(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、新規多機能化ケイ素ナノ粒子、その調製方法、及び新規多機能化ケイ素ナノ粒子を含む組成物に関する。本発明は、電気化学発光に基づく検出方法における、及び分析物のインビトロ検出における、新規多機能化ケイ素ナノ粒子の使用にも関する。特に、本発明は、新規多機能化ケイ素ナノ粒子を使用するインビトロの方法により分析物を測定する方法に関する。
親和性結合剤が、分析物、タンパク質、抗体、ビオチン、ビオチン類似体、アビジン、ストレプトアビジン、糖、レクチン、酵素、ポリペプチド、核酸、核酸類似体、相補的核酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、多糖、金属イオン封鎖剤、受容体アゴニスト、及び受容体アンタゴニストから成る群から選択され、
親和性結合剤が、好ましくは核酸、相補的核酸、抗原、抗体、又は分析物である、
請求項1又は2に記載の多機能化ケイ素ナノ粒子。
【発明を実施するための形態】
【0023】
新規多機能ケイ素ナノ粒子
のように、電気化学発光に基づく検出方法、及び分析物のインビトロ検出、特にECL系サンドイッチイムノアッセイなどのECL系イムノアッセイでの使用に適している多機能化ケイ素ナノ粒子が必要とされている。特に、ナノ粒子のサイズ及び表面機能化を最適化することによりケイ素ナノ粒子の物理特性及び化学特性の調整を可能にする、ECL系イムノアッセイのためのケイ素ナノ粒子が必要とされる。
【0024】
本発明により解決される課題はしたがって、の所望の特性を有する多機能化ケイ素ナノ粒子を提供することであった。
一態様において、本発明は、
(a)1nm〜10nmのサイズのケイ素コアと、
(b)ケイ素コアに共有結合している、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基と、
(c)好ましくはリンカーを介して、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基に共有結合している、1〜10個の親和性結合剤と、
(d)好ましくはリンカーを介して、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、又は2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基に共有結合している、1〜100個の電気化学発光化合物と
を含む、新規多機能化ケイ素ナノ粒子を提供する。
【0025】
ケイ素コアは、1nm〜10nmのサイズを有し、複数のケイ素原子を含む。一実施形態において、ケイ素コアのサイズは1nm〜9nm、例えば1nm〜8nm、1.5nm〜7nm、2nm〜6nm、2nm〜5nmの範囲である。
【0026】
アミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、及びアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基は、Si−C結合によってケイ素コアに共有結合している。
【0027】
添付の特許請求の範囲を含め、本明細書で使用する、集合的に使用される用語は、以下の意味を有する。
本明細書で使用する、用語「多機能化ケイ素ナノ粒子」は、少なくとも2つの異なる種類の機能性化合物がケイ素ナノ粒子のケイ素コアの表面に結合していることを意味する。一実施形態において、機能性化合物は、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基へのリンカーを介してケイ素コアに結合している。
【0028】
本明細書で使用する、用語「機能性化合物」は、特定の用途のため、例えば特定の種類の組織又は細胞を標的にするため、又はアッセイにおける検出を可能にするために必要である任意の化合物を意味する。例としては、限定はされないが、親和性結合剤、目的の分析物を測定するためのアッセイで使用するための電気化学発光化合物及び蛍光性化合物などの任意の標識が挙げられる。一実施形態において、多機能化ケイ素ナノ粒子に含まれる少なくとも1つの機能性化合物は親和性結合剤であり、多機能化ケイ素ナノ粒子に含まれる少なくとも1つの化合物は電気化学発光化合物である。
【0029】
本明細書で使用する、用語「リンカー」は、当業者に知られている意味を有し、2つ以上の分子を結合させるのに使用される分子又は分子のグループに関する。リンカーは、フレキシブル又はリジッドな足場上の2つ以上の化学的に直交する官能性を有することを特徴とする。共有結合は本発明の意味においてはリンカーではない。
【0030】
本明細書で使用する、用語「C
3〜C
18アミノアルキル」は単独で又は組み合わせでH
2N−R’−基を意味し、ここで、R’はC
3〜C
18アルキルであり、3〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは3、6、又は11個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に好ましくは3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。直鎖C
3〜C
18アミノアルキル基の例は、アミノプロピル、アミノブチル、アミノヘキシル、及びアミノウンデシル、好ましくはアミノプロピルである。
【0031】
本明細書で使用する、用語「親和性結合剤」は、分子が互いに近接する安定な会合をもたらす分子間の引力相互作用に起因して、別の分子(標的分子又は標的)に分子結合することが可能である分子を意味する。分子結合の結果は、分子複合体の形成である。複合体の成分間の引力的結合は、通常は共有結合よりも弱い。本発明の場合では、結合剤は親和性結合剤であり、これは親和性結合剤とその標的との間で親和性複合体を形成することが可能であることを意味する。そのような複合体はそれぞれの条件下で、例えば 標準条件下の水性媒体中で安定である。分子結合に関与することができる分子としては、限定はされないが、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、及び小さい有機分子、例えば薬物などが挙げられる。したがって、分子結合の結果として生成する複合体の種類としては、限定はされないが、以下の親和性結合剤−標的分子複合体:タンパク質−タンパク質、タンパク質−DNA、タンパク質−ホルモン、タンパク質−薬物、抗原−抗体、受容体−配位子、ビオチン−アビジン若しくはストレプトアビジン、核酸−相補的核酸、又は受容体−受容体(アンタゴニスト)アゴニストが挙げられる。
【0032】
親和性結合剤の例としては、限定はされないが、分析物、抗原、タンパク質、抗体、ビオチン、ビオチン類似体、アビジン、ストレプトアビジン、糖、レクチン、酵素、ポリペプチド、核酸、核酸類似体、相補的核酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、多糖、金属イオン封鎖剤、受容体アゴニスト、又は受容体アンタゴニストが挙げられる。例えば、親和性結合剤は、特定の結合対の一方のパートナーであってもよく、前記結合対の他方のパートナーは細胞表面若しくは細胞内構造上の標的である、又はそれと関連している。
【0033】
親和性結合剤は、その標的に対して、例えば抗体のような特異的な結合対の一方のメンバーは、その抗原のような特異的な結合対の他方のメンバーに対して、少なくとも10
7L/molの親和性を有する。親和性結合剤は好ましくは、その標的に関して10
8L/mol、又はさらにより好ましくは10
9L/molの親和性を有する。
【0034】
本明細書で使用する、用語「分析物」は、対象である任意の生体物質を含めた、任意の無機又は有機分子を意味する。本発明の意味における分析物を代表する適切な生体物質の例は、細胞、ウイルス、細胞内粒子、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、オリゴ糖、多糖、リポ多糖、細胞代謝産物、ハプテン、ホルモン、薬理学的物質、アルカロイド、ステロイド、ビタミン、アミノ酸、及び糖である。
【0035】
分析物は、ポリペプチド、炭水化物、及び無機又は有機薬物分子から成る群から選択されてもよい。
ポリペプチド又はタンパク質は、アミノ酸から本質的に成りペプチド結合により結合した少なくとも2つのアミノ酸を有する分子である。本明細書で開示される方法により調べようとする対象の分析物の場合、ポリペプチドは好ましくは少なくとも5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、及び30から最大で約10,000個のアミノ酸から成ることになる。好ましくはポリペプチドは、5〜2,000個、また好ましくは10〜1,000個のアミノ酸を含有することになる。
【0036】
分析物が核酸である場合、これらの核酸は、好ましくは天然のDNA又はRNAオリゴヌクレオチドである。
ビオチン類似体は、アミノビオチン、イミノビオチン、又は デスチオビオチンである。
【0037】
本明細書で使用する、用語「オリゴヌクレオチド」又は「核酸」は一般に、少なくとも8個のヌクレオチド、最大で約1000個のヌクレオチドを含む、短鎖の一般には一本鎖のポリヌクレオチドを指す。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも9、10、11、12、15、18、21、24、27、又は30個のヌクレオチドの長さを有することになる。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは200、150、100、90、80、70、60、50、45、40、35、又は30個以下のヌクレオチドの長さを有することになる。
【0038】
オリゴヌクレオチドという用語は、広義に理解されるべきであり、DNA及びRNA、並びにそれらの類似体及び修飾物を含む。
核酸類似体は、例えば標準的な塩基であるデオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシトシン(dC)、デオキシチミジン(dT)、デオキシウラシル(dU)において置換基を有する、置換ヌクレオチドを含んでいてもよい。そのような置換核酸塩基の例は、5−置換ピリミジン、例えば5メチルdC、アミノアリルdU又はdC、5−(アミノエチル−3−アクリルイミド)−dU、5−プロピニル−dU又は−dC、5ハロゲン化−dU又は−dCなど;N置換ピリミジン、例えばN4−エチル−dCなど;N置換プリン、例えばN6−エチル−dA、N2−エチル−dGなど;8置換プリン、例えば8−[6−アミノ)−ヘキサ−1−イル]−8−アミノ−dG又は−dA、8ハロゲン化dA又はdG、8−アルキルdG又はdAなど;及び2置換dA、例えば2アミノdAなどである。
【0039】
核酸類似体は、ヌクレオチド又はヌクレオシド類似体を含んでいてもよい。すなわち、天然の核酸塩基は、核酸塩基類似体を使用して、例えば5−ニトロインドール−d−リボシド;3−ニトロ−ピロール−d−リボシド、デオキシイノシン(dI)、デオキシキサントシン(dX);7デアザ−dG、−dA、−dI、又は−dX;7−デアザ−8−アザ−dG、−dA、−dI、又は−dX;8−アザ−dA、−dG、−dI、又は−dX;d−ホルマイシン;疑似dU;疑似イソdC;4チオdT;6チオdG;2チオdT;イソdG;5−メチル−イソ−dC;N8−結合8−アザ−7−デアザ−dA;5,6−ジヒドロ−5−アザ−dC;及びエテノ−dA、又はピロロ−dCなどを使用して、交換することができる。当業者に明らかなように、相補鎖の核酸塩基は、二本鎖形成が特異的であるように選択されなければならない。例えば、5−メチル−イソ−dCが1つの鎖(例えば(a))で使用される場合、イソdGが相補鎖(例えば(a’))中になければならない。
