および他の物理的特性を、限定と見なすべきではない。
【0051】
これらに限られるわけではないが発行済みの特許および特許出願など、本明細書において言及されるあらゆる文書は、特段示されない限り、その全体が「援用」されたものと見なされるべきである。
【0052】
図面(そのいくつかの図を通して、類似の参照符号は類似の部分を指している)を参照すると、広くには、可撓性の側壁と、可撓性の側壁の少なくとも一部分上に位置するピストン係合部分とを備えるシリンジとの係合のためのシリンジ係合機構を有する流体インジェクタに関する。シリンジ係合機構は、複数の係合要素を有し、複数の係合要素は、シリンジの係合部分に係合していない第1の位置と、シリンジの係合部分に係合する第2の位置との間を、シリンジの係合部分に対して半径方向に移動可能である。
【0053】
図1を参照すると、流体インジェクタ10は、少なくとも1つのインジェクタヘッド12と、インジェクタハウジング14とを含む。インジェクタ10を、支持構造体13上に支持することができる。いくつかの例においては、図1に示されるように、流体インジェクタ10は、横並びに配置された2つのインジェクタヘッド12を含むことができる。各々のインジェクタヘッド12を、インジェクタハウジング14の前端部に形成でき、少なくとも1つの圧力ジャケット16を受け入れて保持するように構成することができる。図1は、2つのインジェクタヘッド12を備えており、各々のインジェクタヘッド12が対応する圧力ジャケット16を有している流体インジェクタ10を示しているが、流体インジェクタ10の他の例は、ただ1つのインジェクタヘッド12および対応する圧力ジャケット16を含むことができ、あるいは2つ以上のインジェクタヘッド12および対応する数の圧力ジャケット16を含むことができる。圧力ジャケット16を、例えば国際公開第2016/069714号パンフレットおよび国際公開第2016/069711号パンフレットに記載されている1つ以上の係合要素などの1つ以上の係合要素によって、インジェクタヘッド12に取り外し可能に取り付けることができ、これらの国際公開パンフレットの開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0054】
各々のインジェクタヘッド12は、往復駆動されるピストン19(図3Aおよび図3Bに示される)など、モータによって動かされる駆動部材を含み、その動きはコントローラによって制御される。各々のピストン19を、インジェクタハウジング14の前端部の開口部を通ってそれぞれのインジェクタヘッド12へと延び、かつそれぞれのインジェクタヘッド12から延びるように構成することができる。本明細書において説明されるように、各々のピストン19は、それぞれの圧力ジャケット16内に配置されたシリンジの少なくとも一部分またはシリンジ内のプランジャに原動力を与える。
【0055】
さらに図1を参照すると、流体インジェクタ10は、各々の圧力ジャケット16内にシリンジ20を受け入れるように構成される。少なくとも1つの圧力ジャケット16が、典型的には、再使用可能な構成要素である一方で、シリンジ20は、典型的には、使い捨ての構成要素である。いくつかの例においては、シリンジ20は、複数回使用される構成要素であってよい。流体インジェクタ10は、シリンジ20を流体で満たすための少なくとも1つのバルク流体源を有してもよい。少なくとも1つの流体経路セットを、流体を流すことができるように各々のシリンジ20の吐出端に接続し、血管アクセス場所において患者へと挿入されたカテーテル、針、または他の流体を送出するための接続部(図示せず)へと接続された管を介して、シリンジ20からの流体を送出することができる。少なくとも1つのシリンジ20に出入りする流体の流れを、流体制御モジュール(図示せず)によって調整することができる。流体制御モジュールは、注入の流量、継続時間、総注入量、および/または造影剤と生理食塩水との比など、ユーザによって選択される注入パラメータに基づき、患者への食塩水および造影剤などの医療用流体の供給を調整するために、種々のピストン、バルブ、および/または流量調整構造を操作することができる。少なくとも1つの圧力ジャケット16およびシリンジ20を含む本明細書に記載のシステムにおいて使用でき、あるいは本明細書に記載のシステムにおいて使用するために改造することができる適切なフロントローディング式流体インジェクタの例が、国際公開第2015/164783号パンフレットおよび国際公開第2016/172467号パンフレットに開示されており、これらの国際公開パンフレットの開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0056】
図2Aおよび図2Bを参照すると、いくつかの例において、シリンジ20は、一般に、内部容積27を定める中空な本体25を含む。本体25は、前端または遠位端28と、後端または近位端30と、両者の間を延びている可撓性の側壁32とを有する。シリンジ20の側壁32は、ピストン19の作用のもとでローリングダイアフラム(rolling diaphragm)として反転するように構成された柔らかく、柔軟性があり、あるいは可撓性であるが、依然として自立できる本体を定める。とくには、側壁32は、反転するように構成され、側壁32の外面が、ピストン19が遠位方向に移動するときに、半径方向内側の方向に折り返され(図2B)、ピストン19が近位方向に引き戻されるときに、反対の様相で半径方向外側の方向に展開される(図2A)。側壁32は、滑らかで実質的に均一な構造を有することができ、あるいは注入手順の最中の反転を容易にするために、側壁32上に設けられた1つ以上のリブを有してもよい。いくつかの例において、側壁32および/または端壁34は、テクスチャを有する表面を有することができ、あるいは平滑な表面とテクスチャを有する表面との組み合わせを有することができる。1つ以上のしるし(図示せず)を、側壁32に形成することができる。いくつかの例において、側壁32は、その長手方向の長さに沿って均一な厚さを有することができる。他の例において、側壁32は、その長手方向の長さに沿って不均一な厚さを有してもよい。特定の例において、側壁32は、遠位端28または遠位端28の付近において実質的に剛体であってよい。当業者であれば本開示に照らして理解できるとおり、本明細書に記載される係合機構は、例えば米国特許第6,652,489号、第9,173,995号、および第9,199,033号に記載のようにシリンジの胴部にスライド可能に配置されたプランジャとの係合にも使用可能であり、これらの米国特許の開示は、本明細書に援用される。これらの実施形態によれば、プランジャは、本明細書に記載の係合機構の種々の実施形態の複数の係合要素と相互作用するように、プランジャの近位端に位置する、例えば本明細書に記載されるようなピストン係合部を有することができる。
【0057】
図2Aおよび図2Bをさらに参照すると、側壁32の後方部分または近位部分は、閉じた端壁34へとつながり、側壁32の前方部分または遠位部分28は、閉じた端壁34の反対側の吐出ネック36を画定している。閉じた端壁34は、側壁32の逆転または反転の開始を容易にし、さらには/あるいはピストン19の遠位端を受け入れるための受け入れポケットをもたらすために、凹状の形状を有することができる。例えば、閉じた端壁34は、同様の形状のピストン19と直接的に相互作用するための受け入れ端ポケット38を画定することができる。特定の例においては、ピストン19の少なくとも一部分を、閉じた端壁34の形状に実質的に一致するように形作ることができ、あるいは遠位側へと移動するときのピストン19からの圧力によって、端壁34をピストン19の少なくとも一部分の形状に実質的に一致するように同化させることができる。閉じた端壁34は、例えばシリンジ20の中心の長手軸から延びる半径方向において、不均一な厚さを有することができる。いくつかの例においては、端壁34の少なくとも一部分を、中央付近においてより厚くし、側壁32との接続部の付近においてより薄くすることができる。
【0058】