【0040】
核酸類似体において、オリゴヌクレオチド骨格は、置換糖残基、糖類似体、ヌクレオシド間のリン酸部分の修飾物を含有するように修飾されてもよく、及び/又はPNAであってもよい。
【0041】
オリゴヌクレオチドは、例えば、置換デオキシリボース、例えば2’−メトキシ、2’−フルオロ、2’−メチルセレノ、2’−アリルオキシ、4’−メチルdN(Nは核酸塩基、例えば、A、G、C、T、又はUである)などを有するヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0042】
糖類似体は、例えばキシロース;2’,4’架橋リボース、例えば(2’−O、4’−Cメチレン)−(LNAとして知られるオリゴマー)又は(2’−O、4’−Cエチレン)−(ENAとして知られるオリゴマー)など;L−リボース、L−d−リボース、ヘキシトール(HNAとして知られるオリゴマー);シクロヘキセニル(CeNAとして知られるオリゴマー);アルトリトール(ANAとして知られるオリゴマー);C3’及びC5’原子がシクロプロパン環に縮合したエチレン架橋により結合している三環リボース類似体(トリシクロDNAとして知られるオリゴマー);グリセリン(GNAとして知られるオリゴマー);グルコピラノース(ホモDNAとして知られるオリゴマー);カルバリボース(テトラヒドロフランサブユニットの代わりにシクロペンタンを有する);ヒドロキシメチル−モルホリン(モルホリノDNAとして知られるオリゴマー)である。
【0043】
ヌクレオシド間のリン酸部分の多数の修飾は、ハイブリダイゼーション特性と干渉しないことも知られており、そのような骨格の修飾は置換ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体と組み合わせることもできる。例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミデート、及びメチルホスホネートオリゴヌクレオチドである。
【0044】
PNA(リン酸及びd−リボースを含まない骨格を有する)は、DNA類似体として使用することもできる。
の修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、並びにオリゴヌクレオチド骨格修飾物は、本発明の意味でのオリゴヌクレオチドにおいて所望の通りに組み合わせることができる。
【0045】
一実施形態において、親和性結合剤としてで定義される多機能化ケイ素ナノ粒子に含まれる分析物は、低分子量分析物、すなわち分子量が2000ダルトン以下である分析物である。そのような多機能化ケイ素ナノ粒子に含まれる好ましい分析物は、とりわけ、診断上適切なホルモン又は/及び代謝産物である。診断上適切なホルモン又は代謝産物としては、葉酸、特に血漿及び赤血球の両方に含まれるいわゆる全葉酸、ステロイド、例えばエストラジオール、エストロン、プロゲステロン、17−ヒドロキシプロゲステロン、コルチゾール、テストステロン、アンドロステンジオン(androstendione)など、及びホルモン、例えば25−ヒドロキシビタミンD3などが挙げられる。
【0046】
本明細書において用語「抗体」は最も広い意味で使用され、具体的にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成される多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び所望の生物活性を示す限りにおいて抗体断片を網羅する。
【0047】
「単離」抗体は、同定され、その自然環境の成分から分離及び/又は回収された抗体である。その自然環境の不純物成分は、抗体の研究、診断、又は治療上の使用を妨げることになる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク性又は非タンパク性溶質を挙げることができる。いくつかの実施形態において、抗体は(1)例えばローリー法により決定される抗体の95重量%超まで、いくつかの実施形態では99重量%超まで;(2)例えばスピニングカップ配列決定装置を使用して少なくとも15残基のN−末端の又は内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、又は(3)例えばクーマシーブルー又は銀染色を使用して還元条件又は非還元条件下でSDS−PAGEにより均質になるまで、精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分は存在しないので、単離抗体は組換え細胞内のin situの抗体を含む。通常は、しかし、単離抗体は少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0048】
「自然抗体」は、通常は、2つの同一の軽鎖(L)及び2つの同一の重鎖(H)で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖へ結合しているが、ジスルフィド結合の数は様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖によって異なる。各重鎖及び軽鎖は規則的な間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、いくつかの定常ドメインがそれに続く。各軽鎖は一方の端に可変ドメイン(VL)、他方の端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと一直線になっており、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと一直線になっている。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖重鎖可変ドメインの間で界面を形成すると考えられる。
【0049】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは「VH」と呼ばれることがある。軽鎖の可変ドメインは「VL」と呼ばれることがある。これらのドメインは一般に抗体の最も可変な部分であり、抗原結合部位を含有する。
【0050】
用語「可変」とは、可変ドメインの特定の部分は配列が抗体によって幅広く異なり、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかし、可変性は抗体の可変ドメインの全体にわたって均一に分布していない。これは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方において、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存される部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、3つのHVRにより接続されたベータ−シート構造を主にとる4つのFR領域を含み、これはループ接続を形成し、場合によってはベータ−シート構造の一部を形成する。各鎖のHVRはFR領域により互いに近接して維持され、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、国立衛生研究所、Bethesda、MD(1991)を参照)。定常ドメインは抗体 の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性の細胞毒性における抗体の関与などの、様々な エフェクター機能を示す。
【0051】
任意の脊椎動物種に由来する抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに帰属させることができる。
【0052】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(イムノグロブリン)は様々なクラスに帰属させることができる。イムノグロブリンの5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分けることができる。イムノグロブリンの様々なクラスのサブユニット構造及び3次元構造は良く知られており、例えばAbbasら、Cellular and Mol. Immunology、第4版、W.B.Saunders,Co.(2000)において一般的に記載されている。抗体は、抗体と1つ又は複数の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合的又は非共有結合的な会合により形成される、より大きい融合分子の一部であってもよい。
【0053】
用語「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」は、以下で定義されるような抗体断片ではなくその実質的にインタクトな形態の抗体を指すのに、本明細書において交換可能に使用される。この用語は特にFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0054】
「抗体断片」は、インタクト抗体の一部を含み、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二重特異性抗体;直鎖抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0055】
抗体のパパイン消化は、各々が単一抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、名前が容易に結晶化する能力を反映する、残りの「Fc」断片とを生成させる。ペプシン処理は2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2断片を生じ、さらに抗原を架橋させることが可能である。
【0056】
「Fv」は完全抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。一実施形態において、二本鎖Fv種は、しっかりとした非共有結合的な会合をしている1本の重鎖及び1本の軽鎖可変ドメインの二量体から成る。一本鎖Fv(scFv)種において、1本の重鎖及び1本の軽鎖可変ドメインはフレキシブルペプチドリンカーにより共有結合することができるので、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種における構造と類似した「二量体」構造で会合することができる。各可変ドメインの3つのHVRが相互作用してVH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を画定するのはこの構造においてである。全体として、6つのHVRが抗原結合特異性を抗体に与える。しかし、完全な結合部位よりも親和性は低いが、1つの可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)であっても、抗原を認識し抗原に結合する能力を有する。
【0057】
Fab断片は重鎖及び軽鎖可変ドメインを含有し、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端においていくつかの残基を加えることにより、Fab断片と異なる。Fab’−SHは、本明細書において、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’の名称である。F(ab’)2抗体断片は元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片のペアとして生成された。抗体断片の他の化学カップリングも知られている。
【0058】
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは一本のポリペプチド鎖に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VH及びVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これはscFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。scFvのレビューについては、例えば、Plueckthun、In:The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、Rosenburg and Moore(eds.)、Springer−Verlag、New York(1994)269〜315頁を参照すること。
【0059】
用語「二重特異性抗体」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指し、この断片は同じポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に接続している重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上で2つのドメインの対合を可能にするのには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合せざるを得ず、2つの抗原結合部位を作る。二重特異性抗体は二価又は二重特異性であってもよい。二重特異性抗体は、例えば欧州特許第0404097号;国際公開第1993/01161号;Hudson、P.J.ら、Nat.Med.9(2003)129〜134頁;及びHolliger、P.ら、PNAS USA 90(1993)6444〜6448頁でより十分に記載される。三重特異性抗体(Triabody)及び四重特異性抗体(tetrabody)もHudson、P.J.ら、Nat.Med.9(2003)129〜134頁において記載される。
【0060】
本明細書で使用する、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体は、少量で存在する場合がある、考えられる突然変異、例えば自然に発生する突然変異を除いて同一である。したがって、修飾語句の「モノクローナル」は、個々の抗体の混合物ではないものとしての抗体の性質を示す。特定の実施形態において、そのようなモノクローナル抗体は典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から1つの標的結合ポリペプチド配列を選択することを含む方法により得られた。例えば、選択の方法は、複数のクローン、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローン、又は組換え型DNAクローンのプールしたものなどから特異的なクローンを選択することであってもよい。例えば標的に対する親和性を改善するため、標的結合配列をヒト化するため、細胞培養におけるその生成を改善するため、インビボでのその免疫原性を低下させるため、多重特異性抗体を作るため、又はシステインのような反応性基を規定の位置に導入するなどのために、選択された標的結合配列をさらに変化させることができること、及び変化させた標的結合配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であることを、理解するべきである。典型的には様々な決定因子(エピトープ)に対する様々な抗体を含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は抗原上の1つの決定因子に向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、典型的には他のイムノグロブリンによって汚染されていないという点で有利である。
【0061】
本明細書で使用する、用語「電気化学発光化合物」は、適切な場合にリンカーを介して、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、又は2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基に共有結合することができる、任意の電気化学発光化合物を意味する。電気化学発光(ECL)化合物の例としては、正に帯電したECL金属錯体、負に帯電したECL金属錯体、及び電気的に中性のECL金属錯体が挙げられる。
【0062】
一実施形態において、本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子は式(I)
【0064】
(式中、
nは3〜18の整数であり、
xは1〜10の整数であり、
yは少なくとも1であり、
zは1〜100の整数であり、
L
1はリンカーであり、
L
2はリンカーであり、
ここで、L
1とL
2は同一又は異なっており、
Siは1nm〜10nmのサイズを有するケイ素コアであり、
Rは、H、1つの反応性基を有する−CO−L
2、−CO−不活性化L
2(L
2はで定義される通りである)、又は表面修飾剤に由来する残基であり、
Mは電気化学発光金属錯体、又はその塩である)
に対応する。
【0065】
一実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、親和性結合剤は、分析物、タンパク質、抗体、ビオチン、ビオチン類似体、アビジン、ストレプトアビジン、糖、レクチン、酵素、ポリペプチド、核酸、核酸類似体、相補的核酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、多糖、金属イオン封鎖剤、受容体アゴニスト、及び受容体アンタゴニストから成る群から選択される。好ましい実施形態において、親和性結合剤は、核酸、相補的核酸、抗原、抗体、又は分析物である。
【0066】
別の実施形態において、親和性結合剤は、低分子量分析物又はその誘導体、好ましくは分子量が2000ダルトン以下である分析物である。本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子に含まれる好ましい分析物は、本明細書において定義される、生理学的に/診断上適切なホルモン及び代謝産物である。
【0067】
本明細書で使用する、用語「低分子量分析物の誘導体」は、試料中の分析物の結合特性に匹敵する結合特性を有する分析物の任意の誘導体を意味する。
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、親和性結合剤は親和性結合対のパートナー又はメンバーである。
【0068】
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、親和性結合剤は、核酸と相補的核酸、又は抗原と抗体から選択される、結合対のメンバーである。
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、nは3〜17、例えば3〜16、1〜15、1〜14、3〜12、又は3〜11の整数であり;好ましくは、nは3、6、又は11である。特に好ましい実施形態において、nは3である。
【0069】
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、xは、1〜5、例えば1〜4、1〜3の整数、1若しくは2、又は1である。特に好ましい実施形態において、xは1である。
【0070】
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、yは、1〜1000、例えば1〜900、1〜800、1〜700、1〜600、又は1〜500の整数である。特に好ましい実施形態において、yは1〜500の整数である。
【0071】
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、zは、1〜90、例えば20〜90、30〜90、40〜90、50〜90、60〜90、70〜80、1〜80、1〜70、1〜60、1〜50、又は1〜40の整数である。好ましい実施形態において、zは50〜100の整数である。特に好ましい実施形態において、zは50〜70の整数である。
【0072】
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、L
1は、骨格として、直鎖又は分岐鎖の非置換又は置換C
1〜C
20アルキル鎖、C
1〜C
20アルケニル鎖、又は炭素原子、置換炭素原子、及び/若しくはO、N及びSから選択される1つ若しくは複数の原子から成る1〜20個の原子の鎖、又は1つ若しくは複数の環状若しくは複素環の芳香族又は非芳香族環系を含有する骨格を有する前述の鎖を有する。
【0073】
本明細書で使用する、単独の又は組み合わせにおける用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基;又はO、N、P、及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、1〜20個の原子、好ましくは1〜10個の原子を有するヘテロアルキル鎖を意味する。直鎖及び分岐基の例としては、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチル、異性体オクチル、好ましくはメチル及びエチル、最も好ましくはメチルが挙げられる。
【0074】
本明細書で使用する、単独又は組み合わせにおける用語「アルケニル」は、オレフィン結合及び2〜20個、好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、及びイソブテニルである。好ましい例は、2−プロペニルである。
【0075】
本明細書で使用する、用語「C
1〜C
10アルコキシ」は基R’O−を意味し、ここで、R’はC
1〜C
10アルキルであり、で定義される意味を有する。C
1〜C
10アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、及びtert−ブトキシ、好ましくはメトキシ及びエトキシである。
【0076】
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、L
1は、骨格として、直鎖又は分岐鎖の非置換又は置換C
1〜C
12アルキル鎖、C
2〜C
12アルケニル鎖、又は炭素原子、置換炭素原子、及び/若しくはO、N及びSから選択される1つ若しくは複数の原子から成る1〜12個の原子の鎖、又は1つ若しくは複数の環状若しくは複素環の芳香族又は非芳香族環系を含有する骨格を有する前述の鎖を有する。