図2Aおよび図2Bをさらに参照すると、シリンジ20の本体25は、圧力ジャケット16の内部に取り外し可能に収容されるように構成されている。シリンジ20の遠位端28を、圧力ジャケット16に取り外し可能に取り付けることができるキャップ(図示せず)に取り外し可能または恒久的に固定することができ、あるいはシリンジ20を圧力ジャケット16内に保持するための保持力と相互作用する保持面を有するように構成することができる。例えば、シリンジ20を、接着剤、溶剤による溶着、またはレーザ溶接によってキャップに固定することができ、あるいは摩擦による嵌まり合いの接続または他の適切な機械的接続などによってキャップに取り外し可能に固定することができる。遠位端28は、側壁32から吐出ネック36に向かって徐々に細くなる円錐台形状を有することができる。特定の例において、吐出ネック36は、キャップ、流体経路セット、または他の接続要素への接続のための接続部材42を有する吐出ポート40を終端とすることができる。いくつかの例において、接続部材42は、1つ以上のねじ山を有するねじ式インターフェースである。他の例において、接続部材42は、ルアー式(luer−type)の接続部を有することができる。さらなる例において、側壁32は、圧力ジャケット16上の対応する溝またはリップと相互作用してシリンジ20を圧力ジャケット16内に解放可能または解放不可能に保持する1つ以上のリップまたは溝を有することができる。
【0059】
シリンジ20の外径を、シリンジ20が圧力ジャケット16の貫通孔および内面によって画定される内部空間に嵌まり込むような寸法とすることができる。一例において、シリンジ20は、シリンジ20の外面が圧力ジャケット16の壁の内面の少なくとも一部分に当接するように、圧力ジャケット16内にぴったりと、しかしながら取り外し可能に嵌まり込む。別の例において、シリンジ20は、シリンジ20の外面の少なくとも一部分と圧力ジャケット16の内面との間にすき間が存在するように、圧力ジャケット16内に緩く嵌まり込む。シリンジ20は、シリンジ20の外面が圧力ジャケット16の内面に当接するように、注入手順の最中に圧力のもとで広がってもよい。適切な圧力ジャケットの特徴の例が、国際出願第PCT/US2017/051473号明細書に記載されており、この国際出願の開示は、ここでの言及によって本明細書に援用される。
【0060】
端壁34は、実質的にドーム状の構造を有する中央部分44と、この中央部分44から近位方向に延びるピストン係合部分46(以下では、「係合部分46」と呼ぶ)とを有することができる。いくつかの例において、係合部分46は、中央部分44のほぼ真ん中からシリンジ20の長手軸に沿って近位方向に延びることができる。いくつかの例において、係合部分46の直径は、係合部分46が実質的に円柱形の構造を有するように均一であってよい。他の例において、係合部分46の直径は、不均一であってよい。例えば、係合部分46の直径は、近位方向に徐々に減少または増加してもよい。係合部分46は、図2Aおよび図2Bにおいては、シリンジ20の近位端30と実質的に同一平面に位置するように示されているが、特定の例において、係合部分46は、シリンジ20の近位端30を過ぎて近位側へと延びてもよい。
【0061】
係合部分46を、シリンジ本体25と一体的に形成することができ、あるいは溶接、接着、あるいはクリップ取り付け、または他の固定機構などによって、端壁34の中央部分44に取り外し可能または取り外し不可能に取り付けることができる。係合部分46は、本明細書に記載されるように、流体インジェクタ10のピストン19上の係合機構と相互作用するように構成される。
【0062】
シリンジ20を、任意の適切な医療グレードのプラスチックまたはポリマー材料で作ることができ、望ましくは透明または実質的に半透明のプラスチック材料で作ることができる。シリンジ20の材料を、望ましくは、要求される引張および平面応力の要件、水蒸気透過率、ならびに化学的/生物学的適合性を満たすように選択することができる。
【0063】
特定の実施形態において、適切なシリンジ20は、ピストン19が近位端から遠位端28へと前進するにつれて、折り曲げの領域において側壁の外面が半径方向内側の方向に折り返され、ピストン19が遠位端28から近位端30に向かって引き戻されるにつれて、折り曲げの領域において側壁32の外面が半径方向外側の方向へと展開されるように、ピストン19の作用時に反転する可撓な薄い側壁を有する国際公開第2015/164783号パンフレットおよび第2016/172467号パンフレットに記載のようなローリングダイアフラム型シリンジを含む。そのようなローリングダイアフラムシリンジは、適切な医療グレードのプラスチックから作製可能であり、側壁の厚さは、0.0050インチ〜0.20インチの範囲であってよく、あるいは他の実施形態においては、0.010インチ〜0.15インチの範囲であってよい。ピストン19の遠位側への移動によってシリンジ20が加圧されると、ローリングダイアフラムシリンジ内の流体の圧力が、側壁を半径方向外側へと膨張させる。この作用は、従来のシリンジと比較したシリンジ側壁の相対的な薄さによって強められる。シリンジ側壁は、半径方向外側へと膨張するにつれて、圧力ジャケット16の内面に接触し、これがシリンジ側壁のさらなる膨張を制限し、シリンジの壁の破損を防止する。
【0064】
図3Aおよび図3Bが、本開示の一例によるピストン19のシリンジ係合機構48(以下では、「係合機構48」と呼ぶ)との組み合わせにおけるシリンジ20を示している。図3Aおよび図3Bに示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書で説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様である。シリンジ20の係合部分46は、シリンジ20の係合部分46に係合し、あるいはシリンジ20の係合部分46を解放するように、半径方向に内側および外側へと可逆に移動する係合機構48の1つ以上の係合ピンまたは係合面と相互作用するように構成される。
【0065】
種々の例において、係合機構48は、係合フィンガまたは係合面などの1つ以上の係合要素56を有し、係合要素56は、複数の係合要素56がシリンジ20の係合部分46から外れる第1の位置と、複数の係合要素56がシリンジ20の係合部分46と係合する第2の位置との間を、シリンジ20の係合部分46に対して半径方向に移動することができる。さらに、係合機構48は、フィンガまたは面などの複数の係合要素56を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構を有する。
【0066】
種々の例においては、係合要素56の半径方向内側/外側への移動を、ピストン19の近位方向/遠位方向の移動によってもたらすことができる。係合要素56を、直線運動、弧状の運動、または直線運動と弧状の運動との組み合わせによって、半径方向内側/外側に移動させることができる。種々の例においては、シリンジ20の遠位端28をピストン19によって近位方向に引っ張ることでシリンジ20を医療用流体で満たすことができるよう、近位方向へのピストン19の移動によって係合要素56をシリンジ20の係合部分46に接触させてロックすることができる。反対に、遠位方向へのピストン19の移動によって、シリンジ20を圧力ジャケット16およびインジェクタ10から取り外すことができるように係合要素56をシリンジ20の係合部分46との接触から解放することができる。種々の例において、ピストン19および/または係合要素56は、本明細書において論じられるように、モータ駆動、ソレノイド駆動、空気圧駆動、油圧駆動、あるいは電気活性ポリマー、電磁機構、またはニチノールワイヤもしくは他の形状記憶合金ベースの機構の作動によって、移動可能であってよい。
【0067】