【0077】
一実施形態において、L
1は、C
1〜C
10アルキル鎖又は8〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル(arylalky)鎖を含むリンカーである。
一実施形態において、L
1は、C
1〜C
10アルキル鎖、C
2〜C
10アルケニル鎖、C
1〜C
10アルコキシ鎖、−C
1〜C
10アルキル−CONH−、−C
1〜C
10アルキル−NHCO−、又は置換若しくは非置換の5員若しくは6員芳香族環を含むリンカーである。
【0078】
特に好ましい実施形態において、L
1は−CH
2−CH
2−又は−CH
2−CH
2−CH
2−である。
別の実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、L
2は、例えばスルフヒドリル基及びアミノ基へそれぞれ結合するためのヘテロ二官能性である、ヘテロ二官能性架橋剤の反応により形成されるリンカーである。
【0079】
好ましくは、ヘテロ二官能性架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミド及びマレイミド反応性基に基づくNHS−マレイミド架橋剤;スクシンイミジル−(PEG)n NHS−PEG−マレイミド架橋剤、NHS−ハロアセチル架橋剤;並びにNHS−ピリジルジチオール架橋剤から成る群から選択される。特に好ましい実施形態において、ヘテロ二官能性架橋剤はスクシンイミジル−(PEG)n NHS−PEG−マレイミド架橋剤である。
【0080】
本明細書において定義される、用語「反応性基」は、リンカーをアミノ基へ結合させるために、アミン基と反応するのに適している任意の基、好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミド基若しくはマレイミド基;又は例えばSH−基と反応するための、第2の官能性結合に適している基、好ましくはリンカーをSH−基へ結合させるためのマレイミド基を意味する。
【0081】
特に好ましい実施形態において、L
2は、
NHS−マレイミド架橋剤、例えば
【0097】
スクシンイミジル−(PEG)n−マレイミド又はNHS−PEG−マレイミド架橋剤、例えば
【0109】
並びにNHS−ピリジルジチオール架橋剤、例えば
【0118】
から成る群から選択されるヘテロ二官能性 架橋剤の反応により形成される、リンカーである。
一実施形態において、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子では、Rは、H、1つの反応性基を有する−CO−L
2、−CO−不活性化L
2(L
2はで定義される通りである)、又はNHS−PEGn−OMe表面修飾剤に由来する残基である。
【0119】
本明細書において定義されるように、用語「1つの反応性基を有する−CO−L
2」は、ヘテロ二官能性架橋剤の1つの反応性基を反応させることにより、すなわちアミド基−CO−NH−を介してN−ヒドロキシスクシンイミド基をアミン末端C
3〜C
18アミノアルキル基、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピル基、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピル基、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチル基と反応させることにより得られる1つの反応性基を有するリンカーを意味する。
【0120】
本明細書において定義されるように、用語「−CO−不活性化L
2」は、リンカーの残留活性基をクエンチすることにより得られるリンカー、例えばシステインでクエンチされたマレイミドを意味する。
【0121】
表面修飾剤は例えば以下の試薬から選択されてもよい:
【0125】
一実施形態において、Mは、電気化学発光(ECL)ルテニウム、オスミウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、又はイリジウム錯体である。
好ましい実施形態において、Mは、電気化学発光(ECL)ルテニウム又はイリジウム錯体である。
【0126】
本発明に関するECL錯体は当業者に良く知られており、正に帯電したECL錯体、負に帯電したECL錯体、及び電気的に中性なECL錯体が挙げられる。
配位金属錯体における金属イオンがカチオン性であるので、標識分子の電気的中性は対イオン(複数可)により得られる。
【0127】
一実施形態において、Mは、全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2003/002974 A2号、米国特許第5,221,605号及び第6,316,607号に開示されるECL錯体から選択される、正に帯電した発光団を有するECL錯体であり、対イオンはクロリド、ヘキサフルオロリン酸などである。
【0128】
一実施形態において、Mは、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,808,939号に開示されるECL錯体から選択される、負に帯電した発光団を有するECL錯体であり、対イオンは例えばナトリウムイオン又はプロトンである。
【0129】
一実施形態において、Mは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第2016/0146826A1号に開示されるECL錯体から選択される、電気的に中性のECLルテニウム錯体である。
【0130】
一実施形態において、Mは、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2012/107419 A1号、国際公開第2012/107420 A1号、国際公開第2014/019707 A2号、国際公開第2014/019708 A2号、国際公開第2014/019709 A2号、国際公開第2014/019710 A2号、及び国際公開第2014/019711 A2号に開示されるECL錯体から選択される、ECLイリジウム錯体である。
【0133】
から選択されるコア構造を有するECL錯体である。
特に好ましい実施形態において、L
1−Mは、以下の金属錯体の1つから得られる:
Ru(bpy)
2−bpyCO−OSu(CAS登録番号137323−76−3、=ルテニウム(2+)、bis(2,2’−ビピリジン−κN
1,κN
1’)[1−[4−(4’−メチル[2,2’−ビピリジン]−4−イル−κN
1,κN
1’)−1−オキソブトキシ]−2,5−ピロリジンジオン]−、(OC−6−33)、Ru(bpy)
2−bpyCO
2H(=BPRu、又はRu−bpy)CAS登録番号115239−59−3の反応性エステル、));又は
Sulfo−BPRu NHSエステル(=CAS登録番号482618−42−8、当技術分野においてルテネート(2−)、ビス[[2,2’−ビピリジン]−4,4’−ジメタンスルホナト(2−)−κN
1,κN
1’][1−[4−(4’−メチル[2,2’−ビピリジン]−4−イル−κN
1,κN
1’)−1−オキソブトキシ]−2,5−ピロリジンジオン]−、ナトリウム(1:2)、(OC−6−31)としても知られる;又は
Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−ピリジン−2−カルボン酸又はその誘導体、限定はされないが、例えばIr(6−フェニルフェナントリジン)2−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸、Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−カルボン酸、Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−2−(カルボキシエチル−フェニル)ピリジン−2−カルボン酸、Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−5−(メトキシ)ピリジン−2−カルボン酸、又はIr(6−フェニルフェナントリジン)2−2−(カルボキシエチル−フェニル)ピリジン−2−カルボン酸エステル、又はその誘導体、例えば1つ又は複数のスルホン酸で置換された配位子を有するイリジウム錯体など、又は例えばCAS登録番号1556730−07−4(=IB3/47、当技術分野においてイリデート(3−)、[5−[4−(2−カルボキシエチル)フェニル]−2−ピリジンカルボキシラト(2−)−κN
1,κO2]ビス[2−(6−フェナントリジニル−κN)−5−(3−スルホナトプロポキシ)フェニル−κC]−、セシウム水素(1:2:1)としても知られる)、又はそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、又は2つのスルホナトプロポキシ置換基、2つのスルホメチルを有する(2,9−フェナントリジンジメタンスルホン酸、6−フェニル−、ナトリウム塩(CAS登録番号1554465−50−7)を含む)、若しくは2つのポリエチレングリコール置換基、若しくは各々の3つを有する、2つのフェニル−フェナントリジン配位子を有するイリジウム錯体、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
一実施形態において、本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子は式(I)
【0136】
(式中、
nは3であり、
xは1であり、
yは少なくとも1であり、
zは1であり、
L
1は−CH
2−CH
2−又は−CH
2−CH
2−CH
2−であり、
L
2はで定義されるリンカーであり、
ここで、L
1とL
2は同一又は異なっており、
Siは1nm〜10nmのサイズを有するケイ素コアであり、
Rは、H、1つの反応性基を有する−CO−L
2、−CO−不活性化L
2(L
2はで定義される通りである)、又はで定義される表面修飾剤に由来する残基であり、
Mは、
【0138】
から成る群から選択されるコア構造を有する電気化学発光金属錯体、又はその塩である)
に対応する。
で定義される実施形態のいずれかの任意の組み合わせは、本発明の主題であると考えられる。
【0139】
本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子を調製する方法
本発明の課題は、イムノアッセイにおける所望の使用に応じた多機能化ケイ素ナノ粒子の調整を可能にする、多機能化ケイ素ナノ粒子を調製する方法を提供することであった。
【0140】
したがって、本発明は、一態様において、多機能化ケイ素ナノ粒子を調製するための新規の方法に関する。
本発明による多機能化ケイ素ナノ粒子は、例えば以下の2つの方法によって調製できる。
【0141】
方法I:親和性結合剤が低分子量分析物又はその誘導体である場合、本発明の方法は少なくとも以下のステップを含む:
(a)適切な場合に溶媒の存在下で、及び適切な場合にカップリング試薬の存在下で、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピルケイ素ナノ粒子、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチルケイ素ナノ粒子を、活性リンカーを含む電気化学発光化合物と反応させて、
各々の場合でリンカーを介して1〜100個の電気化学発光化合物に共有結合している、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピルケイ素ナノ粒子、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチルケイ素ナノ粒子を得るステップと、
(b)適切な場合に溶媒の存在下で、及び適切な場合にカップリング試薬の存在下で、プロセスステップ(a)に従って得られる機能化ケイ素ナノ粒子を、活性リンカーに共有結合している少なくとも1つの親和性結合剤と反応させ、それにより本明細書に記載の本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子を得るステップであって、親和性結合剤が本明細書において定義される低分子量分析物又はその誘導体である、ステップ。
【0142】
一実施形態において、方法Iでは、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子中に親和性結合剤として含まれる分析物は低分子量分析物であり、すなわち分子量が2000ダルトン以下である。そのような多機能化ケイ素ナノ粒子に含まれる好ましい分析物は、生理学的に/診断上適切なホルモン及び代謝産物である。
【0143】
生理学的に/診断上適切なホルモン及び代謝産物としては、葉酸、特に血漿及び赤血球の両方に含まれるいわゆる全葉酸、ステロイド、例えばエストラジオール、エストロン、プロゲステロン、17−ヒドロキシプロゲステロン、コルチゾール、テストステロン、アンドロステンジオン(androstendione)など、ホルモン、例えば25−ヒドロキシビタミンD3などが挙げられる。
【0144】
方法II:親和性結合剤がアミノ基を含む場合、例えば親和性結合剤がタンパク質である場合、本発明の方法は少なくとも以下のステップを含む:
(a)適切な場合に溶媒の存在下で、及び適切な場合にカップリング試薬の存在下で、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピルケイ素ナノ粒子、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチルケイ素ナノ粒子を、活性リンカーを含む電気化学発光化合物と反応させて、
各々の場合でリンカーを介して1〜100個の電気化学発光化合物に共有結合しているが依然として末端アミノ基を含む、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピルケイ素ナノ粒子、又はアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチルケイ素ナノ粒子を得るステップと、
(b)プロセスステップ(a)に従って得られる機能化ケイ素ナノ粒子を、アミノ基に結合するための第1の反応性基及び例えばSH−基に結合するための第2の反応性基を含むヘテロ二官能性架橋剤と反応させ、それにより第1の(アミン−)反応性基を介してリンカーを末端アミノ基の1つ又は複数に結合させて、1〜100個の電気化学発光化合物並びに1つ又は複数の活性リンカー(複数可)を含み依然として第2の反応性基(例えばSH−反応性官能基)を含む機能化ケイ素ナノ粒子を得るステップと、
(c)プロセスステップ(b)に従って得られる機能化ケイ素ナノ粒子をタンパク質と反応させ、それにより第2の反応性基を介してタンパク質を親和性結合剤に結合させて、本明細書において定義される本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子の一実施形態を得るステップ。
【0145】
方法I及びIIのプロセスステップ(a)において出発物質として使用される、アミン末端C
3〜C
18アミノアルキルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−(2−アミノ−エトキシ)−プロピルケイ素ナノ粒子、アミン末端3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピルケイ素ナノ粒子、及びアミン末端2−(4−アミノ−メチル−フェニル)−エチルケイ素ナノ粒子は、例えばM.Rosso−Vasic、Journal of Materials Chemistry(2009)、19(33)、5926〜5933頁に記載される方法によって調製されてもよい。あるいは、それらは、国際公開第2013/087734 A2号又はY.Zhong、Journal of American Chemical Society(2013)、135、8350〜8356頁に記載のように得ることができる。
【0146】
アミン末端ケイ素ナノ粒子の調製に適したモノマーとしては、限定はされないが、2−プロペン−1−アミン、3−ブテン−1−アミン、4−ペンテン−1−アミン、5−ヘキセン−1−アミン、6−ヘプテン−1−アミン、7−オクテン−1−アミン、8−ノネン−1−アミン、9−デセン−1−アミン、10−ウンデセン−1−アミン、11−ドデセン−1−アミン、17−オクタデセン−1−アミン、2−(2−プロペン−1−イルオキシ)−エタンアミン、2−[−(2−プロペン−1−イルオキシ)エトキシ]−エタンアミン、及び4−エテニルベンゼンメタンアミンが挙げられる。
【0147】
方法I及びIIのプロセスステップ(a)において出発物質として使用される、活性リンカーを含む電気化学発光化合物は、当業者に良く知られており、市販されているか、又は最新技術において記載される方法に従って調製できる。活性リンカーを含む電気化学発光化合物は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第2016/0146826 A1号、国際公開第2014/019707 A2号、国際公開第2014/019708 A2号、国際公開第2014/019709 A2号、国際公開第2014/019710 A2号、及び国際公開第2014/019711 A2号において開示されている。
【0148】
一実施形態において、活性リンカーを含む電気化学発光化合物は、
Ru(bpy)
2−bpyCO
2H(=BPRu、これはCAS登録番号115239−59−3のN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルであり、当技術分野においてルテニウム(1+)、ビス(2,2’−ビピリジン−κN1,κN1
’)(4’−メチル[2,2’−ビピリジン]−4−ブタノアト−κN1,κN1’)−、(OC−6−33)−、水素ヘキサフルオロホスフェート(1−)(1:1:2)としても知られ、ルテニウム(1+)、ビス(2,2’−ビピリジン−N,N’)(4’−メチル[2,2’−ビピリジン]−4−ブタノアト−N1,N1’)−、(OC−6−33)−、水素ヘキサフルオロホスフェート(1−)(1:1:2)としても知られる)の反応性エステルである、Ru(bpy)
2−bpyCO−OSu;又は
Sulfo−BPRu NHSエステル(=CAS登録番号482618−42−8、当技術分野においてルテネート(2−)、ビス[[2,2’−ビピリジン]−4,4’−ジメタンスルホナト(2−)−κN1,κN1’][1−[4−(4’−メチル[2,2’−ビピリジン]−4−イル−κN1,κN1’)−1−オキソブトキシ]−2,5−ピロリジンジオン]−、ナトリウム(1:2)、(OC−6−31)としても知られ、ルテネート(2−)、ビス[[2,2’−ビピリジン]−4,4’−ジメタンスルホナト(2−)−κN1,κN1’][1−[4−(4’−メチル[2,2’−ビピリジン]−4−イル−κN1,κN1’)−1−オキソブトキシ]−2,5−ピロリジンジオン]−、二ナトリウム、(OC−6−31)−(9CI)としてさらに知られる);及び
Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−ピリジン−2−カルボン酸又はその誘導体の反応性NHSエステル、限定はされないが、例えばIr(6−フェニルフェナントリジン)2−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸、Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−カルボン酸、Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−2−(カルボキシエチル−フェニル)ピリジン−2−カルボン酸、Ir(6−フェニルフェナントリジン)2−5−(メトキシ)ピリジン−2−カルボン酸、又はIr(6−フェニルフェナントリジン)2−2−(カルボキシエチル−フェニル)ピリジン−2−カルボン酸エステル、又はその誘導体、例えば1つ又は複数のスルホン酸で置換された配位子を有するイリジウム錯体など、又は例えばCAS登録番号1556730−07−4(=IB3/47、当技術分野においてイリデート(3−)、[5−[4−(2−カルボキシエチル)フェニル]−2−ピリジンカルボキシラト(2−)−κN1,κO2]ビス[2−(6−フェナントリジニル−κN)−5−(3−スルホナトプロポキシ)フェニル−κC]−、セシウム水素(1:2:1)としても知られる)、又はそのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、又は、2つのスルホナトプロポキシ置換基、2つのスルホメチルを有する、2つのフェニル−フェナントリジン配位子を有するイリジウム錯体(2,9−フェナントリジンジメタンスルホン酸、6−フェニル−、ナトリウム塩(CAS登録番号1554465−50−7)を含む)、若しくは2つのポリエチレングリコール置換基、又は各々の3つを有する、2つのフェニル−フェナントリジン配位子を有するイリジウム錯体、又はそれらの組み合わせ
から成る群から選択される。
【0149】
方法I及びIIのプロセスステップ(a)は、標準的なカップリング条件下で行われる。適切な溶媒及び適切なカップリング試薬は当業者に良く知られている。
方法Iのプロセスステップ(b)で出発物質として使用される、活性リンカーに共有結合している親和性結合剤は、当業者に良く知られている。あるいは、それらは、親和性結合剤を市販のヘテロ二官能性架橋剤と、例えばのヘテロ二官能性架橋剤のいずれかと反応させることにより調製できる。活性リンカーに共有結合している親和性結合剤の例としては、限定はされないが、以下の分析物−活性リンカーが挙げられる:
【0151】
テストステロン−3−カルボキシメトキシム−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
【0153】
テストステロン−3−ジメチル−カルボキシメトキシム−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
【0155】
エストラジオール−3−カルボキシメチルエステル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
【0157】
テストステロン−17−ヘミスクシナト−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、及び
【0159】