図3Aおよび図3Bをさらに参照すると、係合機構48の駆動機構は、少なくとも部分的にピストン19内に収容されている。いくつかの例において、駆動機構は、複数の係合要素56を第1の位置と第2の位置との間で移動させるためにピストン19に動作可能に接続された複数の部分を有する。いくつかの例において、駆動機構は、外側ピストンスリーブ50と、外側ピストンスリーブ50の遠位端において外側ピストンスリーブ50の内側に移動可能に収容された当接部52とを有する。外側ピストンスリーブ50は、開いた近位端と開いた遠位端とを有する実質的に円筒形の構造を有する。当接部52は、その遠位端に、ピストン19がシリンジ20と係合するように遠位方向へと進められたときにシリンジ20の遠位面44の少なくとも一部分と係合する外側係合面54を有する。いくつかの例において、ピストン19の当接部52は、端壁34の遠位面44など、シリンジ20の近位端30の少なくとも一部分に接触することができる。外側係合面54を、外側係合面54がシリンジ20の端壁34の少なくとも一部分に面対面で接触するよう、端壁34の形状に対応するように形作ることができる。外側係合面54および外側ピストンスリーブ50は、ピストン19の近位方向または遠位方向への移動による流体の充填または流体の送出プロセスにおいてシリンジ20の側壁32を反転させることができる表面を画定する。当接部52の中央部に、開口部55が形成されている。開口部55は、当接部52がシリンジ20の端壁34に実質的に接触したときに、シリンジ20の係合部分46の少なくとも一部分を受け入れるように構成される。望ましくは、開口部55の内径は、シリンジ20の端壁34へと向かうピストン19の遠位方向への移動時や、例えばシリンジ20を圧力ジャケット16へと挿入する際のピストン19へと向かうシリンジ20の端壁34の近位方向への移動時に、係合部分46を開口部55へと自由に挿入できるように、係合部分46の最も太い部分の外径よりも大きい。
【0068】
当接部52は、例えば外側ピストンスリーブ50とピストンとの間の摩擦によって実質的に固定の位置に保持された外側ピストンスリーブ50に対して軸方向に移動可能である。当接部52は、本明細書に記載のとおりの1つ以上の係合要素などの1つ以上の係合要素56の状態または位置を制御するために、外側ピストンスリーブ50に対して軸方向に移動可能またはスライド可能である。外側ピストンスリーブ50に対する当接部52の移動は、1つ以上の係合要素56をシリンジ20の係合部分46に係合させ、あるいはシリンジ20の係合部分46から離すことができるように構成される。
【0069】
さらに、ピストン19は、外側ピストンスリーブ50に対して軸方向に移動可能な内側ピストンスリーブ58を有する。内側ピストンスリーブ58は、当接部52の移動によって対応する内側ピストンスリーブ58の移動がもたらされ、かつ逆もまた然りであるように、当接部52に接続される。カラー60が、外側ピストンスリーブ50の内側に固定に取り付けられている。いくつかの例において、カラー60は、外側ピストンスリーブ50の内面から突出する突起61と係合するように構成された円周状の凹部59を有することができる。カラー60は、シリンジ20の係合部分46の少なくとも一部分を受け入れるように構成された長手方向の開口部66を有する。長手方向の開口部66の内径は、長手方向の開口部66への係合部分46の自由な挿入を可能にするために、係合部分46の最も太い部分の外径よりも大きくてよい。
【0070】
図3Aおよび図3Bをさらに参照すると、当接部52は、1つ以上のファスナ57(図4Bに示されている)などによって内側ピストンスリーブ58に接続される。このようにして、内側ピストンスリーブ58の軸方向の移動が、対応する当接部52の軸方向の移動をもたらし、逆もまた然りである。
【0071】
内側ピストンスリーブ58および当接部52は、ピストンロッド64の移動に伴って、外側ピストンスリーブ50およびカラー60に対して軸方向に移動可能またはスライド可能である。例えば、内側ピストンスリーブ58および当接部52は、1つ以上の係合要素56がシリンジ20の係合部分46から外れる第1の位置(図3A)と、1つ以上の係合要素56が係合部分46に係合する第2の位置(図3B)との間で移動可能であってよい。いくつかの例においては、内側ピストンスリーブ58および当接部52を、ばね76などの付勢機構によって第2の位置へと付勢することができる。ばね76の付勢力は、調整要素77を(付勢力を増大させるために)遠位方向に移動させ、もしくは(付勢力を減少させるために)近位方向に移動させる(あるいは、逆でもよい)ことによって調整可能であってよい。調整要素77は、カラー60に螺合するねじであってよく、ばね76は、ねじの頭部と内側ピストンスリーブ58の近位面との間、またはねじの頭部と内側ピストンスリーブ58の近位面に当接するワッシャ81との間に配置される。調整要素77は、望ましくは、内側ピストンスリーブ58の開口部を通って延びる。いくつかの例において、内側ピストンスリーブ58および当接部52は、ピストン19の移動方向とは無関係に動作することができる電気式の機構、空気圧による機構、電磁気的な機構、電気活性ポリマーに基づく機構、形状記憶合金に基づく機構、または油圧駆動機構によって、外側ピストンスリーブ50およびカラー60に対して軸方向に移動可能またはスライド可能であってよい。
【0072】
外側ピストンスリーブ50およびカラー60に対する当接部52の運動は、1つ以上の係合要素56をシリンジ20の係合部分46に係合させ、あるいはシリンジ20の係合部分46から外すことができるように制限される。例えば、図4Aを参照すると、このような相対運動を、ピストンロッド64に固定された金属ロッド、ポリマーロッド、またはダウエル63を使用して制限することができ、ここでダウエル63は、カラー60および当接部52に直接接続された内側ピストンスリーブ58に形成されたスロット65(図4Bに示されている)を通過し、スロット65内に着座する。いくつかの例において、当接部52は、外側ピストンスリーブ50と当接部52とが同時に移動する前に、内側ピストンスリーブ58の移動につれて例えば0.125インチなど、約0.100〜0.150インチだけ移動可能であってよい。いくつかの例において、内側ピストンスリーブ58は、インジェクタヘッドの内側の側壁(図示せず)に摩擦接触してもよい。この摩擦接触を、ピストンロッド64の移動を可能にすることによってダウエル63をスロット65において移動させつつ、内側ピストンスリーブ58を拘束するために使用することができる。ダウエル63がスロット65の近位端または遠位端に係合すると、内側ピストンスリーブ58を保持する摩擦力が打ち負かされ、ピストンロッド64および内側ピストンスリーブ58を一緒に移動させることができる。
【0073】
ピストンロッド64および外側ピストンスリーブ50に対する当接部52、カラー60、および内側ピストンスリーブ58のこの移動範囲(スロット65の長手方向の長さによって定められる)を使用して、1つ以上の係合要素56を、第1の位置(開位置)(図3A)と第2の位置(閉位置)(図3B)との間で移動させることができる。例えば、遠位方向へのピストンロッド64の初期の移動によって、外側ピストンスリーブ50を、内側ピストンスリーブ58のインジェクタヘッドとの摩擦係合によって拘束される当接部52に対して、遠位方向に移動させることができる。当接部52と外側ピストンスリーブ50とのこのような相対運動によって、シリンジ20のインジェクタ10からの取り外し(インジェクタ10への取り付け)を可能にするように、1つ以上の係合要素56を半径方向外側の方向に引っ込めることができる。反対に、近位方向へのピストンロッド64の移動によって、外側ピストンスリーブ50を、内側ピストンスリーブ58のインジェクタヘッド12との摩擦係合によって拘束される当接部52に対して、近位方向に移動させることができる。当接部52と外側ピストンスリーブ50とのこのような相対運動によって、端壁34の引き込みおよびシリンジ20の充填を可能にすべくシリンジ20の係合部分46と係合するように、1つ以上の係合要素56を半径方向内側の方向に延ばすことができる。
【0074】
図3Aおよび図3Bをさらに参照すると、係合要素56は、少なくとも1つの係合要素56であってよく、随意により、内側ピストンスリーブ58の空洞78を円周方向に巡って間隔を空けつつ位置する複数の係合要素56であってよい。いくつかの例においては、単一の係合要素56を、シリンジ20の係合部分46に接触するように構成することができる。係合要素56は、互いに等しい角度間隔または等しくない角度間隔で、間隔を空けて位置することができる。係合要素56は、係合要素56がシリンジ20の係合部分46に接触しない第1の位置(図3A)と、係合要素56がシリンジ20の係合部分46の外面に接触する第2の位置(図3B)との間を移動可能であってよい。いくつかの例において、係合要素56は、係合要素56が第2の位置(図3B)に位置するときにシリンジ20の係合部分46の材料に少なくとも部分的に埋め込まれるように構成された尖った末端86または歯を有することができる。いくつかの例においては、係合要素56を、ピストン19が近位方向に移動するとすぐに第1の位置から第2の位置へと移動するように構成することができる。他の例においては、係合要素56を、係合要素56とシリンジ20の係合部分46との間の把持力が連続的に増大するよう、ピストン19の近位方向への移動につれて第1の位置から第2の位置に向かって徐々に漸進的に移動するように構成することができる。例えば、ピストンが近位方向に移動するにつれて、係合部分46との「噛みつき」を増大させるように連続的に増大する力を尖った末端86に作用させることができる。
【0075】
いくつかの例において、係合要素56は、係合要素56を第1の位置と第2の位置との間で移動させるために、内側ピストンスリーブ58上の枢支ピン80を中心にして枢動可能であってよい。係合要素56の移動を、各々の係合要素56上のトラック85内に受け入れられるカラー60上のピン83によって制限することができる。トラック85を、枢支ピン80からオフセットさせることができ、枢支ピン80を中心とする弓状の運動にて第1の位置と第2の位置との間の係合要素56の移動を案内するように形作ることができる。さらに、係合要素56を、付勢機構(図示せず)によって第1の位置および第2の位置の一方へと付勢してもよい。係合要素56を第2の位置から第1の位置へと移動させるために、各々の係合要素56の少なくとも一部分に、当接部52の外側係合面54を係合させることができる。係合要素56がカラー60上に保持されているため、カラー60に対する当接部52の移動は、当接部52の外側係合面54を係合要素56の遠位面に接触させる。カラー60に対する当接部52のさらなる移動が、係合要素56を第1の位置へと半径方向外側の方向に向ける。このようにして、係合要素56を、シリンジ20の係合部分46との接触から外すことができる。
【0076】
ピストン19を遠位方向に駆動することによって、流体をシリンジ20の内部容積27から送出することができる。シリンジ20の内部容積27が完全に満たされ、あるいは部分的に満たされている場合、ピストン19の遠位方向への移動によって側壁32を反転させることにより、シリンジ20から流体を送出することができる。図3Aに矢印Aによって示されている移動など、ピストン19の遠位方向への移動の際に、当接部52は、シリンジ20の端壁34の近位面に接触する。ピストンロッド64が、ダウエル63をスロット65の遠位端に接触させることによって係合要素56を第1の位置へと移動させることだけを可能にするように動かされるがゆえに、当接部52は、シリンジ20の側壁32を反転させることなく第1の位置まで移動する。とくには、ピストン19の初期の遠位方向への移動により、当接部52の外側係合面54が各々の係合要素56の少なくとも一部分に接触し、係合要素56を半径方向外側の方向に向けることによって、係合要素56の間のすき間空間を広げ、係合要素56の間の空間へのシリンジ20の係合部分46の出し入れを可能にする。
【0077】
シリンジ20を流体で満たすために、ピストン19が、図3Bの矢印Bの方向に近位方向へと動かされる。図3Bの矢印Bによって示されるような近位方向へのピストン19の移動時に、当接部52は、外側スリーブ50に対して移動する。そのような移動の際に、係合要素56は、枢支ピン80を中心とする枢動によって、シリンジ20の係合部分46に向かって第2の位置へと半径方向内側の方向に移動する。尖った末端86が、本明細書に記載されるようにシリンジ20の係合部分46の外面に食い込み、係合要素56と係合部分46との間の把持力をもたらす。
【0078】
図5A〜図5Eは、本開示の種々の態様によるピストン19の係合機構48との組み合わせにおけるシリンジ20の近位端30を示している。図5A〜図5Eに示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様である。シリンジ20の係合部分46は、係合機構48の1つ以上の係合要素56などの1つ以上の係合要素56と相互作用するように構成される。係合要素56は、図3Aおよび図3Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の係合部分46との係合機構48の係合要素56の係合と同様のやり方で、シリンジ20の係合部分46への係合およびシリンジ20の係合部分46からの係合離脱のために、半径方向に内側および外側へと移動することによって第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成される。
【0079】
係合機構48は、複数の係合要素56がシリンジ20の係合部分46から外れる第1の位置と、複数の係合要素56がシリンジ20の係合部分46と係合する第2の位置との間で、複数の係合要素56を移動させるための駆動機構88を有する。駆動機構88は、外側ピストンスリーブ50と、外側ピストンスリーブ50の遠位端において外側ピストンスリーブ50に対して固定された当接部52とを有する。外側ピストンスリーブ50は、開いた近位端と開いた遠位端とを有する実質的に円筒形の構造を有する。当接部52は、端壁34などのシリンジ20の近位端30の少なくとも一部分に接触するための外側係合面54を有する。開口部55が、当接部52の中央部分に形成され、当接部52がシリンジ20の近位端30に接触するときにシリンジ20の係合部分46の少なくとも一部分を受け入れるように構成される。
【0080】
駆動機構88は、外側ピストンスリーブ50に対して軸方向に移動可能な内側ピストンスリーブ58をさらに有する。内側ピストンスリーブ58を、ばね79などの付勢機構によって、第1の位置(図5Aに示す)または第2の位置(図示せず)へと付勢することができる。内側ピストンスリーブ58を遠位方向へと外側ピストンスリーブ50に向かって図5Bの矢印Aの方向に移動させると、ばね79が第1の状態(図5A)から第2の状態(図5B)へと圧縮される。
【0081】
内側ピストンスリーブ58は、外側ピストンスリーブ50に対して固定された枢支点154を中心にして枢動することができる遠位端と、スロット156内に受け入れられた第2の端部とを備えるバーまたはリンク152を有する。内側ピストンスリーブ58を遠位方向へと外側ピストンスリーブ50に向かって移動させると、リンク152の第2の端部が、スロット156の遠位端から近位端に向かって移動する(図5B)。内側ピストンスリーブ58を遠位方向へと外側ピストンスリーブ50に向かってさらに移動させると、リンク152がスロット156内で近位方向にさらに移動し、内側ピストンスリーブ58の遠位端158が係合要素56の近位端75に接触する。内側ピストンスリーブ58の遠位端158と係合要素56の近位端75との間の接触は、内側ピストンスリーブ58の遠位端158の斜めの形状ゆえに、係合要素56を半径方向内側の方向に向ける(図5C)。係合要素56が半径方向内側の方向に向けられると、係合要素56はシリンジ20の係合部分46に係合して、シリンジ20の充填時にシリンジ20の端壁34を近位方向に移動させることを可能にする。図5Cに示されるように、リンク152の近位側の第2の端部が、スロット156の反対向きの近位側のV字溝173内に固定され、係合要素56をシリンジ20の係合部分46に係合させ、例えば係合要素56の尖った末端86を係合部分46の表面に食い込ませた第2の係合位置に、係合機構を可逆にロックする。係合要素56の第1の位置(図5A)から第2の位置(図5C)への移動は、ばね160などの係合要素付勢機構を第1の位置から第2の位置へと付勢することができる。この位置(図5C)において、ピストン19を近位方向に後退させることにより、シリンジ20を展開して医療用流体で満たすことができる。
【0082】