方法I及びIIのプロセスステップ(b)並びに方法(c)のプロセスステップ(c)は、標準的なカップリング条件下で行われる。適切な溶媒及び適切なカップリング試薬は当業者に良く知られている。適切な溶媒及び適切なカップリング試薬は当業者に良く知られている。
【0160】
実施形態において、式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子
【0162】
(式中、n、x、y、z、L
1、L
2、Si、M、及び親和性結合剤はで定義される通りであり、RはHである)を調製する方法Iは、少なくとも以下のステップを含む:
(a)適切な場合に溶媒の存在下で、及び適切な場合にカップリング試薬の存在下で、式(II)のアミン末端ケイ素ナノ粒子
【0164】
(式中、n、x、y、z、及びSiはのように定義される)
を、式(III)のz活性リンカー−ECL−金属錯体
【0166】
(式中、L
1及びMはのように定義され、LG
1−CO−はアミノ基に結合するための反応性基であり、好ましくはLG
1−COはスクシンイミジル−O−CO基である)
と反応させて、式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子
【0168】
(式中、n、y、Si、L
1、及びMはのように定義される)を得るステップと、
(b)式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子を、式(V)のx活性リンカー−親和性結合剤
【0170】
(式中、L
2及び親和性結合剤はで定義される通りであり、LG
2はアミノ基に結合するための反応性基であり、好ましくはLG
2−COはスクシンイミジル−O−CO基である)
と反応させて、RがHであるで定義される式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子を得るステップ。
【0171】
方法Iにおいて、LG
1とLG
2は同一又は異なっていてもよい。
プロセスステップ(a)で出発物質として使用される式(II)のアミン末端ケイ素ナノ粒子は、例えばM.Rosso−Vasic、Journal of Materials Chemistry(2009)、19(33)、5926〜5933頁に記載の方法により調製されてもよい。あるいは、それらは国際公開第2013/087734 A2号及びY.Zhong、Journal of American Chemical Society(2013)、135、8350〜8356頁に記載のように得ることができる。
【0172】
式(II)のアミン末端ケイ素ナノ粒子の調製に適したモノマーとしては、限定はされないが、2−プロペン−1−アミン、3−ブテン−1−アミン、4−ペンテン−1−アミン、5−ヘキセン−1−アミン、6−ヘプテン−1−アミン、7−オクテン−1−アミン、8−ノネン−1−アミン、9−デセン−1−アミン、10−ウンデセン−1−アミン、11−ドデセン−1−アミン、17−オクタデセン−1−アミン、2−(2−プロペン−1−イルオキシ)−エタンアミン、2−[−(2−プロペン−1−イルオキシ)エトキシ]−エタンアミン、及び4−エテニルベンゼンメタンアミンが挙げられる。
【0173】
プロセスステップ(a)で出発物質として使用される式(III)の活性リンカー−ECL−金属錯体は当業者に良く知られている。式(III)の活性リンカー−ECL−金属錯体は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第2016/0146826 A1号、国際公開第2014/019707 A2号、国際公開第2014/019708 A2号、国際公開第2014/019709 A2号、国際公開第2014/019710 A2号、及び国際公開第2014/019711 A2号において開示されている。
【0174】
プロセスステップ(a)は標準的なカップリング条件下で行われる。適切な溶媒及び適切なカップリング試薬は当業者に良く知られている。好ましい実施形態において、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が溶媒として使用される。実施例2及び3は式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子をプロセスステップ(a)によってどのように得ることができるかを示す。
【0175】
式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子は新規である。したがって、一態様において、本発明はで定義される式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子に関する。
プロセスステップ(b)で出発物質として使用される式(V)の活性リンカー−親和性結合剤は当業者に良く知られている。あるいは、それらは、で定義される親和性結合剤を市販のヘテロ二官能性架橋剤と、例えばのヘテロ二官能性架橋剤のいずれかと反応させることにより調製できる。式(V)の活性リンカー−親和性結合剤の例としては、限定はされないが、の分析物−活性リンカーが挙げられる。
【0176】
プロセスステップ(b)も標準的なカップリング条件下で行われる。適切な溶媒及び適切なカップリング試薬は当業者に良く知られている。
一実施形態において、方法Iは、
(c)で定義される式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子(式中、RはHである)を、式(VI)の化合物
【0178】
(式中、CO−LG
3はアミノ基に結合するための反応性基であり、好ましくはLG
3−COはスクシンイミジル−O−CO基であり、
R’’−CO−は、で定義されるL
2、で定義される不活性化L
2、又は好ましくはNHS−PEGn−OMe表面修飾剤との反応により生成されるで定義される表面修飾剤である)
と反応させて、式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子(式中、Rは、で定義されるL
2、で定義される不活性化L
2、又はで定義される表面修飾剤の残基である)を得るステップ
をさらに含む。
【0179】
プロセスステップ(c)の出発物質として使用される式(VI)の化合物は当業者に良く知られている。
に示すように、親和性結合剤がアミノ基を含む場合は、方法IIに記載される方法をとらなければならない。
【0180】
したがって、一実施形態において、式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子
【0182】
(式中、n、x、y、z、L
1、L
2、Si、Mはのように定義され、親和性結合剤はで定義される通りでありアミノ基を含み、RはH、1つの反応性基を有する−CO−L
2、−CO−不活性化L
2である)
を調製するための方法IIは、少なくとも以下のステップを含む:
(a)適切な場合に溶媒の存在下で、及び適切な場合にカップリング試薬の存在下で、式(II)のアミン末端ケイ素ナノ粒子
【0184】
(式中、n、x、y、z、及びSiはのように定義される)
を、式(III)のz活性リンカー−ECL−金属錯体
【0186】
(式中、L
1及びMはのように定義され、LG
1−CO−はアミノ基に結合するための反応性基であり、好ましくはLG
1−COはスクシンイミジル−O−CO基である)
と反応させて、式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子
【0188】
(式中、n、x、y、z、Si、L
1、及びMはのように定義される)を得るステップと、
(b)適切な場合に溶媒の存在下で、及び適切な場合にカップリング試薬の存在下で、式(IV)の機能化ケイ素ナノ粒子を、式(VII)のxヘテロ二官能化架橋剤
【0190】
(式中、LG
4はアミノ基に結合するための反応性基であり、好ましくはLG
4−COはスクシンイミジル−O−CO基であり、RGは例えばSH基への結合に適した反応性基である)
と反応させて、式(VIII)の機能化ケイ素ナノ粒子
【0192】
(式中、n、x、y、z、L
1、L
2、Si、M、及びRGはで定義される通りである)
を得るステップと、
(c)適切な場合に溶媒の存在下で、プロセスステップ(b)に従って得られる式(VIII)の機能化ケイ素ナノ粒子を、例えばチオール基を含む親和性結合剤と、例えばタンパク質と反応させて、式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子(式中、n、x、y、z、L
1、L
2、Si、及びMはのように定義され、親和性結合剤はで定義される通りでありアミノ基を含み、Rは、H、1つの反応性基を有する−CO−L
2、−CO−不活性化L
2である)を得るステップ。
【0193】
プロセスステップ(a)で出発物質として使用される式(II)のアミン末端ケイ素ナノ粒子は、の方法によって調製されてもよい。
プロセスステップ(a)で出発物質として使用される式(III)の活性リンカー−ECL−金属錯体は、で示される通りである。
【0194】
一実施形態において、方法IIは、
(d)で定義される式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子(式中、RはHである)を、式(VI)の化合物
【0196】
(式中、CO−LG
3はアミノ基に結合するための反応性基であり、好ましくはLG
3−COはスクシンイミジル−O−CO基であり、
R’’−CO−は、で定義されるL
2、で定義される不活性化L
2、又は好ましくはNHS−PEGn−OMe表面修飾剤との反応により生成されるで定義される表面修飾剤である)
と反応させて、式(I)の多機能化ケイ素ナノ粒子(式中、Rは、で定義されるL
2、で定義される不活性化L
2、又はで定義される表面修飾剤の残基である)を得るステップ
をさらに含む。
【0197】
プロセスステップ(a)、(b)、(c)、及び(d)も標準的なカップリング条件下で行われる。適切な溶媒及び適切なカップリング試薬は当業者に良く知られている。
本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子の使用
発明者らは現在、驚くことにまた予想外に、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子が非常に好ましい特性を有することを見出した。例えば、多機能化ケイ素ナノ粒子は高いECL効率を示す。有機溶媒中で分析される場合にのみ高いECL−効率を示す多くのECL−標識と比較して、この高い効率は対応する測定が水性の系で行われる場合にも存在する。例えば、多くの電気化学発光分子は通常はアセトニトリル中で分析され、水溶液に不溶性であるか、又は可溶性である場合、水溶液中で効率的な電気化学発光を示さない。
【0198】
さらに、多機能化ケイ素ナノ粒子の物理特性及び化学特性を試験様式の要求に応じて調整できるので、多機能化ケイ素ナノ粒子を、ECL系イムノアッセイの要求を満たすように適合させることができることが分かった。
【0199】
したがって、一態様において、本発明は、電気化学発光に基づく検出方法における、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子の使用に関する。
別の態様において、本発明は、水溶液中の電気化学発光反応を行うためので定義される多機能化ケイ素ナノ粒子の使用
【0200】