図5Dを参照すると、ピストン19を後退させてシリンジ20を流体で満たした後に、ピストン19を遠位方向に移動させることによって流体を送出することで、リンク152の近位側の第2の端部175もスロット156の反対向きの近位側のV字溝173から離れ、この時点において、流体の送出後の内側ピストンスリーブ58の矢印Bの近位方向の移動が、リンク152の第2の端部をスロット156の近位端から遠位端に向かって移動させ、内側ピストンスリーブ58の遠位端158を係合要素56の近位端75との接触から離す。これにより、係合要素56を、ばね160の復元力によって第1の位置(図5E)へと引き戻すことができる。係合要素56が第2の位置(図5C)から第1の位置(図5D)へと移動することで、係合要素56がシリンジ20の係合部分46から離れ、シリンジ20の取り外しが可能になる(図5E)。
【0083】
図6A〜図6Cを参照すると、各々の係合要素56は、係合要素56がシリンジ20(図示せず)の係合部分46から外れる第1の位置と、係合要素56が駆動機構88の軸方向移動によってシリンジの係合部分46に係合する第2の位置との間で、移動可能であってよい。図6A〜図6Cに示す係合要素56は、係合部分46の表面に食い込んで係合要素56と係合部分46との間の確実な接続をもたらす尖った末端86または歯を含む図3Aおよび図3Bに示した係合要素56と同じ構造を有することができる。係合要素56は、枢支ピン80を中心にして枢動可能であってよい。係合要素56の移動を、トラック85内に受け入れられるピン83によって束縛してもよい。トラック85は、枢支ピン80からオフセットされ、トラック85を、枢支ピン80を中心とする弓状の運動にて第1の位置から第2の位置への係合要素56の移動を案内するように形作ることができる。駆動機構88を、ピストンの遠位方向および近位方向への移動によって動作させることができ、あるいは駆動機構88は、例えばリニア電気モータまたはリニア電気アクチュエータ、回転電気モータまたは回転電気アクチュエータ、ソレノイド、空気圧機構、油圧機構、電磁機構、電気活性ポリマー機構、形状記憶合金(ニチノールワイヤなど)に基づく機構、ならびにこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上によって作動する機構など、作動可能な駆動機構であってよい。
【0084】
図6A〜図6Cをさらに参照すると、種々の態様によれば、駆動機構88をピストン19(図示せず)上またはピストン19内に形成することができる。特定の態様によれば、駆動機構88は、第1の傾斜面88aと、第1の傾斜面88aから軸方向にオフセットされた第2の傾斜面88bとを有することができる。第1および第2の傾斜面88a、88bは、係合部分46から遠ざかるように半径方向および近位方向を向いた方向に傾斜している。駆動機構88は、図6Aの矢印Gの方向の軸方向移動によって第1の位置(図6Aに示されている)から第2の位置(図6Bに示されている)へと移動可能であり、矢印Gとは反対の方向の軸方向移動によって第2の位置から第1の位置へと移動可能である。第1の位置において、第1の傾斜面88aは、係合要素56の遠位端75から軸方向に離れている。駆動機構88の遠位方向への移動により、第1の傾斜面88aが係合要素56の遠位端75に接触し、遠位端75を第1の傾斜面88aに沿ってスライドさせる。係合要素56の遠位端75のこのようなスライド移動により、係合要素56は、枢支ピン80を中心にして枢動し、ピン83がトラック85の第1の端部から第2の端部へと移動する。係合要素56の枢動により、尖った末端86が半径方向内側へと移動し、シリンジの係合部分46に接触する(図6B)。駆動機構88が遠位方向へとさらに移動することで、係合要素56の遠位端75が第2の傾斜面88bに係合する(図6C)。係合要素56の遠位端75と第2の傾斜面88bとの間のそのような係合が、尖った末端86がシリンジの係合部分46の材料へと食い込んで埋め込まれるように、尖った末端86を半径方向内側へとさらに移動させる。このような係合により、ピストン(図示せず)を近位方向に移動させ、シリンジ20の係合部分46および遠位端28(図2Aおよび図2Bを参照)を後退させて、図3Aおよび図3Bを参照して本明細書において説明したようにシリンジを流体で満たすことができる。
【0085】
図7Aおよび図7Bは、本開示の種々の例によるピストン19の係合機構48との組み合わせにおけるシリンジ20の近位端30を示している。図7Aおよび図7Bに示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様である。シリンジ20の係合部分46は、係合機構48の1つ以上の係合要素56などの1つ以上の係合要素と相互作用するように構成される。係合要素56は、図3Aおよび図3Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の係合部分46との係合機構48の係合要素56の係合と同様のやり方で、シリンジ20の係合部分46への係合およびシリンジ20の係合部分46からの離脱のために、半径方向に内側および外側へと移動するように構成される。種々の実施形態によれば、図7Aおよび図7Bにおける係合要素56の内側/外側への移動は、駆動機構88の動作により、ピストン19の近位方向/遠位方向への移動とは無関係に生じ得る。
【0086】
図7Aおよび図7Bをさらに参照すると、駆動機構88は、第1の位置すなわち非係合位置(図7A)と第2の位置すなわち係合位置(図7B)との間の係合要素56の移動を制御するように構成される。駆動機構88は、外側ピストンスリーブ50内に配置されている。図3Aおよび図3Bに示したピストン19と同様に、図7Aおよび図7Bのピストン19は、その遠位端に、シリンジ20の端壁34との係合のための当接部52を有する。駆動機構88の作動は、例えば当接部52を遠位方向に前進させることによって、当接部52を外側スリーブ50に対して移動させる。当接部52のこのような移動は、係合要素56を半径方向内側の方向に移動させ、シリンジ20の係合部分46に係合させる。係合要素56は、係合要素56がシリンジ20の係合部分46に接触しない第1の位置(図7A)と、係合要素56がシリンジ20の係合部分46の外面に接触し、尖った末端86が係合部分46の材料へと食い込んで埋め込まれる第2の位置(図7B)との間を移動可能であってよい。いくつかの例において、係合要素56の半径方向の移動は、図7Bに示される矢印Bの方向のピストン19の近位方向への移動の関数であってもよい。すなわち、ピストン19が近位方向にさらに移動するにつれて、係合部分46の材料を通る尖った末端86の近位方向への滑りに対抗するように、係合要素56および尖った末端86と係合部分46との間の「食い付き」の力または半径方向内側への力が大きくなる。例えば、近位方向へのピストン19の初期の移動の際に、係合要素56を、係合要素56がシリンジ20の係合部分46の外面に接触する初期接触位置へと半径方向内側に進めることができる。ピストン19が近位方向にさらに移動するにつれて、係合要素56は、係合要素56および尖った末端86がシリンジ20の係合部分46の材料へと食い込んで埋め込まれて、シリンジ20に対する保持力が大きくなるように、初期接触位置から半径方向内側の方向に移動を続けることができる。係合要素56は、ピストン19の最終的な近位側位置において、初期接触位置からの半径方向の変位が最大となる最終接触位置まで移動することができる。他の例においては、係合要素56の半径方向の移動を、ピストン19の近位方向または遠位方向への移動とは無関係に制御することができる。リンク機構73が、駆動機構88を係合要素56に接続して、駆動機構88の作動による係合要素56の移動を達成する。
【0087】