水溶液は少なくとも90wt.%の水(重量/重量)を含む任意の溶液である。明らかにそのような水溶液は、例えば市販のProCell溶液におけるように、緩衝剤化合物、洗剤、及び例えば第3級アミン、例えばECL反応における電子供与体としてのトリプロピルアミンなどのような成分をさらに含有していてもよい。
【0201】
別の態様において、本発明は、本明細書において定義されるような分析物のインビトロ検出における、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子の使用に関する。
別の態様において、本発明は、で定義される多機能化ケイ素ナノ粒子を含む組成物に関する。組成物は、試料中に存在する対象である分析物の検出に使用されてもよい。
【0202】
本発明の多機能化ケイ素ナノ粒子を使用する分析物の測定方法
別の態様において、本発明は、インビトロの方法により分析物を測定する方法に関し、この方法は、
(a)分析物を含むことが疑われる又は知られている試料を提供するステップと、
(b)分析物と多機能化ケイ素ナノ粒子との複合体の形成に適した条件下で、前記試料をで定義される多機能化ケイ素ナノ粒子と接触させて、分析物−多機能化ケイ素ナノ粒子複合体を得るステップと、
(c)ステップ(b)で形成された分析物−多機能化ケイ素ナノ粒子複合体を測定し、それにより分析物の測定値を得るステップと、
を含む。
【0203】
別の態様において、本発明は、インビトロの方法により分析物を測定する方法に関し、この方法は、
(a)分析物を含むことが疑われる又は知られている試料を提供するステップと、
(b)多機能化ケイ素ナノ粒子と分析物特異的親和性結合剤との複合体の形成に適した条件下で、前記試料を、分析物特異的親和性結合剤と共に、分析物を含むで定義される多機能化ケイ素ナノ粒子と接触させて、分析物特異的親和性結合剤−多機能化ケイ素ナノ粒子複合体を得るステップと、
(c)ステップ(b)で形成された分析物特異的親和性結合剤−多機能化ケイ素ナノ粒子複合体を測定し、それにより分析物の測定値を得るステップと
を含む。
【0204】
一実施形態において、分析物の測定は、試料中の分析物の量を検出することを意味する。
一実施形態において、分析物の検出のためのの方法における測定は、電気化学発光に基づく検出方法を使用して行われる。
【0205】
好ましい実施形態において、本発明の方法は水溶液中で実施される。
で定義される本発明の多機能化ナノ粒子を使用した分析物の測定方法は、最新技術の手順に従って実施できる。そのような方法は、サンドイッチアッセイ及び競合結合アッセイなどの当技術分野において知られている多様な様式において構築することができる(例えば以下の参考文献を参照のこと:Nonradioactive Labeling and Detection of Molecules、Kessler,C.編、Springer−Verlag:Berlin1992年;The Immunoassay Handbook、Wild,D.編、Stackton Press:New York 1994年;Keller,G.H.及びManak,M.M.DNA Probes、第2版、MacMillan Publishers Ltd.:London、1993年;Tietz Textbook of Clinical Chemistry第2版、Burtisら編、W.B.Saunders and Co.:Philadelphia、1994年)。
【0206】
当業者が容易に認識することになるように、分析物の測定は通常は、シグナルの生成、生成されるシグナルの測定によって、及び分析物の標準曲線から分析物の濃度を計算する、すなわちそれにより分析物を測定することにより、行われる。通常の場合標識が結合されるアッセイの成分、すなわちで定義される多機能化ナノ粒子は、分析物特異的結合剤(サンドイッチ型アッセイ)又は分析物(競合型アッセイ)のいずれかを含む。多機能化ナノ粒子に含まれる電気化学発光標識が測定される前に、通常はそのような方法において固相に結合しているで定義される多機能化ナノ粒子は、固相に結合していない多機能化ナノ粒子から分離される。
【0207】
一実施形態において、本発明の方法はサンドイッチアッセイ様式で実施される。
典型的なサンドイッチ型アッセイにおいて、結合対の第2のパートナーに結合した分析物特異的結合剤、及び検出可能に標識された分析物特異的結合剤はそれぞれ、異なっており重複しないエピトープにおいて分析物に結合する。第1の分析物特異的結合剤(例えば抗体)は、固体表面に共有結合的に又は受動的に結合する。固体表面は典型的にはガラス又はポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、又はイムノアッセイを行うのに適した任意の他の表面の形態であってもよい。結合プロセスは当技術分野において良く知られており、一般に架橋性共有結合又は物理的吸着から成り、ポリマー−抗体複合体は試験試料に備えて洗浄される。次いで、試験しようとする一定分量の試料を固相複合体に加え、第1の抗体又は捕捉抗体と対応する抗原との間の結合を可能にするのに十分な一定時間で(例えば2〜40分、又はより好都合であれば一晩)及び適切な条件下で(例えば、室温〜40℃、例えば25℃以上32℃以下で)インキュベートする。インキュベーションの時間に続いて、第1の抗体又は捕捉抗体を含みそれに抗原が結合している固相を洗浄し、抗原上の別のエピトープに結合している第2の抗体又は標識抗体と共にインキュベートすることができる。第2の抗体は、第1の抗体と対象である抗原との複合体への第2の抗体の結合を示すのに使用されるレポーター分子に結合している。後者は本明細書で開示される多機能化ケイ素ナノ粒子の1つの特定の実施形態を表す。
【0208】
極めて多目的な別のサンドイッチアッセイの様式は、結合対の第1のパートナーで被覆された固相、例えば常磁性のストレプトアビジンで被覆された微粒子の使用を含む。そのような微粒子を、結合対の第2のパートナーに結合した分析物特異的結合剤、分析物を含むことが疑われる又は分析物を含む試料と共に混合及びインキュベートし、ここで、結合対の前記第2のパートナーは、前記分析物特異的結合剤、及び検出可能に標識された第2の分析物特異的結合剤、例えば本明細書で開示される多機能化ケイ素ナノ粒子に結合している。当業者にとって明らかなように、これらの成分は、分析物、結合対の第2のパートナー(に結合した)分析物特異的結合剤、及び結合対の第1のパートナーを介して、多機能化粒子を固相微粒子に結合させるのに十分な適切な条件下及び一定時間でインキュベートされる。必要に応じてそのようなアッセイは1つ又は複数の洗浄ステップ(複数可)を含んでいてもよい。
【0209】
典型的なサンドイッチ型アッセイにおいて、結合対の第2のパートナーに結合した分析物特異的結合剤、及び検出可能に標識された分析物特異的結合剤はそれぞれ、異なっており重複しないエピトープにおいて分析物に結合する。
【0210】
一実施形態において、本発明の方法は競合的アッセイの様式で実施される。
典型的には競合的アッセイの様式は検出可能に標識された分析物を利用する。親和性結合剤として分析物を含む多機能化ケイ素ナノ粒子は、本開示による一実施形態を表す。競合的アッセイの様式において、分析使用とする試料に含まれる分析物及び検出可能に標識された分析物が、親和性結合剤への結合、例えばタンパク質、受容体、又は抗体への結合に関して競合する。当業者が認識するように、分析物自体を使用しケイ素ナノ粒子に結合させてもよいが、しかし親和性結合剤が、結合した分析物−類似体と調べようとする試料中のフリーの分析物の両方に結合する限り、そのような手順において分析物の類似体、例えば関連物質、又は分析物の断片を使用することも可能である。通常、親和性結合剤は固相に直接又は間接的に結合する。結合したものとフリーのものを分離した後、通常は結合した断片を分析し、生成されるシグナルは試料中の分析物の濃度に反比例する、すなわち試料中の分析物濃度が高いほど、測定されるシグナルは低い。
【0211】
以下の実施例は、本発明、添付の特許請求の範囲に示される真の範囲を理解するのを助けるために示される。本発明の精神から逸脱せずに、記載される手順において修正を行うことができることが理解される。
【0212】
本明細書において特定されるあらゆる特許及び発行物はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【実施例】
【0213】
X線光電子分光法(XPS)、透過電子顕微鏡法(TEM)、動的光散乱(法)(DLS)、ゼータ電位測定、UV−可視吸収測定、フォトルミネセンス測定、ECL、及びクロノアンペロメトリーの測定を標準的測定デバイスにより行った。
【0214】
実施例1
出発物質の合成
1.1 アミン末端ケイ素ナノ粒子の合成
M.Rosso−Vasicら、Small(2008)、4(10)、1835〜1841頁に記載されるように、アルキル機能化ケイ素ナノ粒子を調製した。J.H.Warnerら、Angewandte Chemie(2005)、117、4626〜4630頁;M.Rosso−Vasic、Journal of Materials Chemistry(2009)、19(33)、5926〜5933頁;及びY.Zhong、Journal of American Chemical Society(2013)、135、8350〜8356頁に記載されるように、アミン末端3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子を調製した。
【0215】
実施例2
[Ru]標識ケイ素ナノ粒子の調製及び特性決定並びにそのECL性能
2.1 [Ru]標識ケイ素ナノ粒子の調製
【0216】
【化58】
【0217】
Rubpy−OSu(CAS登録番号115239−59−3、57.6mg、54.5μmol)を25mlフラスコ中で5mLの乾燥DMF中に溶解させた。アミン末端3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子(1.8mL、H
2O中、40mg)を溶液へゆっくりと加えた。その後、反応混合物をアルゴン雰囲気下で室温にて2日間撹拌した。次いで、溶液を約2mlの溶媒まで濃縮した。粗生成物を水に対して透析(MWCO:1000)により6時間精製した。水を2時間ごとに交換した。その後、透析バッグに残った溶液を分液漏斗へ移し、ジクロロメタン層が無色になるまでジクロロメタンで洗浄した。最後に、水層を濃縮して13mL(1.68mg/mL)のSi−[Ru]ナノ粒子(Si−[Ru]NP)を得た。
【0218】
2.2 Si−[Ru]ナノ粒子の特性決定
2.2.1 X線光電子分光法(XPS)
Si−[Ru]ナノ粒子をX線光電子分光法により特性決定した。
【0219】
Si−[Ru]ナノ粒子の化学組成をXPS測定により同定した。図1(a)に示すように、Si−[Ru]ナノ粒子は以下の元素:C、N、O、P、Ru、F、及びSiを含有する(表1を参照)。Si2pの結合エネルギーは101.53eVであり、Si−C結合に相当する。シリカ形成の痕跡は見られなかった(約104eV)。
【0220】
さらに、図1(d)に示すようにNスキャンのデコンボリューションを行い、表2にまとめた。Nスキャンのデコンボリューションは、Si−[Ru]ナノ粒子が異なる3種類の窒素:ルテニウムビピリジンに由来するピリジンN、3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子に由来するアミンN、及びアミン末端3−アミノ−プロピルケイ素ナノ粒子とルテニウム錯体のカップリングに由来するアミドNを含有することを実証し、これはルテニウム錯体が3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子に共有結合していることを証明する。