駆動機構88の種々の実施形態を、機械的に動作させることができ、電気的に動作させることができ、空気圧によって動作させることができ、かつ/または油圧によって動作させることができる。例えば、駆動機構88は、リニアまたは回転電気モータ、あるいはソレノイドなど、電気的または電気機械的な機構を有することができる。他の例において、駆動機構88を、電磁的な機構、電気活性ポリマーによる機構、または形状記憶合金(ニチノールワイヤなど)に基づく機構によって作動/停止させることができる。これらの機構の種々の組み合わせも、本開示の範囲に含まれると考えられる。いくつかの例においては、駆動機構88を、ピストン19の近位方向または遠位方向への移動の最中など、選択的に作動させることができる。他の例においては、駆動機構88を、ピストン19が静止しているか、あるいは近位方向または遠位方向に移動しているかにかかわらず、常に作動させることができる。
【0088】
特定の実施形態において、外側ピストンスリーブ50に対する駆動機構88の移動は、係合要素56をシリンジ20の係合部分46に係合させ、あるいはシリンジ20の係合部分46から離すことができるように構成される。いくつかの例においては、当接部52がシリンジ20から遠ざかるように外側ピストンスリーブ50に対して近位方向に移動することで、係合要素56を、駆動機構88によって、シリンジ20のインジェクタ10からの取り外しを可能にするために半径方向外側の方向に引っ込めることができる。反対に、当接部52がシリンジ20の方へと外側ピストンスリーブ50に対して遠位方向に移動することで、係合要素56を、駆動機構88によって、シリンジ20の係合部分46に係合するように半径方向内側の方向に延ばすことができる。他の例において、駆動機構88の動作または作動は、係合要素56を駆動機構88の動作だけに基づいて第1の位置と第2の位置との間で選択的に移動させることができように、当接部52、外側ピストンスリーブ50、および/またはピストン19の移動とは無関係であってよい。
【0089】
図8A〜図8Cは、本開示の種々の例によるピストン19の係合機構48との組み合わせにおけるシリンジ20の近位端30を示している。図8A〜図8Cに示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様である。シリンジ20の係合部分46は、係合機構48の1つ以上の係合要素56などの1つ以上の係合要素と相互作用するように構成される。係合要素56は、図3Aおよび図3Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の係合部分46に対する係合要素56の移動と同様のやり方で、シリンジ20の係合部分46への係合およびシリンジ20の係合部分46からの離脱のために、半径方向に内側および外側へと移動するように構成される。
【0090】
係合要素56の半径方向の移動を、ピストン19の近位方向または遠位方向への移動とは無関係に制御することができる。例えば、当接部52がシリンジ20の近位端30に接触するようにピストン19を遠位方向に前進させた後で、係合要素56を、ソレノイド駆動のピストン188などの駆動機構88の作動によって、半径方向内側へと前進させることができる。いくつかの例において、駆動機構88は、係合要素56を係合部分46に係合させ(図8A)、あるいは係合要素56を係合部分46から外す(図8C)ために、各々の係合要素56を図8Bの矢印Cの方向に枢支ピン80を中心にして回転させることができる。係合要素56を、初期位置から最終位置へと半径方向内側の方向に移動するように、ばねなどの付勢機構によって付勢することができる。係合要素56の半径方向内側への移動は、シリンジ20の係合部分46の材料を少なくとも部分的に変形させることができる。例えば、係合要素56を、付勢機構によって加えられる力によって係合部分46の柱が初期形状(図8A)から最終形状(図8B〜図8C)へと変形するように係合部分46の材料へと少なくとも部分的に埋め込ませることができる。いくつかの例において、変形した係合部分46は、逆「T」字形を有することができ、係合要素56は、変形した係合部分46の少なくとも一部分に係合する。ソレノイド駆動のピストン188を作動させると、ソレノイド駆動のピストン188は遠位方向に移動し、係合要素を付勢機構の付勢力に逆らって移動させ、係合部分46に積極的に係合させ、あるいは係合部分46から離脱させる。
【0091】
図9A〜図9Dは、本開示の他の例によるピストン19の係合機構48との組み合わせにおけるシリンジ20の近位端30を示している。図9A〜図9Dに示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様である。シリンジ20の係合部分46は、係合機構48の1つ以上の係合要素56などの1つ以上の係合要素と相互作用するように構成される。係合要素56は、図3Aおよび図3Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の係合部分46に対する係合要素56の移動と同様のやり方で、シリンジ20の係合部分46への係合およびシリンジ20の係合部分46からの離脱のために、半径方向に内側および外側へと移動するように構成される。
【0092】
図9A〜図9Dをさらに参照すると、係合機構48は、複数の係合要素56がシリンジ20の係合部分46から外れる第1の位置と、複数の係合要素56がシリンジ20の係合部分46と係合する第2の位置との間で、複数の係合要素56を移動させるための駆動機構88を有する。係合機構48は、外側ピストンスリーブ50と、外側ピストンスリーブ50の遠位端において外側ピストンスリーブ50に対して固定された当接部52とを有する。外側ピストンスリーブ50は、開いた近位端と開いた遠位端とを有する実質的に円筒形の構造を有する。当接部52は、端壁34などのシリンジ20の近位端30の少なくとも一部分に接触するための外側係合面54を有する。開口部55が、当接部52の中央部分に形成され、当接部52がシリンジ20に接触するときにシリンジ20の係合部分46の少なくとも一部分を受け入れるように構成される。
【0093】
係合機構48は、外側ピストンスリーブ50に対して軸方向に移動可能な内側ピストンスリーブ58をさらに有する。内側ピストンスリーブ58を、ばね79などの付勢機構によって第1の位置(図9Aに示す)へと付勢することができる。内側ピストンスリーブ58を遠位方向へと外側ピストンスリーブ50に対して図9Bの矢印Aの方向に移動させると、ばね79が第1の状態(図9A)から第2の状態(図9B)へと圧縮される。
【0094】
図9A〜図9Dをさらに参照すると、駆動機構88はソレノイド165を有し、ソレノイド165は、ソレノイド165の近位端に2つ以上のロックレバー166を有する。各々のロックレバー166は、枢支ピン168上に回転可能に取り付けられ、枢支ピン168を中心にして回転可能である。いくつかの例においては、ロックレバー166を、付勢機構(図示せず)によって半径方向外側の方向に付勢することができる。ロックレバー166の近位端は、外側ピストンスリーブ50の内面の溝170内に受け入れられるように構成されている。ピストン19の移動などにより、内側ピストンスリーブ58が外側ピストンスリーブ50に対して遠位方向に移動するとき、ロックレバー166は、ロックレバー166が軸方向において溝170に一致したときにロックレバー166が図9Bの矢印Cの方向の回転によって半径方向外側へと広がることができる位置に移動する。ロックレバー166が溝170へと半径方向外側の方向に移動することで、ロックレバー166はロックされ、したがって外側ピストンスリーブ50に対する内側ピストンスリーブ58の近位方向への移動が防止される。外側ピストンスリーブ50に対する内側ピストンスリーブ58の遠位方向への移動は、溝170の傾斜面172がロックレバー166の近位端を半径方向内側の方向にそらすがゆえに可能である(図9C)。
【0095】
内側ピストンスリーブ58の外側ピストンスリーブ50に対する遠位方向への移動と同時に、内側ピストンスリーブ58は、内側ピストンスリーブ58の遠位端158を係合要素56の近位端75に接触させる。内側ピストンスリーブ58の遠位端158と係合要素56の近位端75との間の接触は、係合要素56の近位端75との内側ピストンスリーブ58の遠位端158の斜めの形状ゆえに、係合要素56の遠位端および尖った末端86を半径方向内側の方向に移動させる(図9C)。係合要素56が半径方向内側の方向に移動すると、係合要素56はシリンジ20の係合部分46に係合し、シリンジ20の端壁34をシリンジ20の充填時に近位方向に移動させ、シリンジ20からの流体の送出時に遠位方向に移動させることを可能にする。係合要素56の第1の位置(図9A)から第2の位置(図9C)への移動は、ばね160などの係合要素付勢機構を第1の位置から第2の位置へと付勢することができる。
【0096】
図9Dを参照すると、ソレノイド165の通電時に、ロックレバー166が矢印Dの方向に半径方向内側へと枢支ピン168を中心にして回転することで、ロックレバー166の近位端が溝170から外れる。これにより、内側ピストンスリーブ58を外側ピストンスリーブ50に対して近位側へと移動させることができ、したがって内側ピストンスリーブ58の遠位端158を係合要素56の近位端75との接触から離すことができる。その後に、係合要素56は、例えばばね160の復元力によって第1の位置(図9D)へと引き戻される。係合要素56が第2の位置(図9C)から第1の位置(図9D)へと移動することで、係合要素56がシリンジ20の係合部分46から離れ、シリンジ20の取り外しが可能になる。
【0097】
図10A〜図10Dが、本開示の種々の態様によるピストン19の係合機構48との組み合わせにおけるシリンジ20の近位端30を示している。図10A〜図10Dに示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様または同一である。シリンジ20の係合部分46は、中央ロッド37の移動によってシリンジ20の係合部分46との係合およびシリンジ20の係合部分46の解放を行う係合機構48の1つ以上の表面と相互作用するように構成される。例えば、シリンジ20の係合部分46は、シリンジ20の係合部分46との係合およびシリンジ20の係合部分46の解放を達成するように半径方向内側および外側へと移動する係合機構48の1つ以上の係合アーム68などの1つ以上の係合要素56と相互作用するように構成される。
【0098】
種々の例において、係合機構48は、1つ以上の係合アーム68などの1つ以上の係合要素56を有し、係合アーム68は、係合アーム68がシリンジ20の係合部分46から外れる第1の位置と、係合アーム68がシリンジ20の係合部分46と係合する第2の位置との間を、シリンジ20の係合部分に対して半径方向に移動することができる。係合機構48は、係合アーム68を第1の位置と第2の位置との間で移動させるための駆動機構88をさらに有する。
【0099】
各々の係合アーム68は、ピストン19に動作可能に接続された中央ロッド37と相互作用するように構成された近位端69を含む。係合アーム68の遠位端70は、シリンジ20の係合部分46に係合するように構成されている。各々のアーム68は、アーム68の間の空間にシリンジ20の係合部分46を自由に出し入れすることができる第1の位置と、アーム68の遠位端70が例えば1つ以上の尖った末端86を係合部分46の表面へと食い込ませることによってシリンジ20の係合部分46の少なくとも一部分と係合するピストン19の外側係合面54の開口部55などの第2の位置との間を、枢支ピン80を中心にして枢動することができる。図10A〜図10Dに示した例において、中央ロッド37は、近位方向/遠位方向へとピストン19に対して移動するように構成されている。図10Aおよび図10Bは、係合アーム68がシリンジ20の係合部分46との係合から外れるよう、近位方向に引き戻された位置にある中央ロッド37を示している。図10Cおよび図10Dは、中央ロッド37の太い部分が係合アーム68の近位端69に当接し、係合アーム68をそれぞれの枢支ピン80を中心にして回転させて係合アーム68の遠位端70をシリンジ20の係合部分46に係合させるように、遠位側へと延ばされた位置にある中央ロッド37を示している。種々の例において、中央ロッド37の近位方向/遠位方向への移動は、ピストン19の近位方向/遠位方向への移動によってもたらされてよく、さらには/あるいはピストン19の近位方向/遠位方向への移動に依存することができる。他の例において、中央ロッド37の近位方向/遠位方向への移動は、本明細書において説明した駆動機構のいずれかなど、駆動機構88と実質的に同様または同一の駆動機構88などによって、ピストン19の近位方向/遠位方向の移動とは無関係であってよい。
【0100】
図10Bを参照すると、中央ロッド37は、係合アーム68が第1の位置にあるときの係合アーム68間の空間よりも大きい第1の直径を有する近位部分37aと、係合アーム68間の空間以下の第2の直径を有する遠位部分37bとを有する。近位部分37aおよび遠位部分37bを、斜面37cによって接続することができる。係合アーム68は、中央ロッド37の遠位部分37bが係合アーム68の近位端69の間に位置するとき、シリンジ20の係合部分46から離れた第1の位置に位置する。駆動機構88の作動などによって中央ロッド37が遠位方向に移動すると、斜面37cが係合アーム68の近位端69と係合することで近位端69をお互いから離れるように半径方向に押し広げ、間に中央ロッド37の近位部分37aを挿入できるようにする。係合アーム68の近位端69を押し広げることで、係合アーム68の遠位端70は、互いに近づき、シリンジ20の係合部分46に係合するように、第2の位置へと半径方向に移動する。中央ロッド37を近位方向に後退させると、このプロセスが逆に進み、遠位端70がシリンジ20の係合部分46から離れ、シリンジ20をインジェクタから取り外すことが可能になる。いくつかの例においては、係合アームを第1の(開)位置または第2の(閉)位置へと付勢するために、ばねなどの付勢機構を設けることができる。
【0101】
例えば図10Eおよび図10Fに示されるような他の態様によれば、中央ロッド37は、係合アーム68間の空間よりも小さい第1の直径を有する近位部分37aと、係合アーム68間の空間以上の第2の直径を有する遠位部分37bとを有する。近位部分37aおよび遠位部分37bを、斜面37cによって接続することができる。係合アーム68は、中央ロッド37の近位部分37aが係合アーム68の近位端69の間に位置するとき、シリンジ20の係合部分46から離れて位置する。駆動機構88の作動などによって中央ロッド37が近位方向に移動するとき、斜面37cが係合アーム68の近位端69と係合することで近位端69をお互いから離れるように押し広げ、間に中央ロッド37の遠位部分37bを挿入できるようにする。係合アーム68の近位端69を押し広げることで、係合アーム68の遠位端70は、互いに近づくように移動し、シリンジ20の係合部分46に係合する。中央ロッド37を遠位方向に延ばすとき、このプロセスが逆に進み、遠位端70がシリンジ20の係合部分46から離れ、シリンジ20をインジェクタから取り外すことが可能になる。
【0102】
さらなる例において、中央ロッド37は、近位部分37aと遠位部分37bとの間に明確な斜面37cが存在しない円錐形状を有してもよい。中央ロッド37は、係合アーム68をシリンジ20の係合部分46に係合させるために、駆動機構88の作動によって近位方向に移動可能であってよい。他の例において、中央ロッド37は、係合アーム68をシリンジ20の係合部分46に係合させるために、駆動機構88の作動によって遠位方向に移動可能であってよい。
【0103】
図10Gおよび図10Hに示される例など、いくつかの例においては、中央ロッド37が、第1の端部において中央ロッド37の遠位端37dに枢動可能に接続された2つ以上のリンク41a、41bを有することができる。各々のリンク41a、41bの第2の端部は、係合アーム68の一方の近位端69に枢動可能に接続される。このようにして、中央ロッド37の近位方向/遠位方向への移動が、中央ロッド37の遠位端37dおよび係合アーム68の近位端69に位置する枢支点を中心とするリンク41a、41bの枢動を生じさせる。特定の実施形態においては、2つのリンク41a、41bの各々の長さを、リンク41a、41bが中央ロッド37の長手軸に対して実質的に垂直な向きとなったときに係合アーム68の遠位端70がシリンジ20の係合部分46に係合する(図10H)ように選択することができる。中央ロッド37が図10Hに示されている位置から近位方向または遠位方向に移動すると、リンク41a、41bは、係合アーム68の遠位端70がシリンジ20の係合部分46から外れる第2の位置へと枢動する。他の実施形態においては、2つのリンク41a、41bの各々の長さを、係合アーム68の遠位端70がシリンジ20の係合部分46に係合するときにリンク41a、41bが依然として中央ロッド37の長手軸に対して傾斜したままであるように選択することができる(図示せず)。これらの実施形態によれば、ピストンをさらに近位方向に後退させると、中央ロッド37もリンク41a、41bに対して後退し、リンク41a、41bによって係合アーム68の近位端69にさらなる半径方向の広がり力を加え、係合アーム68の遠位端70とシリンジ20の係合部分46との間により大きな係合力または「食い付き」力を生じさせることができる。