【0221】
【表1】
【0222】
【表2】
【0223】
2.2.2 透過電子顕微鏡法(TEM)撮像
図2はSi−[Ru]ナノ粒子のTEM像を示す。図2は、Si−[Ru]ナノ粒子が約4nmのサイズ及び結晶構造を有することを実証する。
【0224】
2.2.3 動的光散乱(DLS)及びゼータ電位
動的光散乱(DLS)測定の結果は、Si−[Ru]ナノ粒子の流体力学的半径が約51.7nmでありゼータ電位が27.05mVであることを示す。
【0225】
【表3】
【0226】
2.2.4 光物理的特性
Si−[Ru]ナノ粒子を標準的なRubpyと比較するため、同じ吸収に到達するのに必要な吸光度をモニタリングするために、UV−可視吸収を行った。400〜500nmの範囲におけるケイ素ナノ粒子の吸収がないので、ルテニウムビピリジンのMLCT吸収帯は、2つの吸光度が等しい場合に、Si−[Ru]ナノ粒子における及びRubpyにおけるルテニウム錯体と同じ濃度を有するように、直接当てはめることができる。
【0227】
図3(a)に示すように、水溶液中の10
−5MにおいてRubpyを測定し、245、253、及び286nmでの吸収帯は配位子ππ
*遷移に帰属され、456nmでの吸収帯はMLCT帯に帰属される。Si−[Ru]ナノ粒子の吸光度は456nm(MLCT帯)においてRubpyと等しく10
−5Mに到達したことが分かった。245、256、286、及び456nmにおける吸収ピークはRubpyに帰属され、250nm未満の吸収強度の増加はSiナノ粒子の存在に起因する。
【0228】
発光スペクトルを水溶液中の10
−5Mにおいて記録し、図3(b)に示す。Rubpy及びSi−[Ru]ナノ粒子の両方が、同じ発光プロファイル、強度、及び630nmに中心を有するピークを示す。また、Rubpy及びSi−[Ru]ナノ粒子の寿命は同一であり、Si−[Ru]ナノ粒子において発光消光がないことを示す。Rubpy及びSi−[Ru]ナノ粒子の両方が発光量子収率3.5%を示す。
【0229】
さらに、ECL効率を試験するために、図4に示すようにProCell溶液中で10
−5Mにおいて両方の化合物のUV−可視吸収を行った。光物理的データを表4にまとめる。
【0230】
【表4】
【0231】
2.3 電気化学発光(ECL性能)
図5(c)は、Si−[Ru]ナノ粒子のECL発光がRubpy標準物質と同一であるプロファイルを有するがより低い強度を有することを示す。ECL効率はRubpy(100%)と比較して70%である。さらに、クロノアンペロメトリー測定を行い、ECL効率について計算した。異なる3日で、一日に3回の実験で、9回の実験を行った。誤差は10%未満であった。クロノアンペロメトリー測定におけるSi−[Ru]ナノ粒子のECL効率はRubpy(100%)と比較して67%である。すべてのECLデータを表5にまとめる。
【0232】
【表5】
【0233】
2.4 拡散係数の計算
Si−[Ru]ナノ粒子の低いECL効率を調べるために、サイクリックボルタンメトリーにより様々なスキャン速度で拡散係数を計算した。これらのサイクリックボルタンメトリーの結果を図6(a)及び6(c)に示す。さらに、図6(b)及び6(d)は、電流がスキャン速度のルートに比例することを示し、物質移動挙動が拡散律速であり、拡散係数の計算を可能にするRandles−Sevcik方程式に従うことを示す。結果を表6にまとめる。Si−[Ru]ナノ粒子のこの低い拡散係数がRubpyと比べて低いECL効率を生じさせる。すべてのデータを表6にまとめる。
【0234】
【表6】
【0235】
実施例3
[Ir]標識ケイ素ナノ粒子の調製及び特性決定並びにそのECL性能
3.1 [Ir]標識ケイ素ナノ粒子の調製
【0236】
【化59】
【0237】
Ir錯体(52.9mg、54.5μmol)(CAS登録番号1393128−57−8)、EDC(16.9mg、0.109mmol)、及びNHS(12.5mg、0.109mmol)を25mlフラスコ中で7mLの乾燥DMF中に溶解させ、Ar雰囲気下で室温にて1時間撹拌した。その後、アミン末端3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子(1.8mL、H
2O中、40mg)及びジイソプロピルエチルアミン(10μL)を溶液へゆっくり加え、反応物をアルゴン雰囲気下で室温にて2日間撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去した。未反応のIr錯体及び未反応のアミン末端3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子を除去するために、粗生成物を水及びジクロロメタンで洗浄した。生成物を15mL DMF中に分散させて4.12mg/mLのSi−[Ir]ナノ粒子を得た。
【0238】
3.2 Si−[Ir]ナノ粒子の特性決定
3.2.1 X線光電子分光法(XPS)
Si−[Ir]ナノ粒子をX線光電子分光法により特性決定した。
【0239】
Si−[Ir]ナノ粒子の化学組成をXPS測定により同定した。図7(a)に示すように、Si−[Ir]ナノ粒子は以下の元素:C、N、O、Ir、及びSiを含有する(表7を参照)。Si2pの結合エネルギーは102.00eVであり、Si−C結合に相当する。シリカ形成の痕跡は確認されなかった(約104eV)。
【0240】
さらに、図7(d)に示し、表7にまとめたように、Nスキャンのデコンボリューションを実施した。Nスキャンのデコンボリューションは、Si−[Ir]ナノ粒子が異なる4種類の窒素:Rubpyに由来するピリジン窒素、アミン末端3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子に由来するアミンN及びアンモニウムN、アミン末端3−アミノプロピルケイ素ナノ粒子とイリジウム錯体のカップリングに由来するアミドNを含有することを示し、これはイリジウム錯体がケイ素ナノ粒子に共有結合していることを証明する。
【0241】
【表7】
【0242】
【表8】
【0243】
3.2.2 透過電子顕微鏡法(TEM)撮像
図8は、Si−[Ir]ナノ粒子のTEM像を示す。図8は、Si−[Ir]ナノ粒子が約4nmのサイズ及び結晶構造を有することを実証する。
【0244】
3.2.3 光物理的特性
Si−[Ir]ナノ粒子をIr錯体と比較するため、Ir錯体と同じ吸収に到達するのに必要な吸光度をモニタリングするために、UV−可視吸収を行った。400〜500nmの範囲におけるSiナノ粒子の吸収がないので、Ir錯体のMLCT吸収帯は、2つの吸光度が等しい場合に、Si−[Ir]ナノ粒子における及びIr錯体におけるIr錯体と同じ濃度を有するように、直接当てはめることができる。
【0245】
図9に示すように、DMF溶液中の10
−5MにおいてIr錯体を測定し、288、350、358、及び380nmでの吸収帯は配位子ππ
*遷移に帰属され、430及び468nmでの吸収帯はMLCT帯に帰属される。Si−[Ir]ナノ粒子の吸光度はMLCT帯においてIr錯体と等しく10
−5Mに到達したことが分かった。288、350、358、430、及び468nmにおける吸収ピークはIr錯体に帰属される。
【0246】
さらにECL効率を試験するために、図10に示すようにProCell溶液中で10
−5Mにおいて両方の化合物のUV−可視吸収を行った。
3.3 電気化学発光(ECL)性能
図11(c)は、Si−[Ir]ナノ粒子のECL発光がIr錯体と同一であるプロファイルを有するがより低い強度を有することを示す。ECL効率はRubpy(100%)と比較して28%である。また、クロノアンペロメトリー測定を行い、ECL効率について計算した。異なる3日で、一日に3回の実験で、9回の実験を行った。誤差は10%未満であった。クロノアンペロメトリー測定におけるSi−[Ir]ナノ粒子のECL効率はRubpy(100%)と比較して31%である。すべてのECLデータを表9にまとめる。
【0247】
【表9】
【0248】
3.4 拡散係数の計算
ECLは電極表面上のみ生じるので、分析物の電極表面への物質拡散速度が重要である。Si−[Ir]ナノ粒子の低いECL効率を調べるために、図12(a)に示すようにサイクリックボルタンメトリーにより様々なスキャン速度で拡散係数を計算した。
【0249】
図12(b)では、電流がスキャン速度のルートに比例し、物質移動挙動が拡散律速であり、拡散係数の計算を可能にするRandles−Sevcik方程式に従うことを示し、表10にまとめられる。Si−[Ir]ナノ粒子の低いECL効率は、均質な条件下で3.21x10〜7
−7cm
2s
−1の低い拡散係数に起因する。すべてのデータを表10にまとめる。
【0250】
【表10】
【0251】
実施例4
[Ru]標識ケイ素ナノ粒子の機能化
4.1 ヘテロ二官能性リンカーと[Ru]標識ケイ素ナノ粒子との反応
【0252】
【化60】
【0253】
60個のルテニウム錯体(1.68mg、1mL溶液中)で機能化されたSiナノ粒子(R1)及び3−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル)−プロピオニルアミノ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−プロピオン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(R2)を10mLフラスコ中で混合した。反応物を室温で一晩撹拌した。次いで、1kDa膜を使用して透析により赤色溶液を精製して過剰のR2を除去した。2日の透析後、赤色溶液を凍結乾燥して赤色固体を得た。赤色固体を2mLの水に再懸濁させ、懸濁液をろ過して不溶性残留物を除去した。
収量:2mLの最終溶液:橙色溶液
UVによる溶液中のRuの平均濃度(λ
max:456;ε:14600):0.52
濃度:3.5 10
−05MのRu錯体
4.2 ヘテロ二官能性リンカーで機能化された[Ru]標識ケイ素ナノ粒子と抗体とのコンジュゲーション
コンジュゲーションの手順は米国特許第7,521,541号に記載のように行った。ルテニウム錯体で機能化されたマレイミド機能化Si−ナノ粒子を、改変システイン(ThioMab technology)を使用して部位特異的コンジュゲーションによりMAb<TN−T>Chim−5D8−IgGに由来するFab−断片とコンジュゲートし、ゲルろ過(Superdex 200)により精製した。
【0254】
4.3 修飾した分析物と[Ru]標識ケイ素ナノ粒子との反応
【0255】
【化61】
【0256】
60個のルテニウム錯体で機能化されたSi−ナノ粒子(R1)(1.68mg、1mL溶液中)及びテストステロン−3−カルボキシメチルオキシム−NHSエステルを10mLフラスコ中で混合した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、1kDa膜を使用して透析により赤色溶液を精製して過剰のR2を除去した。2日の透析後、赤色溶液を凍結乾燥させて赤色固体を得た。赤色固体を2mLの水中で再懸濁させ、懸濁液をろ過して不溶性残留物を除去した。