【0104】
他の例によれば、図11A〜図11Dに示されるように、中央ロッド37は、係合アーム68の近位端69の間に配置された楕円形、長円形、または長方形のカム38を有することができる。カム38は、短軸および長軸を有し、短軸は長軸よりも短い。中央ロッド37は、自身の長手軸を中心にして、図11Aおよび図11Bに示される非係合の第1の位置と、図11Cおよび図11Dに示される係合した第2の位置との間を、回転可能であってよい。非係合の第1の位置において、中央ロッド37は、係合アーム68の近位端69がカム38の短軸に実質的に平行に整列するように位置する。係合した第2の位置において、中央ロッド37は、係合アーム68の近位端69がカム38の長軸に実質的に平行に整列することで、近位端69が中央ロッド37に対して半径方向外側へと移動するように、長手軸を中心にして回転する。係合アーム68の近位端69が押し広げられることで、係合アーム68の遠位端70は、互いに近づくように移動して、シリンジ20の係合部分46に係合し、1つ以上の尖った末端86を係合部分46の表面へと食い込ませる。係合アーム68の近位端69に整列している長軸および短軸の間の中央ロッド37の回転は、機構を第1の非係合位置と第2の係合位置との間で選択的に移動させる。中央ロッド37の回転は、本明細書において説明した駆動機構のいずれかなどの駆動機構88と実質的に同様または同一の駆動機構88によるなど、駆動機構88によって達成可能である。
【0105】
図11A〜図11Dに示した例と同様の他の例においては、カム38を、係合アーム68のうちの1つの係合アーム68の近位端69にそれぞれ対応および相互作用するスロットを有するディスクで置き換えることができる。とくには、各々のスロットは、ディスクが駆動機構88によって回転させられるときに係合アーム68の近位端69が中央ロッド37に対して半径方向外側および内側へと動かされるように、近位端69のための軌道を画定する。結果として、係合アーム68が、それぞれの枢支ピン80を中心にして回転させられ、シリンジ20の係合部分46と係合する。
【0106】
ここで図12を参照すると、本開示の他の態様による係合機構48が、シリンジ20の近位端30と組み合わせて示されている。図12に示されるシリンジ20の構成要素は、図2Aおよび図2Bを参照して本明細書において説明したシリンジ20の構成要素と実質的に同様または同一である。係合機構48は、図10A〜図11Dを参照して本明細書において説明した係合アーム68および枢支ピン80と実質的に同様のそれぞれの枢支ピン80を中心にして回転することができる1つ以上の係合アーム68を含む。係合アーム68は、各々の係合アーム68が係合アーム68の近位端と遠位端との間にローブ71をさらに含むという点で、図10A〜図11Dの係合アームから相違する。各々の係合アーム68のローブ71は、近位方向/遠位方向に移動可能な作動解除ピン74と相互作用するように構成される。図12に示される非ロック状態においては、作動解除ピン74が、各々の係合アーム68のローブ71が作動解除ピン74に当接するように遠位端方向に延びることによって、それぞれの係合アーム68の遠位端70のシリンジ20の係合部分46との係合が防止される。作動解除ピン74を、ローブ71が作動解除ピン74から外れ、係合アーム68の尖った末端86を枢支ピン80を中心とした回転によってシリンジ20の係合部分46に係合させることが可能になるロック位置を達成するために、近位方向に後退させることができる。
【0107】
作動解除ピン74の近位方向/遠位方向への移動を、図7Aおよび図7Bを参照して本明細書において説明した駆動機構88と実質的に同様または同一の駆動機構によって制御することができる。いくつかの実施形態においては、係合アーム68とシリンジ20の係合部分46との間の係合を維持するために追加の機構が不要であるように、係合アーム68をロック位置へと付勢することができる(すなわち、常時閉)。他の実施形態においては、係合アーム68をシリンジ20の係合部分46に係合させるために作動解除ピン74または他の作動機構を作動させる必要があるように、係合アーム68を非ロック位置へと付勢することができる(すなわち、常時開)。
【0108】
図13を参照すると、本開示の他の例によるピストン19の係合機構48が示されている。係合機構48は、カム部材15を介してピストン19に枢動可能に接続された少なくとも1対の係合アーム68を含む。一例において、係合アーム68は、シリンジ20の係合部分46を把持するために、開いた第1の位置と閉じた第2の位置との間を移動するように構成される。電気活性ポリマーとして構成されてよいバンド23が、各々の係合アーム68上に配置される。いくつかの例において、バンド23は、ニチノールワイヤまたは他の形状記憶合金であってよい。係合アーム68を開位置から閉位置へと移動させるために、バンド23へと電荷を加え、あるいは導くことで、バンド23を収縮させてバンド23の直径を減少させることができる。バンド23が収縮するとき、係合アーム68がお互いに向かって動かされ、シリンジ20の係合部分46を固定する。
【0109】
流体送出システムおよび流体送出システムに使用されるシリンジの例を、以上の説明において提示したが、当業者であれば、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、これらの例に対して修正および変更を行うことができる。したがって、以上の説明は、限定を意図しておらず、むしろ例示を意図している。の開示は、特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等の意味および範囲に含まれる本開示のあらゆる変更が、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0110】
10 流体インジェクタ
12 インジェクタヘッド
13 支持構造体
14 インジェクタハウジング
15 カム部材
16 圧力ジャケット
19 ピストン
20 シリンジ
23 バンド
25 本体
27 内部容積
28 遠位端
30 近位端
32 側壁
34 端壁
36 吐出ネック
37 中央ロッド
37a 近位部分
37b 遠位部分
37c 斜面
37d 遠位端
38 カム
40 吐出ポート
41a リンク
41b リンク
42 接続部材
44 中央部分、遠位面
46 係合部分
48 係合機構
50 外側ピストンスリーブ
52 当接部
54 外側係合面
55 開口部
56 係合要素
57 ファスナ
58 内側ピストンスリーブ
59 凹部
60 カラー
61 突起
63 ダウエル
64 ピストンロッド
65 スロット
66 開口部
68 係合アーム
69 近位端
70 遠位端
71 ローブ
73 リンク機構
74 作動解除ピン
75 近位端、遠位端
76 ばね
77 調整要素
78 空洞
79 ばね
80 枢支ピン
81 ワッシャ
83 ピン
85 トラック
86 尖った末端
88 駆動機構
88a 傾斜面
88b 傾斜面
152 リンク
154 枢支点
156 スロット
158 遠位端
160 ばね
165 ソレノイド
166 ロックレバー
168 枢支ピン
170 溝
172 傾斜面
173 V字溝
175 端部
188 ピストン
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【国際調査報告】